JP3585610B2 - エンジンのシリンダ孔内面のメッキ装置、およびエンジンのシリンダ孔内面のメッキ方法 - Google Patents

エンジンのシリンダ孔内面のメッキ装置、およびエンジンのシリンダ孔内面のメッキ方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、軸方向の一端側が閉じられたシリンダ孔を有する一体成形シリンダを備えたエンジンのシリンダ孔内面のメッキ装置、およびエンジンのシリンダ孔内面のメッキ方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
エンジンには、従来、次のように構成されたものがある。
【0003】
即ち、エンジンのシリンダが、シリンダ孔を有するシリンダ本体と、上記シリンダ孔の一端側を閉じるよう上記シリンダ本体に一体成形されるシリンダヘッドとを備えて、その強度を向上させるようにしてある。上記シリンダ孔の閉じられた上記一端側が上部となるようこのシリンダ孔の軸心を垂直にみたとき、上記シリンダ孔の天井面に上記シリンダの外部側から上記シリンダ孔に向って開口する吸、排気用の弁孔が形成され、これら各弁孔を開閉する弁が設けられている。
【0004】
上記シリンダ孔にピストンがその軸方向に摺動自在に嵌入され、このシリンダ孔内でピストンで閉じられた空間が燃焼室となっている。
【0005】
上記エンジンの駆動時には、開かれた吸気用の弁孔を通し燃焼室に混合気が吸入されて、ここで燃焼させられる一方、上記燃焼により生じた燃焼ガスは、開かれた排気用の弁孔を通してシリンダの外部に排気として排出される。
【0006】
これにより、上記ピストンがシリンダ孔内を繰り返し往復動させられ、これに連動するクランク軸から動力が出力されるようになっている。
【0007】
上記の場合、弁本体が弁孔を閉じるとき、この弁本体が上記弁孔の開口縁に密着状に当接して、この当接部が十分にシールされることが、エンジンの性能を向上させる上で望まれる。そこで、従来、上記弁孔の開口縁は最終的に機械加工により切削され、もって、高精度の寸法が確保されている。
【0008】
また、上記ピストンがシリンダ孔内を往復動するとき、上記ピストンは上記シリンダ孔の内周面を高速で摺動するため、シリンダ孔の内周面は摩耗し易い部分となっている。そこで、この摩耗を防止するため、従来、シリンダ孔の内面に硬度の高いメッキを施したものがある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来の技術によれば、シリンダ孔の内面のうち、弁孔の開口縁は前記したように最終的に機械加工により切削加工されるが、上記シリンダ孔の内面には上記したようにメッキが全体的に施されているため、弁孔の開口縁を切削加工する際には、まず、この開口縁に施されたメッキのメッキ層を切削加工することが要求される。
【0010】
しかし、上記したようにメッキによるメッキ層は硬度が極めて高いものであり、このため、上記メッキ層の切削加工は容易でなく、もって、シリンダの成形が煩雑になっている。
【0011】
一方、シリンダ孔の内周面に施されたメッキによるメッキ層の摩耗の防止をより確実にさせるため、切削加工により、上記内周面に断面積が微小の無数の周溝を形成し(「ホーニング加工」)、これら各周溝内に潤滑油を保持させて、これにより、上記ピストンの摺動による摩耗をより確実に防止させるようにしたものがある。
【0012】
ところで、上記シリンダ孔の内周面の「ホーニング加工」は、通常、次のようになされる。
【0013】
即ち、シリンダをシリンダ孔の軸心回りに回転させ、この状態で、シリンダ孔に切削刃を挿入し、上記シリンダ孔の閉じられた一端側(上端側)とは反対側である他端側(下端側)の開口側から上記切削刃により上記内周面を切削加工し始める。この切削は上記切削刃を上記軸心に平行に直線的に上記シリンダ孔の他端側に向って徐々に移動させることにより続行する。そして、上記切削刃が上記内周面の上端部に達したとき、上記切削刃を上記シリンダ孔の径方向の内方に移動させて、上記内周面から離反させ、これにより、上記「ホーニング加工」を終えることとされる。
【0014】
上記の場合、シリンダ孔の内周面の上端部において、「ホーニング加工」を終えるとき、この「ホーニング加工」の端部が滑らかに仕上がるよう次のような加工がなされている。
【0015】
即ち、上記「ホーニング加工」に先立って、上記内周面の上端部が予め切削加工されて、この上端部に幅寸法の大きい刃逃げ周溝が成形されている。
【0016】
そして、上記「ホーニング加工」の終段において、シリンダ孔の内周面を切削している切削刃の直線的な移動のままで、この切削刃を上記刃逃げ周溝内に逃がし、ここで切削を終了させ、この状態から、切削刃をシリンダ孔の径方向の内方に移動させ、この後、シリンダ孔の他端側の開口部から抜き出すこととされている。
【0017】
しかし、上記のように、「ホーニング加工」に先立って、シリンダ孔の内周面の上端部を予め切削加工する場合、上記シリンダ孔の内面には前記したようにメッキが全体的に施されているため、上記内周面の上端部を切削加工する際には、まず、この上端部に施されたメッキの硬度の高いメッキ層を切削加工することが要求される。よって、この点でも、シリンダの成形が煩雑となっている。
【0018】
本発明は、上記のような事情に注目してなされたもので、シリンダ孔の内面にメッキを施すことにより、シリンダ孔の内面をピストンが摺動する際の摩耗を防止するようにしたシリンダが簡単な構成のメッキ装置で成形されるようにすることを課題とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するための請求項1の本発明のエンジンのシリンダ孔内面のメッキ装置は、軸方向の一端側が閉じられたシリンダ孔7を有するシリンダ6を備え、上記シリンダ孔7の一端側が上部となるようこのシリンダ孔7の軸心9を垂直にみたとき、上記シリンダ孔7の天井面18に上記シリンダ6の外部側から上記シリンダ孔7に向って開口する弁孔24,25を形成したエンジンのシリンダ孔内面のメッキ装置であって、
上記シリンダ孔7に嵌脱自在に嵌入されるメッキ液案内体40を設け、このメッキ液案内体40をほぼ上記軸心9上に位置する円筒体41と、この円筒体41の上端部を閉じてその上面が上記シリンダ孔7の天井面18に当接するカバー体42と、上記円筒体41の上部に形成されてこの円筒体41の内外を連通させる連通孔43とで構成し、上記円筒体41の内、外のいずれか一方から他方に上記連通孔43を通してメッキ液47を流動可能としたものである。
【0020】
また、請求項2の本発明のエンジンのシリンダ孔内面のメッキ方法は、軸方向の一端側が閉じられたシリンダ孔7を有するシリンダ6を備え、上記シリンダ孔7の一端側が上部となるようこのシリンダ孔7の軸心9を垂直にみたとき、上記シリンダ孔7の天井面18に上記シリンダ6の外部側から上記シリンダ孔7に向って開口する弁孔24,25を形成したエンジンのシリンダ孔内面のメッキ方法であって、
円筒体41と、縦向きとしたこの円筒体41の上端部を閉じるカバー体42と、上記円筒体41の上部に形成されてこの円筒体41の内外を連通させる連通孔43とで構成されるメッキ液案内体40を設け、上記円筒体41がほぼ上記軸心9上に位置するよう上記メッキ液案内体40を上記シリンダ孔7に嵌入して、上記カバー体42の上面を上記シリンダ孔7の天井面18に当接させ、上記シリンダ6とメッキ液案内体40に電圧を印加し、上記円筒体41の内、外のいずれか一方から他方に上記連通孔43を通してメッキ液47を流動させて、上記シリンダ孔7の内面16に対しメッキを施すようにしたものである。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面により説明する。
【0022】
図2、3において、符号1はガソリンを燃料とする4サイクルエンジン(内燃機関)であって、このエンジン1は自動二輪車や自動車等の車両に搭載される。
【0023】
上記エンジン1はアルミ合金鋳造製のクランクケース2を有し、このクランクケース2内のクランク室3にクランク軸4が収容されると共に、このクランク軸4はその軸心回りに回転自在となるよう上記クランクケース2に支承されている。
【0024】
上記クランクケース2にはアルミ合金鋳造製のシリンダ6が突設され、このシリンダ6は上記クランクケース2に着脱自在に取り付けられている。このシリンダ6は断面円形のシリンダ孔7を有するシリンダ本体8を備え、図例では、このシリンダ本体8の軸心9はほぼ垂直とされている。また、上記シリンダ6は、上記シリンダ孔7の一端部である上端部を閉じるよう上記シリンダ本体8の上端に一体成形されるシリンダヘッド10と、このシリンダヘッド10の上面を覆うようこのシリンダヘッド10に着脱自在に取り付けられるシリンダヘッドカバー11とを備えている。
【0025】
上記シリンダ孔7の他端部である下端部は上記クランク室3に向って開口する開口部13とされ、上記シリンダ孔7の内部空間は上記開口部13を通して上記クランク室3に連通している。上記シリンダ孔7にその軸方向にピストン14が移動自在に嵌入されている。上記シリンダ孔7の内面16は、上記シリンダ孔7の軸心9回りの内周面17と、上記シリンダ孔7の天井面18とで構成され、上記内周面17はシリンダ本体8に形成され、天井面18はシリンダヘッド10の下面に形成されている。上記ピストン14は上記内周面17に軸方向に摺動自在とされている。上記クランク軸4とピストン14とを連結する連接棒20が設けられ、この連接棒20により上記クランク軸4とピストン14とが互いに連動連結されている。
【0026】
図2で示すように、上記ピストン14が上死点側にあるとき、上記シリンダ孔7内でピストン14で閉じられた空間が燃焼室21とされている。
【0027】
図2、3において、上記シリンダ6の外部を上記燃焼室21に連通させる吸気通路22と排気通路23とが上記シリンダヘッド10に形成されている。これら吸気通路22と排気通路23において、上記燃焼室21に向って開口する弁孔24,25が上記天井面18に形成されている。これら弁孔24,25は、吸気弁27と排気弁28の各弁体29,30によって開閉自在とされている。上記吸気弁27と排気弁28を開閉弁動作させる動弁機構32が設けられている。また、上記燃焼室21に放電部が臨む点火プラグが設けられている。
【0028】
上記天井面18のうち、軸心9回りの外縁部は同上軸心9にほぼ直交するほぼ平坦なスキッシュエリア33とされ、理解を容易にするため、このスキッシュエリア33は図3において梨地模様で示してある。このスキッシュエリア33は平面視で上記各弁孔24,25を囲むように形成され、上記スキッシュエリア33は上記ピストン14が上死点に達したとき、上記ピストン14の上面に近接することとされている。
【0029】
周知のように上記クランク軸4に連動する動弁機構32により吸気弁27と排気弁28が適宜開閉弁動作させられて、混合気が開かれた吸気通路22とその弁孔24を通して燃焼室21に吸入され、ここで燃焼させられる一方、同上動弁機構32により開かれた排気通路23とその弁孔25を通して上記燃焼による燃焼ガスが排気として排出される。
【0030】
これにより、ピストン14がシリンダ孔7内を繰り返し往復動させられ、これに連動するクランク軸4から動力が出力される。
【0031】
図1において、上記シリンダ孔7の内面16のうち、天井面18を除き、上記内周面17にメッキが施され、これによって、上記内周面17の表面にメッキ層35が形成されている。上記メッキ層35のうち、内周面17の上端部36に施されたメッキの上端部メッキ層35aの厚さは、軸心9に沿った方向(軸方向)で上記天井面18に近づくに従って、漸減させられている。これにより、上記上端部メッキ層35aの厚さは、それよりも下側(開口部13側)の一般部メッキ層35bの厚さよりも薄くされ、かつ、軸心9を中心とした上記上端部メッキ層35aの表面の内径寸法は上記軸方向で天井面18に近づくに従い大きくなることとされている。
【0032】
このため、上記天井面18に形成された弁孔24,25の開口縁を機械加工により切削加工する場合、上記天井面18にはメッキが施されていないことから、上記開口縁の切削加工に先立って、まず、硬度の高いメッキ層を切削する、という従来必要とされた加工はしないで済む。
【0033】
また、上記開口縁に加えて、図1中二点鎖線Aで示すように、天井面18も切削加工してもよいが、この場合にも、メッキによるメッキ層を切削しないで済む。
【0034】
上記シリンダ孔7の内周面17に施されたメッキのメッキ層35の表面の摩耗を防止をするため、このメッキ層35の表面は「ホーニング加工」されている。
【0035】
上記シリンダ孔7の内周面17の「ホーニング加工」(図1中二点鎖線B)は、次のようになされている。
【0036】
即ち、シリンダ6をシリンダ孔7の軸心9回りに回転させ、この状態で、シリンダ孔7の開口部13に切削刃44を挿入し、上記シリンダ孔7の開口部13側から上記切削刃44により上記内周面17を切削加工し始める。この切削は上記切削刃44を上記軸心9に平行に直線的に上記シリンダ孔7の他端側に向って徐々に移動させることにより続行する(図1中矢印C)。そして、上記切削刃44が上記内周面17の上端部36に達したとき、上記切削刃44を上記シリンダ孔7の径方向の内方に移動させて(図1中矢印D)、上記内周面17から離反させ、これにより「ホーニング加工」を終える。
【0037】
上記の場合、シリンダ孔7の内周面17の上端部36において、「ホーニング加工」を終えるとき、この「ホーニング加工」の端部が滑らかに仕上がるよう次のような加工がなされている。
【0038】
即ち、上記「ホーニング加工」に先立って、上記内周面17の上端部36が予め切削加工されて、この上端部36に幅寸法の大きい刃逃げ周溝37が成形されている。
【0039】
そして、上記「ホーニング加工」の終段において、シリンダ孔7の内周面17を切削している切削刃44の直線的な移動のままで、この切削刃44を上記刃逃げ周溝37内に逃がし、ここで切削を終了させ、この状態から、前記矢印Dで示したように、切削刃44をシリンダ孔7の径方向の内方に移動させ、この後、シリンダ孔7の開口部13から抜き出す。
【0040】
上記の場合、前記したように、シリンダ孔7の内周面17に施されたメッキのメッキ層35のうち、上記内周面17の上端部36に形成された上端部メッキ層35aの厚さは、天井面18に近づくに従って漸減させられている。
【0041】
このため、シリンダ孔7の内周面17に施されたメッキのメッキ層35の表面を図1中二点鎖線Bで示すように「ホーニング加工」する場合において、この「ホーニング加工」に先立って、シリンダ孔7の内周面17の上端部36を予め切削加工して、この上端部36に刃逃げ周溝37を成形し、この刃逃げ周溝37を「ホーニング加工」の終段における切削刃44の逃げ部とする場合には、上記内周面の上端部36における上端部メッキ層35aの厚さが薄くされている分、上記上端部36の切削加工による刃逃げ周溝37の成形は容易にできる。
【0042】
図1、4において、上記シリンダ孔7の内面16にメッキを施すためのメッキ装置39が設けられている。
【0043】
上記メッキ装置39は、上記シリンダ孔7に嵌脱自在に嵌入される導電性で金属製のメッキ液案内体40を有している。このメッキ液案内体40は、ほぼ軸心9上に位置する円筒体41と、この円筒体41の上端部の開口を閉じてその上面が上記シリンダ孔7の天井面18に当接する円板状のカバー体42と、上記円筒体41の上部に形成されてこの円筒体41の内外を連通させる複数の連通孔43とで構成されている。
【0044】
上記シリンダ孔7の内面16にメッキを施す場合には、まず、上記メッキ液案内体40を上記シリンダ孔7とほぼ同じ軸心9上で上記シリンダ孔7に嵌入して、上記カバー体42の上面を上記シリンダ孔7の内面16の天井面18に面接触状に当接させる。
【0045】
この際、上記カバー体42の上面の外縁部にはOリングであるシール材46が取り付けられており、このシール材46は上記スキッシュエリア33に密着状に当接しており、これにより、上記天井面18は上記カバー体42によりほぼ全体的に密閉状に覆われている。
【0046】
上記シリンダ6とメッキ液案内体40に電圧を印加させることにより、上記シリンダ6を負の電極、メッキ液案内体40を正の電極とし、SiC等硬度の高い金属を含有したメッキ液47を、上記したように連通孔43を通し流動させる。すると、このメッキ液47は、上記メッキ液案内体40の円筒体41の内部48と、上記シリンダ孔7の内周面および上記円筒体41の外周面で挟まれた円環状の空隙49とのいずれか一方から他方に流動し、上記シリンダ孔7の内面16に対しメッキが施される。
【0047】
上記の場合、メッキ液案内体40のカバー体42の上面はシリンダ孔7の天井面18に当接しているため、上記天井面18にはメッキは施されず、シリンダ孔7の内周面17にだけ、メッキが施されることとなる。即ち、上記したようにメッキを施せば、前記したように、シリンダ孔7の天井面18を除き、シリンダ孔7の内周面17にだけメッキが施されることとなる。
【0048】
また、上記したように、連通孔43は円筒体41の上部に形成されているため、上記空隙49のうち、シリンダ孔7の天井面18の外縁部、内周面17の上端部36、およびカバー体42の外周面で囲まれた上部空隙49aは袋小路状となって、メッキ液47の流動が阻害されてよどみ易くなり、よって、上記シリンダ孔7の内周面17の上端部36では、上記天井面18に近づくほど、メッキが施されにくくなっている。即ち、上記のようにメッキを施せば、前記したように、上端部メッキ層35aの厚さは、天井面18に近づくに従って、漸減させられる。
【0049】
なお、以上は図示の例によるが、軸心9は傾斜していてもよい。
【0050】
【発明の効果】
本発明による効果は次の如くである。
【0051】
請求項1の発明によれば、軸方向の一端側が閉じられたシリンダ孔を有するシリンダを備え、上記シリンダ孔の一端側が上部となるようこのシリンダ孔の軸心を垂直にみたとき、上記シリンダ孔の天井面に上記シリンダの外部側から上記シリンダ孔に向って開口する弁孔を形成したエンジンのシリンダ孔内面のメッキ装置であって、
上記シリンダ孔に嵌脱自在に嵌入されるメッキ液案内体を設け、このメッキ液案内体をほぼ上記軸心上に位置する円筒体と、この円筒体の上端部を閉じてその上面が上記シリンダ孔の天井面に当接するカバー体と、上記円筒体の上部に形成されてこの円筒体の内外を連通させる連通孔とで構成し、上記円筒体の内、外のいずれか一方から他方に上記連通孔を通してメッキ液を流動可能としてあり、次の効果が生じる。
【0052】
即ち、上記シリンダ孔の内面にメッキを施す場合には、まず、シリンダを負の電極、メッキ液案内体を正の電極とし、メッキ液を上記連通孔を通し流動させる。すると、このメッキ液は、上記メッキ液案内体の円筒体の内部と、上記シリンダ孔の内周面および上記円筒体の外周面で挟まれた円環状の空隙とのいずれか一方から他方に流動し、上記シリンダ孔の内面に対しメッキが施される。
【0053】
上記の場合、メッキ液案内体のカバー体の上面はシリンダ孔の天井面に当接しているため、上記天井面にはメッキは施されず、シリンダ孔の内周面にだけ、メッキが施されることとなる。
【0054】
よって、上記したようにメッキを施せば、下記するメッキ構造を有するシリンダが得られるのであって、上記メッキは、円筒体とカバー体による単純な形状のメッキ液案内体により施されることから、上記シリンダは簡単な構成のメッキ装置で成形されることとなる。
【0055】
そして、上記メッキ構造を有するシリンダとは、上記シリンダ孔の天井面を除き、同上シリンダ孔の軸心回りの内周面にメッキが施されるというものである。
【0056】
そして、上記シリンダによれば、上記天井面に形成された弁孔の開口縁を機械加工により切削加工する場合、上記天井面にはメッキが施されていないことから、上記開口縁の切削加工に先立って、まず、硬度の高いメッキ層を切削する、という従来必要とされた加工はしないで済む。
【0057】
よって、メッキ層の無用な切削が不要である分、シリンダの成形が容易にできることとなる。
【0058】
また、上記したように、連通孔は円筒体の上部に形成されているため、上記空隙のうち、シリンダ孔の天井面の外縁部、内周面の上端部、およびカバー体の外周面で囲まれた上部空隙は袋小路状となって、メッキ液の流動が阻害されてよどみ易くなり、よって、上記シリンダ孔の内周面の上端部では、上記天井面に近づくほど、メッキが施されにくくなっている。
【0059】
この結果、上記のようにメッキを施せば、下記する、より具体的なメッキ構造を有するシリンダが得られるのであり、上記メッキは上記したように単純な形状のメッキ液案内体により施されることから、この点でも、上記シリンダは簡単な構成のメッキ装置で成形されることとなる。
【0060】
そして、上記した、より具体的なメッキ構造を有するシリンダとは、上記シリンダ孔の内周面に施されたメッキのメッキ層のうち、上記内周面の上端部に形成された上端部メッキ層の厚さが、天井面に近づくに従って漸減させられる、というものである。
【0061】
そして、上記シリンダによれば、シリンダ孔の内周面に施されたメッキのメッキ層を「ホーニング加工」する場合において、この「ホーニング加工」に先立って、シリンダ孔の内周面の上端部を予め切削加工して、この上端部に刃逃げ周溝を成形し、この刃逃げ周溝を「ホーニング加工」の終段における切削刃の逃げ部とする場合には、上記内周面の上端部における上端部メッキ層の厚さが薄くされている分、上記上端部の切削加工による刃逃げ周溝の成形は容易にできることとなる。
【0062】
よって、シリンダ孔の内面に単に全体的にメッキを施した従来に比べて、シリンダの成形が容易となる。
【0063】
請求項2の発明によれば、軸方向の一端側が閉じられたシリンダ孔を有するシリンダを 備え、上記シリンダ孔の一端側が上部となるようこのシリンダ孔の軸心を垂直にみたとき、上記シリンダ孔の天井面に上記シリンダの外部側から上記シリンダ孔に向って開口する弁孔を形成したエンジンのシリンダ孔内面のメッキ方法であって、
円筒体と、縦向きとしたこの円筒体の上端部を閉じるカバー体と、上記円筒体の上部に形成されてこの円筒体の内外を連通させる連通孔とで構成されるメッキ液案内体を設け、上記円筒体がほぼ上記軸心上に位置するよう上記メッキ液案内体を上記シリンダ孔に嵌入して、上記カバー体の上面を上記シリンダ孔の天井面に当接させ、上記シリンダとメッキ液案内体に電圧を印加し、上記円筒体の内、外のいずれか一方から他方に上記連通孔を通してメッキ液を流動させて、上記シリンダ孔の内面に対しメッキを施すようにしてあり、これによれば、上記請求項1の発明と同様の効果が生じる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図4の仮想円で囲んだ部分の拡大図である。
【図2】エンジンの全体側面断面図である。
【図3】図2の3‐3線矢視断面図である。
【図4】シリンダ孔の内面にメッキを施すメッキ装置の側面断面図である。
【符号の説明】
1 エンジン
6 シリンダ
7 シリンダ孔
8 シリンダ本体
9 軸心
10 シリンダヘッド
14 ピストン
16 内面
17 内周面
18 天井面
24,25 弁孔
29,30 弁体
35 メッキ層
35a 上端部メッキ層
35b 一般部メッキ層
36 上端部
37 刃逃げ周溝
39 メッキ装置
40 メッキ液案内体
41 円筒体
42 カバー体
43 連通孔
44 切削刃
47 メッキ液
48 内部
49 空隙
49a 上部空隙

Claims (2)

  1. 軸方向の一端側が閉じられたシリンダ孔を有するシリンダを備え、上記シリンダ孔の一端側が上部となるようこのシリンダ孔の軸心を垂直にみたとき、上記シリンダ孔の天井面に上記シリンダの外部側から上記シリンダ孔に向って開口する弁孔を形成したエンジンのシリンダ孔内面のメッキ装置であっ
    上記シリンダ孔に嵌脱自在に嵌入されるメッキ液案内体を設け、このメッキ液案内体をほぼ上記軸心上に位置する円筒体と、この円筒体の上端部を閉じてその上面が上記シリンダ孔の天井面に当接するカバー体と、上記円筒体の上部に形成されてこの円筒体の内外を連通させる連通孔とで構成し、上記円筒体の内、外のいずれか一方から他方に上記連通孔を通してメッキ液を流動可能としたエンジンのシリンダ孔内面のメッキ装置。
  2. 軸方向の一端側が閉じられたシリンダ孔を有するシリンダを備え、上記シリンダ孔の一端側が上部となるようこのシリンダ孔の軸心を垂直にみたとき、上記シリンダ孔の天井面に上記シリンダの外部側から上記シリンダ孔に向って開口する弁孔を形成したエンジンのシリンダ孔内面のメッキ方法であって、
    円筒体と、縦向きとしたこの円筒体の上端部を閉じるカバー体と、上記円筒体の上部に形成されてこの円筒体の内外を連通させる連通孔とで構成されるメッキ液案内体を設け、上記円筒体がほぼ上記軸心上に位置するよう上記メッキ液案内体を上記シリンダ孔に嵌入して、上記カバー体の上面を上記シリンダ孔の天井面に当接させ、上記シリンダとメッキ液案内体に電圧を印加し、上記円筒体の内、外のいずれか一方から他方に上記連通孔を通してメッキ液を流動させて、上記シリンダ孔の内面に対しメッキを施すようにしたエンジンのシリンダ孔内面のメッキ方法。
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