JP3587058B2 - 組立ダクトスリーブ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電線共同溝等においてハンドホールやマンホール等の特殊部と地中埋設管とを接続する組立ダクトスリーブに関する。
【0002】
【従来の技術】
電線共同溝とは、電線類である電力ケーブル、通信ケーブル、道路管理者用ケーブル等をまとめて地中埋設化を実現するためのもので、特殊部(接続部、分岐部)と管路部と地上機器とに類別定義されている。その特徴は、従来のキャブ(ケーブルボックス)方式と比較して管路部の埋設間隔を狭くコンパクトにすることや浅層埋設にすること、あるいは低価格化(キャブ方式の1/3程度)を目指している点である。
【0003】
上記特殊部と地中埋設管を接続するためのダクトスリーブは、例えば図11に示すものが一般的である。このダクトスリーブ20は、第1筒部20Aと第2筒部20Bとから略筒状に構成され、第2筒部20Bを第1筒部20Aよりも大径に構成したものである。第1筒部20Aの基端側部分は特殊部1の側面部1aに貫通状に固定され、第2筒部20Bには地中埋設管2の端部が管軸方向に移動自在に内嵌され、第1筒部20Aの一端部には略ラッパ状の案内面20Cが形成され、地中埋設管2に内装された各種ケーブル類(図示略)は、この案内面20Cを介して損傷しないように特殊部1内に案内されている。また、第2筒部20Bの途中部には、ほとんど肉厚を変えることなく外方へ膨出した大径部20Dが形成され、大径部20Dの内面側にはシールリング6が装着され、シールリング6を介して地中埋設管2とダクトスリーブ20間の隙間から特殊部1内への雨水等の侵入が防止されている。
【0004】
ところで、特殊部1には、通常複数の地中埋設管2が接続されるが、これら複数の地中埋設管2がコンパクトに配置されるように、隣接するダクトスリーブ20の中心間距離Lは、例えば関東地域で使用されている電力管の場合には、175mmに設定されている。ところが、地中埋設管2は、その外径D1が148mmと、比較的大きく、図11に示す現行のダクトスリーブ20では、装着するシールリング6の形状により、大径部20Dの外径D2を183mm以下に設定することが困難であった。その結果、隣接するダクトスリーブ20の大径部20Dを同じ位置に形成すると、両大径部20Dが8mm程度重なり、ダクトスリーブ20を配設できない。そこで、図11に示すように、大径部20Dの位置を管軸方向にずらした2種類のダクトスリーブ20を用い、この2種類のダクトスリーブ20を交互に配置することで、隣接するダクトスリーブ20の大径部20D同士が相互に干渉しないように構成されている。
ところが、このように短長2種類のダクトスリーブ20を用いる場合には、ダクトスリーブ20の製作コストが割高になること、在庫管理が煩雑になること、特殊部1に対して組付ける複数のダクトスリーブ20の配列を間違え易いこと、などの問題があった。
【0005】
また、特殊部1に対してダクトスリーブ20を組付ける方法としては、まず、特殊部1に予め形成した貫通孔1Aに、ダクトスリーブ20の第1筒部20Aを挿入して位置決めし、次に第1筒部20Aの外面と特殊部1の貫通孔1Aの周面との隙間にモルタル7を充填することで、モルタル7を介して両者を結合する方法が採用されている。
【0006】
ところが、前記方法により組付ける場合には、自重によりダクトスリーブ20が傾斜することを防止するためや、設置したダクトスリーブ20に他物や人の手が不測に当たって、その位置がずれることを防止するため、モルタル7が固化するまでの間、何らかの固定手段によりダクトスリーブ20を水平姿勢に保持する必要があるが、このような固定手段の組付け及び取外し作業は、大変手間のかかる煩わしいものであった。しかも、ダクトスリーブ20は比較的長尺なものなので、他物と接触すると、モルタル7との結合部分に大きな回転モーメントが作用する。それ故、固定手段として大型なものを用い、ダクトスリーブ20を強固に固定保持する必要があった。
【0007】
又、前記組付け方法以外の組付け方法として、特殊部1を製作する際に、ダクトスリーブ20を特殊部1に一体的に設ける方法も採用されている。この方法では、先ず、図12に示すように、底板21と、4つの周縁を囲むための4枚の側板22(図では2枚のみを図示)とからなる型枠内に、ダクトスリーブ20をボルト23及びナット24により位置決め固定する。次に、この状態において、モルタル7を設定厚さになるまで流し込み、流し込んだモルタル7が固化したのちに前記型枠を取り外して、ダクトスリーブ20を備えた特殊部1の側面部1aを形成する。次に、図13に示すように、前記のようにして製作した側面部1aを略平行に対面配置するとともに、これら2つの側面部1aの間にU字形状の一対の中間部1bを配置し、これらをボルト等により接続して特殊部1を得るようにしている。
【0008】
このようにして特殊部1を製作する場合には、側面部1aだけでなく中間部1bをも作らなければならない製造面での不利や、製造した側面部1aと中間部1bとを一体化しなければならない組付工数の増加による組付面での不利があり、特殊部1の製作に多くの時間を要していた。
しかも、側面部1aを作る度に、ダクトスリーブ20を底板21に位置決め固定しなければならないだけでなく、モルタルが固化したのちにボルト23及びナット24を取り外さなければならず、一層手間がかかっていた。又、側面部1aを作る場合には、ダクトスリーブ20が上方に突出し、且つ、面が水平方向になる状態でしか作ることができないため、作成のための作業スペースを多く要するだけでなく、出来上がった側面部1aを縦姿勢に姿勢変更して中間部1bに組付けなければならない。このように、重量のある側面部1aを移動させることは、多大な労力を要するものであり、作業者に大きな負担がかかっていた。
又、出来上がった特殊部1を輸送したり、据え付ける時に、側面部1aから外部に突出しているダクトスリーブ10に他物等が接当して外面を傷付けたり、破損する恐れもあった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、地中埋設管とのシール性能を十分に確保しつつ、特殊部に接続するダクトスリーブを1種類とし、その製作コストを低減するとともに在庫管理を簡略にし、しかも特殊部に対するダクトスリーブの配列のミスを防止する点と、特殊部の製作時や輸送時や据え付け時に、ダクトスリーブが他物と接触して破損することを防止するとともに、特殊部をコンパクトに重ねて保管或いは輸送が可能で、しかもダクトスリーブを備える特殊部の製作を、短時間に且つ多大な労力を要することがなく行えるようにする点にある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る組立ダクトスリーブは、電線共同溝等においてハンドホールやマンホール等の特殊部に地中埋設管を接続する組立ダクトスリーブであって、前記特殊部の側面部に貫通状に埋設固定され、外径を特殊部内部側の基端側部分を大径に構成することなく全長にわたって同径に設定しつつ特殊部内部側の基端内面に外広がりの略ラッパ状の案内面を形成し、外面に周方向に間隔をあけて複数の突起を形成したベルマウスと、前記特殊部の外方側へ延びるようにベルマウスに固定されるとともに、地中埋設管の端部が管軸方向に移動自在に内嵌され、地中埋設管との嵌合部の内面部に、肉厚を薄くしてシールリング装着用の環状溝を形成した伸縮用スリーブとを備えたものである。
【0011】
この組立ダクトスリーブにおいては、伸縮用スリーブの肉厚を薄くして環状溝を形成しているので、シールリングの装着部分における伸縮用スリーブの外径を大きくする必要がない。つまり、伸縮用スリーブのうちの外径が最も大きくなっていたシールリングの装着部分の外径を大きく設定する必要がないので、同一形状、同一サイズの1種類の組立ダクトスリーブを用い、これを特殊部の側面部に対して複数隣接して設けることが可能となる。また、環状溝を形成した部分において伸縮用スリーブの強度は多少低下するが、この環状溝は大きな曲げ荷重がほとんど作用しない伸縮用スリーブの先端近傍部に形成すればよく、しかもこの部分には地中埋設管が内嵌されるので、多少強度が低下しても破損等の悪影響を及ぼすことはない。
【0012】
しかも、組立ダクトスリーブを2部品で構成しているので、例えば、請求項2記載のように、ベルマウスを特殊部の壁面外へ突出しないように設けたり、請求項3記載のように、ベルマウスに特殊部の壁面外へ突出する突出部を形成することが可能となり、ベルマウスの管軸方向の寸法を短尺に構成できるとともに、伸縮用スリーブとは独立にベルマウスを特殊部の側面部に予め組付け、特殊部の据え付け現場等にて、ベルマウスに伸縮用スリーブを固定して、特殊部から外方へ突出する組立ダクトスリーブを構成することが可能となる。
【0013】
このため、従来のように長尺なダクトスリーブを直接的に特殊部に設ける場合と比較して、特殊部に対してベルマウスの組付けるときには、モルタルが固化するまでの間における、他物との接触を回避して、ベルマウスの位置ずれを格段に少なくできるとともに、万一他物と接触しても、ベルマウスの基端部に大きな回転モーメントが作用しないので、モルタルに対するベルマウスの固定手段として小型な構成のものを採用できる。また、特殊部の運搬及び据え付け時には、ベルマウスから伸縮用スリーブを取り外した状態で行うことで、特殊部外へ突出する部分を完全になくしたり、極力少なくすることが可能となり、前記と同様に他物との接触を回避できるとともに、万一ベルマウスに他物が接触しても基端部に大きな回転モーメントが作用することはないので、組立ダクトスリーブの破損を効果的に防止できる。
しかも、ベルマウスの管軸方向の寸法を特殊部の側面部の厚さと略同じか或いは短尺に構成すると、型枠を用いて特殊部を製作するときに、従来のように特殊部を側面部と中間部とに個別に製作することなく、型枠内にベルマウスを位置決め固定した状態でモルタルを打設し、1工程で所望形状の特殊部を製作できるとともにベルマウスを特殊部に一体的に設けることが可能となる。
【0014】
また、ベルマウスの外面に、周方向に間隔をあけて複数の突起を設けているので、ベルマウスとそれを固定するためのモルタルとの接触面積を大きく設定して、特殊部の側面部に対するベルマウスの取付強度を向上できる。また、隣接する突起の間隔の設定如何により、多数のベルマウスを積み重ねる場合や、特殊部に多数のベルマウスを設置する場合に、隣接するベルマウスの突起が接触しないように構成することも可能で、複数のベルマウスをコンパクトに収納或いは設置できる。
【0015】
請求項4記載の組立ダクトスリーブは、請求項1〜3のいずれか1項記載の組立ダクトスリーブにおいて、伸縮用スリーブの外径寸法をその全長に亙って略同径に設定したものである。この場合には、多数の伸縮用スリーブを束ねて運搬する際に積み重ね易いので、好ましい。
【0016】
請求項5記載の組立ダクトスリーブは、請求項1〜4のいずれか1項記載の組立ダクトスリーブにおいて、前記ベルマウスの管軸方向の長さを特殊部の厚みよりも小さく設定したものである。このように構成すると、型枠を用いて特殊部を製作するときに、従来のように特殊部を側面部と中間部とに個別に製作することなく、型枠内にベルマウスを位置決め固定した状態でモルタルを打設し、1工程で所望形状の特殊部を製作できるとともにベルマウスを特殊部に一体的に設けることが可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
図1は電線共同溝の要部の断面図で、マンホールやハンドホール等の特殊部1には、送電ケーブル等を複数束ねて内装した複数本(図では2本)の地中埋設管2が、特殊部1に固定した組立ダクトスリーブ3を介して管軸方向に移動可能に接続されている。
【0018】
前記組立ダクトスリーブ3は、特殊部1の側面部1aに貫通状に埋設固定した略筒状のベルマウス4と、ベルマウス4に嵌合固定されて特殊部1から外方へ突出する略筒状の伸縮用スリーブ5とから構成され、地中埋設管2は、特殊部1から外方へ突出する伸縮用スリーブ5の案内筒部5Aに管軸方向に移動自在に内嵌されて、特殊部1に接続されている。
前記ベルマウス4及び伸縮用スリーブ5の素材としては、合成樹脂材料や、金属材料などの各種素材を採用できる。また、ベルマウス4と伸縮用スリーブ5とを異種素材で構成することも可能である。
【0019】
伸縮用スリーブ5の基端側(特殊部1の内部側の端部)には内嵌筒部5Bが形成され、ベルマウス4の先端側(特殊部1の外方側)には外嵌筒部4Aが形成され、伸縮用スリーブ5は、その内嵌筒部5Bをベルマウス4の外嵌筒部4Aに内嵌させて、図示外の接着剤により固定されている。接着剤としては、溶剤型、2液混合型、1液硬化型などを使用できる。但し、ベルマウス4と伸縮用スリーブ5との固定は、接着剤により行う他、凹凸嵌合等の係止構造やねじ止め等の機械的な固定手段により固定してもよいし、接着剤とこれらの固定手段とを併用してもよい。機械的な固定手段のみで固定する場合には、ベルマウス4と伸縮用スリーブ5との間にシール部材を介在させて、水密性を確保するように構成することが好ましい。また、ベルマウス4の先端部と伸縮用スリーブ5の基端部にフランジをそれぞれ形成し、両フランジをボルト等で結合するなど、嵌合固定以外の固定方法も利用可能である。
【0020】
特殊部1の側面部1aには貫通孔1Aが形成され、ベルマウス4は、この貫通孔1A内に必要個数だけ位置決めセットした状態で、貫通孔1A内にモルタル7を充填することで、特殊部1の側面部1aに埋設状に固定されている。
ベルマウス4の管軸方向の長さは、特殊部1の側面部1aの厚さと略同じ長さに設定され、特殊部1の壁面外に突出しないように構成されている。つまり、ベルマウス4の先端部が特殊部1の壁面外に突出すると、特殊部1を隙間なく詰めた状態での保管や輸送ができないので、特殊部1の壁面外に突出しないように構成されている。但し、先端部が特殊部1の壁面外へ突出しないよう埋設固定してあれば、ベルマウス4の管軸方向の長さは、特殊部1の厚みよりも小さい長さに設定してもよい。また、保管性や輸送性は多少低下するが、後述の組立ダクトスリーブ10のように、ベルマウス4の先端部を特殊部1の壁面外へ突出させることも可能である。
【0021】
ベルマウス4の基端近傍部の外周には、円周方向に一定間隔おきに複数の突起4Bが突出状に形成され、ベルマウス4とモルタル7との接触面積を増大することで、モルタル7に対するベルマウス4の接合強度が高められている。また、ベルマウス4を隣接配置させた状態で、隣接するベルマウス4の突起4Bがベルマウス4の外周面よりも離間するように配置可能とすることで、ベルマウス4を密に配置しつつ、隣接するベルマウス4間に十分にモルタル7を充填できるように構成されている。具体的には、図3、図4に示すように、正面視において90度間隔で4つの突起4Bを形成し、対面する突起4Bの中心を結ぶ線分が水平面に対して約45°傾斜するように、4つのベルマウス4を配置することになる。但し、隣接するベルマウス4の外周面を接触させた状態で、隣接するベルマウス4の突起4Bが離間するように構成されていれば、突起4Bの個数や形状は任意に設定することが可能である。また、突起4Bに代えて、ベルマウス4の外面に凹凸部を形成したり、ベルマウス4の外面に砂付け加工を施して、ベルマウス4とモルタル7との滑りを防止するようにしてもよい。
【0022】
地中埋設管2内の送電ケーブル等を特殊部1内へ滑らかに導入するため、伸縮用スリーブ5の内嵌筒部5Bの内径は地中埋設管2の内径と略同じに設定され、ベルマウス4の基端部には伸縮用スリーブ5の内嵌筒部5Bの内径と略同じ内径の環状突部4Cが内側へ突出状に形成され、環状突部4Cの内面には基端側を外広がりに湾曲させた側面視略ラッパ状の案内面4Dが形成され、伸縮用スリーブ5をベルマウス4に接続した状態で、伸縮用スリーブ5の外嵌筒部4Aの内面が案内面4Dに滑らかに連なるように構成されている。また、環状突部4Cの先端側には段部4Eが形成され、この段部4Eにより、ベルマウス4の外嵌筒部4Aに対する伸縮用スリーブ5の内嵌筒部5Bの挿入量が規制されている。
【0023】
前記伸縮用スリーブ5と地中埋設管2間の隙間をシールするため、伸縮用スリーブ5の案内筒部5Aの先端近傍部の内面部には、外径を大きくすることなく、肉厚を薄くすることにより形成した1対の環状溝5Cが設けられ、環状溝5C内にはシールリング6が装着されている。即ち、隣接する伸縮用スリーブ5間の距離及び地中埋設管2の外径は、電線共同溝の仕様に規定されているので、隣接する地中埋設管2間の限られたスペース内に、案内筒部5A及びシールリング6を配置させる必要があるが、従来のように案内筒部の肉厚を薄くすることなく、シールリング6を設けようとすると、シールリング部の案内筒部外径が大きくなり、隣接する伸縮用スリーブ5におけるシールリング6の配設位置を管軸方向にずらさないと、シールリング6の装着部位において隣接する案内筒部が相互に干渉して、複数の案内筒部を平行配置できない。本発明では、案内筒部5Aの肉厚を薄くしてシールリング6を装着するための環状溝5Cを形成することで、案内筒部5Aの外径を大きくすることなくシールリング6を設けることを可能とし、図例のように案内筒部5Aの管軸方向の同じ位置にシールリング6を配置させて、隣接する伸縮用スリーブ5として、同一形状、同一サイズのものを採用できるように構成している。そして、このように構成することで、部品点数を少なくして伸縮用スリーブ5の製作コストを低減するとともに在庫管理を簡素にし、特殊部1に対して異なる種類の組立ダクトスリーブを間違って取り付けてしまうという不具合を確実に防止できるようにされている。尚、伸縮用スリーブ5に設ける環状溝5C及びシールリング6の個数は、地中埋設管2の外径など使用条件に応じて任意の個数に設定できる。また、符号5Dは、地中埋設管2の特殊部1側への移動を規制する段部である。
【0024】
次に、特殊部1に対する組立ダクトスリーブ3の組付方法について簡単に説明する。
図1に示すように、先ず、貫通孔1Aを予め形成した特殊部1を用い、この特殊部1の貫通孔1Aに必要個数のベルマウス4を挿入して位置決め固定する。次に、ベルマウス4と貫通孔1A間にモルタル7を充填して、ベルマウス4を貫通孔1Aに固定する。次に、特殊部1に固定されたベルマウス4の外嵌筒部4Aに伸縮用スリーブ5を内嵌するとともに、接着剤により固定し、この伸縮用スリーブ5の案内筒部5Aに地中埋設管2を内嵌する。但し、これらベルマウス4、伸縮用スリーブ5、地中埋設管2の接続順序はこれに限定されるものではない。又、ベルマウス4を貫通孔1Aに挿入する前に、モルタル7を貫通孔1A内に充填してもよい。
【0025】
次に、組立ダクトスリーブ3の他の組付方法について説明する。
この組付方法は、特殊部1を製作する際に、前記ベルマウス4を特殊部1に一体的に備えさせるものである。詳述すれば、図5に示すように、4つの外枠8Aと、矩形状の内枠8Bと、底枠8Cとからなる型枠8を設け、この型枠8内にモルタル7を流し込んで特殊部1を製作するのであるが、特殊部1の厚みとベルマウス4の管軸方向の寸法が同一であることから、前記両側に位置する外枠8Aとこれに対向位置する内枠8Bとの間に特定個数のベルマウス4を枠同士の挟持力により、又は接着剤等により固定したのち、図6に示すように型枠8内にモルタル7を流し込んで特殊部1を製作することにより、特殊部1の製作時に複数のベルマウス4を同時に備えさせる。そして、このようにして特殊部1を製作し、この特殊部1のベルマウス4の外嵌筒部4Aに対して、伸縮用スリーブ5を内嵌するとともに、接着剤により固定し、特殊部1に対して組立ダクトスリーブ3を組付けることになる。尚、前記型枠8の具体構成は、図示した構成に限定されるものではない。
【0026】
図5及び図6では、ベルマウス4の管軸方向の寸法が特殊部1の厚みと等しい場合を示したが、図7及び図8では、ベルマウス4の管軸方向の寸法が特殊部1の厚みよりも小さい場合を示している。
図7では、前記内枠8Bの外面の設定箇所に磁石9Aを接着剤等により固定し、この磁石9Aに嵌合するとともに磁力により固定される金属製の位置決め治具9B及びベルマウス4の一端に内嵌固定される弾性体9Cを設けている。前記弾性体9Cは、挿入方向終端部側ほど径が大きくなっており、弾性体9Cをベルマウス4の一端に押し込む押し込み量により弾性体9Cとベルマウス4の連結力が変化するようにしている。
【0027】
従って、ベルマウス4の内部に磁石9Aが位置するように内枠8Bの外面にベルマウス4の一端を接当させた状態にし、この状態においてベルマウス4の他端の開口部から位置決め治具9Bを挿入していき、位置決め治具9Bの凹部9bを磁石9Aに嵌合させるのである。このとき、磁石9Aの磁力により位置決め治具9Bの凹部9bを磁石9Aに容易に嵌合させることができるとともに、嵌合後は磁力により位置決め治具9Bを介してベルマウス4を位置決めすることができる。次に、前記したベルマウス4の他端の開口部から弾性体9Cを押し込むことにより両者を嵌合固定したのち、外枠8Aを弾性体9Cに押し当てることによりベルマウス4を外枠8Aと内枠8Bとの間に弾性体9Cによる復元力で固定することができる。そして、この状態において、前記のようにモルタル7を流し込み、このモルタル7が固化したのち、外枠8A、磁石9Aの付いた内枠8B、弾性体9C、位置決め治具9Bを取り外すことになる。
このように製作された特殊部1を設置したのち、地中埋設管2を特殊部1に接続することになるが、地中埋設管2を接続する数がベルマウス4の個数よりも少なく、未使用のベルマウス4が存在する場合には、前記弾性体9Cをこの未使用のベルマウス4に挿入することにより栓をすれば、砂等の侵入を防止できるとともに、特別な栓部材を不要にすることができる利点がある。
【0028】
図8では、前記弾性体9Cに代えて、ベルマウス4に移動可能に内嵌されるパイプ9Dと、このパイプ9Dをベルマウス4の外方側に移動付勢するためのコイルスプリング9Eとから構成した場合を示している。このようにコイルスプリング9Eを使用するものの場合には、前記ベルマウス4の他端の開口部から弾性体9Cを押し込むものの場合に比べて、ベルマウス4に対するパイプ9Dの挿入深さを容易に変更することができる利点がある。この場合も、特殊部1を製作したのちは、外枠8A、磁石9Aの付いた内枠8B、パイプ9D、コイルスプリング9Eを取り外すことになる。
【0029】
前記実施例では、図1においてベルマウス4の外嵌筒部4Aに伸縮用スリーブ5の内嵌筒部5Bを内嵌させて、両者を結合させる場合について説明したが、図9、図10に示す組立ダクトスリーブ10のように、ベルマウス14に特殊部1の壁面外へ突出する内嵌筒部14Aを形成し、伸縮用スリーブ15の基端部に内嵌筒部14Aに外嵌合する外嵌筒部15Bを形成することも可能である。この組立ダクトスリーブ10においては、ベルマウス14の内嵌筒部14Aが特殊部1の壁面外へ突出するので、特殊部1の保管性や輸送性は多少低下するが、特殊部1の側面部1aが薄肉でも、ベルマウス14と伸縮用スリーブ15との嵌合量を十分に確保できるので、両者の結合強度を十分に確保する上で好ましい。尚、このベルマウス14においては、ベルマウス14の基端側部分をラッパ状に湾曲させて、つまりベルマウス14の基端側部分を大径に構成して、基端側部分の内面に案内面14Dを形成したが、前述した図1、図2に示すベルマウス4の案内面4Dのように、基端側部分を大径に構成することなく、案内面14Dを形成することも可能である。また、外嵌筒部15Bと内嵌筒部14Aとの嵌合関係は内外逆にしてもよい。更に、嵌合以外の固定方法により伸縮用スリーブ15をベルマウス14に固定することも可能である。
【0030】
【発明の効果】
本発明に係る組立ダクトスリーブによれば、伸縮用スリーブの肉厚を薄くしてシールシングを装着するための環状溝を形成するという簡単な構成で、シールリングの装着部分における伸縮用スリーブの外径が大きくなることを防止でき、特殊部に対して組立ダクトスリーブを隣接配置する場合でも、2種類の組立ダクトスリーブを用いる必要がない。つまり特殊部に対して組付ける複数の組立ダクトスリーブとして、同一形状、同一サイズのものを使用できるので、組立ダクトスリーブの製作コストを低減でき、組立ダクトスリーブの在庫管理を簡略にでき、特殊部に対して間違った配列で組立ダクトスリーブを組付けてしまうという組付けミスも確実に防止できる。
【0031】
また、長尺な組立ダクトスリーブをそのまま特殊部に組付けて取り扱う必要がなく、特殊部を現場に施工する直前まで、伸縮用スリーブを取り外した状態、つまりベルマウスだけを特殊部に組付けた状態で取り扱えるので、ベルマウスと他物との接触を極力回避できるとともに、万一他物と接触しても、ベルマウスの基端部に大きな回転モーメントが作用することを防止できる。このため、特殊部に対してベルマウスを組付けるときには、モルタルが固化するまでの間において、他物との接触によるベルマウスの位置ズレを防止できるとともに、小型な固定手段でベルマウスを強固に固定することが可能となる。また、ベルマウスを組付けた特殊部を輸送したり据え付けたりするときに、他物との接触による、ベルマウスの破損や特殊部からの脱落を効果的に防止できるとともに、コンパクトに積み重ねて保管或いは輸送できる。更に、ベルマウスの外径を全長に亙って同径に設定しているので、既設の特殊部における組立ダクトスリーブの配管条数を容易に増やすことが可能となり、地中埋設間の増設に容易に対応できる。更にまた、ベルマウスの外面に、周方向に間隔をあけて複数の突起を設けているので、ベルマウスとそれを固定するためのモルタルとの接触面積を大きく設定して、特殊部の側面部に対するベルマウスの取付強度を向上できる。また、隣接する突起の間隔の設定如何により、複数のベルマウスをコンパクトに保管或いは設置できる。
【0032】
具体的には、請求項2記載のように、ベルマウスを特殊部の壁面外へ突出しないように設けることになるが、この場合には、型枠を用いて特殊部を製作するときに、1工程で特殊部を製作できるとともに、特殊部にベルマウスを同時に施工でき、しかもベルマウスを埋設施工した状態で、特殊部の側壁をそのまま積み重ねて保管或いは輸送できるので、好ましい。
また、請求項3記載のように、ベルマウスに特殊部の壁面外へ突出する突出部を形成することも可能であり、この場合には、突出部が存在する分だけ保管性や輸送性は不利になるが、特殊部の側面部の厚さが薄い場合でも、ベルマウスと伸縮用スリーブとの結合面積を十分に確保できるので、組立ダクトスリーブの強度を高める上で好ましい。
【0033】
請求項4記載のように、伸縮用スリーブの外径寸法をその全長に亙って略同径に設定すると、多数の伸縮用スリーブをコンパクトに束ねて保管或いは輸送できるので好ましい。
請求項5記載のように、ベルマウスの管軸方向の長さを特殊部の厚みよりも小さく設定すると、型枠を用いて特殊部を製作するときに、従来のように特殊部を側面部と中間部とに個別に製作することなく、型枠内にベルマウスを位置決め固定した状態でモルタルを打設し、1工程で所望形状の特殊部を製作できるとともにベルマウスを特殊部に一体的に設けることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の組立ダクトスリーブを用いた特殊部の要部縦断面図
【図2】組立ダクトスリーブの分解斜視図
【図3】ベルマウスの正面図
【図4】多数のベルマウスを上下左右に配置した状態を示す正面図
【図5】ベルマウスを備えた特殊部を製作するための型枠の分解斜視図
【図6】同型枠を用いた特殊部の製作方法の説明図
【図7】特殊部の厚みよりも小さなベルマウスを第1の方法により埋め込んだ状態を示す要部の縦断面図
【図8】特殊部の厚みよりも小さなベルマウスを第2の方法により埋め込んだ状態を示す要部の縦断面図
【図9】他の構成の組立ダクトスリーブを用いた特殊部の要部縦断面図
【図10】他の構成の組立ダクトスリーブの斜視図
【図11】従来のダクトスリーブを用いた特殊部の要部縦断面図
【図12】従来のダクトスリーブの特殊部に対する組付方法の説明図
【図13】従来のダクトスリーブを用いた特殊部の製造方法を説明図
【符号の説明】
1 特殊部 1A 貫通孔
1a 側面部 1b 中間部
2 地中埋設管 3 組立ダクトスリーブ
4 ベルマウス 4A 外嵌筒部
4B 突起 4C 環状突部
4D 案内面 4E 段部
5 伸縮用スリーブ 5A 案内筒部
5B 内嵌筒部 5C 環状溝
5D 段部
6 シールリング 7 モルタル
8 型枠 8A 外枠
8B 内枠 8C 底枠
9A 磁石 9B 位置決め治具
9C 弾性体 9D パイプ
9E コイルスプリング 9b 凹部
10 組立ダクトスリーブ 14 ベルマウス
14A 内嵌筒部 14D 案内面
15 伸縮用スリーブ 15B 外嵌筒部
Claims (5)
- 電線共同溝等においてハンドホールやマンホール等の特殊部に地中埋設管を接続する組立ダクトスリーブであって、
前記特殊部の側面部に貫通状に埋設固定され、外径を特殊部内部側の基端側部分を大径に構成することなく全長にわたって同径に設定しつつ特殊部内部側の基端内面に外広がりの略ラッパ状の案内面を形成し、外面に周方向に間隔をあけて複数の突起を形成したベルマウスと、
前記特殊部の外方側へ延びるようにベルマウスに固定されるとともに、地中埋設管の端部が管軸方向に移動自在に内嵌され、地中埋設管との嵌合部の内面部に、肉厚を薄くしてシールリング装着用の環状溝を形成した伸縮用スリーブと、
を備えた組立ダクトスリーブ。 - 前記ベルマウスを特殊部の壁面外へ突出しないように設けた請求項1記載の組立ダクトスリーブ。
- 前記ベルマウスに特殊部の壁面外へ突出する突出部を形成した請求項1記載の組立ダクトスリーブ。
- 前記伸縮用スリーブの外径寸法をその全長に亙って略同径に設定した請求項1〜3のいずれか1項記載の組立ダクトスリーブ。
- 前記ベルマウスの管軸方向の長さを特殊部の厚みよりも小さく設定した請求項1〜4のいずれか1項記載の組立ダクトスリーブ。
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