JP3584283B2 - オリゴチロシンを有するペプチド - Google Patents

オリゴチロシンを有するペプチド Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は医薬品、特定保健用食品、研究用試薬としての利用を目的とした、チロシンからなるペプチド、親水性アミノ酸を含むチロシンからなるペプチド、並びにこれらのペプチドを含むエイズウイルス(ヒト免疫不全ウイルス1型、HIV−1)プロテアーゼ阻害剤またはサイクリックヌクレオチドホスホジエステラーゼ阻害剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
本発明者らはキノコや小麦のフスマから抽出したリグニン様物質、p−クマル酸の重合体からなるリグニン様物質、フェルラ酸の重合体からなるリグニン様物質などがエイズウイルスのHIV−1プロテアーゼの働きを阻害することを報告した(Biosci. Biotech. Biochem., Vol.62, p.575 (1998)、Biosci. Biotech. Biochem., Vol.63, p.2202 (1999))。また、このようなリグニン様物質がサイクリックヌクレオチドホスホジエステラーゼを阻害し、哺乳動物細胞サイクリックAMP濃度を上昇させることも見出した(特願2000−192562、特願2000−192563、特願2000−192564)。しかしながら、リグニンはフェニルプロペノイドを構成単位とし、それが複雑に重縮合した不定形ポリフェノールであることから、物質として単一でなく、医薬品としての用途には、それを単一物質に精製する必要があった。
【0003】
一方、エイズウイルスのHIV−1プロテアーゼはHIV−1の前駆体蛋白質を切断し、ウイルス自体の酵素と構造蛋白質を生成する。この過程はウイルス粒子の形成に必須であり、HIV−1プロテアーゼ阻害剤はエイズの治療に役立つとされている。HIV−1プロテアーゼは99個のアミノ酸からなる蛋白質がホモ2量体を形成し、その活性を発現する。本酵素は活性中心にAsp−Thr−Gly配列を有しているなど、アスパラギン酸プロテアーゼとしての特徴があることから、ペプスタチンやアセチルペプスタチン(Ki=35nM, pH5.0)により阻害される(FEBS Letters, Vol.247, p113, 1989)。また、基質の遷移状態を模倣した構造の阻害剤 Ro31−8959(Saquinavir, IC50 <0.4nM)、KNI−272(Ki=0.0055nM)などが多数合成されている(Science, Vol.248, p358, 1990、医学のあゆみ, Vol.177, p962, 1996、蛋白質核酸酵素, Vol. 43, p725, 1998、蛋白質核酸酵素, Vol. 43, p744, 1998)。また、天然物からもLeu−Leu−Glu−Tyr−Ile、Leu−Leu−Glu−Tyr−Leuなどのペプチドが見出されている(特開2000−119299)。また、前述のようにリグニン様物質などがHIV−1プロテアーゼを阻害することも知られている(Biosci. Biotech. Biochem.,Vol.62, p.575 (1998)、Biosci. Biotech. Biochem., Vol.63, p.2202 (1999))。しかし、本発明のようにオリゴチロシンを有するペプチドは報告されていない。
【0004】
一方、サイクリックAMP(サイクリックアデノシン3’, 5’− 一リン酸、環状AMP、cAMP)は多くのホルモンや神経伝達物質の情報を細胞内の標的分子に伝えるセカンドメッセンジャーであり、細胞膜に存在するアデニル酸シクラーゼによって、ATPから合成される。サイクリックAMPは細菌や動物界に広く存在する。高等動物では、各種のホルモンが受容体・G蛋白質・アデニル酸シクラーゼを活性化し、サイクリックAMPの産生を促進する。動物におけるサイクリックAMPの作用点はサイクリックAMP依存性プロテインキナーゼ(Aキナーゼ)であり、Aキナーゼは細胞内の多くの蛋白質を基質とするため、サイクリックAMPは細胞の多彩な機能を調節する。例えば、Aキナーゼは転写因子CREB(サイクリックAMP応答配列結合蛋白質)をリン酸化し、リン酸化されたCREBがCRE(サイクリックAMP応答配列)に結合し遺伝子の転写活性を制御することが知られている。このような機能を有するサイクリックAMPはサイクリックヌクレオチドホスホジエステラーゼによって5’−AMPに分解される。サイクリックヌクレオチドホスホジエステラーゼはアデニル酸シクラーゼとともに、細胞内のサイクリックAMPの量的水準を調節していると考えられている。サイクリックヌクレオチドホスホジエステラーゼは脳、肺、肝臓、心臓など種々の組織中に存在し、カルモジュリン(活性化因子)に対する結合性、基質に対する親和性などが異なる数種類の酵素が存在する。
【0005】
このように、アデニル酸シクラーゼ、サイクリックヌクレオチドホスホジエステラーゼなどの活性を制御することにより、サイクリックAMPの濃度を調節することで、様々な生体機能を調節することが可能と考えられる。また、サイクリックヌクレオチドホスホジエステラーゼを阻害する物質としてはテオフィリンなどプリンアルカロイド系のものや前述のリグニン様物質などが知られているが(特願2000−192562号、特願2000−192563号、特願2000−192564号)、オリゴチロシンを有するペプチドにそのような活性は報告されていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、チロシンからなるペプチド、親水性アミノ酸を含むチロシンからなるペプチド、並びにこれらのペプチドを含むエイズウイルス(ヒト免疫不全ウイルス1型、HIV−1)プロテアーゼ阻害剤またはサイクリックヌクレオチドホスホジエステラーゼ阻害剤を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、リグニンと同様にHIV−1プロテアーゼ阻害並びにサイクリックヌクレオチドホスホジエステラーゼ阻害活性を保持しているが、不定形でない単一物質の開発を試みた。リグニンはフェニルプロペノイドを構成単位とし、それが複雑に重縮合した不定形ポリフェノールであることから、本発明者らはフェノール性水酸基を有するアミノ酸であるチロシンに着目し、チロシンを重合させることにより、リグニンを模倣したオリゴペプチドを合成した。また、かかる疎水性であるチロシンのみからなる重合体は水に溶けにくいため、鋭意検討の結果、チロシン重合体にわずか数個の親水性のアミノ酸を付加または挿入することにより水溶性が改善されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
「 すなわち本発明は、以下のとおりである。
(1) 12〜60残基のチロシンからなるペプチド。
(2) 12残基のチロシンからなる(1)のペプチド
(3) セリン、トレオニン、システイン、アスパラギン、グルタミン、メチオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン、アルギニンおよびヒスチジンからなる群から選ばれる1つまたは2つの親水性アミノ酸がN 末端に付加された12〜60残基のチロシンからなるペプチド。
(4) 1つまたは2つの親水性アミノ酸がN末端に付加された、(3)のペプチド。
(5) ヒスチジン、アルギニン、アルギニン-アルギニン、グルタミンおよびセリンからなる群から選ばれる親水性アミノ酸が付加された、(3)または(4)のペプチド。
(6) 下記(a)〜(e)のいずれかのアミノ酸配列からなる、(5)のペプチド。
(a) His Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr (配列番号2)
(b) Arg Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr (配列番号3)
(c) Arg Arg Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr (配列番号4)
(d) Gln Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr (配列番号5)
(e) Ser Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr (配列番号6)
(7) 6〜250残基のチロシンからなるペプチドまたは(3)〜(6)のいずれかのペプチドを含むエイズウイルスプロテアーゼ阻害剤。
(8) 6〜250残基のチロシンからなるペプチドまたは(3)〜(6)のいずれかのペプチドを含むサイクリックヌクレオチドホスホジエステラーゼ阻害剤。」
【0009】
(6) 下記(a)〜(e)のいずれかのアミノ酸配列からなる、(5)のペプチド。
(a) His Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr (配列番号2)
(b) Arg Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr (配列番号3)
(c) Arg Arg Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr (配列番号4)
(d) Gln Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr (配列番号5)
(e) Ser Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr (配列番号6)
(7) 6〜250残基のチロシンからなるペプチドまたは(3)〜(6)のいずれかのペプチドを含むエイズウイルスプロテアーゼ阻害剤。
(8) 6〜250残基のチロシンからなるペプチドまたは(3)〜(6)のいずれかのペプチドを含むサイクリックヌクレオチドホスホジエステラーゼ阻害剤。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明のペプチドは、フェノール性水酸基を有するチロシンを重合させることにより不定形ポリフェノールであるリグニンの構造を模倣したペプチドであり、リグニンの有するエイズウイルスプロテアーゼ阻害剤効果およびサイクリックヌクレオチドホスホジエステラーゼ阻害剤効果を有する。
本発明において、アミノ酸とはL−アミノ酸を意味する。
【0011】
重合させるチロシンの数は、リグニンの構造を模倣している限り、特に限定されないが、例えば6〜250残基のチロシンを含むペプチドが挙げられる。チロシンの数が少な過ぎてはリグニンを模倣することができない。また、合成を行う上では、チロシンの数は多過ぎないほうが有利であり、好ましくは7〜60残基のチロシンを含む分子量1万を超えないペプチド、特に好ましくは12残基のチロシンを含むペプチドが挙げられる。
【0012】
本発明のペプチドが含み得る親水性アミノ酸残基は、親水性のアミノ酸である限りにおいて特に限定されないが、セリン、トレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、グルタミン、メチオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン、アルギニンおよびヒスチジンからなる群から選ばれる残基が好ましく、ヒスチジン、アルギニン、グルタミンおよびセリンからなる群から選ばれる残基が特に好ましい。
【0013】
本発明のペプチドが含み得る親水性アミノ酸の数または付加若しくは挿入の位置は、エイズウイルスプロテアーゼ活性またはサイクリックヌクレオチドホスホジエステラーゼ阻害剤活性を有する限りにおいて特に限定されない。1〜数個の親水性アミノ酸がペプチドのN末端若しくはC末端に付加されていてもよく、ペプチドの末端を除く部分(ペプチド内部)に挿入されていてもよく、またN末端、C末端またはペプチド内部の複数の部分に付加および/または挿入されていてもよいが、N末端またはC末端に付加されているのが好ましく、その数は、例えば12残基のチロシンに対して1〜2個の親水性アミノ酸が付加されているのが好ましい。
【0014】
本発明のオリゴチロシンを有するペプチドは通常、有機化学的な合成方法によりアミノ酸を段階的に導入する方法により合成することができる。かかる方法としては固相ペプチド合成又は液相ペプチド合成法が知られており、例えば泉屋信夫著「ペプチド合成の基礎と実験」丸善発行などに詳細に記載されている。また、当該ペプチドを含有する生体成分あるいは蛋白質加水分解物から常法に準じて採取することができ、かかる方法としては、例えば、蛋白質を酵素で加水分解し、得られた液を限外濾過膜、ゲル濾過、イオン交換クロマトグラフィー、逆相カラムによる高速液体クロマトグラフィー(HPLC)などに付して精製することにより得ることができる。本発明のペプチドは他に、遺伝子工学的方法、加水分解酵素の逆反応を利用したペプチド合成法により製造することも可能である。遺伝子工学的方法により得る場合は、該ペプチドをコードする遺伝子を含むDNAを挿入した組み換え体DNAにより、宿主細胞を形質転換または形質導入し、得られた組み換え宿主を用いて生産させるという公知の手法により行うことができる。また、加水分解酵素の逆反応を利用したペプチド合成法により行う場合は、例えば一島英治編「プロテアーゼ」(学会出版センター発行)などに記載されている方法に準じて行えばよい。本合成法では、サーモリシン、カルボキシペプチダーゼY等の酵素を使用し、一般に酵素、原料の保護アミノ酸とも、分解反応における値よりも高濃度を添加し、必要に応じてメタノール、ジメチルホルムアミド等の有機溶媒を添加した状態で反応させてアミノ酸のペプチド結合を順次形成させる。
【0015】
また、本発明のHIV−1プロテアーゼ阻害剤、およびサイクリックヌクレオチドホスホジエステラーゼ阻害剤の塩としては、製薬上許容される酸付加塩及び塩基付加塩が包含される。製薬上許容される酸付加塩として、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸との塩;ギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、トリフルオロ酢酸等の有機酸との塩等が挙げられ、また製薬上許容されうる塩付加塩としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム、エタノールアミン、トリエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等のアミン類との塩等が挙げられる。
【0016】
本発明のHIV−1プロテアーゼ阻害剤、およびサイクリックヌクレオチドホスホジエステラーゼ阻害剤はそのままで、または通常用いられる個体担体、液体担体、乳化分散剤等により錠剤、粉剤、水和剤、乳剤、カプセル剤等の形に製剤化してHIV−1プロテアーゼ阻害剤、およびサイクリックヌクレオチドホスホジエステラーゼ阻害剤として使用することが出来る。上記担体としては、水、ゼラチン、澱粉、ステアリン酸マグネシウム、ラクトース、植物油等が挙げられる。
【0017】
本発明のペプチドはHIV−1プロテアーゼやエイズウイルスの性質を研究する、あるいは細胞の機能を研究する研究用試薬として、あるいは新しい化合物をデザインするリード化合物としての試薬として利用することができる。また、その機能が臨床的に十分に評価されれば、エイズ等の治療に利用できる。あるいはサイクリックAMPをセカンドメッセンジャーとするホルモンの代替をする医薬として利用できる。
【0018】
【実施例】
以下、本発明に係るオリゴチロシンを有するペプチドの実施例を説明する。ただし、本発明は、このような実施例に限定されるものでなく、特許請求の範囲の技術的事項の範囲内でさらにいろいろな実施例があることは言うまでもない。
【0019】
実施例1
(Tyr−Tyr−Tyr−Tyr−Tyr−Tyr−Tyr−Tyr−Tyr−Tyr−Tyr−Tyr(配列番号1)、
His−Tyr−Tyr−Tyr−Tyr−Tyr−Tyr−Tyr−Tyr−Tyr−Tyr−Tyr−Tyr(配列番号2)、
Arg−Tyr−Tyr−Tyr−Tyr−Tyr−Tyr−Tyr−Tyr−Tyr−Tyr−Tyr−Tyr(配列番号3)、
Arg−Arg−Tyr−Tyr−Tyr−Tyr−Tyr−Tyr−Tyr−Tyr−Tyr−Tyr−Tyr−Tyr(配列番号4)、
Gln−Tyr−Tyr−Tyr−Tyr−Tyr−Tyr−Tyr−Tyr−Tyr−Tyr−Tyr−Tyr(配列番号5)、
Ser−Tyr−Tyr−Tyr−Tyr−Tyr−Tyr−Tyr−Tyr−Tyr−Tyr−Tyr−Tyr(配列番号6)で示されるペプチドの化学合成)
【0020】
チロシン12残基のペプチドを合成する場合はアプライド・バイオシステムズ社製ペプチド合成装置(430A 型)に、0.5ミリモルのt−Boc−Tyr(Br−Z)−O−CH2−PAM樹脂及び各2ミリモルのt−Boc−Tyr(Br−Z) カートリッジ11個を装填する。N末端に親水性のアミノ酸を付加する場合には、t−Boc−Tyr(Br−Z) カートリッジ11個に加えてt−Boc−His(Tos) カートリッジ1個、或いはt−Boc−Arg(Tos) カートリッジ1個、或いはt−Boc−Arg(Tos) カートリッジ2個、或いはt−Boc−Glnカートリッジ1個、或いはt−Boc−Ser(Bzl)カートリッジ1個を装填する。そして、DCCによる無水対称法により保護基のついたペプチド−O−CH2−PAMを合成した。なお、t−Bocはt−ブチルオキシカルボニル基、Tosはトシル基、Bzlはベンジル基を示す。また、ここで用いるアミノ酸は全てL体である。次に、ペプチド研究所製フッ化水素装置に上記合成ペプチド樹脂を導入し、アニソール1.5mlを添加後、フッ化水素10mlを導入した。−2℃、1時間の反応後、フッ化水素を減圧下に除去し、ペプチドを無水エーテル、クロロホルムで交互に3回洗浄し、2N酢酸60mlにペプチドを溶解させ、凍結乾燥した。次いで、それぞれのペプチドはHPLCにより精製した。得られた3.5mgないし5.0mg各ペプチドの分子量はPerseptive社MALDI−Tof Massによる質量分析の結果、それぞれ1975、2114.5、2134.0、2290.4、2128.1、2086.2であり理論値と一致した。
【0021】
実施例2(HIV−1プロテアーゼ阻害剤としての有効性の確認)
上記配列番号1〜6のペプチド、ペプチドTyr−Tyr−Tyr−Tyr−Tyr−Tyr(配列番号7)およびPoly−Tyrを試料としてHIV−Iプロテアーゼ阻害剤としての有効性の確認を行った。
【0022】
バケム社より購入したHIV−1プロテアーゼ(遺伝子組み替えにより大腸菌で生産させたもの)を緩衝液(100mM酢酸ナトリウム緩衝液、pH 4.9、200mM 塩化ナトリウム、5mM ジチオスレイトール、10%(V/V) グリセロールを含む)に溶解し0.020mg/mlの酵素溶液とした。また、1mg/mlのHis−Lys−Ala−Arg−Val−Leu−p−nitro−Phe−Glu−Ala−Nle−Ser−NH2(バケム社製)を蒸留水に溶解し基質溶液とした。0.5ml容量のプラスチックチューブに、上記緩衝液100μl、試料溶液10μl、酵素溶液25μlを入れ、37℃で5分間保温した後、基質溶液10μlを加えよく混合して、37℃で20分の反応を行った。その後、10%トリフルオロ酢酸15μlを添加することにより反応を停止させた。反応停止後、酵素反応により遊離してくるp−nitro−Phe−Glu−Ala−Nle−Ser−NH2をHPLCにより定量した。HPLC測定条件は以下の通りである。
【0023】
HPLC測定条件
カラム:μBondasphere 5μC8 300Å(ウォーターズ社3.9 x 150 mm)
溶出液:0.1%トリフルオロ酢酸を含む0〜63%のアセトニトリルの直線濃度勾配(20分)
流速:1ml/min
検出:300nmの吸収
このような実験を複数回行い、阻害率を次の式より算出した。
阻害率= (A − B) / A X 100 (%)
式中、A:阻害剤無添加時のp−nitro−Phe−Glu−Ala−Nle−Ser−NH2のピーク面積、B:阻害剤添加時のp−nitro−Phe−Glu−Ala−Nle−Ser−NH2のピーク面積また、上記阻害率が50%になるペプチド濃度をIC50値で表した。
このようにして得られたIC50値を表1に示す。
【0024】
【表1】
Figure 0003584283
【0025】
実施例3(サイクリックヌクレオチドホスホジエステラーゼ阻害剤としての有効性の確認)
上記配列番号1〜6のペプチドおよびPoly−Tyrを試料としてサイクリックヌクレオチドホスホジエステラーゼ阻害剤としての有効性の確認を行った。
サイクリックヌクレオチドホスホジエステラーゼ阻害作用の測定は下記の方法により行った。
【0026】
シグマ社より購入したウシ心臓由来ホスホジエステラーゼを0.02ユニット/mlの濃度で緩衝液(62.5mMトリス塩酸緩衝液、pH7.5、6.3mM塩化マグネシウム、3.8mM β−メルカプトエタノール、0.038mM塩化カルシウム)に溶解し、酵素溶液とした。また、1mMのサイクリックAMP水溶液を基質溶液とした。
【0027】
0.5ml容量のプラスチックチューブに、緩衝液140μl、酵素溶液20μl、測定試料溶液20μlを入れ、30℃で5分間保温した後、基質溶液20μlを加えよく混合して、30℃で40分間反応を行った。その後、10%トリフルオロ酢酸20μlを添加することにより反応を停止させた。反応停止後、生成したAMPを下記条件下で高速液体HPLCにより定量した。
HPLC測定条件
カラム:μBondasphere 5μC18 300Å(ウォーターズ社3.9 x 150 mm)
溶出液:0.1%トリフルオロ酢酸を含む0〜63%のアセトニトリルの直線濃度勾配(20分)
流速:1ml/min
検出:260nmの紫外部吸収
このような実験を複数回行い、阻害率を次の式より算出した。
【0028】
【式1】
阻害率= (A − B) / A X 100 (%)
式中、A:阻害剤無添加時のAMPのピーク面積、B:阻害剤添加時のAMPのピーク面積
また、上記阻害率が50%になるペプチド濃度をIC50値で表した。
このようにして得られたIC50値を表2に示す。
【0029】
【表2】
Figure 0003584283
【0030】
【発明の効果】
本発明のチロシンからなるペプチド、およびセリン、トレオニン、システイン、アスパラギン、グルタミン、メチオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン、アルギニンおよびヒスチジンからなる群から選ばれる1つまたは2つの親水性アミノ酸が付加若しくは挿入されたチロシンからなるペプチドは、エイズウイルスプロテアーゼ阻害活性、およびサイクリックヌクレオチドホスホジエステラーゼ阻害活性を有する。
【0031】
【配列表】
Figure 0003584283
Figure 0003584283
Figure 0003584283
Figure 0003584283

Claims (8)

  1. 12〜60残基のチロシンからなるペプチド。
  2. 12残基のチロシンからなる請求項1に記載のペプチド
  3. セリン、トレオニン、システイン、アスパラギン、グルタミン、メチオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン、アルギニンおよびヒスチジンからなる群から選ばれる1つまたは2つの親水性アミノ酸がN 末端に付加された12〜60残基のチロシンからなるペプチド。
  4. 1つまたは2つの親水性アミノ酸がN末端に付加された、請求項3に記載のペプチド。
  5. ヒスチジン、アルギニン、アルギニン-アルギニン、グルタミンおよびセリンからなる群から選ばれる親水性アミノ酸が付加された、請求項3または4に記載のペプチド。
  6. 下記(a)〜(e)のいずれかのアミノ酸配列からなる、請求項5に記載のペプチド。
    (a) His Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr (配列番号2)
    (b) Arg Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr (配列番号3)
    (c) Arg Arg Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr (配列番号4)
    (d) Gln Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr (配列番号5)
    (e) Ser Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr (配列番号6)
  7. 6〜250残基のチロシンからなるペプチドまたは請求項3〜6のいずれか1項に記載のペプチドを含むエイズウイルスプロテアーゼ阻害剤。
  8. 6〜250残基のチロシンからなるペプチドまたは請求項3〜6のいずれか1項に記載のペプチドを含むサイクリックヌクレオチドホスホジエステラーゼ阻害剤。」
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