JP3581105B2 - 車両用燃料タンク - Google Patents

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  • Cooling, Air Intake And Gas Exhaust, And Fuel Tank Arrangements In Propulsion Units (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
請求項に係る発明は、自動二輪車や自動車などの車両に搭載される燃料タンクに関するもので、内部に管が配置される燃料タンクを適切に構成しようとするものである。
【0002】
【従来の技術】
自動二輪車の燃料タンクについての一般的な構造を、特許第3058639号公報を参照して図5(a)・(b)に示す。燃料タンク5は、図5(b)のように、燃料を入れるための閉空間が横断面にして逆U字状に形成されており、図5(a)のように、逆U字の形でメインフレーム8をまたぐように車体上に配置されている。上部と左右の側部とは外部から容易に観察されるものの、下部、すなわちメインフレーム8を囲むU字の内側の面は、タンク5が取り外されない限り観察されない。つまり燃料タンク5は、車体への搭載状態で外部より観察される部分と観察されない部分とを有している。
【0003】
図示のタンク5では、図5(b)のとおり、外部より観察される部分が一枚のアウタープレート10によって形成され、観察されない部分が別のインナープレート20によって形成されている。アウタープレート10もインナープレート20も、プレス成形された鋼板によって形づくられている。アウタープレート10には給油口12が設けられ、インナープレート20にはメインフレーム8への取付け部材22・23が一体化されるのが一般的である。そして、両方のプレート10・20間がフランジ10a・20aにおいて全周を溶接接合されることにより、密閉状態の閉空間が形成される。
【0004】
燃料タンクの閉空間内には、図5(a)に示すように管が配置されることがある。図示の例(特許第3058639号公報参照)では、タンク内の気化燃料を外部に導くためのブリーザーパイプ41と、そのパイプで導かれた気化燃料を液化したのちタンク内に戻すためのリターンパイプ42とが、タンク5内の前方(自動二輪車の進行方向にいう前方)上部にある給油口12の付近からタンク5の後端部付近にまで通されている。
【0005】
燃料タンク内に配置されるこのような管は、自動二輪車の走行またはエンジンの回転によって幾分かの振動を受ける。管の長さやその支持形態によっては振動にともなって相当の応力が発生することがあるので、タンクの容量が大きい場合(管も長くなりがちである)などは、振動防止のために管に何らかの補強が施される。タンク内に管が複数ある場合には管同士を接合することによっても補強され得るが、1本しかない場合などは、何らかの支持部材で支えて管が補強されることも多い。
【0006】
図6に、支持部材を用いることによる、管に対する従来の補強方法を示す。燃料タンク6の内面に支持部材44が取り付けられ、タンク6内に配置された管43がその支持部材44の先端部で支えられて振動を抑制される。支持部材44の基部は、タンク6のうちアウタープレート10の中央付近でその内面に溶接(またはロウ付け)されている。なお、図6に示された管43は、給油口12の周囲(口金の外側)から雨水等をタンク外に導くためのドレンパイプである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、鋼板などの板でできたアウタープレートの内面に支持部材を取り付けた場合、取り付けによってできる局部的な変形がアウタープレートの外側表面(塗装等を施されるいわゆる意匠面)に表れることがある。たとえば、支持部材をスポット溶接によってアウタープレートに固着したときには、溶接時の圧痕(くぼみ)が外側表面にも残る。ガス溶接やアーク溶接、またはロウ付け等による場合にも、熱の作用でアウタープレートの一部にうねり(波打ち)が生じ、外側表面にも表れがちである。
【0008】
図6の燃料タンクでは、支持部材をアウタープレートの中央付近に取り付けているので、上記のように圧痕やうねりが生じると、意匠面にそれが表れて外側から観察され、自動二輪車の外観を低下させることにもなりかねない。そこで、従来は、内側に支持部材を固着した部分に関してアウタープレートの外側表面を研磨仕上げ(サンディング)し、外観の低下がないようにしている。しかし、圧痕やうねりがなくなるように仕上げるためにはかなりの手間がかかり、コストや製造能率の面で不利をまねくことになる。
【0009】
請求項に係る発明は、内部に配置される管を振動の抑制等のために適切に支えるとともに、外側表面を研磨等しなくても外観を低下させることのない車両用燃料タンクを提供しようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載した車両用燃料タンクは、自動二輪車や自動車等の車両への搭載状態で外部より観察される部分と観察されない部分とを備えていて、板材により閉空間が形成され、その閉空間内に管が配置されたタンクであって、閉空間の内部で上記の管を支える支持部材を、板材のうち給油口においてキャップに覆われる部分(口金の周囲など)の内側面に固着したことを特徴とする。閉空間内に配置される管としては、前述したブリーザパイプやリターンパイプ、ドレンパイプなどがある。また閉空間を形成する板材としては、鋼板やアルミ合金板などの金属板、または樹脂板などが使用され得る。
【0011】
この燃料タンクでは、その閉空間内に配置された管が、閉空間を形成する板材の内側面に固着された支持部材で支えられることにより、車両の走行時などに生じる振動を抑制される。しかし、図6に示された従来のタンクとは違ってこの燃料タンクでは、支持部材が、板材のうち給油口においてキャップに覆われる部分の内側面に固着されている。給油口においてキャップに覆われる部分は、タンクの閉空間を形成する板材のうち外部より観察されない部分の一つである。そのため、板材の内側面と支持部材との固着にともなって板材の外側表面に圧痕やうねり等が生じたとしても、外観を低下させないことを目的にしてその部分に特別な仕上げ(研磨等)を施す必要がない。当該固着の手段として溶接、溶着、ロウ付け、または何らかの継手部材を使用したとしても、それは同様である。そうした仕上げ作業が不要になれば、コストや製造能率についてその燃料タンクには相当のメリットが生じることになる。
しかも、当該部分(給油口においてキャップに覆われる部分)は三次元の入り組んだ形状を有しているので他の平面的な部分よりも力学的剛性が高く、またキャップを取り付ける関係でやや厚手の板材が使用されていることも多いので、この部分には、しっかりと支持部材を固着することが容易に行える。つまり、この燃料タンクでは、支持部材の取り付け剛性を高くすることによって管の振動をとくに効果的に抑制できる、という利点ももたらされるといえる。
【0012】
なお、上記した「支持部材」としては、板材の内側面上の固着部分から管の支持部分までの距離に相当する長さのものを使用するが、その長さは、両部分の位置的関係によって適宜に設定される。たとえば管の支持部分が板材の内側面上の固着部分に接触する程度に近い場合には、長さのある支持部材を使用することなく、溶接やロウ付けの盛り肉(溶接材やロウ)のみによって管の一部と板材の内側面とを直接固着させる。つまり、上記の「支持部材」は、図6のように腕の長い部材ばかりでなく、管を支えるために管と一体にされる種々の部材、ひいては管そのもの(の一部)をも含むものとする。
【0013】
請求項2に記載した車両用燃料タンクはさらに、管を支える他の支持部材を、板材のうち座席によって覆われる部分の内側面に固着したことを特徴とする。
【0014】
車両用燃料タンクの閉空間を形成する板材のうち、座席によって覆われる部分(たとえば自動二輪車用のタンクにおいては後端部付近)は、車両への搭載状態で外部からは観察されない部分の一つである。したがって、この部分の内側面に管用の他の支持部材を溶接等によって固着するなら、その固着によって局部的な変形(圧痕やうねりなど)が板材の外表面に表れたとしても外観上の不都合が生じないために、研磨等の仕上げ作業を追加する必要がない。そうした仕上げ作業が不要なら、当然ながらコストおよび製造能率について相当のメリットがもたらされる。
またこのタンクでは、タンク内の管の二箇所を支持部材にて支持できるので、振動に対して好ましい処置が行える。
【0017】
請求項3に記載した車両用燃料タンクは、車両への搭載状態で外部より観察される部分と観察されない部分とを備えていて、板材により閉空間が形成され、その閉空間内に管が配置された車両用燃料タンクであって、給油口を備えていて外部より観察される部分が過半を占めるアウタープレートと、観察されない部分が過半を占めるインナープレートとの接合によって閉空間が形成されるもの(他のプレートをさらに接合するものを含む)において、その閉空間内におさまるようアウタープレートに管を取り付け、その管に一体化した支持部材を、アウタープレートと接合した状態のインナープレートの外側より、インナープレートに事前に形成しておいた小開口と当該支持部材との間を塞ぐ接合によってインナープレートに固着したことを特徴とする。
【0018】
アウタープレートとインナープレートとによって囲まれる空間内に管が配置される場合、両プレートが接合され閉じ合わされる前に、給油口のあるアウタープレートの内側に管が取り付けられるのが一般的である。いずれかのプレートの内側に事前に管が取り付けられるのは、閉空間を形成したのちにその閉空間内の管を固定するのは難しいからである。またその際、インナープレートではなくアウタープレートの側に管が取り付けられるのは、管の多くが、機能上、給油口の付近、つまりアウタープレート上かそれに近い箇所に開口端を有する必要があるからである。たとえば、前記したブリーザパイプやリターンパイプは、給油口に近い燃料タンクの上部空間に開口を有し、それを通じて気化燃料の排出と戻しとを行うものであり、ドレンパイプも、給油口の周囲外側に開口を備え、それより雨水等を外部に導く役目をなすものであって、いずれもアウタープレートの内側に取り付けられるのが適切である。
【0019】
しかし、アウタープレートに管を取り付けるだけでは、管の振動を十分抑制することと燃料タンクの製造上の利点とを両立させることが容易でない。アウタープレート(の外側)の多くの部分は外部より観察されるため、支持部材の固着後の仕上げ作業を省略してコストおよび製造期間についての利益を享受しようとすれば、支持部材を設けるに適した箇所(外部から観察されない部分)が限られ、振動防止上好適な箇所には支持部材を固着し難いからである。
【0020】
その点、この車両用燃料タンクでは、アウタープレートとインナープレートとが接合されたのちに、管を支える支持部材をインナープレートに固着することによって、管のうち任意の部分を支えることができる。支持部材をインナープレートに固着できるのは、管に一体化された支持部材が、アウタープレートと接合した状態でインナープレート中の小開口より露出するようにしておくので、当該小開口と支持部材との間を塞ぐ接合(溶接やロウ付け等)をのちに行うことによって、インナープレートの外側から、同プレートと支持部材との間を固着できるからである。インナープレートが外部から観察されない部分を広く有する以上、管を支えるに好ましい任意の位置に支持部材を固着することができ、しかも固着部分について外側表面から仕上げ作業を行う必要がない。なお、この発明においても、「支持部材」は管を支えるために管と一体にされる種々の部材をさし、管そのもの(の一部)や溶接等の盛り肉をも含むものとする。
【0021】
請求項4に記載の車両用燃料タンクはとくに、管を支える支持部材を、タンク内にある管の端部付近、もしくはタンク内にある管の中間付近、またはそれらのいずれもの箇所において管に結合したことを特徴とする。
【0022】
タンク内にある管の端部付近や中間付近は、管が振動する場合に最も応力が高くなるか、または最も振幅が大きくなる箇所である。タンク(板材)の内側面に固着した支持部材を管のそのような箇所に結合すれば、管に発生する応力が低減され、もしくは振幅が抑えられ、またはそれらの作用が関連し合って、管の振動にともなう不都合が効果的に解消される。つまり、燃料タンクをこのように構成することにより、タンク内の管を適切に補強できることになる。
【0023】
【発明の実施の形態】
発明に関する実施の形態を図1〜図4に示す。図1〜図3は、自動二輪車用の燃料タンク1〜3のそれぞれについての縦断面図(各図(a))などであり、図4は、他の燃料タンク4のうち管31用の支持部材37等についての詳細図である。各図において左方が、各燃料タンク1〜4の搭載される自動二輪車(図示せず)における進行方向前方にあたり(以下、単に「前方」「前部」等という場合にはこの向きをさす)、右方は自動二輪車の後方にあたる(以下、単に「後方」「後部」等という場合にはこの向きをさす)。
【0024】
図1(a)・(b)((a)は縦断面図、(b)は底面図)に示す燃料タンク1は、図5に示したものと同様、燃料を入れるための閉空間が横断面にして逆U字状に形成されており、やはりメインフレーム(図示せず)をまたぐように車体に取り付けられる。図5の例と同じくその閉空間は、上部に位置してほとんどの部分が外部から観察されるアウタープレート10と、逆U字の内側下部に位置していて、車体に搭載された状態では外部から観察されがたいインナープレート20とを、密に接合することによって形成されている。両プレート10・20は、いずれもプレス成形された厚さ1mm以下の鋼板によって形づくられており、アウタープレート10には、燃料タンク1の上部および側部をなすケーシング部分11に給油口12が一体化され、インナープレート20には、燃料タンク1の内側下部をなすケーシング部分21に、メインフレームへの取付け部材22・23が取りつけられている。両プレート10・20間の接合のためには、図5(b)に示したフランジ10a・20aと同様のフランジ(図示せず)が全周に形成され、溶接されるようになっている。
【0025】
燃料タンク1の内部(閉空間)には、図示のように1本の管31が配置されている。ステンレス鋼管であるこの管31はいわゆるドレンパイプであって、前方上部にある給油口12の付近から後方(自動二輪車の進行方向後方)に延び、タンク1の後端部付近でアウタープレート10を貫通して外部へ出ている。管31は、給油口12において口金12aの外周部に形成された凹部12bに開口を有しており、その凹部12b内に溜まる雨水や燃料などを、当該開口から管内を通してタンク外部へ導く役目をはたす。
【0026】
搭載される自動二輪車が比較的大型のものであって燃料タンク1の容量が大きく、したがって管31も相当の長さになることから、タンク1内の管31は、その中間部付近において支持部材(リインフォース)32により支えている。給油口12の凹部12bとタンク1の後端部付近との両端二箇所(つまりアウタープレート10を管31が貫通する部分)のみでタンク1の鋼板上に固定された状態では、管31には、自動二輪車の走行時などにその全長の中間部付近を中心に振動が発生しやすいからである。
【0027】
ただし、支持部材32の基部は、アウタープレート10中のケーシング部分11にではなく、図のように、給油口12における上記凹部12bの内側面にガス溶接(またはロウ付け)することによって固着している。ケーシング部分11の内側面に支持部材32を溶接等したなら、その外側表面にも局部的にうねりが生じるので、美観のためには塗装等の前にその部分を研磨仕上げする必要が生じるからである。図のように給油口12の凹部12bの内側面に溶接する場合には、外側表面に局部的なうねりが生じても、口金12aに被せるキャップ(フィラーキャップ。図示せず)で覆われて外観に影響がないため、研磨仕上げ等の必要がない。また、口金12aから凹部12bにかけての部分は、ケーシング部分11よりもやや厚い鋼板が使用されているうえ三次元の入り組んだ形状になっているので力学的剛性が高く、したがって凹部12bには支持部材32を強固にかつ高剛性に取り付けることができる。
【0028】
支持部材32としては、管31と同じ鋼管により(もちろん他の部材を使用してもよい)、前方上部にある給油口12の凹部12bから管31の中間部付近にまで届く長手のものを形成して使用している。この支持部材32の基部を凹部12bに溶接し、先端部を管31の側面に溶接したのである。支持部材32は比較的長いものだが、基部の取付け剛性が高いこと等から、管31の振動を十分に抑制できる。以上のように、燃料タンク1については、内部の管31をしっかりと支えて走行中の振動による不都合を回避するという機能上のメリットと、管31の支持にともなうアウタープレート10の研磨仕上げ等を不要にするという製造上のメリットとを、同時に享受することができた。
【0029】
つづく図2には、閉空間内の管31を別の態様で支持することとした自動二輪車用燃料タンク2の縦断面図を示す。図2の燃料タンク2のうち図1のタンク1と共通する部分には同一の符号を付している(それらの部分について再度詳しく説明することは省略する)。
【0030】
この燃料タンク2においても、アウタープレート10とインナープレート20とで囲まれる閉空間の内部に、ドレンパイプとしての管31が配置されている。走行中の振動によって不都合が生じないようこの管31にも何らかの支持または補強が必要であるため、図2のとおり、管31の両端付近の二箇所に支持部材33および34を設けている。
【0031】
前方に設けた支持部材33は、管31の前方端部(凹部12b上に開口をもつ部分)に近い箇所に先端部を溶接するとともに、基部については、前記の例と同じく給油口12の凹部12bの内側面に溶接固着したものである。一方、後部の支持部材34は、閉空間内の管31のうちアウタープレート10を貫通する部分に近い後部箇所に先端部を溶接するとともに、その基部を、アウタープレート10のケーシング部分11ではあるがシート(座席)9に覆われる後端部付近の内側面に溶接固着したものである。タンク2内の管31が振動すると機械的応力はその管の両端部に集中しやすいため、上記のように管31の両端付近の二箇所を支持することとしている。また、こうして両端付近を支えると中間部付近の振幅も小さくなるので、振動に対する処置として好ましい。そしてこの例でも、支持部材33・34の基部を固着する部分をアウタープレート10のうち外部より観察されない部分の内側面としているため、溶接によるうねり等が外側表面に表れても、それを除去するための特別な仕上げ作業を行う必要がない。
【0032】
図3には、内部の管31をさらに別の態様で支えるようにした自動二輪車用燃料タンク3を示している。図3(a)は縦断面図、(b)は底面図、(c)は図3(a)中のc部の詳細図である。ここでも、燃料タンク3のうち図1・図2のタンク1・2と共通する部分には同一の符号を付し、それらについての説明は繰り返さない。
【0033】
図1および図2の例では管31とその支持部材32〜34とをアウタープレート10に取り付けたが、図3の例は、管31をアウタープレート10に取り付ける一方、それを支える支持部材35をインナープレート20の一部に固着したものである。インナープレート20はほとんどの部分が外部からは観察されないので、このようにすれば支持部材35を、外観に影響のない任意の位置に設けることができ、したがって、支持部材35として小さい(短い)部品を使用しながら管31の振動を効果的に抑制できる、といったメリットがある。
【0034】
ただし、図3のようにするには、タンク6の製造の際、支持部材35をインナープレート20に固着するについて工夫が要る。図1や図2にしたがう場合は、事前に内側に管と支持部材とを取り付けておいたアウタープレート10をインナープレート20に対して密に接合するだけで閉空間が形成され、その内部に管も支持部材も適切に配置されることになるが、図3のようにインナープレート20に支持部材35を取り付ける場合には、アウタープレート10とインナープレート20との接合の際、閉空間の外部から支持部材35をインナープレート20に固着する作業が必要になるからである。この燃料タンク3では、その点をつぎのように処置している。すなわち、
【0035】
1) 閉空間内に配置する管31に、あらかじめ(閉空間を形成するまでに)支持部材35を取り付けておく。この例では、管31と同じ鋼管を短く切り、図(c)のように直角に曲げることによって支持部材35を形成し、それを、管31の長さのちょうど中央にあたる位置に溶接によって一体化している。その先端部35aを下に向け、管31に取り付けた部分から先端部35aまでに、管31を取り付けられたアウタープレート10がインナープレート20と接合されたときインナープレート20の面よりも下に先端部35aが突出し得る長さをもたせている。
【0036】
2) インナープレート20のうち、アウタープレート10と接合されたとき支持部材35の先端部35aが突出する位置に、図(c)に示す小開口25を事前に形成しておく。小開口25については、支持部材35の先端部35aの径と等しい直径に、管31や支持部材35の取付け位置の誤差を見込んだ寸法を加えて開口径を定める。
【0037】
3) アウタープレート10とインナープレート20とを接合したのち、小開口25から突出する支持部材35の先端部35aに図(c)のように穴つき円板36を通し、それにて小開口25を覆う。穴つき円板36を通すこの作業は、アウタープレート10と閉じ合わせたのちのインナープレート20の外側から行うことができる。なお、穴つき円板36は、たとえばインナープレート20と同種の鋼板によって形成し、内側の穴の内径を支持部材35の先端部35aにぴったりはまる大きさにするとともに、外径は、小開口25の内側に入った先端部35aの位置が変位していてもその小開口25の全部を塞ぐことのできる寸法にしたものである。
【0038】
4) 支持部材35の先端部35aに通すとともに小開口25を覆うように被せた穴つき円板36について、先端部35aとの間およびインナープレート20との間をそれぞれ全周溶接する。この作業も、アウタープレート10と閉じ合わせたのちのインナープレート20に対して外側のみから行うことができる。これにより、支持部材35の先端部35aとインナープレート20の小開口25との間を完全に塞ぐことができるので、管31と一体の支持部材35をしっかり保持できるとともにタンク3内の密閉度も完全になる。しかも、穴つき円板36やその溶接部などは外部から観察されないので、外観維持のための何らの追加作業(研磨仕上げなど)も必要にはならない。
【0039】
図3(c)に示した支持部材35とインナープレート20との結合は、たとえば図4のように実施することも可能である。すなわち、図4の燃料タンク4は、図3の支持部材35に代えてJ字状の支持部材37を使用し、図3の穴つき円板36は省略して、インナープレート20の小開口26とその支持部材37の先端部37aとの間を直接に塞ぐよう、盛り肉38の溶接を行うのである。なお、その溶接が可能なように小開口26の幅は支持部材37の太さ以下に設定しなければならないため、図4の構成を採用する場合には、管31や支持部材37の取付け位置、およびアウタープレートに対するインナープレート20の接合位置について、図3の場合よりも誤差を小さくすることが必要になる。
【0040】
そのほか、たとえば図4の例で、燃料タンク4の閉空間を形成したときに管31の一部がインナープレート20に接する(またはインナープレート20の内側面に押し付けられる)ような位置関係にできるなら、管31とは別体の支持部材37等を使用することなく、溶接やロウ付けの盛り肉(溶接材やロウ)のみによって管31の一部とインナープレート20の内側面とを固着することが可能である。その場合、しいて支持部材を特定するなら、当該盛り肉か管そのものの一部が支持部材に相当するといえる。
【0041】
図5は、従来の一般的なものとして燃料タンク5を示したものであるが、この内部に配置されたブリーザパイプまたはリターンパイプとしての管41・42についても、当然ながら上記と同様に支持することができる。すなわち、図1〜図4に示したようにアウタープレート10やインナープレート20、または他の板材の適所に固着する何らかの支持部材を介して管41または42を支持し、もってそれらの振動抑制等をはかり、しかも、当該固着部分の仕上げ作業を不要にして製作能率を高めることが可能である。
【0042】
【発明の効果】
請求項1に記載した車両用燃料タンクでは、内側に固着した支持部材の作用により車両の走行時等にも内部の管の振動が抑制され、しかも、支持部材の固着によって板材の外側表面に局部的な変形が生じても外観の低下することがない。つまり、内部の管をしっかりと支えて走行中の振動による不都合を回避するという機能上のメリットと、管の支持にともなう板材の研磨仕上げ等を不要してコストを下げ製造能率を高めるという製造上のメリットとが、同時にもたらされる。
【0043】
とくに、支持部材の取り付け剛性を高くすることによって管の振動を一層効果的に抑制することも可能である。
請求項2のタンクでは、タンク内の管の二箇所を支持できるので、振動に対して好ましい。
【0044】
請求項3に記載した車両用燃料タンクなら、アウタープレートとインナープレートとが接合されたのちに、外部から観察されにくいインナープレートに管用の支持部材を固着して、管のうち任意の部分を支えることができる。したがって、管を支えるのにとくに好ましい位置に支持部材を固着でき、しかも、固着部分について外側表面から仕上げ作業を行う必要がなく製造容易である。
【0045】
請求項4に記載の車両用燃料タンクなら、管の振動にともなう不都合がとくに効果的に解消され、タンク内の管が適切に補強される。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明の実施に関する一形態を示す図であって、自動二輪車用の燃料タンク1についての縦断面図(図1(a))および底面図(同(b))である。
【図2】発明の実施に関する他の一形態を示す図であって、自動二輪車用の燃料タンク2についての縦断面図である。
【図3】発明の実施に関する他の一形態を示す図であって、自動二輪車用の燃料タンク3についての縦断面図(図3(a))、底面図(同(b))、および同(a)に置けるc部の詳細図(同(c))である。
【図4】発明の実施に関する他の一形態を示す図であって、自動二輪車用の燃料タンク4について、支持部材37等を示す詳細図である。
【図5】自動二輪車用の一般的な燃料タンク5についての側面図(図5(a))および図5(a)におけるb−b断面図(同(b))である。
【図6】従来の燃料タンク6を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1・2・3・4・5 燃料タンク
9 座席
10 アウタープレート
12 給油口
20 インナープレート
25・26 小開口
31・41・42 管
32・33・34・35・37 支持部材
36 穴つき円板

Claims (4)

  1. 車両への搭載状態で外部より観察される部分と観察されない部分とを備えていて、板材により閉空間が形成され、その閉空間内に管が配置された車両用燃料タンクであって、
    閉空間の内部で上記の管を支える支持部材が、板材のうち給油口においてキャップに覆われる部分の内側面に固着されていることを特徴とする車両用燃料タンク。
  2. 管を支える他の支持部材が、板材のうち座席によって覆われる部分の内側面に固着されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用燃料タンク。
  3. 車両への搭載状態で外部より観察される部分と観察されない部分とを備えていて、板材により閉空間が形成され、その閉空間内に管が配置された車両用燃料タンクであって、
    給油口を備えていて外部より観察される部分が過半を占めるアウタープレートと、観察されない部分が過半を占めるインナープレートとの接合によって閉空間が形成され、
    その閉空間内におさまるようアウタープレートに管が取り付けられ、その管に一体化された支持部材が、アウタープレートと接合された状態のインナープレートの外側より、インナープレートに形成された小開口と当該支持部材との間を塞ぐ接合によってインナープレートに固着されていることを特徴とする車両用燃料タンク。
  4. 管を支える支持部材が、タンク内にある管の端部付近、もしくはタンク内にある管の中間付近、またはそれらのいずれもの箇所において管に結合されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の車両用燃料タンク。
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