JP3567648B2 - ブロー成形品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スチレン系樹脂組成物からなるブロー成形品に関するものである。更に詳しくは、本発明は、ドローダウン性などの加工性、押出特性に優れ、また、偏肉性に優れ、しかも、衝撃強度などの機械的強度及び耐熱性を維持した、スチレン系樹脂組成物からなるブロー成形品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ブロー成形法は、特に、熱可塑性樹脂によるプラスチックス容器の製造方法として広く普及しており、中でも、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)は、それぞれの有する特徴を生かして、食品・飲料、洗剤・洗髪剤、薬品、工業用などの容器として各種用いられている。
一方、スチレン系樹脂は、上記の熱可塑性樹脂に比べ耐衝撃強度に劣るため、ブロー成形法によるプラスチック容器にはさほど用いられていない。しかし、スチレン系樹脂は、剛性が高く、寸法安定性に優れ、かつ、廉価であることから、一部の1ウエィ容器などに用いられてきている。
【0003】
また、近年、容器に限らず、スポイラー等の自動車部品、業務用ゲーム機器などの枠体等の大型成形品の分野においてもブロー成形が行なわれており、この分野では、通常、容器の性能として求められる透明性が必要ではないため、衝撃強度の高い、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)や、ゴム変性ポリスチレン(HIPS)などのゴム変性スチレン系樹脂が用いられている。
【0004】
ブロー成形法は、溶融あるいは軟化樹脂のパリソンを圧縮ガスを吹き込んで金型内面壁まで膨らませるという工程からなり、出来上がった成形品に偏肉(厚みムラ)が生じ、成形品の一部に薄肉部が生じることがあり、成形品の強度を維持するため偏肉を出来るだけ小さくする要求があった。
【0005】
かかる要求に応える試みとして、マトリクスのスチレン系樹脂の分子量を上げる方法が考えられるが、この方法では樹脂の流動性が低下するため、樹脂を押し出しにくくなり、押し出させるために樹脂温度を上昇させるという手段が取られる。しかしながら、その場合、冷却時間が長くなり、成形サイクルが長くなるという問題点があった。
また、成形品の偏肉を小さくするその他の方法としては、例えば配合ゴムの分子量を上げる方法、配合ゴム量を増加させる方法が考えられるが、いずれもコストアップにつながり、また、配合ゴム量を増加させた場合、スチレン系樹脂の特徴の一つである剛性が低下してしまうといった問題があった。
【0006】
また、押出機を出た樹脂がその樹脂の自重によって容易に垂れ下がってしまう(ドローダウン性に劣る)と、目標の厚みの成形品を得ることができないという問題もあり、特に大型の成形品を成形する場合にその問題は顕著になる。その場合、樹脂温度を低下させる方法が取られるが、樹脂を押出しにくくなり、特に大型成形品の場合、成形が非常に困難になるといった問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ドローダウン性などの加工性、押出特性に優れ、また、偏肉性に優れ、しかも、衝撃強度などの機械的強度及び耐熱性を維持した、スチレン系樹脂組成物からなるブロー成形品を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、160℃における伸長粘度の立ち上がり度が0.35以上であり、かつ、200℃、荷重5kgfにおけるメルトフローレートが1.5〜10g/10分であるスチレン系樹脂(A)30〜90重量%、及び200℃、荷重5kgfにおけるメルトフローレートが1〜10g/10分であるゴム変性スチレン系樹脂(B)70〜10重量%を含む、スチレン系樹脂組成物からなることを特徴とするブロー成形品である。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明で用いるスチレン系樹脂(A)は、160℃における伸長粘度の立ち上がり度が0.35以上、好ましくは0.4〜0.8である。該伸長粘度の立ち上がり度が0.35未満の場合、偏肉性、ドローダウン性に劣る。
【0010】
ここで、伸長粘度の立ち上がり度とは、図1に示すような、伸長レオメータによって測定された伸長粘度の時間依存性において、歪み速度に依存せず緩やかに伸長粘度が上昇する領域(線形領域)からはずれて、ある時間から伸長粘度が急激に上昇する領域(非線形領域)での伸長粘度の上昇の程度を表す指標であり、次のように測定される。
すなわち、Rheometric Scientific(レオメトリク・サイエンティフィック)社製、伸長粘度レオメータ(RME)を用いて、測定温度160℃で、歪み速度を0.01〜1(1/s)の間で変化させた場合の伸長粘度の時間依存性を測定する。伸長粘度が急激に立ち上がる時間をt1 とした場合の、低歪み速度で微小変形(t<t1 )での粘度をλ1 とし、高歪み速度で大変形(t>t1 )での粘度をλexp とする。両者の比をλn =λexp /λ1 とすると、この値が伸長粘度の急激に上昇する程度を表わす指標となり、λn の対数(LNλn )を伸長歪みに対してプロットすると図2に示すようになり、伸長歪み約1以上では歪み速度に依存せず一本の直線となる。この傾きを伸長粘度の立ち上がり度として求める。
図1は伸長粘度の時間依存性を示すグラフであり、図2は伸長歪みとλn の対数(LNλn )の関係を示すグラフである。
【0011】
上記の伸長粘度の立ち上がり度及びその測定方法は、例えば、小山清人、日本レオロジー学会誌、Vol.19、174〜180頁(1991年)に詳細に記載されている。
【0012】
また、本発明で用いるスチレン系樹脂(A)は、200℃、荷重5kgfにおけるメルトフローレート(MFR)が1.5〜10g/10分、好ましくは1.5〜8g/10分、さらに好ましくは2〜6g/10分である。該MFRが1.5g/10分未満であると、押出特性に劣り、10g/10分を越えるとドローダウン性に劣る。ここで、MFRの値は、JIS K7210に準拠して測定した値である。
【0013】
本発明で用いるスチレン系樹脂(A)は、ポリマー成分としてスチレン系共重合体を含む。該スチレン系共重合体を構成する単量体であるスチレン系化合物としては、例えばスチレン、α−メチルスチレンなどのα−置換アルキルスチレン、p−メチルスチレンなどの核置換アルキルスチレンなどが挙げられる。
【0014】
また、本発明で用いるスチレン系樹脂は、上記のスチレン系化合物と共に、該スチレン系化合物と共重合可能な化合物、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル、メタクリル酸、メタクリル酸メチルなどのエステル誘導体などのビニルモノマー、更には無水マレイン酸、マレイミド、核置換マレイミドなどを併用してもよい。
【0015】
本発明で用いるスチレン系樹脂(A)は、Z平均分子量における分岐点の数が1〜20であるスチレン系共重合体が好ましい。
このようなスチレン系樹脂を得る方法としては、例えばスチレン系化合物と、二個以上のビニル基を含有する化合物を、スチレン系化合物に対して、100〜1000重量ppmを混合させ、重合する方法があり、特開平7−166013号公報に開示されている。
【0016】
ここで、Z平均分子量における分岐点の数とは、ある分子量分布を有するスチレン系樹脂の高分子量成分を代表する分子鎖中に含まれる分岐点の数に相当する概念であり、下記の方法によって求められる。すなわち、検出器として示差屈折率計及び粘度計を備えたゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)を用いて、粘度−GPC法により求めることができ、詳細には、日本ゴム協会誌、第45巻、第2号、105〜118頁(1972年)に記載されている。分子量Mにおける分岐点の数(Bn(M))は下式により求める。
【0017】
〔IV(M)/IVL (M)〕2/3
=〔(1+Bn(M)/7)1/2 +4/9・Bn(M)〕−1/2
ここで、IV(M)、IVL (M)はそれぞれ、粘度−GPC法によって測定した試料及び標準試料としての直鎖状ポリスチレンの分子量Mでの極限粘度である。
【0018】
また、本発明で用いるスチレン系樹脂(A)は、重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの比(Mw/Mn)が好ましくは2.4〜5、さらに好ましくは2.5〜4である。
ここで、Mw/Mnは一般的に分子量分布の広さを表す指標である。
【0019】
広分子量分布のスチレン系樹脂を得る方法としては、例えば高分子量のスチレン系樹脂と低分子量のスチレン系樹脂をブレンドしたり、又は多段重合法を用いることにより広分子量分布のスチレン系樹脂とする方法があり、特公昭57−30843号公報及び特公昭62−61231号公報等に開示されている。
【0020】
また、広分子量分布のスチレン系樹脂を得るその他の方法としては、次の方法がある。すなわち、スチレン系単量体を懸濁重合、回分式塊状重合または押出流れ型の連続重合装置で塊状重合を行なって、スチレン系樹脂を製造する方法において、ジチオカルバメート基を有する化合物、アリール基を有するスルフィド化合物、アリールアルキル基を有するスルフィド化合物及びチアゾール基を有するスルフィド化合物の中から選ばれる少なくとも一種類の化合物を、該単量体に対して50〜5000重量ppm添加して、重合温度が110〜180℃の範囲で、最終転化率が40重量%以上になるまで重合する方法である。
【0021】
本発明で用いるゴム変性スチレン系樹脂(B)は、200℃、荷重5kgfにおけるMFRが、1〜10g/10分、好ましくは2〜5g/10分である。該MFRが1g/10分未満であると押出特性に劣り、10g/10分を超えるとドローダウン性に劣る。
【0022】
本発明で用いるゴム変性スチレン系樹脂(B)の分散ゴム粒子(ゲル粒子)の平均粒子径は、0.2〜5μmが好ましい。
【0023】
本発明で用いるゴム変性スチレン系樹脂(B)の膨潤度は通常3〜30、好ましくは8〜20が好ましい。
ここで、膨潤度とは、分散ゴム(ゲル)粒子の硬さを示す指標であり、以下の方法により測定することができる。すなわち、トルエン50mlに、ゴム変性スチレン系樹脂組成物1gを溶解させ、遠心分離機(10000rpm×30分間)にかけ、不溶分を分離する。上澄み液を捨て、 不溶分を秤量し、その重量をaとする。次に、該不溶分を真空乾燥機にて乾燥(70℃×3時間)し、乾燥後の重量をbとする。膨潤度は(a−b)/b×100により求められる。
【0024】
ゴム変性スチレン系樹脂(B)の製造方法は、特に限定されるものではなく、従来のゴム変性スチレン系樹脂の製造方法が挙げられる。ゴム変性スチレン系樹脂(B)は、例えばゴム状重合体の存在下で、スチレン系単量体を塊状重合することで製造できる。塊状重合方法は特に制限されるものはなく、例えば撹拌器を有する容器に、単量体であるスチレン系化合物及びゴム状重合体を仕込み、撹拌しながら重合させる方法が挙げられる。なお、重合温度は通常50〜250℃、好ましくは90〜150℃、圧力は通常常圧付近である。
ゴム変性スチレン系樹脂(B)に用いるゴム状重合体としては、例えばポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体類、エチレン−プロピレン−非共役ジエンの三元共重合体類が好ましい。ポリブタジエンとしては、シス含有率の高いハイシスポリブタジエン及びシス含有量の低いローシスポリブタジエンのいずれも使用できる。
【0025】
本発明で用いるゴム変性スチレン系樹脂(B)のゴム状重合体の含有量はスチレン系単量体100重量部に対し、3〜20重量部が好ましい。
【0026】
スチレン系樹脂(A)及びゴム変性スチレン系樹脂(B)は、必要に応じて、滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、顔料、染料、スチレン−ブタジエンブロック共重合体などのエラストマーなどを添加して用いてもよく、更に本発明の効果を損なわない範囲内において、ミネラルオイルなどの可塑剤を含ませてもよい。
【0027】
本発明で用いるスチレン系樹脂(A)またはスチレン系樹脂組成物は、スチレン系樹脂(A)を30〜90重量%、ゴム変性スチレン系樹脂(B)を70〜10重量%含有する。
スチレン系樹脂(A)の割合が30重量%未満であったり、ゴム変性スチレン系樹脂(B)の割合が70重量%を越えたりすると偏肉性、ドローダウン性に劣る。
【0028】
本発明のブロー成形品は、スチレン系樹脂(A)とゴム変性スチレン系樹脂(B)とを、本発明の範囲でブレンドしたものが用いられるが、そのブレンド方法には制限がなく、スチレン系樹脂(A)のペレットとゴム変性スチレン系樹脂(B)のペレットとをよく混合し、押出機により再造粒する方法、あるいは、スチレン系樹脂(A)のペレットとゴム変性スチレン系樹脂(B)のペレットとをよく混合したものを、ブロー成形機に投入し、ブロー成形する方法のいずれの方法でもよい。
【0029】
本発明は、上記スチレン系樹脂組成物を用いて、ブロー成形品とする方法は特に制限されるものはなく、例えば上記スチレン系樹脂組成物をダイレクトブロー成形することより得られるブロー成形品や上記スチレン系樹脂組成物を射出延伸ブロー成形することより得られるブロー成形品が挙げられる。
【0030】
ここで、ダイレクトブロー成形法とは、押出機から押し出されたチューブ状の溶融パリソンを金型内にセットし、成形温度に保持の上、圧縮ガスを吹き込んで金型内面壁まで膨らませた後、冷却を経て成形品を取り出す成形方法である。
【0031】
射出延伸ブロー成形法とは、射出成形などで得られた有底パリソンを加熱軟化させ、金型内にセットし、成形温度に保持の上、ロッドで縦延伸させた後、圧縮ガスを吹き込んで金型内面壁まで膨らませ、冷却を経て成形品を取り出す成形方法である。
上記のブロー成形法の詳細については、例えば(株)プラスチックエージ編、吉川真价監修「プラスチック成形加工講座ブロー成形」(1970年)に記載されている。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明によれば、ドローダウン性などの加工性、押出特性に優れ、また、偏肉性に優れ、しかも、衝撃強度などの機械的強度及び耐熱性を維持した、スチレン系樹脂組成物からなるブロー成形品を提供することができる。
【0033】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
【0034】
なお、評価項目のうち、上記した項目以外の項目は以下のとおり実施した。
(1)伸長粘度の立ち上がり度
スチレン系樹脂(A)のペレットを用い、200℃にてプレス成形した、150mm×150mm×2mmの平板を、7mm×70mm×2mmに切り出したものをサンプルとして用い、Rheometric Scientific(レオメトリク・サイエンティフィック)社製、伸長粘度レオメータ(RME)を用いて、160℃にて、歪み速度0.1mm/s、0.5mm/s及び1.0mm/sの伸長粘度の時間依存性を測定した。次に、歪み速度0.5mm/s及び1.0mm/sの伸長粘度と、歪み速度0.1mm/sの伸長粘度の比の対数を伸長歪みに対してそれぞれプロットし、各プロットの伸長歪み1〜2.5の間の傾きの値を回帰直線近似法により求め、その平均値を伸長粘度の立ち上がり度として求めた。
【0035】
(2)ドローダウン性
(株)日本製鋼所製NB3B型ダイレクトブロー成形機(スクリュー径50mm)を用いて、シリンダ温度210℃、押出量10kg/hにて、ダイス径26mm、コア径25mmのダイスから溶融樹脂(パリソン)を押し出した際の、押出開始からパリソンが床面へ到達するまでの時間を測定した。該値が大きいほどドローダウン性が良好であることを示す。
【0036】
(3)押出特性
上記のようにパリソンを押し出した際の、モーター負荷を成形機に内蔵されている電流計により測定した。該値が低いほど押出特性に優れることを示す。
【0037】
(4)偏肉性
(株)日本製鋼所製NB3B型ダイレクトブロー成形機(スクリュー径=50mm、ダイス径/コア径=26/25mm)及び丸ボトル金型(径72mm×高さ 164mm)を用いて、シリンダ温度210℃、押出量10kg/h、エア吹き込み10sec、排気3secの条件でダイレクトブロー成形した成形品の、底から80mmの箇所のボトル周りの厚み分布を10mm間隔で測定し、その平均厚みと最大値と最小値の差を求め、以下の式により偏肉性を求めた。該値が小さいほど、偏肉性に優れることを示す。
偏肉性(%)=〔(最大厚み)−(最小厚み)〕×100/平均厚み
【0038】
(5)衝撃強度(亀裂発生エネルギー)
上記のようにして得られたブロー成形品の側面を切り出し、東洋精機社製 落錘試験機を用いて、亀裂発生エネルギーを測定した。
【0039】
(6)耐熱性(ビカット軟化点)
上記のようにして得られたブロー成形品の一部を切り出し、JIS K6871に準拠し、荷重5kgで測定した。
【0040】
実施例1〜3及び比較例1〜4
2個以上のビニル基を含有する化合物であるジビニルベンゼン(純度55重量%、東京化成工業(株)製)を用い、表1に示す単量体組成に調合した溶液を連続バルク重合反応槽に連続的に供給し、表1に示す重合温度及び最終転化率まで重合を行い、重合混合物を240℃で真空脱気槽を通し、未反応モノマーを回収し、樹脂ペレットにしたものを、スチレン系樹脂(A)として用いた。
また、スチレンモノマー89重量%、ゴム状重合体としてのポリブタジエン7重量%、開始剤(エチルベンゼン)3重量%及び、ミネラルオイル1重量%からなる混合物を、攪拌型重合槽に送液し、温度138℃、攪拌速度30rpmの条件にて、転化率28%まで重合させた。続いて、得られた重合混合物を満液型重合槽を用いて、転化率79%まで重合させ、その後220℃の脱気槽で揮発分を除去し、ペレット状としたものをゴム変性スチレン系樹脂(B)として用いた。
得られたゴム変性スチレン系樹脂(B)の構造を表1に示す。
【0041】
スチレン系樹脂(A)とゴム変性スチレン系樹脂(B)とを表1に示した割合で良く混合し、40mmφ押出機を用いて、温度210℃で再造粒したものを用い、(株)日本製鋼所製NB3B型ダイレクトブロー成形機(スクリュー径=50mm、ダイス径/コア径=26/25mm)及び丸ボトル金型(径72mm×高さ164mm)により、シリンダ温度210℃、押出量10kg/h、エア吹き込み10sec、排気3secの条件でダイレクトブロー成形し、ブロー成形品を得た。評価結果を表2に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
*1 ジビニルベンゼン:数値はスチレン系化合物に対する重量ppmである。
*2 最終転化率:最終重合反応層から予熱器への配管途中より抜き取った、重合溶液約0.1gを精秤し、80℃で1時間、150℃で2時間真空乾燥させ、乾燥重量を乾燥前重量で割った値を百分率で表したものを最終転化率とした。
*3 Mw/Mn:重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比
*4 分岐点の数:Z平均分子量における分岐点の数{Bn(Mz)}
【0044】
【表2】
【0045】
本発明の条件を満足する実施例1〜3は、全ての評価項目において優れる。一方、スチレン系樹脂(A)における伸長粘度の立ち上がり度が0.35より過小である比較例1及び3は、ドローダウン性及び偏肉性に劣る。スチレン系樹脂(A)のMFRが1.5g/10分より過小である比較例2は、押出特性及び偏肉性に劣る。スチレン系樹脂(A)の割合が30重量%以下である比較例4はドローダウン性及び偏肉性に劣る。
【図面の簡単な説明】
【図1】伸長粘度の時間依存性を示すグラフである。
【図2】伸長歪みとλn の対数(LNλn )の関係を示すグラフである。
Claims (5)
- 160℃における伸長粘度の立ち上がり度が0.35以上であり、かつ、200℃、荷重5kgfにおけるメルトフローレートが1.5〜10g/10分であるスチレン系樹脂(A)30〜90重量%、及び200℃、荷重5kgfにおけるメルトフローレートが1〜10g/10分であるゴム変性スチレン系樹脂(B)70〜10重量%を含む、スチレン系樹脂組成物からなることを特徴とするブロー成形品。
- スチレン系樹脂(A)が、そのZ平均分子量における分岐点の数が1〜20であるスチレン系共重合体である請求項1記載のブロー成形品。
- スチレン系樹脂(A)が、その重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの比(Mw/Mn)が2.4〜5である請求項1記載のブロー成形品。
- 請求項1記載のスチレン系樹脂組成物をダイレクトブロー成形することより得られる請求項1〜3のいずれかに記載のブロー成形品。
- 請求項1記載のスチレン系樹脂組成物を射出延伸ブロー成形することより得られる請求項1〜3のいずれかに記載のブロー成形品。
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