JP3587116B2 - 高張力溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法 - Google Patents

高張力溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高張力溶融亜鉛めっき鋼板に係わり、特に連続溶融亜鉛めっきラインで製造される高張力溶融亜鉛めっき鋼板の延性、伸びフランジ性等の加工性、およびスポット溶接性の向上に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、地球環境の保全という観点から、自動車の燃費改善が要求されている。さらに加えて、衝突時に乗員を保護するため、自動車車体の安全性向上も要求されている。このようなことから、自動車車体の軽量化および自動車車体の強化が積極的に進められている。自動車車体の軽量化と強化を同時に満足させるには、部品素材を高強度化することが効果的であると言われており、最近では高張力鋼板が自動車部品に積極的に使用されている。
【0003】
鋼板を素材とする自動車部品の多くがプレス加工によって成形されるため、自動車部品用鋼板には優れたプレス成形性が要求される。優れたプレス成形性を実現するには、第一義的には高い延性を確保することが肝要である。また、自動車部品のプレス成形においては、伸びフランジ変形も多用されるため、自動車部品用鋼板には、優れた延性、伸びフランジ性等の加工性に優れた特性を有することが求められている。
【0004】
一方、自動車部品は、適用部位によっては高い耐食性も要求される。高い耐食性が要求される部位に適用される部品の素材には、溶融亜鉛めっき鋼板が好適である。したがって、自動車車体の軽量化および強化をより一層推進するためには、耐食性に優れ、しかも延性および伸びフランジ性等の加工性に優れる高張力溶融亜鉛めっき鋼板が必要不可欠な素材となっている。
【0005】
延性に優れる高張力鋼板としては、フェライトとマルテンサイトの複合組織を有する二相組織鋼板が代表的である。また、近年では残留オーステナイトに起因する変態誘起塑性を利用した高延性鋼板も実用化の段階に至っている。しかし、多くの連続溶融亜鉛めっきラインは、焼鈍設備とめっき設備を連続化して設置している。この連続化されためっき工程の存在により、焼鈍後の冷却はめっき温度で中断され、工程を通じた平均冷却速度も必然的に小さくなる。したがって、連続溶融亜鉛めっきラインで製造される鋼板では、冷却速度の大きい冷却条件下で生成するマルテンサイトや残留オーステナイトをめっき後の鋼板中に含有させることは難しい。このため、これらの相を有する組織強化型高張力溶融亜鉛めっき鋼板を連続溶融亜鉛めっきラインにて製造することは、一般には困難である。
【0006】
このような状況で、連続溶融亜鉛めっきラインを利用して、高張力溶融亜鉛めっき鋼板を製造する方法としては、C、Mn、Cr、Mo、P等の強化合金元素を多量に含有する組成の鋼板をめっき母板として利用する方法が有効である。しかし、そのような鋼板を用いると、溶接部での脆化が起こり、衝突などの外的要因での変形に際し、溶接のナゲット部内での破断が発生しやすくなるという問題があった。また、合金元素の多量添加は製造コストの上昇を招くという問題もある。
【0007】
このような問題に対し、例えば、特開昭56−142821 号公報には、C:0.15%以下、Mn+Cr:1.0 〜2.5 %に制限した鋼板を、Ac変態以上900 ℃以下の温度に加熱したのち、亜鉛めっき浴温度までの温度範囲を5℃/s以上で冷却し、めっきを施したのち合金化処理を行い、その後10℃/s以上の冷却速度でMs 点以下まで冷却する加工性に優れた高強度亜鉛めっき鋼板の製造方法が提案されている。特開昭56−142821 号公報にに記載された技術では、合金元素量を制限したうえで、めっき、合金化処理後の冷却速度を調整してフェライト相とマルテンサイト相の複合組織を有する鋼板とすることにより、スポット溶接性の劣化を伴わずに、加工性を向上させている。しかし、特開昭56−142821 号公報に記載された技術で製造された組織強化高強度溶融亜鉛めっき鋼板では、スポット溶接性の劣化は認められないが、強度−伸びバランスが低く、延性面で現状の自動車部品用鋼板等の要求を十分に満足できるものであるとはいえない。
【0008】
また、特公昭62−40405号公報には、連続溶融亜鉛めっきラインにおいてAc〜Ac変態点間の加熱温度より溶融亜鉛めっきを施すまで、および合金化処理後300 ℃以下まで冷却する冷却工程における冷却速度を、所定の臨界冷却速度以上とすることにより組織強化型高張力溶融亜鉛めっき鋼板を製造する方法が提案されている。しかし、特公昭62−40405号公報に記載された技術で得られる組織強化型高張力溶融亜鉛めっき鋼板は、延性面で、現状の自動車部品用鋼板等の要求を十分に満足できるものであるとはいえない。
【0009】
一方、プレス成形性に優れる高張力溶融亜鉛めっき鋼板を得る方法として、焼戻マルテンサイトを利用する方法が提案されている。
例えば、特開平6−93340 号公報には、熱延鋼板を冷間圧延したのち、再結晶温度以上かつAc変態点以上に加熱保持し、その後溶融亜鉛槽に至るまでの間に、Ms 点以下に急冷し、鋼板中に部分的あるいは全部分マルテンサイトを生成させ、ついでMs 点以上の温度であって少なくとも溶融亜鉛浴温度および合金化炉温度に加熱し焼戻しマルテンサイトを生成させる、伸びフランジ性に優れた高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法が提案されている。
【0010】
また、特開平6−108152号公報には、熱延および冷延後、(Ac変態点−50℃)〜900 ℃の温度に少なくとも1s以上保持する事を含む再結晶焼鈍工程と、亜鉛めっきを施す工程と、Ac変態点以下250 ℃以上で再加熱処理を施す工程とを有し、再結晶焼鈍工程後で、再加熱処理工程前に、Ms 点より高い温度から所定の臨界冷却速度以上で、少なくともMs 点以下まで冷却することを特徴とする、焼戻しマルテンサイト組織を有する曲げ加工性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法が提案されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平6−93340 号公報や特開平6−93340 号公報に記載された技術で得られる高張力溶融亜鉛めっき鋼板は、伸びフランジ性や曲げ加工性には優れるものの、自動車部品用素材として広く使用される鋼板としては、延性の面で十分に満足できるものではなく、またさらに、溶接部の脆化についての配慮がなされておらず、スポット溶接性に問題を残していた。
【0012】
本発明は、上記従来技術が抱える問題点を解決し、自動車部品用素材として好適な、延性、伸びフランジ性等の加工性に優れ、さらにはスポット溶接性に優れた高張力溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法を提供することを目的とする。なお、本発明における高張力溶融亜鉛めっき鋼板は、連続溶融亜鉛めっきラインを利用して製造されることが望ましい。
【0013】
【課題を解決するための手段】
まず、本発明者らは、上記した課題を達成するため、延性、スポット溶接性におよぼす鋼板組成の影響について、鋭意研究を重ねた。その結果、鋼板組成を所定の範囲内に規制したうえ、溶融亜鉛めっき処理後に得られる高張力溶融亜鉛めっき鋼板の組織を、フェライト、焼戻マルテンサイト、残留オーステナイト、低温変態相とからなる複合組織とし、複合組織中の各相の体積率を所定の比率とすることにより、優れた延性を発現させることが可能であることを知見した。また、複合組織の主体となるフェライトおよび焼戻マルテンサイトの結晶粒径を微細化することにより、高延性に加えて優れた伸びフランジ性をも獲得させ得ることも見出した。
【0014】
さらに、本発明者らは、化学成分を所定の範囲に調整し、さらにC、Si、Mn、S、P含有量を特定な関係式で規制した鋼板を、まずラス状のマルテンサイトを含む組織としたうえで、さらに連続溶融亜鉛めっきラインにて所定の条件下で再加熱処理およびめっき処理を施すことにより、鋼板の組織が、所定の体積率範囲内のフェライト、焼戻マルテンサイト、残留オーステナイト、低温変態相からなる複合組織となり、かつフェライトと焼戻マルテンサイトの結晶粒が微細化し、延性および伸びフランジ性がともに向上し、さらにスポット溶接性に優れた高張力溶融亜鉛めっき鋼板とすることが可能であるという知見を得た。
【0015】
本発明は上記した知見に基づいて構成されたものである。
すなわち、第1の本発明は、鋼板表層に溶融亜鉛めっき層または合金化溶融亜鉛めっき層を有する溶融亜鉛めっき鋼板であって、前記鋼板が、mass%で、C:0.05〜0.15%、Si:0.3 〜1.8 %、Mn:1.0 〜3.0 %、S:0.005 %以下、P:0.02%以下、Al:0.10%以下を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなり、かつX値=C+Si/30 +Mn/20 +2P+4S (ここで、C、Si、Mn、P、S:各元素の含有量(mass%))が0.25%以下である組成と、フェライト、焼戻マルテンサイト、残留オーステナイトおよび低温変態相からなる複合組織を有し、前記フェライトを体積率で30%以上、前記焼戻マルテンサイトを体積率で20%以上、前記残留オーステナイトを体積率で2%以上含み、さらに前記フェライトおよび前記焼戻マルテンサイトの平均結晶粒径が10μm 以下であることを特徴とする加工性およびスポット溶接性に優れる高張力溶融亜鉛めっき鋼板であり、また、第1の本発明では、前記組成に加え、さらに、次(a群)〜(d群)
(a群):Cr、Mo、Cuのうちの1種または2種以上を合計で、0.05〜1.0 mass%、
(b群):Bを0.003 mass%以下、
(c群):Ca、REM のうちから選ばれた1種または2種を合計で、0.01mass%以下
(d群):Ti、 Nb 、Vのうちから選ばれた1種または2種以上を合計で、0.01〜0.2 mass%、
のうちから選ばれた1群または2群以上を含有することが好ましい。
【0016】
また、第2の本発明は、mass%で、C:0.05〜0.15%、Si:0.3 〜1.8 %、Mn:1.0 〜3.0 %、S:0.005 %以下、P:0.02%以下、Al:0.10%以下を含み、かつX値=C+Si/30 +Mn/20 +2P+4S (ここで、C、Si、Mn、P、S:各元素の含有量(mass%))が0.25%以下であり、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有する鋼板に、(Ac変態点−50℃) 〜(Ac変態点+100 ℃)の温度域で5sec 以上保持する一次加熱処理を施した後、10℃/s以上の冷却速度でMs 点以下の温度まで冷却する一次工程と、次いで、(Ac変態点〜Ac変態点) の温度域で5〜120sec間保持する二次加熱処理を施した後、5℃/s以上の冷却速度で500 ℃以下の温度まで冷却する二次工程と、次いで溶融亜鉛めっき処理を施し、前記鋼板表層に溶融亜鉛めっき層を形成した後、5℃/s以上の冷却速度で300 ℃まで冷却する三次工程とを順次施すことを特徴とする加工性およびスポット溶接性に優れる高張力溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法であり、また、第2の本発明では、前記三次工程が、溶融亜鉛めっき処理を施し前記鋼板表層に溶融亜鉛めっき層を形成した後、450 ℃〜550 ℃の温度域まで再加熱して溶融亜鉛めっき層の合金化処理を施し、該合金化処理後、5 ℃/s以上の冷却速度で300 ℃まで冷却する工程であることが好ましい。また、第2の本発明では、前記組成に加え、さらに、次(a群)〜(d群)
(a群):Cr、Mo、Cuのうちの1種または2種以上を合計で、0.05〜1.0 mass%、
(b群):Bを0.003 mass%以下、
(c群):Ca、REM のうちから選ばれた1種または2種を合計で、0.01mass%以下
(d群):Ti、 Nb 、Vのうちから選ばれた1種または2種以上を合計で、0.01〜0.2 mass%、
のうちから選ばれた1群または2群以上を含有するしてもよい。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の高張力溶融亜鉛めっき鋼板は、鋼板表層に溶融亜鉛めっき層または合金化溶融亜鉛めっき層を有する溶融亜鉛めっき鋼板である。
まず、本発明に用いる鋼板の組成限定理由について説明する。なお、mass%を単に%と記す。
【0018】
C:0.05〜0.15%
Cは、鋼の高強度化に必須の元素であり、さらに残留オーステナイトや低温変態相の生成に効果があり、不可欠の元素である。しかし、C含有量が0.05%未満では所望の高強度化が得られず、一方、O.15%を超えると、スポット溶接部の脆化を招き、溶接性が劣化する。このため、Cは0.05〜0.15%の範囲に限定した。
【0019】
Si:0.3 〜1.8 %
Siは、固溶強化により鋼を強化するとともに、オーステナイトを安定化し、残留オーステナイト相の生成を促進する作用を有する。このような作用は、Si含有量がO.3 %以上で認められる。一方、1.8 %を超えて含有すると、めっき性が顕著に劣化する。このため、Siは0.3 〜1.8 %の範囲に限定した。
【0020】
Mn:1.0 〜3.0 %
Mnは、固溶強化により鋼を強化するとともに、鋼の焼入性を向上し、残留オーステナイトや低温変態相の生成を促進する作用を有する。このような作用は、Mn含有量が1.0 %以上で認められる。一方、3.0 %を超えて含有しても効果が飽和し、含有量に見合う効果が期待できなくなりコストの上昇を招く。このため、Mnは1.0 〜3.0 %の範囲に限定した。
【0021】
S:0.005 %以下
Sは、鋼中にMnS を形成し、鋼板の伸びフランジ性を低下させる不純物元素であり、さらにスポット溶接部のナゲット部内破断を引き起こす。このため、極力低減するのが望ましいが、0.005 %までは許容できる。このため、Sは0.005 %以下に限定した。
【0022】
P:0.02%以下
Pは、鋼の強度を増加させる元素であるが、Sと同様、スポット溶接部のナゲット部内破断を引き起こす。このため、本発明では極力低減するのが望ましい。このため、Pは0.02%以下に限定した。なお、好ましくは0.015 %以下である。 Al:0.10%以下
Alは、脱酸剤として必要な元素であるが、0.10%を超える含有は、合金コストが上昇し経済的に不利となる。このため、Alは0.10%以下に限定した。なお、好ましくは0.05%以下である。
【0023】
X値=C+Si/30 +Mn/20 +2P+4S :0.25%以下
C、Si、Mnは、スポット溶接部のナゲット部内の靱性を低下させる元素であり、またP、Sはスポット溶接部のナゲット部内破断を引き起こす元素である。スポット溶接性の向上のため、本発明では、スポット溶接に影響するC、Si、Mn、P、Sの関係式としてX値
X値=C+Si/30 +Mn/20 +2P+4S
ここで、C、Si、Mn、P、S:各元素の含有量(mass%)
を導入し、X値を0.25%以下に限定する。X値が0.25%を超えると、スポット溶接部のナゲット部内破断が発生しやすくなる。このため、X値が0.25%以下となるようにC、Si、Mn、P、S含有量を調整する。
【0024】
さらに、本発明の鋼板では、必要に応じて、上記した化学成分に加え、下記に示す(a群)〜(d群)のうちの1群または2群以上を含有することができる。
(a群):Cr、Mo、Cuのうちの1種または2種以上を合計で、0.05〜1.0 %
Cr、Mo、Cuは、いずれも鋼の焼入性を向上し、低温変態相の生成を促進する作用を有する元素である。このような作用は、Cr、Mo、Cuのうちの1種または2種以上を合計で0.05%以上含有して認められる。一方、Cr、Mo、Cuのうちの1種または2種以上を合計で1.0 %を超えて含有しても効果が飽和し、含有量に見合う効果が期待できず、経済的に不利となる。このため、Cr、Mo、Cuのうちの1種または2種以上は、合計で0.05〜1.0 %の範囲に限定するのが望ましい。なお、より好ましい範囲はCr、Mo、Cuのうちの1種または2種以上を合計で0.05〜0.5 %である。
【0025】
(b群):B:0.003 %以下
Bは、鋼の焼入性を向上する作用を有する元素であり、必要に応じ含有できる。しかし、B含有量が0.003 %を超えると、効果が飽和するため、Bは0.003 %以下に限定するのが望ましい。なお、より望ましいは範囲は0.001 〜0.002 %である。
【0026】
(c群):Ca、REM のうちから選ばれた1種または2種を合計で、0.01%以下
Ca、REM は、硫化物系介在物の形態を制御する作用を有し、これにより鋼板の伸びフランジ性、および耐疲労特性を向上させる効果を有する。このような効果はCa、REM のうちから選ばれた1種または2種の含有量が合計で、0.01%を超えると飽和する。このため、Ca、REM のうちの1種または2種の含有量は、合計で0.01%以下に限定するのが好ましい。なお、より好ましい範囲は0.001 〜0.005 %である。
【0027】
(d群):Ti、 Nb 、Vのうちから選ばれた1種または2種以上を合計で、0.01〜0.2 %
Ti、Nb、Vは、鋼中で炭窒化物を形成し、これら炭窒化物による析出強化によりフェライト相を強化し鋼を高強度化する効果を有するとともに、結晶粒径を微細化する効果も有しており、必要に応じて含有できる。このような効果は、Ti、Nb、Vのうちから選ばれた1種または2種以上を合計で、0.01%以上で認められる。一方、合計で0.2 %を超えて含有しても効果が飽和し、含有量に見合う効果が期待できず、経済的に不利となる。このため、Ti、Nb、Vのうちの1種または2種以上の含有量は、合計で、0.01〜0.2 %の範囲に限定するのが好ましい。
【0028】
本発明に用いる鋼板では、上記した化学成分以外の残部は、Feおよび不可避的不純物からなる。不可避的不純物としては、N:0.005 %以下、O:0.0100%以下が許容できる。
さらに、本発明の鋼板は、上記した組成と(1)フェライト、(2)焼戻マルテンサイト、(3)残留オーステナイトおよび(4)低温変態相からなる複合組織を有する鋼板である。これら各相が混在共存する複合組織となることにより、鋼板の延性向上等の効果が発現する。なお、本発明における焼戻マルテンサイトとは、ラス状のマルテンサイトを加熱した際に生成する相を指す。
【0029】
(1)フェライト
フェライトは、鉄炭化物を含まない軟質な相であり、高い変形能を有し、鋼板の延性を向上させる。本発明の鋼板では、このようなフェライトを、体積率で30%以上含有する。フェライト量が30%未満では、顕著な延性向上効果が期待できない。このため、複合組織中のフェライト量は30%以上に限定した。なお、フェライト量が70%を超えると、多相複合組織化による利点が得にくくなるため、フェライト量は70%以下とするのが望ましい。
【0030】
(2)焼戻マルテンサイト
焼戻マルテンサイトは、焼戻前のラス状マルテンサイトのラス形態を引き継いだ微細な内部構造を有することが特徴であり、鋼板の伸びフランジ性および耐疲労特性の向上に有効な相である。本発明の鋼板では、このような焼戻マルテンサイトを、体積率で20%以上含有する。なお、スポット溶接部の強度は、ナゲット部内破断の場合以外は、ほぼ母材強度に依存するため、溶接部強度を高めるという意味から焼戻マルテンサイト量は多いほうが好ましい。焼戻マルテンサイト量が20%未満では、前記した効果が十分に期待できない。このため、複合組織中の焼戻マルテンサイト量は20%以上に限定した。なお、焼戻しマルテンサイト量が60%を超えると、多相複合組織化による利点が得にくくなるため、焼戻しマルテンサイト量は60%以下とするのが望ましい。
【0031】
(3)残留オーステナイト
残留オーステナイトは、加工時にマルテンサイトに歪誘起変態し、局所的に加えられた加工歪を広く分散させ、鋼板の延性を向上させる作用を有する。本発明の鋼板では、このような残留オーステナイトを、体積率で2%以上含有する。なお、スポット溶接部の強度は、ナゲット部内破断の場合以外は、ほぼ母材強度に依存するため、溶接部強度を高めるという意味から残留オーステナイト量は多いほうが好ましい。残留オーステナイト量が2%未満では、顕著な延性の向上が期待できない。このため、残留オーステナイト量は2%以上に限定した。また、残留オーステナイト量は、好ましくは5%以上である。なお、残留オーステナイト量は多いほどよいが、実際的には10%以下である。
【0032】
(4)低温変態相
本発明でいう低温変態相とは、焼き戻しされていないマルテンサイトあるいはべイナイトを指す。
マルテンサイト、べイナイトとも硬質相であり、組織強化によって鋼板強度を増加させる作用を有する。また、変態生成時に可動転位の発生を伴うため、鋼板の降伏比を低下させる作用も有する。なお、スポット溶接部の強度は、ナゲット部内破断の場合以外は、ほぼ母材強度に依存するため、溶接部強度を高めるという意味から低温変態相量は多いほうが好ましい。なお、前記作用を十分に得るためには、低温変態相はマルテンサイトとするのが好適である。本発明においては、低温変態相の量はとくに限定せず、鋼板の強度に応じて適宜配分すればよく、好ましくは体積率で5〜20%である。
【0033】
さらに、本発明の鋼板では、上記した複合組織中のフェライトおよび焼戻マルテンサイトの結晶粒径を平均粒径で10μm 以下とする。
結晶粒径の微細化は鋼板の伸びフランジ性を向上させる効果を有する。本発明の鋼板では、複合組織中のフェライトおよび焼戻マルテンサイトの平均結晶粒径を10μm 以下とする。フェライトおよび焼戻マルテンサイトの平均結晶粒径が10μm を超えると、伸びフランジ性の顕著な向上作用が期待できない。このため、フェライトおよび焼戻マルテンサイトの平均結晶粒径は10μm 以下に限定した。
【0034】
なお、本発明鋼板における複合組織では、上記フェライトおよび焼戻マルテンサイトが主相であり、残部は残留オーステナイトおよび低温変態相である。このような残留オーステナイトおよび低温変態相は、主相であるフェライトおよび焼戻マルテンサイトの粒間あるいは焼戻マルテンサイト粒内に分散して存在する。このため、残留オーステナイトおよび低温変態相の平均粒径は、主相であるフェライトおよび焼戻マルテンサイトの平均粒径より小さくなるため、本発明ではとくに限定しない。
【0035】
本発明の高張力溶融亜鉛めっき鋼板は、上記した組成および上記した複合組織を有する鋼板の表層に、溶融亜鉛めっき層、または合金化溶融亜鉛めっき層が形成されためっき鋼板である。めっき層の付着量(目付量)は、使用部位による耐食性要求により適宜決定すればよく、とくに規定されない。自動車部品に使用される鋼板では、溶融亜鉛めっき層の付着量は30〜120 g/mとするのが好ましい。
【0036】
次に、本発明の高張力溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法について説明する。
まず、上記した組成を有する鋼片を溶製し、通常の公知の方法で鋳造し、次いで通常の公知の方法で熱間圧延、あるいはさらに冷間圧延して、鋼板とする。また、必要に応じて、酸洗あるいは焼鈍等の工程を加えることができる。
本発明では、上記した組成を有する鋼板に、一次加熱処理後冷却しラス状マルテンサイトを含有する組織とする一次工程(▲1▼)と、次いで連続溶融亜鉛めっきラインにて二次加熱処理を施し、一次工程で形成されたマルテンサイトの焼戻しと、三次工程後に残留オーステナイトおよび低温変態相を生成するための鋼板組織の一部再オーステナイト化を図る二次工程(▲2▼)とを施し、しかる後亜鉛めっき処理を施し、冷却して残留オーステナイトおよび低温変態相の生成を図る三次工程(▲3▼)を施し、延性、伸びフランジ性等の加工性、およびスポット溶接性に優れる高張力溶融亜鉛めっき鋼板を得る。
【0037】
▲1▼一次工程
一次工程では、鋼板に(Ac変態点−50℃)〜(Ac変態点+100 ℃)の温度域に少なくとも5sec 以上保持する一次加熱処理を施した後、Ms 点以下の温度まで10℃/s以上の冷却速度で鋼板を急冷する。この一次工程により、鋼板中にラス状マルテンサイトが生成される。三次工程後の鋼板中に、フェライト、焼戻マルテンサイト、残留オーステナイト、低温変態相の均一微細な複合組織を得るためには、一次工程後の鋼板組織を、ラス状のマルテンサイトを含む組織とすることが必要である。
【0038】
一次加熱処理の加熱保持温度が(Ac変態点−50℃)未満、あるいは保持時間が5sec 未満では、加熱保持中に生成するオーステナイト量が少なく、冷却後に得られるラス状マルテンサイト量が不足する。一方、一次加熱処理の加熱保持温度が(Ac変態点+100 ℃)を超えると、加熱保持中にオーステナイトの結晶粒径が粗大化する。このため、三次工程後に得られるフェライトおよび焼戻マルテンサイトの平均結晶粒径が10μm 以下とならない。また、加熱保持温度はAc変態点以上とするのが好ましく、保持時間は120 sec 以下とするのが好ましい。
【0039】
また、一次加熱処理後の冷却速度が10℃/s未満では、冷却後の鋼板組織をラス状マルテンサイトを含む組織とすることができない。なお、一次加熱処理後の冷却速度は、鋼板の形状を良好に保つためには100 ℃/s以下とするのが望ましい。
なお、めっき母板として、最終圧延が(Ar変態点−50℃)以上の温度で行われた熱延鋼板を使用する場合には、最終圧延後の冷却時に、Ms点以下の温度まで10℃/s以上の冷却速度で急冷することにより、この一次工程を代替することができる。
【0040】
▲2▼二次工程
二次工程では、一次工程によりラス状マルテンサイトを生成させた鋼板に、さらに Ac変態点〜Ac変態点の温度域で5〜120sec間保持する二次加熱処理を施した後、5℃/s以上の冷却速度で500 ℃以下の温度まで冷却する。この二次工程により、一次工程で形成されたマルテンサイトを焼戻マルテンサイトとするとともに、三次工程後に残留オーステナイトおよび低温変態相を生成するための鋼板組織の一部再オーステナイト化を図る。
【0041】
二次加熱処理における加熱保持温度がAc変態点未満では、オーステナイトが再生成せず、三次工程後に残留オーステナイトや低温変態相が得られない。また、保持温度がAc変態点を超えると、鋼板組織の全オーステナイト化を招き、焼戻マルテンサイトが消失する。また、二次加熱処理における加熱保持時間が5sec 未満ではオーステナイトの再生成が不十分であるため、三次工程後に十分な量の残留オーステナイトが得られない。また、加熱保持時間が120secを超えると、焼戻マルテンサイトの再オーステナイト化が進行し、必要量の焼戻マルテンサイトを得ることが困難となる。
【0042】
また、二次加熱処理後の500 ℃までの温度範囲での冷却速度が5℃/s未満では二次加熱処理にて生成したオーステナイトがフェライトやパーライトに変態し、残留オーステナイトや低温変態相とならない。なお、二次加熱処理後の冷却速度は5℃/s以上50℃/s以下とするのが好ましい。
なお、この二次工程は、焼鈍設備と溶融亜鉛めっき設備を兼ね備えた連続溶融亜鉛めっきラインで行うのが好ましい。このような連続溶融亜鉛めっきラインで行うことにより、二次工程後直ちに三次工程に移行でき、生産性が向上する。
【0043】
▲3▼三次工程
三次工程では、二次工程を施された鋼板に溶融亜鉛めっきを施し、5 ℃/s以上の冷却速度で300 ℃まで冷却する。溶融亜鉛めっき処理は、通常、連続溶融亜鉛めっきラインで行われている処理条件でよく、特に限定する必要はない。しかし、極端に高温でのめっきは必要な残留オーステナイト量の確保が困難となる。このため、500 ℃以下でのめっき処理とするのが好ましい。また、めっき処理後の冷却速度が極端に小さいときは、残留オーステナイト量の確保が困難になる。このため、めっき後から 300℃までの温度範囲における冷却速度は5℃/s以上に限定するのがよい。なお、好ましくは50℃/s以下である。また、めっき処理後、必要に応じて目付量調整のためのワイピングを行ってもよいのはいうまでもない。
【0044】
また、溶融亜鉛めっき処理後、めっき層の合金化処理を施してもよい。溶融亜鉛めっき層の合金化処理は、溶融亜鉛めっき処理後、450 〜550 ℃の温度域まで再加熱して行う。合金化処理後は、5℃/s以上の冷却速度で300 ℃まで冷却するのが好ましい。高温での合金化処理は、必要な残留オーステナイト量の確保が困難となり、鋼板の延性が低下する。このため、合金化処理温度の上限は550 ℃に限定する。また、合金化処理温度が450 ℃未満では、合金化の進行が遅く生産性が低下する。このため、合金化処理温度の下限は450 ℃とするのが好ましい。また、合金化処理後の冷却速度が極端に小さい場合には必要な残留オーステナイト量の確保が困難になる。このため、合金化処理後から300 ℃までの温度範囲における冷却速度を5℃/s以上に限定するのがよい。
【0045】
なお、めっき処理後あるいは合金化処理後の鋼板には、形状矯正、表面粗度等の調整のための調質圧延を加えてもよい。また、樹脂あるいは油脂コーティング、各種塗装あるいは電気めっき等の処理を施しても何ら不都合はない。
本発明は、焼鈍設備とめっき設備および合金化処理設備を連続した溶融亜鉛めっきラインにおいて、二次工程と三次工程を連続して行うことを前提としているが、各工程を独立した設備で実施することも可能である。
【0046】
【実施例】
表1に示す組成を有する鋼を転炉にて溶製し、連続鋳造法にて鋳片とした。得られた鋳片を板厚2.5 mmまで熱間圧延し、次いで酸洗した後、冷間圧延により板厚1.4 mmの冷延鋼板を得た。なお、表1に示した化学成分以外の残部はFeおよび不可避的不純物である。
【0047】
【表1】
Figure 0003587116
【0048】
次いで、これら冷延鋼板に、連続焼鈍ラインにて、表2に示す条件で加熱保持した後冷却する一次工程を施した。一次工程後、鋼板のミクロ組織調査を行い、ラス状マルテンサイトの量を測定した。さらに、一次工程を施されたこれら鋼板に、連続溶融亜鉛めっきラインにて、表2に示す条件で、加熱保持した後冷却する二次工程を施した後、引き続き溶融亜鉛めっき処理を施し、一部については溶融亜鉛めっき処理後に再加熱する溶融亜鉛めっき層の合金化処理を行い、次いで冷却する三次工程を施した。
【0049】
なお、溶融亜鉛めっき処理は、浴温490 ℃のめっき槽に鋼板を浸漬して行い、浸漬した鋼板を引き上げた後、片面当たりの目付量(付着量)が50g/mとなるように、ガスワイピングにより目付量を調整した。亜鉛めっき層の合金化処理を行う場合には、ワイピング処理の後、10℃/sの加熱速度で510 ℃まで昇温して合金化処理した。合金化処理時の保持時間は、めっき層中の鉄含有率が9〜11%となるように調整した。
【0050】
【表2】
Figure 0003587116
【0051】
鋼板のミクロ組織は、鋼板の圧延方向断面を光学顕微鏡あるいは走査型電子顕微鏡にて観察することにより調査した。鋼板中のラス状マルテンサイト、フェライト、焼戻マルテンサイトの量については、倍率1000倍の断面組織写真を用いて、画像解析により任意に設定した100 mm四方の正方形領域内に存在する該当相の占有面積率を求め、該当相の体積率とした。
【0052】
また、残留オーステナイト量は、鋼板を板厚方向の中心面まで研磨し、板厚中心面での回析X線強度測定により求めた。入射X線にはMoK α線を使用し、残留オーステナイト相の{111 }、{200 }、{220 }、{311 }各面の回析X線強度比を求め、これらの平均値を残留オーステナイトの体積率とした。
フェライト粒径は、JIS Z0552の規定に準拠して結晶粒度を測定し、平均結晶粒径に換算した。また、焼戻マルテンサイト粒径も、フェライト粒径と同様の方法により求めた。
【0053】
鋼板の機械的特性は、引張試験および穴拡げ試験により調査した。
引張試験は、鋼板より圧延直角方向に採取したJIS Z2204に規定のJIS 5号試験片を用いて、JIS Z2241の規定に準拠して、耐力(YS)、引張強さ(TS)および破断伸び(El)を測定した。
穴拡げ試験は、日本鉄鋼連盟規格JFS T1001に準拠して、鋼板に10mmφ(D)の円穴を打抜き、打抜き穴を頂角60°の円錐ポンチで押し拡げ、割れが板厚方向に貫通した直後の穴径Dを求めた。DとDから、λ={(D−D)/D}×100 (%)で定義される穴拡げ率(λ)を求めた。
【0054】
鋼板のスポット溶接性は、スポット溶接継手を製作し、JIS Z 3136の規定に準拠して、引張剪断試験を実施し引張剪断荷重を求めた。得られた引張剪断荷重から、JIS Z 3140に規定するA級基準における引張剪断荷重の最小値である11.056kN以上(板厚1.4mm の場合)を満足するものを「優」、11.056kN未満のものを「劣」として、鋼板のスポット溶接性を評価した。
【0055】
得られた結果を表3に示す。
【0056】
【表3】
Figure 0003587116
【0057】
表3から、本発明例の溶融亜鉛めっき鋼板は、590 MPa 以上の引張強さ(TS)を有し、強度−伸びバランス(TS×El)が20000 MPa ・%以上、かつ、強度−穴拡げ率バランス(TS×λ)が60000 MPa ・%以上と、延性および伸びフランジ性に優れ、さらにスポット溶接性はいずれも優であり、加工性およびスポット溶接性に優れた高張力溶融亜鉛めっき鋼板となっている。
【0058】
一方、本発明の範囲を外れる比較例では、強度−伸びバランスと強度−穴拡げ率バランスの両方でともに高い値を示すものはなく、あるいはスポット溶接性が低下しており、延性および伸びフランジ性、スポット溶接性が同時に優れるものはない。
鋼板No.2は、一次加熱処理における加熱温度が低く、冷却後に得られるラス状マルテンサイトが少なく、めっき処理後に残留オーステナイトが得られず、強度−伸びバランスおよび強度−穴拡げ率バランスが低下している。
【0059】
鋼板No.4は、一次加熱処理における加熱温度が高く、めっき処理後のフェライトおよび焼戻マルテンサイトの粒径が大きくなり、強度−伸びバランスおよび強度−穴拡げ率バランスが低下している。
鋼板No.5は、一次加熱処理後の冷却速度が小さく、冷却後にラス状マルテンサイトが生成しないため、めっき処理後に焼戻マルテンサイトおよび残留オーステナイトが得られず、強度−伸びバランスおよび強度−穴拡げ率バランスが低下している。
【0060】
鋼板No.6は、二次加熱処理における加熱温度が高すぎため、めっき処理後に焼戻マルテンサイトおよび残留オーステナイトが得られず、強度−伸びバランスおよび強度−穴拡げ率バランスが低下している。
鋼板No.7は、二次加熱処理における加熱温度が低すぎたため、めっき処理後に残留オーステナイトおよび低温変態相が得られず、強度−伸びバランスおよび強度−穴拡げ率バランスが低下している。
【0061】
鋼板No.13 〜15、No.17 は、X値が0.25%を超え本発明範囲を外れ、スポット溶接性が劣化している。また、鋼板No.16 は、鋼板の組成のうちMn量が本発明範囲を低く外れ、残留オーステナイトの生成が少なく強度−伸びバランスが低く、また、Mn量が少ないため、鋼中の硫化物が多くなり、強度−穴拡げ率バランスが低下している。
【0062】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、非常に優れた延性、伸びフランジ性およびスポット溶接性を有し、自動車部品に代表される成形品素材として実に好適な高張力亜鉛めっき鋼板が、安価にしかも安定して製造でき、産業上格段の効果を奏する。

Claims (4)

  1. 鋼板表層に溶融亜鉛めっき層または合金化溶融亜鉛めっき層を有する溶融亜鉛めっき鋼板であって、
    前記鋼板が、mass%で、
    C:0.05〜0.15%、 Si:0.3 〜1.8 %、
    Mn:1.0 〜3.0 %、 S:0.005 %以下、
    P:0.02%以下、 Al:0.10%以下
    を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなり、かつ下記X値が0.25%以下である組成と、フェライト、焼戻マルテンサイト、残留オーステナイトおよび低温変態相からなる複合組織を有し、前記フェライトを体積率で30%以上、前記焼戻マルテンサイトを体積率で20%以上、前記残留オーステナイトを体積率で2%以上含み、さらに前記フェライトおよび前記焼戻マルテンサイトの平均結晶粒径が10μm 以下であることを特徴とする加工性およびスポット溶接性に優れる高張力溶融亜鉛めっき鋼板。

    X値=C+Si/30 +Mn/20 +2P+4S
    ここで、C、Si、Mn、P、S:各元素の含有量(mass%)
  2. 前記組成に加え、さらに、下記(a群)〜(d群)のうちから選ばれた1群または2群以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の加工性およびスポット溶接性に優れる高張力溶融亜鉛めっき鋼板。

    (a群):Cr、Mo、Cuのうちの1種または2種以上を合計で、0.05〜1.0 mass%、
    (b群):Bを0.003 mass%以下、
    (c群):Ca、REM のうちから選ばれた1種または2種を合計で、0.01mass%以下
    (d群):Ti、 Nb 、Vのうちから選ばれた1種または2種以上を合計で、0.01〜0.2 mass%、
  3. mass%で、
    C:0.05〜0.15%、 Si:0.3 〜1.8 %、
    Mn:1.0 〜3.0 %、 S:0.005 %以下、
    P:0.02%以下、 Al:0.10%以下
    を含み、かつ下記X値が0.25%以下である組成を有する鋼板に、(Ac変態点−50℃) 〜(Ac変態点+100 ℃)の温度域で5sec 以上保持する一次加熱処理を施した後、10℃/s以上の冷却速度でMs 点以下の温度まで冷却する一次工程と、次いで、(Ac変態点〜Ac変態点) の温度域で5〜120sec間保持する二次加熱処理を施した後、5℃/s以上の冷却速度で500 ℃以下の温度まで冷却する二次工程と、次いで溶融亜鉛めっき処理を施し、前記鋼板表層に溶融亜鉛めっき層を形成した後、5℃/s以上の冷却速度で300 ℃まで冷却する三次工程とを順次施すことを特徴とする加工性およびスポット溶接性に優れる高張力溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。

    X値=C+Si/30 +Mn/20 +2P+4S
    ここで、C、Si、Mn、P、S:各元素の含有量(mass%)
  4. 前記三次工程が、溶融亜鉛めっき処理を施し前記鋼板表層に溶融亜鉛めっき層を形成した後、450 ℃〜550 ℃の温度域まで再加熱して溶融亜鉛めっき層の合金化処理を施し、該合金化処理後、5 ℃/s以上の冷却速度で300 ℃まで冷却する工程であることを特徴とする請求項3に記載の加工性およびスポット溶接性に優れる高張力溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
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