JP3570569B2 - 溶湯の精錬方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は溶湯を脱炭精錬し、続いて真空、または低酸素分圧雰囲気下で精錬した後、大気圧付近でさらにプラズマ加熱下で再精錬する溶湯の精錬方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
真空または低酸素分圧雰囲気下での精錬法(以下、真空または低酸素分圧下精錬と記す)では、高レベルの清浄鋼等を容易に得ることができることから広く用いられており、真空誘導加熱炉(VIFとも称される)はその一つの手段である。
この真空または低酸素分圧下精錬において、ある種の不純物は、それ自身または酸化物等の化合物となって、溶湯から蒸発、飛散または浮上して分離されることにより、精錬が進行する。そして、この場合、精錬が進行した状態では、溶湯中の不純物(本発明で不純物とは不純元素や非金属介在物の原因となる物質を総称する)を非常に低いレベルにすることができる。
【0003】
真空または低酸素分圧下精錬において、精錬炉の炉壁フリーボード部分には蒸発、飛散成分の一部が凝縮してスカム状に付着している。また、精錬炉中の溶湯液面には、別種の蒸発できないドロス状等の不純成分が浮上して分離されている。精錬炉の傾注により出湯する場合、溶湯流によりこれらの付着物や浮遊物が洗い流されて溶湯中に再度取り込まれ、溶湯中に再混入する。さらに、受湯容器である取鍋またはタンディシュの内張り耐火物は、それが受湯前に十分加熱されていない場合、活性ガス成分を吸着しており、またこの耐火物は受湯後、真空または低酸素分圧下での処理により活性化した溶湯と一部反応し、または溶湯に侵食されて、これら活性ガス、反応生成物、侵食物により溶湯を汚染する。
【0004】
前記の再混入の防止方法として今日まで試みられた方法には、精錬炉の炉底出湯を行なうとともに、浮遊不純物の混入防止のため溶湯を一部炉内に残留させる方法、インダクションスカル炉により溶湯を空中出湯する方法、また、取鍋またはタンディッシュ内においては、セラミックフィルタにより微小非金属介在物となり得る物質を除去する方法などが提案され一部実用化されているが、種々の制約があり、未だ広く採用されるに至っていない。また、これらの方法はすべての再混入物質や汚染物質等に対して有効ではないので、前記の各再混入物質等に対して有効ならしめるためには、これらを組み合わせることが必要である。しかし、これらは組み合わせるほど、費用が嵩む等の問題を生ずる。
【0005】
一方、真空精錬後、黒鉛電極アーク加熱方式の取鍋精錬炉、ASEA−SKF法などで再精錬することで再混入物質等を除去することも考えられるが、これらの方法では電極が黒鉛質であり、その電極を溶鋼表面上のスラグ中に浸漬するので、溶湯中への炭素のピックアップの問題が生ずる。
特開平4−318118号は、真空脱ガス処理により溶湯を脱炭した後、Sol.Al≧0.2wt%を含有させた状態で、プラズマ加熱し、塩基度8以上のスラグの存在下で撹拌し、脱硫する極低炭、極低硫鋼の製造方法を提案している。
【0006】
前記提案の方法では、プラズマ精錬前時点でのスラグをプラズマ精錬炉に持ち込むので、プラズマ精錬中でのSol.Alを高め、スラグの塩基度を8以上に高くしなければならない。
すなわち、スラグを持ち込むので、スラグの改質のために大量の脱酸剤および還元剤を必要とするため、精錬効果が劣る問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ステンレス鋼、Ni基合金あるいはNi−Fe合金など製品の中には、要求される特性を害する理由から、炭素の混入を厳しく制限される金属材料が多い。上記の炭素の混入の多くは溶解時の固体原料から持ち込まれ、低酸素の材料ほど脱炭を強化しなければならない。脱炭は酸素などとの反応で、燃焼させる手段が知られており、さらに減圧雰囲気や真空雰囲気と組み合わせると効率がよい。しかし、いずれの場合も反応生成物は酸化物であり、これが精錬炉の溶湯面や炉壁に付着して、溶湯の動きによっては溶湯中に再混入してせっかく精錬した溶湯を汚染するという危険性が大きいものである。
しかし、上記の脱炭処理を回避しようとすると、精錬炉への挿入材料について低Cの高級な材料を選択する必要があり、溶解するための原料費が著しく高価になり、経済的な量産に適さない欠点がある。
【0008】
本発明の目的は、上記のような製品の炭素含有量が厳しく制限されるステンレス鋼、Ni基合金あるいはFe−Ni合金などの精錬時に、同じ予備精錬炉内で効率良く脱炭でき、しかも前述の炭素のピックアップの問題がなく、持込みスラグを改質する必要もなく、高レベルの精錬等の場合にも柔軟に対応できる溶湯の精錬方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、加熱手段を有する容器により溶解した溶湯に酸素源または酸素源と不活性ガスの混合物を添加または吹き込むことにより、溶湯中の炭素と反応させてCOガス化して前記の容器外に放出し、続いて真空または低酸素分圧雰囲気中で精錬して脱酸することにより、所定のレベルの予備精錬を達成する。続いて予備精錬で、溶湯から一旦分離されてはいるが、いまだその容器内にとどまり、スカム状、ドロス状等として存在する不純物を、そのままの容器中で、新たに造滓剤を添加してプラズマ加熱を行なって炭素の再混入を防止しながら、溶湯中に混入した前記スカムやドロスに起因する不純物および非金属介在物を再精錬により効率的に除去し、またはさらに高レベルに精錬する精錬方法である。
さらに、本発明は、予備精錬した後に、再精錬するために溶湯を別の容器に移した後に再精錬することができる。
【0010】
すなわち、本発明の第1発明は、加熱手段を有する容器中の溶湯に酸素源または酸素源と不活性ガスの混合物を添加または吹き込み、前記酸素源の添加または吹き込んだ後、真空または低酸素分圧雰囲気で、予備精錬をした後、該溶湯に造滓剤を添加し、不活性ガスプラズマにより加熱して再精錬することを特徴とする溶湯の精錬方法であり、第2発明は、加熱手段を有する容器中の溶湯に酸素源または酸素源と不活性ガスの混合物を添加または吹き込み、前記酸素源の添加または吹き込んだ後、真空または低酸素分圧雰囲気で、予備精錬をした後、前記溶湯を前記容器とは別容器に移すとともに造滓剤を添加し、不活性ガスプラズマにより加熱して再精錬することを特徴とする溶湯の精錬方法である。
本発明の特徴は、予備精錬の前段階で酸素源による酸化精錬を実施し、引き続いて予備精錬と不活性ガスプラズマによる再精錬を組み合わせたところにある。
【0011】
本発明でいう真空または低酸素分圧雰囲気とは、それぞれ大気圧未満の雰囲気、または大気中の酸素分圧すなわち213HPa(1013HPa×0.21)未満の酸素分圧雰囲気を意味する。この条件を満足させる手段としては、真空ポンプで排気し減圧すること、不活性ガス(ArやNガス)で酸素の一部を置換すると、または減圧とガス置換を組み合わせて、数100Torr以下の不活性ガス雰囲気とする方法がある。
これらのための実用炉としては、真空誘導炉(VIF)、AOD炉、VOD炉などがあるが、プラズマ精錬での造滓剤を有効に活用するために、予備精錬として誘導加熱方法によるものが望ましい。また、第2発明において、更新容器は予備精錬でのスプラッシュやヒューム等による汚染を受けないように準備するとよい。
これに適する予備精錬炉と再精錬炉の組合せ装置を図2に示す。図2では、更新容器は大気遮断室aに仕切りバルブ4を介して連結する第2の大気遮断室に予めセットされる。
【0012】
すなわち、予備精錬は真空または低酸素分圧雰囲気下にある大気遮断室aで行なうので、再精錬容器27は予熱した後、仕切りバルブ4を介して連結している真空または減圧室で準備しておく。
大気遮断室aでの精錬が完了すると、仕切バルブ4を開放し、その開口を経て再精錬容器27を軌条および台車24により大気遮断室aの位置27′へ移動する。
この時に大気遮断室aと再精錬容器をセットしていた部屋は連通するが、どちらも真空または減圧されているので同気圧になるだけで、やはり真空または低酸素分圧雰囲気が保たれることになる。このようにすれば、更新容器は予備精錬中は大気遮断室a外にあるのでスプラッシュやヒューム等の汚染を受けない。
【0013】
また、本願の精錬方法および装置において、再精錬は、ポーラスプラグ、その他の方法によるArなどのガス吹込み法や誘導法等による撹拌条件下で行なうことが望ましく、また再精錬容器からの出湯は、容器底に設けたスライディングノズル方式によるものが傾注法やストッパ形式のものよりスラグの混入やプラズマ加熱によるストッパの損傷等の不都合がなく適当である。
【0014】
【作用】
前述のように本発明の方法は、炭素含有量が特に少ないステンレス鋼、Ni基合金あるいはNi−Fe合金などの精錬に適し、予備精錬時に溶湯中の炭素を、酸素源の一例である酸素ガスを主体とするガスを溶湯中に吹き込んで十分酸素と炭素を反応させてCOガスとして容器外に排出させたうえで、さらに溶湯中に残存する酸素を真空または低酸素分圧雰囲気中に放出させて予備精錬を行なう。その結果、スラグの発生が比較的少なく、溶湯中の炭素が低く、さらに残存する酸素レベルが低い溶湯を、次の重要な工程であるプラズマ加熱での再精錬時に新たに添加する造滓剤の種類や量を少なくして効果的に再精錬を行なうことができる。
【0015】
予備精錬とそれに続く再精錬のメリットから言えば本発明では、溶解時に混入する炭素をスラグが発生することなく、予備精錬で除去することで、実質的にスラグのない比較的きれいな状態で次のプラズマ再精錬に移行することができる。これは本発明の重要な工程であるプラズマ加熱での再精錬を予備精錬時のスカムやドロスなどの不純物除去に特化することができ、プラズマ加熱下で使用する造滓剤の種類や量も少なくて済むという利点がある。
【0016】
なお、上記の予備精錬時に実施する酸素ガスを主体とするガスの吹き込みは脱炭手段として望ましい方法であるが、他の方法として、酸素ガス吹き込みと、溶湯成分のうち主成分または副主成分からなる酸化物を添加して(例えばFe−Ni合金の場合には、酸化ニッケルを酸化物として使える)、溶湯中の炭素を酸化させる方法とを併用して、より溶湯中の炭素を除去させてもよい。この場合、予め酸素主体のガス吹き込みにより一次の脱炭反応が終了しているため、前記酸化物の添加は少量で済むので、望ましい方法である。この方法によると、酸化物添加によるスラグの発生は少なく、また続いて行なう真空精錬によってスラグの一部は、分解されてガス状となって容器外に放出される。そのため、次の工程であるプラズマ加熱下で新たに添加する造滓剤は、酸化物添加によるスラグの改質はほとんど無視することができる。
さらに本発明の予備精錬時の酸素ガスを主体とするガス吹き込みによる脱炭精錬を行なうことで、平衡反応で同時に脱窒も促進させる利点もある。
【0017】
本発明における再精錬は、予備精錬段階で一旦分離された不純物および非金属介在物を、不活性ガスプラズマ加熱下で新たに添加する活性化させた造滓剤により、効果的に吸収させることにより行なわれる。すなわち、本発明において、新たに添加した造滓剤は予備精錬時のスラグが実質的にないため、予備精錬からの持込みスラグを改質するための新たな造滓剤を必要としないので、新たに添加する造滓剤の塩基度を必要以上に高めなくてもよく、また添加も少量でよい。造滓剤はCaOを中心とする複合フラックスで塩基度を2以上とする。望ましくは3〜7に調整すると最適である。その結果、不活性ガスプラズマ加熱により十分加熱されて低粘性かつ活性化されることにより、前記付着物、浮遊物等の再混入物質および非金属介在物ならびに耐火物に起因する汚染物質を効果的に捕集することができ、望ましくは後述の不活性ガス吹込み等による十分な撹拌により、溶湯と十分に相互に交換しつつ接触し、高い精錬効果を生ずる。
【0018】
なお、プラズマ加熱下で行なう再精錬前の予備精錬終了時点の溶湯が実質的にスラグのないものとは、予備精錬を行なう目的で造滓剤を添加して十分な反応を終えて発生したスラグがないことを指す。したがって、本発明のうちの第2発明において、別容器の再精錬に注湯する前の予備精錬終了直前、または終了直後の溶湯に、造滓剤を添加して再精錬炉に注湯することがあるが、これは予備精錬炉中で造滓剤の添加による精錬を目的としたものではないので、予備精錬での反応用のスラグはないものと実質的に同一であり、本発明方法に包含されるものである。
また、大気中で実施される不活性ガスプラズマ加熱法は、上述のように造滓剤を効果的に加熱する一方、溶湯や造滓剤の表面を被覆して溶湯の酸化や造滓剤が酸化性となることを防ぎつつ、溶湯を昇温し、または温度低下を補償し、かつ、黒鉛電極アーク加熱法のごとく、炭素のピックアップ等の再汚染の危険がない。なお、本発明方法では、後述の実施例のように予備精錬以上の高レベルにまで精錬を行なうものも含む。
【0019】
本発明の最終工程の精錬であるプラズマ加熱による再精錬方法における望ましい態様として撹拌を加えるとよい。撹拌の方法は、炉底に設けたポーラスプラグからの不活性ガスによるものが、撹拌効果の点から望ましい。また、電磁撹拌装置を単独または併用して用いてもよい。
不活性ガスプラズマ加熱装置は、前述のようにバーナのごとく、CO、HO、遊離O等の酸化性ガスを発生せず、かつ高温加熱に適するから、本発明において再精錬に用いることはもちろん、容器を更新する場合は予備精錬継続中に、他方でこの加熱装置を用いて再精錬容器を高清浄かつ高温に予熱するのに用いることができる。
【0020】
【実施例】
(実施例1)
図1に示す設備を用いて、以下に示す手順で操業を行った。
誘導加熱精錬炉5に、固体原料を投入した後、蓋体3を施し、真空排気系6aにより大気遮断室a内を減圧し、誘導加熱炉により溶解を開始した。次いで溶解した溶湯に、図示しないランスを溶湯中に挿入し、前記ランスを介して大気遮断室aの外部から酸素ガスとArガスを混合したガスを吹き込んだ。前記混合ガスの吹き込みを終了した後、ランスを溶湯から引き上げてガスの供給を中止し、続いて大気遮断室を1Torr以上に真空度を上げて真空精錬を行なった。
【0021】
並行的に大気遮断室aの内部には、予め予熱された再精錬容器が容器蓋体27aを付けてセットされている。これは予備精錬中のスプラッシュなどを防止するためである。大気遮断室aでの精錬が完了すると、誘導加熱精錬炉5を傾動することにより、溶湯を再精錬容器27′へ出湯する。次に仕切バルブ4を開放し、その開口を経て再精錬容器27′を軌条および台車24により再精錬位置27へ移動する。
続いて副原料投入系9により造滓剤を添加し、不活性ガスプラズマ加熱装置により加熱して造滓剤の溶融、加熱を行ない、かつ不活性ガス導入系7bを経てポーラスプラグ28からArガス吹込み撹拌することにより、再精錬を行なった。
再精錬が終了し、所定の鎮静を行なった後、スライディングノズル29を経てインゴットケース30に鋳造した。本実施例では、再精錬容器27′は予め大気遮断室a内にセットしたが、図2のような設備で実施してもよい。この場合は、再精錬容器の予熱が十分行なえること、スプラッシュなどの汚染が防止できる効果がある。
【0022】
次に本願の方法発明の効果を各種のテスト例で説明する。いずれも、実験に用いた溶湯は、Fe−42Ni合金である。
図3は、真空誘導加熱精錬炉で固体原料を投入して溶解を開始し、原料が溶け終った時点から、酸素源の添加または吹き込みを行なわずに真空引きを継続させた際の経過時間に対する予備精錬の進行度合を、溶湯中のO値とC値で測定した結果を示した図である。
図3から、真空精錬により、溶湯中のO値が急速に低下し、その際に酸素と炭素が結び付いてCOガスとなって大気遮断室aの外部に排出される結果、C値も同時に減少していることがわかる。
しかし、上記の予備真空精錬で減少したC値はせいぜい60ppm程度であった。
【0023】
図4は、前記予備精錬と同一条件で精錬した溶湯を予め不活性ガスプラズマ加熱装置で内張り耐火物を加熱した再精錬容器へ上述と同一条件の傾注により受湯し、造滓剤を添加すると共に、炉底のポーラスプラグによるアルゴンガス撹拌と溶湯上面からの不活性ガスプラズマ加熱を行ないつつ、本発明における再精錬を行なった時のガス濃度の変化を示すものである。この図から、本発明に係る再精錬で再混入物の再溶解は防止され、時間の経過とともに、ガス濃度はむしろ徐々に低下しており、予備精錬のレベル以上に精錬が進行していることがわかる。
しかし、C値は、予備精錬後のレベルとほぼ同様で、再精錬によってさらに脱炭させることができなかった。
【0024】
次に図5に上記と同様に誘導加熱炉5で固体原料を溶解し、原料が溶け終った時点で溶湯中にランスを挿入して、このランスから、酸素ガスとArガスの混合ガスの吹き込みを開始するとともに、酸化ニッケルを溶湯トン当り3kg添加し、続いて真空度を高めて予備精錬した時のO値、C値の挙動を示した。図5から混合ガスの吹き込みと酸化ニッケルの添加により、脱炭反応が図3の場合より促進することができるが、混合ガスの吹き込みを酸化ニッケルの添加により一旦O値が高くなり、その後の真空精錬によりO値は減少するが、酸素源を加えたために真空精錬だけではO値を十分低下させることが難しく、図3に比べて精錬後のO値が高くなってしまう結果となった。しかし、本発明の重要な構成要件であるその後のプラズマ精錬炉で、再精錬を組み合わせることでO値をさらに低減することができる。
【0025】
図6は、上記図5に示した混合ガスの吹込み、および酸化ニッケルを添加して脱炭を促進させ、続いて真空精錬を行なった後の溶湯を、プラズマ精錬炉に移して造滓剤を添加した時点からの経過時間に対する溶湯中のO値とC値の変化をプロットしたものである。なお、プラズマ精錬炉での精錬方法は、図4の場合と同じであるが、C値の上昇のほとんどない状態で脱酸を十分に行なうことができ、不純物や非金属介在物の除去が行なえることがわかる。
上述したように、特に低炭素が要求される合金を精錬するためには、予備精錬炉で十分脱炭反応を行なって、さらに真空精錬によって脱酸させたきれいな溶湯を、次のプラズマ加熱による再精錬をすると極めて清浄度の高い合金が得られることがわかる。
【0026】
なお、以上の実施例において、予備精錬の例として真空精錬法を用いた例で述べたが、本発明はこれに限定されない。すなわち、精錬対象である溶湯が含有する合金成分元素によっては、その成分の蒸発等による損失を防止抑制するため、通常、絶対圧力で200Torr程度以下の不活性ガス雰囲気が適宜選定されており、高真空でない場合も本発明に含む。
また、上記実施例において、予備精錬炉で直接固体原料から溶解を行なったものについて説明したが、真空精錬する前の工程、つまり溶解および酸素源の吹き込みまたは添加を別の容器で行なってもよいことは言うまでもない。
【0027】
(実施例3)
図7に示す設備を用いて、以下に示す手順で操業を行なった。
実施例1と同じFe−42Ni合金の固体原料を容器50内に投入した後、容器真空蓋53を施し、真空排気系54により容器50内を減圧し、誘導加熱コイル52により溶解を開始した。次いで溶解した溶湯に図示しないランスをこの溶湯51に挿入し、前記ランスを介して外部から酸素ガスとArガスを混合したガスを吹き込んだ。上記の混合ガスの吹き込みを終了した後に、引き続いて酸化ニッケルと酸化鉄(Fe)を合計で溶湯トン当り3kgを投入装置55から添加した。
【0028】
次に真空排気系54の容量を高めて脱酸を開始した。脱酸精錬が終了した時点で真空排気系54を止め、アルゴン底吹き撹拌装置58からアルゴンガスを流入して置換した上で投入装置55から造滓剤を添加した。次いで容器真空蓋53の外部にセットしてあるプラズマ加熱トーチ56を容器50内に挿入してプラズマ加熱を開始し、同時に前記前記アルゴン底吹き撹拌装置58からアルゴンガスを吹き込みながら溶湯を撹拌させて再精錬を行なった。再精錬が終了するとスライディングノズル57を開口し、前記スライディングノズルの下に用意されたインゴットケースに受湯した。
このようにして得られた鋳塊から採取した試料をガス分析した結果、実施例1の混合ガスと酸化ニッケルを加えて脱炭、脱酸し、さらにプラズマ加熱炉で再精錬した合金のO値が22ppm、C値が26ppmであったのに対して、上記方法による合金はO値が26ppm、C値は29ppmであった。
【0029】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明は、加熱手段を有する精錬炉を用い、酸素ガスまたは酸素ガスと不活性ガスの混合ガスの吹き込むなどの酸素源の供給によって、十分な脱炭を用い、さらに真空または低酸素分圧雰囲気で予備精錬して脱酸させることで実質的にスラグのない比較的きれいな溶湯の状態で、次のプラズマ加熱精錬に移行できるため、精錬効率の高い極めて清浄度の高い合金を得ることができる。
本発明の方法では、予備精錬でのスラグの発生が比較的少なく、溶湯中の炭素が低く、さらに残存する酸素レベルが低い溶湯が得られる。その結果、プラズマ加熱での再精錬時に新たに添加する造滓剤の種類や量を少なくして効果的に再精錬を行なうことができる。
【0030】
さらに本発明の予備精錬時の酸素ガスを主体とするガス吹き込みによる脱炭精錬を行なうことで、平衡反応で同時に脱窒も促進させる利点もある。
また、本発明は、脱炭および脱酸を行なう予備精錬を終了した溶湯を別の容器に更新することで、さらにきれいな溶湯の状態で次のプラズマ加熱による再精錬を効率的に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に用いた装置の一例を示す図である。
【図2】本発明の実施例に用いた装置の一例を示す図である。
【図3】真空誘導炉で溶解した溶湯に酸源の添加または吹き込みを行なわずに真空引きを継続させた際の経過時間に対するO値とC値の変化を示す図である。
【図4】上記予備精錬(図3)後、溶湯を別容器の再精錬炉に注湯し、新たな造滓剤を添加してプラズマ加熱による再精錬を開始した時点からの経過時間とO値とC値の変化を示す図である。
【図5】真空誘導炉で酸素ガスとArガスの混合ガスの吹き込みを終了した後、酸化ニッケルを添加するとともに、開始した時点からの経過時間に対するO値とC値の変化を示す図である。
【図6】上記予備精錬(図5)後、溶湯を別容器の再精錬炉に注湯し、新たな造滓剤を添加してプラズマ加熱による再精錬を開始した時点からの経過時間とO値とC値の変化を示す図である。
【図7】本発明の実施例に用いた装置の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 真空または低酸素分圧下精錬装置、2 大気遮断室本体、3 蓋体、4 仕切りバルブ、5 誘導加熱精錬炉、6a 真空排気系、6b 真空排気系、7a 不活性ガス導入系、7b 不活性ガス導入系、8 副原料投入系、9 副原料投入系、20 再精錬装置、22 仕切りドア、23 不活性ガスプラズマ加熱装置、24 軌条および台車、27 再精錬容器(再精錬位置)、27a 容器蓋体、28 ポーラスプラグ、29 スライディングノズル、30 インゴットケース、31 台車、a 大気遮断室、b 大気遮断室、50 容器、51 溶湯、52 誘導加熱コイル、53 容器真空蓋、54 真空排気系、55 投入装置、56 プラズマ加熱トーチ、57 スライディングノズル、58 アルゴン底吹き撹拌装置

Claims (3)

  1. 加熱手段を有する容器中の溶湯に酸素源または酸素源と不活性ガスの混合物を添加または吹き込み、前記酸素源の添加または吹き込んだ後、真空または低酸素分圧雰囲気で、予備精錬をした後、該溶湯に造滓剤を添加し、不活性ガスプラズマにより加熱して再精錬することを特徴とする溶湯の精錬方法。
  2. 加熱手段を有する容器中の溶湯に酸素源または酸素源と不活性ガスの混合物を添加または吹き込み、前記酸素源の添加または吹き込んだ後、真空または低酸素分圧雰囲気で、予備精錬をした後、前記溶湯を前記容器とは別容器に移すとともに造滓剤を添加し、不活性ガスプラズマにより加熱して再精錬することを特徴とする溶湯の精錬方法。
  3. 予備精錬の加熱手段は誘導加熱によるものである請求項1または2に記載の溶湯の精錬方法。
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