JP3579648B2 - 超音波内視鏡 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、超音波プローブと光学観察用の対物光学系とが挿入部の先端に併設された超音波内視鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】
超音波内視鏡は、一般の内視鏡と同様に挿入及び誘導を容易に行えるように、操作部からの遠隔操作によって屈曲する湾曲部が挿入部可撓管の先端に連結されている。
【0003】
また、超音波内視鏡においては、超音波プローブに入出力される信号を伝送するための信号伝送部材を挿入部内に挿通配置する必要があり、近年は、湾曲部内における信号伝送部材としていわゆるフレキシブル基板が用いられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そのような超音波内視鏡においては、湾曲部が屈曲することによりフレキシブル基板を長手方向(挿入部の軸線方向)に伸縮させようとする力が作用する。
【0005】
その結果、フレキシブル基板が圧縮力によって波打った状態と真っ直ぐに伸ばされた状態を繰り返すことになって、フレキシブル基板に施されている配線が断線してしまう故障が発生する場合があった。
【0006】
そこで本発明は、湾曲部の屈曲動作が繰り返されてもフレキシブル基板に施されている配線が断線し難い、耐久性の優れた超音波内視鏡を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の超音波内視鏡は、挿入部を形成する可撓管部の先端に遠隔操作によって屈曲する湾曲部が連結されて、超音波信号を発受信するための超音波プローブと光学観察を行うための対物光学系とが湾曲部より先端側の部分に配置され、超音波プローブに入出力される信号を湾曲部内において伝送するための信号伝送部材としてフレキシブル基板が用いられた超音波内視鏡において、フレキシブル基板の長手方向に沿ってコイルスプリングを配置したものである。
【0008】
なお、フレキシブル基板とコイルスプリングとを囲んで熱収縮チューブが被覆収縮され、それによってコイルスプリングがフレキシブル基板に密着固定されていてもよく、コイルスプリングが、湾曲部の中心軸線に対して背面側となるフレキシブル基板の板面に沿って配置されているとフレキシブル基板が湾曲部内で損傷し難い。
【0009】
【発明の実施の形態】
図面を参照して本発明の実施例を説明する。
図2は超音波内視鏡を示しており、体腔内に挿入される可撓管部1の先端に遠隔操作によって屈曲する湾曲部2が連結されて、その湾曲部2の先端に連結された先端部本体3に筒状の超音波プローブ4が取り付けられている。
【0010】
先端部本体3には、その他にも、光学観察のための対物光学系及び光学観察像を撮像するための固体撮像素子や、光学観察範囲を照明するためのライトガイドファイババンドルの射出端等が内蔵されている。
【0011】
可撓管部1の基端に連結された操作部5には、湾曲部2を屈曲操作するための湾曲操作ノブ6等が配置されている。湾曲部2は、上下左右四方向に屈曲自在であり、図2には、上方向に途中まで屈曲した状態が二点鎖線で図示されている。
【0012】
可撓管部1内と湾曲部2内の全長にわたって、処置具を挿通するための処置具挿通チャンネル10が挿通配置されており、処置具挿通チャンネル10への処置具類の挿入口7が、操作部5の下端部に斜め上方に向けて突出配置されている。
【0013】
操作部5に連結された第1の連結可撓管8の先端には、図示されていないビデオプロセッサに接続されるビデオ信号コネクタ部81とライトガイドコネクタ部82とが並んで設けられ、第2の連結可撓管9の先端には、図示されていない超音波信号処理装置に接続される超音波信号コネクタ部91が設けられている。
【0014】
図3は挿入部の先端部分を示しており、先端部本体3の先端面に配置された観察窓11から前方が光学観察される。超音波プローブ4は、脱気水等によって膨らませられるバルーン12によって囲まれていて、軸線周りに放射状に超音波を発受信して超音波断層像を得ることができる。
【0015】
図4は、超音波プローブ4の軸線と垂直な断面における断面図であり、軸線周りの例えば270°(上方向を中心に左右135°ずつ)の範囲に超音波信号が発受信(電子走査)され、軸線に対して垂直方向にラジアル走査が行われる。
【0016】
超音波プローブ4の後端部には、超音波プローブ4に入出力される信号を伝送するための配線が施されたフレキシブル基板が接続されていて、図5に示されるように、先端部本体3から後方に向かってフレキシブル基板40が延出している。湾曲部2は、複数の節輪22を図示されていないリベット等で回動自在に連結して屈曲可能に構成されている。
【0017】
フレキシブル基板40は、単体の展開図である図6に示されるように、超音波プローブ4との接続部付近では幅の広い一枚の基板であって、それより後方の湾曲部2内に位置する部分は、全体の幅が広げられて並列に八等分に分割されている。
【0018】
したがって、湾曲部2内においては、フレキシブル基板40上の配線の幅を超音波プローブ4との接続部分付近より広く形成することができ、それによって配線の機械的強度を大きくして断線に対する耐久性を向上させることができる。
【0019】
そのような展開形状のフレキシブル基板40は、超音波プローブ4との接続部付近では、図5におけるVII−VII断面を示す図7に示されるように超音波プローブ4との接続に適するように走査範囲と同じ270°程度の円弧状に形成され、湾曲部2と先端部本体3との境界部付近では、VIII−VIII断面を示す図8に示されるようにほぼ360°の円弧状に形成されている。
【0020】
図5に戻って、湾曲部2内で八分割されて並列に配置されたフレキシブル基板40は、各々が異なる長さに形成されているが、一番短いフレキシブル基板40でも湾曲部2内を通過して可撓管部1内に到る長さに設定されている。
【0021】
そして、図9に示されるように、可撓管部1内に挿通配置された信号ケーブル50の複数の信号線51と各フレキシブル基板40の配線とが、可撓管部1内において接続されている。
【0022】
図1は、湾曲部2の軸線に垂直な断面(図5におけるI−I断面)における断面図であり、湾曲部2の上下左右位置において90°間隔で節輪22の内周面に配置されたワイヤガイド21に、操作ワイヤ20が軸線方向に進退自在に挿通配置されていて、湾曲部2は、操作部5側から牽引された操作ワイヤ20の位置する方向に屈曲する。
【0023】
湾曲部2の内部空間には、前述のフレキシブル基板40と処置具挿通チャンネル10の他にも、内視鏡観察像の撮像信号等を伝送するためのビデオ用信号ケーブル14、照明光を伝送するライトガイドファイババンドル15、バルーン12への脱気水注排水チューブ17等の各種内蔵物が挿通配置されている。
【0024】
フレキシブル基板40は、二枚ずつ重ね合わされて熱収縮チューブ41により被覆されて一体化され全体として四つに分かれて配置されているが、その各々において、フレキシブル基板40の長手方向に沿ってコイルスプリング42が配置されている。
【0025】
コイルスプリング42は、湾曲部2の中心軸線に対して背面側となるフレキシブル基板40の板面(即ち、フレキシブル基板40の外面側の面)に沿って、フレキシブル基板40の中央位置に真っ直ぐに配置されていて、その状態で可撓性のある熱収縮チューブ41が被覆収縮されてそれらが相互に固定された状態になっている。
【0026】
コイルスプリング42は、例えば素線の断面形状が円形のバネ用ステンレス鋼線材又はその他のバネ材を一定の径で螺旋状に巻いて形成される。ただし、素線の断面形状は円形に限らず板状等であっても差し支えない。
【0027】
コイルスプリング42は、図5に略示されるようにフレキシブル基板40のほぼ全長に沿って配置されており、湾曲部2が屈曲されてフレキシブル基板40が圧縮力により波打った状態になる際には、コイルスプリング42が弾力的に伸縮し、それによってフレキシブル基板40が極端に小さなカーブになることなくスムーズに曲がる。
【0028】
各コイルスプリング42はどの方向への曲がりにも対応して柔軟に曲がるので、湾曲部2がどの方向に屈曲されても、四箇所のフレキシブル基板40のいずれもが極端に小さな曲率半径で波打つことなくスムーズに曲がる。その結果、湾曲部2が繰り返し屈曲されても、フレキシブル基板40に施されている配線が断線し難い。
【0029】
また、コイルスプリング42がフレキシブル基板40の外面側の面に沿って配置されているので、湾曲部2が屈曲されてフレキシブル基板40が波打った形状になったとき、フレキシブル基板40が隣り合う節輪22どうしの隙間に挟まれず、フレキシブル基板40の損傷防止に寄与する。
【0030】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、湾曲部2内におけるフレキシブル基板40の配置はどのようなレイアウトをとってもよい。また、図10に示されるように一枚のフレキシブル基板40とコイルスプリング42とを熱収縮チューブ41で被覆してもよく、図11に示されるように、フレキシブル基板40を熱収縮チューブ41で被覆する前に、フレキシブル基板40とコイルスプリング42を弾力性のある薄いシリコンゴムチューブ43等で被覆して位置決め固定する構成をとってもよい。
【0031】
【発明の効果】
本発明によれば、湾曲部内に配置されたフレキシブル基板の長手方向に沿ってコイルスプリングを配置したことにより、湾曲部が屈曲されてフレキシブル基板が圧縮力により波打った状態になる際に、コイルスプリングが弾力的に伸縮し、それによってフレキシブル基板が極端に小さなカーブになることなくスムーズに曲がるので、湾曲部の屈曲動作が繰り返されてもフレキシブル基板に施されている配線が断線し難く、優れた耐久性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の超音波内視鏡の湾曲部の平面断面図(図5におけるI−I断面図)である。
【図2】本発明の実施例の超音波内視鏡の全体側面図である。
【図3】本発明の実施例の超音波内視鏡の挿入部の先端部分の側面図である。
【図4】本発明の実施例の超音波内視鏡の挿入部の先端部分の略示平面断面図である。
【図5】本発明の実施例の超音波内視鏡の挿入部の外皮類を取り除いた状態で示す側面略示図である。
【図6】本発明の実施例のフレキシブル基板の展開図である。
【図7】本発明の実施例のフレキシブル基板の図5におけるVII−VII断面図である。
【図8】本発明の実施例のフレキシブル基板の図5におけるVIII−VIII断面図である。
【図9】本発明の実施例のフレキシブル基板と信号ケーブルとの接続部付近の側面図である。
【図10】本発明の第2の実施例のフレキシブル基板の板面に垂直な断面における断面図である。
【図11】本発明の第3の実施例のフレキシブル基板の板面に垂直な断面における断面図である。
【符号の説明】
1 可撓管部
2 湾曲部
4 超音波プローブ
40 フレキシブル基板
41 熱収縮チューブ
42 コイルスプリング
43 シリコンゴムチューブ
Claims (2)
- 挿入部を形成する可撓管部の先端に遠隔操作によって屈曲する湾曲部が連結されて、超音波信号を発受信するための超音波プローブと光学観察を行うための対物光学系とが上記湾曲部より先端側の部分に配置され、上記超音波プローブに入出力される信号を上記湾曲部内において伝送するための信号伝送部材としてフレキシブル基板が用いられた超音波内視鏡において、
上記フレキシブル基板の長手方向に沿ってコイルスプリングが配置されると共に、上記フレキシブル基板と上記コイルスプリングとを囲んで熱収縮チューブが被覆収縮され、それによって上記コイルスプリングが上記フレキシブル基板に密着固定されていることを特徴とする超音波内視鏡。 - 上記コイルスプリングが、上記湾曲部の中心軸線に対して背面側となる上記フレキシブル基板の板面に沿って配置されている請求項1記載の超音波内視鏡。
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