JP3567605B2 - リリーフバルブ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、小形リフタ等の荷役機械に使用される小形油圧ユニットに好適に適用されるリリーフバルブに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
リリーフバルブは、例えば小形リフタにおいて、荷役動作を行うシリンダがストロークエンドに達した場合に回路に規定以上の圧が立つことを防止するために用いられる。図4はこのような小形油圧ユニットの一般的な油圧回路を示している。詳述すると、このリフタは、荷役用の復動式シリンダ1と、このシリンダ1に圧油を送り込む両回転型のポンプ2と、このポンプ2を正逆駆動するモータ3とを主体として構成され、モータ3が正回転したときにポンプ2によりオイルタンク4から吸い上げた油をシリンダ1の一室1aに供給し、逆回転したときにオイルタンク4から吸い上げた油をシリンダ1の他室1bに供給するものである。ポンプ2からシリンダ1までの供給ライン5、6は戻り流路を兼ねるものであり、ライン5から油が供給されるときにはライン6から油が戻り、ライン6から油が供給されるときにはライン5から油が戻るようにするとともに、シリンダ1が荷を持ち上げた位置で停止する必要があるときにはそれらのライン5、6をブロック状態とすることができるように、ポンプ2が作動している間のみパイロット圧によって逆方向の油の流通を許容するパイロットチェック弁7、8がそれらのライン5、6に設けてある。シリンダ1が駆動されて図中上端又は下端に達すると、ポンプ2の出口に連通する位置に設けてあるリリーフバルブ9又は10が作動し、余剰油を直接タンク4に戻して回路に規定値以上の圧力が立つことを防止している。
【0003】
図5は以上の油圧回路を実際に要素部品を用いて組み立てたものであって、モータ3及びポンプ2はそれぞれバルブハウジング11の一端面11a及び他端面11bに取付けられ、モータ3の出力軸3aはバルブハウジング11内に設けたカップリング12を介してポンプ2のドライブシャフト2cに連結され、このポンプ2はバルブハウジング11の他端面11bを覆う位置に取り付けられたオイルタンク4内に液密に配設されている。バルブハウジング11内には図4及び図6に示すようにポンプ2の一対の出入口2a、2bに連通するポート14、15が設けられ、これらのポート14、15間にスプール16が配設されるとともに、このスプール16の両端に形成した細径部16a、16bに対面する位置にシート17、18を形成してその反スプール側にポペット19、20を弾接して着座させ、パイロットチェック弁7、8を構成している。ポペット19、20が配設されている空間はバルブハウジング11に設けたアクチュエータポート21、22に連通し、これらのアクチュエータポート21、22が前述したシリンダ1の一室1a又は他室1bに接続されている。
【0004】
今、例えば図6に矢印で示すようにポート14にポンプ2の出入口2aから吐出した圧油が流れ込んだとすると、この油圧によりスプール16がパイロットチェック弁8側に移動するとともに、ポペット19がシート17から離れてアクチュエータポート21を介しシリンダ1の一室1aに油が送り込まれる。一方、移動したスプール16はその細径部16bでポペット20を押し、シート18から離反させるので、シリンダ1の他室1bから押し出された油はアクチュエータポート22から入ってポート15から出ていく。ポンプ2が逆回転してポート15側へ圧油が送り込まれたときにはその油は前記とは逆にアクチュエータポート22を通ってシリンダ1の他室1bに供給され、一室1aから押し出された油がアクチュエータポート21からポート14に抜ける。また、何れのポート14、15にも圧が導入されないときは、スプール16は中立位置にあり、各ポペット19、20はシート17、18に着座した状態を保つので、アクチュエータポート21、22はブロック状態となり、シリンダ1内の圧油が閉じ込められ、荷を持ち上げたシリンダ1がその場で停止してロック状態となる。
【0005】
以上のような構成において、前記ポート14、15に連通する位置には、図4〜図7に示すようにオイルタンク4内に開口する流路23、24が設けられ、これらの流路23、24に、前述したリリーフバルブ9、10が組み込まれている。
これらのリリーフバルブ9、10は、図8に示すような内部構造を有するもので、オイルタンク4内に開口する流路23(24)の一部に設定したシート31と、このシート31に着脱する位置に配設されたポペット32と、このポペット32を前記シート31に弾接する位置に取付けられるとともにその取付位置に応じて前記弾接力が変化するように構成された圧力調整ネジ33と、この圧力調整ネジ33を適宜の取付位置に固定するロックナット34とを具備し、圧力調整ネジ33には中空部33aが形成され、その中空部33aの端部は開口端となっている。そして、流路23(24)を通過する油によってポペット32が押し開かれた場合、ポペット32とシート31の間隙から流出した油が中空部33aを介してその開口端からオイルタンク4に戻されるようになっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、図において圧力調整ネジ33の端部33bには配管33cが取付けられている。その理由は、配管を用いない場合、ポペット32を押し開いた油は圧力調整ネジ33の中空部33aを通ってそのまま勢い良くオイルタンク4内に噴き出し、油面4a上に戻るので、前記端部33bが油面4aより上にあると、このとき空気を巻き込み、オイルタンク4内の油は白濁し、ポンプに損傷を与えるばかりか、その油がシリンダ1に供給されたときに該シリンダ1の作動不良を起こす原因となる。そこで、このような不都合を防止するために、従来から上記のような配管33cを接続して油面4aの中へ油を直接入れるようにしている。このため、オイルタンク4の上下方向の長さの変更や、ユニット全体を縦置きから横置きに変えるなどの取付姿勢の変更等がある度に配管33cの引回しを油面4aに漬かる用に変えなければならず、製作工数や製品コストに大きな不都合が出ている。また、仮に油中に付けたとしても、勢い良く吹き出す油により油面4aが波うち、オイルタンク4に設けてある注油口4bから油が漏れるという不具合も生じている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の問題点を解決するために、本発明は、リリーフバルブを構成する既存の部品を上手く利用し、ポペットを押し開いた油がオイルタンクに至るまでの間に流出スピードが減速されるように構成することとしている。
【0008】
【発明の実施の形態】
すなわち、本発明のリリーフバルブは、圧力調整ネジとロックナットとの間に流路軸心から偏位した隙間を形成し、その隙間をオイルタンク内に開放するととともに、圧力調整ネジに、一端がポペットとシートの間隙を介して流路に連通可能であり他端が前記隙間に連通する内部流路を設けて、ポペットとシートの間隙から流出した油が内部流路を経て隙間に至り、ロックナットに衝突するように構成したものである。
【0009】
このような構成のものであれば、ポペットとシートの間隙から流出した油が内部流路を介して隙間に至り、ロックナットに衝突することによって、流出スピードが減速され、その隙間を通った後にオイルタンクに戻される。このため、リリーフバルブの出口が油面より上にあっても、流体が勢い良くオイルタンクの油面に衝突して空気を巻き込むことが防止され、白濁を最小限度に抑えることができる。しかも、本発明は既存部品をそのまま利用できるものであり、部品点数の増加を招かないばかりか、従来の配管を不要にすることができるので、製作工数や製品コストの削減を図る上で極めて有効なものとなり得る。
【0010】
【実施例】
以下、本発明の一実施例を、図1〜図3を参照して説明する。なお、このリリーフバルブは図4〜図8に示したリフタに適用されるものであり、共通する部分には同一符号を付し、既に述べたリフタについての説明はここでは省略する。
図1〜図3に示すリリーフバルブ9、10は、タンク4内に開口する流路23(24)に形成されたシート31に着脱可能なポペット32と、このポペット32を前記シート31に弾接する位置に取付けられるとともにその取付位置に応じて前記弾接力が変化するように構成された圧力調整ネジ35と、この圧力調整ネジ35を適宜の取付位置に固定するロックナット36とを具備してなるものである。
【0011】
圧力調整ネジ35は、外周にネジ部35aを有した本体35bと、この本体35bの内部に収容されるスプリング35cと、このスプリング35cの先端に支持された押圧具35dとを具備してなるもので、バルブハウジング11の他端面11bに前記ネジ部35aを螺着されている。そして、その螺着位置が深くなるほど、スプリング35cがより大きく圧縮され、それに比例してポペット32をシート31に押し付ける力が増大して、リリーフ設定圧が高くなるようになっている。この実施例では、圧力調整ネジ35を右に回すと増圧、左に回すと減圧するものである。圧力調整ネジ35の締め込み位置が決まると、この圧力調整ネジ35の外周に螺合させてあるロックナット36を回してバルブハウジング11の他端面11bに圧接する位置まで締め付け、圧力調整ネジ35の緩みに起因して設定圧力が変化することを防止する。
【0012】
また、本実施例のものは、前記圧力調整ネジ35の軸心部に上端に開口し下端が袋小路となる第1の通路35eを穿設するとともに、その内方端からラジアル方向の4方向に第2の通路35fを穿設して、両通路35e、35fにより本発明に係る内部流路35gを形成している。一方、この圧力調整ネジ35の外周に螺装されるロックナット36を、実質的に該ネジ35と螺合するナット頭部36aと、圧力調整ネジ35の外周との間に円環状の隙間Sを形成するナット側壁部36bとから構成し、前記隙間Sをオイルタンク4内に開放している。そして、前記内部流路35gの一端をポペット32とシート31の間隙を介して流路23(24)に連通可能とし他端を前記隙間Sに連通させている。
【0013】
このような構成のものであれば、ポペット32とシート31の間隙から流出した油が図3に矢印で示すように内部流路35gを介して隙間Sに至り、ロックナット36の側壁部36bに衝突することによって、その油の流出スピードが減速され、その隙間Sを通った後に図1に示すオイルタンク4に戻される。このため、リリーフバルブ9、10の出口が油面より上にあっても、流体がそのままの流速で勢い良くオイルタンク4の油面4aに衝突して空気を巻き込むことが確実に防止され、オイルタンク4内の油の白濁、これに起因したシリンダ1の破損等を最小限度に抑えることができる。勿論、オイルタンク4内の油が大きく波打つこともないので、注油口4bからの油漏れも解消できる。しかも、本実施例は既存部品である圧力調整ネジ35及びロックナット36をそのまま利用できるものであり、部品点数の増加を招かないばかりか、従来の配管を不要にすることができるので、製作工数や製品コストを従来に比べて大巾に削減することが可能となる。その上、少なくともリリーフバルブ9(10)の取付姿勢に影響されずにユニットを据え付けることができるため、現場におけるユニットの取付方位の変更等も比較的容易に行い得るものとなる。
【0014】
なお、内部流路や隙間の形状等を始め、各部の具体的な構成は図示実施例のものに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0015】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したような形態で実施され、以下に記載されるような効果を奏する。
すなわち、本発明のリリーフバルブは、既存の構成部品である圧力調整部材及びロック部材を上手く利用し、ポペットを押し開いた油がオイルタンクに至るまでの間にこれらの圧力調整部材及びロック部材の内部を通過する間に流出スピードが減速されるように構成しているため、従来のようにリリーフバルブの出口に配管を取り付けずとも油を緩やかにタンク内に落とすことができ、タンク内に貯溜されている油の白濁、それに起因するシリンダの破損等を著しく低減すると同時に、製作工数や製品コストの削減を図ることも可能となる。また、リリーフバルブの取付姿勢に制約がなくなるため、このリリーフバルブが適用される各種機械の現場における据付けの自由度を容易に高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を適用した小形油圧ユニットの一部破断した正面図。
【図2】図6におけるVII−VII線断面図。
【図3】図2に示されるリリーフバルブを拡大して示す断面図。
【図4】リリーフバルブを適用した一般的なリフタの油圧回路図。
【図5】図4に対応した小形油圧ユニットの一部破断した正面図。
【図6】図5におけるVI−VI線断面図。
【図7】図6におけるVII−VII線断面図。
【図8】図7に示されるリリーフバルブを拡大して示す断面図。
【符号の説明】
4…オイルタンク
23、24…流路
31…シート
32…ポペット
35…圧力調整部材(圧力調整ネジ)
35g…内部流路
36…ロック部材(ロックナット)
S…隙間
Claims (1)
- タンク内に開口する流路に設定したシートと、このシートに着脱する位置に配設されたポペットと、このポペットを前記シートに弾接する位置に取付けられるとともにその取付位置に応じて前記弾接力が変化するように構成された圧力調整部材と、この圧力調整部材を適宜の取付位置に固定するロック部材とを具備してなるものにおいて、
前記圧力調整部材と前記ロック部材との間に前記流路軸心から偏位した隙間を形成し、その隙間をタンク内に開放するととともに、前記圧力調整部材に、一端がポペットとシートの間隙を介して流路に連通可能であり他端が前記隙間に連通する内部流路を設けて、ポペットとシートの間隙から流出した流体が内部流路を経て隙間に至り、ロック部材に衝突するように構成してなることを特徴とするリリーフバルブ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP11072396A JP3567605B2 (ja) | 1996-05-01 | 1996-05-01 | リリーフバルブ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP11072396A JP3567605B2 (ja) | 1996-05-01 | 1996-05-01 | リリーフバルブ |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH09296875A JPH09296875A (ja) | 1997-11-18 |
JP3567605B2 true JP3567605B2 (ja) | 2004-09-22 |
Family
ID=14542865
Family Applications (1)
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JP11072396A Expired - Fee Related JP3567605B2 (ja) | 1996-05-01 | 1996-05-01 | リリーフバルブ |
Country Status (1)
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JP (1) | JP3567605B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102032228A (zh) * | 2010-11-09 | 2011-04-27 | 上海诺玛液压***有限公司 | 用于液压行业电液伺服阀磁钢安装工装 |
-
1996
- 1996-05-01 JP JP11072396A patent/JP3567605B2/ja not_active Expired - Fee Related
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