JP3573576B2 - ポリエステルの連続反応方法及びその装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリエステルを連続して反応させる装置に関し、特に原料および/または反応物を円筒状の反応槽へ供給しながら、連続して重合反応等の反応を行なわせるポリエステルの連続反応装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートで代表されるポリエステルはそのすぐれた物理的、化学的性質を有するため、種々の用途に広く用いられている。特に、線状物としての繊維、面状物としてのフィルム、立体状物としての樹脂成形品に用いることによって、その優れた強度、耐熱性等の性能のため、その商品価値を高めており、耐久性の要求される衣料、および産業用繊維、そして、エンジニアリングプラスチックとして多用されている。
【0003】
このような有用なポリエステルの製造法として、一般に、直接重合法またはエステル交換法等がある。ここで、前者の直接重合法は、酸成分とジオール成分とを直接エステル化反応させて、ポリエステル先駆体を生成し、次いで該ポリエステル低重合体を減圧下で重縮合させて製造する方法である。また、後者のエステル交換法は、酸成分の低級アルキルエステルとジオールとをエステル交換反応させポリエステル先駆体を生成し、次いで該ポリエステル先駆体を減圧下で重縮合させて製造する方法である。このようなポリエステルの製造方法においては、そのスケールメリットを活かして安価にポリエステルを製造すために、バッチ式重合方式から連続重合方式への切り替えが進められてきている。
【0004】
しかしながら、このような連続重合方式は、前述のようにスケールメリットが活かせる反面、歩留まりの低下、品質の向上、重合度の均一化、操業性の向上等その多くの課題を抱えている。また、ポリエステルの製造に当たっては、エステル化反応、エステル交換反応および重縮合反応において、高温で長時間反応させる必要があって、これが故に得られるポリエステルが着色したり、分解反応が起こりカルボキシル末端基量が増大して耐加水分解性に問題が生じ易い。このため、各反応槽に撹拌翼を設けて、反応物を強制的に撹拌することで、強い剪断をかけながら反応を進行させることによって、反応を進めようとすることが一般に行われているが、この場合には、かえって得られるポリエステルの熱分解を促進することもあって、簡単ではない。
【0005】
これらの問題を解決するためには、ポリエステルの熱分解を促進させることなく、速い反応速度で反応させることで、反応槽における反応物の滞留時間をできるだけ短縮させてポリエステルを製造することが好ましい。このような理由から、従来より反応槽における反応時間を短縮させるための方法が数多く提案され、実用化されてきた。
【0006】
このような従来の方法の一つとして、ポリエステルの重縮合反応においてグリコール類のような副生物を速やかに分離・除去する目的で反応物を薄層にして反応を行なわせる薄膜反応槽を用いたり、あるいは激しい撹拌を行なって蒸発面積を大きくし、蒸発を容易にして反応速度を大きくする方法が一般的にとられている。そして、該薄膜反応槽は、▲1▼撹拌翼を設けて、反応物を撹拌させ蒸発面積を増加させること、▲2▼濡れ壁を用いて反応物を自然流下させ蒸発面積を増加させること、▲3▼反応物を細い糸状体にして副生物の蒸発面積を大きくすること等の工夫が施されている。
【0007】
ここで、特に▲1▼については、各メーカーより撹拌効率が高く、反応物の自由表面積を大きくとることができるように工夫した撹拌翼を有する反応槽が多く市販されている。しかしながら、これらの反応槽は、撹拌を強烈に行なう必要があるため、多大の撹拌動力を必要とすることから、エネルギーを浪費し、好ましくない。また、反応槽内にデッドスペースが発生したり、飛散したポリマー等が長時間滞留するため、反応物が劣化し、これが異物として製品に混入するという問題を有している。
【0008】
なお、薄膜重合反応槽以外の反応を促進する技術としては、反応槽中に不活性ガスを導入する方法が例えば特公昭51−44039号公報で提唱されている。該方法は、不活性ガスを用いたポリエステルの連続溶融重合法であって、反応槽内の反応液中に不活性ガスを細い気泡状に吹き込み、これによって反応液を撹拌し、アルキレングリコール等の副生蒸気が反応液中の不活性ガス気泡中に拡散させる方法である。しかしながら、該方法では、流下する原料液を遠心力によって分散させて塔内壁に衝突させる必要があり、このための動力を必要とするため、エネルギー消費の増大を惹起すると共に、デッドスペースの形成等の問題もある。
【0009】
また、特公平4−58806号公報には、加熱された不活性ガス雰囲気中に、口金よりビス−(β−ヒドロキシアルキル)テレフタレートおよび/またはその低重合体である初期縮合物を連続して押し出す方法が開示されている。しかしながら、大量の反応物を処理するために口金の孔径を大きくすると、十分な反応速度が得られず実用的とは言い難い。
【0010】
以上に述べた反応槽自体に関していえば、全て回転させずに固定設置されており、反応槽自体を回転させるという考え方は全く見られない。
【0011】
わずかに、内部に螺旋形の回転しない固定翼を備えた回転胴体式の反応槽を用いた反応装置が、例えば特公昭42−26170号公報に提案されているに過ぎない。しかしながら、該反応装置の螺旋形固定翼では、単に反応物を出口側へと送る効果を有するのみであり、積極的に反応物の表面を更新する効果は到底期待できない。また、特公昭48−17470号公報には、放射状に孔を開けた直角円筒と螺旋形片持羽根とを設けた重合体処理運搬装置が開示されている。しかしながら、該装置では、気相部の表面更新が十分に行なわれないため、装置内に飛散付着したポリマーが滞留劣化を起こして異物となるため、これまた十分とは言えない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
以上に述べた諸問題に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、ポリエステルの長期滞留にともなう劣化がなく、しかも反応速度を大幅に増大でき、その上、ポリマーの加水分解を促進するカルボキシル末端の少ない、品質の良好なポリエステルを連続して得る反応装置を提供するものである。
【0013】
【課題を解決する手段】
ここに、本発明によれば請求項1に係る発明として、円筒状の横型反応容器へポリエステルを製造するための原料および/または反応物を連続的に供給し、該原料および/または反応物を反応容器の出口側へと移動させながら反応を進行させてポリエステルを連続して製造する方法において、前記横型反応容器へポリエステルを製造するための原料および/または反応物を連続的に供給し、二重円筒状構造に形成したジャケットによって前記反応容器を熱媒加熱しつつ該反応容器を円筒の中心軸廻りに回転させると共に、前記の原料および/または反応物を掻き上げ手段によって該反応容器の内壁に沿って掻き上げながら、反応容器の出口側へと移動させること、を特徴とするポリエステル連続反応方法が提供される。
【0014】
また、請求項2に係る発明として、ポリエステルを製造するための原料および/または反応物を連続的に供給するための供給口と、反応して得られたポリエステルを取出すための取出口とを有すると共に熱媒加熱するためのジャケットを形成する二重円筒状構造を有する横型反応容器、該横型反応容器を円筒の中心軸廻りに回転させるための回転手段、前記の横型反応容器の内部に付設され、該横型反応容器の底部に滞留する前記の原料および/または反応物を該反応容器の内壁に沿って掻き上げるための掻き上げ手段を含むポリエステルの連続反応装置が提供される。
【0015】
さらに、請求項3に係る発明として、前記の横型反応容器を出口側に向かって水平よりも下方に傾斜させた請求項2記載のポリエステル連続反応装置が提供される。
【0016】
そして、請求項4に係る発明として、前記の横型反応容器の内壁面に開口部を有する2個以上の仕切板を付設した請求項2又は請求項3記載のポリエステル連続反応装置が提供される。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の態様について、詳細に述べる。
【0018】
本発明において言うポリエステルおよび反応物とは、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリブチレンイソフタレートの単量体、低重合体、高重合体等を挙げることができ、芳香族ジカルボン酸を主成分とするジカルボン酸ないしそのエステル形成性誘導体、脂環族ジカルボン酸、又は脂肪族ジカルボン酸と、ジオール成分とを原料として製造されるポリエステルである。芳香族ジカルボン酸成分を主成分とするジカルボン酸ないしそのエステル形成性誘導体としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、および/またはそれらの低級アルキルエステル(アルキル基の炭素数は通常1〜4個)等を挙げることができる。また、脂環族ジカルボン酸成分としては、例えばシクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられ、脂肪族ジカルボン酸としては、アジピン酸、セバシン酸、スベリン酸等が挙げられる。なかでも好ましくは、テレフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、ジメチルテレフタレートが挙げられる。これらの芳香族ジカルボン酸成分、脂環族ジカルボン酸成分、脂肪族ジカルボン酸成分は、1種のみで用いても、2種以上を併せて用いてもよい。
【0019】
そして、ジオール成分としては、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、プロピレングリコール等が例示できる。なかでも好ましくは、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコールが挙げられる。なお、これらのグリコール成分は、1種のみで用いても、2種以上を併せて用いてもよい。
【0020】
また、ポリエステルには、トリメリット酸、ピロメリット酸、グリセロール等の三官能以上の多官能化合物、安息香酸、イソシアン酸フェニル等の単官能化合物等の化合物を共重合することもできる。
【0021】
本発明では、ポリエステルを製造する際に、触媒は存在しても存在しなくても、どちらの場合でもよいが、通常は触媒を使用することが好ましい。ただし、触媒を用いる場合には、通常用いられている触媒のいずれを用いてもよく、これらの触媒としては、例えば、アンチモン化合物、マンガン化合物、チタン化合物、スズ化合物、亜鉛化合物、マグネシウム化合物等が挙げられる。また、必要に応じて、一般に使用されている他の熱可塑性樹脂、添加剤、無機充填剤、有機充填剤等の一種または二種以上を、本発明の連続反応装置の出側で直接、混練機等で練り込むこともできる。さらに、他の熱可塑性樹脂としては、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート、ポリアセタール等が例示される。また、添加剤としては、公知の酸化防止剤、帯電防止剤、臭素化ポリカーボネート、臭素化エポキシ化合物等の難燃剤、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン等の難燃助剤、可塑剤、潤滑剤、離型剤、着色剤、結晶核剤等が例示される。また、無機充填剤としては、ガラス繊維、タルク、マイカ、ガラスフレークス、カーボン繊維、シリカ、アルミナ繊維、ミルドガラスファイバー、クレー、カーボンブラック、カオリン、酸化チタン、酸化鉄、酸化アンチモン、アルミナ等の金属化合物、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属化合物等が例示される。そして、有機充填剤としては、芳香族ポリエステル繊維、液晶性ポリエステル繊維等が例示される。
【0022】
以下、本発明のポリエステルの連続反応方法とその装置を図面に基づいて詳細に説明する。
【0023】
図1は、本発明のポリエステルの連続反応装置を模式的に例示した正面図である。該図において、符号1は円筒状の横型反応容器、符号2a及び2bは横型反応容器に固設された回転ガイドレール、符号3a及び3bは互いに噛み合う一対のギヤー、符号4は前記の回転ガイドレール2aと2bとをそれぞれ回転自在に支持する一対のガイドローラ(図1ではそれぞれ一個のガイドローラのみ示されている)、そして符号5は横型反応容器の回転手段(通常、減速器付きの変速可能なモーターが使用される)をそれぞれ示す。
【0024】
ここで、前記の横型反応容器1の内部には、反応容器1の底部に滞留する前記の原料および/または反応物を反応容器1の内壁に沿って掻き上げるための掻き上げ手段、すなわち掻き上げ翼が取り付けられている。さらに、反応容器1の回転胴には、回転ガイドレール2a及び2bとギヤー3とが取り付けられており、各回転ガイドレールの下にそれぞれ一対のガイドローラー4aと4bとが設けられている。なお、上記のガイドローラー4a及び4bは、加熱されて線膨張する反応容器1の上下方向及び左右方向へのある程度の伸縮を吸収できるようにしておくことが好ましい。
【0025】
以上に述べた横型の連続反応装置において、互いに噛み合うギヤー3b(反応容器1に固設されている)と3aへと回転手段(モーター)5の駆動力が伝えられ、これによって反応容器1は、その円筒の中心軸廻りに回転させられる。なお、回転手段5については、特にその形式、数等については限定されるものではなく、必要に応じてインバーター制御によって回転速度を制御することもできる。このとき、回転が円滑に行なえるように、反応容器1の回転胴には、回転ガイドレール2a及び2bが固設されており、該回転ガイドレール2a及び2bにそれぞれ係合する各一対のガイドローラー4aと4bとで回転自在に支持されている。さらに、該反応容器1は、出口側に向かって水平よりも下方に傾斜させることが、反応容器内の反応物の移動を入口側から出口側へと、安定した反応物の流れを維持することができる。
【0026】
該連続反応装置は、反応容器1が回転することから、ポリエステルを製造するための原料及び/又はその反応物の供給と、反応終了後の反応物の取出しとを行なうに際して、それぞれロータリージョイント6b及び6aを介して行われるようになっている。したがって、原料及び/又はその反応物の供給は、ロータリージョイント6bに取り付けられた供給口7から行われ、反応終了後の反応物の取出しは、ロータリージョイント6aに取り付けられた取出し口8から行われるようになる。
【0027】
さらに、本発明のポリエステルの連続反応装置に不活性ガスを導入して反応を促進するために、ロータリージョイント6aに取り付けられた供給口12より不活性ガスを連続的に導入して、反応で副生したグリコール類を該不活性ガスの作用によって随伴して、ロータリージョイント6bに取り付けられた排気口13より排気するようにしても良い。このような不活性ガスの導入の方法としては、特に限定されるものではないが、反応容器中の気相部及び/又は反応物の液中へ導入することが好ましく、しかも反応物の流れに対して向流で導入するのが好ましい。そして、このような不活性ガスとしては、N、Ar、He等が例示でき、なかでも、コストが安いこと及び容易に入手できることから、窒素が好ましく、また反応に悪影響を及ぼさず、反応温度で気体であることが好ましく、前もって不活性ガス中の水分を減らしたり、加温して導入することが更に好ましい。不活性ガスの導入量については特に制限されるものではないが、反応を促進するためにできるだけ多い方が好ましく、経済的な面より循環させて再使用することができる。
【0028】
なお、符号9及び10は、反応容器1内の反応液を加熱するためのスチーム、ダウサム等の熱媒体を供給し、排出する熱媒体の導入管及び排出管をそれぞれ示すが、熱媒体による加熱手段に限定されることなく、電気加熱あるいは高周波加熱等の公知の加熱手段を用いることもできる。
【0029】
以上のように構成されたポリエステルの連続反応装置において、ポリエステルを製造するための原料及び/又は反応物は、供給口7より回転する反応容器1へ連続的に供給される。そして、反応液は、反応容器1内に設けられた掻き上げ手段によって反応容器1の内壁に沿って掻き上げられることによって、容器内壁の表面を濡らしつつ出口へと移動し、反応が進んだ反応液は、出口8より排出される。
【0030】
なお、本発明においては、掻き上げ手段としては、図2−(a)〜 (c)に示すような種々の掻き上げ翼を使用することができるが、特にその翼形状、翼数等について限定されるものではない。
【0031】
ここで、掻き上げ手段について、図2(反応容器1の側断面図である)を参照して詳細に説明すると、該図において、反応容器1は、二重円筒状構造となっており、これによって反応容器1を加熱する熱媒を通すことができるジャケットを形成している。また、符号14及び15は、掻き上げ手段と仕切板をそれぞれ示し、図2−(a)では、4枚の平板状の掻き上げ翼14a〜14dを各仕切板15間に長手方向かつ放射状に架け渡して固設されており、該仕切板15は二重円筒状構造の反応容器1の内筒の内壁に固設されている。なお、仕切板15は、ドーナツ状になっており、その内側に、反応物が通過する穴(H)が設けられている。さらに、図2−(b)に示す掻き上げ手段14は、図2−(a)の平板状の掻き上げ翼14a〜14dと異なり、4枚の半月状の断面を有する板状掻き上げ翼であり、図2−(c)は、8個の棒状掻き上げ翼をそれぞれ例示したものである。なお、掻き上げ翼の他の具体例としては、図2に示した棒状あるいは板状のものの他に、金網状または格子状部材とすることもできる。
【0032】
また、反応液を反応容器1の内壁に沿って掻き上げる効果とともに、掻き上げ翼に反応物の反応容器1の長手方向に反応液を移送する効果を持たせることもできる。このためには、掻き上げ翼を円筒状反応容器1の中心軸方向に平行して設けるのでなく、反応液を反応容器1の長手方向へ押出すように、反応容器1の中心軸との平行配置から、ある程度の傾斜を持たせて設置するようにしてもよい。
【0033】
以上に述べた本発明の掻き上げ手段14の機能としては、反応容器1と共に回転することにより、反応液を持ち上げて落下させることで反応液の表面更新、および伝熱効率を促すことが要求される。また、デッドスペースの形成を抑制するため、掻き上げ翼が反応容器1と共に1回転する間に掻き上げ翼の表面が反応物に接触することが肝要である。ここで、該掻き上げ手段14は、反応容器1の長手方向の内面の大部分において、その内壁と小さな間隙をもって仕切板に固設されていることが好ましい。
【0034】
なお、反応容器1の回転速度については、ポリエステルの製造条件によって異なるため、それぞれの製造条件に適した範囲内で、本発明の効果を損なわない程度に適宜選択すれば良い。また、反応容器内の反応物の液深は、反応容器の内径に比べて小さいほど好ましく、これによって脱グリコール反応が進み、速い反応速度が得られる。ただし、この場合には、反応で発生したグリコール類の排気(脱気)を阻害しないことが肝要であって、この目的を達成するためには前記の不活性ガスの反応容器1内への導入等の方策を採ることも好ましい。
【0035】
本発明の連続反応装置の反応容器1においては、反応物が流れる開口部を設けた仕切板15によってその内部を2箇所以上に仕切ることができ、これにより反応物の混合、滞留時間の制御等を行なうこともできる。なお、ここで言う仕切板の開口に関しては、その数、形状、開口位置等について、必要に応じて適宜選択使用すれば良く、例えば金網、パンチングプレート、仕切板の中央部に丸穴を有するドーナツ状ディスク(図2に例示のもの)等が好適に使用できる。
【0036】
さらには、本発明の連続反応装置の反応容器内部に掻き上げ翼以外の反応物の撹拌・混合を促進する部材を設けることもできる。ここで言う撹拌・混合を促進する部材とは、例えば螺旋状の撹拌翼部材、棒または板状の撹拌翼部材等が挙げられる。また、これらの部材を複数個あるいは複数種組み合わせて用いることもできる。
【0037】
本発明のポリエステルの連続反応方法及びその装置を用いてポリエステルを連続的に製造する場合、一般にエステル化反応槽、エステル交換反応槽および重縮合反応槽と呼ばれるポリエステルの反応槽への適用が可能である。また、圧力、温度等の反応条件については、反応に適した条件を適宜選択使用すれば良いことは言うまでもない。
【0038】
【実施例】
以下に代表的なポリエステルであるポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートについて、本発明の実施例と比較例を詳しく説明するが、これら実施例によって本発明が何らの限定も受けるものではないことは当然である。
【0039】
なお、以下の実施例等においていう「固有粘度〔η〕」は、オルソクロロフェノール中25℃で測定した溶融粘度から算出した値である。また、「末端カルボキシル基濃度(〔COOH〕)」は、エイ・コニクッス(A.Conix)の方法{(Makromol.Chem,26,226(1958)}によって測定したポリマー10gあたりの当量数である。
【0040】
以下の実施例等において、部は重量で表わした割合を示す。
【0041】
[実施例1]
テレフタル酸ジメチル10kg/hr、1,4−ブタンジオール6.5kg/hr、およびチタニウムテトラブトキサイト0.007kg/hrを供給口7より水平に設置した図1の連続反応装置に連続供給し、常圧下で気相熱媒加熱により反応容器内を160℃から170℃まで徐々に温度が上昇するようにエステル交換反応を行なった。このとき、連続反応装置の反応容器1の内部に、金網状の円筒部材を掻き上げ手段として設置し、反応容器の回転に伴い、金網で反応容器1の内壁に沿って反応物を掻き上げ、掻き上げた反応物を落下するようにした。そして、連続反応装置の反応容器を回転手段5によって、3rpmで回転させて、排出口8よりポリブチレンテレフタレート低重合体の〔η〕=0.08, 〔COOH〕=3eq/Tを得た。得られたポリブチレンテレフタレート低重合体は、色相が極めて良好で、このとき排気口11より留出したメタノール量よりエステル交換反応率を算出すると約92%であった。この条件で、ポリエステルの連続反応装置を30日間連続運転を行なったが、反応物の劣化として顕在化する異物の混入は、目視では全く確認されなかった。
【0042】
このようにして得られたポリブチレンテレフタレート低重合体を、更に引き続き、図1の連続反応装置に約13kg/hrの流量で連続供給し、真空度2Torrの条件下で、液相の熱媒加熱によって236℃で重縮合反応させた。このとき、連続反応装置の反応容器1の内部に、内壁とわずかな間隙を設けて8枚の平板を長手方向に一定の間隔で設置し、反応容器の回転に伴い、設置した平板によって反応物を掻き上げさせて、落下するようにした。また、中央部に開口を有する10枚の仕切板を反応容器1に設け、回転手段5によって、反応容器1を1.5rpmで回転させた。そして、排出口8より得られたポリブチレンテレフタレートは、〔η〕=0.57かつ〔COOH〕=6eq/Tであった。また、その色相も極めて良好で、排気口11より留出メタノールの量より算出したエステル交換反応率は、約99.9%であった。さらに、この条件で30日間の連続運転を行なったが、目視で判る異物の混入は全くなかった。なお、上記の反応を行なわせるのに際しては、反応容器1中への不活性ガスの導入は、行なわなかった。
【0043】
[比較例1]
テレフタル酸ジメチル10kg/hr、1,4−ブタンジオール6.5kg/hr、およびチタニウムテトラブトキサイト0.007kg/hrを撹拌器付き堅型反応装置に連続供給し、常圧下、気相熱媒加熱により反応容器内を160℃から170℃まで徐々に温度が上昇するようにエステル交換反応を行なった。このとき得られたポリブチレンテレフタレート低重合体は、〔η〕=0.06, 〔COOH〕=13eq/Tであり、その色相はやや黄色く、留出したメタノール量より算出したエステル交換反応率は、約76%であった。また、この条件で30日間の連続運転を行なった結果、目視で明かに判る異物の混入こそなかったものの、未反応のテレフタル酸ジメチルおよびオリゴマー類の昇華物が堅型反応装置の気相部内壁に付着しているのが確認された。
【0044】
引き続き、得られたポリブチレンテレフタレート低重合体をスクリュータイプの横型2軸反応装置に連続供給し、真空度2Torrの条件下で、液相の熱媒加熱によって236℃の温度で重縮合反応させた。得られたポリブチレンテレフタレートは、〔η〕=0.33,〔COOH〕=16eq/Tであり、その色相は黄色く、留出メタノールの量より算出したエステル交換反応率は、約97%であった。そして、この条件で30日間の連続運転を行なったが、連続運転の開始後から7日目で目視で明かに判る茶褐色の劣化物の混入が継続して見られるようになった。
【0045】
[実施例2]
テレフタル酸8.6kg/hrおよびエチレングリコール5.5kg/hrを連続エステル化反応槽にて、常圧下で反応温度274℃でエステル化反応を行なった。そして、水平より出口側が低くなるように10°傾けて設置した図1の連続反応装置へ得られたポリエチレンテレフタレート低重合体(平均重合度は約8)に三酸化アンチモンを0.04部を加えて連続供給し、真空度3Torr、気相の熱媒による加熱によって反応温度281℃で重縮合反応させた。このとき、連続反応装置の反応容器1の内部に、16本の半月状の掻き上げ手段を反応容器内壁との間に隙間をあけて長手方向に一定の間隔で設置し、反応容器の回転に伴い、反応物を掻き上げて、落下させるようにした。さらに、中央部に開口を有する8枚の仕切板を反応容器1内に設け、回転手段5によって、該反応容器1を2.5rpmで回転させた。このとき、排出口8より得られたポリブチレンテレフタレートは、〔η〕=0.53,〔COOH〕=19eq/Tであり、その色相も極めて良好で、さらに、この条件で30日間の連続運転を行なったが、目視で判る異物の混入は全く認められなかった。
【0046】
[実施例3]
図1の連続反応装置を用いて、不活性ガスとして窒素を反応物の流れに対して、向流で30Nm/hrで反応容器1中へ導入した以外は実施例2と同じ条件とした。排出口8より抜き出されたポリブチレンテレフタレートの〔η〕=0.63,〔COOH〕=16eq/T、さらには色相も極めて良好で、 この条件で、30日間連続運転を行なったが目視で判る異物の混入は全くなかった。
【0047】
[比較例2]
実施例2のポリエチレンテレフタレート低重合体をスクリュータイプの横型2軸反応装置に連続供給し、真空度3Torr、気相の熱媒による加熱によって反応温度281℃で重縮合反応させた。このようにして得られたポリエチレンテレフタレートは、[η〕=0.26,〔COOH〕=85eq/Tであり、その色相は黄色く、この条件で30日間の連続運転を行なったが、連続運転の開始から5日目で目視で判る茶褐色の劣化物の混入が継続して見られた。
【0048】
【発明の効果】
以上に述べたように、本発明によれば、従来のポリエステル連続反応装置および製造法にくらべ、重合速度が大幅に増大すると共に、その収率も向上し、しかもカルボキシル末端と異物の少ない品質が良好なポリエステルが製造でき、繊維、フィルム、その他成形素材の連続反応装置および製造方法として極めて顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のポリエステル連続反応装置を模式的に示した正面図である。
【図2】本発明の掻き上げ手段(掻き上げ翼)を例示するために模式的に示した反応容器の正面断面図である。
【符号の説明】
1 反応容器
2a,2b 回転ガイドレール
3a,3b ギヤー
4a,4b 一対のガイドローラ
5 回転手段
6a,6b ロータリージョイント
7 供給口
8 排出口

Claims (4)

  1. 円筒状の横型反応容器へポリエステルを製造するための原料および/または反応物を連続的に供給し、該原料および/または反応物を反応容器の出口側へと移動させながら反応を進行させてポリエステルを連続して製造する方法において、前記横型反応容器へポリエステルを製造するための原料および/または反応物を連続的に供給し、二重円筒状構造に形成したジャケットによって前記反応容器を熱媒加熱しつつ該反応容器を円筒の中心軸廻りに回転させると共に、前記の原料および/または反応物を掻き上げ手段によって該反応容器の内壁に沿って掻き上げながら、反応容器の出口側へと移動させること、を特徴とするポリエステル連続反応方法。
  2. ポリエステルを製造するための原料および/または反応物を連続的に供給するための供給口と、反応して得られたポリエステルを取出すための取出口とを有すると共に熱媒加熱するためのジャケットを形成する二重円筒状構造を有する横型反応容器、該横型反応容器を円筒の中心軸廻りに回転させるための回転手段、前記の横型反応容器の内部に付設され、該横型反応容器の底部に滞留する前記の原料および/または反応物を該反応容器の内壁に沿って掻き上げるための掻き上げ手段を含むポリエステルの連続反応装置。
  3. 前記の横型反応容器を出口側に向かって水平よりも下方に傾斜させた請求項2記載のポリエステル連続反応装置。
  4. 前記の横型反応容器の内壁面に開口部を有する2個以上の仕切板を付設した請求項2又は請求項3記載のポリエステル連続反応装置。
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