JP3569628B2 - ポンプ流量制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポンプ流量制御装置に関し、特に、給水配管に設けられたポンプにおける吐出圧力から、前記給水配管の末端における水圧である末端圧力を推定して、前記ポンプの回転数を制御し得るポンプ流量制御装置に関する。本発明は、特に、種々の吐出圧力と吐出流量とに対応する前記ポンプの性能曲線を記憶するメモリが不要であり、且つ前記ポンプの吐出圧力を知るだけで連続的にポンプを制御し得る、ポンプ流量制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、パワーエレクトロニクス制御装置が安価になり、且つ性能が向上したことに伴い、ポンプにおける給水量の制御に回転数制御が広く用いられるようになってきた。
【0003】
従来は、制御が単純で、且つ制御装置が比較的安価であるとの理由から、吐出圧力一定制御が用いられてきた。この制御方式は、吐出圧力を一定に保ちつつポンプの回転数を変化させて前記ポンプの吐出流量を制御する方式である。
【0004】
しかし、給水配管のような管路においては、ポンプの吐出流量が変化すると、管路抵抗は、前記吐出流量の変化の二乗に比例して変化する。したがって、給水量が少ない場合においては、給水配管の末端圧力が高くなり過ぎ、それ故にエネルギの損失が多いという問題があった。
【0005】
そこで、近年、給水配管における末端圧力を一定に保持する末端圧力一定制御装置が種々提案された。
【0006】
従来提案された末端圧力一定制御装置としては、例えば、ポンプと、前記ポンプに接続された給水配管と、前記給水配管におけるポンプの吐出口近傍に設けられた、給水圧力を測定する圧力センサと、前記給水配管に設けられた、給水量を測定する流量センサとを備えた末端圧力一定制御装置を挙げることができる。ここで、前記給水圧力をP、前記給水量をQとすると、PとQとの間には、
【0007】
【数1】
Figure 0003569628
【0008】
(a:管路係数、b:ポンプの実揚程に給水管末端での所要圧力を加えた圧力)という関係が成り立つことが知られている。よって、前記末端圧力一定制御装置においては、給水量Qが変化したときには、上記の式に沿って給水圧力Pが変化するように前記ポンプの回転数を制御することによって、給水配管における末端圧力を一定に保持するという制御を行っている。
【0009】
しかし、前記末端圧力一定制御装置においては、用いられている流量センサは、一般に信頼性が不十分であるにも係らず高価であり、又、装置自体も制御が複雑であり、且つ装置そのものも大掛かりになるという問題もあった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、ポンプの吐出圧力から給水管の末端圧力を推定し、推定した末端圧力が一定になるように、前記ポンプの回転数を制御する、所謂推定末端圧力制御法が種々提案された。
【0011】
例えは、可変速ポンプにおける負荷の状況から配管抵抗を推定し、これによって推定末端圧力制御を行う方法が提案された(特許第2523139号特許公報)。
【0012】
又、別の推定末端圧力制御方法として、ポンプと、このポンプを駆動する可変速駆動手段と、これらを制御する制御装置と、ポンプに連結した給水管路と、この給水管路の管内圧力を測定する圧力センサを備えた給水装置において、運転速度がある値のときにおけるポンプの吐出流量と吐出圧力との関係を示す性能曲線と、給水管路の抵抗曲線との交点で定まる吐出圧力を、当該交点における運転速度毎に記憶し、ポンプの運転速度が前記記憶された運転速度になるように、前記可変速駆動手段で制御する給水装置の制御方法が提案された(特公平8−19916号公報)。
【0013】
しかし、前者の制御方法においては、ポンプを駆動するモータに流れる電流値から配管抵抗による負荷を求めるので、誤差が大きくなるという問題があった。又、ポンプの回転数を変化させると同時に、ポンプを駆動するモータに流れる電流値からポンプにかかる負荷を求めるので、制御が複雑になるという問題もあった。
【0014】
後者の制御方法においては、精度の高い制御を行おうとすると、性能曲線と、給水管路の抵抗曲線との交点で定まる圧力を、前記給水管路の抵抗曲線に沿って、当該交点における運転速度毎に多数記憶する必要があるから、大容量のメモリが必要になるという問題があった。そして、たとえ大容量のメモリを用いて、前記運転速度とそれに対応する前記圧力とを多数記憶したとしても、前記メモリに記憶された圧力毎の回転速度しか出力し得ないので、前記制御方法において連続制御を行うことは、本質的に不可能であった。
【0015】
本発明は、従来の推定末端圧力制御方法が有している前記問題点を解決することを目的とする。
【0016】
即ち、本発明は、性能曲線と、給水管路の抵抗曲線との交点で定まる圧力を、当該交点における運転速度毎に多数記憶させる必要がなく、且つ、連続制御が容易に行え、更に、大幅な省エネルギーにもつながるポンプ流量制御装置を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決することを目的とするポンプ流量制御装置は、
(1)ポンプと、前記ポンプの吐出圧力を測定する圧力センサと、前記ポンプを駆動するモータと、前記モータの回転数を制御するモータ制御装置と、前記配管における前記ポンプの最大吐出流量と最大吐出圧力、前記配管における最小所要吐出圧力、及び前記圧力センサで測定された前記ポンプの吐出圧力に基づき、前記ポンプの設定回転数を計算し、且つ、前記ポンプが前記設定回転数で回転するように前記モータ制御装置に制御指令を出力する演算装置とを備えることを特徴とするポンプ流量制御装置、及び
(2)前記(1)における流量制御装置において、前記演算装置は、
(A)既知の配管における、流路抵抗係数及び最小所要吐出圧力(Po )と最大吐出流量(Qmax )とから、前記ポンプの最大吐出圧力(Pmax )を求め、前記最大吐出流量(Qmax )と前記ポンプの最大吐出圧力(Pmax )とで与えられる最大流量点(Qmax ,Pmax )を通過するポンプの性能曲線に対応する最大回転数(Nmax )を求め、
(B)前記最小所要吐出圧力(Po )を締切運転圧力とし、前記締切運転圧力(Po )と流量Qが0であることとで与えられる締切運転点(0,Po )を通過するポンプの性能曲線に対応する前記ポンプの締切回転数(No )を求め、
(C)(a) 前記最大流量点(Qmax ,Pmax )と、前記締切運転点(0,Po )とを結ぶ二次曲線によって与えられる前記配管における抵抗曲線f(Q,P)と、前記最大流量点(Qmax ,Pmax )とポンプ停止点(0,0)とを通る二次曲線で与えられる、前記ポンプの回転速度を変化させたときの相似運転点の軌跡である相似運転点曲線g(Q,P)と、締切回転数(No )における前記ポンプの性能曲線ho (Q,P)とを3辺とする閉曲線で囲まれた面と、
(b) 前記抵抗曲線f(Q,P)と、相似運転点曲線g(Q,P)と、設定回転数(N)における前記ポンプの性能曲線hN (Q,P)とを3辺とする閉曲線で囲まれた面
とが相似であるとして、前記請求項1における圧力センサにより測定された圧力Pにおける設定回転数(N)を計算する
という手順に従って前記(1)におけるポンプの設定回転数(N)を計算する(1)に記載のポンプ流量制御装置
である。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明のポンプ流量制御装置は、上述のように、ポンプと、前記ポンプの吐出圧力を測定する圧力センサと、前記ポンプを駆動するモータと、前記モータの回転数を制御するモータ制御装置と、前記モータ制御装置に制御指令を出力する演算装置とを備える。
【0019】
前記演算装置は、前記配管における前記ポンプの最大吐出流量及び最大吐出圧力と、前記配管における最小所要吐出圧力と、前記圧力センサで測定された前記ポンプの吐出圧力とに基づいて、前記ポンプの吐出圧力における吐出流量が、前記配管の抵抗曲線で与えられる吐出流量であるようなポンプの設定回転数を計算する機能、及び前記ポンプが前記設定回転数で回転するように前記モータ制御装置に制御指令を出力する機能を有する。尚、前記最小所要吐出圧力は、前記配管における実揚程と、所要の末端圧力との和で与えられる圧力であり、前記配管を通して水道水等の液体の供給を行うのに必要な最小限の圧力である。又、前記演算装置においては、ポンプの吐出流量と吐出圧力とを前記配管の抵抗曲線に沿って変化させれば、給水量の如何にかかわらず、常に一定の末端圧力が得られるとの原理に基づいて、前記の計算を行っている。
【0020】
1.本発明に係るポンプ流量制御装置の例
図1は、本発明のポンプ流量制御装置を給水システムに用いた例を示す概略図である。
【0021】
1.1 図1に示されたポンプ流量制御装置についての説明
図1に示されたポンプ流量制御装置において、遠心ポンプ1は、誘導モータ3によって駆動される。そして、誘導モータ3は、インバータ4によって周波数fs の交流電流を入力されることにより、回転数制御される。尚、遠心ポンプ1の回転軸の一端は、誘導モータ3の回転軸の一端と直結されている。そして、前記誘導モータ3の回転軸の他端には、誘導モータ3の回転数に応じた数のパルスを発生する速度検出器7が結合されている。
【0022】
遠心ポンプ1の吐出口60には、給水配管6が接続されている。給水配管6における、前記遠心ポンプ1の吐出口近傍には、遠心ポンプ1に近い側から、逆止弁61と開閉弁62とが設けられている。更に、前記給水管6における、開閉弁62の下流側出口の近傍には、前記遠心ポンプ1の吐出圧力を測定し、電気信号に変換する圧力センサ2が設けられている。
【0023】
前記圧力センサ2で測定された吐出圧力は、演算装置5に入力される。
【0024】
演算装置5には、予め、前記給水配管6における遠心ポンプ1の最大吐出流量及び最大吐出圧力と、前記給水配管6における最小所要給水圧力とを入力しておく。ここで、最小所要給水圧力は、給水配管6の実揚程と所要の末端圧力との和として与えられる圧力であり、給水配管6を通して給水を行う場合における必要最小限の圧力である。
【0025】
演算装置5は、前記遠心ポンプ1の前記最大吐出流量と、最大吐出圧力と、最小所要給水圧力と、前記吐出圧力とから、前記遠心ポンプ1の設定回転数(N)を計算する機能を有する。前記抵抗曲線は、前記給水配管6における給水量と給水圧力との関係を示す曲線であり、二次曲線で与えられる。そして、設定回転数(N)は、圧力センサ2で検知された吐出圧力において、前記抵抗曲線によって与えられる吐出流量を得るのに必要な、遠心ポンプ1の回転数である。前記の計算は、上述のように、給水配管6の抵抗曲線に沿って遠心ポンプ1の吐出流量と吐出圧力とを変化させれば、給水量の如何にかかわらず、給水配管6の末端においては常に所要の末端圧力が得られるとの原理に基づいている。
【0026】
そして、演算装置5は、遠心ポンプ1が前記設定回転数(N)で回転するように、インバータ4に制御指令を出力する。ここで、上述のように遠心ポンプ1は誘導モータ3と直結されているから、誘導モータ3が設定回転数(N)で回転するように制御すれば、遠心ポンプ1も前記設定回転数(N)で回転する。
【0027】
インバータ4は、前記制御指令を受けて、出力交流電流の周波数(fs )を制御する。誘導モータ3の回転軸に結合された速度検出器7からの速度信号Nfbはインバータ4にフィードバックされる。インバータ4は、速度検出器7からの速度信号Nfbを受け、遠心ポンプ1から誘導モータ3に加わる負荷による、最大3%に達する誘導モータ3のすべりを補償し、誘導モータ3が、負荷の大小にかかわらず前記設定回転数(N)で回転するように、出力交流電流の周波数(fs )を制御する。
【0028】
図1のポンプ流量制御装置において、遠心ポンプ1は、本発明のポンプ流量制御装置におけるポンプに相当し、圧力センサ2は、本発明のポンプ流量制御装置における圧力センサに相当する。誘導モータ3は、本発明のポンプ流量制御装置におけるモータに相当し、インバータ4及び速度検出器7は、本発明のポンプ流量制御装置におけるモータ制御装置に相当し、演算装置5は、本発明のポンプ流量制御装置における演算装置に相当する。
【0029】
1.2 ポンプの設定回転数(N)を計算する手順
図1に示されたポンプ流量制御装置が備える演算装置において、遠心ポンプ1の設定回転数(N)を計算する手順について、以下に詳細に説明する。
【0030】
先ず、給水配管6における、流路抵抗係数kと、ポンプ停止時の最小所要給水圧力(Po )と、前記遠心ポンプ1の最大吐出流量(Qmax )とから、前記遠心ポンプ1の最大吐出圧力(Pmax )を求める。
【0031】
ここで、給水配管6における最大吐出流量(Qmax )は、前記給水配管6によって給水されるマンションやオフィスビル等において、全館の給水栓を全開したときに必要とされる給水量であり、給水栓の数と、給水栓1個当たりの全開時における流量とから計算される。そして、給水配管6における流路抵抗係数kは、給水配管6における、配管図(図示せず。)で示された管と継ぎ手との配置、これらの管と継ぎ手との内径、及び継ぎ手の湾曲半径から計算される。
【0032】
一方、給水配管6における最小所要吐出圧力、即ち最小所要給水圧力(Po )は、上述のように、給水配管6における実揚程(Ho )と、前記給水配管6における所要の末端圧力(Hp )との和で与えられる圧力である。ここで、実揚程(Ho )は、前記給水配管6における、遠心ポンプ1の吐出口から給水配管6の最高点までの高さで与えられる。
【0033】
遠心ポンプ1の最大吐出圧力(Pmax )は、給水配管6に前記最大吐出流量(Qmax )で与えられる流量で水を流したときの流路抵抗と、最小所要給水圧力(Po )との和で与えられる。よって、最大吐出圧力(Pmax )は、前記最大吐出流量(Qmax )と、配管6の流路抵抗係数kと、最小所要給水圧力(Po )とから、式(I)
【0034】
【数2】
Figure 0003569628
【0035】
で求められる。
【0036】
このときの前記遠心ポンプ1の回転数、即ち最大回転数(Nmax )は、前記最大吐出流量(Qmax )と前記ポンプの最大吐出圧力(Pmax )とで与えられる最大流量点A(Qmax ,Pmax )を通過するポンプの性能曲線hmax (Q,P)に対応する回転数として求められる。
【0037】
このようにして求められた、最小所要給水圧力(Po )と、最大吐出流量(Qmax )と、遠心ポンプ1の最大吐出圧力(Pmax )と、最大回転数(Nmax )とを、演算装置5に入力する。演算装置5には、テンキー又はキーボードを設け、このテンキー又はキーボードを通して前記各パラメータを入力することができる。
【0038】
次に、最小所要給水圧力(Po )を締切運転圧力とし、前記ポンプにおける締切運転点D(Po ,0)を通過するポンプの性能曲線に対応する回転数を求め、これを前記ポンプにおける締切運転時圧力とするときの前記ポンプの締切回転数(No )とする。
【0039】
締切回転数(No )は、最大回転数Nmax における締め切り圧力(Plim )と最小所要給水圧力(Po )とから、下の式
【0040】
【数3】
Figure 0003569628
【0041】
よって、
【0042】
【数4】
Figure 0003569628
【0043】
によって求められる。
【0044】
演算装置5においては、前記最小所要給水圧力(Po )と、最大吐出流量(Qmax )と、遠心ポンプ1の最大吐出圧力(Pmax )と、最大回転数(Nmax )と、締切回転数(No )と、圧力センサ2から入力された吐出圧力(P)とから、以下の式(II)
【0045】
【数5】
Figure 0003569628
【0046】
(但し、ΔP=Pmax −Pであり、ΔPo =Pmax −Po である。)
に従って設定回転数(N)が計算される。
【0047】
以下、前記(II)式を導き出す手順について説明する。
【0048】
先ず、前記配管における抵抗曲線f(Q,P)を引く。前記抵抗曲線f(Q,P)は、最大流量点A(Qmax ,Pmax )と締切運転点D(0,Po )とを結ぶ二次曲線で与えられる。次いで、前記ポンプの回転速度を変化させたときの相似運転点の軌跡である相似運転点曲線g(Q,P)を引く。相似運転点曲線g(Q,P)は、最大流量点A(Qmax ,Pmax )とポンプ停止点O(0,0)とを通る二次曲線で与えられる。
【0049】
遠心ポンプ1を用いて給水管6に給水を行ったときには、吐出流量(Q)と吐出圧力(P)とは、前記抵抗曲線f(Q,P)に沿って変化する。よって、抵抗曲線f(Q,P)上に、吐出圧力(P)に対応する点B(Q,P)を取ることができる。
【0050】
次いで、最大回転数(Nmax )におけるポンプの性能曲線hmax (Q,P)と、締切回転数(No )におけるポンプの性能曲線ho (Q,P)と、前記点B(Q,P)におけるポンプの性能曲線hN (Q,P)とを引く。前記最大回転数(N)max におけるポンプの性能曲線hmax (Q,P)は、上述のように最大流量点A(Qmax ,Pmax )を通過し、締切回転数(No )における前記ポンプの性能曲線ho (Q,P)は、上述のように締切運転点D(0,Po )を通過する。前記性能曲線hN (Q,P)とho (Q,P)とが前記相似運転点曲線g(Q,P)と交わる点を、それぞれ点C(Q’,P’)及び点E(Q1 ,P1 )とする。前記最大流量点A(Qmax ,Pmax )、点B(Q,P)、点C(Q’,P’)、締切運転点D(0,Po )、点E(Q1 ,P1 )、及びポンプ停止点O(0,0)と、抵抗曲線f(Q,P)及び相似運転点曲線g(Q,P)と、性能曲線hmax (Q,P)、性能曲線ho (Q,P)、及び性能曲線hN (Q,P)との関係を図2に示す。
【0051】
給水配管6における流路抵抗は、給水配管6の内部を流れる給水の量、即ち吐出流量(Q)の二乗に比例することが知られている。
【0052】
そして、図2から明らかなように、流量Qmax における給水配管6の流路抵抗は、Pmax −Po で与えられ、点Bで与えられる流量Qにおける給水配管6の流路抵抗は、P−Po で与えられるから、
【0053】
【数6】
Figure 0003569628
【0054】
という関係が成り立つ。
【0055】
又、最小所要給水圧力が0の場合、遠心ポンプの吐出圧力(P)と吐出流量(Q)と回転数(N)との間には、
【0056】
【数7】
Figure 0003569628
【0057】
という関係が成り立つことが一般に知られているから、最大流量点Aにおける最大吐出流量(Qmax )、最大吐出圧力(Pmax )、及び最大回転数(Nmax )と、点Cにおける吐出流量(Q’)、吐出圧力(P’)、及び回転数(N)と、点Eにおける吐出流量(Q1 )、吐出圧力(P1 )、及び回転数(No )との間には、
【0058】
【数8】
Figure 0003569628
【0059】
【数9】
Figure 0003569628
【0060】
という関係が成立する。よって、最大吐出圧力(Pmax )と、点Cにおける吐出圧力(P’)と、点Eにおける吐出圧力(P1 )との間には、
【0061】
【数10】
Figure 0003569628
【0062】
【数11】
Figure 0003569628
【0063】
という関係が成り立つ。
【0064】
以下、前記P’と、Pmax 、P、No 、及びNmax との関係を求める。
【0065】
図2からも明らかなように、性能曲線hmax (Q,P)と、性能曲線hN (Q,P)と、性能曲線ho (Q,P)とは、ほぼ平行であるから、抵抗曲線f(Q,P)と相似運転点曲線g(Q,P)と性能曲線ho (Q,P)とから形成される閉曲線ADEで囲まれた略三角形状の面と、抵抗曲線f(Q,P)と相似運転点曲線g(Q,P)とhN (Q,P)とから形成される閉曲面ABCで囲まれた略三角形状の面とは、互いに相似であると考えることができる。よって、P’とPmax とPとPo とP1 との間には、
【0066】
【数12】
Figure 0003569628
【0067】
という関係が成り立つ。この式(VIII)をP’について解くと、P’については、
【0068】
【数13】
Figure 0003569628
【0069】
という関係が成り立つ。
【0070】
ここで、前記式(VI)から、
【0071】
【数14】
Figure 0003569628
【0072】
という関係を導くことができる。前記式(X)と式(VII )とを、前記式(IX)に代入することにより、
【0073】
【数15】
Figure 0003569628
【0074】
が導かれる。
【0075】
前記式(XI)を、設定回転数(N)について解けば、前記式(II)が導かれる。
【0076】
1.3 演算装置5がインバータ4を制御する手順
図1に示されたポンプ流量制御装置において、演算装置5は、上述のようにして計算した設定回転数(N)で遠心ポンプ1が回転するように、インバータ4に制御指令を出力する。前記演算装置5は、具体的には、図3に示されるフローチャートに示される手順に従いインバータ4の制御を行う。
【0077】
前記演算装置5においては、圧力センサ2によって測定された圧力Pから、式(II)に従って計算された設定回転数(N)と、インバータ4に出力される制御指令に対応する回転数である指示回転数(Ns )とが比較される。
【0078】
前記指示回転数(Ns )と設定回転数(N)との差の絶対値が一定の値ΔNよりも大きいときは、前記演算装置5は、圧力センサ2からの圧力Pに基づいて新たな設定回転数(N)を計算し、この設定回転数(N)と前記指示回転数(Ns とを比較する。
【0079】
一方、前記指示回転数(Ns )と設定回転数(N)との差の絶対値が一定の値ΔNよりも小さいときは、前記演算装置5は、設定回転数(N)と指示回転数(Ns )とを比較する。そして、設定回転数(N)が指示回転数(Ns )よりも低いときは、前記演算装置5は、より高い指示回転数(Ns )をインバータ4に向かって出力する。これによって、遠心ポンプ1の回転数が増加するので、圧力センサ2によって検出される圧力Pも上昇し、その結果、前記演算装置5によって計算される設定回転数(N)もより高くなり、やがて指示回転数(Ns )と設定回転数(N)とは一致する。
【0080】
一方、設定回転数(N)が指示回転数(Ns )より高いときは、前記演算装置5は、より低い指示回転数(Ns )をインバータ4に向かって出力する。これによって、遠心ポンプ1の回転数が減少するので、圧力センサ2によって検出される圧力Pも低下し、その結果、前記演算装置5によって計算される設定回転数(N)も低くなり、やがて指示回転数(Ns )と設定回転数(N)とは一致する。
【0081】
2.本発明の流量制御装置の構成
2.1 ポンプ
本発明のポンプ流量制御装置において用いられるポンプとしては、給水に用いられるポンプを挙げることができ、具体的には、遠心ポンプ、軸流ポンプ、及び斜流ポンプ等のターボ型ポンプ等を挙げることができる。
【0082】
2.2 圧力センサ
圧力センサは、前記ポンプの吐出圧力を、後述する演算装置が処理し得る信号に変換する機能を有する。
【0083】
ここで、前記圧力センサによって測定し得るポンプの吐出圧力としては、ポンプの吐出口における圧力と、ポンプが有する吐出配管における吐出配管圧力とを挙げることができる。又、吐出配管に逆止弁が挿入されている場合には、前記吐出配管における逆止弁よりも上流の部分の圧力を、前記吐出圧力として測定してもよく、又、前記吐出配管における逆止弁よりも下流の圧力を、前記吐出圧力として測定してもよい。
【0084】
圧力センサとしては、吐出圧力を、空気圧及び油圧等の圧力、並びに電気容量、インダクタンス、電気抵抗、及び交流電流の周波数等から選択される電気信号等の各種信号に変換して、前記各種信号に変換された吐出圧力を後述する演算装置に伝送する機能を有する装置を挙げることができる。
【0085】
したがって、圧力センサとしては、具体的には、吐出圧力の変動を空気圧の変移に変換する空気式変換器、及び吐出圧力の変動を油圧の変移に変換する油圧式変換器等の圧力式変換器、並びに吐出圧力の変動を各種電気信号に変換する電気式変換器等を挙げることができる。電気式変換器としては、吐出圧力の変動を電気容量の変移に変換する容量式変換器、吐出圧力の変動をコイルのインダクタンスの変移に変換するインダクタンス式変換器、吐出圧力の変動を薄膜歪みゲージ及び拡散半導体歪みゲージ等の歪みゲージにおける電気抵抗の変移に変換する抵抗歪みゲージ式変換器、並びに吐出圧力の変動を、弦、梁、ダイアフラム、円筒等の振動に変換し、この振動を電気的に検出する振動式変換器等の電気式変換器等を挙げることができる。前記圧力変換器の内で特に好ましい圧力変換器としては、前記の電気式変換器を挙げることができる。
【0086】
2.3 モータ
前記ポンプを駆動するモータとしては、各種直流モータ及び交流モータを挙げることができる。これらのモータの中では、安価で且つ堅牢である点で、同期モータ及び誘導モータが最も好ましい。
【0087】
2.4 モータ制御装置
モータ制御装置は、前記モータの回転数を制御する機能を有する。
【0088】
モータ制御装置としては、使用するモータの種類に応じて各種の制御装置を挙げることができる。例えば、モータとして直流モータを用いる場合には、モータ制御装置としては、イルグナ式制御装置及びサイリスタレオナード等を挙げることができる。但し、これらの制御装置を用いるときは、モータ又はポンプに速度検出器を設け、この速度検出器からの回転数の信号を前記制御装置にフィードバックする必要がある。
【0089】
モータとして、誘導モータを用いる場合には、モータ制御装置としては、電源周波数を制御するインバータ、一次電圧を制御する一次電圧制御装置、並びに二次電流を変化させることによる比例推移を利用したセルビウス式制御装置及びクレーマ式制御装置等を挙げることができる。但し、これらの制御装置の内、一次電圧制御装置、セルビウス式制御装置、及びクレーマ式制御装置等を用いる場合は、前記サイリスタレオナード等と同様に、モータ又はポンプに速度検出器を設け、この速度検出器からの回転数の信号を前記制御装置にフィードバックする必要がある。
【0090】
前記モータ制御装置としては、フィードバック制御無しでも誘導モータの制御が可能な点、及び速度範囲が広く取れる点で、インバータが特に好ましい。但し、誘導モータが回転する際には、必ず負荷に応じたすべりを生するので、実際の回転数は、インバータが発生する交流出力の周波数に対応する回転数よりも、前記すべりの分、即ち1〜3%程度低くなる。よって、インバータを用いて誘導モータを制御する場合においても、速度検出器等で誘導モータの速度を検出し、検出した速度をインバータにフィードバックさせることによって、前記すべりを補償することが好ましい。
【0091】
尚、インバータによって同期モータを制御する場合には、同期モータは、インバータが発生する交流出力の周波数に比例する回転数で回転する。よって、この場合には、前記フィードバック制御を特に行う必要はない。
【0092】
インバータとしては、電流制御型インバータ、電圧制御型インバータ、及びPWM型インバータ等、各種の形式のインバータを挙げることができる。又、トランジスタインバータ、IGBTインバータ、及びサイリスタインバータのいずれも用いることができる。
【0093】
2.5 演算装置
本発明の流量制御装置において、演算装置は、上述のように、配管における前記ポンプの最大吐出流量及び最大吐出圧力と、前記配管における最小所要吐出圧力と、前記圧力センサで測定されたポンプの吐出圧力とに基づき、前記ポンプの設定回転数を計算する機能と、前記ポンプが前記設定回転数で回転するように前記モータ制御装置に制御指令を出力する機能を有する。尚、設定回転数は、前述のように、ポンプの吐出圧力と吐出流量とが、前記配管における抵抗曲線で示される関係を満たすのに必要な前記ポンプの回転数である。
【0094】
前記演算装置としては、マイクロコンピュータ及びミニコンピュータ等を挙げることができる。これらのマイクロコンピュータ及びミニコンピュータは、各種パラメータを入力するテンキー又はキーボードを有していてもよい。
【0095】
前記演算装置においては、前記図1に示された流量制御装置における演算装置のところで述べた手順で、圧力センサで測定された吐出圧力(P)から、前記ポンプの設定回転数を計算することができる。
【0096】
先ず、既知の配管における流路抵抗係数、及びポンプ停止時の最小所要吐出圧力(Po )と、ポンプにおける最大吐出流量(Qmax )とから、前記ポンプの最大吐出圧力(Pmax )を計算する。そして、前記最大吐出流量(Qmax )と前記ポンプの最大吐出圧力(Pmax )とで与えられる最大流量点(Qmax ,Pmax )を通過するポンプの性能曲線から最大回転数(Nmax )を求める。
【0097】
前記演算装置においては、既知の配管における流路抵抗係数、及びポンプ停止時の最小所要吐出圧力(Po )と、ポンプにおける最大吐出流量(Qmax )とに加えて、最大吐出圧力(Pmax )及び最大回転数(Nmax )についても、オペレータが手計算した値を、テンキー又はキーボード等を通して入力することができる。又、前記流路抵抗係数と最小所要吐出圧力(Po )と最大吐出流量(Qmax とから最大吐出圧力(Pmax )を計算する式、並びに、ある既知の吐出流量(Qset )及び吐出圧力(Pset )におけるポンプの回転数(Nset )と、最大吐出流量(Qmax )と、最大吐出圧力(Pmax )とから前記最大回転数(Nmax )を計算する式を、演算装置の内部に記憶させておき、オペレータが既知のパラメータとして入力した前記流路抵抗係数と最小所要吐出圧力(Po )と最大吐出流量(Qmax )とから、最大吐出圧力(Pmax )及び最大回転数(Nmax )を自動的に計算するようにしてもよい。
【0098】
次に、最小所要吐出圧力(Po )を前記ポンプにおける締切運転時圧力とするときの前記ポンプの締切回転数(No )を計算する。
【0099】
前記締切回転数(No )については、最小所要吐出圧力(Po )を締切運転圧力として締切運転を行うときのポンプの性能曲線から読み取った値を、オペレータがテンキー又はキーボードを通して演算装置に入力することができる。
【0100】
又、実測により求めた締切回転数(No )をテンキー又はキーボードを通して演算装置に入力することができる。
【0101】
更に、ポンプの吐出圧がポンプの回転数の二乗に比例することを用いて、最大回転数Nmax における締切圧力(Plim )と、最小所要吐出圧力(Po )とから、前記演算装置の内部に記憶させた関係式:
【0102】
【数16】
Figure 0003569628
【0103】
によって、演算装置において締切回転数(No )を計算してもよい。
【0104】
この他には、ある既知の吐出流量(Qset )及び吐出圧力(Pset )におけるポンプの回転数(Nset )と、前記最小所要吐出圧力(Po )とから前記ポンプの締切回転数(No )を計算する式を、前記演算装置の内部に記憶させておき、オペレータが先に既知のパラメータとして入力した最小所要吐出圧力(Po )から、自動的に前記ポンプの締切回転数(No )を計算してもよい。
【0105】
次に、前記演算装置は、上述のようにして入力され、又は計算されたパラメータである、最大吐出流量(Qmax )、最大吐出圧力(Pmax )、最大回転数(Nmax )、最小所要吐出圧力(Po )、及び締切回転数(No )と、圧力センサによって測定された吐出圧力(P)とから、設定回転数(N)を計算する。
【0106】
前記最大吐出流量(Qmax )等のパラメータから、設定回転数(N)を計算する式としては、
【0107】
【数17】
Figure 0003569628
【0108】
(但し、ΔP=Pmax −Pであり、ΔPo =Pmax −Po である。)
という式を用いることができる。
【0109】
前記関係式は、
(a)最大流量点(Qmax ,Pmax )と、前記締切運転点(0,Po )とを結ぶ二次曲線によって与えられる抵抗曲線f(Q,P)と、前記最大流量点(Qmax ,Pmax )とポンプ停止点(0,0)とを通る二次曲線で与えられる、前記ポンプの回転速度を変化させたときの相似運転点の軌跡である相似運転点曲線g(Q,P)と、締切回転数(No )における前記ポンプの性能曲線ho (Q,P)とを3辺とする閉曲線で囲まれた面と、
前記抵抗曲線f(Q,P)と、相似運転点曲線g(Q,P)と、設定回転数(N)における前記ポンプの性能曲線hN (Q,P)とを3辺とする閉曲線で囲まれた面と
が相似であるという前提、及び
(b) 前記ポンプの吐出圧と吐出流量とが前記抵抗曲線f(Q,P)に沿って変化するときに所要の末端圧力が得られるという前提
に基づいて導き出すことができる。
【0110】
本発明のポンプ流量制御装置においては、演算装置として、ポンプの設定回転数(N)を計算する機能、及びポンプが前記設定回転数で回転するようにモータ制御装置に制御指令を出力する機能の他、給水の使用量が増減したときに、前記ポンプの回転数を増減して給水圧力を一定に保持する機能をも備える演算装置も用いることができる。演算装置において給水圧力を一定に保持する手順については、後述する「本発明に係るポンプ流量制御装置の他の例」で詳細に説明する。
3.本発明の作用
本発明のポンプ流量制御装置においては、前記の2つの前提に従って、圧力センサで測定された吐出圧(P)から設定回転数(N)を計算している。
【0111】
よって、本発明のポンプ流量制御装置を用いれば、吐出圧力がPのときに、前記設定回転数(N)とほぼ等しい回転数で前記ポンプが回転するから、前記抵抗曲線f(Q,P)と吐出圧力(P)とで与えられる吐出流量(Q)で、前記ポンプから給水が吐出される。ここで、給水配管の最小所要吐出圧力(Po )は、吐出流量(Q)によらず一定であり、給水配管の実揚程と所要の末端給水圧力との和で与えられる。一方、吐出圧力Pは、上述のように、流路抵抗に打ち勝って流量Qで前記給水配管に水を流通させるのに必要な圧力と、給水配管の実揚程に対応する圧力と、所要の末端給水圧力との和として与えられる。したがって、吐出圧力がPのときに、前記設定回転数(N)で前記ポンプを回転させることによって、前記給水配管の末端からは、常に、所定の給水圧力、及び流量Qで給水される。
【0112】
4.本発明に係るポンプ流量制御装置の他の例
図1に示されたポンプ流量制御装置において、圧力センサで測定されたポンプの吐出圧力(P)から前記関係式に基づいてポンプの設定回転数(N)を計算する機能、前記設定回転数(N)でポンプを回転させる機能、及び給水の使用量が急に増減したときに、給水の使用量の増減に応じて前記ポンプの回転数を増減して給水圧力を一定に保持する機能を備える演算装置を用いた例について、以下説明する。
【0113】
前記ポンプ流量制御装置においては、ポンプ1、圧力センサ2、モータ3、インバータ4、給水配管6、逆止弁61、及び開閉弁62は、図1に示されたポンプ流量制御装置におけるポンプ1、圧力センサ2、モータ3、インバータ4、給水配管6、逆止弁61、及び開閉弁62と同一の構造及び機能を有している。又、演算装置5においても、前記最小所要給水圧力(Po )と、最大吐出流量(Qmax )と、遠心ポンプ1の最大吐出圧力(Pmax )と、最大回転数(Nmax )と、締切回転数(No )と、圧力センサ2から入力された吐出圧力(P)とから、下記式(II)
【0114】
【数18】
Figure 0003569628
【0115】
(但し、ΔP=Pmax −Pであり、ΔPo =Pmax −Po である。)
に従って設定回転数(N)が計算される。
【0116】
更に、演算装置5においては、以下のようにして、給水の使用量が急激に増減したときには遠心ポンプ1の回転数を増減することによって給水配管6における末端圧力を一定に保つ。
【0117】
前記ポンプ流量制御装置において給水の使用量が増大したときにおける、遠心ポンプの吐出流量、吐出圧力、及び回転数の変化を図4に示し、給水の使用量が減少したときにおける、遠心ポンプの吐出流量、吐出圧力、及び回転数の変化を図5に示す。
【0118】
前記ポンプ流量制御装置において、前記演算装置5からの制御信号によって遠心ポンプ1が回転数(Nset )で回転し、吐出圧力(Pset )、吐出流量(Qset )で水が給水配管6に供給されているとする。図4及び図5における点B(Qset ,Pset )は、前記状態に対応する点である。
【0119】
先ず、給水の使用量が増大した場合について説明する。
【0120】
給水の使用量が増大すると給水配管6への給水量は増大するから、当然遠心ポンプ1の吐出流量も増大する。よって、図4に示された、回転数(Nset )における遠心ポンプ1の性能曲線hN (Q,P)から明らかなように、遠心ポンプ1の回転数が回転数(Nset )のままで一定の場合には、吐出圧力(P)は吐出圧力(Pset )よりも低下する。ここで、低下時の吐出圧力を吐出圧力(Pa )とする。
【0121】
吐出圧力(P)が吐出圧力(Pa )に低下したことを圧力センサ2が検知すると、演算装置5は、先ず、前記式(II)に基づいて、前記吐出圧力(Pa )に対応する遠心ポンプ1の回転数(N1 )を計算し、前記点B(Qset ,Pset )における遠心ポンプ1の回転数(Nset )と比較する。そして、前記回転数(N1 が回転数(Nset )よりも低い場合には、前記演算装置5は、吐出圧力(Pa )は過小であると判断し、指示回転数(Ns )が回転数(N1 )よりも高くなるようにインバータ4に対して制御指令を出力する。
【0122】
一方、前記演算装置5は、前記性能曲線HN (Q,P)に基づき、遠心ポンプ1が回転数(Nset )で回転する場合における、吐出圧力(Pa )に対応する吐出流量(Qa )を推算する。前記演算装置5は、更に、前記抵抗曲線f(Q,P)に基づいて、給水配管6において吐出流量(Qa )で所要の末端圧力(Hp )を得るのに必要な吐出圧力(Pa’)を推算する。圧力センサ2が検知する圧力が、前記推算された吐出圧力(Pa’)に等しくなったら、インバータ4に向かって、このときの回転数(N2 )を指示回転数(Ns )とする制御指令を出力する。よって、遠心ポンプ1は、前記回転数(N2 )で回転する。このときの前記遠心ポンプ1の吐出流量は当然のことながら(Qa )であり、前記吐出流量(Qa )と吐出圧力(Pa’)とで与えられる点は、抵抗曲線f(Q,P)上に位置する。よって、給水配管6における末端圧力は、所定の末端圧力(Hp )となる。尚、図4において、性能曲線hN2(Q,P)は、遠心ポンプ1が回転数N2 で回転するときの性能曲線を示す。
【0123】
次ぎに、給水の使用量が減少した場合について説明する。
【0124】
給水の使用量が減少すると給水配管6への給水量は減少するから、当然遠心ポンプ1の吐出流量も減少する。よって、図5に示された、回転数(Nset )における遠心ポンプ1の性能曲線hN (Q,P)から明らかなように、遠心ポンプ1の回転数が回転数(Nset )のままで一定の場合には、吐出圧力(P)は吐出圧力(Pset )よりも上昇する。ここで、上昇時の吐出圧力を吐出圧力(Pb )とする。
【0125】
吐出圧力(P)が吐出圧力(Pb )に上昇したことを圧力センサ2が検知すると、演算装置5は、先ず、前記式(II)に基づいて、前記吐出圧力(Pb )に対応する遠心ポンプ1の回転数(N3 )を計算し、前記点B(Qset ,Pset )における遠心ポンプ1の回転数(Nset )と比較する。そして、前記回転数(N3 が回転数(Nset )よりも高い場合には、前記演算装置5は、前記吐出圧力(Pb )は過小であると判断し、指示回転数(Ns )が回転数(N3 )よりも低くなるようにインバータ4に対して制御指令を出力する。
【0126】
一方、前記演算装置5は、前記性能曲線HN (Q,P)に基づき、遠心ポンプ1が回転数(Nset )で回転する場合における、吐出圧力(Pb )に対応する吐出流量(Qb )を推算する。前記演算装置5は、更に、前記抵抗曲線f(Q,P)に基づいて、給水配管6において吐出流量(Qb )で所要の末端圧力(Hp )を得るのに必要な吐出圧力(Pb’)を推算する。圧力センサ2が検知する圧力が、前記推算値(Pb’)に等しくなったら、インバータ4に向かって、このときの回転数(N4 )を指示回転数(Ns )とする制御指令を出力する。よって、遠心ポンプ1は、前記回転数(N4 )で回転する。このときの前記遠心ポンプ1の吐出流量は当然のことながら(Qb )であり、前記吐出流量(Qb )と吐出圧力(Pb’)とで与えられる点は、抵抗曲線f(Q,P)上に位置する。よって、給水配管6における末端圧力は、所定の末端圧力(Hp )となる。尚、図4におけるhN4(Q,P)は、前記回転数(N4 )における遠心ポンプ1の性能曲線を示す。
【0127】
前記ポンプ流量制御装置においては、このように、遠心ポンプ1が回転数(Nset )で回転している場合において、給水の使用量がQset よりも増大したとき、及び減少したときのいずれにおいても、遠心ポンプ1の回転数を増減させることによって、給水配管6における末端圧力を一定値に保持することができるから、給水の使用量が急に増大した場合に前記末端圧力が低くなりすぎて十分に給水が行われなくなること、及び給水の使用量が急に減少した場合に蛇口から急に勢いよく給水が流れ出すことの何れも防止される。
【0128】
【発明の効果】
本発明によれば、性能曲線と給水管路の抵抗曲線との交点で定まる圧力を、前記給水管路の抵抗曲線に沿って、当該交点における運転速度毎に多数記憶させる必要がないので、大容量のメモリが不要であり、且つ連続制御が容易に行え、更に、大幅な省エネルギーにもつながるポンプ流量制御装置が提供される。
【0129】
本発明によって提供されるポンプ流量制御装置の内、給水の使用量の増減に応じて遠心ポンプ1の回転を増減させる機能を有する演算装置を備えるポンプ流量制御装置は、前記の特長に加えて、給水の使用量が急激に変化しても給水圧力がほぼ一定に保たれるという特長を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明のポンプ流量制御装置の構成の一例を示す概略図である。
【図2】図2は、最大流量点A(Qmax ,Pmax )、点B(Q,P)、点C(Q’,P’)、締切運転点D(0,Po )、点E(Q1 ,P1 )、及びポンプ停止点O(0,0)と、配管における抵抗曲線f(Q,P)及び相似運転点曲線g(Q,P)と、性能曲線hmax (Q,P)、性能曲線ho (Q,P)、及び性能曲線hN (Q,P)との関係を示す概略図である。
【図3】図3は、図1に示されたポンプ流量制御装置における、前記演算装置5がインバータ4を制御する手順を示すフローチャートである。
【図4】図4は、給水の使用量が増大したときにおける、遠心ポンプの吐出流量、吐出圧力、及び回転数の変化を示すグラフである。
【図5】図5は、給水の使用量が減少したときにおける、遠心ポンプの吐出流量、吐出圧力、及び回転数の変化を示すグラフである。
【符号の説明】
1・・・ポンプ、2・・・圧力センサ、3・・・モータ、4・・・インバータ、5・・・演算装置、6・・・給水配管、61・・・逆止弁、62・・・開閉弁、7・・・速度検出器。

Claims (1)

  1. 既知の配管に接続されたポンプと、前記ポンプの吐出圧力を測定する圧力センサと、前記ポンプを駆動するモータと、前記モータの回転数を制御するモータ制御装置と、前記配管における前記ポンプの最大吐出流量と最大吐出圧力、前記配管における最小所要吐出圧力、及び前記圧力センサで測定された前記ポンプの吐出圧力に基づき、前記吐出圧力に対応する前記ポンプの設定回転数を計算し、且つ、前記ポンプが前記設定回転数で回転するように前記モータ制御装置に制御指令を出力する演算装置とを備え
    前記演算装置においては、
    (A)既知の配管における、流路抵抗係数と最小所要吐出圧力(P o )と最大吐出流量(Q max )とから、前記ポンプの最大吐出圧力(P max )を求め、前記最大吐出流量(Q max )と前記ポンプの最大吐出圧力(P max )とで与えられる最大流量点(Q max ,P max )を通過するポンプの性能曲線に対応する最大回転数(N max )を求め、
    (B)前記最小所要吐出圧力(P o )を締切運転圧力とし、前記締切運転圧力(P o )と流量Qが0であることとで与えられる締切運転点(0,P o )を通過するポンプの性能曲線に対応する前記ポンプの締切回転数(N o )を求め、
    (C) (a) 前記最大流量点(Q max ,P max )と、前記締切運転点(0,P o )とを結ぶ二次曲線によって与えられる、前記配管における抵抗曲線f(Q,P)と、前記最大流量点(Q max ,P max )とポンプ停止点(0,0)とを通る二次曲線で与えられる、前記ポンプの回転速度を変化させたときの相似運転点の軌跡である相似運転点曲線g(Q,P)と、締切回転数(N o )における前記ポンプの性能曲線h o (Q,P)とを3辺とする閉曲線で囲まれた面と、
    (b) 前記抵抗曲線f(Q,P)と、相似運転点曲線g(Q,P)と、設定回転数(N)における前記ポンプの性能曲線h N (Q,P)とを3辺とする閉曲線で囲まれた面と
    が相似であるとして、前記圧力センサにより測定された圧力Pにおける設定回転数(N)を計算する
    という手順に従って、前記ポンプの設定回転数(N)を計算する
    ことを特徴とするポンプ流量制御装置。
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