JP3567787B2 - データ記憶媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、メモリカードやフロッピーディスク等のデータ記憶媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、コンピュータやデジタルカメラなどの情報電子機器の発達に伴って、電子データが日々生成されるようになってきている。これらのデータは最終的には記憶媒体に記憶されることになるものの、電子データであるが故に一度格納してしまうと検索するのに、いちいちコンピュータ等にセットしなければならないという問題点がある。
【0003】
そのような問題点に対しては、以下に示すように、記憶媒体に表示部を設けて、記憶媒体の記憶内容を表示するようにしたものが知られている。特開平1−305784号公報には、デジタルカメラに対して着脱可能なメモリカードに液晶表示部を設け、画像表示を可能としたものが記載されている。特開平1−117580号公報には、デジタルカメラに対して着脱可能なメモリカードに液晶表示部を設け、メモリ残量表示を可能としたものが記載されている。
【0004】
しかしながら、これらの記憶媒体における表示手段は、表示状態を継続させるにあたって電力の供給が必要な液晶が使用されており、電源に対する日々のチェックを怠ると知らない間に表示内容が消えてしまい、使い勝手が悪いものであった。
【0005】
一方で、近年、強誘電性液晶、コレステリック液晶及びカイラルネマティック液晶といったメモリ性を有する液晶が知らるようになってきている。例えば、米国特許第5,625,477号明細書には、カイラルネマティック液晶を用いて多階調表示を行う方法が開示されている。これらの液晶を使用した表示手段においては、表示を更新する際には電力を必要とするものの、表示状態を継続するための電力は不要である。
【0006】
実際、特開平8−317324号公報においては、強誘電性液晶を電子カメラに適用した例について開示している。また、特開平10−197850号公報においては、ペンコンピュータの表示装置に強誘電性液晶を使用して省エネルギー化を図った例について示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、記憶媒体においてメモリ性液晶を利用する場合、従来の記憶媒体との互換性や、表示視認性、あるいは操作性に関してなんら考慮されておらず、実用的ではなかった。
【0008】
そこで、本発明の目的は、メモリ性液晶からなる表示手段を備え、互換性や操作性の良好なデータ記憶媒体を提供することにある。
【0009】
【発明の構成、作用及び効果】
以上の目的を達成するため、本発明に係るデータ記憶媒体は、画像データ記憶手段と、該画像データ記憶手段にデータを入出力するための入出力コネクタと、メモリ性を有する液晶を用いて表示画面を構成した表示手段とを備え、前記入出力コネクタは、デジタルカメラに設けられた表示手段を有しない記憶媒体が装着可能なコネクタに装着可能であり、かつ、前記入出力コネクタは、前記画像データ記憶手段にデータを入出力すると共に、画像データ記憶手段に記憶された画像データを表示するために前記表示手段を駆動する駆動信号をも入力されることを特徴とする。
【0010】
以上のデータ記憶媒体にあっては、表示手段に媒体の記憶内容(画像データ)を表示させることで検索性が良好となり、表示の更新も可能である。しかも、メモリ性液晶からなる表示手段を使用しているため、表示の維持に電力が不要で省エネルギー化を図ることができる。また、本発明に係るデータ記憶媒体は、液晶表示手段への駆動信号は画像データ記憶手段の入出力コネクタを介して入力する。従って、表示手段を持たない従来のデータ記憶媒体と互換性を有する。
【0011】
特に、前記画像データ記憶手段に対するデータの書き込み処理あるいは読み出し処理にエラーが発生したとき、該エラーの発生を表示手段に表示すれば、エラーの発生を確実に知ることができる。そのためには、エラー発生時でも表示手段が動作するように、専用のキャパシタを備えることが好ましい。
【0012】
さらに、本発明に係るデータ記憶媒体は、表示手段をデータ記憶媒体の筐体の表面に着脱可能としてもよい。表示手段の液晶が劣化した場合や故障した場合でも容易に新品と交換することができる。表示手段への駆動信号の伝達は、表示手段の裏面に設けた電極が筐体表面に設けた電極と表示手段の着脱動作に伴って接離する構成とすればよい。
【0013】
また、前記表示手段を筺体の表面に形成した凹所に取り付けるようにすれば、筺体の表面が略平面性を保つことができ、取り扱いに便利である。また、筺体上の所定の取り付け位置に対して表示手段をその上下及び左右が一致したときのみ装着可能に構成すれば、表示手段の誤装着を確実に防止できる。また、筺体の複数の表面に表示手段を取り付ければ、表示の多様性、検索性がより向上する。
【0014】
また、前記筐体に表示手段の挿入部と表示用窓部を設ければ、表示手段の交換が容易であり、保護をも図ることができる。また、表示手段を駆動する信号を情報電子機器から入力する構成を採用すれば、表示手段を外部から制御することができ、データ記憶媒体には制御手段が不要であり、表示手段を有していないデータ記憶媒体との互換性を有し、媒体自体のコストを低減できる。さらに、表示手段の駆動手段はデジタルカメラより画像を表示するときのアドレスを指定されるようにすれば、媒体のより低コスト化を図ることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るデータ記憶媒体の実施形態について、添付図面を参照して説明する。
【0017】
(メモリ性液晶付きメモリカードの構成)
本発明の一実施形態であるメモリ性液晶付きメモリカードは、PCMCIAタイプ2規格に基づくものであり、デジタルカメラやパーソナルコンピュータのPCMCIAカードスロットに装着して使用される。メモリ部には周知のフラッシュメモリが使用され、表示部にはメモリ性を有する室温でコレステリック相を示す液晶組成物(以下、コレステリック液晶と称する)が使用される。
【0018】
(メモリ性液晶の表示原理)
まず、表示部として使用されている液晶表示素子について説明する。この液晶表示素子は、基板間にコレステリック液晶を挟持した液晶表示素子とその駆動部とからなる。図1に一例としての液晶表示素子10の断面構造を示す。
【0019】
図1において、11,12,13,14は透明基板で、これらの透明基板の表裏面には複数の透明電極15,16がそれぞれ帯状に、かつ、互いに直交するマトリクス状に形成されている。電極15,16が交差する部分に以下に説明するように電圧が印加され、この部分が1画素を構成する。17は透明基板11〜14の間を支持する柱状構造物であり、各画素間に透明基板全面にわたり等間隔(ランダムな配置でもよい)に設けられている(図2参照)。18はコレステリック液晶組成物である。19はシール材であり、液晶組成物18を透明基板間に封止するためのものである。各基板11〜14には透明電極15,16を形成した上に必要に応じて絶縁膜、配向制御膜を設けてもよい。
【0020】
この液晶表示素子10は、光吸収体20の上に赤色の選択反射状態と透明状態との切り換えにより表示を行う赤色層Rを配し、その上に緑色の選択反射状態と透明状態との切り換えにより表示を行う緑色層Gを積層し、さらにその上に青色の選択反射状態と透明状態との切り換えにより表示を行う青色層Bを積層したものである。
【0021】
液晶表示素子10においては、液晶がプレーナ配列のとき選択反射状態となり、フォーカルコニック反射のとき透明状態となり、この状態を切り換えて表示を行う。即ち、液晶がプレーナ状態の場合、コレステリック液晶の螺旋ピッチをP、液晶の平均屈折率をnとすると、波長λ=P・nの光が選択的に反射される。
【0022】
また、フォーカルコニック状態ではコレステリック液晶の選択反射波長が赤外光領域にある場合には可視光を散乱し、それよりも短い場合には可視光を透過する。そのため、液晶表示素子10の観察側(矢印A参照)と反対側に光吸収体20を設け、選択反射波長を可視光領域に設定することにより、特定色(プレーナ状態)と黒色(フォーカルコニック状態)とでの表示が可能である。また、選択反射波長を赤外光領域に設定すると、黒色(プレーナ状態)と散乱による白色(フォーカルコニック状態)とでの表示が可能である。
【0023】
コレステリック相を示す液晶のねじれを解くための第1の閾値電圧をVth1とすると、電圧Vth1を十分な時間印加した後に電圧を第1の閾値電圧Vth1よりも小さい第2の閾値Vth2以下に下げるとプレーナ状態になる。また、Vth2以上でVth1以下の電圧を十分な時間印加するとフォーカルコニック状態になる。この二つの状態は電圧印加を停止した後でも安定に維持される。また、この二つの状態の混在した状態も存在することが分かっており、中間調の表示(階調表示)が可能であることが知られている(米国特許第5,384,067号明細書参照)。
【0024】
液晶表示素子10の画素構成は、図3に示すように、それぞれ複数本の走査電極R1,R2〜Rmと信号電極C1,C2〜Cn(m,nは自然数)とのマトリクスで表される。走査電極R1,R2〜Rmは走査駆動回路21の出力端子に接続され、信号電極C1,C2〜Cnは信号駆動回路22の出力端子に接続されている。
【0025】
走査駆動回路21は、走査電極R1,R2〜Rmのうち所定のものに選択信号を出力して選択状態とする一方、その他の電極には非選択信号を出力し非選択状態とする。走査駆動回路21は、所定の時間間隔で電極を切り換えながら順次各走査電極R1,R2〜Rmに選択信号を印加していく。一方、信号駆動回路22は、選択状態にある走査電極R1,R2〜Rm上の各画素を書き換えるべく、画像データに応じた信号を各信号電極C1,C2〜Cnに同時に出力する。例えば、走査電極Raが選択されると(aはa≦mを満たす自然数)、この走査電極Raと各信号電極C1,C2〜Cnとの交差部分の画素LRa−C1〜LRa−Cnが同時に書き換えられる。これにより、各画素における走査電極と信号電極との電圧差が画素の書き換え電圧となり、各画素がこの書き換え電圧に応じて書き換えられる。
【0026】
例えば、図4に示すように、表示すべき画像データが、[Pij]で示される、m行n列の行列で表されるとき、まず、行ベクトル(P11、P12、…、P1n)で示される1行目のデータに対応したパルス電圧を信号電極C1、C2、…、Cnに印加すると共に、走査電極R1、R2、R3、…、Rmのうち、R1のみを所定の電位にする。これによって画素列L11、L12、…、L1nのみがプレーナ状態又はフォーカルコニック状態になり、走査電極R1への電圧印加を解いても、各画素L11、L12、…、L1nの表示状態は保持される。
【0027】
同様に、行ベクトル(Pi1、Pi2、…、Pin)で示されるi行目のデータに対応したパルス電圧を信号電極C1、C2、…、Cnに印加すると共に、走査電極R1、R2、R3、…、Rmのうち、Riのみを所定の電位にする。これによって画素列Li1、Li2、…、Linのみがプレーナ状態又はフォーカルコニック状態になり、走査電極Riへの電圧印加を解いても、各画素Li1、Li2、…、Linの表示状態は保持される。これを、1≦i≦mなる全てのiについて順次繰り返すことにより、1画面[Pij]の表示が完了し、その状態が保持される。
【0028】
このようなマトリクス駆動を前記各層B,G,Rごとに順次もしくは同時に行うことにより、液晶表示素子10にフルカラー画像の表示を行う。なお、画面に対応したデータ[Pij]を時系列を追って変化させながら液晶を駆動することによって動画の表示も可能である。
【0029】
(液晶表示素子に用いることができる各素材と製造方法)
透明基板としては、無色透明のガラス基板や高分子フィルム、例えば、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネイト、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂が使用可能である。
【0030】
電極としては、ITOやネサ膜等の透明電極が使用可能であり、スパッタ法や真空蒸着法を用いて前記透明基板上に形成すればよい。最下層の電極については光吸収体としての役割も含めて黒色の電極を使用することができる。
【0031】
液晶材料としては、特に室温でコレステリック相を示す材料が好ましい。このような液晶材料としては、ネマティック液晶に、室温でコレステリック相を示すようにカイラル材を添加した、いわゆるカイラルネマティック液晶が好適に使用できる。好適なネマティック液晶の具体例としては、これに限定されるものではないが、液晶性トラン化合物、液晶ピリミジン化合物、液晶性エステル化合物、液晶性シアノビフェニル化合物、液晶性フェニルシクロヘキシル化合物、液晶性ターフェニル化合物やこれらの混合物などを主成分として含むものが挙げられる。二色性色素などの色素を添加してもよい。
【0032】
柱状構造物としては、例えば、熱可塑性樹脂を用いることができる。これには、加熱により軟化し、冷却により固化する材料で、液晶材料と化学変化を起さないことと適度な弾性を有することが望まれる。柱状構造物は基板間のスペーサとして機能するが、従来使用されている無機材料からなる球状のスペーサを併用してもよい。
【0033】
(メモリ性液晶付きメモリカードの構成)
以前述べたようなメモリ性液晶を用いた表示部を有するメモリカードには、表示部の構成上から大きく分けてメモリ部/表示部一体型と、表示部/メモリ部分離型の二つのタイプがある。
【0034】
(メモリ部/表示部一体型)
図5及び図6に示すメモリカード40は、PCMCIAタイプ2規格に対応するものであって、金属製のカードケース41内の図示しない基板上にフラッシュメモリ43,44、アドレスデコーダを含む駆動回路45と、前記液晶表示素子10及びその駆動回路21,22を配置したものである。液晶表示素子10に対応する部分にはケース41に透明プラスチック窓42が形成されている。また、ケース41の一側部には、PCMCIA規格のコネクタ46が設けられている。このメモリカード40はデジタルカメラやパーソナルコンピュータといったPCMCIA規格のコネクタを備えた情報電子機器に矢印X方向に装着して使用する。
【0035】
このメモリカード40において、電力は情報電子機器から供給されるが、表示部をメモリ性を有する液晶にて構成しているため、メモリカード40が情報電子機器から取り出されたりして非通電状態になっても、液晶表示素子10の表示を継続できる。表示形態の詳細は後述する。また、コネクタ46はメモリ部への電力及び信号の入出力機能と同時に、液晶表示素子10の駆動回路21,22への電力及び駆動信号の入力機能をも兼用したものとなっている。
【0036】
(メモリ部/表示部分離型)
既存のメモリカード(液晶表示素子10を有しないもの)を活用するためのアダプタータイプと、液晶表示素子10が劣化したときの交換を容易にするために表示部をメモリカードの筺体に貼り付けるタイプとがある。
【0037】
(アダプタータイプ)
図7及び図8に示すように、デジタルカメラのデータ記憶媒体として広く使用されているコンパクトフラッシュメモリカード50用のPCカードアダプタ52に前記液晶表示素子10を設けたものである。液晶表示素子10は透明プラスチック窓53からその表示を見ることができる。メモリカード50はアダプタ52の枠部54に矢印X1方向に装着され、前記駆動回路45に接続されているコネクタ51がアダプタ52に設けられているコネクタ55に結合される。コネクタ55はアダプタ52の一側部に設けられているコネクタ46と接続されている。なお、図7及び図8において、図5及び図6と同じ符号は同じ部材を示している。
【0038】
(表示部貼り付けタイプ)
図9(B)に示すように、コンパクトフラッシュメモリカード56の筺体57の表面に表示部貼り付け用の凹所58が形成されており、該凹所58には表示部駆動用の電極59が設けてある。前記液晶表示素子10は支持体25と一体的に接着されている。支持体25の裏面には前記駆動回路21,22と電気的に接続されている電極26が設けられており、支持体25の裏面中央部を凹所58に両面テープあるいは接着剤等で貼り付けることにより、電極26,59が電気的に接合される。
【0039】
また、凹所58には膨出部58aが形成され、支持体25には窪み25aが形成されている。液晶表示素子10は窪み25aを膨出部58aと一致させなければ凹所58にセットすることができず、方向を間違えて貼りつけてしまうことがない。勿論、支持体25の大きさは凹所58よりも若干小さくなっており、かつ、メモリカード56に液晶表示素子10を貼りつけた状態で、該表示素子10の表面とメモリカード56の凹所58以外の部分の表面とが同一平面となるように、凹所58の深さ、電極26,59の厚み、支持体25や表示素子10の厚みが設定されている。従って、このメモリ性液晶付きメモリカード56をデジタルカメラやパーソナルコンピュータへ装着する際に液晶表示素子10が剥がれることはなく、かつ、液晶が劣化した場合あるいは損傷を加えてしまった場合等、何らかの事情で表示部を交換したい場合にも容易に作業ができる。
【0040】
また、表示部は貼り付けるのではなく、メモリカードにスロットを設けて装着するようにしてもよい。この例を図10及び図11に示す。即ち、コンパクトフラッシュメモリカード60の筺体61のコネクタ46と反対側には、支持体27上に設けられた液晶表示素子10からなる表示部を挿入するためのスロット62が設けられており、表示部を矢印X1方向にスロット62に奥まで装着することにより、液晶表示素子10の電極26と筺体61の内部に設けられた電極59(図12参照)との電気的接合が図られる。
【0041】
さらに、筺体61の表面には液晶表示素子10の挿入箇所に対応した透明プラスチック窓63が設けられており、メモリカード60内に表示部を装着した状態で、メモリ性液晶付きメモリカードとして利用することが可能になる。また、筺体61には表示部をスロット62から取り出すためのレバー64が設けられている。このレバー64を備えた取り出し機構に関しては、周知のPCMCIA用スロットと同様であるためその説明は省略する。
【0042】
図12はメモリ部/表示部分離型(図9、図10参照)の回路構成を示す。回路部材に付した符号は図6と同様であり、その説明は省略する。
【0043】
(駆動回路)
ここで、液晶表示素子10に画像データの内容を表示する機構に関して、特に走査駆動回路21及び信号駆動回路22の詳細について図13を参照して説明する。なお、図13においては、液晶表示素子10の駆動に関する部分について図示している。実際には前述のとおりメモリカードにはフラッシュメモリ43,44が搭載されているが、その駆動回路は周知であるので省略する。
【0044】
メモリ性液晶付きメモリカードは、カードインターフェースを介して、デジタルカメラ又はパーソナルコンピュータ等のCPUによって制御されるPCMCIA仕様準拠のものである。従って、カードの端子には、データバス、アドレスバス、コントロールバス、電源ライン及びグランドラインの4種類の端子(いずれも図示せず)がある。液晶表示素子10に画像を表示するときには、デジタルカメラ又はパーソナルコンピュータ等のCPUがコントロールバスに対して書き込み指令を出し、アドレスを指定してデータを出力する。
【0045】
前記データの出力に基づいて、タイミングコントローラ70は、まず、ラインバッファ71に1行目に表示すべき画像データを格納し、格納が完了した段階で、1行目の画像データが各列同時に読み出され、各D/Aコンバータ72によって8ビットの画像データがアナログ画像信号に変換されるようにタイミング制御する。
【0046】
デジタルカメラ又はパーソナルコンピュータの電源部からは、メモリカードインターフェースを介して、+5Vの電圧がこの駆動回路に供給される。しかしながら、液晶表示素子10を駆動するためには、液晶の状態をフォーカルコニック状態もしくはプレーナ状態にするために電極間の電位差を所定値にする必要がある。そのため、DC/DCコンバータ73によって入力電圧を所定値に昇圧したうえで、駆動用バッファ74に供給する。これによって、駆動用バッファ74は、D/Aコンバータ72が出力するアナログ画像信号を増幅し、電極列C1、C2、…、Cnに印加する。
【0047】
一方、タイミングコントローラ70は、1行目の画像データを表示すべきタイミングにおいては、デコーダ75にスイッチング回路76−1のみがオンされ、他のスイッチング回路がオフされるようにデータを送る。スイッチング回路76−1のみがオンされると、電極行R1のみにDC/DCコンバータ73の出力が印加される。これにて、電極中1行目のみが画像データに応じた表示状態となり、電圧印加が停止されても液晶がメモリ性を有するのでその表示状態が保持される。
【0048】
同様に、i行目(1≦i≦m)の画像データの表示に関しては、タイミング信号(列方向)を基準として、ラインバッファ71にi行目の画像データが格納される。格納が完了した段階で、i行目の画像データが各列同時に読み出され、D/Aコンバータ72によって8ビットの画像データがアナログ画像信号に変換され、駆動用バッファ74は、D/Aコンバータ72が出力するアナログ画像信号を増幅し、電極列C1、C2、…、Cnに印加する。
【0049】
一方、タイミングコントローラ70は、i行目の画像データを表示すべきタイミングにおいては、スイッチング回路76−iのみがオンされて、他のスイッチング回路がオフされるようにデコーダ75にデータを送る。従って、電極行RiのみにDC/DCコンバータ73の出力が印加され、電極中i行目のみが画像データに応じた表示状態となり、電圧印加が停止されてもその表示状態が保持される。
【0050】
以上の駆動を1画面にわたって繰り返し、さらに画面の更新があれば、その都度同じ手順で1行目から書き換える。
【0051】
このように、信号駆動回路22は、ラインバッファ71、D/Aコンバータ72、駆動用バッファ74から構成され、走査駆動回路21は、タイミングコントローラ70、DC/DCコンバータ73、デコーダ75、スイッチング回路76−1〜76−mから構成される。なお、タイミングコントローラ70やDC/DCコンバータ73を信号駆動回路22に入れてもよい。さらに、これらの回路を1チップで構成することも困難ではない。また、液晶表示素子10はフルカラー表示であるため、駆動回路21,22はRGB3チャンネル分必要である。そのため、実際には信号駆動回路22、デコーダ75、スイッチング回路76−1〜76−mはそれぞれ3組設け、これらを1個のタイミングコントローラ70で制御するようになっている。
【0052】
ところで、メモリカードという情報電子機器に対して交換可能な記憶媒体としての性格上、その駆動形態としては、メモリカード自体が駆動回路を内蔵する駆動部内蔵型、あるいは駆動回路中共通部分をメモリカード外に配置した駆動部外付け型の二つのタイプがある。
【0053】
(駆動部内蔵型)
これは、液晶表示素子10の駆動回路を全てメモリカードに内蔵させたものであり、外部からは表示用のRGBデータを送るだけで1画面の表示が完了する。それ故、制御が簡単になるという利点がある。また、前述した例のように、PCMCIAのような汎用のインターフェースを用いる場合には、この方式を採用する必要がある。
【0054】
(駆動部外付け型)
これは、液晶表示素子10の駆動回路の一部をデジタルカメラ、パーソナルコンピュータ等の、メモリカードを装着して使用する機器に持たせたものである。それ故、メモリカードがコンパクトになったり、コストが低減するという利点がある。
【0055】
図13に示した駆動回路においては、2重線で囲んだブロックがメモリカードに搭載することが望ましいブロックであって、その他のブロックはデジタルカメラ又はパーソナルコンピュータ等に搭載可能なブロックに該当する。少なくとも2重線で囲んだブロックをメモリカードに搭載することにより、表示画素数の増加に伴って電極の本数が増えてもコネクタのピン数をさほど増やす必要がないという利点がある。
【0056】
(メモリ性液晶付きメモリカードが使用可能なデジタルカメラ)
以上説明したメモリ性液晶付きメモリカードを撮像データの記憶媒体として用いることができるデジタルカメラについて説明する。
【0057】
本デジタルカメラには、メモリカードに表示部が設けられているので、メモリカード上の表示部にデジタルカメラの各種表示を行うことも考えられる。しかし、まずは、デジタルカメラの表示部とメモリカードの表示部とを兼用しないタイプのものについて説明する。
【0058】
(表示部非兼用タイプ)
(デジタルカメラの構成)
デジタルカメラ100は、図14〜図17に示すように、カメラ本体部102と撮像部103とから構成されている。撮像部103は正面から見てカメラ本体部102の右側面に着脱可能である。
【0059】
撮像部103は撮影レンズであるマクロ機能付きズームレンズ301の後方位置の適所にカラーエリアセンサとして機能する周知のCCD303(図18参照)を備えている。また、銀塩フィルムを用いるカメラと同様に、撮像部103内の適所にフラッシュ光の被写体からの反射光を受光する調光センサ305を備えた調光回路304、被写体の距離を測定するための測距センサ306、光学ファインダー307が設けられている。
【0060】
一方、撮像部103の内部には、前記ズームレンズ301のズーム比の変更と、収容位置/撮影位置間のレンズ移動を行うためのズームモータM1(図18参照)及び合焦を行うためのモータM2とが設けられている。
【0061】
カメラ本体部102の前面には、グリップ部104、内蔵フラッシュ105が設けられ、さらに、デジタルカメラ100と外部機器(例えば、他のデジタルカメラやパーソナルコンピュータ等)と赤外線通信を行うためのIRDAポート106が設けられている。また、カメラ本体部102の上面にはシャッタボタン109が設けられている。
【0062】
図15に示すように、カメラ本体部102の背面には、略中央に撮影画像のモニタ表示(ビューファインダーに相当)及び記憶画像の再生表示等を行うためのLCD表示部110が設けられている。また、LCD表示部110の下方位置に、本デジタルカメラ100の操作を行うキースイッチ群111、電源スイッチ112が設けられている。また、電源スイッチ112の左側には、電源オン状態で点灯するLED113、メモリカードにアクセス中である状態を表示するLED114が設けられている。
【0063】
さらに、カメラ本体部102の背面には、「撮影モード」と「再生モード」とを切り換える撮影/再生モード設定スイッチ120が設けられている。撮影モードは写真撮影を行うモードであり、再生モードはメモリカードに記録された撮影画像をLCD表示部110に再生表示するモードである。撮影/再生モード設定スイッチ120は2接点のスライドスイッチであり、例えば、下方にスライドさせると再生モードが設定され、上方にスライドさせると撮影モードが設定される。
【0064】
また、カメラ本体部102の背面右方には、4連スイッチが設けられており、ボタン121,122を押すことによってズームモータM1を駆動してズーミングを行い、ボタン123,124を押すことによって露出補正を行う。
【0065】
図15において、撮像部103の背面側には、LCDボタン311及びマクロボタン312が設けられている。LCDボタン311は一回押すごとにLCD表示部110のオン/オフ状態が切り換わる。例えば、専ら、光学ファインダー307のみを用いて撮影するときには、節電の目的でLCD表示部110をオフ可能にする。マクロボタン312は、マクロ撮影時に押すことにより、フォーカスモータM2が駆動されて撮影レンズ301がマクロ撮影可能な状態になる。
【0066】
図16に示すように、デジタルカメラ100の側面には、DC入力端子308と、LCD表示部110に表示されている画像を外部のビデオモニタに出力するためのビデオ出力端子309が設けられている。
【0067】
図17に示すように、カメラ本体部102の底面には、電池装填室131とメモリカードのカード装填室132とが設けられ、装填室131,132はクラムシェルタイプの蓋130により閉塞される。このデジタルカメラ100は、4本の単三形乾電池を直列接続してなる電源電池135を駆動源としている。また、底面には、コネクタ及び鉤状の接続具によって接続されている撮像部103と本体部102との係合を解くための解除レバー136が設けられている。
【0068】
(制御回路)
次に、図18を参照して撮像部103の制御回路に関して説明する。
CCD303は、マクロズームレンズ301により結像された被写体の光像を、R(赤)、G(緑)、B(青)の色成分の画像信号(各画素で受光された画素信号の信号列からなる信号)に光電変換して出力する。タイミングジェネレータ314は、CCD303の駆動を制御するための各種のタイミングパルスを生成するものである。
【0069】
撮像部103における露出制御は、絞りが固定絞りとなっているので、CCD303の露光量、即ち、シャッタスピードに相当するCCD303の電荷蓄積時間を調節して行われる。被写体輝度が低輝度時に適切なシャッタスピードが設定できない場合は、CCD303から出力される画像信号のレベル調整を行うことにより露光不足による不適正露出が補正される。即ち、低輝度時は、シャッタスピードとゲイン調整とを組み合わせて露出制御が行われる。画像信号のレベル調整は、信号処理回路313内のAGC回路のゲイン調整において行われる。
【0070】
タイミングジェネレータ314は、タイミング制御回路202から送信される基準クロックに基づいてCCD303の駆動制御信号を生成する。例えば、積分開始/終了(露出開始/終了)のタイミング信号、各画素の受光信号の読み出し制御信号(水平同期信号、垂直同期信号、転送信号等)等のクロック信号を生成し、CCD303に出力する。
【0071】
信号処理回路313は、CCD303から出力される画像信号(アナログ信号)に所定のアナログ信号処理を施す。この信号処理回路313は、CDS(相関二重サンプリング)回路とAGC(オートゲインコントロール)回路とを有し、CDS回路により画像信号のノイズの低減を行い、AGC回路のゲインを調整することにより画像信号のレベル調整を行う。
【0072】
調光回路304は、フラッシュ撮影における内蔵フラッシュ105の発光量を全体制御部211により設定された所定の発光量に制御するものである。フラッシュ撮影においては、露出開始と同時に被写体からのフラッシュ光の反射光がセンサ305により受光され、この受光量が所定の発光量に達すると、調光回路304から発光停止信号が出力される。フラッシュ駆動回路216は、この発光停止信号に応答して内蔵フラッシュ105の発光を強制的に停止し、これにより内蔵フラッシュ105の発光量が所定の発光量に制御される。
【0073】
前記撮像部103と本体部102は、撮像部103の装着面334に設けられた7グループの接続端子群334a,334b,334c,334d,334e,334f,334gと、本体部102の接続面234に設けられた7グループの接続端子群234a,234b,234c,234d,234e,234f,234gによって、電気的に接続される。
【0074】
次に、カメラ本体部102の制御回路に関して説明する。
カメラ本体部102内において、A/D変換器205は、画像信号の各画素信号を10ビットのデジタル信号に変換するものである。即ち、タイミング制御回路202から入力されるA/D変換用のクロックに基づいて各画素信号(アナログ信号)を10ビットのデジタル信号に変換する。
【0075】
タイミング制御回路202は、基準クロック、タイミングジェネレータ314、A/D変換器205に対するクロックを生成するもので、全体制御部211により制御される。
【0076】
黒レベル補正回路206は、A/D変換された画素信号(以下、画素データという)の黒レベルを基準の黒レベルに補正するものである。また、WB回路207は、γ補正後にホワイトバランスも合わせて調整されるように、R,G,Bの各色成分の画素データのレベル変換を行うものである。このWB回路207は、全体制御部211から入力されるレベル変換テーブルを用いてR,G,Bの各色成分の画素データのレベルを変換する。なお、レベル変換テーブルの各色成分の変換係数(特性の傾き)は全体制御部211により撮影画像ごとに設定される。
【0077】
γ補正回路208は、画素データのγ特性を補正するものである。画像メモリ209は、γ補正回路208から出力される画素データを記憶するメモリである。画像メモリ209は、1フレーム分の記憶容量を有している。即ち、画像メモリ209は、CCD303がn行m列の画素を有している場合、n×m画素分の画素データの記憶容量を有し、各画素データが対応する画素位置に記憶されるようになっている。
【0078】
VRAM210は、LCD表示部110に再生表示される画像データのバッファメモリである。このVRAM210は、LCD表示部110の画素数に対応した画像データの記憶容量を有している。
【0079】
撮影待機状態においては、撮像部103により所定間隔ごとに撮像された画像の各画素データがA/D変換器205〜γ補正回路208により所定の信号処理を施された後、画像メモリ209に記憶されると共に、全体制御部211を介してVRAM210に転送され、LCD表示部110に表示される(ライブビュー表示)。これにより、撮影者はLCD表示部110に表示された画像により被写体像を視認することができる。また、再生モードにおいては、メモリカードから読み出された画像が全体制御部211で所定の信号処理が施された後、VRAM210に転送され、LCD表示部110に再生表示される。
【0080】
カードI/F212は、メモリカードへの画像データの書き込み及び画像データの読み出しを行うためのインターフェースである。
【0081】
フラッシュ駆動回路216は、内蔵フラッシュ105の発光を制御する回路である。この駆動回路216は、全体制御部211の制御信号に基づき内蔵フラッシュ105の発光の有無、発光量及び発光タイミング等を制御し、調光回路304から入力される発光停止信号に基づき内蔵フラッシュ105の発光量を制御する。RTC219は、撮影日時を管理するための時計回路であり、図示しない別の電源で駆動される。操作部250は、前述した各種キー、スイッチ、ボタンを表わす。
【0082】
ところで、シャッタボタン109は銀塩フィルムを使用するカメラで採用されているような半押し状態S1と押し込み状態S2とが検出可能な2段階スイッチになっている。待機状態でシャッタボタン109をS1状態にすると、測距センサ306からの距離情報が全体制御部211へ入力される。全体制御部211はこの距離情報に基づいてAFモータM2を駆動し、ズームレンズ301を合焦位置へ移動させる。
【0083】
全体制御部211は、CPUからなり、前記撮像部103内及びカメラ本体部102内の各部材の駆動を有機的に制御してデジタルカメラ100の撮影動作を統括制御するものである。周辺に配置されている回路等に対しては、アドレスバス、データバス、コントロールバスによって接続されている。なお、図18中、矢印は、信号や画像データの流れを示すために便宜的に示したものであって、実際には、画像データは全体制御部211を介して各回路ごとに送られ、そのために、図示しないワークメモリ及びプログラムを格納するためのROMを内蔵している。
【0084】
また、全体制御部211は、露出制御値(シャッタスピード)を設定するための輝度判定部とシャッタスピード設定部とを備えている。輝度判定部は、撮影待機状態において、CCD303により1/30(秒)ごとに取り込まれる画像を利用して被写体の明るさを判定するものである。即ち、輝度判定部は画像メモリ209に更新的に記憶される画像データを用いて被写体の明るさを判定する。シャッタスピード設定部は輝度判定部による被写体の明るさの判定結果に基づいてシャッタスピード(CCD303の積分時間)を設定するものである。
【0085】
さらに、全体制御部211は、前記撮影画像の記録処理を行うために、フィルタリング処理を行うフィルタ部とサムネイル画像及び圧縮画像を生成する記録画像生成部とを備え、また、メモリカードに記録された画像をLCD表示部110に再生するために、再生画像を生成する再生画像生成部を備えている。
【0086】
フィルタ部は、デジタルフィルタにより記録すべき画像の高周波成分を補正して輪郭に関する画質の補正を行うものである。
【0087】
記録画像生成部は、画像メモリ209から画素データを読み出してメモリカードに記録すべきサムネイル画像と圧縮画像とを生成する。この記録画像生成部は、画像メモリ209からラスタ走査方向に走査しつつ、横方向と縦方向の両方向でそれぞれ8画素ごとに画素データを読み出し、順次、メモリカードに転送することで、サムネイル画像を生成しつつメモリカードに記録する。
【0088】
また、記録画像生成部は、画像メモリ209から全画素データを読み出し、これらの画素データに2次元DCT変換、ハフマン符号化等のJPEG方式による所定の圧縮処理を施して圧縮画像の画像データを生成し、この圧縮画像データをメモリカードの画像エリアに記録する。
【0089】
全体制御部211は、撮影モードにおいて、シャッタボタン109により撮影が指示されると、撮影指示後に画像メモリ209に取り込まれた画像のサムネイル画像と、圧縮率設定スイッチで設定された圧縮率によりJPEG方式により圧縮された圧縮画像とを生成する。そして、撮影画像に関するタグ情報(コマ番号、露出値、シャッタスピード、圧縮率、撮影日、撮影時のフラッシュのオン/オフのデータ、シーン情報、画像の判定結果等の情報)と共に、生成した圧縮画像をメモリカードに記憶させる。
【0090】
デジタルカメラ100によって記録された画像の各コマは、タグの部分とJPEG形式で圧縮された高解像度の画像データ(1600×1200画素)とサムネイル表示用の画像データ(80×60画素)が記録されている。1コマ分の画像データの容量は約1MBとなっている。
【0091】
撮影/再生モード設定スイッチ120を再生モードに設定したときには、メモリカード内のコマ番号の最も大きな画像データが読み出され、再生画像生成部にてデータ伸張され、これがVRAM210に転送されることにより、LCD表示部110にはコマ番号の最も大きな画像、即ち、直近に撮影された画像が表示される。UPスイッチ111aを操作することにより、コマ番号の大きな画像が表示され、DOWNスイッチ111bを押すことによりコマ番号の小さな画像が表示される。
【0092】
(液晶表示素子の表示シーケンス)
次に、表示部非兼用タイプにおける液晶表示素子10上へのデータ表示のシーケンスの一例について説明する。
【0093】
(1) カード上の画像更新
メモリカードの例として、図9に示したメモリ部/表示部分離型でかつ駆動部内蔵型のメモリカード56を図19及び図20に再掲して説明する。前述のようにこのメモリカード56は従来の一般的なメモリカードと互換性がある。液晶表示素子10は、図19の列方向300画素、行方向400画素からなり、電極15,16もそれぞれ画素数に対応して設けられている。
【0094】
このようなメモリカード56は液晶表示素子10を無表示状態にしてユーザに提供される(図19参照)。以下に説明する制御手順は、ユーザがメモリカード56をデジタルカメラ100に装着の後、撮影するごとに液晶表示素子10上に撮影画像のサムネイルを更新するものとして説明する。
【0095】
即ち、図21のフローチャートに示すように、デジタルカメラ100を起動すると、まず、ステップS10でメモリカードの有無を判定する。もしカードが入っていないなら、ステップS11でカードなしの警告表示を行う。カードが入っているなら、ステップS12でメモリ性液晶付きメモリカードが入っているかどうかを判定する。メモリカードの種類は、カードに付与された属性(所定のアドレスに予め設定されているデータ)によって判別する。カードが入っていない場合、及び従来のメモリカードが入っている場合には(ステップS12でNO)、ステップS13で従来通りの通常のデジタルカメラの処理を行う。メモリ性液晶付きメモリカードが入っている場合には、ステップS14でデジタルカメラ用のフォーマットが必要かどうかを判定する。
【0096】
フォーマットが必要であれば、ステップS15でフォーマット処理を行う。ステップS15でのフォーマット処理においては、ユーザ確認の後フォーマット処理が開始され、フォーマット処理中は、全体制御部211がカードI/F212を介して液晶表示素子10への書き込み処理を行う。フォーマット完了後は、図20に示すように、液晶表示素子10に、サムネイル表示用の枠80、撮影済みコマ数82、カードの空き容量83が表示される。1コマのサムネイル画像のサイズが80×60mmであり、また、周囲の情報表示用の余白部分もあるので16コマのサムネイル画像の表示が可能である。なお、デジタルカメラの画像サイズやメモリカードの容量によっては、16コマ以上の撮影が可能な場合もある。そのときには、サムネイル画像のサイズを縮小して全部のコマを表示するか、あるいは、撮影時刻で判別して最近撮影した16コマ分のみを表示するようにする。
【0097】
フォーマットが不要であれば(ステップS14でNO)、ステップS16でデジタルカメラ100の状態がメモリ性液晶付きメモリカードの装着直後の状態かどうかを図示しないフラグにて判断する。このフラグはメモリカードなしの状態で0にリセットされており、メモリカード装着状態で1にセットされるので、このフラグの変化を検出することによって判別可能である。
【0098】
カード装着直後においては、カード装着時の押圧によって液晶表示素子の表示が乱れている可能性があるので、たとえ撮影しなくとも、ステップS17で液晶表示素子の表示を更新する。具体的には、メモリカードに記録されているサムネイル画像を読み出し、表示する処理を行う。その後、ステップS18で液晶表示素子に対する制御を行う。
【0099】
次に、図22のフローチャートを参照して前記ステップS18における液晶表示素子の制御手順を説明する。まず、ステップS21でカメラのモードを判別する。撮影モードであれば、ステップS22〜S24の処理を行う。即ち、ステップS22でシャッタボタン109が押されたか、つまり、S2状態になったかどうかを判定する。シャッタボタン109が押されれば、ステップS23で撮像画像データの画像処理とメモリカード56内のフラッシュメモリへの記録処理を行う。さらに、ステップS24で液晶表示素子10のサムネイル画像の更新を行う。即ち、図23に示すように、各コマの表示位置に、撮像画像のサムネイル画像85及びコマ番号81を表示する。同時に、撮影コマ数82及びメモリカード56の空き容量表示83も更新する。次に、ステップS25で撮影モードのその他の処理を行い、ステップS33に移行する。
【0100】
ところで、この液晶表示素子10は、前述の如く信号駆動回路22が列方向に配列した信号電極を駆動する構成になっているので、行単位でデータを書き込むことになる。従って、サムネイル画像の追加は、図23の矢印Yで示すように行方向に行うようにする。もし、サムネイル画像の追加を列方向(矢印と直交方向)に行うとすれば、例えば、2コマ目のサムネイル画像を追加する際に、再度1コマ目の画像を書き換える必要があり、表示に時間がかかる。
【0101】
なお、信号駆動回路22が行方向に配列した電極を駆動する構成になっているのであれば、サムネイル画像の追加を列方向に行うようにする。つまり、サムネイル画像の追加の方向を走査駆動回路21が駆動する電極の配列方向と一致させる。
【0102】
一方、再生モードにおいては、カメラのLCD表示部110において、撮影画像の一覧表示並びに、メモリカードのフォーマット、特定画像の削除が可能である。図24に再生モードにおける画面遷移の主要部分を示す。撮影モードから再生モードに切り換えた直後においては、コマ番号が一番大きな撮影済み画像が表示されており、操作キー111の所定操作によって、メニュー選択画面D1に移行する。
【0103】
画面D1においては、図示した四つのモードが選択可能であって、これらは4連キー123,124を押すことによってサイクリックに選択可能になっている。画面D1において、メモリカードのフォーマットを選択した状態で、実行キー111dを押すと、画面D2に遷移して“フォーマット中”の表示状態になり、メモリカードのフォーマットが完了すると、画面D1に戻る。
【0104】
さらに、撮像データ削除を選択して実行キー111dを押すと、画面D3に遷移して、撮像済み画像が一覧表示される。このとき、4連キー121〜124の操作によって、特定コマ画像が選択され、選択された画像の周囲には枠90が表示される。画面D3において、削除キー111dを押すとメモリカード内の特定コマの画像データを削除する。戻るキー111fを押すと、画面D1に戻る。
【0105】
図22に戻り、以上の操作をフローチャートで説明する。ステップS26で、メモリカードのフォーマットが指定されているかどうかを判定する。フォーマットが指定されており、フォーマットの実行が指示されたなら、ステップS27でメモリカードのフォーマット処理を行う。次に、ステップS28で液晶表示素子10の表示状態を更新し、サムネイル画像を全て消去した状態にする。
【0106】
撮像データの削除が指定された場合(ステップS29でYES)、ステップS30で指定されたコマの撮像データを削除し、ステップS31でサムネイル画像を更新する。即ち、第nコマ目のデータが削除されたなら、第n+1コマ目の撮像済み画像データを第nコマ目の画像として再登録し、第n+1コマ目の撮像済み画像データのサムネイル画像を第nコマ目に表示し直す。これらの処理をn+1コマ目以降の全ての画像データに対して行う。ステップS32では再生モードにおけるその他の処理を実行し、ステップS33へ移行する。
【0107】
ステップS33〜S35では、電源遮断処理を実行する。ステップS33で電源スイッチ112の操作によって電源オフの指示があったかどうかを判定する。電源オフ操作がない場合には、メインルーチンに戻る。電源オフ操作があった場合には、ステップS34でサムネイル画像の描画の完了を待って、ステップS35で電源遮断処理を実行する。これによって、サムネイル画像の更新途中で電源がオフになるという不都合を防止できる。
【0108】
(表示部兼用タイプ)
本発明に係るメモリカードには液晶表示部が設けられているので、該液晶表示部にメモリカードの記憶内容の表示と共にデジタルカメラの操作表示を兼用させることが考えられる。以下、この表示部兼用タイプのデジタルカメラに関して説明する。このカメラ100’の正面図と側面図については図14及び図16に示したとおりであり、背面図を図25に、底面図を図26に示す。符号は図14〜図17と共通に付し、重複した説明は省略する。なお、メモリカードは図9に示したもので代表するが、他のメモリカードを使用できることは勿論である。
【0109】
図25、図26において、カメラ本体部102の背面に設けた表示部支持体140にメモリカード56のためのカードスロット141及びコネクタ142を設置している。メモリカード56は表示部支持体140の下端面よりカメラ100’に装着することができる。表示部支持体140の背面側であって、メモリカード56の液晶表示素子10に対応する部分には、窓143が形成されている。従って、メモリカード56を装着したときには、液晶表示素子10の画面を視認することが可能であり、この状態でカメラ100’の表示部としても利用することができる。
【0110】
さらに、本デジタルカメラ100’では、本体部102にバックライトによって照射する従来のTFT液晶を用いたLCD表示部110も併せて備えるようにしている。このLCD表示部110は、液晶表示素子10で使用しているコレステリック液晶の応答性が比較的遅いため、動画表示を行う際に専ら使用する。LCDボタン311を押すことによってLCD表示部110の表示状態のオン/オフが切り換え可能である。なお、動画表示の画面更新が遅くてもいいのであれば、LCD表示部110は必ずしも設ける必要はない。LCD表示部110がない場合はLCDボタン311は不要である。
【0111】
次に、メモリ性液晶付きメモリカード56を、カメラの表示部として兼用した場合の動作シーケンスに関して説明する。
【0112】
(1)LCD表示部110を設けない場合。
この場合は、図18に示した制御回路において、VRAM210、LCD表示部110及びバックライト160は不要になる。特にバックライト160が不要になることによる消費電力の低減によって電池の寿命が延びる。
【0113】
電源投入後の処理は図21に示したフローチャートと同様であるが、メモリカードが挿入されていない場合には表示部が無いことになるので、ステップS11で処理されるカードなし警告表示においては、LED114の点滅により警告を行うようにする。また、フォーマット後のカードの表示部の表示状態は、図27に示すとおりであって、サムネイル表示用の枠80(図20参照)は表示されない。表示部兼用タイプにおいて、メモリカード56の液晶表示素子10にはサムネイル画像の他にも他の色々なカメラ情報が表示されるため、フォーマット時に一律にサムネイル枠80を表示するのは望ましくないからである。
【0114】
また、ステップS18における液晶表示素子の制御においては、図28及び図29に示すフローチャートに従って制御を行う。まず、ステップS51で、そのときのモード切り換えスイッチ120の状態を判別して、撮影モードのときには撮影モード処理(ステップS52)、再生モードのときには再生モード処理(ステップS53)を行う。なお、ステップS54〜S56の電源遮断処理は図22に示したステップS33〜S35での処理と同じである。
【0115】
次に、ステップS52で実行される撮影モード処理に関して図29を参照して説明する。まず、ステップS61で液晶表示素子10の画面を図30に示す撮影モード画面に更新する。図30において、点線部分はカメラ本体部102に装填されているメモリカード56を表している。また、82は撮影済みコマ数であり、83はメモリカードの空き容量を示す。87はステータスラインであって、照度不足等の各種警告表示を行う。88,89,90はそれぞれ直下のキーに対応したカメラ100’の状態を表すラベルであり、ラベル88直下のキー111dを押すことによって、1コマ撮影と連写及びインターバル撮影が可能である。また、ラベル89直下のキー111eを押すことによって、フラッシュ105のモードを切り換えることができる。ラベル90直下のキー111fはライブビュー表示エリア91,92の大小を切り換えるものである。
【0116】
ライブビュー表示エリア91,92は、91で示す小サイズと92で示す大サイズの二つに切り換えることが可能である。小サイズのときには、表示に使用する画素数が少ないので画面の広いエリアの書き換えが不要であり、液晶表示素子10の画面更新間隔を短くすることができる。一方、大サイズのときには、画面更新間隔がやや長くなるが、表示に使用する画素数が多いために被写体の詳細を確認できる。このように、ライブビュー表示エリアの大小を用途によって使い分けることにより操作性と視認性とを両立させることができる。
【0117】
図29に戻って、ステップS62でシャッタボタン109がS1(半押し)状態かどうかを判定する。もしS1状態でないなら、ステップS63で液晶表示素子10の画面の描画中かどうかを判定する。画面描画中でないなら、ステップS71でその他のキー操作があるかどうかを判定し、もし、その他のキー操作がないなら、全体制御部211はステップS73で撮像部103に対して通電し、ステップS74でライブビュー用の画像の撮像を指示する。その後、ステップS75で画像データを画像メモリ209に取り込み、画像データの取り込み完了を待って、ステップS76で撮像部103への通電を遮断する。次に、ステップS77で画像メモリ209内の画像データを用いて液晶表示素子10にライブビュー画像データの描画を開始し、ステップS62に戻る。
【0118】
一方、描画が完了した段階で、その他のキー操作がない限り(ステップS71でNO)、ステップS74で次のライブビュー画像の撮像が行われる。このように、液晶表示素子10の画面更新をトリガーにして、撮像部103に対してライブビュー画像の撮像指示を行うことによって、ライブビュー画像の描画中にはCCD303の電源をオフにすることが可能となり、より一層省電力化が可能になる。なお、次のライブビュー画像の撮像のトリガーは、ステップS63で描画の完了を最後まで待つことなく、描画完了を見込んだ完了よりも少し早い目のタイミングであってもよい。
【0119】
前記制御手順では、ステップS63でNOのときにステップS71へ移行する。つまり、液晶表示素子10への画像描画中にはキー操作を受け付けないように構成されている。そのため、キー操作をその都度受け付けて、その都度一から描画をし直す、つまり、表示の更新に時間を費やすという事態を防止できるので、操作性が極めて高くなる。
【0120】
さて、シャッタボタン109がS1状態になると(ステップS62でYES)、ステップS64で撮像部103に通電し、ステップS65でAF処理及びAE処理を実行する。その後、ステップS66でシャッタボタン109がS2(押し込み)状態になったと判定すると、ステップS68でCCD303で撮像した画像データを取り込み処理の後、ステップS69でメモリカード56のフラッシュメモリに画像データを書き込み、ステップS70で撮像部103の通電をオフし、ステップS71へ移行する。
【0121】
一方、シャッタボタン109がS2状態にならないときは(ステップS66でNO)、ステップS67でS1状態かどうかを判定し、S1状態であれば再度ステップS65へ戻り、S1状態でなければステップS70で撮像部103への通電をオフし、ステップS71へ移行する。
【0122】
このように液晶表示素子10への画像描画中には、キー操作を受け付けないように構成されているものの、S1状態であるときのみは受け付けるように構成されているので、シャッターチャンスを逃すことがない。
【0123】
ステップS71でその他のキー操作があったと判定したときは、ステップS72で操作されたキーに応じた処理を実行する。例えば、再生モードへの切り換え処理が行われたなら、以下に説明する再生モード処理を実行する。
【0124】
ここで、再生モード処理の制御手順について図31を参照して説明する。まず、ステップS81で撮影モードからの変更があったかどうかを判定する。該変更があれば、ステップS82で所定時間操作がないかどうかの判別に使用するタイマT1をリセットし、ステップS83〜S85で画面を再生モード時の画面に書き換える処理を行う。
【0125】
即ち、ステップS83でコマ番号の最も大きな画像データをメモリカード56のフラッシュメモリから取り込み、ステップS84で液晶表示素子10の表示状態を更新する。ここでの更新画面は図32に示すとおりであり、図32において図30と同じ符号を付与したものは同じ内容を示す。新たな表示として、94は削除のラベルであり、このラベル94直下のキー111dが削除キーであることを示す。95は1コマ表示のラベルであり、このラベル95直下のキー111eが1コマ表示/サムネイル表示の切り換えキーであることを示す。また、87はステータス表示であるが、必要に応じて表示されている画像のファイル名、撮影日時を表示してもよい。91,92は、撮影済みの画像が表示されるエリアであり、ラベル90直下のキー111fを押すことによって撮影モードと同様に表示サイズを変更できる。
【0126】
このように、撮影モードと再生モードとで表示状態の遷移があっても、表示内容の一部(撮影済みコマ数82、空き容量83等)の共通化を図っているので、画面全面を書き換える必要がなく、表示更新時間を短くできる。
【0127】
図31に戻って、ステップS85では液晶表示素子10の表示状態を全体制御部211内のワークメモリに一時記憶する。理由は後述する。一時記憶のフォーマットは次のようになっている。
【0128】
ステータスラインに表示するコード:ファイル名、撮影日時、その他
表示コマ番号:表示されているコマの番号
キーに対応した表示状態:90,94,95の内容
【0129】
次に、ステップS86で表示コマの切り換えの処理があったかどうかを判定し、ステップS87で前記タイマT1をリセットする。表示コマの切り換えは4連スイッチ121を押すと一つ前のコマ番号の画像データを液晶表示素子10に取り込んで表示し、スイッチ122を押すと一つ後のコマ番号の画像データを取り込んで表示する。即ち、ステップS88,S89では画像データの取り込み、表示更新を処理し、ステップS90では表示状態を前述したワークメモリに上書き記憶する。
【0130】
次に、ステップS91では画像表示サイズの切り換えがあったかどうかを判定する。画像表示サイズの切り換えがあると、ステップS92で前記タイマT1をリセットし、ステップS93で表示コマ画像データを再度取り込み、ステップS94で指定されたサイズで表示する。次いで、ステップS95で液晶表示素子10の表示状態を前述したワークメモリに上書き記憶する。
【0131】
さらに、ステップS96でその他のキー操作が確認されると、ステップS97で前記タイマT1をリセットし、ステップS98でキー操作に応じたそれぞれの処理を実行する。必要であれば液晶表示素子10の表示状態を更新、記憶し、元のルーチンに戻る。
【0132】
一方、ステップS96でNOのとき、即ち、キー操作が何もなされないときには、ステップS99で前記タイマT1をカウントアップし、ステップS100で該タイマT1のカウント値に基づいて所定時間(例えば5分)操作がないことを確認のうえ、ステップS101で現在の液晶表示素子10の表示状態を前記ワークメモリから読み出し、それに従ってステップS102で液晶表示素子10の表示状態を更新し、ステップS103で前記タイマT1をリセットする。
【0133】
ところで、ステップS102で液晶表示素子10の表示状態を更新するのは、次の理由による。本実施形態で使用しているコレステリック液晶は、表示を継続しているときには電力を消費しないという利点があり、それ故に、何も操作がなされないと、同じ表示状態が長時間継続することになる。その間、表示画面に外圧が加わった場合にはその部分の液晶の状態が一部変化し、表示されている画像が見苦しくなる可能性がある。一定時間ごとに、例えば、5分間隔で表示を更新させることによってこのような事態を修復する。
【0134】
なお、ステップS96,S100における操作とは再生モードから撮影モードへの切り換え操作も含まれている。再生モードから撮影モードへの変更はステップS98で行われるが、このときには前記ワークメモリをクリアする。
【0135】
(2)表示部110を設ける場合
これは、撮影モードにおけるライブビュー表示のみを従来のTFT液晶とバックライトを用いた表示部110で行うものである。再生モードにおける制御手順は図31と同じであり、撮影モードにおける制御手順は図33に示す。
【0136】
再生モードから撮影モードに切り換えられた場合には、まず、ステップS111で液晶表示素子10の表示を更新し、図34に示すようなサムネイル表示にする。このサムネイル表示は図23と同様に、撮影される度に撮影画像のサムネイル画像を液晶画面に追加していく。図34においては図23及び図30と同じ機能を示す部分には同じ符号を付与し、その説明は省略する。
【0137】
この撮影モードにおいては、ライブビュー画像をバックライト付きTFT液晶で構成されている表示部110に表示することから、ステップS112で撮像部103をオンし、所定間隔ごとにライブビュー画像の撮像を行う。即ち、ステップS113でシャッタボタン109がS1(半押し)状態かどうかを判定する。S1状態でないなら、ステップS119でその他のキー操作があることを確認すると(例えば、再生モードへの切り換え)、ステップS120でキー操作に応じた処理を実行し、メインルーチンへ戻る。
【0138】
その他のキー操作がなければ(ステップS119でNO)、ステップS121でライブビュー撮像を指示し、ステップS122でライブビュー画像データを画像メモリ209へ取り込み、ステップS123でLCD表示部110に表示し、ステップS113へ戻る。
【0139】
ステップS113でYES、即ち、シャッタボタン109がS1状態になると、ステップS114でAF、AE処理を実行し、ステップS115でシャッタボタン109がS2(押し込み)状態になるのを待って、ステップS116で撮像された画像データを取り込んで画像処理を実行し、該データを画像メモリ209へ格納し、ステップS117でメモリカード56のフラッシュメモリに記録する。次に、ステップS118で撮影した画像データのサムネイル画像を液晶表示素子10に表示する。
【0140】
(エラー処理)
エラー一覧
メモリ性液晶付きメモリカードを使用するうえにおいても、従来のメモリカードと同様に、何らかの原因でフラッシュメモリへのデータの書き込みや読み出しが不可能になる場合がある。主要なエラーとその原因を以下の表に掲載する。
【0141】
本実施形態のメモリカードにおいては、メモリ性を有する液晶表示部を備えているため、該表示部上にエラーコードを表示し、その原因を使用者に示すことが可能である。さらに、エラーコードのみならず原因と対策を表示することも可能である。
【0142】
【表1】
【0143】
前述したエラー処理に対応するべく、本発明に係るメモリカードのタイミングコントローラ70は、図35に示すように、タイミング信号発生部701、エラー検出部702、エラー表示データ703、キャパシタ704、メモリ管理部705から構成される。
【0144】
(メモリカードへの書き込みエラー1)
タイミング信号発生部701は、全体制御部211の指示に従って、液晶表示素子10の表示とフラッシュメモリへの書き込み処理を実行する。全体制御部211は、実際にフラッシュメモリへデータを書き込む際には確かに所定のデータが書き込まれたかどうかを確認するようになっている。もし確認作業において、不整合が発生したなら、タイミング信号発生部701を介して、エラー検出部702にフラッシュメモリへの書き込みエラー1の発生を伝える。これによって、エラー検出部702は、エラー表示データ703中のエラー1に該当する表示データをタイミング信号発生部701に返し、該表示データは液晶表示素子10の適当な場所に表示される。
【0145】
(メモリカードへの書き込みエラー2)
メモリ管理部705には、現在の空き容量や撮影済みコマ数のデータが格納されているフラッシュメモリを備えている。全体制御部211は、実際にフラッシュメモリへデータを書き込む際には1024ビット単位でデータを書き込んでいくが、残り容量が1024ビットを割った段階で、タイミング信号発生部701を介して、エラー検出部702にフラッシュメモリへの書き込みエラー2の発生を伝える。これによって、エラー検出部702は、エラー表示データ703中のエラー2に該当する表示データをタイミング信号発生部701に返し、該表示データは液晶表示素子10の適当な場所に表示される。
【0146】
(メモリカードからの読み出しエラー1)
次に、フラッシュメモリからのデータの読み出しの際には、全体制御部211がデータを読み出すフラッシュメモリのアドレスを指定し、タイミング信号発生部701が出力する読み出しタイミング信号に基づいてデータを読み出す。このとき、メモリの特定アドレスに対して読み出し可能にならない場合、エラー検出部702は、エラー表示データ703中のエラー3に該当する表示データをタイミング信号発生部701に返し、該表示データは液晶表示素子10の適当な場所に表示される。
【0147】
(メモリカードからの読み出しエラー2)
前述の如く、フラッシュメモリからのデータの読み出しの際には、全体制御部211がデータを読み出すフラッシュメモリのアドレスを指定し、タイミング信号発生部701が出力する読み出しタイミング信号に基づいてデータを読み出す。この際にチェックサムを見て、データの不整合があるなら、書き込み時に何らかのデータ不整合が発生していたと考えられるので、エラー検出部702は、エラー表示データ703中のエラー4に該当する表示データをタイミング信号発生部701に返し、該表示データは液晶表示素子10の適当な場所に表示される。
【0148】
(不作動1)
以上のエラーチェック処理は、全体制御部211の内部ルーチンに組み込まれているものであり、もし、全体制御部211自身が暴走して停止した場合(エラーによってはシステムの保護のため電源を遮断する場合もある)には用をなさない。メモリカードがアクセス中に抜かれた場合も同様である。
【0149】
従って、メモリカードには、約300マイクロファラッド程度の容量のキャパシタ704を備えており、全体制御部211が暴走したときにはキャパシタ704に蓄電された電力をもってエラー表示を行う。
【0150】
エラー検出部702は全体制御部211とタイミング信号発生部701との間で交換されるコントロールバス上の信号を監視している。もし、タイミングクロックが停止したり、タイミングクロックは動作しているものコントロールバス上のメモリアクセス信号が不意に停止した場合には、全体制御部211が暴走した、あるいはメモリカードがアクセス中に抜かれたものと判断し、エラー表示データ703中のエラー5に該当する表示データをタイミング信号発生部701に返し、該表示データは液晶表示素子10の適当な場所に表示される。
【0151】
このように、液晶表示素子10のメモリ性を活用して、電源が断たれた状態でもエラー表示を継続できるので、システムの保護とエラーに対する対応のしやすさとを両立できるという効果がある。
【0152】
(他の実施形態)
なお、本発明に係るデータ記憶媒体は前記実施形態に限定するものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更することができる。
【0153】
例えば、前記実施形態では記憶媒体としてメモリカードを例示したが、図36に符号190で示す光磁気ディスクやフロッピーディスクの筺体191の表面に液晶表示素子10を取り付けるようにしてもよい。従来品との互換性を維持するためには、先端部に電気的接点195を設け、この接点195を使って表示用のデータや電力を供給するようにする。また、筺体191には図9に示したメモリカード56と同様に、液晶表示素子10を貼着するための凹所192及び素子10の電極26と接着する電極193が設けられている。
【0154】
さらに、図36に示すディスク190では筺体191の両面にそれぞれ液晶表示素子10を貼り付けるようにしている。可能であれば側面に貼り付けてもよい。前記メモリカード56に複数の液晶表示素子10を貼着することも可能である。また、液晶としてはメモリ性を有するものであれば強誘電性液晶等種々のものを用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るデータ記憶媒体に取り付けられる液晶表示素子の一例を示す断面図。
【図2】液晶表示素子の基板上に柱状構造物及びシール材を形成した状態を示す平面図。
【図3】液晶表示素子の駆動回路を示すブロック図。
【図4】液晶表示素子の駆動方法を示す説明図。
【図5】本発明の一実施形態であるメモリカードを示す斜視図。
【図6】図5に示したメモリカードの回路構成を示すブロック図。
【図7】本発明の他の実施形態であるメモリカードを示す斜視図。
【図8】図7に示したメモリカードの回路構成を示すブロック図。
【図9】本発明のさらに他の実施形態であるメモリカードを示す斜視図。
【図10】本発明のさらに他の実施形態であるメモリカードを示す斜視図。
【図11】図10に示したメモリカードの断面図。
【図12】図9及び図10に示したメモリカードの回路構成を示すブロック図。
【図13】液晶表示素子の駆動回路を示すブロック図。
【図14】デジタルカメラの第1例を示す正面図。
【図15】前記デジタルカメラの背面図。
【図16】前記デジタルカメラの側面図。
【図17】前記デジタルカメラの底面図。
【図18】前記デジタルカメラの制御回路を示すブロック図。
【図19】液晶表示素子のフォーマット処理前を示す説明図。
【図20】液晶表示素子のフォーマット処理の一例を示す説明図。
【図21】前記デジタルカメラにおける起動時の制御手順を示すフローチャート図。
【図22】液晶表示素子の制御手順を示すフローチャート図。
【図23】液晶表示素子のサムネイル表示を示す説明図。
【図24】前記デジタルカメラに設置されているLCD表示部の表示例を示す説明図。
【図25】デジタルカメラの第2例を示す背面図。
【図26】図25に示したデジタルカメラの底面図。
【図27】液晶表示素子のフォーマット処理の他の例を示す説明図。
【図28】第2例のデジタルカメラにおける液晶表示素子の制御手順を示すフローチャート図。
【図29】第2例のデジタルカメラにおける撮影モード処理の制御手順を示すフローチャート図。
【図30】液晶表示素子の他の表示例を示す説明図。
【図31】第2例のデジタルカメラにおける再生モード処理の制御手順を示すフローチャート図。
【図32】液晶表示素子の他の表示例を示す説明図。
【図33】第2例のデジタルカメラにおける撮影モード処理の他の制御手順を示すフローチャート図。
【図34】液晶表示素子の他の表示例を示す説明図。
【図35】タイミングコントローラの構成を示すブロック図。
【図36】本発明のさらに他の実施形態であるデータ記憶媒体を示す斜視図。
【符号の説明】
10…液晶表示素子
25a…窪み
26…入力電極
40,50,56,60…メモリカード
41,57,61…筺体
43,44…フラッシュメモリ
46…コネクタ
52…アダプタ
58,92…凹所
58a…膨出部
59,193…出力電極
62…スロット
63…窓
70…タイミングコントローラ
100,100’…デジタルカメラ
211…全体制御部
704…キャパシタ
190…データ記憶媒体
191…筺体
195…接点
Claims (9)
- 画像データ記憶手段と、該画像データ記憶手段にデータを入出力するための入出力コネクタと、メモリ性を有する液晶を用いて表示画面を構成した表示手段とを備え、
前記入出力コネクタは、デジタルカメラに設けられた表示手段を有しない記憶媒体が装着可能なコネクタに装着可能であり、
前記入出力コネクタは、前記画像データ記憶手段にデータを入出力すると共に、画像データ記憶手段に記憶された画像データを表示するために前記表示手段を駆動する駆動信号をも入力されること、
を特徴とするデータ記憶媒体。 - 前記画像データ記憶手段に対するデータの書き込み処理あるいは読み出し処理にエラーが発生したとき、該エラー発生を前記表示手段に表示させる制御手段を備えたことを特徴とする請求項1記載のデータ記憶媒体。
- さらに、キャパシタを備え、前記エラー発生の表示時には前記キャパシタから前記表示手段に電力を供給することを特徴とする請求項2記載のデータ記憶媒体。
- 前記表示手段はデータ記憶媒体の筐体の表面に着脱可能に設けられ、
前記筐体の表面には前記表示手段に駆動信号を出力する出力電極が設けられ、
前記表示手段の裏面には該表示手段の着脱に伴って前記出力電極と接離する入力電極が設けられていること、
を特徴とする請求項1記載のデータ記憶媒体。 - データ記憶媒体の筐体の表面に形成した凹所に前記表示手段が取り付けられていること、
を特徴とする請求項1記載のデータ記憶媒体。 - 前記表示手段はデータ記憶媒体の筐体の所定位置に着脱可能であると共に、筐体の所定位置に対して表示手段の上下及び左右が一致したときにのみ装着可能であること、
を特徴とする請求項1記載のデータ記憶媒体。 - 前記表示手段はデータ記憶媒体の筐体の複数の表面に取り付けられていること、
を特徴とする請求項1記載のデータ記憶媒体。 - データ記憶媒体の筐体には前記表示手段の挿入部と表示用窓部とが形成されていること、
を特徴とする請求項1記載のデータ記憶媒体。 - 前記表示手段の駆動手段はデジタルカメラより画像を表示するときのアドレスを指定されることを特徴とする請求項1記載のデータ記憶媒体。
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