JP3577712B2 - 水性ポリウレタン−アクリルエマルジョン組成物及びこれを用いた水性エマルジョン塗料 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、水性ポリウレタン−アクリルエマルジョン組成物及びこれを用いた水性エマルジョン塗料に関する。更に詳しくは、有機ポリイソシアネート、特定のポリエステルポリオールを含有する高分子ポリオール、親水性極性基及び多官能ヒドラジド化合物とを反応させて得られる水性ポリウレタンエマルジョン組成物とケトン基又はアルデヒド基を含有する水性アクリルエマルジョン組成物を混合して得られる水性エマルジョン組成物及びこれを用いた水性エマルジョン塗料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
有機溶剤を含有する塗料、接着剤及びコーティング剤は、人体への悪影響、爆発火災等の安全衛生上の問題、また、大気汚染など公害問題を有する。これらの問題点を改善するため、近年水系システム開発が活発に行われている。
従来から水系塗料では、耐候性や光沢が良好なアクリルエマルジョンが使用されている。しかし、アクリルエマルジョンは基材に対する密着性や柔軟性が悪いという欠点がある。その改良のため、特公平3−79392号公報や特開平4−81447号公報では優れた弾性や密着性を有する水性ポリウレタンエマルジョンをアクリルエマルジョンにブレンドする方法が提案されている。また、特開平7−188353号公報では、水性ポリウレタン−アクリル共重合体が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、アクリル樹脂とウレタン樹脂は相溶性が悪いため、従来のシステムでは塗膜に曇りが生じたり、光沢が低下し、柔軟性が付与できない。また、アクリル樹脂とウレタン樹脂を物理的に混合するだけで、反応させていないため、耐候性や耐汚染性が不十分であるため、良好な塗膜外観と耐候性が要求される分野では使用できないことが多かった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は鋭意検討した結果、アクリル樹脂とウレタン樹脂を反応させるために、アクリル樹脂にケトン基又はアルデヒド基、ウレタン樹脂にヒドラジド基を含有させ、更にアクリル樹脂とウレタン樹脂の相溶性を改良するために、ウレタン樹脂に特定のポリエステルポリオールを含有する高分子ポリオールを使用することにより、上記課題が改善できることを見いだし本発明に至った。
【0005】
すなわち、本発明は次の(1)〜(4)である。
(1) (A)水性ポリウレタンエマルジョンと(B)水性アクリルエマルジョンからなる水性エマルジョン組成物において、(A)/(B)が固形分重量比で2/1〜1/20であり、かつ、
(A)の水性ポリウレタンエマルジョンが、
(イ)有機ポリイソシアネート。
(ロ)低分子ポリオールと、芳香族ポリカルボン酸及び脂肪族ポリカルボン酸から製造されるポリエステルポリオールを含有する高分子ポリオール。
(ハ)多官能ヒドラジド化合物を含有する活性水素基含有化合物。
(ニ)親水性極性基及び活性水素基含有化合物。
から製造されるポリマーを含有し、
(B)の水性アクリルエマルジョンが、
ケトン基又はアルデヒド基を有する重合性不飽和単量体を含有する重合性不飽和単量体混合物。
から製造されるポリマーを含有することを特徴とする水性ポリウレタン−アクリルエマルジョン組成物。
【0006】
(2) 前記(1)記載の水性ポリウレタン−アクリルエマルジョン組成物において、
(A)が、
(イ)脂環族ジイソシアネート。
(ロ)2種類以上の低分子ポリオール混合物と芳香族ポリカルボン酸/脂肪族ポリカルボン酸=35/65〜65/35(重量比)のポリカルボン酸混合物から製造されるポリエステルポリオールを含有する活性水素基含有化合物。
(ハ)多官能ヒドラジド化合物を含有する活性水素基含有化合物。
(ニ)カルボキシル基含有低分子ポリオール
から製造されるポリマーを含有することを特徴とする水性ポリウレタン−アクリルエマルジョン組成物。
【0007】
(3) 前記(1)及び(2)記載の水性ポリウレタン−アクリルエマルジョン組成物において、
(A)が、
(イ)イソホロンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネートから少なくとも1種類以上選択される有機ジイソシアネート。
(ロ)低分子ポリオールがエチレングリコール及びネオペンチルグリコールであり、芳香族ポリカルボン酸がイソフタル酸であり、脂肪族ポリカルボン酸がアゼライン酸及び/又はアジピン酸であるポリエステルポリオールを含有する高分子ポリオール。
(ハ)アジピン酸ヒドラジド及び/又はグルタル酸ヒドラジド
(ニ)2,2−ジメチロールプロピオン酸及び/又は2,2−ジメチロールブタン酸。
から製造されるポリマーを含有し、
(B)が、
ダイアセトンアクリルアミドを含有する重合性不飽和単量体混合物。
から製造されるポリマーを含有することを特徴とする水性ポリウレタン−アクリルエマルジョン組成物。
【0008】
(4) 前記(1)〜(3)記載の水性ポリウレタン−アクリルエマルジョン組成物を用いることを特徴とする水性エマルジョン塗料。
【発明の実施の形態】
【0009】
本発明の水性ポリウレタン−アクリルエマルジョン組成物における(A)水性ポリウレタンエマルジョンを得るために用いられる(イ)有機ポリイソシアネートとしては、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルエーテルジイソシアネート、2−ニトロジフェニル−4,4′−ジイソシアネート、2,2′−ジフェニルプロパン−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジメチルジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、4,4′−ジフェニルプロパンジイソシアネート、o−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、1,4−ナフタレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、3,3′−ジメトキシジフェニル−4,4′−ジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、o−キシレンジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネート、p−キシレンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トルエンジイソシアネート、水素添加キシレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加テトラメチルキシレンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネートがある。また、これら有機ジイソシアネートのアダクト変性体、ビュレット変性体、イソシアヌレート変性体、ウレトンイミン変性体、ウレトジオン変性体、カルボジイミド変性体等のいわゆる変性ポリイソシアネートも使用できる。更に、ポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート、クルードトルエンジイソシアネート等のような、いわゆるポリメリック体といわれるポリイソシアネートも使用できる。これらの有機ポリイソシアネ−トは単独又は2種以上の混合物で使用することができる。これらの有機ポリイソシアネートのうちで、耐候性等を考慮した場合は、脂環族ポリイソシアネートが好ましく、特に、イソホロンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネートが最も好ましい。
【0010】
本発明の水性ポリウレタン−アクリルエマルジョン組成物の(A)水性ポリウレタンエマルジョンにおける(ロ)高分子ポリオールは、低分子ポリオールと芳香族ポリカルボン酸及び脂肪族ポリカルボン酸からなる特定のポリエステルポリオールを含有する。その含有量は、ポリウレタン樹脂としたときに1〜80重量%導入している量が好ましく、3〜70重量%が特に好ましい。
【0011】
本発明における特定のポリエステルポリオールは、数平均分子量が300〜7,000で、低分子ポリオールとしては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、デカメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−n−ヘキサデカン−1,2−エチレングリコール、2−n−エイコサン−1,2−エチレングリコール、2−n−オクタコサン−1,2−エチレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピオネート、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ヘキサントリオール、クオドロール等の単独又は二種以上の混合物であり、芳香族ポリカルボン酸としては、フタル酸(無水フタル酸)、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の単独又は二種以上の混合物であり、脂肪族ポリカルボン酸としては、コハク酸、酒石酸、シュウ酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、クルタコン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の単独又は二種以上の混合物であり、公知の方法によって製造される。
【0012】
アクリル樹脂との相溶性を考慮した場合、この低分子ポリオールと芳香族ポリカルボン酸と脂肪族ポリカルボン酸からなるポリエステルポリオールは、低分子ポリオールは2種類以上の混合物と芳香族ポリカルボン酸/脂肪族ポリカルボン酸=35/65〜65/35(重量比)が好ましく、更に、前述の条件に低分子ポリオールは、エチレングリコール及びネオペンチルグリコールを含む2種類以上の混合物と、芳香族ポリカルボン酸はイソフタル酸、脂肪族ポリカルボン酸はアゼライン酸及び/又はアジピン酸という組み合わせであるポリエステルポリオールが好ましい。
【0013】
その他、本発明に用いることのできる高分子ポリオールとしては、数平均分子量300〜7,000の先述したポリエステルポリオール以外のポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール等がある。
【0014】
本発明に使用できるポリエステルポリオールとしては、先述した低分子ポリオールを1種類以上と、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸及び、1,4−シクロヘキシルジカルボン酸、α−ハイドロムコン酸、β−ハイドロムコン酸、α−ブチル−α−エチルグルタル酸、α,β−ジエチルサクシン酸、マレイン酸、フマル酸、ヘミメリチン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸等のようなその他のポリカルボン酸から1種類以上用いて公知の方法によって製造されるポリエステルポリオールである。また、環状エステル化合物を開環重合して得られるポリエステルポリオール類も使用できる。
【0015】
ポリエーテルポリオールとしては、前記の低分子ポリオールやポリアミン類等の活性水素基を2個以上有する化合物類の単独又は2種以上の混合物とアルキレンオキサイドとの付加重合反応によって得られたものが挙げられる。
【0016】
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、前記ポリエステルポリオールに使用できる低分子ポリオールと、ジフェニルカーボーネートとの脱フェノール反応で得られるポリオールや、前記低分子ポリオールとジアルキルカーボネートとの脱アルコール反応で得られるポリオール等がある。
【0017】
ポリオレフィンポリオールとしては、例えば、水酸基含有ポリブタジエン、水酸基含有ポリイソプレン、水酸基含有水素添加ポリブタジエン、水酸基含有水素添加ポリイソプレン、水酸基含有塩素化ポリエチレン、水酸基含有塩素化ポリプロピレン等がある。
【0018】
本発明の水性ポリウレタン−アクリルエマルジョン組成物の(A)水性ポリウレタンエマルジョンにおける(ハ)活性水素化合物は多官能ヒドラジド化合物を含有する。
【0019】
本発明における多官能ヒドラジド化合物としては、しゅう酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、ピメリン酸ジヒドラジド、スベリン酸ジヒドラジド、アゼライン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、デカン酸ジヒドラジド、ヘキサデカン酸ジヒドラジド等の飽和脂肪族ジカルボン酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジド等の不飽和カルボン酸ジヒドラジド、フタル酸ジヒドラジド、ナフトエ酸ジヒドラジド等の芳香族ジカルボン酸ジヒドラジド、酒石酸ジヒドラジド、リンゴ酸ジヒドラジド等の水酸基含有ジヒドラジド、ニトリロトリ酢酸ジヒドラジド、トリメリット酸トリヒドラジド、クエン酸トリヒドラジド等のトリカルボン酸トリヒドラジド、エチレンジアミン四酢酸テトラヒドラジド、ピロメリット酸テトラヒドラジド等のテトラカルボン酸テトラヒドラジド、炭酸ジヒドラジド等の炭酸ポリヒドラジド、N,N’−ヘキサメチレンビスセミカルバジド等のビスセミカルバジド類、ポリアクリル酸ヒドラジド等の酸ヒドラジド系ポリマー等、その他1,3−ビス(ヒドラジノカルボエチル)−5−イソプロピルヒダンストインが単独及び併用にて使用される。
コスト、取扱、物性等種々の点から、アジピン酸ジヒドラジド及びグルタル酸ジヒドラジドが好ましい。
【0020】
その他、本発明に用いることのできる活性水素化合物としては、分子量18〜300未満の水、尿素、低分子ポリオール類、低分子ポリアミン類、低分子アミノアルコール類等がある。低分子ポリオールとしては、例えば、先述したポリエステルポリオールを構成するエチレングリコール等がある。
【0021】
低分子ポリアミン類としては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、トルエンジアミン、メタフェニレンジアミン、ジフェニルジメタンジアミン、キシリレンジアミン、イソホロンジアミン、水素添加トリレンジアミン、水素添加キシレンジアミン、水素添加ジフェニルメタンジアミン、水素添加テトラメチルキシレンジアミン、ヒドラジン、ジエチレントリアミン等のポリアミンやカルボヒドラジド、アジピン酸ヒドラジド、イソフタル酸ヒドラジド等のジカルボン酸ヒドラジドが挙げられる。
【0022】
低分子アミノアルコール類としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−フェニルジプロパノールアミン等が挙げられる。
【0023】
本発明の水性ポリウレタン−アクリルエマルジョン組成物における(A)水性ポリウレタンエマルジョンを得るために用いられる(ハ)親水性極性基及び活性水素基含有化合物の親水性極性基は、ノニオン系、アニオン系、カチオン系のいずれかの親水性極性基であり、親水性極性基導入源としては、ポリ(オキシエチレン)エーテルのようなノニオン系の親水性極性基や、−COOM、−SO3M(Mはアルカリ金属、アンモニウム基、有機アミンを示す)のようなアニオン系の親水性極性基、第四級アンモニウム塩のようなカチオン系の親水性極性基がある。
【0024】
ノニオン性の親水性極性基導入源としては、活性水素基を1個以上含有するポリ(オキシアルキレン)エーテル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル等が挙げられる。ポリ(オキシアルキレン)エーテルの製造に開始剤として用いられる活性水素基含有化合物としては、メタノール、n−ブタノール、シクロヘキサノール、フェノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、アニリン、トリメチロールプロパン、グリセリン等が挙げられる。これらのうちでは、分散安定性を考慮した場合、メタノール、エタノール、エチレングリコールのような分子量がより小さい、具体的には分子量が200以下のアルコールを用いるほうが親水性がより高いものとなるため好ましい。
また、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステルの製造に用いられる脂肪酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸などが挙げられる。これらのうちでは、分散安定性を考慮した場合、低級脂肪酸を用いるほうが親水性がより高いものとなるため好ましい。また、該ポリアルキレンエーテルアルコール、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステルなどに存在するポリエーテル鎖は、一般には3〜90個、特に好ましくは5〜50個の純粋なエチレンオキサイド鎖及び/又は全アルキレンオキサイドユニット中でエチレンオキサイドユニットを少なくとも70%以上含む混合アルキレンオキサイド鎖でもよい。
【0025】
アニオン性の親水性極性基導入源は、活性水素基を1個以上有する有機酸類及び中和剤からなる。有機酸類としては、α−オキシプロピオン酸、オキシコハク酸、ジオキシコハク酸、ε−オキシプロパン−1,2,3−トリカルボン酸、ヒドロキシ酢酸、α−ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシステアリン酸、リシノール酸、リシノエライジン酸、リシノステアロール酸、サリチル酸、マンデル酸等、オレイン酸、リシノール酸、リノール酸等の不飽和脂肪酸をヒドロキシル化したヒドロキシ脂肪酸、グルタミン、アスパラギン、リジン、ジアミノプロピオン酸、オルニチン、ジアミノ安息香酸、ジアミノベンゼンスルホン酸等のジアミン型アミノ酸、グリシン、アラニン、グルタミン酸、タウリン、アミノカプロン酸、アミノ安息香酸、アミノイソフタル酸、スルファミン酸などのモノアミン型アミノ酸等、又は2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロール酪酸、2,2−ジメチロール吉草酸等のカルボン酸含有ポリオール、イミノジ酢酸とグリシドールの付加物、5−ヒドロキシスルホイソフタル酸を用いたポリエステルポリオール、カルボン酸含有ポリオールを開始剤としたポリカプロラクトンポリオール、ポリエステルポリオール又はポリカーボネートポリオールとカルボン酸含有ポリオールとのエステル交換物が挙げられる。また、前述した高分子ポリオールや低分子ポリオール等のポリオール類やポリアミン類と、ポリカルボン酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基を含有するハーフエステル混合物やハーフアミド混合物も使用可能である。特に、無水ピロメリット酸等の酸無水物にポリオールを付加させた場合は、2個のカルボン酸が生成するため、ポリエステルポリオールの分子鎖内に親水性極性基を導入できる。その他のアニオン性親水基として、リン酸等が挙げられる。
【0026】
中和剤としては、アンモニア、エチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、トリブチルアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−フェニルジエタノールアミン、モノエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、2−アミノ−2−エチル−1−プロパノール等の有機アミン類、リチウム、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムの無機アルカリ類等が挙げられるが、乾燥後の耐候性や耐水性を向上させるためには、熱によって容易に解離する揮発性の高いものが好ましく、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミンが好ましい。
また、これら有機酸類及び中和剤は、それぞれ単独又は2種以上の混合物でも使用することができる。
【0027】
カチオン性極性基導入源はイソシアネート基と反応しうる活性水素基を1個以上含有する三級アミンと、無機酸、有機酸、四級化剤から選択されるものからなる。三級アミンとしては、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン又は炭素数が2より大きいアルキル鎖を有するN−アルキルジエタノールアミン、N−フェニルジエタノールアミン、N−フェニルジプロパノールアミン、N−メチルジイソプロパノールアミン、N,N′−ジヒドロキシエチルピペラジン、トリエタノールアミン、トリスイソプロパノールアミン、N,N′−ジメチルエタノールアミン、N−メチル−ビス−(3−アミノプロピル)−アミン、N−メチル−ビス−(2−アミノプロピル)−アミン等が挙げられる。
【0028】
無機及び有機酸としては、塩酸、酢酸、乳酸、シアノ酢酸、燐酸及び硫酸等が挙げられる。四級化剤としては、硫酸ジメチル、塩化ベンジル、ブロモアセトアミド、クロロアセトアミド、又は、臭化エチル、臭化プロピル、臭化ブチル等のハロゲン化アルキルが挙げられる。また、その他のカチオン性親水性極性基含有化合物として、第一アミン塩、第二アミン塩、第三アミン塩、ピリジニウム塩等のカチオン性化合物が挙げられる。
【0029】
また、第3級アミノ基含有ポリオールとスルトンの反応から得られるスルホベタイン基含有ポリオールのような双性極性基含有ポリオールも使用できる。
【0030】
前記親水性極性基導入源のうちで、耐候性、製造法等を考慮した場合、アニオン系の親水性極性基であるカルボン酸含有低分子ポリオールと、アミン系の中和剤の組み合わせが好ましく、特に2,2−ジメチロールプロピオン酸及び/又は2,2−ジメチロールブタン酸と、トリエチルアミンの組み合わせが好ましい。
【0031】
前記アニオン性及びカチオン系の親水性極性基は、最終的には塩の形でポリウレタン樹脂中に導入するが、中和してから樹脂中に導入してもよいし、極性基を樹脂中に導入してから中和してもよい。また、スルホベタイン基のような双性極性基は、それ自身で塩を形成するので、中和しなくてもよい。
【0032】
ノニオン系の親水性極性基導入量は、ポリウレタン樹脂中に0.1〜40重量%、アニオン系やカチオン系の親水性極性基導入量は、0.1〜2.0mmol/gが良く、好ましい量は、ノニオン系では、1〜30重量%、アニオン系及びカチオン系では、0.2〜1.5mmol/gである。各々の親水性極性基導入量が下限未満の場合は、ポリウレタンの水分散安定性が悪くなる。また、親水性極性基導入量が上限を越える場合は、塗膜の耐水性が悪くなる。
【0033】
本発明の水性ポリウレタン−アクリルエマルジョン組成物における(A)水性ポリウレタンエマルジョンには、必要に応じて反応停止剤を用いてもよい。
反応停止剤として具体的には、エチルアミン、ブチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミンのような1級及び2級のモノアミン類、メタノール、エタノール、プロパノールのようなモノアルコール類、先述したアミノアルコール類等がある。
【0034】
本発明の水性ポリウレタン−アクリルエマルジョン組成物における(A)水性ポリウレタンエマルジョンの製造方法としては、活性水素基含有化合物過剰の雰囲気で反応させるワンショット法や、活性水素化合物と有機ジイソシアネートとをイソシアネート基過剰で反応させてイソシアネート基末端プレポリマーを合成しておき、その後、活性水素化合物を反応させるプレポリマー法等、公知の方法にて製造できる。また、樹脂を合成後水分散してもよいし、イソシアネート基末端プレポリマーを水乳化すると同時、又は、水乳化後、活性水素記含有化合物を反応させる方法でも得られる。
有機溶剤を用いる場合は製造後除去してもよいし、残留したままでもよいが、安全衛生等を考慮した場合、除去したほうが好ましい。
【0035】
有機溶剤を用いる場合、使用できる有機溶剤としては、トルエン、キシレン、スワゾ−ル(コスモ石油製の芳香族系炭化水素溶剤)、ソルベッソ(エクソン化学製の芳香族系炭化水素溶剤)等の芳香族系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル等のエステル系溶剤、エチレングリコ−ルエチルエ−テルアセテ−ト、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネート等のグリコールエーテルエステル系溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエ−テル系溶剤が挙げられる。前記溶剤は1種又は2種以上使用することができる。
これらの有機溶剤は、ウレタン化反応前の、原料の段階で用いてもよいし、高分子化後にもちいてもよい。
【0036】
ワンショット法の場合、イソシアネート基/活性水素基の比は、モル比で0.5〜1未満であり、好ましくは、0.7〜1未満である。0.5未満の場合は、ポリウレタン樹脂の分子量が小さすぎるため、耐久性に欠ける。1以上の場合は、樹脂を合成する際、ゲル化が起こりやすくなる。
【0037】
プレポリマー法の場合、プレポリマー合成時のイソシアネート基/活性水素基の比は1.1〜5.0であり、好ましくは1.1〜4.0である。
1.1未満の場合は、プレポリマーの分子量が大きくなりすぎ、粘度が大きすぎるため、その後の反応工程に進みにくくなる。5.0を越える場合は、密着性に乏しくなる。
【0038】
本発明に使用するイソシアネート基含有プレポリマーや、ポリウレタン樹脂を合成する際の反応触媒としては、公知のいわゆるウレタン化触媒を用いることができる。具体的には、ジブチルチンジラウレート等の有機金属化合物や、トリエチレンジアミン等の有機アミンやその塩等が挙げられる。
なお、ウレタン化反応時における温度は、10〜100℃、好ましくは、30〜80℃である。
【0039】
本発明の水性ポリウレタン−アクリルエマルジョン組成物における(B)水性アクリルエマルジョンの構成成分として使用されるケトン基又はアルデヒド基を有する重合性不飽和単量体としては、アクロレイン、ダイアセトンアクリルアミド、アセトアセトキシエチルメタクリレート、パラホルミルスチレン、ビニルメチルケトン、ビニルブチルケトン、ビニルアセトフェノン、ビニルベンゾフェノン、ダイアセトンメタクリレート、ダイアセトンアクリレート、アセトニトリルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレートアセチルアセテート、ブタンジオール−1,4−アクリレートアセチルアセテート等が単独又は併用し使用される。
本発明においては、この中ではコスト、取扱、物性等種々の点から、特にダイアセトンアクリルアミドを用いたアクリルエマルジョンが好ましい。
【0040】
本発明の水性ポリウレタン−アクリルエマルジョン組成物における(B)水性アクリルエマルジョンの構成成分として使用されるその他の重合性不飽和単量体は、通常使用されているものであればよく、特に限定されるものではない。
例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ノニル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ラウリル等のメタクリル酸エステル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル酸エステル、パラメチルスチレン、α−メチルスチレン、パラクロロエチレン、クロルメチレンスチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニル単量体、アクリロニトリル、メタクリルニトリル等の不飽和二トリル、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等の共役ジオレフィン、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレンジグリコールジメタクリレート、メタクリル酸アリル、フタル酸ジアリル、トリメチロールプロパントリアクリレート、グリセリンジアリルエーテル、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート等の多官能ビニル単量体、アクリルアミド、メタクリルアミド、n−メチロールメタクリルアミド等のアミド系単量体、β−ヒドロキシエチルアクリレート、β−ヒドロキシメタクリレート等の水酸基含有単量体、ダイセル化学製のFA−1、FA−2、FA−3、FM−1等のβ−ヒドロキシエチルアクリレート、β−ヒドロキシメタクリレートのカプロラクトン付加単量体、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレートアミノ基含有単量体、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸ジグリシジル等のグリシジル基含有単量体、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、パラビニル安息香酸等の酸系単量体、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン等のビニル単量体等が挙げられる。
この中ではコスト、取扱、物性等種々の点から、特にアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリル酸、メタクリル酸、スチレン等が好ましい。
【0041】
本発明の水性ポリウレタン−アクリルエマルジョン組成物は、アクリル側に導入されたケトン基又はアルデヒド基と、ウレタン側に導入されたヒドラジド基が架橋反応することにより、物理的に混合するだけでは得られない耐候性や耐汚染性を発現する。
また、上記架橋反応に加えて、水性ポリウレタンに芳香族ポリカルボン酸と脂肪族ポリカルボン酸からなるポリエステルポリオールを使用することにより、相溶性が改良されるため、塗膜外観も良好となる。
【0042】
本発明の水性ポリウレタン−アクリルエマルジョン組成物における(B)水性アクリルエマルジョンの構成成分として使用されるケトン基又はアルデヒド基を有する重合性不飽和単量体の含有量は水性アクリルエマルジョンの固形分に対して0.1〜40重量%、好ましくは0.5〜30重量%である。含有量が下限未満の場合はケトン及びアルデヒド基とヒドラジド基による架橋効果が得られない。上限を越える場合は耐候性やコストの点で難がある。
【0043】
本発明の水性ポリウレタン−アクリルエマルジョン組成物における(B)水性アクリルエマルジョンの製造方法としては、通常の乳化重合により製造される。重合開始剤としては、通常のラジカル開始剤を用いることもできる。例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、過酸化水素あるいはこれらと亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム等の還元剤との組み合わせからなるレドックス開始剤、更に、これらに少量の鉄、第一鉄塩硫酸銀等を共存させた系の無機系開始剤、又はジコハク酸パーオキサイド、ジグルタル酸パーオキサイドなどの二塩基過酸化物、アゾイソブチルアミジンの塩酸塩、アゾビスイソブチロニトリル等の有機系開始剤が挙げられる。これらの中では過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、過酸化水素あるいはこれらと亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム等の水溶性開始剤が特に好ましい。
【0044】
本発明の水性ポリウレタン−アクリルエマルジョン組成物における(B)水性アクリルエマルジョンは、乳化剤を使用しなくても安定な水分散液が製造できるが、必要に応じて使用してもよい。ノニオン性乳化剤としては、アルキルフェノールエチレンオキシド付加物、高級アルコールエチレンオキシド付加物、エチレンオキシドとプロピレンオキシドブロックコポリマーが挙げられる。アニオン性乳化剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、リン酸エステル等が挙げられる。また、自己乳化型不飽和単量体を使用してもよい。
このときの反応温度は、0〜100℃、好ましくは、10〜90℃である。
【0045】
本発明の水性エマルジョン組成物において、(A)水性ポリウレタンエマルジョンと(B)水性アクリルエマルジョンの混合比は、固形分重量比で2/1〜1/20、好ましくは1/1〜1/15である。
【0046】
本発明の水性エマルジョン組成物には、必要に応じて水系システムで慣用される添加剤及び助剤を使用できる。例えば、顔料、ブロッキング防止剤、分散安定剤、粘度調節剤、レベリング剤、ゲル化防止剤、光安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、無機及び有機充填剤、可塑剤、滑剤、帯電防止剤、補強材、触媒などを添加することができる。
【0047】
本発明のエマルジョン組成物は、前述した樹脂系以外のエマルジョンをブレンドして使用できる。例えば、ポリエステルエマルジョン、ポリオレフィンエマルジョン、ラテックス等である。
【0048】
本発明の水性エマルジョン塗料は、本発明の水性ポリウレタン−アクリルエマルジョン組成物に、顔料や染料、固形分や粘度調整のための水、表面張力調整のためのイソプロパノールやN−メチルピロリドンのような有機溶剤、ブロッキング防止剤、分散安定剤、揺変剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、消泡剤、増粘剤、分散剤、界面活性剤、触媒、フィラー、滑剤、帯電防止剤、可塑剤等の添加剤を配合し、ボールミル、サンドグラインドミル等を用いて得られる。得られた塗料は、刷毛、スプレー等を用いて塗布される。なお、必要に応じて、塗布直前に硬化剤を添加して用いてもよい。
具体的な硬化剤としては、例えば、日本ポリウレタン工業製のアクアネート100、200等のようなポリイソシアネート系の硬化剤がある。
【0049】
【発明の効果】
本発明の水性エマルジョン組成物は、アクリル側に導入されたケトン基又はアルデヒド基と、ウレタン側に導入されたヒドラジド基の架橋反応と水性ポリウレタンに芳香族ポリカルボン酸と脂肪族ポリカルボン酸からなるポリエステルポリオールを使用することにより、塗膜外観、耐候性、相溶性が改良されるため、塗膜外観も良好となる。特定のポリエステルポリオールを用いたポリウレタンエマルジョンとアクリルエマルジョンからなる。本発明を構成するポリウレタンエマルジョンは、アクリルエマルジョンとの相溶性が優れているため、本発明の水性エマルジョン塗料は塗膜外観、耐候性及び耐汚染性が優れたものとなった。
【0050】
【実施例】
次に、本発明の実施例及び比較例について詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。特にことわりのない限り、実施例中の「部」及び「%」はそれぞれ「重量部」及び「重量%」を意味する。
【0051】
[ポリエステルポリオールの合成]
合成実施例1
攪拌機、温度計、窒素シール管、冷却器のついた反応器に、エチレングリコールを28部、ネオペンチルグリコールを416部、アゼライン酸を371部、イソフタル酸を327部を仕込み、180℃で5時間反応後、更に200℃で2〜10mmHgの減圧度で反応させ、水酸基価55.6mgKOH/g、酸価0.5mgKOH/gのポリエステルポリオールPES−1を得た。
【0052】
合成実施例2、3及び合成比較例1、2
実施例1と同様の方法でポリエステルポリオールPES−2〜5を合成した。
使用した原料及びスペックを表1に示す。
【0053】
【表1】
【0054】
表1において
EG :エチレングリコール
NPG:ネオペンチルグリコール
BD :1,4−ブタンジオール
HD :1,6−ヘキサンジオール
AzA:アゼライン酸
AA :アジピン酸
iPA:イソフタル酸
△ :反応系外に移行(この場合は、脱水)
【0055】
[水性ポリウレタンエマルジョンの合成]
合成実施例4
攪拌機、温度計、窒素シール管、冷却器のついた反応器に、PES−1を353部、イソホロンジイソシアネートを126部、ジブチルチンジラウレートを0.03部仕込み、80℃で2時間反応させた。次いでこの反応液を50℃まで冷却した後、2,2−ジメチロールプロピオン酸を23.5部、トリエチルアミンを17.7部、アセトンを198部を加えて3時間反応させた。
更に、この反応液にアセトンを251部を加えて30℃まで冷却し、アジピン酸ジヒドラジドが76.2部、イソプロピルアルコールが112部、水が851部からなる混合液を加えて高速攪拌し、この液よりアセトンとイソプロピルアルコールを留去して、固形分40.0%、粘度30cP/25℃の水性ポリウレタンエマルジョンPU−1を得た。
【0056】
合成実施例5、6及び合成比較例3〜6
合成実施例4と同様の方法で水性ポリウレタンエマルジョン系組成物PU−1〜7を合成した。使用した原料及びスペックを表2、3に示す。
【0057】
【表2】
【0058】
【表3】
【0059】
表2、3において
IPDI :イソホロンジイソシアネート
H6XDI :水素添加キシリレンジイソシアネート
H12MDI :水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート
DBTDL :ジブチルチンジラウレート
DMPA :ジメチロールプロピオン酸
DMBA :ジメチロールブタン酸
ADH :アジピン酸ジヒドラジド
GDH :グルタル酸ジヒドラジド
TEA :トリエチルアミン
IPA :イソプロピルアルコール
PPG−2000:ポリ(オキシプロピレン)グリコール
(数平均分子量 約2000)
TDI :2,4−トリレンジイソシアネート
IPDA :イソホロンジアミン
MEA :モノエタノールアミン
△ :反応系外に移行(この場合は、脱溶剤)
【0060】
[水性アクリルエマルジョンの合成]
合成実施例7
攪拌機、温度計、窒素シール管、冷却器のついた反応器に、イオン交換水を170部、レベノールWZ(アニオン性乳化剤、花王製)を4部、ノイゲンEA−170(ノニオン性乳化剤、第一工業製薬製)を1部仕込み、80℃まで加熱した。次いでメタクリル酸メチルが300部、アクリル酸ブチルが180部、アクリル酸が4部、ダイアセトンアクリルアミドが5部、イオン交換水が330部、ノイゲンEA−170が5部、過酸化カリウム(開始剤)が1部からなる混合液を、反応液中の温度を80℃に保ちながら3時間かけて滴下し、その後、80℃で3時間反応させた。
反応終了後室温まで冷却し、25%アンモニア水溶液にてpH8に調製し、固形分49.5%の水性アクリルエマルジョンAC−1を得た。
【0061】
合成実施例8、9及び合成比較例7、8
合成実施例7と同様の方法で水性アクリルエマルジョン系組成物AC−2〜5を合成した。使用した原料及びスペックを表4に示す。
【0062】
【表4】
【0063】
表4において
MMA :メタクリル酸メチル
BA :アクリル酸ブチル
AA :アクリル酸
DAAM:ダイアセトンアクリルアミド
【0064】
[水性ポリウレタン−アクリルエマルジョン組成物の調整]
実施例1〜4及び比較例1〜8
表5に示すように、水性ポリウレタンエマルジョン及び水性アクリルエマルジョンを配合してUA−1〜12を得た。
【0065】
【表5】
【0066】
[塗膜作成]
実施例5
UA−1に、キョウワノール M(造膜助剤 協和発酵工業製)を全固形分に対して15部を配合して、クリアー塗料を調製した。この塗料を用いて、白色軟鋼板にバ−コ−タ−で乾燥塗膜30〜40μになるように塗装した後、80℃で20分間乾燥を行い、更に室温で5時間静置して塗装サンプルを得た。
【0067】
実施例6〜8及び比較例9〜16
UA−2〜12を用いて、実施例1と同様に全固形分に対して15部のキョウワノール Mを配合し、クリアー塗料を調整した。
これらの塗料を実施例1と同様の方法で塗装サンプルを得た。
【0068】
実施例5〜8及び比較例9〜16における塗膜の耐溶剤性、柔軟性、光沢、耐候性(光沢保持率%、黄変度ΔYI)を評価した。
耐溶剤性については、キシレンラビング試験、柔軟性については、温冷繰り返し試験にて評価した(塗膜を−20℃で1時間後、50℃で1時間放置する試験を1サイクルとし、10サイクル後の塗膜外観を評価)。
光沢は、得られた塗膜の表面を光沢計を用いて、入射角60度、反射角60度における反射率を測定した。
耐候性はサンシャインウエザオメーター(スガ試験機製)にて、ブラックパネル温度63±3℃、噴霧時間120分で18分間の条件でJIS K 5400に準じて1000時間後の光沢保持率(%)、黄変度(ΔYI)を測定した。
実施例5〜8及び比較例9〜16の塗膜の評価を表6に示す。
【0069】
【表6】
【表5】
【表5】
Claims (4)
- (A)水性ポリウレタンエマルジョンと(B)水性アクリルエマルジョンからなる水性エマルジョン組成物において、(A)/(B)が固形分重量比で2/1〜1/20であり、かつ、
(A)の水性ポリウレタンエマルジョンが、
(イ)有機ポリイソシアネート。
(ロ)低分子ポリオールと、芳香族ポリカルボン酸及び脂肪族ポリカルボン酸から製造されるポリエステルポリオールを含有する高分子ポリオール。
(ハ)多官能ヒドラジド化合物を含有する活性水素基含有化合物。
(ニ)親水性極性基及び活性水素基含有化合物。
から製造されるポリマーを含有し、
(B)の水性アクリルエマルジョンが、
ケトン基又はアルデヒド基を有する重合性不飽和単量体を含有する重合性不飽和単量体混合物。
から製造されるポリマーを含有することを特徴とする水性ポリウレタン−アクリルエマルジョン組成物。 - 請求項1記載の水性ポリウレタン−アクリルエマルジョン組成物において、
(A)が、
(イ)脂環族ジイソシアネート。
(ロ)2種類以上の低分子ポリオール混合物と芳香族ポリカルボン酸/脂肪族ポリカルボン酸=35/65〜65/35(重量比)のポリカルボン酸混合物から製造されるポリエステルポリオールを含有する活性水素基含有化合物。
(ハ)多官能ヒドラジド化合物を含有する活性水素基含有化合物。
(ニ)カルボキシル基含有低分子ポリオール
から製造されるポリマーを含有することを特徴とする水性ポリウレタン−アクリルエマルジョン組成物。 - 請求項1及び請求項2記載の水性ポリウレタン−アクリルエマルジョン組成物において、
(A)が、
(イ)イソホロンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネートから少なくとも1種類以上選択される有機ジイソシアネート。
(ロ)低分子ポリオールがエチレングリコール及びネオペンチルグリコールであり、芳香族ポリカルボン酸がイソフタル酸であり、脂肪族ポリカルボン酸がアゼライン酸及び/又はアジピン酸であるポリエステルポリオールを含有する高分子ポリオール。
(ハ)アジピン酸ヒドラジド及び/又はグルタル酸ヒドラジド
(ニ)2,2−ジメチロールプロピオン酸及び/又は2,2−ジメチロールブタン酸。
から製造されるポリマーを含有し、
(B)が、
ダイアセトンアクリルアミドを含有する重合性不飽和単量体混合物。
から製造されるポリマーを含有することを特徴とする水性ポリウレタン−アクリルエマルジョン組成物。 - 請求項1〜請求項3記載の水性ポリウレタン−アクリルエマルジョン組成物を用いることを特徴とする水性エマルジョン塗料。
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