JP3565569B2 - バインダー - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明はバインダーに関し、さらに詳しくは、耐水性の良好な含浸紙用バインダーや湿潤強度の高い不織製品用バインダーなどとして好適な水性エマルジョン型バインダーに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、含浸紙用バインダーとして、各種水性エマルジョンが用いられている。紙に水性エマルジョンを含浸させる目的は、紙の欠点の補強と基材としての性能向上を図るためであって、これにより、引張り強さ,伸び,引き裂き強さ,耐折強さ,内部結合力,硬さなどが向上するとともに、寸法安定性,耐水性,耐薬品性,耐熱性などの性能が改善される。また、不織布のバインダーとしても、紙の場合と同様に、従来より各種水性エマルジョンが用いられている。
このようなバインダーとしては、特に自己架橋性基を有する不飽和単量体、例えばN−メチロール(メタ)アクリアミドなどを共重合して得られる水性エマルジョンが耐水性,耐溶剤性を有していることから賞用されている。しかしながら、このN−メチロール(メタ)アクリアミドを共重合して得られる水性エマルジョンの場合、架橋させるためには、比較的高温でのキュアリングが必要であり、またホルムアルデヒドが発生するために、衛生上問題になることがある。
一方、含浸紙製造工程や不織布製造工程においては、バインダーの機械的安定性や各種添加剤との混和性が作業性の観点から要求される。この要求に対しては、ポリビニルアルコールを保護コロイドとして得られる水性エマルジョンが適しているが、このものは、該ポリビニルアルコール自体が水溶性であるため、ポリビニルアルコールの溶出や吸水による製品の弱化などが起こり、好ましくない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような事情のもとで、ポリビニルアルコール系水性エマルジョンがもつ優れた機械的安定性や各種添加剤との混和安定性を有するとともに、比較的低温の処理でも充分な耐水性を有する含浸紙や充分な湿潤強度を有する不織製品などが得られるバインダーを提供することを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の好ましい性質を有するバインダーを開発すべく鋭意研究を重ねた結果、分散剤としてカルボキシル基変性ポリビニルアルコールを用いて、エチレン性不飽和単量体を乳化重合して得られた水性エマルジョンおよびポリアミドとエポキシ基含有化合物との反応物からなるバインダーがその目的に適合しうることを見出した。本発明はかかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、分散剤としてのカルボキシル基変性ポリビニルアルコールの存在下にエチレン性不飽和単量体を乳化重合して得られた水性エマルジョン(A)およびポリアミドとエポキシ基含有化合物との反応物(以下、ポリアミド系樹脂と記す場合がある)(B)からなるバインダーを提供するものである。
【0005】
本発明のバインダーは、特定の水性エマルジョン(A)とポリアミド系樹脂(B)から構成されるものであって、該水性エマルジョン(A)は、分散剤としてカルボキシル基変性ポリビニルアルコールを、エチレン性不飽和単量体の乳化重合時に用いるものである。
この分散剤であるカルボキシル基変性ポリビニルアルコールは、分子内にカルボキシル基を有する変性ポリビニルアルコールであれば特に制限はないが、通常は、酢酸ビニルに代表されるビニルエステル系単量体を、アクリル酸,メタクリル酸,(無水)フタル酸,(無水)マレイン酸,(無水)イタコン酸などのエチレン性不飽和カルボン酸と共重合した後、けん化したもの(ランダム共重合体)か、末端にチオール基を有するポリビニルアルコール系重合体の存在下、上記エチレン性不飽和カルボン酸をラジカル重合したもの(ブロック共重合体)が好適に用いられる。
なお、上記のビニルエステル系単量体としては、酢酸ビニル以外に、ギ酸ビニル,プロピオン酸ビニル,バーサチック酸ビニル,ピバリン酸ビニルなどを用いることも可能である。
【0006】
本発明におけるカルボキシル基変性ポリビニルアルコールの重合度については特に制限はないが、50〜3000の範囲が好ましく、100〜2000の範囲がより好ましい。また、該カルボキシル基変性ポリビニルアルコールのけん化度についても特に制限はないが、70〜100モル%の範囲が好ましく、80〜98モル%の範囲がより好ましい。さらに、カルボキシル基変性量についても特に制限はないが、0.1〜50モル%の範囲が好ましく、0.5〜10モル%の範囲がより好ましく、0.5〜5モル%の範囲が特に好ましい。カルボキシル基変性量が0.1モル%未満では、充分な架橋密度が得られず耐水性が向上しない。一方、カルボキシル基変性量が50モル%を超えると、安定なエマルジョンを得ることが難しくなり、また、安定なエマルジョンが得られても、耐水性などが充分に発現しにくくなる。
また、本発明におけるカルボキシル基変性ポリビニルアルコールは、本発明の効果を損なわない範囲で、共重合可能なエチレン性不飽和単量体を共重合することもできる。このようなエチレン性不飽和単量体としては、例えば、エチレン,イソブチレン,アクリロニトリル,メタクリロニトリル,アクリルアミド,メタクリルアミド,トリメチル−(3−アクリルアミド−3−ジメチルプロピル)−アンモニウムクロリド,エチルビニルエーテル,ブチルビニルエーテル,N−ビニルピロリドン,塩化ビニル,臭化ビニル,フッ化ビニル,塩化ビニリデン,フッ化ビニリデン,テトラフルオロエチレン,ビニルスルホン酸ナトリウム,アリルスルホン酸ナトリウムなどが挙げられる。
また、チオール酢酸,メルカプトプロピオン酸などのチオール化合物存在下で、酢酸ビニルなどのビニルエステル系単量体を、エチレン性不飽和カルボン酸と共重合し、それをけん化することによって得られる末端変性物も用いることができる。
【0007】
次に、(A)成分の水性エマルジョンにおける分散質であるエチレン性不飽和単量体の重合体は、各種のものがあるが、この重合体の原料であるエチレン性不飽和単量体の好ましい例としては、エチレン,プロピレン,イソブチレンなどのオレフィン、塩化ビニル,フッ化ビニル,ビニリデンクロリド,ビニリデンフルオリドなどのハロゲン化オレフィン、ギ酸ビニル,酢酸ビニル,プロピオン酸ビニル,バーサチック酸ビニルなどのビニルエステル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル,アクリル酸エチル,アクリル酸ブチル,アクリル酸2−エチルヘキシル,アクリル酸ドデシル,アクリル酸2−ヒドロキシエチルなどのアクリル酸エステル、メタクリル酸メチル,メタクリル酸エチル,メタクリル酸ブチル,メタクリル酸2−エチルヘキシル,メタクリル酸ドデシル,メタクリル酸2−ヒドロキシエチルなどのメタクリル酸エステル、アクリル酸ジメチルアミノエチル,メタクリル酸ジメチルアミノエチルおよびこれらの四級化物、さらには、アクリルアミド,メタクリルアミド,N−メチロールアクリルアミド,N,N−ジメチルアクリルアミド,アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸およびそのナトリウム塩などのアクリルアミド系単量体、スチレン,α−メチルスチレン,p−スチレンスルホン酸およびそのナトリウム,カリウム塩などのスチレン系単量体、その他N−ビニルピロリドンなど、また、ブタジエン,イソプレン,クロロプレンなどのジエン系単量体が挙げられ、これらは単独あるいは、二種以上混合して用いられる。
【0008】
上記エチレン性不飽和単量体の中でも、ビニルエステル,(メタ)アクリル酸エステル,スチレンおよびジエン系単量体が好ましく、特にビニルエステル,エチレンとビニルエステルとの併用および(メタ)アクリル酸エステルが好適である。
上記(A)成分である水性エマルジョンは、前述したカルボキシル基変性ポリビニルアルコールの水溶液を分散剤に用いて、重合開始剤の存在下に、上記エチレン性不飽和単量体を一時又は連続的に添加して、該エチレン性不飽和単量体を乳化重合することにより得られる。また、エチレン性不飽和単量体を、予めカルボキシル基変性ポリビニルアルコール水溶液を用いて乳化したものを、連続的に重合反応系に添加する乳化重合法も採用できる。
該カルボキシル基変性ポリビニルアルコールの使用量については特に制限はないが、エチレン性不飽和単量体の重合体100重量部に対して好ましくは1〜30重量部、より好ましくは2〜20重量部の範囲である。該使用量が1重量部未満および30重量部を超える場合には、重合安定性が低下したり、耐水性が低下する場合があり、好ましくない。
本発明に用いられる水性エマルジョンは、上記の方法で得られる水性エマルジョンをそのまま用いてもよいが、必要があれば、従来公知の各種エマルジョンを本発明の効果を損なわない範囲で添加することができる。
なお、本発明のバインダーにおいて、(A)成分として用いられる水性エマルジョンにおける分散剤としては、カルボキシル基変性ポリビニルアルコールが用いられるが、必要に応じて、従来公知のアニオン性、ノニオン性あるいはカチオン性の界面活性剤や、ポリビニルアルコール系重合体、ヒドロキシエチルセルロースなどを併用することもできる。
【0009】
本発明のバインダーにおいて、(B)成分として用いられるポリアミド系樹脂としては、(A)成分である水性エマルジョンと架橋反応を起こすものが好ましく、水性エマルジョンの分散剤であるカルボキシル基変性ポリビニルアルコールのカルボキシル基と反応する官能基を有するものがより好ましい。(B)成分の具体例としては、ポリアミドとエポキシ基含有化合物との反応物が好ましく、ポリアミドとグリシジル基含有化合物との反応物がさらに好ましく、ポリアミドとエピクロルヒドリンとの反応物であるポリアミドエピクロルヒドリンが特に好ましい。
ここでポリアミドエピクロルヒドリンとは、アルキルポリアミン化合物とアルキルジカルボン酸との縮合反応で得られるポリアミド樹脂にエピクロルヒドリンを作用させて、第四級化した水溶性樹脂であり、例えばアジピン酸とジエチレントリアミンとから得られたポリアミドにエピクロルヒドリンを作用させたものなどが挙げられる。
上記(B)成分であるポリアミド系樹脂の重合度については、特に制限はないが、濃度10重量%水溶液の温度25℃におけるブルックフィールド型粘度(B型粘度)が、好ましくは5〜10,000mPas・s(ミリパスカル秒)、より好ましくは10〜5,000mPas・s、さらに好ましくは10〜1,000mPas・sの範囲にあるのがよい。該ポリアミド系樹脂の官能基含有量については、特に制限はないが、0.01〜1モル/100gの範囲が好ましく、0.03〜0.5モル/100gの範囲がより好ましい。
【0010】
本発明のバインダーを調製するには、各種の方法があるが、一般には上記(B)成分であるポリアミド系樹脂をそのまま、または水溶液として、あるいは適当な水溶性溶剤に溶解させてから、(A)成分である水性エマルジョンに添加,混合することによって調製する。なお、その際の(B)成分の添加量は、該エマルジョンの固形分100重量部に対して、0.1〜30重量部の範囲が好ましく、0.2〜15重量部の範囲がより好ましい。該(B)成分の添加量が0.1重量部未満では耐水性が不充分となりやすいし、30重量部を超えるとエマルジョンの混合安定性の低下及び耐水性の低下が起こる場合があり、好ましくない。
【0011】
本発明のバインダーは、基本的には上記(A)成分である水性エマルジョンと(B)成分であるポリアミド系樹脂からなるが、さらに必要に応じて、各種添加物、例えばでんぷん,変性でんぷん,酸化でんぷん,アルギン酸ソーダ,カルボキシメチルセルロース,メチルセルロース,ヒドロキシメチルセルロース,ポリアクリル酸塩,ポリアクリルアミド,ポリビニルピロリドン,無水マレイン酸/イソブテン共重合体,無水マレイン酸/スチレン共重合体,無水マレイン酸/メチルビニルエーテル共重合体などの水溶性高分子化合物や尿素/ホルマリン樹脂,尿素/メラミン/ホルマリン樹脂,フェノール/ホルマリン樹脂などの熱硬化性樹脂、トリポリリン酸,ヘキサメタリン酸などの縮合リン酸塩、アニオン性,ノリオン性,カチオン性の界面活性剤などもそれぞれ適宜使用することができる。
さらに、該バインダーには、所望に応じ、クレー,カオリン,タルク,炭酸カルシウム,木粉などの充填剤、小麦粉などの増量剤、ホウ酸,硫酸アルミニウムなどの反応促進剤、酸化チタンなどの顔料、あるいは消泡剤,分散剤,凍結防止剤,防腐剤,防ばい剤,防錆剤,老化防止剤,造膜助剤などの各種添加剤を適宜添加することができる。
本発明のバインダーは、特に耐水性に優れ、湿潤強度が高く、含浸紙用および不織製品用バインダーとして好適に用いられる。
【0012】
【実施例】
次に、実施例および比較例により本発明をさらに詳細に説明する。なお、以下の実施例および比較例において「部」および「%」は、特に断らない限り重量基準を意味する。
また、得られたバインダーの含浸紙用としての性能および不織製品用としての性能を、下記の要領で評価した。
(1)含浸紙用バインダーとしての性能
原紙:東洋ろ紙使用
溶液濃度:20%
含浸率:25%
乾燥:105℃×3分
キュアリング:50℃×3分,100℃×3分,130℃×3分
の条件で含浸紙を加工し、引張試験を行った。
(2)不織製品用バインダーとしての性能
加工方法:Pad−Dry−Cure法(1dip,1nip)
ウエブ:ポリエステル(目付け:20g/m2 )
溶液濃度:15%
付着率:40〜45%/ウエブ(固形分)
乾燥:100℃×3分
キュアリング:50℃×3分,100℃×3分,130℃×3分
の条件で不織布を加工し、引張試験を行った。
【0013】
実施例1
還流冷却器,滴下ロート,温度計,窒素吹込口を備えた1リットルガラス製重合容器に、水400gおよびカルボキシル基変性ポリビニルアルコール(重合度1750,けん化度87.5モル%,イタコン酸1モル%ランダム共重合変性)24gを仕込み、95℃で完全に溶解した。
次に、このポリビニルアルコール水溶液を冷却、窒素置換後、140rpmで攪拌しながら酢酸ビニル400gを仕込み、60℃に上昇したのち、過酸化水素/ロンガリットのレドックス開始剤系の存在下で重合を行った。2時間で重合は終了し、重合率99.8%,固形分濃度50.4%,粘度2900mPas・sの安定なポリ酢酸ビニルエマルジョンが得られた。
このエマルジョンの固形分100部に対して、ジブチルフタレート10部と、ポリアミドエピクロルヒドリン(WS−525、日本PMC社製)1部を添加混合し、バインダーを調製した。
このバインダーについて、含浸紙用バインダーとしての性能および不織製品用バインダーとしての性能を評価した。結果を第1表に示す。
【0014】
比較例1
実施例1において、ポリアミドエピクロルヒドリンを添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にしてバインダーを調製し、含浸紙用バインダーとしての性能および不織製品用バインダーとしの性能を評価した。結果を第1表に示す。
【0015】
比較例2
実施例1において、カルボキシル基変性ポリビニルアルコールの代わりに無変性ポリビニルアルコール(重合度1700、けん化度88.0モル%)を用いた以外は実施例1と同様にしてポリ酢酸ビニルエマルジョンを作製した。重合率99.8%、固形分濃度50.4%、粘度2800mPas・sであり、安定なポリ酢酸ビニルエマルジョンであった。このエマルジョンを用いて、実施例1と同様にしてバインダーを調製し、含浸紙用バインダーとしての性能および不織製品用バインダーとしての性能を評価した。結果を第1表に示す。
【0016】
比較例3
比較例2のポリ酢酸ビニルエマルジョンの固形分100部に対して、実施例1のカルボキシル基変性ポリビニルアルコール6部を後添加したものを用い、実施例1と同様にしてバインダーを調製し、含浸紙用バインダーとしての性能および不織製品用バインダーとしての性能を評価した。結果を第1表に示す。
【0017】
実施例2
還流冷却器,滴下ロート,温度計,窒素吹込口を備えた1リットルガラス製重合容器に、水400gおよび末端にチオール基を有するカルボキシル基変性ポリビニルアルコール(重合度500,けん化度88.2モル%,イタコン酸1モル%ランダム共重合変性,〔SH〕濃度:5×10−5モル/g−ポリビニルアルコール)28gを仕込み、95℃で完全に溶解した。
次に、このポリニルアルコール水溶液を冷却後、希硫酸でpHを4.0に調整し、窒素置換を行い、140rpmで攪拌しながら、メタクリル酸メチル80gとアクリル酸n−ブチル80gを仕込み、70℃に上昇したのち、5%過硫酸アンモニウム水溶液5gを添加して重合を開始した。その後、メタクリル酸メチル120gとアクリル酸n−ブチル120gを2時間かけて逐次添加した。4時間で重合は完了し、重合率99.9%,固形分濃度51.5%,粘度900mPas・sの安定なポリ(メタクリル酸メチル/アクリル酸ブチル)共重合体エマルジョンが得られた。
このエマルジョンの固形分100部に対して、ポリアミドエピクロルヒドリン(WS−525、日本PMC社製)1部を添加混合し、バインダーを調製した。このバインダーについて、含浸紙用バインダーとしての性能および不織製品用バインダーとしての性能を評価した。結果を第1表に示す。
【0018】
比較例4
実施例2において、末端にチオール基を有するカルボキシル基変性ポリビニルアルコールの代わりに非イオン性乳化剤(ノニポール200,三洋化成社製)16gを用いた以外は、実施例2と同様にして水性エマルジョンを得た。このエマルジョンは、重合率99.9%,固形分濃度51.4%,粘度25mPas・sの安定なものであった。このエマルジョンを用い、実施例2と同様にしてバインダーを調製し、含浸紙用バインダーとしての性能および不織製品用バインダーとしての性能を評価した。結果を第1表に示す。
【0019】
比較例5
実施例2において、ポリアミドエピクロルヒドリンを添加しなかったこと以外は、実施例2と同様にしてバインダーを調製し、含浸紙用バインダーとしての性能および不織製品用バインダーとしての性能を評価した。結果を第1表に示す。
【0020】
比較例6
実施例2において、末端にチオール基を有するカルボキシル基変性ポリビニルアルコールの代わりに、末端にチオール基を有するポリビニルアルコール(重合度500,ケン化度88.2モル%,〔SH〕濃度:5×10−5モル/g−ポリビニルアルコール)28gを用いた以外は、実施例2と同様にしてポリ(メタクリル酸メチル/アクリル酸n−ブチル)共重合体エマルジョンを得た。このエマルジョンを用い、実施例2と同様にしてバインダーを調製し、含浸紙用バインダーとしての性能および不織製品用バインダーとしての性能を評価した。結果を第1表に示す。
【0021】
実施例3
末端にチオール基を有するカルボキシル基変性ポリビニルアルコール(重合度300,けん化度96.0モル%,イタコン酸1モル%ランダム共重合変性,〔SH〕濃度:7×10−5モル/g−ポリビニルアルコール)12gをイオン交換水290g中で加熱溶解し、それを窒素吹込口および温度計を備えた耐圧オートクレーブ中に仕込んだ。希硫酸でpH4.0に調整した後、スチレン165gを仕込み、次いで耐圧計量器よりブタジエン135gを仕込み、70℃に昇温後、2%過硫酸カリウム水溶液10gを圧入して重合を開始した。内圧は4.8kg/cm2 Gから重合の進行とともに低下し、15時間後に0.4kg/cm2 Gに低下した。重合率を測定したところ99.2%であった。得られたエマルジョンをアンモニア水でpH6.0とし、固形分濃度49.0%および粘度2000mPas・sの安定なポリ(スチレン−ブタジエン)共重合体エマルジョンを得た。
このエマルジョンを用い、実施例2と同様にしてバインダーを調製し、含浸紙用バインダーとしての性能および不織製品用バインダーとしての性能を評価した。結果を第1表に示す。
【0022】
実施例4
カルボキシル基変性ポリビニルアルコール(重合度1750,けん化度86.5モル%,イタコン酸2モル%ランダム共重合変性)12gをイオン交換水290gに加熱溶解し、それを窒素吹込口および温度計を備えた耐圧オートクレーブ中に仕込んだ。希硫酸でpH4.0に調整後、酢酸ビニル300gを仕込み、次いで、エチレンを45kg/cm2 Gまで昇圧した。温度を60℃まで昇温後、過酸化水素−L−アスコルビン酸系レドックス開始剤で重合を開始した。2時間後、残存酢酸ビニル濃度が0.7%となったところで重合を終了した。固形分濃度52.5%,粘度3500mPas・sの安定なポリ(酢酸ビニル−エチレン)共重合体エマルジョンが得られた。
このエマルジョンを用い、実施例2と同様にしてバインダーを調製し、含浸紙用バインダーとしての性能および不織製品用バインダーとしての性能を評価した。結果を第1表に示す。
【0023】
【表1】
【0024】
注1)IA−PVA:イタコン酸(1モル%)ランダム共重合変性ポリニルアルコール,重合度1750,けん化度87.5モル%
2)無変性PVA:重合度1700,けん化度88.0モル%
3)IA−SH−PVA:末端にチオール基を有し、イタコン酸(1モル%)ランダム共重合変性ポリビニルアルコール,重合度500,けん化度88.2モル%,〔SH〕5×10−5モル/g−PVA
4)SH−PVA:末端チオール基変性ポリビニルアルコール,重合度500,けん化度88.2モル%,〔SH〕5×10−5モル/g−PVA
5)IA−SH−PVA:末端にチオール基を有し、イタコン酸(1モル%)ランダム共重合変性ポリビニルアルコール,重合度300,けん化度96.0モル%,〔SH〕7×10−5モル/g−PVA
6)IA−PVA:イタコン酸(2モル%)ランダム共重合変性ポリビニルアルコール,重合度1750,けん化度86.5モル%
モノマーの記号の意味
VAc : 酢酸ビニル
MMA : メタクリル酸メチル
n−BA: アクリル酸n−ブチル
St : スチレン
Bu : ブタジエン
Et : エチレン
【0025】
【表2】
【0026】
【表3】
【0027】
【発明の効果】
本発明のバインダーは、ポリビニルアルコール保護コロイド系水性エマルジョンの優れた機械的安定性や各種添加剤との混和安定性を有するとともに、比較的低温で処理しても充分な耐水性や湿潤強度を有し、含浸紙用バインダーや不織製品用バインダーなどとして好適に用いられる。
Claims (3)
- 分散剤としてのカルボキシル基変性ポリビニルアルコールの存在下にエチレン性不飽和単量体を乳化重合して得られた水性エマルジョン(A)およびポリアミドとエポキシ基含有化合物との反応物(B)からなるバインダー。
- ポリアミドとエポキシ基含有化合物との反応物(B)がポリアミドエピクロルヒドリンである請求項1記載のバインダー。
- 請求項1記載のバインダーからなる含浸紙用又は不織製品用バインダー。
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