JP3585819B2 - プレストレストコンクリート緊張材用硬化性組成物及び緊張材 - Google Patents
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Description
【発明の属する利用分野】
本発明は、プレストレストコンクリート緊張材用硬化性組成物に関し、更に詳しくは、プレストレストコンクリートのポストテンション工法において使用される緊張材の防食・防錆、並びに緊張材とコンクリートとの一体化のために、緊張材表面に塗布される硬化性組成物に関する。また、本発明は、プレストレストコンクリートのポストテンション工法において、シース内へのグラウト材の注入が不要で、緊張後はコンクリートと一体化されるとともに、完全防食されるシース被覆プレストレストコンクリート緊張材に関する。
【0002】
【従来の技術】
プレストレストコンクリートは、引張荷重の作用するところに予め圧縮力を与えるために、ピアノ線などの鋼材を配置し、コンクリートがある強さに達したときに鋼材を緊張する工法であり、ポストテンション方式とプレテンション方式とがある。従来のプレストレストコンクリートのポストテンション工法では、コンクリート打設前にコンクリート内に金属製シースを埋設しておき、このシース中にPC鋼材(PC鋼線、PC鋼撚線、PC鋼棒等)等の緊張材を挿入し、コンクリート硬化後に緊張材を緊張させ、最後に緊張材の防食並びに緊張材とコンクリートの一体化のために、セメントミルクなどのグラウト材をシースと緊張材との間に注入する作業を行っている。しかし、この方法では、セメントミルクなどのグラウト材の注入作業が煩雑でコストアップの要因となり、しかも注入が不完全になり易く、緊張材が発錆することもあるなどの欠点があった。
【0003】
そこで、このような欠点を解決するために、例えば、特公平5−69939号公報には、緊張材を緊張するまでは硬化せず、コンクリートに緊張定着後、常温で硬化するように、所要の硬化時間に応じた混合比率で硬化剤を混合して硬化を開始させた樹脂を表面に塗布したプレストレストコンクリート用緊張材が提案されている。該公報の実施例には、エポキシ樹脂に、硬化促進剤を含んだ第3級アミン硬化剤を添加した硬化性組成物が示されている。特公平8−11791号公報には、主成分となるエポキシ樹脂と、ジシアンジアミドなどの常温で化学的硬化を進める潜在性硬化剤とを含む硬化性組成物をプレストレストコンクリート緊張材用塗布材料とすることが提案されている。
【0004】
これらの硬化性組成物を用いる方法によれば、グラウト作業を行うことなく緊張材の完全防食が可能である。すなわち、この方法では、緊張材を緊張するまでは硬化せず、コンクリートに緊張定着後、常温で硬化するように、硬化剤の種類と量を調整したエポキシ樹脂(硬化性組成物)を塗布し、コンクリート硬化後、エポキシ樹脂が硬化する前に緊張する。このとき、エポキシ樹脂が液状であるため、緊張が可能であり、緊張後には、常温で徐々にエポキシ樹脂が硬化し、最終的に緊張材をコンクリートと一体化するとともに完全に防食する。緊張材にエポキシ樹脂を塗布した後、必要に応じて、樹脂シースにより塗布面を被覆することができる。この場合、エポキシ樹脂が硬化すると、緊張材は、樹脂シースを介して、コンクリートと一体化する。
【0005】
ところが、コンクリート打設後、コンクリートが硬化時に発熱するため、コンクリート構造体の大きさや形状によっては、100℃近くの高温になる場合がある。しかしながら、このような高温で硬化せず、なおかつ常温での硬化性を保持するように、エポキシ樹脂の配合処方を調整することは、極めて困難であった。従来の硬化性組成物は、室温では長期間安定であるが、100℃近くの高温になると、急激に反応が進んでしまう。緊張材に塗布した硬化性組成物がコンクリート硬化時の発熱により早期硬化すると、コンクリート硬化後に緊張材を緊張させることができなくなる。一方、硬化剤や硬化促進剤の添加量を少なくすれば、硬化性組成物の高温での早期硬化を防ぐことができるものの、室温での硬化期間が極端に長くなってしまう。したがって、従来の硬化性組成物を用いるプレストレストコンクリートのポストテンション工法は、適用できる箇所や対象が限定されるという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、シース内へのグラウト材の注入作業を行うことなく完全防食することができ、しかもコンクリート硬化時の発熱で高温になる場合にも使用することができるプレストレストコンクリート緊張材用硬化性組成物を提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、プレストレストコンクリートのポストテンション工法において、グラウト材の注入作業が不要で、緊張後はコンクリートと一体化されるとともに、完全防食されるシース被覆プレストレストコンクリート緊張材を提供することにある。
【0008】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を行った結果、少なくともエポキシ樹脂と湿気硬化型硬化剤と脱水剤とを含み、かつ、90℃での緊張可能時間と常温(25℃)での硬化所要日数が特定の関係を満足する硬化性組成物がプレストレストコンクリート緊張材用に適していることを見いだした。緊張材の表面に該硬化性組成物を塗布して、プレストレストコンクリートのポストテンション工法に使用したところ、コンクリート硬化時の発熱で高温となった場合にも、硬化性組成物が早期硬化しないため、緊張材の緊張作業が可能であり、しかも、その後、常温で硬化反応が進行し、緊張材をコンクリートと直接またはシースを介して一体化させることができる。本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、プレストレストコンクリート緊張材の表面に塗布される硬化性組成物であって、該硬化性組成物が少なくともエポキシ樹脂と湿気硬化型硬化剤と脱水剤とを含み、所望によりアルコール、フェノール類またはこれらの混合物を更に含み、エポキシ樹脂に対する湿気硬化型硬化剤の当量数範囲が配合量P(P=配合する重量部/当量配合重量部)で表わしたとき0.019≦P≦0.31であり、所望によりアルコール、フェノール類またはこれらの混合物を更に含む場合には0.0056≦P≦0.24であり、かつ、該硬化性組成物の90℃での緊張可能時間L並びに常温での硬化所要日数Mが下記式(1)及び(2)
L(時間)≧20 ・・・・・・・・・・・・・・・(1)
M(日) ≦1095 ・・・・・・・・・・・・・(2)
(ただし、Lは、硬化性組成物の粘度が1万psに達する時間)
で表される関係を満足するものであるプレストレストコンクリート緊張材用硬化性組成物が提供される。
【0010】
また、本発明によれば、プレストレストコンクリート用緊張材の表面に、少なくともエポキシ樹脂と湿気硬化型硬化剤と脱水剤とを含み、所望によりアルコール、フェノール類またはこれらの混合物を更に含み、エポキシ樹脂に対する湿気硬化型硬化剤の当量数範囲が配合量P(P=配合する重量部/当量配合重量部)で表わしたとき0.019≦P≦0.31であり、所望によりアルコール、フェノール類またはこれらの混合物を更に含む場合には0.0056≦P≦0.24であり、かつ、90℃での緊張可能時間L並びに常温での硬化所要日数Mが下記式(1)及び(2)
L(時間)≧20 ・・・・・・・・・・・・・・・(1)
M(日) ≦1095 ・・・・・・・・・・・・・(2)
(ただし、Lは、硬化性組成物の粘度が1万psに達する時間)
で表される関係を満足する硬化性組成物が塗布され、そして、その塗布面がシースにより被覆された構造のシース被覆プレストレストコンクリート用緊張材が提供される。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の硬化性組成物の主成分は、エポキシ樹脂である。エポキシ樹脂は、特に限定されず、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ノボラックグリシジルエーテル、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン等が挙げられる。これらの中でも、低コストのビスフェノールAジグリシジルエーテルや、低粘度で緊張が容易となるビスフェノールFジグリシジルエーテルが好適である。
【0012】
本発明で使用される湿気硬化型硬化剤とは、大気中等に存在する水分と反応して、反応生成物として硬化剤を生成し、これによりエポキシ樹脂の硬化反応が開始する機能を持つものである。このような機能を持つものとして、ケチミン化合物があり、本発明に好適に使用できる。ケチミン化合物とは、カルボニル化合物でブロックされた第一級アミノ基を1分子中に少なくとも1個有するアミン化合物である。このカルボニル化合物でブロックされた第一級アミノ基は、例えば、水分の存在によって容易に加水分解して、遊離の第一級アミノ基に変わりうる保護アミノ基であり、典型的には、下記式
【0013】
【化1】
【0014】
(式中、R1 及びR2 は、水素原子またはアルキル基、シクロヘキシル基、アリール基などの1価の炭化水素基を表す。)で示すことができる。
【0015】
上記アミン化合物は、脂肪族系、脂環族系、及び芳香族系のいずれでもよい。該アミン化合物としては、例えば、モノエチルアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、アルコキシプロピルアミン、アリルアミン等の脂肪族ポリアミン類;ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルエーテル等の芳香族ポリアミン類;ジアミノシクロヘキサン等の脂環族ポリアミン類;分子鎖末端に少なくとも1 個の第一級アミノ基を有するポリアミド類;などが挙げられる。
【0016】
上記アミン化合物をケチミン化するカルボニル化合物としては、ケトン類及びアルデヒド類があり、具体的には、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、シクロヘキサノン、アセトフェノン、ベンゾフェノンなどのケトン類;アセトアルデヒド、ベンズアルデヒドなどのアルデヒド類;が挙げられる。
【0017】
上記ケチミン化合物は、アミン化合物とカルボニル化合物との脱水縮合反応により得られる。この反応は、通常のアミンとアルデヒドまたはケトンとの脱水縮合反応と同様の条件で行うことができる。この脱水縮合反応は、例えば、アミン化合物と、その理論反応量以上のケトンまたはアルデヒドとを混合し、反応生成水を除去しながら反応させることにより行われる。
【0018】
本発明の硬化性組成物は、90℃での緊張可能時間L及び常温での硬化所要日数Mが前記式(1)及び(2)を満足するものである。このような特性は、湿気硬化型硬化剤の配合量を調整することにより得ることができるが、潜在性硬化剤または硬化促進剤などを硬化助剤として硬化性組成物中に付加的に含有させることによっても得ることができる。
【0019】
本発明で使用される潜在性硬化剤は、特に限定されないが、例えば、ジシアンジアミド及びその誘導体、アジピン酸ジヒドラジド等のジヒドラジド類、アミンアダクト類、ジアミノマレオニトリル及びその誘導体、硬化剤を被膜で包み込んだマイクロカプセル等が挙げられる。
【0020】
本発明で使用される硬化促進剤は、特に限定されないが、例えば、2, 4, 6−トリス(ジアミノメチル)フェノール(略称「DMP−30」)、ベンジルジメチルアミン(略称「BDMA」)などの第三級アミン化合物、イミダゾール化合物、BF3 錯体などが挙げられる。
【0021】
本発明の硬化性組成物には、上記の他に、必要に応じて、希釈剤、充填剤、増粘剤などを配合することができる。希釈剤は、硬化性組成物の粘度を調整するために配合されるものである。希釈剤の添加により粘度を下げると、緊張を容易に行うことができる。希釈剤としては、例えば、n−ブチルグリシジルエーテル等の反応性希釈剤や、ベンジルアルコール、フタル酸エステルなどが使用できる。充填剤は、低コスト化やチクソトロピック性の調整のために配合されるものであり、炭酸カルシウム、タルク、シリカ等が挙げられる。増粘剤は、硬化性組成物の粘度を増加させるため、あるいはジシアンジアミド等の粉体の沈降や凝集を防止するために配合されるものであり、市販のアエロジルのような微粒子シリカが挙げられる。
【0022】
シースがあっても、コンクリート硬化時の発熱が大きい場合には、未硬化コンクリートに含まれる水分が直接もしくはシースを通して硬化性組成物内に侵入することがある。また、降雨量の多い時期や地域での工事などでは、多量の湿気を吸うことがある。このような場合、侵入した水分によって、硬化反応が速くなってしまい、所望の硬化特性が得られなくなる恐れが生じる。その対策としては、予め脱水剤を配合して、過剰の水分を脱水剤に吸わせることにより、硬化反応が速くなることを防止する方法がある。脱水剤としては、例えば、酸化カルシウム、吸水性ポリマー、モレキュラーシーブ、シランカップリング剤が挙げられる。これらの中でも、コストや吸水性の点で、酸化カルシウムが特に好適である。酸化カルシウムの配合量は、特に限定されないが、エポキシ樹脂100重量部に対して、通常、0.5〜200重量部程度である。酸化カルシウムの配合量が少なすぎると、脱水効果が十分でない場合があり、多すぎると、硬化性組成物の粘度が高くなりすぎて、緊張が困難になる恐れが生じる。
【0023】
さらに、シース形成材料として水分透過性の小さい樹脂を用いることによっても、上記問題を改善することができる。水分透過性の小さい樹脂としては、特に限定されないが、塩化ビニル樹脂、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリアミド樹脂などが挙げられる。
【0024】
乾燥地での使用などで湿気が不足するおそれがある場合には、予め水和物を配合しておき、施工前に80〜150℃に加熱することにより、水和物から水分を放出させて、硬化不足を防止することができる。このような水和物としては、例えば、硫酸アルミニウム水和物、硫酸カルシウム水和物などが挙げられる。
【0025】
湿気硬化型硬化剤として、ケチミン化合物を用いた場合、アルコール、フェノール類、またはこれらの混合物を添加することにより、硬化を速くすることができる。ここで、高温での加速効果に対し、常温での加速効果が大きいため、同一の緊張可能時間となるよう調整した場合、アルコール及び/またはフェノール類を添加した配合では、より硬化所要日数の短いものが得られる。アルコール及び/またはフェノール類は、特に限定されず、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、フェノール、クレゾール、レソルシノール等が挙げられる。これらの中でも、低温で固化せず保管時揮発しにくい点で、ベンジルアルコールが好適に使用できる。アルコール及び/またはフェノール類の配合量は、特に限定されないが、エポキシ樹脂100重量部に対し、通常、0.1〜30重量部程度である。アルコール及び/またはフェノール類の配合量が少なすぎると、硬化特性の改良効果が十分でない場合があり、多すぎると粘度が大きく低下して、PC鋼材等の緊張材に塗布する際にたれてしまう場合がある。
【0026】
特公平8−11791号公報に開示されているジシアンジアミド等の潜在性硬化剤やこれに硬化促進剤を加えたエポキシ樹脂は、室温で長期間安定なため、緊張材を緊張するまで硬化しないよう調整することができるが、100℃近くの高温となると、通常の硬化剤と同様、急激に硬化反応が進んでしまう。潜在性硬化剤や硬化促進剤を減量すれば、高温での反応を遅くすることができるが、そうすると、今度は常温での硬化が極端に遅くなり、コンクリートと一体化するのに長期間かかってしまう。
【0027】
これに対し、本発明の硬化性組成物は、湿気により硬化が開始する湿気硬化型硬化剤を用いることにより、常温で数ヶ月〜3年間で硬化し、なおかつ100℃近い高温でも急激に反応せず、長時間未硬化状態を維持することができる。湿気硬化型硬化剤は、通常、塗料やコーティングに使用されるものである。湿気硬化型硬化剤を含有するエポキシ樹脂を薄く塗布し、大気中に曝すと、常温で数時間から数日で硬化することが知られている。これに対して、本発明者らは、湿気硬化型硬化剤を使用し、かつ、その配合量や脱水剤との組み合わせなどにより硬化特性を調整することによって、特公平8−11791号公報などに開示されている従来の配合系では得られない、本用途に適した優れた硬化特性が得られることを見いだした。この硬化特性は、塗料などに使用される従来のエポキシ/湿気硬化型硬化剤配合とも全く異なるものである。本発明の硬化性組成物は、PC鋼線などの緊張材と樹脂シースとの間という密閉系で使用することが、諸特性を効果的に発揮する上で特に好ましい。
【0028】
エポキシ樹脂の種類やケチミン化合物などの湿気硬化型硬化剤の種類により、硬化反応の化学当量や反応性が異なる。したがって、エポキシ樹脂と湿気硬化型硬化剤の好ましい配合量は、これらの種類によって異なる。しかしながら、エポキシ樹脂と湿気硬化型硬化剤の種類と配合量を調整することにより、下記の特性を得ることが可能であり、それによって、本発明の用途に適した優れた硬化特性を有する硬化性組成物を得ることができる。
【0029】
すなわち、本発明の硬化性組成物は、90℃での緊張可能時間L及び常温での硬化所要日数Mが、下記式(1)及び(2)で表される関係を満足するものである。ただし、Lは、硬化性組成物の粘度が1万psに達するのに要する時間である。
L(時間)≧20 ・・・・・・・・・・・・・・・(1)
M(日) ≦1095 ・・・・・・・・・・・・・(2)
【0030】
硬化性組成物の粘度は、硬化性組成物を緊張材とシースとの間に充填した状態で、温度90℃、相対湿度(RH)60%の環境下に所定時間放置した後、硬化性組成物をシース内から取り出して、25℃で測定した値である。緊張可能時間Lは、前記方法で90℃での粘度の経時変化を測定して、硬化性組成物の粘度が1万ps(ポイズ、25℃での測定値)に達するのに要した時間である。また、上記の硬化所要日数Mは、硬化性組成物を緊張材とシースの間に充填した状態で、所定日数、25℃の室内に放置した後、硬化性組成物の硬度を測定することにより得たものである。硬度は、JIS K−7215に従って測定し、デュロメータD硬さが60以上である場合を硬化と評価した。上記の緊張可能時間及び硬化所要日数の調整は、湿気硬化型硬化剤と潜在性硬化剤及び/または硬化促進剤を併用することにより行うこともできる。
【0031】
緊張可能時間Lは、L≧50であることが好ましく、L≧100であることがより好ましい。硬化所要日数Mは、M≦912であることが好ましく、M≦730であることがより好ましい。緊張可能時間Lが20時間未満では、従来のジシアンジアミド等を用いた配合と同様、高温での硬化反応が速くなり、コンクリート構造体の大きさや形状によっては、コンクリート硬化後、緊張ができなくなる。プレストレストコンクリート緊張材の用途では、施工後、性能が発現するまでにあまりに長期間かかると、現実的に適用が困難であるため、常温で2年以内で硬化することが望ましく、長くとも常温で3年以内で硬化しなければならない。したがって、硬化所要日数Mが1095日を越える硬化性組成物は、本用途に適用するのに不適当である。
【0032】
上記のL値及びM値の調整法を具体的に示すならば、例えば、油化シェルエポキシ(株)社製エポキシ樹脂「エピコート828」と油化シェルエポキシ(株)社製湿気硬化型硬化剤「エピキュアH3」と日本アエロジル社製増粘剤「アエロジルRY200S」を含有する硬化性組成物の場合、L値またはM値と湿気硬化型硬化剤「エピキュアH3」の配合量との関係は、図1及び図2に示すようになる。したがって、L値及びM値を所定の限定された範囲内に調整するには、この配合処方でのエピキュアH3の配合量を、通常1.0〜16.5phr(エポキシ樹脂100重量部に対する重量部)、好ましくは1.25〜11.2phr、より好ましくは1.5〜7.2phrとする。また、図1及び図2の配合にアルコール及び/またはフェノール類を加えた場合には、エピキュアH3の配合量を0.3〜13.0phrとする。
【0033】
上記配合処方での湿気硬化型硬化剤の当量配合部数は、54phrであるから、本発明では、湿気硬化型硬化剤の配合部数を当量配合部数より少ない特定の範囲とすることにより、本発明の用途に適した優れた硬化特性を得ることができることが分かる。上記配合処方以外のエポキシ樹脂と湿気硬化型硬化剤を用いた場合にも、その当量数を上記の配合部数の限定範囲に対応した範囲とすれば、上記と同様の硬化特性を得ることができる。上記の配合部数の限定範囲に対応した当量数範囲は、配合量P(P=配合する重量部/当量配合重量部)を用いて表現すると、0.019≦P≦0.31、好ましくは0.023≦P≦0.21、より好ましくは0.028≦P≦0.13となる。また、アルコール及び/またはフェノール類を加えた場合は、0.0056≦P≦0.24となる。
【0034】
また、上記の緊張可能時間及び硬化所要日数の調整は、湿気硬化型硬化剤と潜在性硬化剤及び/または硬化促進剤とを併用することにより行うこともできる。本発明で使用する潜在性硬化剤の配合量は、1g当量のエポキシ基を含むエポキシ樹脂に対して、通常10g以下、好ましくは6g以下とすると効果的である。潜在性硬化剤の配合量が多すぎると、硬化反応が速すぎて、コンクリート硬化後、緊張材を緊張することができなくなる場合がある。本発明で使用する硬化促進剤の配合量は、1g当量のエポキシ基を含むエポキシ樹脂に対し、通常1g以下、好ましくは0.5g以下とすると効果的である。硬化促進剤の配合量が多すぎると、硬化反応が速すぎて、コンクリート硬化後、緊張材を緊張することができなくなる場合がある。
【0035】
本発明において、緊張材に塗布する硬化性組成物の塗布厚みや形状は、特に限定されないが、膜厚が非常に薄い場合には、例えば、緊張材に硬化性組成物を塗布した後シースを被覆する方式で生産した場合、塗布時に吸収する湿気の、硬化性組成物の単位量当たりの量が大きくなるので、硬化が速くなる場合がある。よって、充填層の平均厚みは、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.3mm以上とすると効果的である。
【0036】
本発明では、緊張材として、PC鋼材(PC鋼線、PC鋼撚線、PC鋼棒等)等を使用することができる。また、本発明では、緊張材を被覆するシースを備えたものが好ましく、具体的には、プレストレストコンクリート用緊張材の表面に硬化性組成物を塗布し、その塗布面をシースにより被覆した構造のシース被覆プレストレストコンクリート用緊張材とすることが好ましい。本発明におけるシースは、例えば、ポリエチレンなどの樹脂、あるいは通常の鋼などの金属で構成すればよい。樹脂でシースを構成する場合には、緊張材に硬化性組成物を塗布した後、その塗布面上に押出成形により樹脂シースを形成させることができる。シースの形状は、特に限定されないが、例えば、パイプ状シース、外側に波形または螺旋状の凹凸が形成されたシースなどを挙げることができる。硬化性組成物による緊張材の塗布面をシースにより被覆して密閉することにより、硬化性組成物の硬化安定性を高めることができる。本発明のシース被覆プレストレストコンクリート用緊張材では、緊張材とシースとの間に硬化性組成物が充填された形態となる。
【0037】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明についてより具体的に説明する。
【0038】
[参考例1]
湿気硬化型硬化剤として油化シェルエポキシ社製ケチミン型硬化剤エピキュアH3を用いた表1の配合で、各成分を攪拌混合して硬化性組成物を得た。得られた硬化性組成物をPC鋼撚線に塗布した後、塗布面上に、三井化学社製高密度ポリエチレン「ハイゼックス」を用いて、押出成形によりポリエチレン製シースを形成した。
【0039】
得られたシース被覆緊張材を、温度90℃、相対湿度60%の環境下に所定時間放置した後、シースを剥いで硬化性組成物をサンプリングし、株式会社レオロジ製粘弾性解析装置MR−300を用いて、25℃での粘度を測定した(パラレルプレートを使用し、ギャップ0.33mm、周波数5Hz、歪み1°の条件で測定)。得られた値から緊張可能時間、すなわち硬化性組成物の粘度が1万ps(25℃での測定値)に達するのに要する時間を調べた。また、実際の使用状態では、シース被覆緊張材が未硬化コンクリート中の水分にさらされることを考慮して、水蒸気下90℃の環境条件下で上記と同様にして緊張可能時間を求め、これを緊張可能時間L’とした。
【0040】
硬化の確認は、常温で所定時間保管したシース被覆緊張材のシースを剥いで、硬化性組成物の硬度を測定することにより行った。硬度は、JIS K−7215に従って測定し、デュロメータD硬さが60以上である場合を硬化とした。その結果、90℃での緊張可能時間が比較的長く、かつ、常温では1年以内で硬化する硬化性組成物及びシース被覆緊張材が得られた。
【0041】
[参考例2]
硬化性組成物の配合を表1に示すものとした以外、参考例1と同じ方法で硬化性組成物及びシース被覆緊張材を作製し評価した。その結果、90℃での緊張可能時間が長く、常温では1年以内で硬化する硬化性組成物及びシース被覆緊張材が得られた。
【0042】
[参考例3]
硬化性組成物の配合を表1に示すものとした以外、参考例1と同じ方法で硬化性組成物及びシース被覆緊張材を作製し評価した。その結果、90℃での緊張可能時間がかなり長く、室温では1年以内で硬化する硬化性組成物及びシース被覆緊張材が得られた。
【0043】
[参考例4]
硬化性組成物の配合を表1に示すものとした以外、参考例1と同じ方法で硬化性組成物及びシース被覆緊張材を作製し評価した。その結果、90℃での緊張可能時間がかなり長く、常温では1年以内で硬化する硬化性組成物及びシース被覆緊張材が得られた。
【0044】
[参考例5]
硬化性組成物の配合を表1に示すものとした以外、参考例1と同じ方法で硬化性組成物及びシース被覆緊張材を作製し評価した。その結果、90℃での緊張可能時間がかなり長く、常温では1年以内で硬化する硬化性組成物及びシース被覆緊張材が得られた。
【0045】
[参考例6]
硬化性組成物の配合を表1に示すものとした以外、参考例1と同じ方法で硬化性組成物及びシース被覆緊張材を作製し評価した。その結果、90℃での緊張可能時間が極めて長く、常温では2年以内で硬化する硬化性組成物及びシース被覆緊張材が得られた。
【0046】
[参考例7]
硬化性組成物の配合を表1に示すものとした以外、参考例1と同じ方法で硬化性組成物及びシース被覆緊張材を作製し評価した。その結果、90℃での緊張可能時間が極めて長く、常温では2年半以内で硬化する硬化性組成物及びシース被覆緊張材が得られた。
【0047】
[参考例8]
硬化性組成物の配合を表1に示すものとした以外、参考例1と同じ方法で硬化性組成物及びシース被覆緊張材を作製し評価した。その結果、90℃での緊張可能時間が極めて長く、常温では3年以内で硬化する硬化性組成物及びシース被覆緊張材が得られた。
【0048】
【表1】
【0049】
(脚注)
*1:油化シェルエポキシ株式会社製、エポキシ樹脂
*2:油化シェルエポキシ株式会社製、ケチミン型の湿気硬化型硬化剤
*3:旭チバ株式会社製、潜在性硬化剤
*4:日本カーバイド工業株式会社製、潜在性硬化剤
*5:油化シェルエポキシ株式会社製、硬化促進剤
*6:日本アエロジル株式会社製、増粘剤
総合判定:◎(特に優れている)、○(優れている)、△(良好)、及び×(不良)の4段階評価である。
【0050】
[参考例9]
硬化性組成物の配合を湿気硬化型硬化剤エピキュアH3と硬化促進剤エピキュア3010を併用した表2に示すものとした以外、参考例1と同じ方法で硬化性組成物及びシース被覆緊張材を作製し評価した。その結果、90℃での緊張可能時間が長く、常温では1年以内で硬化する硬化性組成物及びシース被覆緊張材が得られた。
【0051】
[参考例10]
硬化性組成物の配合を湿気硬化型硬化剤エピキュアH3と潜在性硬化剤HT2844を併用した表2に示すものとした以外、参考例1と同じ方法で硬化性組成物及びシース被覆緊張材を作製し評価した。その結果、90℃での緊張可能時間が比較的長く、常温では1年以内で硬化する硬化性組成物及びシース被覆緊張材が得られた。
【0052】
[参考例11]
硬化性組成物の配合を湿気硬化型硬化剤エピキュアH3と硬化促進剤エピキュア3010を併用した表2に示すものとした以外、参考例1と同じ方法で硬化性組成物及びシース被覆緊張材を作製し評価した。その結果、90℃での緊張可能時間がかなり長く、常温では1年以内で硬化する硬化性組成物及びシース被覆緊張材が得られた。
【0053】
[実施例1]
硬化性組成物の配合を表2に示すものとした以外、参考例1と同じ方法で硬化性組成物及びシース被覆緊張材を作製し評価した。その結果、90℃での緊張可能時間がかなり長く、水蒸気下でも緊張可能時間の低下がなく、常温では1年以内で硬化する硬化性組成物及びシース被覆緊張材が得られた。
【0054】
[実施例2]
硬化性組成物の配合を表2に示すものとした以外、参考例1と同じ方法で硬化性組成物及びシース被覆緊張材を作製し評価した。その結果、90℃での緊張可能時間がかなり長く、水蒸気下でも緊張可能時間の低下がなく、常温では1年以内で硬化する硬化性組成物及びシース被覆緊張材が得られた。
【0055】
[実施例3]
硬化性組成物の配合を表2に示すものとした以外、参考例1と同じ方法で硬化性組成物及びシース被覆緊張材を作製し評価した。その結果、90℃での緊張可能時間がかなり長く、水蒸気下でも緊張可能時間の低下がなく、常温では1年以内で硬化する硬化性組成物及びシース被覆緊張材が得られた。
【0056】
[実施例4]
硬化性組成物の配合を表2に示すものとした以外、参考例1と同じ方法で硬化性組成物及びシース被覆緊張材を作製し評価した。その結果、90℃での緊張可能時間が極めて長く、水蒸気下でも緊張可能時間の低下がなく、常温では2年以内で硬化する硬化性組成物及びシース被覆緊張材が得られた。
【0057】
[実施例5]
硬化性組成物の配合を表2に示すものとした以外、参考例1と同じ方法で硬化性組成物及びシース被覆緊張材を作製し評価した。その結果、90℃での緊張可能時間がかなり長く、常温では1年以内で硬化する硬化性組成物及びシース被覆緊張材が得られた。
【0058】
[実施例6]
硬化性組成物の配合を表2に示すものとした以外、参考例1と同じ方法で硬化性組成物及びシース被覆緊張材を作製し評価した。その結果、90℃での緊張可能時間がかなり長く、水蒸気下でも緊張可能時間の低下がなく、常温では1年以内で硬化する硬化性組成物及びシース被覆緊張材が得られた。
【0059】
[実施例7]
硬化性組成物の配合を表2に示すものとした以外、参考例1と同じ方法で硬化性組成物及びシース被覆緊張材を作製し評価した。その結果、90℃での緊張可能時間がかなり長く、水蒸気下でも緊張可能時間の低下がなく、常温では1年以内で硬化する硬化性組成物及びシース被覆緊張材が得られた。
【0060】
【表2】
【0061】
(脚注)
*1:油化シェルエポキシ株式会社製、エポキシ樹脂
*2:油化シェルエポキシ株式会社製、ケチミン型の湿気硬化型硬化剤
*3:旭チバ株式会社製、潜在性硬化剤
*4:日本カーバイド工業株式会社製、潜在性硬化剤
*5:油化シェルエポキシ株式会社製、硬化促進剤
*6:日本アエロジル株式会社製、増粘剤
*7:1g当量のエポキシ基を含むエピコート828(189g)に対する添加量(g)
総合判定:◎(特に優れている)、○(優れている)、△(良好)、及び×(不良)の4段階評価である。
【0062】
[比較例1]
硬化性組成物の配合を表3に示すものとした以外、参考例1と同じ方法で硬化性組成物及びシース被覆緊張材を作製し評価した。その結果、90℃での緊張可能時間が極めて短く、コンクリート硬化時の発熱が大きい箇所には適用できない硬化性組成物及びシース被覆緊張材が得られた。
【0063】
[比較例2]
硬化性組成物の配合を表3に示すものとした以外、参考例1と同じ方法で硬化性組成物及びシース被覆緊張材を作製し評価した。その結果、90℃での緊張可能時間が短く、コンクリート硬化時の発熱が大きい箇所には適用できない硬化性組成物及びシース被覆緊張材が得られた。
【0064】
[比較例3]
硬化性組成物の配合を表3に示すものとした以外、参考例1と同じ方法で硬化性組成物及びシース被覆緊張材を作製し評価した。その結果、常温での硬化に3年を越える日数を要し、工期等から現実的に適用困難な硬化性組成物及びシース被覆緊張材が得られた。
【0065】
[比較例4]
湿気硬化型硬化剤を使用せず、潜在性硬化剤ジシアンジアミドを用いた表3に示す配合としたこと以外、参考例1と同じ方法で硬化性組成物及びシース被覆緊張材を作製し評価した。その結果、90℃での緊張可能時間が極めて短く、コンクリート硬化時の発熱が大きい箇所には適用できない硬化性組成物及びシース被覆緊張材が得られた。
【0066】
【表3】
【0067】
(脚注)
*1:油化シェルエポキシ株式会社製、エポキシ樹脂
*2:油化シェルエポキシ株式会社製、ケチミン型の湿気硬化型硬化剤
*3:旭チバ株式会社製、潜在性硬化剤
*4:日本カーバイド工業株式会社製、潜在性硬化剤
*5:油化シェルエポキシ株式会社製、硬化促進剤
*6:日本アエロジル株式会社製、増粘剤
総合判定:◎(特に優れている)、○(優れている)、△(良好)、及び×(不良)の4段階評価である。
【0068】
【発明の効果】
本発明によれば、シース内へのグラウト材の注入作業を行うことなく完全防食することができ、なおかつ、コンクリート硬化時の発熱で高温になる場合にも使用することができるプレストレストコンクリート緊張材用硬化性組成物が提供される。また、本発明によれば、プレストレストコンクリートのポストテンション工法において、グラウト材の注入作業が不要であり、緊張後はコンクリートと一体化されるとともに、完全防食されるシース被覆プレストレストコンクリート緊張材が提供される。本発明によれば、従来、不可能であった高温での遅い硬化反応と常温での硬化性を両立させた硬化性組成物が提供され、これにより、グラウト材の注入作業が不要で、完全防食でき、従来適用できなかったコンクリート発熱で高温になる場合にも使用できるプレストレストコンクリート緊張材用硬化性組成物並びにシース被覆緊張材が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】湿気硬化型硬化剤の配合部数xと緊張可能時間Lとの関係を示すグラフである。
【図2】湿気硬化型硬化剤の配合部数xと常温での硬化所要日数Mとの関係を示すグラフである。
Claims (5)
- プレストレストコンクリート緊張材の表面に塗布される硬化性組成物であって、該硬化性組成物が少なくともエポキシ樹脂と湿気硬化型硬化剤と脱水剤とを含み、所望によりアルコール、フェノール類またはこれらの混合物を更に含み、エポキシ樹脂に対する湿気硬化型硬化剤の当量数範囲が配合量P(P=配合する重量部/当量配合重量部)で表わしたとき0.019≦P≦0.31であり、所望によりアルコール、フェノール類またはこれらの混合物を更に含む場合には0.0056≦P≦0.24であり、かつ、該硬化性組成物の90℃での緊張可能時間L並びに常温での硬化所要日数Mが下記式(1)及び(2)
L(時間)≧20 ・・・・・・・・・・・・・・・(1)
M(日) ≦1095 ・・・・・・・・・・・・・(2)
(ただし、Lは、硬化性組成物の粘度が1万psに達する時間)
で表される関係を満足するものであるプレストレストコンクリート緊張材用硬化性組成物。 - 湿気硬化型硬化剤がケチミン化合物である請求項1記載のプレストレストコンクリート緊張材用硬化性組成物。
- 硬化促進剤及び潜在性硬化剤からなる群より選ばれる少なくとも一種の硬化助剤を更に含有する請求項1または2記載のプレストレストコンクリート緊張材用硬化性組成物。
- シースが被覆されるプレストレストコンクリート緊張材の表面に塗布される硬化性組成物である請求項1乃至3のいずれか1項に記載のプレストレストコンクリート緊張材用硬化性組成物。
- プレストレストコンクリート用緊張材の表面に、少なくともエポキシ樹脂と湿気硬化型硬化剤と脱水剤とを含み、所望によりアルコール、フェノール類またはこれらの混合物を更に含み、エポキシ樹脂に対する湿気硬化型硬化剤の当量数範囲が配合量P(P=配合する重量部/当量配合重量部)で表わしたとき0.019≦P≦0.31であり、所望によりアルコール、フェノール類またはこれらの混合物を更に含む場合には0.0056≦P≦0.24であり、かつ、90℃での緊張可能時間L並びに常温での硬化所要日数Mが下記式(1)及び(2)
L(時間)≧20 ・・・・・・・・・・・・・・・(1)
M(日) ≦1095 ・・・・・・・・・・・・・(2)
(ただし、Lは、硬化性組成物の粘度が1万psに達する時間)
で表される関係を満足する硬化性組成物が塗布され、そして、その塗布面がシースにより被覆された構造のシース被覆プレストレストコンクリート用緊張材。
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