JP3580143B2 - カラオケ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、複数のカラオケ曲をつないで演奏するメドレー演奏が可能なカラオケ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
カラオケ装置の一般的な演奏形態は、リクエストされたカラオケ曲を1曲ずつ演奏してゆくものである。このような従来のカラオケ装置でもメドレー演奏をすることができたが、このメドレー演奏は、もともと複数の曲を1曲にまとめたメドレー曲用の演奏データに基づいて演奏するものであり、カラオケ装置の動作は通常の1曲の演奏と変わりないものであった。しかし、近年、複数の独立したカラオケ曲を切れ目なしに連続して演奏するメドレー演奏が可能なカラオケ装置も提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、複数のカラオケ曲をメドレー演奏するときに、メドレー演奏する曲を1曲ずつ指定するのは面倒であった。
【0004】
この発明は、通常のカラオケ曲のリクエストと同じ操作で複数のカラオケ曲をつないだメドレー曲をリクエストできるカラオケ装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、記憶手段と、入力手段と、複数の音源と、制御手段とを備えるカラオケ装置であって、記憶手段は、複数の楽曲データと、少なくとも1つのメドレー記述ファイルを記憶し、各楽曲データは、音源を設定する設定データを含み、メドレー記述ファイルは、識別コードに対応するとともに、複数の楽曲データを順に指定する指定データと、指定された各楽曲データ間を接続するブリッジデータを含み、入力手段は、利用者から識別コードの入力を受け付け、各音源は、制御手段の制御にしたがって、楽曲データ、ブリッジデータを演奏し、制御手段は、入力手段が入力を受け付けた識別コードに対応するメドレー記述ファイルに基づき、第1、2処理にしたがって、順次、複数の音源に演奏させ、第1処理は、演奏中の楽曲データの演奏終了前に、指定データが指定する次の楽曲データの設定データを演奏中の音源とは異なる別の音源に設定し、第2処理は、第1処理における別の音源に対し、演奏中の楽曲データと次の楽曲データの間を接続するブリッジデータを演奏させた後、次の楽曲データを演奏させることを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、メドレー記述ファイルは、指定データが指定する各楽曲データの移調情報を含み、制御手段は、メドレー記述ファイルが指定する各楽曲データをその移調情報にしたがって移調して音源に演奏させることを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、メドレー記述ファイルは、指定データが指定する各楽曲データの移調許可範囲情報を含み、制御手段は、メドレー記述ファイルが指定する各楽曲データを移調許可範囲情報の範囲で移調して音源に演奏させることを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1〜3の発明において、指定データは、各楽曲データの一部の演奏区間を指定するデータであり、制御手段は、楽曲データの演奏時、指定データによって指定される演奏区間のみを音源に演奏させることを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1を参照してこの発明の実施形態であるカラオケ装置が実行するメドレー演奏について説明する。通常のカラオケ演奏時は、図1(A)に示すようにカラオケ曲の演奏データの先頭から末尾までを読み出して1曲全体を演奏する。メドレー記述ファイルは、メドレー演奏する複数の楽曲データを指定する指定データ、メドレー区間を指定する区間指定データおよび各メドレー区間をつなぐブリッジデータを有している。区間指定データはメドレースタートアドレスとメドレーエンドアドレスで構成れている。
【0011】
メドレー演奏は、複数の演奏データのメドレー区間をつないで演奏するものであるが、同図(B)に示すように各メドレー区間の間にブリッジデータを挟んで演奏することによって演奏のつながりを良くする。ブリッジデータはその次に演奏するメドレー区間に対応したものであり、調,リズム,和音などを前のメドレー区間からこれから演奏するメドレー区間へ移行させるなどメドレー区間の前奏の役割をはたすものである。
【0012】
この発明では、1つのメドレー記述ファイルにメドレー演奏する楽曲データを指定するデータとその個別のブリッジデータを対応して記憶しているため、それぞれのブリッジデータを対応するメドレー区間に自然につないで、流れのよいメドレー曲の演奏をすることができる。さらに、このメドレー記述データは、通常の楽曲データと同様の曲番号で識別されるため、利用者は通常のリクエスト操作と同じ操作でメドレー曲をリクエストすることができる。
【0013】
また、カラオケ曲を演奏するための演奏データは、楽音の発音、消音を指示するのみならず、音源にどのような楽音を発生させるかなどを設定する設定データを含んでいる。これは、たとえばMIDIフォーマットの場合、コントロールチェンジメッセージ、プログラムチェンジメッセージまたはシステムエクスクルーシブメッセージなどの形式で送信される。一般的なカラオケ曲の演奏においては、曲の先頭でその曲に合わせた音源等の設定を行い、演奏中にその曲の場面の変化などに合わせて設定を変更する。このため、設定データは、演奏データの先頭にまとめて書き込まれるとともに、必要に応じて途中の所々に書き込まれる。通常のカラオケ曲の演奏時には、先頭から順にカラオケ演奏しながら設定データを読み込めばよいが、メドレー演奏の場合、メドレースタートアドレスまで早読みして設定データのみ音源等に設定する必要がある。このために数十秒の時間を要するが、カラオケ演奏部を2系統設けて一方の系統でメドレー演奏している間に他方の系統で次のメドレー区間の設定を行っておくことにより、演奏の空隙を無くした。そして、メドレー区間とメドレー区間をつなぐブリッジデータを次のメドレー区間を演奏するカラオケ演奏部を用いて演奏することにより、次の音源等の設定で楽音を発生することができ、次によくつながる音色でブリッジデータを演奏することができる。また、このブリッジデータの読み出しを直前のメドレー区間の演奏が終了したシーケンサで行わせることにより、メドレースタートアドレスまで読み出してスタンバイしている他方のシーケンサの負担を軽減することができる。
【0014】
図2のカラオケ装置のブロック図を参照して具体的に説明する。このカラオケ装置は、ハードディスク14およびDVD(デジタル・ビデオ・ディスク)にカラオケ曲演奏用の楽曲データを約1万曲分記憶しており、利用者がリモコン3を用いて曲番号(4桁の歌手番号+2桁の歌手別曲番号)を入力すると、その曲番号の楽曲データを読み出してカラオケ曲を演奏する。
【0015】
また、このカラオケ装置は複数の曲を連続演奏するメドレー曲を演奏することもできる。このメドレー曲の演奏は、1つの楽曲データ(メドレー曲)として編集されたものを演奏するのではなく、複数の楽曲データの一部区間(メドレー区間)を連続して演奏することによって実現される。メドレー曲の演奏に用いる複数の楽曲データおよび各楽曲データのメドレー区間を指示したファイルがメドレー記述ファイルとしてハードディスク14またはDVDに記憶されており、通常の楽曲データと同じ構成の曲番号で識別される。メドレー曲を識別する曲番号には、メドレー曲用の歌手番号(5300−xx)が付されている。各メドレー区間をつなぐ短い演奏データであるブリッジデータもこのメドレー記述ファイル中に含まれている。
【0016】
このようなメドレー演奏を可能にするため、このカラオケ装置は、音源や効果用DSPを含むカラオケ演奏部を2系統備え、一方の系統で1曲目のメドレー区間を演奏しているとき、他方の系統で2曲目のメドレー区間を演奏するためのセットアップを行い、セットアップ時間なしで次の楽曲データに移行して演奏を引き継ぎできるようにしている。
【0017】
同図において、装置全体の動作を制御するCPU10には、バスを介してROM11、RAM12、ハードディスク記憶装置(HDD)14、通信制御部15、リモコン受信部16、表示パネル17、パネルスイッチ18、音源装置19a,19b、音声データ処理部20a,20b、効果用DSP21a,21b,21c、ミキサ22、文字表示部23、DVDチェンジャ24および表示制御部25が接続されている。音源装置19、音声データ処理部20、DSP21がそれぞれ複数系統(2系統)設けられているのは、メドレー演奏を切れ目なく実行するためである。
【0018】
また、ミキサ22にはアンプスピーカ26が接続されており、効果用DSP21cにはボーカル用のマイク27が接続されている。表示制御部25にはモニタ28が接続されている。これらアンプスピーカ26、ボーカル用マイク27およびモニタ28はカラオケ装置本体とは別体となっている。
【0019】
前記ROM11には起動プログラムなどが記憶されている。起動プログラムはこの装置の電源オン時に読み出され、ハードディスク記憶装置14に記憶されているシステムプログラムをRAM12に読み出してこの装置を立ち上げる。システムプログラムは、この装置の基本動作や周辺機器とのデータ送受を制御するプログラムである。カラオケ実行プログラム群は、システムプログラムによって自動的に立ち上げられ、図7〜図11のフローチャートに示すような動作を実行する。ローダは、システムプログラムによって自動的に立ち上げれ、電話回線を介した配信センタからの呼び出しに応答し、カラオケ演奏用の楽曲データなどをダウンロードするためのプログラムである。この応答やダウンロードは、通信制御部15を介して行われる。
【0020】
RAM12には、上記プログラム読出エリアおよび2曲分の楽曲データ読出エリアが設定される。楽曲データ読出エリアは、利用者がリクエスト(曲番号を入力)したカラオケ曲の楽曲データを読み出すエリアであり、このエリアに読み出した楽曲データを用いてカラオケ演奏が実行される。2曲分の楽曲データ読出エリアはメドレー曲演奏時に使用され、現在演奏しているメドレー区間(カラオケ曲)の楽曲データと次に演奏するメドレー区間の楽曲データが読み出される。また、RAM12には、リモコン3などから利用者が入力した曲番号を記憶する予約リストや各種レジスタなどが設定される。
【0021】
通信制御部15は、センタから新曲のデータをダウンロードしてHDD14に書き込む。通信制御部15はDMA回路を内蔵しており、ダウンロードされた新曲データをCPU10を介さずに直接HDD14に書き込むことができる。ダウンロードされる新曲データには、通常のカラオケ曲の楽曲データやメドレー曲のメドレー記述ファイルがある。
【0022】
リモコン受信部16はリモコン3から送られてくる赤外線信号を受信してデータを復元する。リモコン3はテンキーやモード切換キーなどの各種キースイッチを備えており、利用者がこれらのスイッチを操作すると、その操作に応じたコードの赤外線信号を送信する。利用者は上記各種キースイッチのオンシーケンスによって、カラオケ装置本体に曲番号を入力することができる。この同じキーシーケンスで通常のカラオケ曲のみならずメドレー曲をリクエストすることもできる。
【0023】
表示パネル17は入力された曲番号などを表示するためのLED表示器などを含んでいる。また、パネルスイッチ18はテンキーのほか上記リモコン3と同種のキースイッチを含んでおり、このパネルスイッチを操作して曲番号を入力することもできる。
【0024】
上記のようにこのカラオケ装置は、2系統(a系統,b系統)のカラオケ演奏部(音源装置19,音声データ処理部20,効果用DSP21)を備えている。これは、メドレーモード時に前曲のカラオケ演奏と次曲のカラオケ演奏と別系統で行うことにより、演奏が前曲から次曲に切り換わるとき、すなわち、現在の楽曲データから次の楽曲データへ移行するときの演奏の引き継ぎをスムーズに行うためである。1曲のみ演奏する通常のモード時には、いずれか一方の系統のみ用いてもよく、両方の系統を動作させて厚みのある音作りをしてもよい。
【0025】
以下、一方の系統について説明する。音源装置19は、CPU10から入力される種々の設定データでセットアップされ、CPU10から入力されるノートイベントデータに基づいて楽音信号を形成する。設定データはたとえば波形の変調やフィルタの程度を制御するコントロールチェンジや音色を変更するプログラムチェンジなどである。ノートイベントデータは楽音の発音を指示するノートオンデータや楽音の消音を指示するノートオフデータなどからなる。これら設定データやノートイベントデータは、楽曲データの楽音トラック,メロディトラック,リズムトラックに曲の進行順にタイミングデータとともに時系列に書き込まれている。
【0026】
音声データ処理部20は、音声データに基づいてバックコーラスなどの音声信号を形成する。音声データは、音源装置19で電子的に発生しにくい信号波形(バックコーラスなど)を生の音声信号からADPCMデータ化したものであり、音声データ処理部20はこれを伸長して出力する。
【0027】
効果用DSP21は音源装置19から入力された楽音信号や音声データ処理部20が伸長した音声信号に対して種々の効果を付与する。効果を付与されたカラオケ演奏音はミキサ22に出力される。
【0028】
一方、歌唱用のマイク27はプリアンプ30に接続されている。マイク27から入力された歌唱音声信号はプリアンプ30で増幅されA/Dコンバータ31でディジタル信号に変換されたのち効果用DSP21cに入力される。効果用DSP21cは、歌唱音声信号にエコーなどの効果を付与したのちミキサ22に出力する。ミキサ22はDSP21a,21b,21cから入力されたカラオケ演奏音および歌唱音声信号を適当な比率でミキシングしアナログ信号に変換したのちアンプスピーカ26に出力する。アンプスピーカ26はこのアナログ信号を増幅してスピーカから放出する。
【0029】
なお、DSP21a,21b,21cに付与される効果の種類および程度は、CPU10から入力されるDSPコントロールデータによって制御される。DSPコントロールデータは、楽曲データのDSPコントロールトラックに曲の進行順にタイミングデータとともに時系列に記憶されており、CPU10がカラオケ演奏の所定タイミングに読み出してDSP21に入力する。
【0030】
文字表示部23には、カラオケ曲の曲名や歌詞を表示するための文字表示データが入力される。文字表示データは楽曲データの文字表示トラックに書き込まれているデータであり、上記楽音トラックに基づくカラオケ演奏に同期して曲名や歌詞が表示され、且つ、表示色が変更されるようにタイミングデータとともにインプリメントされている。文字表示部23は、この文字表示データに基づいて曲名か歌詞などの文字パターンを生成する。また、DVDチェンジャ24は、カラオケ演奏時にDVDにMPEGフォーマットで記録されている映像を再生する。CPU10は演奏するカラオケ曲のジャンルデータなどに基づいてどのような背景映像を再生するかを決定し、その背景映像のチャプタナンバをDVDチェンジャ24に送信する。DVDチェンジャ24は、このCPU10が指定するチャプタの映像を複数枚(5枚程度)のDVDのなかから選択して再生する。上記文字表示部23が生成した文字パターンおよびDVDチェンジャ24が再生した背景映像は表示制御部25に入力される。表示制御部25は背景映像の上に文字パターンをスーパーインポーズで合成してモニタ28に表示する。
【0031】
上記構成のカラオケ装置において、利用者がリモコン3などから曲番号を入力すると、この曲番号は、RAM12の予約リストに登録される。装置は、予約リストの上位に登録されている曲から順にカラオケ演奏を実行する。通常のカラオケ曲がリクエストされた場合には、その曲の楽曲データを読み出して演奏する。メドレー曲がリクエストされた場合には、そのメドレー曲のメドレー記述ファイルを読み出し、このメドレー記述ファイル中に指定されている楽曲データを順次読み出して、そのメドレー区間をa系統,b系統のカラオケ演奏部で交互に演奏する。
【0032】
図3、図4および図5を参照して同カラオケ装置で用いられる楽曲データ、メドレー記述データについて説明する。図3は楽曲データの構成を示す図である。図4はメドレー記述ファイルの構成を示す図である。図5は曲番号のインデックスファイルの構成を示す図である。
【0033】
図3において、楽曲データは、ヘッダ、トラック群、音声データ部で構成されている。ヘッダには、曲番号やタイトルなどの書誌データが書き込まれている。トラック群は、音源装置19を制御する楽音トラックのほか、歌詞などの文字表示を制御する歌詞トラック、音声データ処理部20に入力する音声データを制御する音声制御トラック、効果用DSP21を制御する効果制御トラックなどで構成されている。
【0034】
楽音トラックは、ノートイベントデータや設定データなどのイベントデータと各イベントデータの読出タイミングを示すタイミングデータを時系列に配列して構成されている。タイミングデータは、各イベントデータ間の時間的間隔を示している。CPU10は、先頭から順次トラックのデータを読み出してゆき、イベントデータを読み出すとこれを音源装置19に出力する。このデータを受け取った音源装置19は、楽音を発音/消音したり、楽音形成機能を変更したりする。また、タイミングデータを読み出すと、テンポクロックに合わせてこれをカウントダウンし、カウント値が0になったとき次のデータを読み出す。
【0035】
歌詞トラックは、当該カラオケ曲の曲名や歌詞をインプリメントしたシーケンスデータであり、イベントデータである文字表示データと各イベントデータの時間的間隔を示すタイミングデータで構成されている。なお、この歌詞トラックのデータは汎用のMIDIデータではないが、インプリンメンテーションの統一をとり作業工程を容易にするため、このトラックを含めて音声制御トラック,効果制御トラックなどは全てMIDI形式で記述されている。歌詞トラックのイベントデータは、1行の歌詞の文字データ、この歌詞の表示座標、および、色替えや消去を制御するワイプシーケンスデータからなっている。
【0036】
音声制御トラックは、音声データ部に記憶されている複数種類のバックコーラスデータの再生タイミングを制御するためのトラックであり、イベントデータである音声指定データおよびタイミングデータで構成されている。音声指定データはどの音声データをどの周波数にピッチシフトしてどの音量で発音するかを指定する内容になっている。
【0037】
また、効果制御トラックは、効果用DSP21a,21b,21cの機能を制御するためのイベントデータおよびタイミングデータで構成されている。イベントデータは、楽音信号に対してどのような効果をどの程度付与するかを指示するデータである。
【0038】
トラック群の先頭には、演奏開始前に音源装置19や効果用DSP21をこの曲の演奏に適した状態にセットアップするための初期化用の設定データ(コントロールチェンジデータやプログラムチェンジデータなど)が書き込まれている。カラオケ装置は、この初期化用設定データを読み出して音源19やDSP21に入力することにより、音源19やDSP21を演奏スタートできる状態にセットアップし、続いてこの演奏データから読み出したノートイベントデータなどに基づいて楽音を形成してゆく。そして、曲の途中にも必要に応じて設定データが書き込まれており、曲の進行に応じた設定の変更が行われるようになっている。
【0039】
図4はメドレー記述ファイルの構成を示す図である。メドレー記述ファイルは、ヘッダ、メドレー演奏する楽曲データを指示する複数のメドレー区間設定データ、各メドレー区間をつなぐブリッジデータで構成されている。ヘッダには、このメドレー曲の曲番号、タイトル(曲名)、キーコントロール許可範囲、総演奏時間が書き込まれている。総演奏時間は全てのメドレー区間およびブリッジデータの演奏時間を合計したものである。
【0040】
また、メドレー区間設定データは、楽曲データを指定する曲番号、その楽曲データ中のメドレー区間のスタートアドレス、メドレー区間のエンドアドレス、このメドレー区間を演奏したのち次のメドレー区間との間に演奏するブリッジデータを指定するブリッジ番号、および、このメドレー区間のオリジナルのキーからどれだけキーを上下するかを指示するキーシフト量の各データからなっている。
【0041】
図6を参照して、各メドレー区間のキーシフト量とこのメドレー曲全体のキーコントロール許可範囲について説明する。カラオケ装置は、歌唱者の声域に合わせて曲のキー(調性)を上下する機能を有しており、これをキーコントロール機能という。キーコントロールは、音源の発音機能やデジタルオーディオ(DSP等)の処理機能の範囲で+7半音(5度上)〜−7半音(5度下)の上下が可能である。
【0042】
一方、メドレー曲の各メドレー区間(楽曲データ)のキーはまちまちでそのまま連続演奏するとつなぎ目で不自然な転調が生じてしまい、メドレー演奏が流れの悪いものになってしまう。そこで、各メドレー区間が自然な関係の調性になるようにキーシフトするようにし、このキーシフト量を各メドレー区間設定データに書き込んでいる。キーシフトは、図6に示すように各メドレー区間の調性を同じ調(または同主調)や、5度上の調、5度下の調など自然な転調でつなぐことができる関係の調になるように行う。
【0043】
ところで、メドレー演奏時には、ユーザ操作とは無関係に上記のようにキーシフトされるが、カラオケ装置のキーコントロール機能は、楽曲データに記述されている最初の調から+7半音〜−7半音の範囲でキーを上下する機能であり、上記のようにキーシフトされているとユーザがキーを上下できる範囲がずれることになる。各メドレー区間は、その曲のオリジナルのキーとメドレーとして合わせる調の関係に応じてキーシフトされるため、それぞれユーザがコントロールできる範囲にずれができ、その全てが重なり合った範囲が、このメドレー曲としてユーザにキーコントロールを許可できる範囲となる。すなわち、この範囲を外れてキーコントロールを許可すると、いずれかのメドレー区間のキーがオリジナルから+7半音〜−7半音の範囲から外れてしまうことになる。そして、ヘッダには、このユーザにキーコントロールを許可できる範囲がキーコントロール許可範囲として書き込まれている。カラオケ装置は、メドレー曲を演奏するとき、このキーコントロール許可範囲のデータを読み出し、この範囲内でユーザのキーの上下を許可する。
【0044】
メドレー演奏時には、2系統(a系統,b系統)のカラオケ演奏部を駆動するため、2系統(a系統,b系統)のシーケンスプログラム(カラオケ演奏プログラム)が並行して動作する。メドレー区間の演奏時には、a系統のシーケンスプログラムがa系統のカラオケ演奏部を駆動し、b系統のシーケンスプログラムがb系統のカラオケ演奏部を駆動するが、ブリッジ部を演奏するときは、メドレー区間の演奏を終了したa系統のシーケンスプログラムが次のメドレー区間の演奏に向けてセットアップされたb系統のカラオケ演奏部を駆動してブリッジ部を演奏し、また、メドレー区間の演奏を終了したb系統のシーケンスプログラムが次のメドレー区間の演奏に向けてセットアップされたa系統のカラオケ演奏部を駆動してブリッジ部を演奏する。
【0045】
図7〜図11のフローチャートおよび図12,図13の図面を参照してこのカラオケ装置の動作について説明する。
図7(A)は、リモコン3などによる予約動作を示すフローチャートである。リモコン3やパネルスイッチ18からカラオケ曲の曲番号が入力されると(s1)、この曲番号を予約リストに登録する(s2)。この登録はFIFOで登録され、一番先に登録されたものが一番先に演奏される。
【0046】
同図(B)は予約曲の確認動作を示すフローチャートである。まずカラオケ曲の演奏中であるかを判断し(s3)、カラオケ曲の演奏中であればそのままリターンする。カラオケ曲の演奏中でなければ予約リストを検索し(s4)、予約曲があるかを判断する(s5)。予約曲がない場合には、BGMを流すなどの対応処理に進む。
【0047】
予約曲がある場合には、予約リストの最上位(先頭)に記憶されている曲番号を読み出して(s6)、この曲の演奏処理に進む。まず、この曲がメドレー曲か否かを判断し(s7)、メドレー曲であればインデックステーブルに基づいてそのメドレー記述ファイルを検索して読み出し(s8)、メドレー演奏処理に進む。一方、通常のカラオケ曲の場合には、その曲番号で指定される楽曲データをインデックステーブルに基づいて読み出し(s9)、この楽曲データの演奏動作を実行する。通常のカラオケ演奏動作は周知であるため説明を省略する。
【0048】
図8〜図10はメドレー演奏処理を示すフローチャートである。
図7(B)の処理でメドレー記述ファイルが読み出されると図8(A)の処理に進む。まずメドレー記述ファイルのヘッダに書き込まれているタイトルをモニタ28に表示し(s11)、ヘッダに書き込まれているキーコントロール許可範囲をキーコン許可範囲レジスタに設定するとともにこの範囲をモニタ28に表示するなどして歌唱者に告知する(s12)。つぎに、1曲目演奏処理を実行するとともに(s13)、これに並行して2曲目の演奏準備処理を実行する(s14)。演奏準備処理は、楽曲データをメドレースタートアドレスまで早読みして音源等を設定する動作を含む。2曲目の演奏準備処理は1曲目の演奏処理よりも早く終了するが、準備が完了すると1曲目の演奏処理が終了するまでスタンバイする。
【0049】
そして、1曲目の演奏処理が終了すると(s15)、スタンバイ曲(2曲目)の演奏処理を実行し(s16)、さらに次の曲の演奏順次処理を実行する(s18)。この演奏処理(s16)と次曲の演奏準備処理(s18)をメドレー区間として指定されている楽曲データが終了するまで行い、最後のメドレー区間の場合には(s17)、その曲の演奏が終了するのを待って(s20)、動作を終了する。
【0050】
図9は1曲目の演奏処理動作を示すフローチャートである。この動作はa系統のシーケンサがa系統のカラオケ演奏部を駆動して行う(図12(A)参照)。まず、メドレー記述ファイルの1曲目のメドレー区間設定データから1曲目の曲番号を読み出し(s21)、この曲番号で指定される楽曲データを読み出す(s22)。そして、この楽曲データのヘッダ、トラックのデータを読み出して音源等に出力することによって音源を初期設定する(s23)。音源18a等がセットアップ動作をしている間にメドレー区間設定データ中のメドレーエンドアドレス,キーシフト量データおよび1曲目と2曲目をつなぐブリッジデータを読み出す(s24,s25)。そして、音源の初期設定が完了すると、1曲目の演奏処理を実行する(s26)。このとき、音源18aに出力するノートデータを上記キーシフト量に基づいてキーシフトして出力する。読出中の楽曲データのアドレスがメドレーエンドアドレスになるまでこの演奏処理を継続し、メドレーエンドアドレスになると楽曲データの演奏を(フェードアウトで)終了して(s27)、先に読み出したブリッジデータの演奏処理を実行する(s28)。この処理は反対側の系統(b系統)のカラオケ演奏部に向けて行われる(図12(B)、図13参照)。このとき、b系統カラオケ演奏部は2曲目の演奏処理のセットアップ動作により、2曲目のメドレー区間の演奏用に既にセットアップが完了しているため(同図(A)参照)、このセットアップ状態を利用して1曲目と2曲目をつなぐブリッジデータを演奏する。ブリッジ区間が終了すると(s29)、2曲目のシーケンサ(図10)にトリガを出力して(s30)、この動作を終了する。
【0051】
図10は、2曲目以後の演奏準備処理動作および演奏処理動作を示すフローチャートである。この処理動作は、2曲目,4曲目,…の偶数曲目はb系統のシーケンサがb系統のカラオケ演奏部に対して行い、3曲目,5曲目,…の奇数曲目はa系統のシーケンサがa系統のカラオケ演奏部に対して行う(図12(A)、(C)参照)。まず、現在演奏されている曲の次のメドレー区間設定データから曲番号を読み出し(s31)、この曲番号で指定される楽曲データを読み出す(s32)。そして、メドレー区間設定データからメドレースタートアドレスを読み出し(s33)、このメドレースタートアドレスまで楽曲データを早読みする(s34)。このとき、読み出したデータのうちノートデータ以外を音源等に出力してセットアップ処理を行う。そして、メドレーエンドアドレス,キーシフト量および次のメドレー区間との間のブリッジデータを読み出して(s35,s36)、現在演奏中のメドレー区間およびブリッジデータの演奏が終了して反対側の系統のシーケンサからトリガがあるまで待機する(s37)。ここまでの動作が図8(A)の演奏準備処理である。
【0052】
反対側の系統のシーケンサからトリガが入力されると(s37)、上記準備処理を完了してスタンバイしているメドレー区間の演奏処理を実行する(s38)。このとき、音源18に出力するノートデータを上記キーシフト量に基づいてキーシフトして出力する。読出中の楽曲データのアドレスがメドレーエンドアドレスになるまでこの演奏処理を継続し、メドレーエンドアドレスになると楽曲データの演奏を(フェードアウトで)終了して(s39)、先に読み出したブリッジデータの演奏処理を実行する(s40)。この処理は反対側の系統のカラオケ演奏部に向けて行われる。ブリッジ区間が終了すると(s41)、次のメドレー区間演奏のためにスタンバイしている反対側の系統のシーケンサにトリガを出力して(s42)この動作を終了する。
【0053】
図11は、最後のメドレー区間の演奏動作を示すフローチャートである。まず、現在演奏されている曲の次の(最後の)メドレー区間設定データから曲番号を読み出し(s51)、この曲番号で指定される楽曲データを読み出す(s52)。そして、メドレー区間設定データからメドレースタートアドレスを読み出し(s53)、このメドレースタートアドレスまで楽曲データを早読みする(s54)。このとき、読み出したデータのうちノートデータ以外を音源等に出力してセットアップ処理を行う。そして、メドレーエンドアドレス,キーシフト量およびエンディングのためのブリッジデータ(エンディングデータ)を読み出して(s55,s56)、現在演奏中のメドレー区間およびブリッジデータの演奏が終了して反対側の系統のシーケンサからトリガがあるまで待機する(s57)。
【0054】
反対側の系統のシーケンサからトリガが入力されると(s57)、セットアップが完了した最後のメドレー区間の演奏処理を実行する(s58)。このとき、音源18に出力するノートデータを上記キーシフト量に基づいてキーシフトして出力する。読出中の楽曲データのアドレスがメドレーエンドアドレスになるまでこの演奏処理を継続し、メドレーエンドアドレスになると楽曲データの演奏を終了して(s59)、先に読み出しているエンディングデータの演奏処理を実行する(s60)。このメドレー区間が最後であり、反対側の系統のカラオケ演奏部は次のメドレー区間のためにセットアップされていないため、このエンディングデータは同じ系統のカラオケ演奏部で行う。エンディングデータが終了すると(s61)、メドレー曲の演奏を終了する。
【0055】
ここで、図8(B)のフローチャートを参照して歌唱者によるキーコントロール操作について説明する。キーコントロールすなわち演奏キー(調性)の上下はリモコン3またはパネルスイッチ18に設けられているキーコントロールスイッチ△,▽を操作して行うことができ、△スイッチを1回オンすると演奏キーが半音上昇し、▽スイッチを1回オンすると演奏キーが半音下降する。キーコンスイッチがオンされると(s70)、この操作によるキーの上下がキーコン許可範囲レジスタに記憶されている許可範囲内であるかを判断し(s71)、範囲外であればこの操作を無視して動作を終了する。許可範囲内であればキーシフトバイアスレジスタを更新する(s72)。このキーシフトバイアスはシーケンサがノートデータを音源に出力するとき、キーシフト量に加算される。
【0056】
なお、ブリッジデータはメドレー記述ファイル内に含まれているが、各カラオケ曲のメドレー区間に個別に対応させて別のデータとして記憶するようにしてもよい。この場合、ダウンロードする場合でも楽曲データ本体とブリッジデータとを別々にダウンロードすることができ、また、ブリッジデータのみの差し替えなども可能になる。
【0057】
また、最後のブリッジ区間が終了したときエンディング用のブリッジデータ(エンディングデータ)を演奏して曲を終了するようにしたが、最後の楽曲データは最後まで演奏してメドレー曲を終了するようにしてもよい。
【0058】
さらに、メドレー記述ファイルにブリッジデータを記憶しておかずに、メドレー演奏中にリアルタイムにブリッジパターンを生成するようにしてもよい。
【0059】
【発明の効果】
以上のようにこの発明によれば、複数のカラオケ曲の一部をメドレー演奏する場合に、各メドレー区間に個別に対応するブリッジデータを記憶しているため、各メドレー区間に自然に引き継ぐことのできる旋律のブリッジを演奏することができ、各曲毎に個別であるためブリッジの演奏が単調なものになることがない。
【0060】
また、ブリッジ部に音源等の設定データを書き込んでおいたことにより、曲の途中であるメドレー区間から演奏データを読み出しても既に音源等が最適に設定されているため、通常のカラオケ演奏と同じ状態の楽音を発生することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明におけるカラオケ曲の演奏の流れを示す図
【図2】この発明の実施形態であるメドレー演奏機能を備えたカラオケ装置のブロック図
【図3】通常のカラオケ曲の楽曲データの構成図
【図4】メドレー演奏用のメドレー記述ファイルの構成を示す図
【図5】インデックステーブルの構成を示す図
【図6】各メドレー区間のキーシフトとキーコントロール許可範囲の関係を説明する図
【図7】同カラオケ装置の動作を示すフローチャート
【図8】同カラオケ装置の動作を示すフローチャート
【図9】同カラオケ装置の動作を示すフローチャート
【図10】同カラオケ装置の動作を示すフローチャート
【図11】同カラオケ装置の動作を示すフローチャート
【図12】シーケンサが駆動するカラオケ演奏部の関係を示す図
【図13】メドレー演奏のタイムシーケンスを示す図
【符号の説明】
19a,19b…音源装置、20a,20b…音声データ処理部、
21a,21b,21c…効果用DSP
Claims (4)
- 記憶手段と、入力手段と、複数の音源と、制御手段とを備えるカラオケ装置であって、
記憶手段は、複数の楽曲データと、少なくとも1つのメドレー記述ファイルを記憶し、
各楽曲データは、音源を設定する設定データを含み、
メドレー記述ファイルは、識別コードに対応するとともに、複数の楽曲データを順に指定する指定データと、指定された各楽曲データ間を接続するブリッジデータを含み、
入力手段は、利用者から識別コードの入力を受け付け、
各音源は、制御手段の制御にしたがって、楽曲データ、ブリッジデータを演奏し、
制御手段は、入力手段が入力を受け付けた識別コードに対応するメドレー記述ファイルに基づき、第1、2処理にしたがって、順次、複数の音源に演奏させ、
第1処理は、演奏中の楽曲データの演奏終了前に、指定データが指定する次の楽曲データの設定データを演奏中の音源とは異なる別の音源に設定し、
第2処理は、第1処理における別の音源に対し、演奏中の楽曲データと次の楽曲データの間を接続するブリッジデータを演奏させた後、次の楽曲データを演奏させる
カラオケ装置。 - メドレー記述ファイルは、指定データが指定する各楽曲データの移調情報を含み、
制御手段は、メドレー記述ファイルが指定する各楽曲データをその移調情報にしたがって移調して音源に演奏させる
請求項1に記載のカラオケ装置。 - メドレー記述ファイルは、指定データが指定する各楽曲データの移調許可範囲情報を含み、
制御手段は、メドレー記述ファイルが指定する各楽曲データを移調許可範囲情報の範囲で移調して音源に演奏させる
請求項2に記載のカラオケ装置。 - 指定データは、各楽曲データの一部の演奏区間を指定するデータであり、
制御手段は、楽曲データの演奏時、指定データによって指定される演奏区間のみを音源に演奏させる
請求項1乃至3に記載のカラオケ装置。
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