JP3581706B2 - 円盤形偏心ロータと同ロータを備えた扁平コアレス振動モータ - Google Patents
円盤形偏心ロータと同ロータを備えた扁平コアレス振動モータ Download PDFInfo
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、移動体通信機器のサイレントコール手段などに用いられる薄型の偏平コアレス振動モータの改良に係り、円盤形偏心ロータの改良およびそのロータを搭載する厚さが2ミリ程度の薄型の偏平コアレス振動モータに関する。
【0002】
【従来の技術】
移動体通信機器の小型薄型化志向に伴い、移動体通信機器に搭載される部材も小型薄型化の要求がつよい。
たとえば、最近では、扁平化の要求は極めて強いものとなり、偏心ロータも厚みが極限まで追い込まれ、モータのサイズも直径10mm、厚みも2mm程度まで要求される。
このような扁平型振動モータの先行技術としては、3個の空心電機子コイルを片側に偏在させるようにしたもの(特許文献1参照)か、3個の等分配置した空心電機子コイルのうち1個を小さくしてアンバランスを発生するものがある。(特許文献2参照)
しかしながら、前述のように偏心ロータの厚みが極限まで追い込まれるようになると、ロータ自体、特に空心電機子コイルだけでアンバランスにしたものでは振動量が少なく、実用的にはタングステン等の高比重ウエイトを補助的に空心電機子コイル間に付加させる構成にする必要がある。(特許文献3参照)
さらに、空心電機子コイルを配置しない部分に高比重ウエイトを付加させる構成の例として、本願出願人による出願がある。(特許文献5および6参照)
また、移動体通信機器のサイレントコール手段の一つに扁平型振動モータでは、機器側の印刷配線板に両面粘着剤などを介して直接載置するため、取り付け面は平坦が要求され、ブラシに電力を供給する給電端子はモータの側周部に導出されるようになっている。
【0003】
このような扁平型振動モータは、軸方向界磁型リング状マグネットで駆動されるので、このマグネットの内径部分に配されたブラシに電力を供給する給電構造に工夫が必要である。このため、ブラシに電力を供給する給電構造前記マグネットと、このマグネットを載置したハウジングの一部であるブラケットとの間から導出させる必要がある。
また、このような扁平型振動モータは、薄型化のためにブラケットにブラシベースの形状に合わせてプレス加工によって凹所を形成し、この凹所にブラシベースを埋め込むことにより、ブラスベースの厚みを無視できるようにしたものがある。(特許文献4参照)
【0004】
【特許文献1】米国特許5036239公報
【特許文献2】特開平2−17853号公報
【特許文献3】特開2000−224805号公報
【特許文献4】特開平10−262352号公報
【特許文献5】特開2002−119915
【特許文献6】特開2002−119914
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献3のものは、単相のためロータの電機子コイルの位置決めが必要で、ロータ自体を薄型にできない。
また、薄型を目的とした特許文献5、6のような構成は、空心電機子コイルの配置位置が配置開角120度で3相ながら、一つの巻線型空心電機子コイルを欠相させて2個以下で構成してあるので、トルクリップルが激しくなる傾向にある。すなわち、ロータの停止位置によっては起動トルクが小となる位置が発生するため最小の起動トルクを高く設定することが必要となる。そのため径方向が大型なものには好適であるが、特に径方向が小形なものではコイルも小さいものとなり起動に要する電圧が大となってしまう。
また、特許文献4のようにハウジングをプレス加工で押し潰して凹所を形成するのは、ブラケットの厚みが必要であり、このため、従来の技術では厚さが2.5mm程度が限界であった。
そこで、この発明は、偏心ロータを構成する空心電機子コイルの構成、配置構成に工夫を加え、有効導体数を確保することによって起動を容易にさせ、小型かつ薄くしながらも振動を確保でき、ハウジングにも工夫を加え、小径でありながらモータの厚みを2mm程度にできるようにしたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題の基本的な解決は、請求項1に示す発明のように第1、第2の面があり、中心に軸挿通孔(11)が設けられ、この軸装着孔の半径方向外方で前記第1の面に9個の整流子セグメントパターン(S1〜S9)が印刷形成されて平板コミュテータ(5)が構成されると共に、第2の面に巻線型空心電機子コイル載置エリアがあるもので前記整流子セグメントパターンを3個目毎にショートする導体が印刷形成された円盤形印刷配線整流子基材(9)と、この円盤形印刷配線整流子基材の前記第2の面の巻線型空心電機子コイル載置エリアに約80度の配置開角で載置された第1,第2および第3の巻線型空心電機子コイル(Ra、RbおよびRc)と、前記軸挿通孔の位置で前記第2の面側に配された焼結含油軸受(B)と、前記第2の巻線型空心電機子コイルの中心を介して径方向反対側で巻線型空心電機子コイルの厚み内に収まるように接着材を含む樹脂で固定された比重15以上の偏心部材(W)とが備えられ、印刷空心電機子コイルが円盤形印刷配線整流子基材の前記第1、第2のいずれかの少なくとも一方の面に形成され、前記第2の巻線空心コイルは第1、第3の巻線空心コイルより巻数が少なくなるように軽量化され、前記各印刷配線型空心電機子コイル(Rb1A‥‥)は平面視で互いに重畳しないように120°の配置開角で前記第1の面に3個形成されて直列に結線されると共に前記第2の巻線型空心電機子コイル(Rb)とも直列に接続されて前記第2の巻線型空心電機子コイルの巻数の一部を前記印刷配線型空心電機子コイルで補うように構成したもので達成できる。
このようにすれば、ロータ自体が薄型にでき、巻数が多く取れる3個の巻線型空心電機子コイルによって起動が容易となり、第2の空心電機子コイルの巻数が小になっている軽量化によって偏心ウエイトの重心がより外方に移動するので、偏心量を大にでき、第2の巻線型空心電機子コイルとウエイトの重量差によって十分な振動量を確保でき、軽量化した巻線型空心電機子コイルの一部を印刷配線型空心電機子コイルで補うこともでき、起動容易性と、振動量の確保を両立させることができる。
【0007】
具体的には、請求項2に示す発明のように前記各印刷配線型空心電機子コイルは前記各巻線型空心電機子コイルと平面視で少なくとも一部が重畳すると共に前記偏心部材とも一部が重畳している請求項1に記載の円盤形偏心ロータ。
このようにすると、印刷配線型空心電機子コイルの総巻数を増加でき、第2の巻線型空心電機子コイルの巻数がより補われ、トルク発生部分である有効導体部が組み合わせる磁極に開角に設定でき、効率も良くなる。
【0008】
この偏心ロータを使用して薄型の偏平コアレス振動モータにするには、請求項3に示すように前記請求項1または2に記載の円盤形偏心ロータと、この円盤形偏心ロータが軸を介して格納されるケース(1)とブラケット(2)からなるハウジング(H)と、この偏心ロータ(R)に軸方向空隙を介して磁力を与えるためにNS交互に6極に磁化されて前記ブラケットに配された扁平なマグネット(4)と、この扁平なマグネットの内径部でブラシベースに配されたもので前記整流子セグメントを摺接開角180度で摺接することによって前記空心電機子コイル群に電力を供給する一対のブラシ(6、7)とが備えられ、前記軸(3)は基端(3a)が前記ブラケットにはめ込まれると共に、他端(3b)が前記ケースに装着され、このハウジングを構成するケースの開口部にブラケットが溶接で組み付けられ、このハウジングは0.2mm以下の厚みがあると共に、前記ブラシベースはフレキシブルで接着層を含め0.18mm以下の厚みがあり、前記マグネットの下方を透孔(2a)を介して横断し、一部がハウジング側方に給電電極部として導出されたものにすれば達成できる。
【0009】
このようにすれば、薄型ながらも振動量が確保でき、軸径がたとえば、0.5ミリ程度にものでも、確実に保持でき、落下など衝撃がロータに加わっても軸の変形が防止でき、たとえばブラケットの厚みを0.15〜0.2ミリしたものでも溶着で組みあわせたものでも、薄型化に際しては十分なる強度が得られ、ブラケットが薄型なもので潰し手段が困難なものでも、透孔によって容易にモータ側方から給電できる。
【0010】
【発明の実施の形態】
次に、この発明の実施の形態の図面を説明する。
図1は、この発明の第1の実施の形態の偏心ロータを備えた扁平コアレス振動モータの断面図である。
図2は、図1の給電構造の特徴を示す底面図である。
図3は、図1の偏心ロータを構成する整流子基材のセグメント側から見た平面図である。
図4は、図3を反セグメント側から見た平面図である。
図5は、図1の偏心ロータの平面図である。
図6は、図1のモータの回転原理説明図である。
図7は、偏心ロータの変形例の平面図である
【0011】
以下、上記各図面に基づく実施の形態を説明する。
図1は、厚み2mm程度に構成した薄型の偏平コアレス振動モータを示し、0.15mmの薄い磁性ステンレス板を絞り加工により形成したケース1と、このケースの開口部にレーザ溶接Yで取り付けた0.2mm程度のブラケット2でハウジングHが構成され、内部には、前記ブラケット2の中心に直径0.5mm程度の軸3が圧入固定され、この軸3の半径方向外方に6極の薄いリング状マグネット4が載置されている。
ここで軸3の基端3aはブラケット2に対し圧入の代わりに、または本例のように圧入後、レーザ溶接Yしてもよい。
軸3には、焼結含油軸受Bと、樹脂によって形成される軸受部B1により厚み0.6mm程度の偏心ロータRが回転自在に装着され、軸方向空隙を介して前記リング状マグネット4に臨ませている。
ここでは、偏心ロータRは後述の図3のA−A線切断断面で表されている。
【0012】
ブラケット2には、図2に示すように、ちょうどマグネット4の載置部の一部に透孔2aが設けられている。ブラシ6、7を接触角180度となるよう植設したフレキシブルベース8は、前記ブラシを植設したパターン6a、7aを半径方向へ延在させてこの透孔2aを通して前記ケース1の側周に導出される。したがって、フレキシブルブラシベース8をマグネット4とブラケットの間から外方に導出するに当たって、この0.15mm程度の厚みを有するフレキシブルベース8の導出空間を容易に確保できることになる。ここで前記フレキシブルベース8は所定の面に接着剤が付着されていてブラケット、マグネットに接着で固定するのがよい。
前記フレキシブルベース8の給電電極部はブラケット2より突き出された舌片2bの端部で折り返され、3方向に半田電極がむき出されて容易に機器側の印刷配線板に半田結線できるようになっている。
一方ハウジングの他部を構成するケース1には、中央に軸3の他端3bが装着される浅いバーリング状透孔1aが配され、この透孔1aの周囲の突部にポリイミドフイルムPを配着し、このポリイミドフイルムPを介して前記偏心ロータR軸受Bの上面を前記一対のブラシ6、7の押接力によって摺接させている。
一対のブラシ6、7は接触角180度でロータを傾かないよう押圧し、ロータ3は常時ケース1側に付勢され、ポリイミドフイルムPで回転自在に押さえられるので、ケース1側に移動して当たるおそれがなく、空隙を常に一定にして回転位置がばらつくこともなく安定して回転支承させることができる。ここで、前記軸3の他端は前記ケースに前記バーリング状透孔1aの部分でレーザ溶接Yされているので、軸の保持強度が十分になる。
また、ケース1とブラケット2はレーザ溶接で接合されているので、薄手の部材でも変形が起きにくく、前記軸3は前記偏心ロータの落下などの衝撃が加わっても透孔から外れてしまうおそれはない。
【0013】
偏心ロータRを構成する整流子基材9は、図3に示すように厚み0.06mm程で表面に薄く粘着剤を塗布した薄いフイルム状フレキシブル印刷配線板で、直径が9.3mm程度で第1、第2の両面を有する印刷配線板で構成されている。 整流子基材9には、図3に示すように、中心に軸挿通孔11を有し、第1面側において、この軸挿通孔11の周囲に等間隔で9個の整流子セグメントパターンS1〜S9が印刷形成されて平板コミュテータ5を構成している。それぞれの整流子セグメントパターンS1〜S9は、内側導体D3やスルーホールH1〜H7を介したパターンにより3個毎にショートさせている。
この整流子セグメントパターンS1〜S9の外方には、有効導体部分の開角がマグネット4の磁極開角とほぼ等しい約60度で構成された3個の印刷配線型空心電機子コイルRb1A、Rb2AおよびRb3A(以下印刷コイルRb1A、Rb2AおよびRb3Aという)が配置角約120度で等間隔に印刷形成されている。 また、図4にも示すように、フレキシブル印刷配線板の第2面には、前記第一面に形成した印刷子コイルRb1AおよびRb3Aの反対面にあたる位置に2個の印刷配線型空心コイルRb1B、Rb3B(以下印刷コイルRb1B、Rb3Bという)が印刷形成されている。この印刷コイルRb1B、Rb3Bは各内径部に設けられたスルーホールH8、H9およびH10によりそれぞれ印刷コイルRb1A、Rb3Aと直列に接続され、第1面から第2面に亘ってそれぞれ一組の印刷配線型空心電機子コイルRb1、Rb3(以下印刷コイルRb1、Rb3という)を形成している。
【0014】
ここで、前記印刷コイルRb1Bは後述の多層巻線型空心電機子コイルRa、Rcの巻先端末を接続する端末結線端子T1、T2およびT3やパターンP4を設けるため開角がやや狭められている。また、印刷コイルRb2Aに対応する第2面の印刷配線型空心電機子コイルは端末結線端子T4を形成する都合上、接続だけのパターンP4にしてコイル部分の形成は省いてあるが、配置に余裕がある場合他のコイルと同様印刷形成して印刷コイルRb2Bとしても良い。
ここで、印刷コイルRb1、Rb3は、印刷コイルRb1AとRb1Bを、またRb3AとRb3Bとを直列に接続して形成している。
図中12は、火花消去用として隣り合ったセグメント同士C6、C7およびC8間に挿入されたカーボン印刷抵抗であり、T1、T2およびT3は後述の巻線型空心電機子コイルの端末結線パターンである。
この整流子基材9を偏心ロータRとして構成するには、さらに図5に示すように、第2面に配置角が約80度で有効導体部分がマグネット4の磁極の幅の開角にほぼ等しく60度になるようにした第1、第2及び第3の3個の多層巻線型空心電機子コイルRa、Rb及びRc(以下巻線コイルRa、RbおよびRc)を隣接して載置し、巻線コイルRbの径方向反対側に銅タングステン焼結合金で比重18程度の平面視で拡開した扇形の偏心部材Wを配し固定する。固定の手段としては、樹脂で一体成形する方法や、接着剤で固定する等種々の方法がとられる。
なお、直径10mm程度のモータでは偏心部材として銅タングステン焼結合金は比重15以上のものを採用するのが偏心量を確保する上から必要である。
また、偏心部材Wとして比重18程度の銅タングステン焼結合金をブロック状、粒状あるいは粉状にしたものを樹脂に混入して全体の比重を15以上になるようにしたものを射出成形によりコイルや印刷基板と一体に成形したり、その樹脂で成形された扇型の錘を樹脂で一体に固定したり、接着剤等で固定してもよい。
偏心部材Wの厚みは巻線型空心電機子コイルの厚み以内とすることでロータRが厚くなることを防ぐことができる。
巻線コイルRbは印刷コイルRb1と同位置に配置し、印刷コイルRb1と直列に接続することで一つのコイルと見なして作用させる。
【0015】
偏心ロータRの重心の移動量を大にするための構成として、偏心部材Wに対し回転軸を介して反対側にあるこの巻線コイルRbをその両側の巻線コイルRa、Rcに比して、コイルの巻数を他に比べて少なくすることで軽量化される。巻線コイルRbを軽量化させるため巻数を減らす方法として、コイル外形が小さくなるように巻数を減らす、コイル内径部が大きくなるように巻数を減らすあるいは厚みが小さくなるように巻数を減らす等がある。
そして巻線コイルRbと直列に結線した空心コイルRb1、Rb2およびRb3がこの巻線コイルRbの巻数の少ない分の回転力を補うため、図6に示すように配置角120度で巻線コイルRbと同相位置に配置されている。
外形を小さくするようコイルを形成すると、隣接する巻線コイルRa、Rcを巻線コイルRbへ寄せることにより偏心部材Wを載置する面積が増え、偏心部材Wを大きくして偏心量を増やすことができる。
あるいは、隣接する巻線コイルRa、Rcの巻数を多くするよう外径を大きくできるので、第1、第3の巻線コイルRa、Rcで発生するロータRの回転力を大きくすることができる。
内径部を大きくするようにコイルを形成すると、コイルの開角を磁極開角と同じにできるため、回転力の発生に寄与する効果がある。
巻線コイルRbを軽量化する構造は、これら効果を考慮し条件にあった手段で行うとよいし、銅線の代わりにアルミニウム線で構成してもよい。
【0016】
さらに、図1に示すように前述の焼結含油軸受Bが、中心において該ロータRの厚みの上半分に装着され、下半分の軸受け部B1をチタン酸カリウムウイスカ入りのポリアミドもしくはポリブチレンテレフタレートなど高摺動性を有する樹脂にしてロータと一体に構成し、前記軸3に直接回転自在に装着するようになっている。
こうすることによって高価な焼結含油軸受を小型にしつつ中央部に逃げ部を構成した軸受け部分を容易に構成することができ、受け部を軸方向へ延ばすことができるため軸に対する回転ロスを軽減できる。
【0017】
ここで、平板コミュテータ5は、この薄いフレキシブル印刷配線板9に形成するか、または、このフレキシブル基板に別の薄い印刷配線板で平板コミュテータを形成したものを添設してもよい。
この平板コミュテータ5は、図6の回転原理説明図に示すようにN、S交互に6極に着磁されたマグネット4を組みあわせる場合は、3個毎にショートした9極のセグメントS1ないしS9からなる公知のものが用いられる。
本実施例の場合、セグメントS1、S4、S7がショートされ、セグメントS2、S5、S8が、セグメントS3、S6、S9がそれぞれショートされる。
今、この結線状態を説明すると、巻線コイルRaの巻き始め端末は、巻線コイルRcの巻き終わり端末と共に、端末結線パターンT1に半田もしくは熱圧着で結線されて整流子セグメントS6に接続され、マイナス側のブラシ7を介して電源マイナス側に接続される。巻線コイルRaの巻き終わりは、巻線コイルRbの巻き始めと端末結線パターンT3を介してセグメントS2に結線される。巻線コイルRbの巻き終わり端末は、印刷コイルRb3の巻き始め端末と接続され、印刷コイルRb3の巻き終わり端末は、印刷コイルRb2の巻き始め端末に、印刷コイルRb2の巻き終わり端末は、印刷コイルRb1の巻き始め端末とそれぞれ接続され、印刷コイルRb1の巻き終わり端末は、巻線型空心電機子コイルRc巻き始めと共に、前記セグメントS4に接続されている。
したがって、いま、セグメントS1に接続されたブラシ6がプラス側の電源により電力を供給された場合、図中のコイル線上に記された小さい矢印の方向へ電流が流れ、大きい矢印の方向へロータが回転移動するよう回転力が発生し、いずれのコイルにも、反トルクは発生しない。
また、印刷コイルRb1A、Rb2AおよびRb3Aが配置角120度で均等に配置されているため、トルクリップルの発生が軽減される。
【0018】
図7に示すものは、偏心ロータの変形例で、第2面では巻線コイルRbと印刷コイルRb1Bを重畳させないように印刷コイルRb1Bを削除し、その代わりに第1面の印刷コイルRb2Aと同位置に印刷コイルRb2Bを形成したものである。
このようにすると、端末結線パターンT4の位置をT1の隣りに持ってくることができるので、偏心部材W1をそのぶんを大きくできる。
この図7の構成による結線は、図6において印刷コイルRb1Bを削除し、同コイルRb2Aの位置に同コイルRb2Bを配置したものとなる。そして、その作用は図4の実施例と同様なので、詳細の説明は省略する。
この構成にすれば、円盤形でもタングステンの高比重による重量と巻線コイル側の偏心量があっても、第2の巻線コイルの軽量化によってその差が大きくなり、偏心ウエイト側W側に大きく重心が来るので、偏心量の大なる偏心ロータにすることができる。
【0019】
【発明の効果】
この発明の偏心ロータは上記のように構成したので、ロータ自体が薄型にでき、偏心部材で振動を確保でき、巻線コイルを3個にしたので、有効導体部が多くなって起動が容易となる。
フレキシブルベースをマグネットとブラケットの間から導出するに当たってたとえば、ブラケットの厚みが0.15〜0.2ミリのものでも潰すような無理な手段が不要となるので、薄型化に対してフレキシブルブラシベースの厚みを考慮しなくて済み、2mm厚のモータにすることができる。
特に請求項1に示す発明では、ロータ自体が薄型にでき、巻数が多く取れる3個の巻線型空心電機子コイルによって起動が容易となり、第2の空心電機子コイルの巻数が小になっている軽量化によって偏心ウエイトの重心がより外方に移動するので、偏心量を大にでき、第2の巻線型空心電機子コイルとウエイトの重量差によって十分な振動量を確保でき、軽量化した巻線型空心電機子コイルの一部を印刷配線型空心電機子コイルで補うこともでき、起動容易性と、振動量の確保を両立させることができる。
請求項2の発明では、印刷配線型空心電機子コイルの総巻数を増加でき、第2の巻線型空心電機子コイルの巻数がより補われ、トルク発生部分である有効導体部が組み合わせる磁極に開角に設定でき、効率も良くなる。
請求項3に示す発明では、薄型ながらも振動量が確保でき、軸径がたとえば、0.5ミリ程度にものでも、確実に保持でき、落下など衝撃がロータに加わっても軸の変形が防止でき、たとえばブラケットの厚みを0.15〜0.2ミリしたものでも溶着で組みあせたので、薄型化しても十分なる強度が得られ、ブラケットが薄型なものでも、透孔によって容易にモータ側方から給電できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施の形態の偏心ロータを備えた偏平コアレス振動モータの断面図である。
【図2】図1の給電構造の特徴を示す底面図である。
【図3】図1の偏心ロータの平面図である。
【図4】図1の同モータの回転原理説明図である。
【図5】図1の偏心ロータの平面図である。
【図6】図5の同モータの回転原理説明図である。
【図7】図1の偏心ロータの変形例の平面図である。
【符号の説明】
H ハウジング
1 ケース
2 ブラケット
2a 透孔
3 軸
4 ネオジム製のリング状マグネット
R、R1 偏心ロータ
5 平板コミュテータ
6、7 一対のブラシ
8 フレキシブルブラシベース
9 整流子基材
Claims (3)
- 第1、第2の面があり、中心に軸挿通孔(11)が設けられ、この軸装着孔の半径方向外方で前記第1の面に9個の整流子セグメントパターン(S1〜S9)が印刷形成されて平板コミュテータ(5)が構成されると共に、第2の面に巻線型空心電機子コイル載置エリアがあるもので前記整流子セグメントパターンを3個目毎にショートする導体が印刷形成された円盤形印刷配線整流子基材(9)と、この円盤形印刷配線整流子基材の前記第2の面の巻線型空心電機子コイル載置エリアに約80度の配置開角で載置された第1,第2および第3の巻線型空心電機子コイル(Ra、RbおよびRc)と、前記軸挿通孔の位置で前記第2の面側に配された焼結含油軸受(B)と、前記第2の巻線型空心電機子コイルの中心を介して径方向反対側で巻線型空心電機子コイルの厚み内に収まるように接着材を含む樹脂で固定された比重15以上の偏心部材(W)とが備えられ、印刷空心電機子コイルが前記円盤形印刷配線整流子基材の前記第1、第2のいずれかの少なくとも一方の面に形成され、前記第2の巻線空心コイルは第1、第3の巻線空心コイルより巻数が少なくなるように軽量化され、前記各印刷配線型空心電機子コイル(Rb1A‥‥)は平面視で互いに重畳しないように120°の配置開角で前記第1の面に3個形成されて直列に結線されると共に前記第2の巻線型空心電機子コイル(Rb)とも直列に接続されて前記第2の巻線型空心電機子コイルの巻数の一部を前記印刷配線型空心電機子コイルで補うように構成した円盤形偏心ロータ
- 前記各印刷配線型空心電機子コイルは前記各巻線型空心電機子コイルと平面視で少なくとも一部が重畳すると共に前記偏心部材とも一部が重畳している請求項1に記載の円盤形偏心ロータ。
- 前記請求項1又は2に記載の円盤形偏心ロータと、この円盤形偏心ロータが軸を介して格納されるケース(1)とブラケット(2)からなるハウジング(H)と、この偏心ロータ(R)に軸方向空隙を介して磁力を与えるためにNS交互に6極に磁化されて前記ブラケットに配された扁平なマグネット(4)と、この扁平なマグネットの内径部でブラシベースに配されたもので前記整流子セグメントを摺接開角180度で摺接することによって前記空心電機子コイル群に電力を供給する一対のブラシ(6、7)とが備えられ、前記軸(3)は基端(3a)が前記ブラケットにはめ込まれると共に、他端(3b)が前記ケースに装着され、このハウジングを構成するケースの開口部にブラケットが溶接で組み付けられ、このハウジングは0.2mm以下の厚みがあると共に、前記ブラシベースはフレキシブルで接着層を含め0.18mm以下の厚みがあり、前記マグネットの下方を透孔(2a)を介して横断し、一部がハウジング側方に給電電極部として導出された扁平コアレス振動モータ。
Priority Applications (3)
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JP2002367539A JP3581706B2 (ja) | 2002-12-19 | 2002-12-19 | 円盤形偏心ロータと同ロータを備えた扁平コアレス振動モータ |
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