JP3569314B2 - 溶接継手の疲労強度に優れた溶接構造用厚鋼板およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、造船・海洋構造物・橋梁などの分野に用いられる、溶接継手の疲労強度に優れた溶接構造用軟鋼と引張強さが50kgf/mm2 級の高張力厚鋼板およびそれらの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
溶接構造物の大形化と環境保全に対する要求の高まりに伴い、構造部材は従来にも増した信頼性が要求されるようになってきている。溶接構造物で想定される破壊形態としては、疲労破壊、脆性破壊、延性破壊などがあるが、これらのうち、疲労破壊は実使用環境下において最も頻繁に発生し易い破壊形態であり、溶接構造物の信頼性向上のために最も留意すべき問題である。最近の大型タンカーにおける疲労き裂発生、海洋構造物における疲労き裂を発端とした倒壊など、疲労破壊が問題となった事例は少なくない。
【0003】
これまでに、疲労強度向上に関する技術が多数提案されているが、そのほとんどは薄鋼板の母材、あるいはスポット溶接部の疲労強度向上に関するものである。例えば、特開昭61−96057号公報においては、ベイナイトの面積比率を5〜60%とすることで疲労強度向上が計れることが記載されている。
厚鋼板溶接継手の疲労破壊に関する研究によれば、疲労き裂は溶接部の応力集中部に発生する。この部分には残留応力も作用しているため、応力集中と残留応力の重畳作用により疲労き裂の発生が容易となることが明らかにされている。
【0004】
これまでに、溶接部材の疲労強度支配要因と疲労強度改善に関する膨大な研究がなされているが、溶接部疲労強度の改善は、グラインダー研削、溶接ビード最終層を加熱・再溶融により止端部形状を整形するなどの溶接止端部形状改善による応力集中度の低減によるもの、ショットピーニング処理などの溶接止端部圧縮残留応力生成によるものなど、力学的要因による改善がほとんどであった(特開昭59−110490号公報、特開平1−301823号公報など)。また、溶接後熱処理による残留応力低減効果も従来からよく知られたものである。
【0005】
一方、上記のような特殊な施工や溶接後熱処理を用いずに、鋼材の成分を限定することによって厚鋼板溶接継手の疲労強度を改善する方法が提案されている。特願平4−294544号においては、Cuを0.5〜2.0%含有した極低C鋼は溶接残留応力が低く、同時に溶接熱影響部(以下、HAZと記す)の強度が確保されるために溶接継手の疲労強度が向上することが記載されている。
【0006】
溶接熱影響部の微視組織と疲労強度の関係はこれまでにほとんど明らかにされていないが、特開平5−345928号公報では、HAZ組織の疲労強度は島状マルテンサイトの生成により向上することが明らかにされている。すなわち、硬質の島状マルテンサイトがHAZ組織中に存在すると、一旦発生した微視疲労き裂は伝播を阻止または遅延され、実質的に疲労強度が向上することが記載されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
これらのうち、特開昭61−96057号公報記載の発明は、ベイナイト面積率を特定範囲に限定することにより疲労強度を向上させるものであるが、これは薄鋼板母材の疲労強度向上に関するものであり、本発明が対象とする厚鋼板の突き合わせ溶接、または隅肉溶接の疲労強度向上には適用できない。
【0008】
特開昭59−110490号公報および特開平1−301823号公報記載の発明では、溶接後に特殊な施工をする必要があり、溶接ままで疲労強度を改善することはできない。特願平4−294544号に記載の発明は、溶接部の疲労強度向上を計るものであるが、Cが0.010%以下の極低炭素鋼に関するものであり、一般の溶接構造用厚鋼板に適用はできない。
【0009】
特開平5−345928号公報記載の発明は、島状マルテンサイトを生成させるために、溶接後に溶接部をAc1 〜Ac3 の中間温度域に加熱後冷却する特殊な溶接後熱処理を施すものであり、溶接ままで疲労強度を向上させることはできない。
本発明は、応力集中度の低減や溶接残留応力の低減を実現するための付加的な溶接施工による疲労強度向上ではなく、溶接ままでHAZのミクロ組織を制御することにより、突き合わせ溶接継手または隅肉溶接継手の疲労強度を向上させた溶接構造用軟鋼板と引張強さが50kgf/mm2 級の高張力鋼板、およびそれらの製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、溶接部の疲労き裂発生・伝播と、そのミクロ組織依存性に関する系統的な実験を実施した結果、疲労き裂の発生と伝播を最も効果的に抑制するHAZミクロ組織はフェライトであることを知見した。これに基づいて、炭素当量値を限定することによりHAZのフェライト組織分率を増加させ、溶接継手の疲労強度を向上できることを見出した。
【0011】
すなわち、本発明の要旨とするところは下記のとおりである。
【0012】
(1)質量%で、
0.015≦C≦0.15、
1.0<Si≦2.0、
0.2≦Mn≦1.5、
P≦0.03、
S≦0.01、
0.005≦Al≦0.10、
N≦0.010、
Ceq≦0.275、
残部Feおよび不可避的不純物よりなることを特徴とする溶接継手の疲労強度に優れた溶接構造用厚鋼板。
【0013】
ただし、
Ceq=C+Mn/6+(Cu+Ni)/15+(Cr+Mo+V)/5+Nb/3
(2)質量%で、
0.1≦Cu≦2.0
を含有することを特徴とする前記(1)記載の溶接継手の疲労強度に優れた溶接構造用厚鋼板。
【0014】
(3)質量%で、
0.1≦Ni≦2.0
を含有することを特徴とする前記(1)または(2)記載の溶接継手の疲労強度に優れた溶接構造用厚鋼板。
【0015】
(4)質量%で、
0.05≦Cr≦1.0、
0.02≦Mo≦1.0
の1種または2種を含有することを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の溶接継手の疲労強度に優れた溶接構造用厚鋼板。
【0016】
(5)質量%で、
0.005≦Nb≦0.08、
0.005≦ V≦0.10
の1種または2種を含有することを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の溶接継手の疲労強度に優れた溶接構造用厚鋼板。
【0017】
(6)質量%で、
0.005≦Ti≦0.025、
0.001≦ N≦0.010、
Ti/N≦5.0
を含有し、Al含有量が
0.001≦Al≦0.10
であることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の溶接継手の疲労強度に優れた溶接構造用厚鋼板。
【0018】
(7)質量%で、
0.0005≦ Ca≦0.005、
0.0005≦REM≦0.005
の1種または2種を含有し、Al含有量が
0.001≦Al≦0.10
であることを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれか1項に記載の溶接継手の疲労強度に優れた溶接構造用厚鋼板。
【0019】
(8)前記(1)〜(7)のいずれか1項に記載の鋼と同一成分を有する鋼塊をAc3 点以上、1250℃以下に加熱後、再結晶温度域で熱間圧延した後、自然冷却することを特徴とする溶接継手の疲労強度に優れた溶接構造用厚鋼板の製造方法。
(9)前記(1)〜(7)のいずれか1項に記載の鋼と同一成分を有する鋼塊をAc3 点以上、1250℃以下に加熱後、再結晶温度域で熱間圧延し、引き続き未再結晶温度域において累積圧下率で40〜90%の熱間圧延をした後、自然冷却することを特徴とする溶接継手の疲労強度に優れた溶接構造用厚鋼板の製造方法。
【0020】
(10)前記(1)〜(7)のいずれか1項に記載の鋼と同一成分を有する鋼塊をAc3 点以上、1250℃以下に加熱後、再結晶温度域で熱間圧延し、引き続き未再結晶温度域において累積圧下率で40〜90%の熱間圧延をした後、1〜60℃/secの冷却速度で0〜600℃まで冷却することを特徴とする溶接継手の疲労強度に優れた溶接構造用厚鋼板の製造方法。
【0021】
(11)前記(1)〜(7)のいずれか1項に記載の鋼と同一成分を有する鋼塊をAc3 点以上、1250℃以下に加熱後、再結晶温度域で熱間圧延し、引き続き未再結晶温度域において累積圧下率で40〜90%の熱間圧延をした後、1〜60℃/secの冷却速度で0〜600℃まで冷却し、さらに300℃〜Ac1 点に加熱して焼戻し熱処理することを特徴とする溶接継手の疲労強度に優れた溶接構造用厚鋼板の製造方法。
【0022】
【作用】
本発明者らは、まず溶接継手の疲労試験片のき裂発生・伝播の状況をミクロ的に詳細に観察を行った。その結果、ほとんどの疲労き裂は溶接金属とHAZの境界部、すなわち溶接融合線(fusion line;溶接金属とHAZの境界)付近から発生し、HAZ内を伝播し、さらに母材部に突入して試験片の全体破壊に至ることを知見した。溶接融合線付近は溶接止端部に一致し、この部分で最も応力集中が高くなるためである。このように、疲労き裂は溶接融合線付近から発生してHAZ内を伝播するために、疲労強度はHAZのミクロ組織に大きく影響を受けることが明らかとなった。
【0023】
次に、疲労強度に及ぼすHAZ組織の影響を解明するために系統的な実験を実施し、以下に示すような重要な知見を得た。
上記のように、疲労き裂の発生部は溶接融合線近傍であり、さらにき裂伝播の初期段階はHAZ内である。これらの領域は応力集中部に一致している。HAZミクロ組織と応力集中の両因子を再現することによりHAZミクロ組織が疲労強度に及ぼす影響を調査することができる。すなわち、溶接再現熱サイクルを与えた鋼材から応力集中を設けた試験片を加工し、疲労試験に供してHAZミクロ組織と疲労強度の関係を求めた。試験片の外形寸法は10×10×55mm、切欠深さは2mm、切欠先端半径は0.75mmで、支点間距離を40mmとして3点曲げ繰り返し荷重を与え、疲労破壊させた。応力集中係数は2.6である。
【0024】
図1は軟鋼および引張強さが50kgf/mm2 級の強度を有する実験室真空溶解鋼を素材として、最高加熱温度を1400℃、800〜500℃の冷却時間を1〜30秒とした溶接再現熱サイクルを与えた再現HAZ材の疲労限度比(疲労限/再現HAZ材の引張強さ)を再現HAZ材の引張強さに対してプロットしたものである。200倍の光学顕微鏡で観察した再現HAZ材のミクロ組織写真からポイントカウンティング法によりミクロ組織の面積率を測定し、面積率で60%以上を占めるミクロ組織を決定し、このミクロ組織の種類によりプロットデータを分類した。同図から明らかなように、疲労限度比はHAZミクロ組織に大きく依存する。すなわち、マルテンサイト、下部ベイナイト、下部ベイナイト・上部ベイナイト混合組織、上部ベイナイト、フェライトの順に疲労限度比が高くなり、フェライト組織が最も優れた疲労特性を有する組織であることを知見した。
【0025】
ごく一般に用いられている溶接構造用軟鋼(代表的な成分は0.14%C−0.2%Si−0.9%Mn)や引張強さが50kgf/mm2 級の圧延まま高張力鋼(代表的な成分は0.17%C−0.3%Si−1.4%Mn)は炭素当量値が高く、HAZの焼入れ性が高いために、入熱が50kJ/cm以下の小・中入熱溶接では、HAZミクロ組織はベイナイトあるいはマルテンサイト主体の組織となる。従って、このような鋼では疲労限度比が低く、HAZから疲労破壊が容易に発生することが図1から理解できる。本実験から、HAZのミクロ組織をフェライト主体組織とすることにより疲労限度比を高め、溶接継手の疲労強度を向上できることが初めて明らかとなった。
【0026】
図1で示したように、応力集中を有する疲労試験においては高温変態組織ほど疲労限度比が高くなり、逆に、低温変態組織ほど疲労限度比が低くなる。このような疲労強度がミクロ組織に依存する原因は完全には解明されていないが、(1)低温変態組織ほど変態時に導入された転位密度が高く、この転位は繰り返し応力を受けると再配列されてしまうために転位強化は疲労強度にはあまり寄与しない、(2)低温変態組織になるとベイナイトやマルテンサイトのラス界面、あるいは旧オーステナイト粒界の強度が粒内組織の強度に比べて相対的に低くなり、ラス界面や旧オーステナイト粒界で疲労き裂が容易に発生する、(3)フェライト組織では伝播するき裂先端における塑性変形が顕著で、塑性吸収エネルギーが増大し、その結果としてき裂伝播を遅延させる、などの理由が考えられる。
【0027】
応力集中の少ない平滑試験片においては疲労強度のミクロ組織依存性は少なく、むしろ静的な引張強さと高い相関関係を有することが知られている。上に示したように、再現HAZ材疲労強度がミクロ組織により影響を受け、特にフェライト主体組織で疲労限度比が上昇することは応力集中部で特異的に生じる現象であり、ミクロ組織をフェライト主体組織とすることによる疲労強度向上の効果は溶接継手のように応力集中が存在する場合に特に顕著に作用するものである。
【0028】
上記のように、HAZミクロ組織をフェライト組織とすることが疲労強度向上の上で最も望ましいが、HAZが溶接中に受ける連続冷却変態で100%フェライト組織とすることは、特に冷却速度が大きい小・中入熱溶接では困難であり、必然的にフェライトより変態温度が低いベイナイトなどの組織が混入する。しかしながら、上部ベイナイトはフェライトに次いで疲労限度比が高いために、上部ベイナイトが多少混入してもHAZの疲労強度をあまり低下させないことが期待できる。
【0029】
図2は再現HAZ材の疲労限度比をフェライト面積率に対してプロットしたものである。図から明らかなことは、(1)フェライト面積率が増加するに従って疲労限度比は上昇する。さらに、フェライト面積率が60%以上であれば疲労限度比が著しく上昇する。疲労限度比の向上はフェライト面積率が60%以上の範囲において特に顕著である。(2)同一のフェライト面積率で比較すると、Siを1.0%以上添加した鋼はSi添加量が1.0%未満の鋼に比べてさらに疲労限度比が上昇する。この結果から、HAZのフェライト面積率を60%以上とすることにより疲労限度比を向上でき、さらにSiを1.0%以上添加すると疲労限度比向上の効果は顕著となることが明らかとなった。
【0030】
上にも述べたとおり、ごく一般に用いられている溶接構造用軟鋼や引張強さが50kgf/mm2 級の圧延まま高張力鋼は炭素当量値が高く、HAZの焼入れ性が高いため、これらの鋼では小・中入熱溶接のHAZミクロ組織がベイナイト・マルテンサイト組織となる。このためにHAZの疲労強度向上は望めない。HAZの疲労破壊に対する感受性を低くし、応力集中下においても疲労き裂の発生を防止し、あるいは発生したき裂の伝播を遅延させるためには、HAZミクロ組織をフェライト主体組織とすることが効果的である。HAZミクロ組織をフェライト主体とするためにはHAZ焼入れ性を低下させることが必要である。このために、HAZ焼入れ性を表す指標である炭素当量の値を限界値以下に限定する必要がある。ここで、HAZのフェライト面積率を最も正確に表す炭素当量式を検討した結果、一般に使用されているIIWの炭素当量式にNbの焼入れ性上昇効果を考慮した次式、
Ceq=C+Mn/6+(Cu+Ni)/15+(Cr+Mo+V)/5+Nb/3
を用いればよいことが明らかとなった。
【0031】
図3は実験室真空溶解鋼再現HAZのフェライト面積率を上記の炭素当量に対してプロットしたものである。同図から明らかなことは、まずHAZフェライト面積率は炭素当量と良い相関を示し、炭素当量値が低いほどHAZフェライト面積率が上昇する。しかし、同一の炭素当量値で比較すると、Siを1.0%以上添加した鋼はさらにフェライト面積率が上昇することが明らかとなった。図2の結果から、HAZ疲労強度向上にはHAZのフェライト面積率を60%以上とすることが必要であるが、これを実現するためには、Si添加量が1.0%未満の鋼には炭素当量値を0.24%以下、Si添加量が1.0%以上の鋼では炭素当量値を0.275%以下とすればよいことがわかる。Siを1.0%以上添加することにより炭素当量上限値を0.275%まで上げることが可能であり、従ってSiを1.0%以上添加することによってHAZの疲労強度を向上できるだけでなく、板厚の厚い鋼板でも母材強度の確保が容易になる。
【0032】
Siを添加することによる疲労限度比向上の理由は、(1)Siはフェライト形成元素であるためHAZ組織のフェライト面積率を増加させることに加え、(2)Siの固溶強化により疲労繰り返し中の転位の運動に対する抵抗力が上昇すること、さらに(3)積層欠陥エネルギーの低下により交差すべりが生じ難くなり、繰り返し塑性変形の可逆性が高まることにより、非可逆塑性変形によって蓄積される歪が増加し難くなるためであると考えられる。このようなSiの効果は溶接部疲労強度だけでなく、フェライト主体組織である母材の疲労強度向上にも効果を発揮する。
【0033】
実溶接継手のHAZで応力集中が高い領域は溶接融合線から1.0mm以内の範囲であり、疲労き裂が発生するのはこの領域内である。従って、溶接融合線から1.0mmのHAZにおいてフェライト面積率を60%以上とすることが重要である。
上記の検討結果から明らかなように、本発明の骨子はHAZミクロ組織をフェライト主体とすることによりHAZの疲労破壊感受性を低め、溶接継手の疲労強度を向上させるものであり、これを実現するために上記で定義した炭素当量値をSi添加量の範囲に応じて限定するものである。
【0034】
以上の基本思想を基に、各合金元素の範囲を限定した理由を以下に述べる。
CはHAZの焼入れ性を上昇する元素であり、多量に添加するとベイナイトやマルテンサイト組織が生成しやすくなる。HAZのフェライト面積率を増加し、疲労強度を高めるためにはC量は低いほうが望ましい。しかし、Cは母材の強度を上昇させる元素であり、母材強度上昇のためには多量に添加することが望ましい。C量が0.015%未満では母材強度を確保できないため、下限値を0.015%とした。逆に、0.15%超ではHAZ焼入れ性が高くなり過ぎてフェライト面積率が低下し、疲労強度を向上できない。さらに、母材およびHAZの靱性が顕著に低下する。従って、C量の上限値を0.15%とした。母材強度と疲労強度向上のバランスを考慮すると、0.02〜0.07%のC量が最も望ましい。
【0035】
Siは脱酸剤として有用な元素である上に、上記のとおり疲労強度向上に効果を発揮する添加元素である。Si量が0.01%未満では脱酸が不十分となり、介在物が増加し、母材の延性や靱性を低下させる。Si添加量が高いほどフェライトの強化とHAZのフェライト面積率増加が顕著となり、疲労強度向上の目的のためにはSi添加量は高いほど望ましい。従って、Si量の下限値を1.0%超とした。しかし、Si添加量が高いほど母材とHAZの靱性は低下する。靱性低下はSi量が2.0%を超えると顕著となる。このため、Si量の上限値を2.0%とした。
【0036】
Mnは母材強度確保に有効な元素である。Mn量が0.2%未満では母材強度を確保できないため、下限値を0.2%とした。逆に、1.5%超添加すると、HAZ焼入れ性が上昇し、HAZミクロ組織をフェライト主体とすることができない。従って、Mn量の上限値を1.5%とした。
Pは低いほど好ましく、0.03%超含有すると母材とHAZの靱性を顕著に低下させる。従って、P量の上限値を0.03%とした。
【0037】
Sは低いほど好ましく、0.01%超含有するとMnS析出が顕著となり、母材とHAZの靱性を害し、板厚方向の延性も低下させる。さらに、MnS介在物が多量に存在すると、これが疲労き裂の起点となり疲労強度のばらつきの原因となる。従って、S量の上限値を0.01%とした。
Alは脱酸により鋼中介在物を減少させるのに有効な元素である。Alが0.005%未満では脱酸が不十分で鋼中介在物が減少できない。従って、下限を0.005%とした。逆に0.10%超含有すると、アルミナ系介在物が増加して延性低下を来すとともに、疲労き裂の発生を容易とする。従って、上限を0.10%とした。Ti、Ca、REMの強脱酸元素を含有する場合には、Alの下限を0.001%とすることができる。
【0038】
Cuは母材強度上昇に効果を示す元素である。Cu量が0.1%未満では強度上昇効果を期待できないため、下限値を0.1%とした。Cuは焼入れ性向上と固溶強化により母材の強度上昇に寄与するだけでなく、圧延・冷却後の焼戻し熱処理により微細Cuを析出することにより著しく母材強度を上昇させることができる。炭素当量値が低い本発明鋼ではこの効果は特に有効である。析出硬化を発揮させるためには、Cuは0.4%以上の添加が必要である。しかし、2.0%超添加するとHAZ焼入れ性が高くなり、フェライト主体組織とすることができないし、また鋳造割れが発生しやすくなるため、Cu量の上限値を2.0%とした。
【0039】
Niは母材とHAZの靱性を向上させる元素であり、靱性向上のためには0.1%以上添加することが必要である。しかし、2.0%超添加すると、HAZ焼入れ性が高くなり、HAZ組織をフェライト主体とすることができない。従って、Ni量の上限値を2.0%とした。
Crは焼入れ性を向上させるとともに、母材の強度向上にも効果のある元素である。0.05%未満では母材強度上昇効果が顕著でないので、Cr量の下限値を0.05%とした。逆に1.0%超添加すると、HAZ焼入れ性が高くなり過ぎてフェライト面積率を60%以上とすることができなくなるし、母材およびHAZの靱性低下が著しくなる。従って、Cr量の上限値を1.0%とした。
【0040】
Moは焼入れ性を向上させるとともに、母材の強度向上にも効果のある元素である。圧延・冷却後に焼戻し熱処理を実施する場合には、微細Mo炭化物を析出させて、さらに強度の向上が計れる。Mo量が0.02%未満では母材の強度向上効果が顕著でないので、下限値を0.02%とした。逆に、1.0%超添加すると、HAZ焼入れ性が高くなり過ぎてフェライト面積率を60%以上とすることができなくなるし、母材およびHAZの靱性低下が著しくなる。従って、Mo量の上限値を1.0%とした。
【0041】
Nbは炭窒化物を形成して母材の強度向上と細粒化に効果がある。圧延・冷却後に焼戻し熱処理を実施する場合には、微細Nb炭窒化物を析出させて、さらに強度の向上が計れる。Nb量が0.005%未満ではこの効果が顕著でないので下限値を0.005%とした。逆に、0.080%超添加すると、HAZ焼入れ性が高くなり過ぎてフェライト面積率を60%以上とすることができなくなる。従って、Nb量の上限値を0.080%とした。
【0042】
Vは炭窒化物を形成して母材の強度向上と細粒化に効果がある。圧延・冷却後に焼戻し熱処理を実施する場合には、微細V炭窒化物を析出させて、さらに強度の向上が計れる。V量が0.005%未満ではこの効果が顕著でないので、下限値を0.005%とした。逆に、0.10%超添加すると、HAZ焼入れ性が高くなり過ぎてフェライト面積率を60%以上とすることができなくなる。従って、V量の上限値を0.10%とした。
【0043】
Tiは適量のNとの組み合わせによりTiNを生成し、HAZのオーステナイト粒の粗大化を抑制するとともに固溶Nを低下させるためにHAZ靱性を向上させる。さらに、TiNを核としてオーステナイト粒内からもフェライトを生成させ、HAZ靱性を向上させる。Ti量が0.005%未満ではこれらの効果が顕著でないため、下限値を0.005%とした。しかし、0.025%超、またはTi/N比が5.0を超えて添加すると、Tiの炭化物を多量に生成して母材とHAZの靱性を低下させる。従って、Ti添加量の上限値を0.025%とし、Ti/Nの上限を5.0とした。
【0044】
NはTiと結合してTiNを生成し、HAZのオーステナイト粒成長抑制と粒内変態フェライトにより靱性を向上させる。N量が0.001%未満ではこの効果が期待できないため、下限値を0.001%とした。しかし、0.010%超添加すると、固溶N量が増加して母材ならびにHAZの靱性を低下させる。このために、N量の上限値を0.010%とした。TiとNの適量添加によりTiNを生成して上記効果を発揮できるが、過剰N、あるいは過剰Tiの弊害を少なくするためには、Ti/Nの比を2.0〜3.4の範囲とすることが望ましい。
【0045】
CaはCaSとしてSを固定し、MnS生成量を低下させる。粗大なMnSは疲労破壊の起点となることがあるため、Caを添加することによって疲労強度のばらつきを低減することができる。Ca添加量が0.0005%未満では上記の効果が顕著ではない。従って、Ca添加量の下限値を0.0005%とした。逆に、Caを0.005%超添加すると、粗大なCa酸化・硫化物を生成してこれが疲労破壊の起点となり易くなる。従って、Ca添加量の上限値を0.005%とした。
【0046】
REMは上記Caと同じ効果を有する。REMとしてはランタノイド系、アクチノイド系ともに同様な効果を有するが、代表的なものはランタノイド系のLa、Ceである。REM添加量が0.0005%未満ではMnS生成量を低下させる効果が顕著ではないので下限値を0.0005%とした。逆に、REMを0.005%超添加すると、粗大なREM酸化・硫化物を生成してこれが疲労破壊の起点となり易くなる。従って、REM添加量の上限値を0.005%とした。
【0047】
次に、鋼板の製造条件を限定した理由を述べる。
本発明は溶接部疲労強度に優れた軟鋼から引張強さが50kgf/mm2 級の溶接構造用厚鋼板を提供するものであり、鋼板の強度として、軟鋼クラスでは降伏応力が24kgf/mm2 以上、引張強さが41kgf/mm2 以上、50kgf/mm2 級高張力鋼では降伏応力が36kgf/mm2 以上、引張強さが48kgf/mm2 以上を主として対象とする。しかし、上記軟鋼の強度レベルを下回る鋼についても本発明による溶接部疲労強度向上は実現できる。
【0048】
上記の降伏応力と引張強さを有する軟鋼および50kgf/mm2 級高張力鋼を製造しようとする場合、常法の熱間圧延法を採用することは可能であるが、上で定義した炭素当量値が0.24%以下の範囲で特に低い場合や、板厚が大きい場合には、常法の熱間圧延法では必要とする強度が得られない場合がある。このような場合には、制御圧延法、制御圧延・加速冷却法により母材強度を上昇させることができる。
【0049】
常法の熱間圧延・制御圧延ともに、圧延に先立ち、鋼塊を100%オーステナイト化する必要があり、このためには鋼塊をAc3 点以上の温度に加熱する必要がある。しかし、1250℃を超えて加熱するとオーステナイト粒が粗大化するために圧延後微細粒が得られなくなるので、加熱温度は1250℃以下とすることが必要である。
【0050】
鋼塊の加熱によりオーステナイト粒は粗大化するので、常法の熱間圧延・制御圧延ともに、再結晶温度域で圧延することによりオーステナイト粒径を小さくすることが必要である。
制御圧延法を用いて強度上昇と靱性向上を計る場合には、さらに未再結晶温度域で圧延することによりオーステナイト粒内に変形帯を導入し、フェライト生成核を増加させることが有効である。未再結晶域での累積圧下率が40%未満では変形帯が十分に形成されないので、未再結晶温度域での累積圧下率の下限値を40%とした。しかし、累積圧下率が90%を超えると、母材シャルピー試験における上部棚衝撃値の低下が著しくなり、低サイクル疲労特性が低下するので、未再結晶温度域での累積圧下率の上限を90%とした。
【0051】
仕上圧延温度に関する限定は特に必要ではなく、Ar3 点以上で圧延を終了してもよいし、Ar3 点以下においてフェライトとオーステナイトの共存域、あるいはフェライト域で圧延しても差し支えない。
圧延後、自然空冷する場合にはオーステナイト粒界と粒内変形帯よりフェライトが生成し、未再結晶温度域での圧延がない常法圧延に比べて細粒フェライトを得ることができ、母材強度の上昇と靱性向上が達成できる。
【0052】
自然空冷よりさらに強度を上昇させるためには加速冷却が必要である。冷却速度が1℃/sec未満では、過冷度が小さいために変態後のフェライトの微細化が不十分であると同時に変態中のCの拡散が容易なためにフェライト中のC濃度が低下し、十分な強度を得ることができない。逆に、冷却速度が60℃/sec超ではベイナイト主体組織が生成するために母材の靱性が低下する。従って、冷却速度を1〜60℃/secに限定した。母材の強度と靱性のバランスを考慮すると、5〜30℃/secの範囲とすることが望ましい。
【0053】
本発明においては母材の強度を得るために変態が終了するまで加速冷却を継続する必要がある。このため、冷却停止温度の上限を600℃とした。600℃超の停止温度では変態が終了しないために、十分な強度が得られない。通常、加速冷却は水を冷却媒体として用いる。この場合、実際上の冷却停止温度の下限は0℃となるので、下限値を0℃とした。
【0054】
圧延・冷却に引き続き実施する焼戻し熱処理は回復による母材組織の靱性向上を目的としたものであるから、加熱温度は逆変態が生じない温度域であるAc1 点以下でなければならない。回復は転位の消滅・合体により格子欠陥密度を減少させるものであり、これを実現するためには300℃以上に加熱することが必要である。このため、加熱温度の下限を300℃とした。また、既に述べたように、Cu、Mo、Nb、Vの析出硬化元素を含有する場合には、熱処理により微細析出物を生成させることにより母材強度を向上させることができる。この効果は炭素当量値が低い本発明鋼の母材強度向上に極めて効果を発揮するものである。析出硬化を最も有効に作用させるための加熱温度は析出硬化元素に依存するが、概ね500〜650℃の範囲である。圧延後冷却の停止温度が600℃以下の範囲で比較的高温の場合には自己焼戻しを期待できるため、この焼戻し熱処理を省略することも可能である。
【0055】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を述べる。
連続鋳造により製造したスラブから板厚が20〜40mmの鋼板を製造した。表1、表2(表2のつづき)に化学成分を示す。鋼14〜24が本発明鋼、鋼25〜29が比較鋼である。
【0056】
表3、表4(表3のつづき)に鋼板の製造条件と引張特性を示す。本発明鋼16および17は本発明請求項9に示した制御圧延法で製造し、本発明鋼18〜24、および比較鋼27、29は請求項10または11に示した制御圧延・制御冷却法で製造した。他の鋼板は常法の熱間圧延により製造した。加熱温度は全ての鋼でAc3 変態点以上である。また、制御圧延・制御冷却後焼戻し熱処理を実施した鋼の焼戻し温度は全て600℃以下で、Ac1 変態点以下である。
【0057】
これら供試鋼を用いてT字隅肉溶接継手を作成した。表5に溶接条件を示す。溶接継手の疲労強度は板厚依存性を示す。板厚依存性を取り除くために、板厚が20mm超の鋼板は裏面を切削して20mm厚としてから溶接を実施した。図4にT字隅肉溶接継手から作成した3点曲げ疲労試験片形状を示す。繰り返し最大荷重と最低荷重の比が0.1の条件で疲労試験を実施した。
【0058】
表6に疲労試験結果を示す。また、同表に溶接融合線直近のHAZのミクロ組織写真からポイントカウンティング法により測定したフェライト面積率を示す。鋼14〜24はSi添加量が1.0%超で、上で定義した炭素当量値が0.275%以下であり、HAZのフェライト面積率も60%以上である。フェライト以外の組織は全ての本発明鋼で上部ベイナイトであった。溶接継手疲労強度は106 回疲労強度および疲労限を指標として比較した。本発明鋼は両疲労強度ともに比較鋼より向上している。比較鋼25〜29は炭素当量が0.275%超であり、HAZのフェライト面積率も60%未満であり、フェライト以外に一部下部ベイナイトとマルテンサイトを含む。溶接継手疲労強度も本発明鋼より低い。
【0059】
以上の試験により本発明鋼の溶接継手疲労強度は比較鋼の疲労強度より向上することが確認された。
【0060】
【表1】
【0061】
【表2】
【0062】
【表3】
【0063】
【表4】
【0064】
【表5】
【0065】
【表6】
【0066】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明鋼はHAZミクロ組織をフェライト主体組織となるように制御することにより、付加的溶接による応力集中低減などによらずに溶接継手の疲労強度を向上することが可能であり、本発明鋼を用いることにより溶接構造用物の疲労破壊に対する信頼性を向上させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】切欠付き再現HAZ材の疲労試験における疲労限度比の引張強度およびミクロ組織依存性を示す図である。
【図2】切欠付き再現HAZ材の疲労試験における疲労限度比のフェライト面積率依存性を示す図である。
【図3】再現HAZ材のフェライト面積率の炭素当量依存性を示す図である。
【図4】T字隅肉溶接継手疲労試験片の形状を示す図である。
Claims (11)
- 質量%で、
0.015≦C≦0.15、
1.0<Si≦2.0、
0.2≦Mn≦1.5、
P≦0.03、
S≦0.01、
0.005≦Al≦0.10、
N≦0.010、
Ceq≦0.275、
残部Feおよび不可避的不純物よりなることを特徴とする溶接継手の疲労強度に優れた溶接構造用厚鋼板。
ただし、
Ceq=C+Mn/6+(Cu+Ni)/15+(Cr+Mo+V)/5+Nb/3 - 質量%で、
0.1≦Cu≦2.0
を含有することを特徴とする請求項1記載の溶接継手の疲労強度に優れた溶接構造用厚鋼板。 - 質量%で、
0.1≦Ni≦2.0
を含有することを特徴とする請求項1または2記載の溶接継手の疲労強度に優れた溶接構造用厚鋼板。 - 質量%で、
0.05≦Cr≦1.0、
0.02≦Mo≦1.0
の1種または2種を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の溶接継手の疲労強度に優れた溶接構造用厚鋼板。 - 質量%で、
0.005≦Nb≦0.08、
0.005≦ V≦0.10
の1種または2種を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の溶接継手の疲労強度に優れた溶接構造用厚鋼板。 - 質量%で、
0.005≦Ti≦0.025、
0.001≦ N≦0.010、
Ti/N≦5.0
を含有し、Al含有量が
0.001≦Al≦0.10
であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の溶接継手の疲労強度に優れた溶接構造用厚鋼板。 - 質量%で、
0.0005≦ Ca≦0.005、
0.0005≦REM≦0.005
の1種または2種を含有し、Al含有量が
0.001≦Al≦0.10
であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の溶接継手の疲労強度に優れた溶接構造用厚鋼板。 - 請求項1〜7のいずれか1項に記載の鋼と同一成分を有する鋼塊をAc3 点以上、1250℃以下に加熱後、再結晶温度域で熱間圧延した後、自然冷却することを特徴とする溶接継手の疲労強度に優れた溶接構造用厚鋼板の製造方法。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の鋼と同一成分を有する鋼塊をAc3 点以上、1250℃以下に加熱後、再結晶温度域で熱間圧延し、引き続き未再結晶温度域において累積圧下率で40〜90%の熱間圧延をした後、自然冷却することを特徴とする溶接継手の疲労強度に優れた溶接構造用厚鋼板の製造方法。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の鋼と同一成分を有する鋼塊をAc3 点以上、1250℃以下に加熱後、再結晶温度域で熱間圧延し、引き続き未再結晶温度域において累積圧下率で40〜90%の熱間圧延をした後、1〜60℃/secの冷却速度で0〜600℃まで冷却することを特徴とする溶接継手の疲労強度に優れた溶接構造用厚鋼板の製造方法。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の鋼と同一成分を有する鋼塊をAc3 点以上、1250℃以下に加熱後、再結晶温度域で熱間圧延し、引き続き未再結晶温度域において累積圧下率で40〜90%の熱間圧延をした後、1〜60℃/secの冷却速度で0〜600℃まで冷却し、さらに300℃〜Ac1 点に加熱して焼戻し熱処理することを特徴とする溶接継手の疲労強度に優れた溶接構造用厚鋼板の製造方法。
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