JP3580962B2 - 断熱内壁下地構造およびその施工方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、断熱内壁下地構造およびその施工方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、鉄骨構造の建物において、外壁がカーテンウォール構造を採用する場合、特開平8−13654号公報に記載されるように、内壁の施工に際して、縦桟および横桟によって矩形に枠組みされた木製枠材の各区画された枠内部に断熱材を詰め込むとともに、その片面に防水防湿シートを貼着してなる断熱内壁下地パネルを外壁から離隔して床材に立設することにより、断熱内壁下地を形成することが提案されている。
【0003】
この断熱内壁下地は、断熱内壁下地パネルの上端部に金具本体を固定する一方、床材に鉄骨梁に合わせてランナーを固定し、断熱内壁下地パネルの下端部をランナーに差し込むとともに、金具本体を鉄骨梁の下フランジの室内側端縁に当接させ、固定部材を金具本体を通して鉄骨梁の下フランジの室内側端縁部に噛み込ませて固定することにより形成されるものである。この結果、室内空間の断熱性を高めると同時に、外壁裏面と断熱材との間に通風空間を確保して内部結露の発生を防止するようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述した断熱内壁下地を形成する場合、断熱内壁下地パネルの立設位置は、鉄骨梁に合わせて床材に固定されたランナーおよび鉄骨梁の下フランジの室内側端縁に当接する金具本体によって自動的に決定されることから、断熱内壁下地パネルを外壁により近づけて、あるいは、外壁からより離して立設するためには、外壁に対する断熱内壁下地パネルの立設位置に合わせて大きさの異なる複数種類の金具本体が必要になるものである。したがって、大きさが同じ単一の金具本体を使用かぎり、室内空間をより広く確保しようとする場合や、和室に障子を設ける場合、あるいは、柱との関係などにより、外壁からの距離を変えて断熱内壁下地パネルを立設することは不可能である。
【0005】
また、断熱内壁下地パネルは、前述したように、鉄骨梁を基準として位置決めされることから、その立設位置は鉄骨梁の製造上の誤差に影響されることになる。この結果、断熱内壁下地パネルの立設位置に誤差が発生することがあり、その場合には、断熱内壁下地パネルの調整作業が必要になるものである。
【0006】
さらに、鉄骨柱は、通常、出隅部においては隣接する二面が、また、一般部においては隣接する三面が、さらには、入り隅部や中柱においては四面全てが室内側に露出することになるが、このように室内側に露出する少なくとも二面については、単に内壁パネルを取り付けるのみで対応していた。このため、鉄骨柱を通して熱損失が発生するという問題もあった。
【0007】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、鉄骨柱からの熱損失を防止するとともに、断熱内壁下地パネルを部品点数を増やすことなく標準位置もしくは標準位置以外の他の位置に高精度に位置決めして建て込むことのできる断熱内壁下地構造およびその施工方法を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の断熱内壁下地構造は、縦桟および横桟によって矩形に枠組みされた木製下地枠の各区画内に断熱材が詰め込まれ、片面に防水防湿シートが貼着された断熱内壁下地パネルと、鉄骨梁の中心と一致する標準位置から室外側または室内側に一定距離移動させた位置にそれぞれランナーを固定することができる長さとなされ、一端縁に係合片が形成されるとともに、他端縁に係止片が形成されてなるランナー固定金具と、断熱内壁下地パネルの上端部を差し込むことができる断面略コ字状に形成されたランナーと、水平部の一端に上方に向けて折曲された垂直部が形成され、他端には係止片が延設された固定金具と、鉄骨柱に合わせて前記断熱内壁下地パネルがL字状あるいはコ字状に組み立てられた柱用断熱内壁下地パネルと、からなり、柱用断熱内壁下地パネルが、室内側に露出する鉄骨柱の表面の二面または三面に沿って装着され、ランナー固定金具の係合片が鉄骨梁の下フランジの外壁側端縁に係合されるとともに、このランナー固定金具の係止片が鉄骨梁の下フランジの室内側端縁に折り返されて係止され、鉄骨梁の下方フランジに間隔をおいて複数個のランナー固定金具が取り付けられ、これらのランナー固定金具にわたって、鉄骨梁の中心と一致した標準位置あるいはこの標準位置から室外側または室内側に一定距離移動させた位置にランナーが固定され、このランナーの固定位置に合わせて床材および柱用断熱内壁下地パネルに間隔をおいて複数個の固定金具が固定され、断熱内壁下地パネルの上端部がランナーに差し込まれるとともに、下端部背面もしくは下端部背面とともに側端部背面が固定金具の垂直部に当接された状態で固定金具の係止片が折り返されてこの係止片と断熱内壁下地パネルとが固定されたことを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明の断熱内壁下地の施工方法は、室内側に露出する鉄骨柱の表面に柱用断熱内壁下地パネルを装着した後、鉄骨梁の下方フランジに、鉄骨梁の中心と一致する標準位置から室外側または室内側に一定距離移動させた位置にそれぞれランナーを固定することができる長さとなされたランナー固定金具を、間隔をおいて複数個取り付け、これらのランナー固定金具にわたって、鉄骨梁の中心と一致した標準位置あるいはこの標準位置から室外側または室内側に一定距離移動させた位置にランナーを固定する一方、水平部の一端に上方に向けて折曲された垂直部が形成され、他端には係止片が延設された固定金具を、ランナーの固定位置に合わせて床下地材および柱用断熱内壁下地パネルにそれぞれ間隔をおいて複数個固定し、ランナーに断熱内壁下地パネルの上端部を差し込んでその下端部背面もしくは下端部背面および側端部背面を固定金具の垂直部に当接させ、固定金具の係止片を折り返して断熱内壁下地パネルに固定することを特徴とするものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例の形態を図面に基づいて説明する。
【0011】
図1乃至図4には、本発明の断熱内壁下地構造1が示されている。
【0012】
この断熱内壁下地構造1は、鉄骨梁Hのフランジh1に間隔をおいて取り付けられた複数個のランナー固定金具2と、これらのランナー固定金具2にわたってビスを介して固定されたランナー3と、床材Fにビスを介して固定された固定金具4と、これらのランナー3および固定金具4によって外壁Wから一定距離離れた床材F上に建て込まれた断熱内壁下地パネル5と、柱Pに装着された柱用断熱内壁下地パネル6と、から構成されている。
【0013】
まず、ランナー固定金具2は、鋼板を折り曲げて形成され、図5に示すように、取り付け部211、この取り付け部211の両側端から上方に向けて折曲された垂直部212およびこれらの垂直部212の上端から外方に向けて折曲された当接部213を備える断面逆ハット状の下地材21と、この下地材21の各垂直部212の一端縁に連続して形成され、鉄骨梁Hの下フランジh1の端縁に係合可能な係合部22aを有する係合片22と、下地材21の各当接部213の他端縁に連続して形成され、上方に向けて折曲された係止片23と、からなり、係合片22の係合部22aと係止片23との間隔は、鉄骨梁Hの下フランジh1の幅に設定されている。
【0014】
このランナー固定金具2を鉄骨梁Hに取り付けるには、まず、下地材21の当接部213を鉄骨梁Hの下フランジh1の下面に当接させた状態で係合片22の係合部22aを鉄骨梁Hの下フランジh1の外壁側端縁に係合させた後、係止片23を折り返して鉄骨梁Hの下フランジh1の室内側端縁に係止すればよい(図6参照)。
【0015】
一方、ランナー3は、後述する断熱内壁下地パネル5の上端部を差し込むことができるように、断面略コ字状に形成されている。そして、ランナー3は、基準位置から設定された距離をおいてランナー固定金具2の下地材21の取り付け部211に付された墨出し線に合わせてビスを介して固定されるものである。この際、ランナー3は、その中心と鉄骨梁Hの中心とが一致する標準位置(図7(a)参照)あるいはランナー固定金具2の長さの範囲内においてその標準位置から室外側または室内側に一定距離移動させた位置(図7(b),(c)参照)にそれぞれ固定することができる。
【0016】
また、固定金具4は、図8に示すように、断熱内壁下地パネル5の奥行きに相当する長さに形成された水平部41および水平部41の一端に上方に向けて折曲された垂直部42によって断面L字状に折曲されており、水平部41の他端には係止片43が延設されている。そして、水平部41および係止片43には、それぞれ複数個のビス穴41a,43aが形成されている。このように構成された固定金具4は、前述したランナー3の固定位置に合わせて床材Fに付された墨出し線に沿って固定されるものであり、その垂直部42に断熱内壁下地パネル5の下端部背面が当接するようになっている。
【0017】
なお、固定金具4は、図9に示すように、鉄骨柱Pに装着された後述する柱用断熱内壁下地パネル6にも固定されており、鉄骨柱Pに沿って建て込まれた断熱内壁下地パネル5の側端部背面を当接して支持するようになっている。この場合においても、固定金具4は、ランナー3の固定位置に合わせて柱用断熱内壁下地パネル6に付された墨出し線に沿って固定される。
【0018】
さらに、断熱内壁下地パネル5は、縦桟および横桟によって矩形に枠組みされた木製枠材51の各区画された空間内にロックールやグラスウールなどの断熱材52を詰め込み、片面に防水防湿シート(図示せず)を貼着して形成されている。
【0019】
また、柱用断熱内壁下地パネル6は、断熱内壁下地パネル5と同様に、縦桟および横桟によって矩形に枠組みされた木製枠材61の各区画された空間内にロックールやグラスウールなどの断熱材62を詰め込み、片面に防水防湿シート(図示せず)を貼着して形成されている。そして、この柱用断熱内壁下地パネル6は、一般部においては室内側に露出することになる鉄骨柱Pの隣接する三面に装着され(図10(a)参照)、また、出隅部においては室内側に露出することになる鉄骨柱Pの隣接する二面に装着され(図10(b)参照)、さらに、入り隅部や中柱においては鉄骨柱Pの四面全てに装着されるものである(図10(c)参照)。この結果、鉄骨柱Pの室内側に露出する側面からの熱損失は確実に防止されることから、より高い断熱性能を確保することができる。
【0020】
この場合、装着する鉄骨柱Pに合わせて柱用断熱内壁下地パネル6をL字状あるいはコ字状に組み立て、両面テープを介して鉄骨柱Pに被せて仮固定するようにしている(図11参照)。
【0021】
なお、床材Fは、ALC(軽量気泡コンクリート)床f1と、このALC床f1の上に防湿シート(図示せず)を介して順次敷設されたパーティクルボードf2および床板f3から構成されている(図3参照)。
【0022】
次に、このような断熱内壁下地構造1を形成するには、まず、柱用断熱内壁下地パネル6を装着する鉄骨柱Pに合わせてL字状あるいはコ字状に組み立て、両面テープを介して柱Pに被せて仮固定する。次いで、複数個のランナー固定金具2を一定間隔をおいて鉄骨梁Hの下フランジh1に取り付ける。すなわち、ランナー固定金具2の下地材21の当接部213を鉄骨梁Hの下フランジh1の下面に当接させた状態で係合片22の係合部22aを鉄骨梁Hの下フランジh1の外壁側端縁に係合させた後、係止片23を鉄骨梁Hの下フランジh1の室内側端縁に折り返して係止する。
【0023】
ランナー固定金具2が取り付けられたならば、ランナー固定金具2の下地材21の取り付け部211に基準位置から設定された距離をおいて墨を打ち、その墨出し線に合わせてランナー3を配置し、ビスを介して固定する。さらに、ランナー3の固定位置に合わせて床材Fおよび柱用断熱内壁下地パネル6の横桟に墨を打ち、その墨出し線に合わせて一定間隔をおいて複数個の固定金具4をビスを介して固定する。この結果、ランナー3および固定金具4は、家を建築する際の基準位置から正確に距離をおいて位置決めされることになり、鉄骨梁Hを基準とする場合よりも精度を大幅に向上させることができる。
【0024】
次いで、断熱内壁下地パネル5を把握し、その上端部をランナー3に差し込むとともに、その下端部背面を固定金具4の垂直部42に当接させた後、固定金具4の係止片43を上方に向けて折り返して断熱内壁下地パネル5の下端部表面に密着させ、ビスを介して固定する。この際、鉄骨柱Pに隣接して建て込む断熱内壁下地パネル5については、その下端部背面とともに側端部背面がそれぞれ床材Fに固定された固定金具4および柱用断熱内壁下地パネル6に固定された固定金具4に当接されて固定されるものである。このように、鉄骨柱Pに隣接して建て込まれた断熱内壁下地パネル5が固定されることにより、相互に柱用断熱内壁下地パネル6も固定されることになる。以下、同様に他の面についても断熱内壁下地パネル5を建て込んで区画する。
【0025】
この際、外壁Wに窓を取り付けるための開口部が形成されている場合は、その開口部に合わせて開口部5a(図1参照)を有する断熱内壁下地パネル5から建て込む。そして、断熱内壁下地パネル5の建て込みが終了すれば、詳細には図示しないが、開口部5aに窓額縁を嵌め込んで固定し、断熱内壁下地パネル5の開口部5aと窓額縁の周囲との間に形成された空間に断熱材を詰め込む。その後、石膏ボードなどの内壁ボード7を取り付けた後、天井8を施工すればよい(図2および図3参照)。
【0026】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、鉄骨柱からの熱損失を防止するとともに、断熱内壁下地パネルを部品点数を増やすことなく標準位置もしくは標準位置以外の他の位置に高精度に位置決めして建て込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の断熱内壁下地構造を示す説明図である。
【図2】本発明の断熱内壁下地構造を有する内壁の縦断面図である。
【図3】図2の内壁を一部省略して示す拡大図である。
【図4】本発明の断熱内壁下地構造を有する内壁を一部省略して示す横断面図である。
【図5】ランナー固定金具を示す斜視図である。
【図6】鉄骨梁、ランナー固定金具およびランナーの関係を示す斜視図である。
【図7】ランナー固定金具に対するランナーの固定位置を示す断面図である。
【図8】固定金具を示す斜視図である。
【図9】鉄骨柱に装着された柱用断熱内壁下地パネルに固定金具を固定して断熱内壁下地パネルを取り付ける場合の説明図である。
【図10】鉄骨柱に装着した柱用断熱内壁下地パネルを示す横断面図である。
【図11】鉄骨柱に柱用断熱内壁下地パネルを取り付ける場合の説明図である。
【符号の説明】
1 断熱内壁下地構造
2 ランナー固定金具
3 ランナー
4 固定金具
5 断熱内壁下地パネル
6 柱用断熱内壁下地パネル
H 鉄骨梁
h1 下フランジ
W 外壁
F 床材
P 鉄骨柱
Claims (2)
- 縦桟および横桟によって矩形に枠組みされた木製下地枠の各区画内に断熱材が詰め込まれ、片面に防水防湿シートが貼着された断熱内壁下地パネルと、鉄骨梁の中心と一致する標準位置から室外側または室内側に一定距離移動させた位置にそれぞれランナーを固定することができる長さとなされ、一端縁に係合片が形成されるとともに、他端縁に係止片が形成されてなるランナー固定金具と、断熱内壁下地パネルの上端部を差し込むことができる断面略コ字状に形成されたランナーと、水平部の一端に上方に向けて折曲された垂直部が形成され、他端には係止片が延設された固定金具と、鉄骨柱に合わせて前記断熱内壁下地パネルがL字状あるいはコ字状に組み立てられた柱用断熱内壁下地パネルと、からなり、柱用断熱内壁下地パネルが、室内側に露出する鉄骨柱の表面の二面または三面に沿って装着され、ランナー固定金具の係合片が鉄骨梁の下フランジの外壁側端縁に係合されるとともに、このランナー固定金具の係止片が鉄骨梁の下フランジの室内側端縁に折り返されて係止され、鉄骨梁の下方フランジに間隔をおいて複数個のランナー固定金具が取り付けられ、これらのランナー固定金具にわたって、鉄骨梁の中心と一致した標準位置あるいはこの標準位置から室外側または室内側に一定距離移動させた位置にランナーが固定され、このランナーの固定位置に合わせて床材および柱用断熱内壁下地パネルに間隔をおいて複数個の固定金具が固定され、断熱内壁下地パネルの上端部がランナーに差し込まれるとともに、下端部背面もしくは下端部背面とともに側端部背面が固定金具の垂直部に当接された状態で固定金具の係止片が折り返されてこの係止片と断熱内壁下地パネルとが固定されたことを特徴とする断熱内壁下地構造。
- 室内側に露出する鉄骨柱の表面に柱用断熱内壁下地パネルを装着した後、鉄骨梁の下方フランジに、鉄骨梁の中心と一致する標準位置から室外側または室内側に一定距離移動させた位置にそれぞれランナーを固定することができる長さとなされたランナー固定金具を、間隔をおいて複数個取り付け、これらのランナー固定金具にわたって、鉄骨梁の中心と一致した標準位置あるいはこの標準位置から室外側または室内側に一定距離移動させた位置にランナーを固定する一方、水平部の一端に上方に向けて折曲された垂直部が形成され、他端には係止片が延設された固定金具を、ランナーの固定位置に合わせて床下地材および柱用断熱内壁下地パネルにそれぞれ間隔をおいて複数個固定し、ランナーに断熱内壁下地パネルの上端部を差し込んでその下端部背面もしくは下端部背面および側端部背面を固定金具の垂直部に当接させ、固定金具の係止片を折り返して断熱内壁下地パネルに固定することを特徴とする断熱内壁下地の施工方法。
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JP27201196A JP3580962B2 (ja) | 1996-10-15 | 1996-10-15 | 断熱内壁下地構造およびその施工方法 |
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JPH10115023A JPH10115023A (ja) | 1998-05-06 |
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