JP3580020B2 - ブロック共重合体及びその水添物の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はブロック共重合体をバッチ重合法で繰り返し重合するに際して、ブロック共重合体に含まれるゲル量が少ないブロック共重合体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
共役ジエンとビニル芳香族炭化水素からなるブロック共重合体は比較的ビニル芳香族炭化水素含有量が少ない場合、透明で加硫をしなくても加硫された天然ゴム或は合成ゴムと同様の弾性を常温にて有し、しかも高温で熱可塑性樹脂と同様の加工性を有することから、履物、プラスチックの改質、アスファルト、粘接着分野等で広く利用されている。又、比較的ビニル芳香族炭化水素含有量が多いブロック共重合体は、優れた透明性と耐衝撃性を備えた樹脂であることから、シート、フィルム、射出成形品等に広く使用されている。
【0003】
これらのブロック共重合体の製造方法は古くから知られており、例えば特公昭36−19286号公報、特公昭40−23798号公報、特公昭43−17979号公報、特公昭48−4106号公報、特開昭53−94584号公報、特開昭51−46391号公報等がある。これらのビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなるブロック共重合体は、バッチ重合法で製造され、重合器に触媒の全量を添加した後モノマーを添加する、或は重合器にモノマーを添加した後、触媒の全量を添加する手法がある。また、特開昭53−286号公報にはモノビニル置換芳香族化合物及び開始剤の多段添加を用いた樹脂状モノビニル置換芳香族化合物と共役ジエン共重合体の製造法が記載されている。特公昭60−17407号公報にはブロック共重合体を形成するモノマーの一部を予め回分法により製造し、その後残部のモノマーを連続重合する製造法が記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来のバッチ重合法によるブロック共重合体の製造方法では、ブロック共重合体を形成するモノマー及び触媒を重合器に添加し、重合を開始してから、終了するまで同一の重合器を用いていた。このようなバッチ重合法では、比較的高温で重合を開始しようとする場合、重合バッチ数の増加と共にポリマー中に含まれるゲル量も多くなるため、その改良が望まれていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は炭化水素溶媒中において、少なくとも1個の共役ジエンを主体とする重合体ブロックと少なくとも1個のビニル芳香族炭化水素を主体とする重合体ブロックからなるブロック共重合体又はその水添物をバッチ重合法で製造するに際し、
(a)予めブロック共重合体を形成するビニル芳香族炭化水素を有機リチウム化合物を触媒として、活性重合体を製造した後、
(b)前記活性重合体溶液を製造した重合器とは異なる重合器に移送し、その後、残部の共役ジエン又はビニル芳香族炭化水素或いは共役ジエン及びビニル芳香族炭化水素を順次添加して重合を終了する
ことを特徴とするブロック共重合体又はその水添物の製造方法に関し、更に
(c)前記(b)で得られたブロック共重合体の共役ジエン部分を水素添加し、水添物を得る
ことを特徴とするブロック共重合体の水添物の製造方法に関する。
【0006】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のブロック共重合体のビニル芳香族炭化水素の含有量は10〜95重量%、好ましくは15〜90重量%含有する共役ジエンとビニル芳香族炭化水素とのブロック共重合体である。ブロック共重合体のビニル芳香族炭化水素含有量がこの範囲外では、ブロック共重合体としての特性を発現しないため好ましくない。
【0007】
本発明のブロック共重合体は、一般式が、
A1−(B−A2)n ,A1−(B−A2)n −B,
[A1−(B−A2)k ]m+2 −X
で表される線状ブロック共重合体又はラジアルブロック共重合体、あるいはこれらのブロック共重合体の任意のポリマー構造の混合物である。
【0008】
なお、上記一般式においてA1及びA2はビニル芳香族炭化水素を主体とする重合体ブロックであり、Bは共役ジエンを主体とする重合体ブロックである。AブロックとBブロックとの境界は必ずしも明瞭に区別される必要はない。n、k及びmは1〜5である。Xはカップリング剤の残基であり、カップリング剤としては例えば四塩化ケイ素、四塩化スズ、1,3ビス(N,N−グリシジルアミノメチル)シクロヘキサンなどが挙げられる。
【0009】
ここで一般式のA1、A2で表されるビニル芳香族炭化水素を主体とする重合体ブロックとはビニル芳香族炭化水素含有量が50重量%以上含有するビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとの共重合体ブロック及び/又はビニル芳香族炭化水素単独重合体ブロックを示すが、好ましいA1はビニル芳香族炭化水素単独の重合体ブロックである。A1とA2のビニル芳香族炭化水素及び共役ジエンの組成及びA1とA2の重量は同等であっても異なっていても良い。一般式のBで表される共役ジエンを主体とする重合体ブロックとは共役ジエンを50重量%を超える量で含有する共役ジエンとビニル芳香族炭化水素共重合体ブロック及び/又は共役ジエン単独重合体ブロックを示す。
【0010】
ビニル芳香族炭化水素を主体とする重合体ブロック或は共役ジエンを主体とする重合体ブロック中にビニル芳香族炭化水素と共役ジエンのランダム共重合体部分が存在する場合、共重合されているビニル芳香族炭化水素は重合体ブロック中に均一に分布していても、テーパー(漸減)状に分布していてもよい。また、該共重合体部分はビニル芳香族炭化水素が均一に分布している部分及び/又はテーパー状に分布している部分が複数個共存してもよい。
【0011】
本発明の最大の特徴は、予め有機リチウム化合物を触媒としてブロック共重合体を形成するビニル芳香族炭化水素の活性重合体を製造し、このものを別の重合器に移送し、バッチ重合によってブロック共重合体を製造することである。この活性重合体はブロック共重合体を形成するビニル芳香族炭化水素の一部或いは全部であってもよい。
【0012】
本発明の活性重合体とは重合体の末端がリビングアニオン末端を有するものである。活性重合体の分子量は特に限定するものではないが、好ましくは数平均分子量(Mn)が300〜200000である。Mnが300未満では重合バッチ数を増して得たブロック共重合体に含まれるゲル量が多くなり、200000を超えると得られるブロック共重合体の特性が低下するため好ましくない。
【0013】
本発明の工程(a)はバッチ式の撹拌機付きベッセル型反応器或いはパイプラインホモミキサー、スタティックミキサー等の連続式分散機を用いて製造してもよい。工程(a)の数平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)用の単分散ポリスチレンをGPCにより、そのピークカウント数と単分散ポリスチレンの数平均分子量との検量線を作成し、常法(例えば「ゲルクロマトグラフィー<基礎編>」講談社発行)に従って求めることができる。
【0014】
本発明の工程(b)はバッチ重合法を用いて行われる。本発明のバッチ重合法とは、重合器に(a)の活性重合体を移送した後、残部の共役ジエン又はビニル芳香族炭化水素或いは共役ジエン及びビニル芳香族炭化水素を順次添加し、全てのモノマーの供給が終了した後で重合器内の生成ブロック共重合体を取り出す方法である。工程(b)の共役ジエン及びビニル芳香族炭化水素の添加は、ポンプを用いて定流量で連続添加しても、或いは0.1〜5分の短時間で全量をしてもよい。
【0015】
本発明に用いられるビニル芳香族炭化水素としてはスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、1,1−ジフェニルエチレンなどがあるが、特に好ましくはスチレンが挙げられる。これらは1種のみならず2種以上混合使用してもよい。
【0016】
共役ジエンとしては、1対の共役二重結合を有するジオレフィンであり、例えば1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなどであるが、特に好ましくは1,3−ブタジエン、イソプレンなどが挙げられる。これらは1種のみならず2種以上混合使用してもよい。
【0017】
炭化水素溶媒としてはブタン、ペンタン、ヘキサン、イソペンタン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素、或はベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素等が使用できる。これらは1種のみならず2種以上混合使用してもよい。
【0018】
有機リチウム化合物は、分子中に一個以上のリチウム原子を結合した有機モノリチウム化合物、有機ジリチウム化合物、有機ポリリチウム化合物である。これらの具体例としては、エチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、ヘキサメチレンジリチウム、ブタジエニルジリチウム、イソプレニルジリチウム等が挙げられる。これらは1種のみならず2種以上混合使用してもよい。
【0019】
本発明においては工程(a)、(b)の両方或いは何れかに重合速度の調整、重合した共役ジエン部のミクロ構造(シス、トランス、ビニルの比率)の変更、共役ジエンとビニル芳香族炭化水素の反応比の調整などの目的で極性化合物やランダム化剤を使用することができる。
【0020】
極性化合物やランダム化剤としては、テトラヒドロフラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等のエーテル類、トリエチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン等のアミン類、チオエーテル類、ホスフィン類、ホスホルアミド類、アルキルベンゼンスルホン酸塩、カリウムやナトリウムのアルコキシド等が挙げられる。
【0021】
本発明の方法においてブロック共重合体を製造する際の重合温度は一般的に30℃〜120℃、好ましくは40℃〜100℃である。重合に要する時間は条件によって異なるが、通常は10時間以内であり、特に好適には0.5〜5時間である。また、重合系の雰囲気は窒素ガスなどの不活性ガスなどをもって置換するのが望ましい。重合圧力は、上記重合温度範囲でモノマー及び溶媒を液層に維持するに充分な圧力の範囲で行えばよく、特に制限されるものではない。更に重合系内には触媒及びリビングポリマーを不活性化させるような不純物、例えば水、酸素、炭酸ガス等が混入しないよう留意する必要がある。
【0022】
この様にして得られたブロック共重合体の重量平均分子量は、一般的に10000〜500000、好ましくは30000〜300000である。またブロック共重合体溶液中の炭化水素溶媒の量は、一般にブロック共重合体100重量部に対して50重量部〜2000重量部である。
【0023】
本発明のブロック共重合体の水添物は水添反応(水素添加反応)により部分的に、或は選択的に水添したブロック共重合体を用いることができる。水添反応に際し、必要によりブロック共重合体溶液の活性末端は、反応停止剤を添加する工程により不活性化してもよいし、活性末端のままで行ってもよい。
【0024】
本発明の水添反応の水添率は任意に選択することができ、未水添ブロック共重合体の特性を維持しながら耐熱劣化性等を向上させる場合には共役ジエンに基づく脂肪族二重結合を3%以上、80%未満、好ましくは5%以上、75%未満水添することが、又耐熱劣化性及び耐候性を向上させる場合には80%以上、好ましくは90%以上水添することが推奨される。
【0025】
水添率は核磁気共鳴装置等により測定できる。水添反応に使用される触媒としては、(1)Ni、Pt、Pd、Ru等の金属をカーボン、シリカ、アルミナ、ケイソウ土等の担体に担持させた担持型不均一系触媒と、(2)Ni、Co、Fe、Cr等の有機塩又はアセチルアセトン塩と有機Al等の還元剤とを用いるいわゆるチーグラー型触媒、又はRu、Rh等の有機金属化合物等のいわゆる有機錯触媒、或いはチタノセン化合物に還元剤として有機Li、有機Al、有機Mg等を用いる均一触媒が知られている。具体的な方法としては特公昭42−8704号公報、特公昭43−6636号公報に記載された方法、好ましくは特公昭63−4841号公報及び特公昭63−5401号公報に記載された方法により、不活性溶媒中で水素添加触媒の存在下に水素添加してブロック共重合体の水添物を得ることができる。
【0026】
本発明のブロック共重合体は必要に応じて各種熱可塑性樹脂と配合して樹脂組成物とすることができる。使用できる熱可塑性樹脂の例としては、ポリスチレン系重合体、ポリフェニレンエーテル系重合体、ポリエチレン系重合体、ポリプロピレン系重合体、ポリブテン系重合体、ポリ塩化ビニル系重合体、ポリ酢酸ビニル系重合体、ポリアミド系重合体、熱可塑性ポリエステル系重合体、ポリアクリレート系重合体、ポリフェノキシ系重合体、ポリフェニレンスルフィド系重合体、ポリカーボネート系重合体、ポリアセタール系重合体、ポリブタジエン系重合体、熱可塑性ポリウレタン系重合体、ポリスルフィン系重合体等が挙げられるが、好ましい熱可塑性樹脂はスチレン系重合体であり、とりわけポリスチレン樹脂、スチレン−ブチルアクリレート共重合体、スチレン−メチルメタアクリレート共重合体が好適に使用できる。
【0027】
本発明のブロック共重合体を配合した樹脂組成物には必要に応じて、任意の添加剤を配合することができる。添加剤の種類はプラスチックの配合に一般的に用いられるものであれば特に制限はないが、例えば、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ、炭カル、タルク等の無機補強剤、有機繊維、クマロンインデン樹脂等の有機補強剤、有機パーオキサイド、無機パーオキサイド等の架橋剤、チタン白、カーボンブラック、酸化鉄等の顔料、染料、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、可塑剤、その他の増量剤或はこれらの混合物があげられる。
【0028】
本発明において、ブロック共重合体と熱可塑性樹脂とを配合した組成物は従来公知のあらゆる配合方法によって製造することができる。例えば、オープンロール、インテシブミキサー、インターナルミキサー、コニーダー、二軸ローター付の連続混練機、押出機等の一般的な混和機を用いた溶融混練方法、各成分を溶剤に溶解又は分散混合後溶剤を加熱除去する方法等が用いられる。
【0029】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を更に詳細に説明するために以下に本発明の実施例を示すが、本発明の内容をこれらの実施例に限定されるものではない。
【0030】
【実施例】
実施例1及び比較例1
<活性重合体の製造>
耐圧オートクレーブAにシクロヘキサン400重量部とスチレン100重量部及びn−ブチルリチウム(以後nBLと記す)6.2重量部、テトラメチルエチレンジアミン3重量部添加して、40℃で完全に反応させた。得られたポリスチレンの活性重合体(以後C1と記す)のMnをゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)で測定した結果、1100であった。
【0031】
<ブロック共重合体の製造>
撹拌機及びジャケット付きのオートクレーブBにシクロヘキサン300重量部添加した後、内温を85℃に昇温した。次にnBLの0.067重量部に相当する量のC1を添加し、スチレン13重量部を添加した後、約15分間撹拌下で重合した。その後、1,3−ブタジエン(以後ブタジエンと記す)28重量部及びスチレン27重量部を100分間、マイクロモーション流量計にて連続的にオートクレーブに添加し、供給が終了した後、約5分間撹拌下に放置した。次にスチレン32重量部を25分間、マイクロモーション流量計にて連続的にオートクレーブに添加し、供給終了後、約10分間撹拌下に放置した。
【0032】
かかる重合反応の後、メタノールをnBLのモル数に対して0.9倍モルをオートクレーブに添加して重合を停止し、その後オートクレーブより抜き出した。尚、抜き出した後のオートクレーブの洗浄は行わず、そのまま次の重合を同様の手順で20バッチ重合を繰り返した。このブロック共重合体に2−(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルベンジル)−4−メチル−6−t−ブチルフェニルアクリレートとトリスノニルフェニルホスファイトをそれぞれブロック共重合体100重量部に対して0.5重量部安定剤として添加し、溶媒のシクロヘキサンを加熱留去してブロック共重合体Aを得た。
【0033】
比較のため、実施例1のオートクレーブBにシクロヘキサン300重量部添加し、内温を85℃に昇温した。次にnBLを0.067重量部、スチレン13重量部を添加した後、約20分間撹拌下で重合した以外は実施例1<ブロック共重合体の製造>と同一手順及び同一重合バッチ回数のブロック共重合体を得た(ブロック共重合体B)。次に得られたブロック共重合体50gをトルエン200mlに溶解し、直径70mmの濾紙(厚み:0.2mm、保留粒子径:6μm、捕集効率:65%)で吸引ろ過した後、染料(バイオレット36)で残差を染色して5分放置後、濾紙のゲル量を下記の基準で目視判定した。
【0034】
◎:大の個数が0個、又は中が3個以下、又は小が5個以下
○:大の個数が0個、又は中が4〜10個、又は小が6〜20個
△:大の個数が1個、又は中が11〜20個、又は小が21〜40個
×:大の個数が2個以上、又は中が21個以上、又は小が41個以上
(小は直径が0.2mm未満、中は直径が0.2〜0.5mm、大は直径が0.5mmを超える大きさ)
その結果、ブロック共重合体Bは△に対して、ブロック共重合体Aは◎と良好であった。
【0035】
実施例2及び比較例2
<活性重合体の製造>
耐圧オートクレーブAにシクロヘキサン300重量部とスチレン20重量部及びnBL0.11重量部添加して、80℃で完全に反応させた。得られたポリスチレンの活性重合体(以後C2と記す)のMnをゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)で測定した結果、12000であった。
【0036】
<ブロック共重合体の製造>
撹拌機及びジャケット付きのオートクレーブBにC2の全量を移送した後、温度を85℃に設定し、ブタジエン40重量部を50分間、マイクロモーション流量計にて連続的にオートクレーブに添加し、供給が終了した後、約5分間撹拌下に放置した。次にスチレン20重量部を25分間、マイクロモーション流量計にて連続的にオートクレーブに添加し、約10分間撹拌下に放置後、メタノールをnBLのモル数に対して0.9倍モルオートクレーブに添加して重合を停止し、オートクレーブより抜き出した。
【0037】
尚、抜き出した後のオートクレーブの洗浄は行わず、そのまま次の重合を同様の手順で15バッチ重合を繰り返した。このブロック共重合体に2−(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルベンジル)−4−メチル−6−t−ブチルフェニルアクリレートとトリスノニルフェニルホスファイトをそれぞれブロック共重合体100重量部に対して0.5重量部安定剤として添加し、溶媒のシクロヘキサンを加熱留去してブロック共重合体Cを得た。
【0038】
次に比較のため、実施例2のオートクレーブBにシクロヘキサン300重量部添加した後、内温を80℃に昇温した。次にnBL0.11重量部、スチレン20重量部を添加した後、約20分間撹拌下で重合した以外は実施例2の<ブロック共重合体の製造>と同一手順及び同一重合回数後のブロック共重合体を得た (ブロック共重合体D)。得られたブロック共重合体のゲル量を実施例1とブロック共重合体重量が10gである以外は全て同様な方法で判定した。その結果、ブロック共重合体Cは○であるのに対してブロック共重合体Dは×であった。
【0039】
実施例3
<活性重合体の製造>
耐圧オートクレーブAにシクロヘキサン300重量部とスチレン9重量部及びnBL0.06重量部とテトラメチルエチレンジアミン0.06重量部添加して、75℃で完全に反応させた。得られたポリスチレンの活性重合体(以後C3と記す)のMnをゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)で測定した結果、9300であった。
【0040】
<ブロック共重合体水添物の製造>
撹拌機及びジャケット付きのオートクレーブBにC3の全量を移送した後、ブタジエン82重量部を60分間、マイクロモーション流量計にて連続的にオートクレーブに添加し、供給が終了した後、約5分間撹拌下に放置した。次にスチレン9重量部を10分間、マイクロモーション流量計にて連続的にオートクレーブに添加し、約10分間撹拌下に放置した後、メタノールをnBLのモル数に対して0.9倍モル添加して重合を終了し、ブロック共重合体を得た。
【0041】
次に水添触媒成分(a)としてビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジクロライドを0.5重量部と水添触媒成分(b)としてnBLを0.54重量部を含むシクロヘキサン溶液(約1重量%)を水素下で混合した後、その全量を前記ブロック共重合体溶液に添加し、水素圧力5.0kg/cm2 Gで約1時間、撹拌下70℃で水素添加反応を行い、ブタジエン部の水添率が97%の水添ブロック共重合体を得た。
【0042】
次に、メタノールを水添触媒成分として用いたnBLのモル数に対して0.9倍モルオートクレーブに添加し、オートクレーブより抜き出した。尚、抜き出した後のオートクレーブの洗浄は行わず、そのまま次の重合及び水添反応を同様の手順で15バッチ重合を繰り返した。このブロック共重合体に2−(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルベンジル)−4−メチル−6−t−ブチルフェニルアクリレートとトリスノニルフェニルホスファイトをそれぞれブロック共重合体100重量部に対して0.2重量部安定剤として添加し、溶媒のシクロヘキサンを加熱留去してブロック共重合体Eを得た。得られたブロック共重合体のゲル量を実施例2と同様な方法で判定した結果、ブロック共重合体Eは○であった。
【0043】
【発明の効果】
本発明の(a)予め活性重合体を製造した後、(b)この活性重合体溶液を別の重合器に移送し、バッチ重合によりブロック共重合体を製造することにより、ブロック共重合体に含まれるゲル量が少ないブロック共重合体が得られる。
Claims (4)
- 炭化水素溶媒中において、少なくとも1個の共役ジエンを主体とする重合体ブロックと少なくとも1個のビニル芳香族炭化水素を主体とする重合体ブロックからなるブロック共重合体をバッチ重合法で製造するに際し、
(a)予めブロック共重合体を形成するビニル芳香族炭化水素を有機リチウム化合物を触媒として、活性重合体を製造した後、
(b)前記活性重合体溶液を製造した重合器とは異なる重合器に移送し、その後、残部の共役ジエン又はビニル芳香族炭化水素或いは共役ジエン及びビニル芳香族炭化水素を順次添加して重合を終了する
ことを特徴とするブロック共重合体の製造方法。 - 炭化水素溶媒中において、少なくとも1個の共役ジエンを主体とする重合体ブロックと少なくとも1個のビニル芳香族炭化水素を主体とする重合体ブロックからなるブロック共重合体をバッチ重合法で製造するに際し、
(a)予めブロック共重合体を形成するビニル芳香族炭化水素を有機リチウム化合物を触媒として、活性重合体を製造した後、
(b)前記活性重合体溶液を製造した重合器とは異なる重合器に移送し、その後、残部の共役ジエン又はビニル芳香族炭化水素或いは共役ジエン及びビニル芳香族炭化水素を順次添加して重合を終了し、ブロック共重合体を得た後、
(c)前記ブロック共重合体の共役ジエン部分を水素添加し、水添物を得る
ことを特徴とするブロック共重合体の水添物の製造方法。 - ブロック共重合体が一般式、
A1−(B−A2)n ,A1−(B−A2)n −B,
[A1−(B−A2)k ]m+2 −X
(上式において、A1及びA2はビニル芳香族炭化水素を主体とする重合体ブロックであり、Bは共役ジエンを主体とする重合体ブロックである。AブロックとBブロックとの境界は必ずしも明瞭に区別される必要はない。n、k及びmは1〜5である。Xはカップリング剤の残基を示す。)
である請求項1に記載のブロック共重合体の製造方法。 - ブロック共重合体のA1が、ビニル芳香族炭化水素単独の重合体ブロックである請求項3に記載のブロック共重合体の製造方法。
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JP4776155B2 (ja) * | 2003-10-21 | 2011-09-21 | 旭化成ケミカルズ株式会社 | 水添共重合体 |
-
1996
- 1996-04-03 JP JP10480396A patent/JP3580020B2/ja not_active Expired - Lifetime
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JPH09272724A (ja) | 1997-10-21 |
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