JP3577837B2 - 自動化学分析装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、血清や尿などの多成分を含む試料中の目的成分の濃度又は活性値を測定する自動化学分析装置に関し、特に一度に多項目を測定するように作られた自動化学分析装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動化学分析装置には、反応容器を配列した反応ラインを備え、隣り合う個々の反応容器が異なる項目を分担することによって、反応ラインが1ラインであるにも拘らず、多項目の測定を行なうことができるシングル・マルチタイプと称される自動化学分析装置がある。シングル・マルチタイプの自動化学分析装置は、試料と試薬とを反応させる反応容器に試料を分注する試料サンプリング機構と、反応容器に試薬を注入する試薬注入装置と、反応容器内の反応液の吸光度を測定する吸光光度計と、反応容器の複数個を保持する反応ディスクと、その反応ディスクを回転させる回転駆動機構と、反応容器の洗浄機構と、反応容器内の反応溶液を保温する保温水槽と、各部の動作を制御するともに吸光光度計からの吸光度により試料の濃度又は活性値を算出する制御部とを備えている。
【0003】
洗浄について説明すると、反応容器を洗浄するための洗浄ノズル間隔は
(ほぼ1周したときの反応容器送り数)−(総反応容器数)
である。2サイクルの動作が完了すると反応ディスクがほぼ1周するように反応ディスクの回転が制御される場合、例えば総反応容器数が81個で1サイクル当り41反応容器送る場合は、
41×2−81=1
となり、反応容器1個おきに洗浄ノズルが配置される。また、総反応容器数が108個でサイクル当り55反応容器送る場合は、
55×2−108=2
であるので、反応容器2個おきに洗浄ノズルが配置される。この場合、ある洗浄ノズルで洗浄された反応容器は順次移送され、次の洗浄ノズルで洗われることになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
光学系が固定され、反応容器が移動する自動化学分析装置の場合、1サイクル内で洗浄に費やすことのできる時間はごく短いので、十分に洗浄しようと思えば、洗浄ノズルの本数を増やすか、洗浄水の入れ替えを多くするしかない。しかし、洗浄ノズルの本数を増やしても洗浄ノズル間隔は変えられないので、洗浄時間を長くした分だけ反応時間が短かくなる。また、洗浄水の入れ替えを多くする方法でも、洗浄には加圧水供給と真空吸引とを電磁弁のオン/オフで行なうが、反応容器から洗浄液が溢れてはならず、制御が難しい。洗剤を使用する場合、反応容器内で洗剤を保持した後の洗剤の入れ替えがないので、十分に洗浄できないこともある。
【0005】
反応ディスクを回転させる従来の制御方法では、2サイクルの動作が完了した時点では反応ディスクはほぼ1周しているが、2サイクル後の停止位置は2サイクル前の最後の停止位置より1反応容器又は2反応容器分進んだ位置であり、2サイクル前の最後の位置に停止することはない。そのため、サンプリング位置が1つしかない分析装置では、反応容器を使って試料を希釈しようとしても、試料を希釈した反応容器が2サイクル後に1周してきても試料サンプリング機構によるサンプリング位置には停止しないので、反応容器を使った希釈を行なうことはできない。
【0006】
また、1回で分注できないような多量の試料や試薬を複数回に分けて分注したい場合でも、従来のように反応ディスクが1周しても反応容器が試料サンプリング位置や試薬注入位置に戻らないので、そのような複数回に分けた試料サンプリングや試薬分注を行なうこともできない。
そこで、本発明は十分な洗浄を行なう場合や、反応容器を用いた試料の希釈や、試料や試薬を複数回に分けて分注する動作にも対応できるように反応ディスクの回転を制御することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明では、1又は複数のサイクルで反応ディスクがほぼ1周し、1サイクルの動作の間に反応ディスクが複数の位置で停止し、かつそのうちの最初の停止位置は1周前の最後の停止位置と一致するように、反応ディスクを間欠的に回転させ、その最初の停止位置では少なくとも1つの反応容器で1周前のサイクル時の試料サンプリング機構、試薬注入装置又は洗浄機構による処理を行なわせるものである。
反応ディスクがほぼ1周したとき、1周前のサイクルの最後の停止位置に停止するので、その位置で同一反応容器に対し1周前のサイクルの同一洗浄ノズルによる洗浄を行なったり、同じ試料や同じ試薬を分注することができるようになる。
【0008】
【実施例】
図1に本発明が適用される自動化学分析装置の一例を示す。
2は反応ディスクであり、そのキュベットローラ3に沿ってキュベットを兼ねる反応容器(以下、セルという)4が一列に配列されて環状の反応ライン5が形成されている。セルに試料の検体を注入するために、試料サンプリング機構6が反応ライン5に沿って配置されている。試料サンプリング機構6ではサンプリングテーブル8の円周に沿って検体カップ7が配列されており、検体吸引採取位置13の検体カップ7から検体を分注するために検体分注器9が配置されている。検体分注器9の先端には分注ノズル10が設けられており、分注ノズル10は移動経路11に沿って検体分注位置14のセルと検体吸引採取位置13の検体カップの間を移動する。移動経路11上には洗浄つぼ12が設けられており、ノズル10を洗浄できるようになっている。
【0009】
セルに試薬を注入するために、反応ライン5に沿って試薬注入装置16が配置されている。試薬注入装置16では試薬トレイ18の円周に沿って試薬容器17が配置されており、試薬吸引採取位置23の試薬容器17から試薬を分注するために試薬分注器19が配置されている。試薬分注器19の先端には分注ノズル20が設けられており、分注ノズル20は試薬分注位置24のセルと試薬吸引採取位置23の試薬容器の間を移動経路21に沿って移動する。移動経路21上には洗浄つぼ22が配置され、ノズル20が洗浄できるようになっている。
【0010】
反応ライン5上には更に洗浄及び脱水器26が配置され、反応ライン5に沿って吸光光度計27も配置されている。反応ライン5は矢印15の方向に間欠的に回転する。図には現れていないが、反応ライン5の下側にはセル4内の反応溶液を保温する保温水槽が設けられている。また、各部の動作を制御し吸光光度計27からの吸光度により試料の濃度又は活性値を算出する制御部(図示略)も設けられている。
【0011】
2試薬系で測定する場合は、試薬注入装置16と同じ構成の試薬注入装置が反応ラインに沿ってもう1台配置されることになる。セル4に対して一方の試薬注入装置から第1試薬が、他方の試薬注入装置から第2試薬がそれぞれの試薬注入位置で分注される。
【0012】
洗浄及び脱水器26には複数の洗浄ノズルが反応ライン5に沿って配置されており、反応液の吸引、洗浄液の給排出、セルブランク測定用の給水、その水の排出及び乾燥の過程が順次なされる。洗浄液には純水又は洗剤溶液が使用される。1サイクル中の試料分注、試薬分注、撹拌、セル洗浄は反応ディスク停止時に行なわれ、吸光光度計27によるセル内の反応溶液の光学的読取りは反応ディスク回転時に行なわれる。
【0013】
セルを洗浄する場合の動作の違いを、図2(従来の場合)と図3(実施例の場合)を用いて説明する。いずれも総セル数は81個、2サイクルで反応ディスクがほぼ1周する場合を取り上げる。洗剤としては通常、酸とアルカリの2種が用いられる。
【0014】
図2(A)に示した従来の方法では、最初にノズル1で反応液が吸引され、洗浄液の給排出が複数回実行され、洗浄液がセルに満たされる。次のサイクルではそのセルは反応ディスクがほぼ半周することによって反対側の位置に行き、更に次のサイクルではノズル2の位置に停止し、その位置でノズル2による洗浄液の吸排出が行なわれる。同様に、ノズル3,4,5で純水が吸排出される。ノズル4,5でそれぞれ純水が供給された後は、セルブランクが測定され、ノズル6の位置で大部分の水が吸引され、更にノズル7でより丁寧に水が吸い上げられる。図2(B)は1サイクルにおける回転ディスクの回転制御を示したものであり、41セル分回転した後、停止する。
【0015】
図3(A)の実施例では、1サイクルの動作のうちに40セル分の移動と1セル分の移動の2回に分けて回転を制御する。図3(B)に示されるように、40セルの移動後停止し、再び1セル分移動後停止する。1セル分は洗浄ノズルの間隔を意味している。1セル分動いたときにノズル1にあるセルでは、反応液が吸引され、洗浄液の吸排出が行なわれる。そのセルは、次のサイクルでは反応ディスクの向う側に移動し、更に次のサイクルで40セル分動くと、そのセルはノズル1の位置にくるので、同じ洗浄液を使用して洗浄される。同じサイクル内でセルが1セル分動き、ノズル2の位置にくる。ノズル2では洗浄液の排出、及びノズル2からの洗浄液の吸排出が行なわれる。以下、同様の過程を繰返し、6周目で1セル分動いてノズル6の位置に来たときにノズル6でセルの水の大半が吸い上げられ、次の周で40セル分動いたときにノズル6で再度吸い上げられる。
【0016】
図2の従来例と図3の実施例を比較すると、1本のノズルにおける洗浄の時間は殆ど変わらないが、次のサイクルでは洗浄液が満たされた状態で反応ディスク上で反対側へ移動し、さらに次のサイクルで洗浄ノズルの位置に戻って洗浄液が吸い上げられた後、同じ洗浄液で再度洗浄できるかどうかが相違している。例えば、ノズル1の洗浄液を洗剤とした場合、従来の方法では洗剤はノズル2で吸引されるが、図3の実施例ではノズル1の位置に戻ってノズル1で吸引されてから再度ノズル1で洗剤の分注が行なわれる。従来の場合も実施例の場合も洗剤が満たされて保持されるが、セルが非常に汚れていた場合には、洗浄液の吸引の後、従来の場合のように次の洗浄液の洗浄に移ったのでは汚れがとり切れない場合も予想される。本発明の方法では同じ洗浄液を再度満たすことができるので、より洗浄効果が上がる。
【0017】
また、セルブランク測定後の水の排出を同じノズルで行なわせるので、ノズル本数を減らすことができる。吸引に関しては陰圧で引っ張るだけであるので、ある程度水がなくなればノズル先端は開放状態になり、それ以上時間をかけて吸引しても残る水の量は変わらない。ノズルの本数を減らすことができれば、その分だけ反応時間を長くすることができる。
【0018】
実施例は1サイクル中に反応ディスクを2回で分割駆動する例を示しているが、3回以上に分割して駆動してもよい。
本発明は洗浄に効果があるだけではなく、セルを使った試料の希釈や複数回に分けた試料や試薬の分注にも有効である。すなわち、同一セルが同じ位置で複数回停止するので、セルを使って試料を希釈し、そのセルから再度サンプリングを行なうことにより希釈することができる。また1回で分注できないような多量の試料や試薬を複数回に分けて分注することもできる。
【0019】
【発明の効果】
本発明では1又は複数のサイクルで反応ディスクをほぼ1周させ、1サイクルの動作の間に反応ディスクを複数の位置で停止させ、かつそのうちの最初の停止位置は1周前のサイクルの最後の停止位置と一致するように反応ディスクを間欠的に回転させるようにしたので、洗浄においてはセルへの洗浄液の入れ替えを余分に行なうことができ、より十分な洗浄を行なうことができるようになる。
セルを使った試料の希釈が可能になるし、多量の試料や試薬を複数回に分けて分注することもできるようになる。
排水ノズルの本数を減らすこともできるので、反応時間を長くすることもできる。また、反応時間を変えないのであれば、反応容器の数を減らして分析装置を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用される自動化学分析装置の一例を示す平面図である。
【図2】従来の自動化学分析装置においてセルを洗浄する場合の動作を示す図で、(A)は各周でのセルの停止位置を示す図、(B)は1サイクル中のセルの移動と停止を示すタイムチャートである。
【図3】実施例の自動化学分析装置においてセルを洗浄する場合の動作を示す図で、(A)は各周でのセルの停止位置を示す図、(B)は1サイクル中のセルの移動と停止を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
2 反応ディスク
4 セル
5 反応ライン
6 試料サンプリング機構
8 サンプリングテーブル
9 検体分注器
10 分注ノズル
16 試薬注入装置
17 試薬容器
19 試薬分注器
20 分注ノズル
Claims (1)
- 試料と試薬とを反応させる反応容器に試料を分注する試料サンプリング機構と、前記反応容器に前記試薬を注入する試薬注入装置と、前記反応容器内の反応液の吸光度を測定する吸光光度計と、前記反応容器の複数個を保持する反応ディスクと、その反応ディスクを回転させる回転駆動機構と、前記反応容器の洗浄機構と、前記反応容器内の反応溶液を保温する保温水槽と、各部の動作を制御するとともに前記吸光光度計からの吸光度により試料の濃度又は活性値を算出する制御部とを備えた自動化学分析装置において、
前記制御部は、1又は複数のサイクルで前記反応ディスクがほぼ1周し、1サイクルの動作の間に前記反応ディスクが複数の位置で停止し、かつそのうちの最初の停止位置は1周前のサイクルの最後の停止位置と一致するように前記反応ディスクを間欠的に回転させ、その最初の停止位置では少なくとも1つの反応容器で1周前のサイクル時の試料サンプリング機構、試薬注入装置又は洗浄機構による処理を行なわせるものであることを特徴とする自動化学分析装置。
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