JP3576010B2 - 顆粒球コロニー刺激因子受容体の測定方法 - Google Patents

顆粒球コロニー刺激因子受容体の測定方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は血液細胞または固形癌細胞表面などに発現されているG−CSF レセプターの数を測定するものであり、癌細胞増殖の要因、治療上の指標として臨床検査の分野で利用される。
【0002】
【従来の技術】
一般的に細胞表面に存在するホルモン、サイトカインなどのレセプターの個数および親和性は放射性同位元素で標識されたホルモン、サイトカインなどのレセプターへの結合量を測定し、スキャッチャード解析法(G. Scatchard, Ann.N.Y.Acad.Sci.,51, 660(1949), J.C.Calvo et al.,Biocem.J.,212,259 (1983))を用いて調べられている。顆粒球・コロニー刺激因子受容体(G−CSF レセプター)においても、細胞表面にG−CSF レセプターが存在するとその細胞がG−CSF に応答し、増殖または分化することから、それの指標とするために放射性同位元素で標識されたG−CSF を用いてレセプターの個数および親和性がスキャッチャード解析法で調べられている(N.A.Nicola et al., J.Cell.Physiol.,124,313(1985), L.M.Budel et al., Blood,74,2668(1989) )。
【0003】
このスキャッチャード解析法では放射性同位元素で標識されたG−CSF を用いるが、生体内に存在する天然型G−CSF と同じアミノ酸配列の遺伝子工学的に製造されたG−CSF に125Iを標識するとG−CSF の生物活性が失われることから、緩和な標識法での125I標識または遺伝子工学的に一部アミノ酸配列を変えて製造したG−CSF に125I標識されている。これらの125I標識G−CSF はレセプターへの親和性が天然型G−CSF と異なる可能性が大きい。また、125I標識G−CSF は細胞に非特異的吸着し、バックグランドが大きいため、その非特異的吸着が細胞表面に少量存在するG−CSF レセプターの個数を調べる際に測定へ影響する。
【0004】
このように、生物活性を保持した125I標識天然型G−CSF の調製は不可能であり、スキャッチャード解析法での正確なレセプターの個数および親和性の測定は困難である。一方、スキャッチャード解析法に必要とする細胞数は10個であり、この細胞数を得るには多量の血液または骨髄液を採取しなければならないので、患者への負担が大きい。また、生きた細胞を用いるため、測定までの時間に制限があり、操作によるバラツキが非常に大く、レセプターの個数および親和性の測定は正確性に欠ける。
【0005】
最近、これらを解決するため、蛍光物質標識G−CSF を用いた自動細胞解析装置(フローサイトメトリー)でG−CSF レセプターの個数を調べる方法が報告されている(K.Shinjo et al., Br.J.Haematol., 91,783(1995) )。この方法は使用細胞数が少量ですみ、患者への負担が小さく、放射性同位元素を用いないので特別な施設を必要とせず、生物活性を損なうことが少ない蛍光物質で標識されたG−CSF を使用できる利点がある。G−CSF レセプターの個数をフローサイトメトリーで測定する方法においては、細胞のG−CSF レセプターに特異的に結合した蛍光標識G−CSF の量により蛍光強度が増加するので、対照から蛍光強度が変化した量をD 値として算出し、そのD 値とG−CSF レセプター数が直線関係にあるので、D 値からG−CSF レセプター数を求めることができる。
【0006】
しかし、得られたD 値からG−CSF レセプター数を求める際、D 値とG−CSF レセプター数の関係の検量線が必要であるが、常に一定のG−CSF レセプター数を有する細胞あるいは一定量の蛍光物質を標識した微粒子を入手することは不可能である。そこで、健常人7 名の好中球におけるG−CSF レセプター数はスキャッチャード解析法で求めた結果、1 細胞当たりのG−CSF レセプター数は1006〜2308個で、その平均が1 細胞当たり1508個であり、そのときのD 値が0.7 を示したことから、健常人の好中球のD 値は1 細胞当たり1508個のG−CSF レセプター数とし、それを基に測定対象の細胞のG−CSF レセプターを求める方法なので、 G−CSFレセプターの絶対数を測定できない。
【0007】
一方、フローサイトメトリーを用いて蛍光標識されたG−CSF レセプターに対する抗体で細胞表面のG−CSF レセプター検出する方法があるが、定量的測定法としては検量線作成が不可能などの問題から、正確なG−CSF レセプター数の算出はできない。固型癌のG−CSF レセプター発現量も、G−CSF による癌細胞の増殖という観点から、固型癌のG−CSF レセプター数を測定する必要性があるが、上記のスキャッチャード解析法およびフローサイトメトリーで測定する場合、固型癌を1 個づつの細胞に調製しないと測定できない。
【0008】
そこで、癌組織の塊のトリプシンなどでの酵素的処理あるいは鋏やメッシュを用いた機械的処理が必要とするため、細胞表面のG−CSF レセプターの分解、細胞表面の破壊など処理に伴うG−CSF レセプター数の減少、標識体の非特異的吸着によるバックグランドの増加などがあり、固型癌のG−CSF レセプター数は正確に測定できないのが現状である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
このように従来の細胞表面のG−CSF レセプター数は放射性同位元素で標識されたG−CSF を用いてのスキャッチャード解析法または蛍光標識G−CSF を用いてのフローサイトメトリーで測定されているが、細胞採取後の測定までの時間が限定され、多量の細胞数を必要とし、測定精度にも問題がある。また、これらの方法は培養細胞、血液細胞および血液癌細胞のG−CSF レセプター数は測定可能であるが、固型癌のG−CSF レセプター数を測定することは困難であるのが実状である。
【0010】
本発明の目的は、細胞表面のG−CSF レセプター数の測定方法としてG−CSF レセプターのタンパク質量を測定するのではなく、細胞内のG−CSF レセプターのmRNAを定量的に測定することにより、G−CSF レセプターの発現量を調べる方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明者らは鋭意研究を行った結果、G−CSF レセプターの発現量を知ろうとする細胞の試料からmRNAを抽出し、G−CSF レセプターをコードするmRNAを増幅して当該mRNAの量を測定することによりG−CSF レセプターの発現量を知ることができることを見出した。
【0012】
従って本発明は、G−CSF レセプターの測定方法において、
(a)RNA を含む試料を調製する工程、
(b)該試料中のRNA に、または該RNA を鋳型に作製したcDNAに、G−CSF レセプターのmRNA に特異的なプライマーをハイブリダイズさせ、該G−CSF レセプターの遺伝子を増幅する工程、
(c)増幅された遺伝子に、G−CSF レセプターの遺伝子に特異的で且つ標識されたプローブをハイブリダイズさせて、増幅されたG−CSF レセプターの遺伝子を測定し、G−CSF レセプターのmRNA を算出する工程、
(d)同様にして測定して算出した内部標準のmRNA 量と比較してG−CSF レセプターのmRNA を定量する工程、
(e)定量したG−CSF レセプターのmRNA 量から細胞表面のG−CSF レセプター数を求める工程、
を含んで成る方法を提供する。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の方法においては、G−CSF レセプター分子中のG−CSF 結合部位を含む領域をコードする遺伝子(RNAまたはDNA)を増幅する。G−CSF 結合部位は配列番号:1及び2において、アミノ酸位置85〜195 の領域であり、これは配列番号:1の塩基番号491 〜823 に相当する。従って、G−CSF レセプターの遺伝子増幅用の本発明のプライマーは、プライマー自体の配列も含めて、少なくとも塩基番号491 〜823 の領域を増幅することができるプライマーが好ましい。しかしながら、必ずしもG−CSF 結合部位の全長をコードする遺伝子を増幅する必要はなく、例えばG−CSF 結合部位のN−末端及び/又はC−末端よりアミノ酸数個分短い領域をコードする遺伝子部分を増幅してもよい。
【0014】
好ましい態様においては、上流側のプライマーとしては、配列番号:1に記載の塩基配列において、塩基番号238 〜500 の範囲のいずれかの部位に対応するものであり、下流側のプライマーとしては配列番号:1において塩基番号812 〜1099の範囲のいずれかの部位に対応するものであることが好ましい。具体的なプライマーの例としては、5’−CCC ACC TCA ACC ACA CTC−3’ (配列番号:3)(配列番号:1においてプラスセンス鎖の塩基番号438 〜455 )及び5’−GCT CCA GTT TCA CAA CAT CC−3’(配列番号:4)(配列番号:1において、マイナスセンス鎖の塩基番号835 〜854 ))を挙げることができる。
プライマーの長さは、10〜40塩基の範囲が好ましく、20〜30塩基からなるオリゴヌクレオチドがより好ましい。
【0015】
次に、増幅された配列を検出するには、増幅された配列にハイブリダイズすることができる標識されたヌクレオチドプローブを用いることができる。プローブは、上記のプライマーにより増幅される核酸にハイブリダイズするものであればよい。例えば、上流プライマーとして配列番号:1の塩基238 から下流に延びるオリゴヌクレオチドを用い、下流プライマーとして塩基1099から上流に延びるオリゴヌクレオチドを使用すれば、およそ塩基238 〜1099の範囲のいずれかの部位にハイブリダイズするものであればよい。
【0016】
好ましくは、プローブは配列番号:1の塩基番号491 〜823 の範囲のいずれかの部位とハイブリダイズするものである。好ましいプローブの1例としては、5’−TGA GAC CCA CCT ACC CAC CAG CTT−3’ (配列番号:5)(配列番号:1中、プラスセンス鎖の塩基番号613 〜636 に相当する)を挙げることができる。
プローブの長さとしては、通常10〜40塩基であり、好ましくは20〜30塩基の長さを有する。
【0017】
プローブのための標識としては特に限定されず、プローブの標識として常用されているものであればよい。例えば、放射性同位元素、例えば32P,35S,H,14Cなど;蛍光物質、例えばフルオレッセイン誘導体、ローダミン誘導体、クマリン誘導体、アクリジン誘導体、アントラセン誘導体、エオシン誘導体、ダンシル誘導体、エリスロシン誘導体、ピレン誘導体など;化学発光物質、例えばアクリジニウムエステル誘導体、ルミノール誘導体、キノキサリノン誘導体など;その他の標識、例えばビオチン、酵素、抗体など、使用することができる。プローブのオリゴヌクレオチドに上記の標識を結合させるには、オリゴヌクレオチドを標識するための常法を用いればよい。
【0018】
目的とするG−CSF レセプターの遺伝子をプライマーを用いて増幅するには、試料中のRNA に基いて逆転写酵素(RT)によりcDNAを合成した後、このcDNAをポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)により増幅する方法(RT−PCR 法)、試料中のRNA から対応する2本鎖DNA を合成し、転写反応によりmRNA を増幅する転写介在増幅法(Transcription Mediated Amplification ; TMA) (R. Pusternuck ら、J. Clin. Microbiol., Vol. 35, p.676 (1997) ; 特表平4−500759号)、等を用いることができ、これらの増幅方法自体はすでに確立された技術である。
【0019】
本発明に従ってmRNAを測定するには、精度及び結果の再現性を確保するために、内部標準鋳型とそれに対応するプライマー及びプローブを用いて、試料の処治と平行して増幅処理を行うのが好ましい。内部標準用核酸としてはβ−アクチンのmRNA等を用いることができる。
【0020】
内部標準としてβ−アクチンのmRNAを用いる場合それを増幅するためのプライマーとしては、例えば5’−CAA GAG ATG GCC ACG GCT GCT−3’ (配列番号:6)(β−アクチン遺伝子のプラスセンス鎖の塩基番号714 〜734 )及び5’−TCC TTC TGC ATC CTG TCG GCA−3’ (配列番号:7)(β−アクチン遺伝子のマイナスセンス鎖の塩基番号968 〜988 )を用いることができる。また、増幅された配列を検出するためのプローブとしては、5’−CAT CCA CGA AAC TAC CTT CAA CTC C−3’ (配列番号:8)(β−アクチンの遺伝子のプラスセンス鎖の塩基番号860 〜884 )を用いることができる。
内部標準についての提供は、G−CSF レセプター遺伝子の増幅操作と同様に行えばよい。
【0021】
本発明のG−CSF レセプターの発現の測定の対象となる組織や細胞としては、癌組織、血液細胞、骨髄細胞、培養細胞株などが挙げられる。
癌組織、血液細胞、骨髄細胞および培養細胞株からのmRNA抽出はそれぞれの材料を粉砕し、得られるライセートから全RNA を抽出後にmRNAを単離する。
【0022】
例えば、癌組織(0.05〜2 g )は鋏で細かくし、組織1 g に対して10 ml の変性溶液(Ambion社)を加え、ホモジナイザーまたはポリトロンでホモジネートを調製して、全RNA 抽出試料とする。末梢血液または骨髄液はその10 ml にリン酸緩衝生理食塩水(PBS )10 ml を混和後、その5mlをリンフォプレップ5 mlに重層し、1200 rpm、20分間、25℃で遠心して単核球層の細胞を採取する。PBS で該細胞を洗浄し、1 ×10〜1 ×10個の細胞に対して8 mlの変性溶液を加え、攪拌して、全RNA 抽出試料とする。培養細胞株は培養液を遠心で除き、PBS で洗浄後、1 ×10〜1 ×10個の細胞に対して8 mlの変性溶液を加え、攪拌して、全RNA 抽出試料とする。
【0023】
【実施例】
以下、実施例によりさらに詳しく本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例
(1)プライマー及びプローブの調製
G−CSF レセプターmRNAのRT−PCR用プライマーとして、 G−CSFレセプターの438−455 番目(プラスセンス鎖)および854−873 番目(マイナスセンス鎖)の遺伝子配列に相当する下記の遺伝子配列を有するプライマーを合成した。
5’−CCC ACC TCA ACC ACA CTC−3’ (配列番号:3)
5’−GCT CCA GTT TCA CAA CAT CC−3’(配列番号:4)
【0024】
また、内部標準とするβ−アクチンmRNAのRT−PCR 用プライマーとして、β−アクチンの714 〜734 番目(プラスセンス鎖)および968 〜988 番目(マイナスセンス鎖)の遺伝子配列に相当する下記の遺伝子配列を有するプライマーを合成した。
5’−CAA GAG ATG GCC ACG GCT GCT−3’ (配列番号:6)
5’−TCC TTC TGC ATC CTG TCG GCA−3’ (配列番号:7)
さらに、得られるPCR 増幅産物検出のために、以下の遺伝子配列を有するプローブを合成した。この際に、アミノ基を有するリンカー・アームを特定の位置に挿入して、合成の後化学発光物質であるアクリジニウムエステル(AE)を標識して検出用プローブとして用いた。
【0025】
G−CSF レセプター遺伝子増幅産物検出のためのプローブとして、G−CSF レセプターの613 〜636 番目(プラスセンス鎖)の遺伝子配列に相当する下記の遺伝子配列を有するプローブを合成した。
5’−TGA GAC CCA CCT #ACC CAC CAG CTT−3’(配列番号:5)
(#:リンカー・アーム挿入位置)
β−アクチン遺伝子増幅産物検出のためのプローブとして、β−アクチンの860 〜884 番目(プラスセンス鎖)の遺伝子配列に相当する下記の遺伝子配列を有するプローブを合成した。
5’−CAT CCA CGA AAC T#AC CTT CAA CTC C−3’(配列番号:8)
(#:リンカー・アーム挿入位置)
【0026】
(2)RNA の抽出
急性骨髄性白血病患者の血液から次のようにして癌細胞を分離した。
ヘパリン採取した血液に、同量のリン酸緩衝生理食塩水を混和し、その5mlをリンホプレップ5mlに重層した後、25℃、1200 rpmで20分間遠心した。 中間層 ある単核細胞分画を採取し、 その単核細胞分画1mlに10%ヒト血清を含むリン酸緩衝生理食塩水9mlを混和後、4℃、1500 rpmで5分間遠心した。上清を除去 、沈殿した細胞に10%FBS を含むIMDM1mlを加え、細胞を懸濁して細胞数を求め、癌細胞試料とした。
【0027】
全RNA の抽出は全RNA 抽出キット(Ambion社)を用いて行った。すなわち、癌細胞試料にフェノールークロロホルム混液を加え、激しく1 分間攪拌した後、氷中に5 〜15分間放置し、10000 〜12000 ×g で5 〜15分間遠心した。上清の水層を別の試験管へ移し、水層容量の1/10の酢酸ナトリウム溶液を加えて攪拌後、フェノールークロロホルム混液を加え、激しく1 分間攪拌した。氷中に5 〜15分間放置し、10000 〜12000 ×g で5 〜15分間遠心後、上清の水層を別の試験管へ移し、同量のイソプロパノールを加え、よく攪拌した。−20 ℃で少なくとも0.5 〜1 時間放置し、RNA を沈殿させた。10000 〜12000 ×g で15〜20分間遠心して上清を除き、10個の細胞に対して0.1 mM EDTA/Rnase 除去蒸留水50〜100 μl で懸濁し、70℃で3 分間または55〜70℃で10〜20分間加熱溶解後、260 nmにおける吸光度を測定して抽出全RNA 量を求めた。
【0028】
mRNAの単離はmRNA単離キット(Novagen 社)を用いて行った。すなわち、オリゴdT結合磁気粒子(mRNA 2.5μg に対して磁気粒子1 mg)が入った試験管に抽出した全RNA 溶液0.2 mlと溶解溶液/1M DTT 0.8 ml を加え、室温5 分間放置後、磁気粒子分離スタンドに立て、上清を除いた。溶解溶液/1M DTTで2 回洗浄する。 RNase除去蒸留水500 μl を加え、よく攪拌し、水浴中70℃で10分間加温後、磁気粒子分離スタンドに立て、上清を別の試験管に移した。イソプロパノール331 μl 、グリコーゲン2 μl および3M酢酸ナトリウムを加え、−80 ℃で2 時間以上放置後、14000 rpm 、10分間、4 ℃で遠心し、上清を除き、70% エタノール300 μl を加え、14000 rpm 、10分間、4 ℃で遠心する。上清を除き、DEPC処理水50μl で溶解する。260 nmにおける吸光度を測定して単離したmRNA量を求めた。
【0029】
(3)mRNA からの核酸の増幅
RT−PCRはRNA PCR キット(宝酒造(株))を用いて行った。すなわち、下記の組成に単離したmRNAを加え、サーマルサイクラーにて42℃で30分間、99℃で5 分間および5 ℃5 分間反応させ、相補的DNA を得た。
サンプル(mRNA 100 ng) 1 μl
MgCl 20μl
RNA PCR 緩衝液 10μl
RNase 不含水 46.5μl
dNTP 混合物 10μl
RNase インヒビター 2.5μl
Oligo dT ダイマー 5μl
逆転写酵素 5μl
合計 100μl
【0030】
上記で得られた相補的DNA 20μl およびプライマー(G−CSF レセプターおよびβ−アクチンのcDNA増幅用プライマー)を含む下記組成80μl を混和後、サーマルサイクラーを用いて94℃で2 分間加温した後、94℃で30秒間、55℃で30秒間および72℃で2 分間の繰り返しを30〜50サイクル行い、4 ℃で保存した。
MgCl 6 μl
RNA PCR 緩衝液 8 μl
O 63.5 μl
Taq DNA ポリメラーゼ 0.5 μl
プライマー (+) 1μl
プライマー (−) 1μl
合計 80μl
【0031】
(4)増幅産物の検出
PCR 増幅産物を蒸留水にて25倍に希釈し97℃で10分間熱変性した後、素早く氷冷し、サンプルとして用いる。AE標識プローブ溶液をハイブリダイズ用緩衝液にて1.28×10rlu/ml に調製し、その50μlを上記サンプル50μlに添加して全容を100 μlとした。反応チューブ内でサンプルとAE標識プローブの混液を50℃で30分間水浴を用いて加温した。
【0032】
上記チューブを水浴から取り出し、加水分解試薬 300μlを添加、撹拌して更に50℃で15分間反応させた。上記チューブを5分間氷冷した後室温に戻し、化学発光検出装置Leader 50(中外診断科学)を用いて化学発光強度を測定した。上記PCR 増幅産物のサンプル50μlとβ−アクチンDNA 検出用AE標識プローブを用いて上記と同様の操作を行い、β−アクチンのPCR 増幅産物の化学発光強度に対する比として求めた。
【0033】
(5)G−CSF レセプター数の算出
細胞に発現されているG−CSF レセプター数はShinjoらが報告しているフローサイトメトリー(K.Shinjo et al., Br.J.Haematol., 91,783(1995) )に従い測定した。すなわち、実施例2で末梢血液または骨髄液から得られた単核球層の細胞にビオチン標識G−CSF を加え、氷中で1時間放置後、2% FCSを含むPBS で細胞を洗浄する。RED670− アビジンを添加して氷中で1時間放置し、2% FCSを含むPBS で細胞を洗浄し、FACScan で細胞の蛍光強度を測定した。目的の細胞を5000個選び、Kolmogorov−Smirnov test からD 値を計算し、そのD 値から細胞1 個当たり発現しているG−CSF レセプター数を求めた。
【0034】
急性骨髄性白血病患者の血液から前記の方法で癌細胞を分離し、G−CSF レセプターmRNA量(β−アクチンPCR 増幅産物の化学発光強度に対するG−CSF レセプターPCR 増幅産物の化学発光強度の比)を求め、また、同じ癌細胞をフローサイトメトリーで細胞1個当たりのG−CSF レセプター数を測定した結果と対比したところ、第1図に示すように両者は直線的相関関係があった。このことから、細胞内G−CSF レセプターmRNA量は細胞上にタンパクとして発現されているG−CSF レセプターを表しており、細胞上のG−CSF レセプター数はG−CSF レセプターmRNA量を測定することにより推定できることが確認された。
【0035】
【発明の効果】
本発明の測定方法は従来のG−CSF レセプター数の測定方法に比べ簡便性、測定感度および精度において優れている上に、測定に必要とする細胞数が少ないことから採血量の低減など患者への負担が減少され、さらに血液細胞以外にも固型癌にも使用できる効果を有する。
【0036】
【配列表】
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【図面の簡単な説明】
【図1】図1はフローサイトメトリー法により測定したG−CSF レセプターの数と本発明の方法により測定したmRNAの量(β−アクチンmRNAの化学発光強度に対するG−CSF レセプターmRNAの化学発光強度の比)が直線関係を有することを示すグラフである。

Claims (9)

  1. 顆粒球コロニー刺激因子受容体 (G-CSF レセプター)の測定方法において、
    (a) RNA を含む試料を調製する工程;
    (b)上記試料中の G-CSF レセプターの mRNA を定量する工程;及び
    (c)上記(b)で定量した G-CSF レセプターの mRNA 量から細胞表面の G-CSF レセプター数を求める工程;
    を含んで成る方法。
  2. 顆粒球コロニー刺激因子受容体(G-CSFレセプター)の測定方法において、
    (a)RNA を含む試料を調製する工程、
    (b)該試料中のRNA に、または該RNA を鋳型に作製したcDNAに、G-CSF レセプターのmRNA に特異的なプライマーをハイブリダイゼさせ、該G-CSF レセプターの遺伝子を増幅する工程、
    (c)増幅された遺伝子に、G-CSF レセプターの遺伝子に特異的で且つ標識されたプローブをハイブリダイズさせて、増幅されたG-CSF レセプターの遺伝子を測定し、G-CSF レセプターのmRNA を算出する工程、
    (d)同様にして測定して算出した内部標準のmRNA 量と比較してG-CSF レセプターのmRNA を定量する工程、および
    (e)定量したG-CSF レセプターのmRNA 量から細胞表面のG-CSF レセプター数を求める工程、
    を含んで成る方法。
  3. 前記遺伝子の増幅を、RT−PCR 法または TMA法で行う請求項記載の方法。
  4. 前記標識を放射性同位元素、蛍光物質または発光物質で行う請求項記載の方法。
  5. 前記プライマーが、G-CSF レセプターのG-CSF 結合部位を実質上含む領域を増幅するように選ばれる2つのプライマーからなる請求項のいずれか1項記載の方法。
  6. 前記プライマーが、配列番号:1に示すG-CSF レセプターのDNA の塩基配列第 491番から 823番を含む領域を増幅するように選ばれる2つのプライマーからなる請求項記載の方法。
  7. 前記プライマーが、配列番号:1に示すそれぞれ、G-CSF レセプターのDNA の塩基配列第 238番から 500番までの間のいずれかの位置および塩基配列第 812番から1099番までの間のいずれかの位置に対応する2つのプライマーである請求項〜6のいずれか1項記載の方法。
  8. プローブが、配列番号:1に示すG-CSF レセプターのDNA の塩基配列第 491番から 823番を含む領域から選択されるものである請求項記載の方法。
  9. 細胞表面のG-CSF レセプター数を、予め作成しておいたG-CSF レセプターのmRNA 量と細胞表面のG-CSF レセプター数との検量線から求めることからなる請求項1又は2記載の方法。
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