JP3583317B2 - ネットワーク分散デバイス管理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明はフィールド計装機器などの多種多様なフィールドデバイスを多種多様なネットワークで接続したフィールド分散制御システムにおいて、システム設計(計測制御プログラムの作成)からフィールド構築設定並びに保守・運用までを効率的に行うことを可能ならしめるために上記ネットワークに接続されるネットワーク分散デバイス管理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図17は特開平10−177401号公報に開示された従来のフィールド分散制御システムの構成を示すブロック図である。図において、37,38はそれぞれ計測センサ、39,40はそれぞれ計測センサ37,38毎に設けられたフィールドデバイス、41はこれら複数のフィールドデバイス39,40同士を接続するネットワーク、42はこのネットワーク41に接続されたインタフェース機器、43はこのインタフェース機器42を介してネットワーク41に接続された分散型制御システムである。また、44はフィールドデバイス39にて実現可能なアナログ入力機能ブロック、45はフィールドデバイス40にて実現可能なアナログ出力機能ブロック、46はフィールドデバイス40にて実現可能なPID演算処理を行うPID機能ブロックである。
【0003】
次に動作について説明する。
このような従来のフィールド分散制御システムでは、各計測センサ37,38はそれぞれの計測対象物の計測を行う一方で、各フィールドデバイス39,40はそれぞれの計測センサ37,38の計測値を保持出力するとともに制御プログラムを構成する機能ブロックとして動作し、これにより制御プログラムに従った分散制御を実現する。
【0004】
また、分散型制御システム43は各フィールドデバイス39,40に対して制御プログラムに基づく設定を行うためなどに用いられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来のフィールド分散制御システムは以上のように構成されているので、システム設計(計測制御プログラムの作成)を行う場合でも、実際にフィールドの構築設定を行う場合でも、保守・運用を行う場合でも、それを効率的に行うことができないなどの課題があった。
【0006】
具体的に説明すると、システム設計(計測制御プログラムの作成)を行う場合、プログラム作成者は、機能ブロックを組み合わせてプログラミングを行うことになる。図18は従来のフィールド分散制御システムにおける制御プログラムの一例を示す説明図である。同図において、47は分散型制御システムにて実現可能な第二PID機能ブロック、48,49はそれぞれ分散型制御システム43とフィールドデバイス39,40とのインタフェースを定義する結合子である。
【0007】
そして、同図に示すように、設計(プログラミング)の段階においても専用の結合子48,49を用いて、分散制御システム43内の機能に対応する機能ブロック47と、フィールドデバイス39,40の機能に対応する機能ブロック44,・・・,46とをどこで結合するのか、そのポイントを明示する必要がある。従って、プログラム作成者はこのような設計段階においても、記述しようとしている機能ブロックが分散制御システム43内の機能に対応するものであるのか、あるいは、フィールドデバイス39,40の機能に対応するものであるのかを常に意識してプログラミングを行わなければならない。その結果、同図に示すようにそれが機能ブロックレベルのプログラミングであったとしても制御系の設計(プログラミング)の段階においては必ず、各機能ブロック44,・・・,46に対応する実際のフィールドデバイス39,40の仕様(機能、構成、動作、種類等)を意識しつつ記述しなければならず、一度に多くの仕様レベルについて考慮しなければならず、プログラミングの効率をあげることができない。
【0008】
また、実際にフィールドの構築設定を行う際に、および、保守・運用を行う際に、各フィールドデバイス39,40が所定の位置に正しく配設されているか否かを確認するためには、その1つ1つのフィールドデバイス39,40について人手により確認作業を行わなければならず、この作業を効率的に実施しようとしても莫大な時間がかかってしまう。
【0009】
そして、このようなフィールド分散制御システムでは数千から数万のフィールドデバイスを使用するような場合もあり、特にこのような大規模なフィールド分散制御システムではこれらの作業効率の低さを解消することが強く望まれることになる。
【0010】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、多種多様なフィールドデバイスがネットワークで接続されたフィールド分散制御システムにおいて、システム設計(計測制御プログラムの作成)からフィールド構築設定並びに保守・運用までを効率的に行うことを可能ならしめるためのネットワーク分散デバイス管理装置を得ることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この発明に係るネットワーク分散デバイス管理装置は、ネットワークを介して接続される複数のフィールドデバイスに関して、各フィールドデバイスを他のフィールドデバイスから識別するためのデバイス識別情報を保持するデバイス情報管理部と、上記デバイス識別情報に基づいて制御プログラムを構成する各抽象化シンボルに1乃至複数のフィールドデバイスを対応づけ、その対応づけを示す対応関係情報を出力するリンク設定部と、このリンク設定部の出力に基づいて上記制御プログラムにおける抽象化シンボルとフィールドデバイスとの上記対応関係情報を保持するリンク情報管理部と、上記対応関係情報および各抽象化シンボルの上記制御プログラム上での規定に基づいて各フィールドデバイスとその機能の接続関係の設定を行うデバイス設定部とを備えるものである。
【0012】
この発明に係るネットワーク分散デバイス管理装置は、各フィールドデバイスが予めそれぞれに固有のデバイス識別情報を保持し、デバイス情報管理部が、各フィールドデバイスのデバイス識別情報をネットワークを介して収集し、これを保持するものである。
【0013】
この発明に係るネットワーク分散デバイス管理装置は、デバイス情報管理部がフィールドデバイスの参入離脱を監視し、その監視結果に基づいて各フィールドデバイスのデバイス識別情報を更新するものである。
【0014】
この発明に係るネットワーク分散デバイス管理装置は、リンク設定部は、デバイス情報管理部におけるデバイス識別情報の更新処理に応じて各抽象化シンボルと各フィールドデバイスとの対応づけを更新し、デバイス設定部は、この更新された対応づけに基づいて関連するフィールドデバイスとその機能の接続関係の新たな設定を行うものである。
【0015】
この発明に係るネットワーク分散デバイス管理装置は、リンク設定部が、各抽象化シンボルを各フィールドデバイスが単体で実現する単機能ブロックとそれに対する入出力ブロックとの結合に分解するとともに、各抽象化シンボルに対してフィールドデバイスを特定するためのデバイス特定情報を対応づけ、このデバイス特定情報と各フィールドデバイスのデバイス識別情報との対応関係に基づいて各抽象化シンボルに対して1乃至複数のフィールドデバイスを対応づけるものである。
【0016】
この発明に係るネットワーク分散デバイス管理装置は、デバイス特定情報およびデバイス識別情報が、制御プログラムが実施されるプラントにおける配設位置を特定するための情報を含むものである。
【0017】
この発明に係るネットワーク分散デバイス管理装置は、リンク情報管理部が、抽象化シンボルとフィールドデバイスとの対応関係情報とともに各フィールドデバイスの機能設定および入出力設定情報を保持するものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の一形態を説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1によるフィールド分散制御システムの構成を示すブロック図である。図において、1はプラント内に配設されたパイプ、2はこのパイプ1内の流量を測定する流量計、3はこのパイプ1内の流量を制御するバルブ、4はこの流量計2に固有のデバイス情報を保持するとともに設定に応じて流量計2を制御する流量計用フィールドデバイス(フィールドデバイス)、5はこのバルブ3に固有のデバイス情報を保持するとともに設定に応じてバルブ3を制御するバルブ用フィールドデバイス(フィールドデバイス)、6は自身に固有のデバイス情報を保持するとともに設定に応じてPID演算処理を行うPID用フィールドデバイス(フィールドデバイス)、7はこれら複数のフィールドデバイス4,5,・・・,6同士を接続するネットワーク、8はこのネットワーク7に接続されたネットワーク分散デバイス管理装置である。
【0019】
ネットワーク分散デバイス管理装置8において、9は管理装置本体、10はネットワーク7に接続され、各フィールドデバイス4,5,・・・,6のデバイス識別情報をネットワーク7を介して収集し、これを保持するデバイス情報管理部、11はこのデバイス識別情報に基づいて制御プログラムを構成する各抽象化シンボルに対して1乃至複数のフィールドデバイスを対応づけ、その対応づけを示すリンク情報(対応関係情報)を出力するデバイスオブジェクト設定部(リンク設定部)、12はリンク設定部の出力に基づいて上記制御プログラムにおける抽象化シンボルとフィールドデバイスとの対応関係情報を保持するデバイスオブジェクト管理部(リンク情報管理部)、13は上記対応関係情報および各抽象化シンボルの上記制御プログラム上での規定に基づいて各フィールドデバイス4,5,・・・,6に対して設定を行うデバイス設定部、14は管理装置本体9に対して各種の設定情報などを入力するための入力部である。
【0020】
なお、上記制御プログラムは、ファンクションブロックダイアグラム等の抽象化シンボルで制御ループを構成するものである。
【0021】
次に動作について説明する。
まず、デバイス情報管理部10がネットワーク7に対してデバイス識別情報を収集するための信号を出力して、当該ネットワーク7上に接続された各フィールドデバイス4,5,・・・,6の識別名や機能に関するデバイス識別情報を収集する。図2はこの発明の実施の形態1によるフィールド分散制御システムにおいてデバイス情報管理部10がネットワーク7を介して収集して保持するデバイス識別情報テーブルの説明図である。当該テーブルにおいて、第1列は各フィールドデバイス4,5,・・・,6に固有の識別名のリスト、第2列は同行のフィールドデバイス4,5,・・・,6が単独で実現することができる機能のリストであり、各行に各フィールドデバイス4,5,・・・,6のデバイス識別情報が格納される。そして、デバイス情報管理部10は、各フィールドデバイス4,5,・・・,6のデバイス識別情報を上記各行に対応させて順次追加格納する。なお、同テーブルの例では、第一行目に流量計用フィールドデバイス4のデバイス識別情報が、第二行目にバルブ用フィールドデバイス5のデバイス識別情報が格納されており、また、「AI」は流量計2の検出流量が入力される抽象化シンボルにおいてアナログ検出信号が入力される機能として用いることができるアナログ入力機能ブロック、「判定器」はバルブ3を制御するための信号の判定生成処理に用いることができる判定機能ブロック、「AO」はバルブ3を制御するための信号を出力するためのアナログ出力機能ブロックである。
【0022】
なお、各フィールドデバイス4,5,・・・,6から収集される各種のデバイス識別情報は、それぞれのフィールドデバイス4,5,・・・,6の出荷時や現地取り付け時においてインストールされるようにすればよい。また、各機能ブロックはIEC1131−3やIEC61499などで定義された機能ブロックを用いれば汎用的なものとすることができる。
【0023】
また、予め各フィールドデバイス4,5,・・・,6のデバイス情報をこのデバイス情報管理部10に持たせつつこのような情報収集を行い、各フィールドデバイス4,5,・・・,6に関するこれらの情報同士を比較することで、各フィールドデバイス4,5,・・・,6が正しく接続されているか否かを判断することもできる。
【0024】
このようなデバイス情報管理部10のデバイス識別情報の収集が終了すると、デバイスオブジェクト設定部11が当該デバイス識別情報テーブルを取得するとともに入力部14を用いたフィールドデバイス4,5,・・・,6のデバイス識別情報の追加設定を行う。図3はこの発明の実施の形態1によるフィールド分散制御システムにおいてデバイスオブジェクト設定部11において生成される追加後デバイス識別情報テーブルの説明図である。当該テーブルにおいて、第3列は「流量計に接続」、「バルブに接続」といったような各フィールドデバイス4,5,・・・,6の構成情報のリスト、第4列は「パイプの流量を測定」、「パイプの流量を調節」といったような各フィールドデバイス4,5,・・・,6の配設位置や動作内容のリストである。これらの情報により各フィールドデバイス4,5,・・・,6を工場などの設備において一意に特定することが可能となる。
【0025】
なお、このような各フィールドデバイス4,5,・・・,6を特定するために使用される配設位置などの情報は、例えば現地工場の建物A内の配管aの流量制御のために配管aに設置している流量計とバルブとを使用するような場合には、当該現地工場の設備管理台帳や設備配置図、工場図面などを利用して得ることができる。そして、その流量計やバルブのフィールドデバイスがどこに配置されているのかを示す位置情報、つまり「建物A内の配管a」といった位置情報を制御プログラムのそれぞれの抽象化シンボルに対応させて付加すればよい。
【0026】
また、フィールドデバイス4,5,・・・,6のそれぞれを一意に特定するために使用することができるデバイス情報としては他に、例えばアナログ入力、出力の最大値や最小値、フィールドデバイスの製作メーカ名、型名、識別番号、設置日時、設置者、機種名等のデバイスの仕様を定義した機能情報、アナログ入力をディジタル変換して出力する等のフィールドデバイスの動作を定義した動作情報、フィールドデバイスが測定あるいは制御している対象などに関する構成情報などがある。
【0027】
デバイスオブジェクト設定部11はこのような追加後デバイス識別情報テーブルの生成処理が終了すると、今度はこのデバイス識別情報に基づいて制御プログラムを構成する各抽象化シンボルへのフィールドデバイス4,5,・・・,6の対応づけ処理(マッピング)を行い、この対応付けをデバイスオブジェクト管理部12へ出力する。図4はこの発明の実施の形態1によるフィールド分散制御システムにおいてデバイスオブジェクト設定部11の対応づけ処理工程を示す説明図である。図において、15は制御プログラムにおけるパイプ1の流量制御ステップ、16はそのパイプ1の流量検出を行う流量計2を示す流量計抽象化シンボル(抽象化シンボル)、17は流量計抽象化シンボル16からの流量出力に基づいて流量指令を出力する流量自動調節抽象化シンボル(抽象化シンボル)、18はそのパイプ1の流量制御を行うバルブ3を示すバルブ抽象化シンボル(抽象化シンボル)、19はフィールドデバイス4,5,・・・,6が単独で実現することができるレベルの抽象化シンボルであるアナログ入力ブロック(入出力ブロック)、20はフィールドデバイス4,5,・・・,6が単独で実現することができるレベルの抽象化シンボルである判定器ブロック(単機能ブロック)、21はフィールドデバイス4,5,・・・,6が単独で実現することができるレベルの抽象化シンボルであるアナログ出力ブロック(入出力ブロック)、22は流量計抽象化シンボル16に割り付けられ、「パイプ1の流量を測定」といったようにその配設位置や動作内容を特定するためのデバイス特定情報、23はバルブ抽象化シンボル18に割り付けられ、「パイプ1の流量を調節」といったようにその配設位置や動作内容を特定するためのデバイス特定情報、24はデバイスオブジェクト設定部11の出力に応じてデバイスオブジェクト管理部12において保持される、抽象化シンボルとフィールドデバイス4,5,・・・,6との対応関係情報テーブルである。
【0028】
そして、この例のように、パイプ1の流量制御ステップ15が入力されるとデバイスオブジェクト設定部11はまず、流量自動調節抽象化シンボル17などの高次の抽象化シンボルをフィールドデバイス4,5,・・・,6が単独で実現することができるレベルの単機能ブロックとそれに対する入出力ブロックとの結合に分解するとともに(同図(b))、流量計抽象化シンボル16やバルブ抽象化シンボル18などのフィールド機器に対応づけられるフィールド機器抽象化シンボルに対してデバイス特定情報を割り付ける(同図(c))。次に、このデバイス特定情報と上記追加後デバイス識別情報テーブルの第3列や第4列の情報とを検索処理などを用いて比較対比し、一致するものがある場合には更にそれら2つの間における機能ブロックの列(同図(c))と追加後デバイス識別情報テーブルの第2列とを比較し、それぞれの単機能ブロックに対応するものがある場合にはそれらの機能ブロックとフィールドデバイス4,5,・・・,6との対応関係を各抽象化シンボル毎の対応付けとして出力する。なお、このような対応関係は、フィールドデバイス4,5,・・・,6の構成情報や機能情報と、制御プログラムの流量自動調節抽象化シンボル17の各ブロック19,20,21との比較により判定することができる。例えばフィールドデバイス4,5,・・・,6の構成情報および機能情報からバルブ用フィールドデバイス5は判定機能ブロックおよびアナログ出力機能ブロックを備えていることが判るので、これに流量自動調節抽象化シンボル17の判定器ブロック20およびアナログ出力ブロック21をマッピングすればよい。その結果、同図(d)に示すように、デバイスオブジェクト管理部12の対応関係情報テーブルには、抽象化シンボルと1乃至複数のフィールドデバイス4,5,・・・,6の機能との対応関係情報が制御プログラムにおける各抽象化シンボル毎に順次追加保持されることになる。
【0029】
なお、上記流量自動調節抽象化シンボル17などの高次の抽象化シンボルの複数の各ブロック19,20,21の結合への分解は、この高次の抽象化シンボルをフィールドデバイス4,5,・・・,6が単独で実現可能なレベルである単機能ブロックの組み合せとしてその対応関係を予め定義したり、制御プログラムにおいてその前後に接続される抽象化シンボル16,18の入出力特性などに応じて適宜定義すればよい。また、この定義においては、その入力が流量であるとか、その出力がバルブの開閉量であるといった入出力情報も同時に定義することになる。
【0030】
このようなデバイスオブジェクト設定部11の割付処理が終了すると、デバイス設定部13による各フィールドデバイス4,5,・・・,6への設定処理が実施されることになる。具体的には、デバイスオブジェクト管理部12の対応関係情報テーブルおよびデバイス情報管理部10のデバイス識別情報テーブルに関する情報が入力され、これら2つのテーブルに基づいて機能ブロック同士が一致するフィールドデバイス4,5,・・・,6へ対応関係情報テーブルに基づく動作設定および入出力設定を行う。これにより、各フィールドデバイス4,5,・・・,6は上記制御プログラム上での規定に基づいた入力に応じて動作し、制御プログラム上での規定に基づいた出力先へ制御情報を出力する。
【0031】
以上のように、この実施の形態1によれば、ネットワーク7を介して接続される複数のフィールドデバイス4,5,・・・,6に関して、各フィールドデバイス4,5,・・・,6を他のフィールドデバイスから識別するためのデバイス識別情報を保持するデバイス情報管理部10と、上記デバイス識別情報に基づいて制御プログラムを構成する各抽象化シンボル16〜18に1乃至複数のフィールドデバイス4,5,・・・,6を対応づけ、その対応づけを示すリンク情報(対応関係情報)を出力するデバイスオブジェクト設定部11と、このリンク設定部の出力に基づいて上記制御プログラムにおける抽象化シンボル16〜18とフィールドデバイス4,5,・・・,6との対応関係情報を保持するデバイスオブジェクト管理部12と、上記対応関係情報および各抽象化シンボル16,17,18の上記制御プログラム上での規定に基づいて各フィールドデバイス4,5,・・・,6に対して設定を行うデバイス設定部13とを備えるので、抽象化シンボル16,17,18の組み合せとして記述された制御プログラムに基づいて各フィールドデバイス4,5,・・・,6の設定情報を生成し、これを各フィールドデバイス4,5,・・・,6に設定することができる。
【0032】
従って、システム設計(計測制御プログラムの作成)を行う場合、プログラム作成者は、抽象化シンボルを組み合わせてプログラミングを行う際に、記述しようとしている抽象化シンボルがネットワーク分散デバイス管理装置8などにおいて実現される機能に対応するものであるのか、あるいは、フィールドデバイス4,5,・・・,6の機能に対応するものであるのかを意識することなくプログラミングを行うことができ、効率良くプログラミングを行うことができる効果がある。つまり、このプログラミング段階において、どのネットワーク7を使用しているとか、バルブ3はどこのメーカ製であるのかなどを考慮する必要がなくなる効果がある。
【0033】
この実施の形態1によれば、デバイスオブジェクト設定部11が、抽象化シンボル16〜18を各フィールドデバイス4,5,・・・,6が単体で実現する単機能ブロック20とそれに対する入出力ブロック19,21との結合に分解し、各ブロック19,20,21に対してフィールドデバイス4,5,・・・,6を特定するためのデバイス特定情報を対応づけ、このデバイス特定情報と各フィールドデバイス4,5,・・・,6のデバイス識別情報との対応関係に基づいて抽象化シンボル16〜18に対して1乃至複数のフィールドデバイス4,5を対応づけるので、プログラミング作成者は抽象化シンボルとして各ブロック19,20,21を複合化させた抽象化シンボル16〜18を定義して使用することができ、理解しやすい記述にて記述されたプログラミングを行うことができる効果がある。
【0034】
例えば、工場Aの配管aに設置されている流量計とバルブとでその配管aの流量を制御するような場合と、工場Bの配管bに設置されている流量計とバルブとでその配管bの流量を制御するような場合とを想定する。そして、この実施の形態1では「流量計の出力を自動流量調節器に入力し、この自動流量調節器からバルブの開閉量を求める」制御プログラムを作成するので、それらの流量計やバルブの仕様、管理方法が異なる場合であっても、あるいは、異なるネットワークに接続されている場合であっても、それらの違いに左右されること無く2つの場合に共通の同一の制御プログラムを利用することができる(プログラムの再利用)。
【0035】
この実施の形態1によれば、デバイス特定情報およびデバイス識別情報が、制御プログラムが実施されるプラントにおける配設位置を特定するための情報を含むので、これに基づいて各抽象化シンボル16,17,18とフィールドデバイス4,5,・・・,6とを確実に対応づけることができる効果がある。
【0036】
実施の形態2.
図5はこの発明の実施の形態2によるフィールド分散制御システムの構成を示すブロック図である。図において、25は流量計2に固有のデバイス情報として固有の識別名や機能情報とともに構成情報および動作情報をも保持し、設定に応じて流量計2を制御する流量計用フィールドデバイス(フィールドデバイス)、26はバルブ3に固有のデバイス情報として固有の識別名や機能情報とともに構成情報および動作情報をも保持し、設定に応じてバルブ3を制御するバルブ用フィールドデバイス(フィールドデバイス)、27は自身に固有のデバイス情報として固有の識別名や機能情報とともに構成情報および動作情報をも保持し、設定に応じてPID演算処理を行うPID用フィールドデバイス(フィールドデバイス)、28はネットワーク7に接続され、各フィールドデバイス25,26,・・・,27のデバイス識別情報をネットワーク7を介して収集し、これを保持するデバイス情報管理部である。これ以外の構成は実施の形態1と同様であり説明を省略する。
【0037】
次に動作について説明する。
デバイス情報管理部28がネットワーク7に対してデバイス識別情報を収集するための信号を出力して、当該ネットワーク7上に接続された各フィールドデバイス25,26,・・・,27の識別名、機能情報、構成情報および動作情報を収集する。そして、デバイス情報管理部28はこの動作により図3と同様のデバイス識別情報テーブルを保持する。
【0038】
このようなデバイス情報管理部28における収集動作が終了すると、デバイスオブジェクト設定部11はこのデバイス識別情報に基づいて制御プログラムを構成する各抽象化シンボルへのフィールドデバイス25,26,・・・,27の対応づけ処理を行い、この対応付けをデバイスオブジェクト管理部12へ出力する。これ以降の動作は実施の形態1と同様であり説明を省略する。
【0039】
以上のように、この実施の形態2によれば、各フィールドデバイス25,26,・・・,27が予めそれぞれに固有のデバイス識別情報を保持し、デバイス情報管理部28が、各フィールドデバイス25,26,・・・,27のデバイス識別情報をネットワーク7を介して収集し、これを保持するので、実際のネットワーク7上の複数のフィールドデバイス25,26,・・・,27の存在を確認し、正しく複数のフィールドデバイス25,26,・・・,27が揃っていることを確認しつつ各フィールドデバイス25,26,・・・,27に対する設定を行うことができる。
【0040】
従って、従来のように1つ1つのフィールドデバイス25,26,・・・,27の接続を人手により確認することなく、各フィールドデバイス25,26,・・・,27が所定の位置に正しく配設されているか否かを確認することができ、フィールドの構築設定を格段に効率よく実施することができる効果がある。そして、フィールドデバイス単位の管理も容易に実施することができる。
【0041】
実施の形態3.
図6はこの発明の実施の形態3によるフィールド分散制御システムの構成を示すブロック図である。図において、25’は内部に有するグローバルポジショニングシステム(以下、GPSと記載する)を使用して自身の緯度、経度、高さなどの三次元的位置情報(GPS情報)を求め、流量計2に固有のデバイス情報として固有の識別名や機能情報、構成情報、動作情報とともにGPS情報を保持し、設定に応じて流量計2を制御する流量計用フィールドデバイス(フィールドデバイス)、26’は内部に有するGPSを使用して自身の緯度、経度、高さなどの三次元的位置情報(GPS情報)を求め、バルブ3に固有のデバイス情報として固有の識別名や機能情報、構成情報、動作情報とともにGPS情報を保持し、設定に応じてバルブ3を制御するバルブ用フィールドデバイス(フィールドデバイス)、27’は内部に有するGPSを使用して自身の緯度、経度、高さなどの三次元的位置情報(GPS情報)を求め、自身に固有のデバイス情報として固有の識別名や機能情報、構成情報、動作情報とともにGPS情報を保持し、設定に応じてPID演算処理を行うPID用フィールドデバイス(フィールドデバイス)、28’はネットワーク7に接続され、各フィールドデバイス25’,26’,・・・,27’のデバイス識別情報をネットワーク7を介して収集し、これを保持するデバイス情報管理部、11’はこのデバイス識別情報に基づいて制御プログラムを構成する各抽象化シンボルに対して1乃至複数のフィールドデバイスを対応づけ、その対応づけを示すリンク情報(対応関係情報)を出力するデバイスオブジェクト設定部(リンク設定部)である。これ以外の構成は実施の形態2と同様であり説明を省略する。
【0042】
次に動作について説明する。
ネットワーク7に接続された各フィールドデバイス25’,26’,・・・,27’はそれぞれのGPSを使用して自身の緯度、経度、高さなどの三次元的位置情報(GPS情報)を求め、これを自身に固有のデバイス情報として識別名や機能情報、構成情報、動作情報とともに保持する。
デバイス情報管理部28’がネットワーク7に対してデバイス識別情報を収集するための信号を出力して当該ネットワーク7上に接続された各フィールドデバイス25’,26’,・・・,27’の識別名、機能情報、構成情報、動作情報およびGPS情報を収集して保持する。
【0043】
図7はこの発明の実施の形態3によるフィールド分散制御システムにおいてGPS情報を含むデバイス識別情報テーブルの説明図である。当該テーブルにおいて、第5列はフィールドデバイス25’,26’,・・・,27’が設置されている場所を特定する緯度、経度、高さなどの三次元的位置情報(GPS情報)である。このGPS情報と当該現地工場の設備管理台帳や設備配置図、工場図面などとを照合することにより、各フィールドデバイス25’,26’,・・・,27’が当該工場内の設備において正しい位置にあることを認識することができ、各フィールドデバイス25’,26’,・・・,27’を工場内の設備においてより精度良く一意に特定することができる。
【0044】
このようなデバイス情報管理部28’における収集動作が終了すると、デバイスオブジェクト設定部11’はこのGPS情報を含むデバイス識別情報に基づいて制御プログラムを構成する各抽象化シンボルへのフィールドデバイス25’,26’,・・・,27’の対応づけを行い、この対応づけをデバイスオブジェクト管理部12へ出力する。これ以降の動作は実施の形態2と同様であり説明を省略する。
【0045】
以上のように、この実施の形態3によれば、各フィールドデバイス25’,26’,・・・,27’が内部に有するGPSにより自身の緯度、経度、高さなどの三次元的位置情報(GPS情報)を求め、それぞれに固有のデバイス識別譲歩の一部として保持し、デバイス情報管理部28’が各フィールドデバイス25’,26’,・・・,27’のGPS情報を含むデバイス識別情報をネットワーク7を介して収集し、これを保持するので、実際のネットワーク7上の複数のフィールドデバイス25’,26’,・・・,27’の存在を認識し、正しく複数のフィールドデバイス25’,26’,・・・,27’が揃っていることを確認し、更に複数のフィールドデバイス25’,26’,・・・,27’が当該現地工場内の設備において正しい位置にあることを確認しつつ各フィールドデバイス25’,26’,・・・,27’に対する設定を行うことができる効果がある。
【0046】
実施の形態4.
図8はこの発明の実施の形態4によるフィールド分散制御システムの構成を示すブロック図である。図において、29はネットワーク7に接続され、所定のスケジュールに従って各フィールドデバイス25,26,・・・,27のデバイス識別情報をネットワーク7を介して収集し、これをデバイス識別情報テーブルとして保持するデバイス情報管理部、30はこのデバイス識別情報テーブルが更新される度にデバイス識別情報に基づいて制御プログラムを構成する各抽象化シンボルに1乃至複数のフィールドデバイス25,26,・・・,27を対応づけ、その対応づけを示すリンク情報(対応関係情報)を出力するデバイスオブジェクト設定部(リンク設定部)、31はデバイス識別情報テーブルが更新される度に対応関係情報および各抽象化シンボルの上記制御プログラム上での規定に基づいて各フィールドデバイス25,26,・・・,27に対して設定を行うデバイス設定部である。
【0047】
図9から図11はそれぞれこの発明の実施の形態4によるフィールド分散制御システムにおいてデバイス情報管理部29がネットワーク7を介して収集し、保持するデバイス識別情報テーブルの説明図である。詳しくは、図9はネットワーク7にフィールドデバイスが参入してきた場合、図10はネットワーク7からフィールドデバイスが離脱した場合、図11は入力部14にてフィールドデバイスのデバイス情報の一部を変更した場合の説明図である。これらのテーブルにおいて、第5列は一旦検出がなされて登録保持されているフィールドデバイスの最終デバイス情報収集時における状態のリストである。また、「参入」は同行に示されるフィールドデバイスが可動可能状態にあることを意味し、「離脱」は同行に示されるフィールドデバイスが可動不可能状態にあることを意味する。なお、第1列から第4列までは図3の追加後デバイス識別情報テーブルの第1列から第4列までと同様のリストであり説明を省略する。また、これ以外の各部の構成は実施の形態2や実施の形態1と同様であり説明を省略する。
【0048】
次に動作について説明する。
デバイス情報管理部29は、所定のスケジュールに従って収集時刻がくると、各フィールドデバイス25,26,・・・,27のデバイス識別情報をネットワーク7を介して収集し、これをデバイス識別情報テーブルとして保持する。
【0049】
図12から図13はこの発明の実施の形態4において、デバイス情報収集に基づいてデバイス識別情報テーブルが変化する場合の例を示す説明図である。これらの図において、32は新たに検出された新規検出フィールドデバイス(フィールドデバイス)、33は今回検出されなかった離脱フィールドデバイス(フィールドデバイス)である。そして、図12に示すように新規検出フィールドデバイス32が新たに検出されると、図9に示すようにデバイス識別情報テーブルの最終行に当該新規検出フィールドデバイス32の識別名、機能情報、構成情報および動作情報が追加されるとともに、その状態情報として「参入」が記載される。また、図13に示すように離脱フィールドデバイス33が検出されると、図10に示すように検出されなかったフィールドデバイス33の状態が「参入」から「離脱」に変更される。更に、図14に示すように入力部14を用いてデバイス識別情報テーブルの一部を更新すると(同図に示すようにバルブ用フィールドデバイス26の機能情報から「AO」の機能を削除すると)、図11に示すように変更されたバルブ用フィールドデバイス26の各種の情報が変化する。なお、機能情報が追加削除されるような場合には構成情報や動作情報の関連部分も同時に修正される。例えば、バルブ用フィールドデバイス26の機能情報から「AO」の機能が削除されるような場合には、その構成情報から「バルブに接続」が、動作情報から「パイプ1の流量調節」がそれぞれ削除される。
【0050】
そして、このようにデバイス識別情報テーブルが更新されと、デバイスオブジェクト設定部30は、更新されたデバイス識別情報に基づいて制御プログラムを構成する各抽象化シンボルに1乃至複数のフィールドデバイス25,26,・・・,27を対応づけ、その対応づけを示すリンク情報(対応関係情報)を出力し、デバイス設定部31は、この対応づけおよび各抽象化シンボルの上記制御プログラム上での規定に基づいて各フィールドデバイス25,26,・・・,27に対して設定を行う。これ以外の動作は実施の形態2や実施の形態1と同様であり説明を省略する。
【0051】
以上のように、この実施の形態4によれば、デバイス情報管理部29がフィールドデバイス25,26,・・・,27の参入離脱を監視し、その監視結果に基づいて各フィールドデバイス25,26,・・・,27のデバイス識別情報を最新のものに更新するので、このデバイス情報管理部29のデバイス識別情報を確認することで、フィールド分散制御システムの各フィールドデバイス25,26,・・・,27が正しく運転しているか否かを容易に確認することができる効果がある。
【0052】
そして更に、デバイスオブジェクト設定部30が、デバイス情報管理部29におけるデバイス識別情報の更新処理に応じて各抽象化シンボルと各フィールドデバイス25,26,・・・,27との対応づけを更新し、デバイス設定部31が、この更新された対応づけに基づいて関連するフィールドデバイス25,26,・・・,27に対して新たな設定を行うので、保守・運用を行う際に、各フィールドデバイス25,26,・・・,27が所定の位置に正しく配設されているか否かを確認することができる上に、システム変更や更新を行う際に効率よく短時間でシステムの組み替えを行うことができる効果がある。
【0053】
実施の形態5.
図15はこの発明の実施の形態5によるフィールド分散制御システムの構成を示すブロック図である。図において、34は抽象化シンボルとフィールドデバイス25,26,・・・,27との対応関係情報とともに各フィールドデバイス25,26,・・・,27の機能設定および入出力設定情報を保持するデバイスオブジェクト管理部(リンク情報管理部)、35はこのデバイスオブジェクト管理部34から出力される各フィールドデバイス25,26,・・・,27の機能設定および入出力設定情報に基づいて設定を行うデバイス設定部である。
【0054】
図16はこの発明の実施の形態5によるフィールド分散制御システムにおいてデバイスオブジェクト設定部30の対応づけ処理工程を示す説明図である。図において、36はデバイスオブジェクト設定部30の出力に応じてデバイスオブジェクト管理部34において保持され、抽象化シンボルとフィールドデバイス25,26,・・・,27との対応関係情報および各フィールドデバイス25,26,・・・,27の機能設定および入出力設定情報を示す総合情報テーブルである。そして、同図ではフィールドデバイス25,26,・・・,27の機能設定および入出力設定情報として、図3と同様の情報を各抽象化シンボルに対応づけて保持する。これ以外の構成は実施の形態4と同様であり説明を省略する。
【0055】
次に動作について説明する。
デバイスオブジェクト設定部30からリンク情報(対応関係情報)が出力されると、デバイスオブジェクト管理部34は抽象化シンボルとフィールドデバイス25,26,・・・,27との対応関係情報ならびに各フィールドデバイス25,26,・・・,27の機能設定および入出力設定情報を総合情報テーブルにて保持する。また、デバイス設定部35は、この総合情報テーブルに保持された各フィールドデバイス25,26,・・・,27の機能設定および入出力設定情報に基づいて各フィールドデバイス25,26,・・・,27に対する設定を行う。これ以外の動作は実施の形態4と同様であり説明を省略する。
【0056】
以上のように、この実施の形態5によれば、デバイスオブジェクト管理部34が、抽象化シンボルとフィールドデバイス25,26,・・・,27との対応関係情報とともに各フィールドデバイス25,26,・・・,27の機能設定および入出力設定情報を保持するので、一旦設定されたこのデバイスオブジェクト管理部34の情報を確認することで、フィールド分散制御システムの各フィールドデバイス25,26,・・・,27が正しく運転しているか否かを容易に確認することができる効果がある。つまり、抽象化シンボル単位にフィールドデバイス25,26,・・・,27を管理することができる。
【0057】
そして、たとえば、このような総合情報テーブル36からフィールドデバイス25,26,・・・,27を現場のどこに設置し(どのネットワーク7のどこに接続し)、且つ何を測定制御するのかに関する情報を生成した後、これを工場出荷前に各フィールドデバイス25,26,・・・,27に予め設定して当該現場に設置し、この設置されたフィールドデバイス25,26,・・・,27の情報を収集することで、実際のネットワーク7の配置と設計上のネットワークの配置との相違を容易に照合することができ、複数のフィールドデバイス25,26,・・・,27が制御プログラムが実施できるように正しく接続されているか否かを半自動化して容易且つ短時間に確認することができるようになる。
【0058】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、ネットワークを介して接続される複数のフィールドデバイスに関して、各フィールドデバイスを他のフィールドデバイスから識別するためのデバイス識別情報を保持するデバイス情報管理部と、上記デバイス識別情報に基づいて制御プログラムを構成する各抽象化シンボルに1乃至複数のフィールドデバイスを対応づけ、その対応づけを示す対応関係情報を出力するリンク設定部と、このリンク設定部の出力に基づいて上記制御プログラムにおける抽象化シンボルとフィールドデバイスとの上記対応関係情報を保持するリンク情報管理部と、上記対応関係情報および各抽象化シンボルの上記制御プログラム上での規定に基づいて各フィールドデバイスとその機能の接続関係の設定を行うデバイス設定部とを備えるので、抽象化シンボルの組み合せとして記述された制御プログラムに基づいて各フィールドデバイスの設定情報を生成し、これを各フィールドデバイスに設定することができる。
【0059】
従って、システム設計(計測制御プログラムの作成)を行う場合、プログラム作成者は、抽象化シンボルを組み合わせてプログラミングを行う際に、記述しようとしている抽象化シンボルが分散制御システム内の機能に対応するものであるのか、あるいは、フィールドデバイスの機能に対応するものであるのかを意識することなくプログラミングを行うことができ、効率良くプログラミングを行うことができる効果がある。
【0060】
この発明によれば、各フィールドデバイスが予めそれぞれに固有のデバイス識別情報を保持し、デバイス情報管理部が、各フィールドデバイスのデバイス識別情報をネットワークを介して収集し、これを保持するので、実際のネットワーク上の複数のフィールドデバイスの存在を確認し、正しく複数のフィールドデバイスが揃っていることを確認しつつ各フィールドデバイスに対する設定を行うことができる。従って、従来のように1つ1つのフィールドデバイスの接続を人手により確認することなく、各フィールドデバイスが所定の位置に正しく配設されているか否かを確認することができ、フィールドの構築設定を格段に効率よく実施することができる効果がある。
【0061】
この発明によれば、デバイス情報管理部がフィールドデバイスの参入離脱を監視し、その監視結果に基づいて各フィールドデバイスのデバイス識別情報を更新するので、このデバイス情報管理部のデバイス識別情報を確認することで、フィールド分散制御システムの各フィールドデバイスが正しく運転しているか否かを容易に確認することができる効果がある。そして更に、リンク設定部は、デバイス情報管理部におけるデバイス識別情報の更新処理に応じて各抽象化シンボルと各フィールドデバイスとの対応づけを更新し、デバイス設定部は、この更新された対応づけに基づいて関連するフィールドデバイスとその機能の接続関係の新たな設定を行うようにすれば、保守・運用を行う際に、各フィールドデバイスが所定の位置に正しく配設されているか否かを確認することができる上に、システム変更や更新を行う際に効率よく短時間でシステムの組み替えを行うことができる効果がある。
【0062】
この発明によれば、リンク設定部が、各抽象化シンボルを各フィールドデバイスが単体で実現する単機能ブロックとそれに対する入出力ブロックとの結合に分解し、各単機能ブロックに対してフィールドデバイスを特定するためのデバイス特定情報を対応づけ、このデバイス特定情報と各フィールドデバイスのデバイス識別情報との対応関係に基づいて各抽象化シンボルに対して1乃至複数のフィールドデバイスを対応づけるので、プログラミング作成者は各抽象化シンボルとして単機能ブロックを複合化させた抽象化シンボルを定義して使用することができ、理解しやすい記述にて記述されたプログラミングを行うことができる効果がある。
【0063】
この発明によれば、デバイス特定情報およびデバイス識別情報が、制御プログラムが実施されるプラントにおける配設位置を特定するための情報を含むので、これに基づいて各抽象化シンボルを他の抽象化シンボルから一意に特定し、且つ、各フィールドデバイスを他のフィールドデバイスから一意に特定し、更に、各抽象化シンボルと各フィールドデバイスとを確実に対応づけることができる効果がある。
【0064】
この発明によれば、リンク情報管理部が、抽象化シンボルとフィールドデバイスとの対応関係情報とともに各フィールドデバイスの機能設定および入出力設定情報を保持するので、このリンク情報管理部の情報を確認することで、フィールド分散制御システムの各フィールドデバイスが正しく接続されているか否かを容易に確認することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1によるフィールド分散制御システムの構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1によるフィールド分散制御システムにおいてデバイス情報管理部がネットワークを介して収集して保持するデバイス識別情報テーブルの説明図である。
【図3】この発明の実施の形態1によるフィールド分散制御システムにおいてデバイスオブジェクト設定部において生成される追加後デバイス識別情報テーブルの説明図である。
【図4】この発明の実施の形態1によるフィールド分散制御システムにおいてデバイスオブジェクト設定部の対応づけ処理工程を示す説明図である。
【図5】この発明の実施の形態2によるフィールド分散制御システムの構成を示すブロック図である。
【図6】この発明の実施の形態3によるフィールド分散制御システムの構成を示すブロック図である。
【図7】この発明の実施の形態3によるフィールド分散制御システムにおいてGPS情報を含むデバイス識別情報テーブルの説明図である。
【図8】この発明の実施の形態4によるフィールド分散制御システムの構成を示すブロック図である。
【図9】この発明の実施の形態4によるフィールド分散制御システムにおいてデバイス情報管理部がネットワークを介して収集し、保持するデバイス識別情報テーブルの説明図である(参入の場合)。
【図10】この発明の実施の形態4によるフィールド分散制御システムにおいてデバイス情報管理部がネットワークを介して収集し、保持するデバイス識別情報テーブルの説明図である(離脱の場合)。
【図11】この発明の実施の形態4によるフィールド分散制御システムにおいてデバイス情報管理部がネットワークを介して収集し、保持するデバイス識別情報テーブルの説明図である(変更の場合)。
【図12】この発明の実施の形態4において、デバイス情報収集に基づいてデバイス識別情報テーブルが変化する場合の例を示す説明図である(参入の場合)。
【図13】この発明の実施の形態4において、デバイス情報収集に基づいてデバイス識別情報テーブルが変化する場合の例を示す説明図である(離脱の場合)。
【図14】この発明の実施の形態4において、デバイス情報収集に基づいてデバイス識別情報テーブルが変化する場合の例を示す説明図である(変更の場合)。
【図15】この発明の実施の形態5によるフィールド分散制御システムの構成を示すブロック図である。
【図16】この発明の実施の形態5によるフィールド分散制御システムにおいてデバイスオブジェクト設定部の対応づけ処理工程を示す説明図である。
【図17】従来のフィールド分散制御システムの構成を示すブロック図である。
【図18】従来のフィールド分散制御システムにおける制御プログラムの一例を示す説明図である。
【符号の説明】
4,25 流量計用フィールドデバイス(フィールドデバイス)、5,26 バルブ用フィールドデバイス(フィールドデバイス)、6,27 PID用フィールドデバイス(フィールドデバイス)、7 ネットワーク、10,28,29デバイス情報管理部、11,30 デバイスオブジェクト設定部(リンク設定部)、12,34 デバイスオブジェクト管理部(リンク情報管理部)、13,31,35 デバイス設定部、16 流量計抽象化シンボル(抽象化シンボル)、17 流量自動調節抽象化シンボル(抽象化シンボル)、18 バルブ抽象化シンボル(抽象化シンボル)、19 アナログ入力ブロック(入出力ブロック)、20 判定器ブロック(単機能ブロック)、21 アナログ出力ブロック(入出力ブロック)、32 新規検出フィールドデバイス(フィールドデバイス)、33 離脱フィールドデバイス(フィールドデバイス)。
Claims (7)
- ネットワークを介して接続される複数のフィールドデバイスに関して、各フィールドデバイスを他のフィールドデバイスから識別するためのデバイス識別情報を保持するデバイス情報管理部と、
上記デバイス識別情報に基づいて制御プログラムを構成する各抽象化シンボルに1乃至複数のフィールドデバイスを対応づけ、その対応づけを示す対応関係情報を出力するリンク設定部と、
このリンク設定部の出力に基づいて上記制御プログラムにおける抽象化シンボルとフィールドデバイスとの上記対応関係情報を保持するリンク情報管理部と、
上記対応関係情報および各抽象化シンボルの上記制御プログラム上での規定に基づいて各フィールドデバイスとその機能の接続関係の設定を行うデバイス設定部とを備えることを特徴とするネットワーク分散デバイス管理装置。 - 各フィールドデバイスは予めそれぞれに固有のデバイス識別情報を保持し、デバイス情報管理部は、各フィールドデバイスのデバイス識別情報をネットワークを介して収集し、これを保持することを特徴とする請求項1記載のネットワーク分散デバイス管理装置。
- デバイス情報管理部はフィールドデバイスの参入離脱を監視し、その監視結果に基づいて各フィールドデバイスのデバイス識別情報を更新することを特徴とする請求項2記載のネットワーク分散デバイス管理装置。
- リンク設定部は、デバイス情報管理部におけるデバイス識別情報の更新処理に応じて各抽象化シンボルと各フィールドデバイスとの対応づけを更新し、デバイス設定部は、この更新された対応づけに基づいて関連するフィールドデバイスとその機能の接続関係の新たな設定を行うことを特徴とする請求項3記載のネットワーク分散デバイス管理装置。
- リンク設定部は、各抽象化シンボルを各フィールドデバイスが単体で実現する単機能ブロックとそれに対する入出力ブロックとの結合に分解するとともに、各抽象化シンボルに対してフィールドデバイスを特定するためのデバイス特定情報を対応づけ、このデバイス特定情報と各フィールドデバイスのデバイス識別情報との対応関係に基づいて各抽象化シンボルに対して1乃至複数のフィールドデバイスを対応づけることを特徴とする請求項1記載のネットワーク分散デバイス管理装置。
- デバイス特定情報およびデバイス識別情報は、制御プログラムが実施されるプラントにおける配設位置を特定するための情報を含むものであることを特徴とする請求項5記載のネットワーク分散デバイス管理装置。
- リンク情報管理部は、抽象化シンボルとフィールドデバイスとの対応関係情報とともに各フィールドデバイスの機能設定および入出力設定情報を保持することを特徴とする請求項1記載のネットワーク分散デバイス管理装置。
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