JP3572605B2 - 燃料供給装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両等に搭載される内燃機関に気体燃料を供給する燃料供給装置に関するものであり、特に、気体燃料を内燃機関に噴射する燃料噴射機構を備えた燃料供給装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
特開平8−144859号公報には、内燃機関に気体燃料を供給する燃料供給装置としての燃料噴射機構(インジェクタ)制御装置が開示されている。この従来装置は、燃料噴射機構における噴射弁の開弁動作特性の向上、特に、極低温始動時の開弁動作特性の向上を目的としている。
【0003】
気体燃料の燃料噴射機構では、気体燃料を燃料タンクに高圧充填する際に混入してしまったミスト状のオイルが噴射弁と弁座との接触部に付着する。極低温始動時にはこの付着オイルの粘性が高くなって固化し、両者が互いに張り付いて開弁不良になることがある。上記従来技術では、これを防止するために、エンジン始動時において、予め設定した噴射弁張り付き条件を満たしたときにはインジェクタのリフト荷重を制御する電流値を高め、リフト荷重を通常時よりも大きくしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、電流値の増大には限界があり、噴射弁と弁座の張り付き(固着)を必ずしも解消できない場合があった。特に、始動前の閉じられた噴射弁には、開弁動作に抗する燃料ガスの圧力(以下、単に燃圧ともいう)が印加されているため、極低温始動時には、張り付きを解消する力と燃圧に抗する力との和を越えた強い力で噴射弁を引き上げる必要があり、開弁動作を一層困難なものにしていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の燃料供給装置は、このような課題を解決するためになされたものであり、気体燃料を貯蔵する燃料タンクと、燃料タンクから供給される気体燃料を噴射弁の開閉により内燃機関内に噴射する燃料噴射機構と、噴射弁に加わる気体燃料圧力および噴射弁を開くための通電時間を制御する制御手段とを備え、制御手段は、噴射弁が固着されていると判定されているときには、内燃機関の始動時の気体燃料圧力を通常運転時よりも低くすると共に通電時間を通常運転時よりも長くすることを特徴とする。
【0006】
この燃料供給装置によれば、噴射弁が固着されていると判定されているときには、噴射弁を開くための通電時間を通常運転時よりも増加させるので、噴射弁の固着解消を促進することができる。このとき、気体燃料圧力が通常運転時より低く抑えられているので、固着が解消されて噴射弁が通電により開くようになったときに、燃料過給となることがない。換言すると、燃料過給による始動性の悪化は生じない。
【0007】
また、噴射弁の固着時には、固着を解消する力と気体燃料圧力に抗する力との和を越えた力で噴射弁を引き上げる必要があるが、噴射弁にかかる気体燃料圧力が低いので、噴射弁を開くための力が小さくて済む。かかる観点からも、噴射弁の固着解消を速やかに行うことができる。
【0008】
この燃料供給装置は、噴射弁の固着が解消されたことを判定する固着解消判定手段をさらに備え、固着の判定はこの固着解消判定手段による固着解消判定があるまで保持することが望ましい。
【0009】
固着判定がなされているときに、始動運転が運転者の操作により一時的に中断した場合でも、再始動の際に、通電時間増加および気体燃料圧力低下の各制御が再び実行され、固着解消の促進が図られる。
【0010】
固着解消判定手段は、内燃機関の回転数またはこれに起因する値により固着解消判定を行うことが望ましい。
【0011】
噴射弁の固着が解消されると、内燃機関の回転数が増大する。判定のしきい値を適当に定めることにより、固着解消の判定を正確に行うことができる。内燃機関の回転数が増加するのは、多気筒内燃機関の全気筒についての噴射弁の固着解消がなされた場合のみならず、一部の気筒においてのみ噴射弁の固着が解消した場合であっても同様である。
【0012】
開いたときに前記気体燃料圧力を高める遮断弁を備え、気体燃料圧力が所定の値に維持されるように遮断弁の開閉のデューティ比が制御手段によって制御されるときには、固着解消判定手段は遮断弁のデューティ比により固着解消判定を行うことが望ましい。
【0013】
噴射弁が固着している場合には、気体燃料圧力が低下する要素がないので、遮断弁が開くことがない。すなわち、デューティ比が零である。一方、噴射弁の固着が解消されると気体燃料が内燃機関で消費されるので噴射弁に印加される気体燃料圧力が低下し始めるが、遮断弁は制御手段の制御のもとで気体燃料圧力を所定の値にしようとするために、そのときの最適なデューティ比で開く。したがって、このデューティ比から固着が解消されたか否かを判定できる。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の一実施形態である燃料供給装置およびこの燃料供給装置により燃料の供給を受ける内燃機関を示す図である。この図に示す燃料供給装置および内燃機関は車両に搭載され、この内燃機関が車両走行の駆動源となる。
【0015】
天然ガスエンジン10は天然ガスを燃料として駆動する4気筒の内燃機関であり、各気筒に天然ガスを噴射する燃料噴射機構(インジェクタ)11が設けられている。
【0016】
天然ガスは燃料タンク12内に圧縮されて貯蔵されており、タンク元弁13、レギュレータ遮断弁15、レギュレータ14、デリバリ遮断弁16およびデリバリパイプ17を介して、各インジェクタ11に供給される。タンク元弁13、レギュレータ遮断弁15およびデリバリ遮断弁16は、それぞれ電磁バルブで構成されており、通電により開弁される常閉バルブである。
【0017】
タンク元弁13、レギュレータ遮断弁15、レギュレータ14、デリバリ遮断弁16およびインジェクタ11は、電子制御装置(ECU)18により制御される。エンジン10が駆動している間は、タンク元弁13、レギュレータ遮断弁15およびデリバリ遮断弁16は開成されており、燃料タンク12の高圧天然ガスは、レギュレータ14によりインジェクタ11において最適な燃料噴射を行うことができる燃圧、たとえば8kgf/平方センチメートルに減圧される。
【0018】
ECU18は、エンジン10の点火制御およびインジェクタ11の噴射弁開閉制御を行い、エンジン駆動時の燃料噴射タイミングおよび燃料噴射時間の調整を含めてエンジン10の全体制御を行う。また、エンジン停止時に噴射弁にかかる燃圧を減圧する制御や、エンジン始動時に噴射弁の固着解消を促進する制御を行う。
【0019】
ECU18は、このような各種の制御を行うために、デリバリパイプ17内の天然ガスの温度および圧力、エンジン10の吸気温度、イグニッションキー19の状態等を適宜取り込む。符号17aおよび17bは、それぞれデリバリパイプ17内の圧力および温度を検出するセンサである。
【0020】
エンジン停止時の減圧制御およびエンジン始動時の固着解消制御については、後にフローチャートを用いて詳細に説明するが、エンジンの通常駆動時(非始動時)の噴射弁開閉制御については、従来からの一般的な制御アルゴリズムが用いられており、詳細な説明は省略する。
【0021】
図2はインジェクタ11の内部構造を示す断面図である。インジェクタ本体21の一端には、中央に噴射口27が形成され上面が弁座28となっているバルブボディー23が固定されている。バルブボディー23の上方には噴射弁22が配置さている。噴射弁22はインジェクタ本体21に対して上下にわずかに揺動可能に固定されており、スプリング24によって下方に押圧されている。噴射弁22の下面には環状の凹溝が形成されており、樹脂製のオーリング(Oリング)25がはめ込まれている。
【0022】
ソレノイドコイル26に電流が流れると、ソレノイドコイル26に発生する磁力によって噴射弁22がスプリング24に抗して上方に引き上げられ、オーリング25と弁座28の間に隙間が形成される。レギュレータ14により噴射に最適な圧力(8kg/平方センチメートル)まで減圧されたデリバリパイプ17内の天然ガスは、インジェクタ11の上方から供給され、噴射弁22の中央部を通り、その下部に水平方向に形成された通路29を経て空間30に到達しているため、オーリング25と弁座28の間に隙間が形成された瞬間、天然ガスは噴射口27から噴射される。なお、スプリング31は噴射弁22の上方への引き上げを補助する押圧力を与えている。
【0023】
ところで、燃料タンク12内に天然ガスを高圧で充填する際に混入したミスト状のオイルは、噴射動作を継続するうちにオーリング25および弁座28のそれぞれの表面に付着してしまう。一方、エンジン停止中はこのオイルの付着したオーリング25と弁座28とがスプリング24の押圧力により互いに圧着状態にある。そのため、外気温度が−30℃以下となるような冬季の極寒冷地等では付着オイルが固化して両者が互いに固着した状態になってしまうことがある。
【0024】
このような状態でエンジン始動を行う場合、噴射弁22にかかっている燃圧とオーリング25および弁座28の固着力とに抗して噴射弁22を引き上げなければならず、通常のソレノイドコイルの吸引力では開弁が困難となることがあった。
【0025】
本実施形態の燃料供給装置では、このような極低温始動時の噴射弁動作の不具合を解決するために、エンジン始動時に固着解消制御を行う。その場合、エンジン停止時に減圧処理を行っておくことが望ましい。
【0026】
図3は、エンジン停止時の減圧制御を示すフローチャートである。
【0027】
ステップS1では、イグニッションキー19がオン状態からオフ状態へ移行したか否かを監視する。走行中はイグニッションがオン状態にあり、停車後のエンジン停止操作によりオフ状態となるが、このとき、ステップS2に移行する。
【0028】
ステップS2では、走行吸気温が所定値以下か否かが判断される。この実施形態では所定値として−20℃が用いられている。−20℃以下の走行吸気温が得られた場合は寒冷地を走行しているといえる。このような場合、エンジンを停止し再始動する際の外気温度が、噴射弁に付着したオイルが固化する−30℃以下となっている可能性が高い。そこで、走行吸気温が−20℃以下のときには、始動時の開弁動作をスムーズに行うために、ステップS3以下の減圧処理を実行する。逆に、走行吸気温が−20℃より高い場合には、エンジン停止後の再始動時に噴射弁が固着している可能性が非常に低いので、減圧処理を実行することなく、直ちに、ステップS9に進んでエンジンを停止させる。
【0029】
ここに、走行吸気温というのは外気温度という意味であり、車庫のような室内温度と区別するするために、たとえば時速40km以上で走行中の吸気温を定期的に(本実施形態では32ms毎に)検出して随時記憶しておき、最新の256個の検出データの平均値を走行吸気温として用いている。
【0030】
ステップS2において肯定されたときにはステップS3に進み、減圧処理の実行時間を計測するためのタイマをスタートさせる。つづいて、ステップS4に移行し、固着解消制御実行フラグをセットする。固着解消制御実行フラグは、始動時に行われる固着解消制御を実行するための開始条件の一つとして用いられる。固着解消制御実行フラグがセットされていなければ、始動時の固着解消制御は行われない。
【0031】
ここまでの処理は予備的処理であり、実際の減圧処理は続くステップS5およびステップS6により行われる。ステップS5では、デリバリ遮断弁16への通電を停止して、デリバリパイプ17をレギュレータ14から遮断する。また、ステップS6では、エンジン10の点火およびインジェクタ11による燃料噴射が実行される。
【0032】
デリバリ遮断弁16を閉じた状態で点火および噴射を実行することにより、デリバリパイプ17内の燃圧は、通常燃圧の8kgf/平方センチメートルから徐々に低下する。
【0033】
ステップS7およびステップS8では、減圧処理の実行時間およびデリバリパイプ17内の燃圧をそれぞれ監視しており、いずれか一方が条件を満たすと、ステップS9に移行してエンジン10を停止する。
【0034】
ステップS7における実行時間の監視は、ステップS3でセットしたタイマを用いて行われ、実行時間の上限をたとえば1.5秒に設定しておき、タイマ値が1.5秒を越えたときに、この判断が肯定されステップS9に移行する。
【0035】
ステップS8におけるデリバリパイプ17内の燃圧監視は、圧力センサ17aの出力データを用いて行われ、デリバリパイプ17内の燃圧が2kgf/平方センチメートル以下になった時点で、ステップS9に移行する。
【0036】
ステップS9はエンジン停止処理であるが、具体的にはインジェクタ11による燃料噴射を停止し、点火を停止し、メインリレーをオフにする。
【0037】
以上の減圧処理により、デリバリパイプ17内の燃圧は、2kgf/平方センチメートル前後にまで減圧され、この状態はつぎの始動時まで保持される。したがって、つぎの始動時における最初の開弁に必要な力をここで減圧した燃圧分だけ低減することができる。また、エンジン停止中、燃圧が噴射弁22を押し続けることになるが、その押しつけ力が小さいので、固着の程度が軽くなり、その意味でも始動時の開弁が容易なる。
【0038】
つぎに、始動時の固着解消制御を図4のフローチャートを用いて説明する。
【0039】
まず、ステップS41において固着解消制御の開始条件が満足されているか否かを判断する。本実施形態では次の3つの要件、
第1要件…固着解消制御実行フラグがオン状態にあること、
第2要件…始動時フラグがオン状態にあること、
第3要件…スタータスイッチ(STA)がオン状態にあること、
がすべて成立したとき、開始条件が満足されたものとする。
【0040】
ここに、固着解消制御実行フラグとは、すでに述べたように、停止時の減圧処理が行われたか否かを示すものであり、行われた場合にオン状態となる。また、始動時フラグとは、始動操作が開始された後、エンジン回転数が400rpmを越える前までをオン状態とし、それ以外をオフ状態とするフラグを言う。
【0041】
第1〜第3要件がすべて成立すると、ステップS42に移行する。ステップS42では、インジェクタ11に対する通電時間TAUとインジェクタ11の噴射弁22に加わる燃圧すなわちデリバリパイプ17内の燃圧Pを算出する。
【0042】
通電時間TAUは、他気筒と噴射が重ならない最大期間、すなわちクランクアングルに換算して180゜の期間を求める。具体的には、エンジン回転数をNeとしたときに、次の(1)式
TAU=30000/Ne[ms/1injection] …(1)
により通電時間TAUを求める。
【0043】
つぎに、通電時間TAUから始動時の規定噴射量を噴射するためデリバリ燃圧Pを次の(2)式により算出する。
【0044】
P=8×ST/TAU …(2)
ここで、STは通常運転時(固着解消制御非実施時)の通電時間を示す定数である。噴射量は噴射弁が開いている時間とデリバリ燃圧との積にほぼ比例することから、デリバリ燃圧Pを通電時間TAUに反比例させることにより、噴射量を一定にすることができる。
【0045】
デリバリ燃圧Pは、デリバリ遮断弁16の開閉をデューティ制御することにより調整する。
【0046】
通電時間TAUとデリバリ燃圧Pの算出が終わると、ステップS43に移行して、終了条件が満足されているか否かが判断される。終了条件は、開始条件における第3要件(スタータスイッチSTAがオン状態にあること)が不成立となること、すなわち、スタータスイッチSTAがオン状態からオフ状態に切り替わることである。この終了条件が満たされるまで、ステップS42における通電時間TAUとデリバリ燃圧Pが適宜算出され、固着解消に最適な値が求められる。
【0047】
終了条件が満たされるとステップS44へ進み、固着が完全に解消したか否かの判断がなされる。ここでは、固着解消はエンジン回転数により判断される。始動動作が開始された後、エンジン回転数が一度も700rpmを越えなかった場合には、固着解消が不完全であったものとし、固着解消制御実行フラグをセットしたまま本固着解消制御を終了する。逆に、エンジン回転数が一度でも700rpmを越えていれば、固着が全気筒に関して解消したものと判断し、ステップS45において固着解消制御実行フラグをリセットした後、本固着解消制御を終了する。固着解消制御実行フラグがセットされたままであれば、再始動の際に固着解消制御が再び実行される。
【0048】
なお、エンジン回転数が700rpmに到達したか否かを固着解消の判断基準としたのは、700rpmに到達すると完爆が確実であることが実験的にわかっており、その結果に基づくものである。
【0049】
図5は、極低温始動時のエンジン回転数挙動を示すグラフである。特性51が天然ガスエンジンの挙動を示し、特性52がガソリンエンジンの挙動を示している。同図からわかるように、天然ガスエンジンは、ガソリンエンジンに比べて回転上昇が遅いため、運転者は始動操作を中断してしまう可能性が高い。しかし、本実施形態によれば、固着解消をエンジン回転数により確認するまで固着解消制御実行フラグをリセットしないので、完爆できるまで再始動の度に固着解消制御が実行される。
【0050】
図6は本実施形態の固着解消制御が実行されたときの各部の挙動の一例を示すグラフであり、同図(A)はエンジン回転数の時間変化、同図(B)は通電時間TAUの時間変化、同図(C)はデリバリ燃圧Pの時間変化を示す。
【0051】
極低温のために、4気筒すべての噴射弁が固着しているものとする。固着解消制御実行フラグがセットされているので、時刻t1におけるスタータSTAのオンと同時に、本実施形態の固着解消制御が開始する。すべての噴射弁が固着している間は、エンジンが始動モータにより回転数Ne1で強制的に回転させられている。その間、通電時間TAUは最大値TAU1(=30000/Ne1)となっており、デリバリ燃圧Pは最小値P1(=8×ST/TAU1)となっている。これにより、固着解消が強力に促進される。
【0052】
時刻t2で一部の噴射弁の固着が解消されると、エンジン回転数が上昇を始める。エンジン回転数の上昇に伴って、通電時間TAUが減少し、デリバリ燃圧Pが上昇する。なお、デリバリ燃圧Pの挙動はステップS42での算出結果に対して若干の遅延を伴っている。
【0053】
時刻t3でエンジン回転数が400rpmに達すると始動時フラグがオフ状態になり、時刻t4でスタータSTAがオン状態からオフ状態に切り替わると、固着解消制御が終了する。時刻t4以降は、通常運転に移行するため、通電時間TAUは基準通電時間となり、デリバリ燃圧Pは若干の遅れを伴って最大の8kgf/cm2となる。
【0054】
図6(B)の破線61はこの固着解消制御が行われない従来の始動動作での通電時間を示し、同図(C)の破線62は同じく従来の始動動作でのデリバリ燃圧を示している。これらから明らかなように、本実施形態によれば、低温のために噴射弁が固着しているときには、始動時に通電時間TAUを大幅に長くし、デリバリ燃圧Pを大幅に低くするので、固着が短時間に解消される。しかも、噴射量は、一定に維持されているので、過剰に燃料が供給されることがない。
【0055】
なお、この例では、固着解消制御が終了した時刻t4においてエンジン回転数が700rpmを越えていないので、固着解消制御実行フラグがセットされたままとなっている。そのため、エンジン停止後、再始動する際に噴射弁が固着状態になくても固着解消制御が実行されてしまう。しかし、噴射弁が固着されていなければエンジン回転数が速やかに上昇するため、通電時間TAUおよびデリバリ燃圧Pは直ちに通常運転時の状態に移行するため、なんら問題はない。
【0056】
ここで通電波形について図7を用いて簡単に説明する。図7(A)は始動時の通電波形を示し、同図(B)は始動後すなわち通常動作時の通電波形を示す。通常動作時は、通電時間TAUの最初の2msにおいて、4アンペアのフル通電が行われ、その後1アンペアの保持電流が流れるように通電する。これに対して始動時は、最初にインパルス状の高い駆動電流を流し、その後4アンペアのフル通電が行われる。インパルス状の駆動は、コンデンサの放電を利用するもので、CDI(キャパシティブ・ディスチャージ・インジェクション)駆動と呼ぶ。このように、始動時には、CDI駆動の後にフル通電を行うことによっても、固着解消の促進を図っている。
【0057】
つぎに、ステップS42における通電時間TAUとデリバリ燃圧Pの算出に関し、他の実施例を説明する。
【0058】
上述した例では、エンジン回転数から可能な限り長い通電時間TAUを求め、求めた通電時間TAUから燃料が過剰とならないようなデリバリ燃圧Pを求めた。これに代わる第2の方法として、デリバリ燃圧Pを比較的低い値に固定し、他気筒と噴射が重ならないという条件の下で、上記(2)を利用して通電時間TAUを求めるという方法を用いても良い。この場合も、従来の始動時に比べて通電時間TAUが長く、また、デリバリ燃圧Pが低くなる。
【0059】
また、第3の方法として、エンジン回転数に対する通電時間TAUとデリバリ燃圧Pを予め求めたテーブルを用意し、補間法を利用してエンジン回転数から通電時間TAUとデリバリ燃圧Pを求めるという方法を用いても良い。図8にテーブルの一例を示す。
【0060】
この第2または第3の方法によれば、第1の方法に比べて計算負荷を軽減することができる。
【0061】
つぎに、ステップS44の固着解消認定に関する他の例を示す。上述の例では、固着解消制御中にエンジン回転数が700rpmに到達した場合には固着が解消されたものと判断しているが、これに代えて、デリバリ遮断弁16のデューティ比から固着解消を判定することができる。たとえば、固着解消制御終了時に、4つの噴射弁の固着がすべて解消されなかったとすると、デリバリ遮断弁16は固着解消制御中閉じたままである。したがって、デリバリ遮断弁16のデューティ比が零であれば、すべての噴射弁について固着解消がなされなかったことを示し、零でなければ、少なくともいずれかの噴射弁の固着が解消されたことを示す。
【0062】
ステップS41では、固着解消制御実行フラグがセットされていることを、開始条件を満たすための一つの要件としている。この固着解消制御実行フラグは、停止時の外気温度が極低温のときにセットされるようになっているが、他の要件に基づいてセットされるものであっても良い。たとえば、始動直前までの外気温度を継続的に検知できるセンサを備えていれば、そのセンサ出力に応じてセット動作の判断を行うことも可能である。
【0063】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の燃料供給装置によれば、極低温のために噴射弁が固着されていても、始動時において、噴射弁を開くための通電時間を増加させ、気体燃料圧力を低くするので、噴射弁の固着解消を促進することができる。しかも、気体燃料圧力が通電時間に応じて低くすれば、固着が解消されて噴射弁が通電により開くようになったときに、燃料過給による始動性の悪化は生じない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である燃料供給装置を示す構成図。
【図2】燃料供給装置内のインジェクタの内部構成を示す断面図。
【図3】燃料供給装置のエンジン停止時の動作を示すフローチャート。
【図4】燃料供給装置のエンジン始動時の動作を示すフローチャート。
【図5】エンジン始動時のエンジン回転数の変化を示すグラフ。
【図6】エンジン始動時のエンジン回転数、通電時間TAUおよびデリバリ燃圧Pの変化を示すグラフ。
【図7】インジェクタに対する通電波形を示す図。
【図8】エンジン回転数Neに対する通電時間TAUとデリバリ燃圧Pを示す表。
【符号の説明】
10…天然ガスエンジン、11…インジェクタ、13…タンク元弁、14…レギュレータ、15…レギュレータ遮断弁、16…デリバリ遮断弁、17…デリバリパイプ、17a…圧力センサ、17b…温度センサ、18…ECU、19…イグニッションキー、22…噴射弁、25…オーリング、28…弁座。
Claims (5)
- 車両に搭載された内燃機関に気体燃料を供給する燃料供給装置において、
前記気体燃料を貯蔵する燃料タンクと、前記燃料タンクから供給される前記気体燃料を噴射弁の開閉により前記内燃機関内に噴射する燃料噴射機構と、前記噴射弁に加わる気体燃料圧力および前記噴射弁を開くための通電時間を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記噴射弁が固着されていると判定されているときには、前記内燃機関の始動時の前記気体燃料圧力を通常運転時よりも低くすると共に前記通電時間を通常運転時よりも長くすることを特徴とする燃料供給装置。 - 前記固着の判定は、内燃機関停止時の外気温度に基づいて行われることを特徴とする請求項1に記載の燃料供給装置。
- 前記噴射弁の固着が解消されたことを判定する固着解消判定手段を備え、前記固着の判定は前記固着解消判定手段による固着解消判定があるまで保持されることを特徴とする請求項1に記載の燃料供給装置。
- 前記固着解消判定手段は、前記内燃機関の回転数またはこれに起因する値により固着解消判定を行うことを特徴とする請求項3に記載の燃料供給装置。
- 開いたときに前記気体燃料圧力を高める遮断弁を備え、前記気体燃料圧力が所定の値になるように前記遮断弁の開閉のデューティ比が前記制御手段により制御されるときに、前記固着解消判定手段は前記デューティ比により固着解消判定を行うことを特徴とする請求項3に記載の燃料供給装置。
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