JP3565141B2 - 内燃機関の排気浄化装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の排気浄化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来よりディーゼル機関においては、排気ガス中に含まれる煤等の微粒子を除去するために機関排気通路内にパティキュレートフィルタを配置する。そして、このパティキュレートフィルタにより排気ガス中の微粒子を一旦捕集し、パティキュレートフィルタ上に捕集した微粒子を除去することでパティキュレートフィルタの再生を図る。
【0003】
ところがパティキュレートフィルタ上で捕集した微粒子は600°C程度以上の高温にならないと着火せず、これに対してディーゼル機関の排気ガス温は通常、600°Cよりもかなり低い。したがって排気ガス熱でパティキュレートフィルタ上の微粒子を着火させるのは困難である。よって600°Cよりもかなり低い排気ガス熱でもパティキュレートフィルタ上に捕集した微粒子を着火させるためには微粒子の着火温度そのものを低くしなければならない。
【0004】
ところで、従来よりパティキュレートフィルタ上に触媒を担持すれば微粒子の着火温度を低下できることが知られており、それ故触媒を担持した種々のパティキュレートフィルタが公知となっている。
【0005】
例えば、特公平7−106290号公報はパティキュレートフィルタ上に白金族金属およびアルカリ土類金属酸化物の混合物を担持させたパティキュレートフィルタを開示する。この公報開示のパティキュレートフィルタは、ほぼ350°Cから400°Cの比較的低い温度でも微粒子の着火が可能であり、次いで運転状況にまかせた連続的な燃焼ができるというものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このように排気ガス温が通常は600°Cよりもかなり低いディーゼル機関であるけれども、負荷が高い場合には排気ガス温が350°Cから400°Cにまで達する。したがって前記公報開示のパティキュレートフィルタを適用したディーゼル機関であれば一見したところ、機関負荷が高くなったときに排気ガス熱で微粒子の着火燃焼ができるように見える。
【0007】
しかし排気ガス温が350°Cから400°Cに達したとしても実際には微粒子が着火しない場合がある。また、たとえ微粒子が着火したにしても一部の微粒子しか燃焼せず、多量の微粒子は燃え残るという問題を生ずる。
【0008】
排気ガス中に含まれる微粒子の量が少ないときにはパティキュレートフィルタ上に付着する微粒子量が少なく、よってこのときには排気ガス温が350°Cから400°Cになるとパティキュレートフィルタ上の微粒子は着火し、次いで連続的に燃焼する。しかし排気ガス中に含まれる微粒子の量が多いとパティキュレートフィルタ上に付着した微粒子が完全に燃焼する前にこの微粒子の上に別の微粒子が堆積し、パティキュレートフィルタ上に微粒子が積層状に堆積するようになる。すると活性酸素と接触しやすい一部の微粒子は燃焼するが、活性酸素と接触しづらい位置関係にある微粒子は燃焼せず、斯くして多量の微粒子が燃え残ることになる。
【0009】
したがって機関の運転状態によって排気ガス中に含まれる微粒子の量が多くなると、前記公報記載のパティキュレートフィルタを用いても当該パティキュレートフィルタ上に多量の微粒子が堆積し続けることになる。
【0010】
一方、パティキュレートフィルタ上に多量の微粒子が堆積すると、フィルタ上の微粒子は次第に着火燃焼しずらくなる。その原因はおそらく微粒子が堆積している間に微粒子中の炭素がグラファイト等の燃焼しづらい物質に変化するからである。
【0011】
事実、パティキュレートフィルタ上に多量の微粒子が堆積し続けると350°Cから400°Cの低温の排気ガスでは微粒子は着火せず、堆積した微粒子を着火するためには600°C以上の高温の排気ガスが必要となる。しかしながらディーゼル機関では前記のごとく通常は排気ガス温が600°C以上になることはない。よってパティキュレートフィルタ上に微粒子が堆積し続けると、堆積した微粒子を排気ガス熱で着火するのが困難になる。
【0012】
一方、排気ガス温を600°C以上の高温にすることができそれゆえ堆積した微粒子が着火したとしてもこの場合には別の問題を生ずる。即ち、600°C以上の高温で微粒子が着火すると微粒子は輝炎を発して燃焼するようになる。この結果、パティキュレートフィルタ上に堆積した微粒子の燃焼が完了するまでの長時間に亘って、パティキュレートフィルタは、その温度が800°C以上の高温になる。
【0013】
この結果パティキュレートフィルタが早期に劣化し、斯くしてパティキュレートフィルタを新品と早期に交換しなければならなくなる。
また、堆積した微粒子が燃焼すると燃えカスである灰分、即ちアッシュが凝縮して大きな塊となり、この塊によってパティキュレートフィルタの細孔が詰まって目詰まりを生ずるようになる。目詰まりした細孔の数は時間の経過と共に次第に増大する。よって、パティキュレートフィルタにおける排気ガス流の圧損が次第に大きくなりその結果機関出力が低下する。よってこの点から考慮してもパティキュレートフィルタを新品と早期に交換しなければならなくなる。
【0014】
このように多量の微粒子が一旦積層状に堆積してしまうと上述の如き種々の問題を生じる。したがって排気ガス中に含まれる微粒子の量とパティキュレートフィルタ上で燃焼しうる微粒子量とのバランスを考慮し、微粒子が積層上に堆積しないようにする必要がある。
【0015】
しかし、触媒付きパティキュレートフィルタを排気管に設け、排気浄化を機関の運転状況にまかせた成り行きの連続燃焼処理がなされたのでは上記問題を必ずしも回避することはできない。
【0016】
そこで、運転状況に拘わらずできるだけ微粒子の連続燃焼が可能となるように、浄化装置のパティキュレートフィルタに対して排気流の上流側と下流側とから交互に切換えて排気を流れるようにすれば、パティキュレートフィルタの両側面に微粒子が堆積するようになる。このようにすると微粒子の単位面積あたりの堆積量を減らすことができ、また、排気ガス流の切換えにより、堆積する微粒子を撹乱して飛ばすことができ、さらに、フィルタ基材内部に活性酸素放出剤を設けるならば、微粒子が内部を動き回って、活性酸素放出剤と接触する機会が増え、酸化しうる微粒子量を増やすことができる。
【0017】
しかしこのようにしても排気ガス温度が前記した微粒子燃焼可能温度に常になっているとは限らず、また、運転状態によってはディーゼル機関から多量の微粒子が放出されることもある。よって、そのような場合には、短時間で消失できなかった微粒子がパティキュレートフィルタ上に徐々に堆積してしまう。
【0018】
そして、堆積が進んである程度堆積すると、微粒子を酸化する能力が極端に低下し、そのままの状態で排気ガスをパティキュレートフィルタに流すとさらに微粒子の堆積が進行しパティキュレートフィルタの再生が困難になる。このため、パティキュレートフィルタの微粒子酸化能力が極端に低下しないうちにパティキュレートフィルタを再生することが重要となる。
【0019】
ところがこれまでの技術では、パティキュレートフィルタの微粒子酸化能力が極端に低下する前に微粒子の堆積量を正確に測定したり推定したりする技術がなかった。
【0020】
また、前記公報記載のパティキュレートフィルタでは排気ガス温が350°C以下になると微粒子は着火しないので微粒子がパティキュレートフィルタに堆積する。微粒子の堆積量が少なければ排気ガス温が350°Cから400°Cでも微粒子を燃焼できるけれども微粒子が積層状に堆積してしまうほどに多量であると、もはや350°Cから400°Cの温度では微粒子に着火することはできず、たとえできたとしてもそれは一部の微粒子に過ぎない。よって堆積した大半の微粒子は燃え残ってしまう。
【0021】
本発明は、以上の点に鑑みなされたもので、その解決しようとする課題は、脱離スモーク量から微粒子のフィルタへの堆積量を推定し、微粒子がフィルタ上に積層状に堆積してしまう前に排気ガス温を上昇させて微粒子を燃焼し、フィルタの再生が不能になるような事態を回避できる内燃機関の排気浄化装置を提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するために本発明の内燃機関の排気昇温装置は、次の手段を採用した。
【0023】
すなわち、本発明内燃機関の排気浄化装置は、排気ガス中に含まれる微粒子を除去するために機関排気通路内に配置したフィルタにより排気ガス中の微粒子を一旦捕集し、この捕集した微粒子を酸化除去して前記フィルタの再生を図る内燃機関の排気浄化装置において、前記フィルタは、内燃機関が排出する単位時間当たりの機関排出微粒子量が前記フィルタによる単位時間当たりの酸化除去可能微粒子量よりも少ない時は前記捕集した微粒子を輝炎が生じない状態で酸化除去するフィルタであって、前記機関排気通路のうち前記フィルタの下流側に設置し当該設置個所における排気ガスに含まれる微粒子の濃度を検出する微粒子濃度センサと、この微粒子濃度センサの出力値が特定の設定値を超えた時に前記フィルタ上の微粒子の酸化除去を促進する酸化除去促進手段と、を有する。
【0024】
ここで、内燃機関全体の制御を行うECUについて簡単に述べるとともに、本発明の構成要素についての説明を行う。
ECUは、周知のごとくデジタルコンピュータからなり、双方向性バスによって相互に接続した、中央処理制御装置CPU,読み出し専用メモリROM,ランダムアクセスメモリRAM,バックアップRAM,入力ポート,出力ポート等から構成される。
【0025】
入力ポートは、内燃機関や車輌に取り付けた各種センサと電気的に接続され、これら各種センサの出力信号が入力ポートからECU内に入るとこれら各センサに係るパラメータは一時的にランダムアクセスメモリRAMに記憶される。
【0026】
そして、これらのパラメータに基づいてCPUが必要とする演算処理を行うが、この演算処理の実行にあたり、CPUは双方向性バスを通じてランダムアクセスメモリRAMに記憶しておいた前記パラメータを必要に応じて呼び出す。
【0027】
「フィルタ」は、排気ガス中に含まれる煤等の微粒子を除去するパティキュレートフィルタが好適である。
「微粒子濃度センサ」は排気ガス中に含まれる微粒子の濃度を検出する、周知のスモークセンサ,透過式スモークメータ,オパシメータ等を例示できる。
【0028】
「設定値を越えた時」について述べると、設定値の一例としていわゆるしきい値を例示できる。しきい値とは周知のごとくある特定の過程が起こるに必要な最低値のことである。本発明の場合で述べれば微粒子がフィルタ上で積層状に堆積するのに必要な排出スモーク濃度の最低値、換言すれば堆積微粒子量が増大し続け、その堆積量がある量以上になると堆積した微粒子の酸化除去がすみやかにできなくなる限界の微粒子量のことである。前記排出スモーク濃度とは、機関排気通路のうちフィルタの設置してある個所よりも下流に流れてしまったスモークが排気ガスに占める割合(いわゆる脱離スモーク濃度)を意味する。
【0029】
このような場合の排出スモーク濃度は内燃機関の種類やこの内燃機関が搭載される車種によって異なるが、微粒子濃度センサの出力値が瞬間値で例えば15パーセントを越えた場合を挙げられる。
【0030】
また、設定値を越えた場合の他の例としては、機関運転条件に拘わらずある一定の時間や距離を車輌が走行した場合の排出スモーク濃度の平均値がしきい値を越えた場合を挙げられる。
【0031】
「酸化除去促進手段」としては、ECUのROMに記憶され、酸化除去促進のための実行ルーチンであるアプリケーションプログラムを例示できる。具体的には、フィルタに捕集された微粒子を熱利用によって定期的に酸化すべく排気ガス熱を昇温するための昇温制御実行用のアプリケーションプログラムや電気ヒータ等の電熱手段を作動するアプリケーションプログラムを例示できる。
【0032】
前記昇温制御の実行をするための手段としては、例えば燃料噴射弁や吸気通路に設置される吸気絞り弁を挙げられる。燃料噴射弁が噴出する燃料噴射量や吸気絞り弁の制御によって吸気通路を流れる吸気の量が変化することで気筒内で燃焼する燃料量が決まり、延いては排気ガスの温度が変化する。これらのプログラムを記憶するROMの属性はECUにあるので、ECUを酸化除去促進手段といえる。
【0033】
したがって酸化除去促進手段は、フィルタ温度を昇温させるものということができる。
また、フィルタ温度は、温度センサ等の温度検出手段によって測定される。
【0034】
さらに、酸化除去促進手段の他の例として、フィルタ内を流通する排気ガスの流れを逆転させるものを挙げられる。逆転させるとは、フィルタに対してその一方側から流していた排気ガスを他方側から流れるように排気ガスの流れの向きをそれまでの流れの向きに対して反対側から流すことをいう。排気ガスをフィルタの一方側から流すことおよびその他方側から流すことをそれぞれ便宜上順流および逆流ということにする。
【0035】
フィルタに対して排気ガスの流れを逆転させることで、煤などの微粒子がフィルタの基材内を動き回るようになるので、微粒子の酸化を促進して微粒子の浄化を効率よく行うことができるようになる。このように排気ガスの流れの向きを逆転させる手段のことを「排気流切換手段」という。
【0036】
この排気流切換手段を本発明に適用した場合を次に示す。
すなわち、排気ガス中に含まれる微粒子を除去するために機関排気通路内に配置したフィルタにより排気ガス中の微粒子を一旦捕集し、この捕集した微粒子を酸化除去して前記フィルタの再生を図る内燃機関の排気浄化装置において、前記フィルタは、内燃機関が排出する単位時間当たりの機関排出微粒子量が前記フィルタによる単位時間当たりの酸化除去可能微粒子量よりも少ない時は前記捕集した微粒子を輝炎が生じない状態で酸化除去するフィルタであって、前記機関排気通路のうち前記フィルタの下流側に設置し当該設置個所における排気ガスに含まれる微粒子の濃度を検出する微粒子濃度センサと、前記フィルタの一方側から他方側に向けて排気ガスを流す第1の流れおよび前記他方側から前記一方側に向けて排気ガスを流す第2の流れを交互に切換える排気流切換手段と、前記微粒子濃度センサの出力値が特定の設定値を超えた時に前記フィルタ上の微粒子の酸化除去を促進する酸化除去促進手段と、を有するというものである。
【0037】
更に詳しく述べると、排気切換手段が作動した直後、フィルタに堆積した微粒子は反対側からの流れによって剥離されやすくなり、一気にフィルタから排出されることになる。従って、このときの微粒子濃度センサの出力値を検出することで、フィルタにどの程度微粒子が堆積していたか判断できる。この微粒子濃度センサの出力値が設定値を超えたときには、酸化促進手段が作動するように制御させる。
【0038】
「排気流切換手段」は、前記排気通路のうち前記フィルタの設置個所よりも上流箇所に設けた排気切換弁と、この排気切換弁および前記フィルタの前記一方側ならびに前記排気切換弁および前記他方側をそれぞれ結ぶ一対の連通路と、前記排気切換弁の切換制御を行う制御手段とを有するものがよい。
【0039】
前記排気切換弁は、アクチュエータ等の駆動装置によって作動する弁体を有し、この弁体の開閉に応じて前記一対の連通路のうちフィルタの前記一方側とを結ぶ一方の連通路にまたはフィルタの他方側とを結ぶ他方の連通路に向けて、フィルタに向けて排気通路を流れてきた排気ガスを内燃機関が減速するごと,適宜の所定時間ごと,適宜の所定走行距離ごと等、必要に応じて分岐させる弁装置である。
【0040】
前記制御手段とは、内燃機関の制御実行用の各種ルーチンを実現するために前記ROMに記憶してある各種アプリケーション・プログラムのうちの一つである。また、当該制御手段に係るプログラムを記憶するROMの属性はECUにあるので、ECUを制御手段といえる。
【0041】
出力ポートは、前記排気切換弁等の各種作動装置と電気的に接続されており、前記各種センサのうち必要なセンサの出力信号に基づいて各種作動装置を作動するためのものである。
【0042】
そして前記排気切換弁が前記CPUの演算結果に基づいて作動制御されると、前記一対の連通路のうち、排気切換弁およびフィルタの一方側を結ぶ一方の連通路に排気ガスの第1の流れを生ずるようにし、または排気切換弁およびフィルタの他方側を結ぶ他方の連通路に排気ガスの第2の流れを生ずるようにする。
【0043】
このような構成の本発明では、微粒子濃度センサによって微粒子の堆積量を推定し、当該推定された値(微粒子濃度センサによる検出値)が、前記設定値を超えるだけの濃度値である時は、酸化除去促進手段を作動する。よってフィルタの再生ができないほどに微粒子が堆積してしまわないうちに微粒子を燃焼できるので、パティキュレートフィルタの再生が不能になるような事態を回避できる。
【0044】
また、排気流切換手段は、前記のごとく酸化除去促進手段としても機能するので、排気流切換手段によってフィルタ内を流通する排気ガスの流れを逆転したときに微粒子濃度センサによる検出値が前記しきい値を越えていると判明したときは、排気流切換手段の構成部材である排気切換弁の切り替えを頻繁に行って微粒子の酸化を促進し、よって、微粒子の浄化を効率よく行うことで酸化除去促進手段としての機能を高めてもよいが、併せて酸化除去促進手段として前記のごとく昇温制御実行用のアプリケーションプログラムや電気ヒータ等の電熱手段を作動するアプリケーションプログラムの実行により酸化除去の促進を図ってもよい。
【0045】
このようにすると酸化除去能力が倍加され一層効率がよくなる。
さらに、本発明は、排気ガス中に含まれる微粒子を除去するために機関排気通路内に配置したフィルタにより排気ガス中の微粒子を一旦捕集し、この捕集した微粒子を酸化除去して前記フィルタの再生を図る内燃機関の排気浄化装置において、前記フィルタは、内燃機関から排出される単位時間当たりの機関排出微粒子量が前記フィルタによる単位時間当たりの酸化除去可能微粒子量よりも少ない時は前記捕集した微粒子を輝炎を生じさせずに酸化除去するフィルタであって、前記機関排気通路のうち前記フィルタの下流側に設置され当該設置個所における排気ガスに含まれる微粒子の濃度を検出する微粒子濃度センサと、この微粒子濃度センサの出力値が特定の設定値を超えた時に前記フィルタの一方側から他方側に向けて排気ガスを流す第1の流れおよび前記他方側から前記一方側に向けて排気ガスを流す第2の流れを交互に切換える排気流切換手段と、前記微粒子濃度センサの出力値が特定の設定値を超えた時に前記フィルタをバイパスさせた状態で前記機関排気通路に排気ガスを流すバイパス手段と、を有するようにしてもよい。
【0046】
この場合も微粒子濃度センサの出力値を瞬間値でまたは時間や距離の所定間隔における平均値で求め、これらの値が前記特定の設定値を超えた場合に前記酸化除去促進手段を作動するようにしてもよい。
【0047】
「バイパス手段」は、機関排気通路の一部を適用するのが好適である。
フィルタが微粒子を連続的に酸化除去できる許容量はある程度決まっており、この許容量を越えると、微粒子の堆積が一気に増えるため、このような状況下では、排気ガスをバイパスさせ、現在堆積している以上の微粒子の堆積を防ぐ。バイパスされている間、時間をかけて酸化が徐々に促進される。
【0048】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付した図面に基いて説明する。
<装置構成の概要>
図1は本発明を圧縮着火式内燃機関に適用した場合を示している。なお、本発明は火花点火式内燃機関にも適用することもできる。
【0049】
図1を参照すると、1は機関本体、2はシリンダブロック、3はシリンダヘッド、4はピストン、5は燃焼室、6は電気制御式燃料噴射弁、7は吸気弁、8は吸気ポート、9は排気弁、10は排気ポートを夫々示す。
【0050】
吸気ポート8は対応する吸気枝管11を介してサージタンク12に連結され、サージタンク12は吸気ダクト13を介して排気ターボチャージャ14のコンプレッサ15に連結される。
【0051】
吸気ダクト13内にはステップモータ16により駆動するスロットル弁17を配置し、更に吸気ダクト13周りには吸気ダクト13内を流れる吸入空気を冷却するための冷却装置18を配置する。図1に示す実施例では機関冷却水が冷却装置18内に導びかれ、機関冷却水によって吸入空気を冷却する。
【0052】
一方、排気ポート10は排気マニホールド19および排気管20を介して排気ターボチャージャ14の排気タービン21に連結され、排気タービン21の出口はパティキュレートフィルタ22を内蔵したケーシング23を有する排気浄化装置Aに連結される。
【0053】
排気マニホールド19とサージタンク12とは排気ガス再循環(以下、EGRと称す)通路24を介してお互いに連結され、EGR通路24には電気制御式EGR制御弁25を配置してある。
【0054】
また、EGR通路24周りにはEGR通路24内を流れるEGRガスを冷却するための冷却装置26を配置してある。図1に示す実施例では機関冷却水を冷却装置26内に導びき、機関冷却水によってEGRガスを冷却する。
【0055】
一方、燃料噴射弁6は、燃料供給管6aを介して燃料リザーバ、いわゆるコモンレール27に連結してある。
コモンレール27内へは電気制御式の吐出量可変な燃料ポンプ28が燃料を供給し、コモンレール27内に供給した燃料を燃料供給管6aを介して燃料噴射弁6に供給する。コモンレール27にはコモンレール27内の燃料圧を検出するための燃料圧センサ29を取付けてあり、燃料圧センサ29の出力信号に基づいてコモンレール27内の燃料圧が目標燃料圧となるように燃料ポンプ28の吐出量を制御する。
【0056】
電子制御ユニット(以下「ECU」)30はデジタルコンピューターからなり、双方向性バス31によって互いに接続したROM(リードオンリメモリ)32、RAM(ランダムアクセスメモリ)33、CPU(マイクロプロセッサ)34、入力ポート35および出力ポート36を具備する。
【0057】
燃料圧センサ29の出力信号は対応するAD変換器37を介して入力ポート35に入力される。
また、パティキュレートフィルタ22にはパティキュレートフィルタ22の内部温度を検出する温度検出手段としての温度センサ39を取付け、温度センサ39の出力信号は対応するAD変換器37を介して入力ポート35に入力される。
【0058】
アクセルペダル40にはアクセルペダル40の踏込み量L(図2参照)に比例した出力電圧を発生する負荷センサ41が接続され、負荷センサ41の出力電圧は対応するAD変換器37を介して入力ポート35に入力される。更に入力ポート35にはクランクシャフトが例えば30°回転する毎に出力パルスを発生するクランク角センサ42を接続してある。
【0059】
一方、出力ポート36は対応する駆動回路38を介して燃料噴射弁6、スロットル弁駆動用ステップモータ16、EGR制御弁25,燃料ポンプ28及び後で述べるアクチュエータ72に接続される。
【0060】
図2(A)は要求トルクTQと、アクセルペダル40の踏み込み量Lと、機関回転数Nとの関係を示している。なお、図2(A)において各曲線は等トルク曲線を表しており、TQ=0で示す曲線はトルクが零であることを示しており、残りの曲線はTQ=a,TQ=b,TQ=c,TQ=dの順に次第に要求トルクが高くなることを示す。
【0061】
図2(A)に示す要求トルクTQは図2(B)に示すようにアクセルペダル40の踏込み量Lと機関回転数Nの関数としてマップの形で予めROM32内に記憶してある。本実施形態では図2(B)に示すマップからアクセルペダル40の踏込み量Lおよび機関回転数Nに応じた要求トルクTQをまず初めに算出し、この要求トルクTQに基づいて燃料噴射量等を算出する。
<排気浄化装置の構造>
排気浄化装置Aは、図1、図3、図4に示したように、排気タービン21の出口側で機関排気通路としての排気管70を接続してある。
【0062】
この排気管70から分岐して、パティキュレートフィルタ22を内蔵したケーシング23におけるパティキュレートフィルタ22の一方の面(一方側)と他方の面(他方側)とにそれぞれ接続する第1の排気通路76と第2の排気通路77とを設けてある。
【0063】
さらに、排気管70は、第1の排気通路76と第2の排気通路77の分岐点からパティキュレートフィルタ22を通過せずにそのまま排気ガスを排出する、パティキュレートフィルタ22に対してバイパスするバイパス手段としてのバイパス通路73を含む。
【0064】
そして、第1の排気通路76と第2の排気通路77の分岐点、すなわち排気管70のうちパティキュレートフィルタ22の設置個所よりも上流側の箇所には、排気切換弁71を設置してある。排気切換弁71は、アクチュエータ72によって駆動する弁体71aを備え、この弁体71aの動く位置に応じて、第1の排気通路76を選択してパティキュレートフィルタ22の一方側から他方側に向けて排気ガスを流す第1の流れ(順流)と、第2の排気通路77を選択してパティキュレートフィルタ22の他方側から一方側に向けて排気ガスを流す第2の流れ(逆流)とを、交互に切換えるようになっている。
【0065】
ここで、パティキュレートフィルタ22を収容するケーシング23は、バイパス通路73を形成する排気管70の真上に位置するよう配置され、そのケーシング23の両側に排気管70から排気切換弁71を介して分岐した第1の排気通路76と第2の排気通路77が接続される形となっている。すなわち、第1の排気通路76と第2の排気通路77は、排気切換弁71およびパティキュレートフィルタ22の前記一方側ならびに排気切換弁71およびパティキュレートフィルタ22の前記他方側をそれぞれ結ぶ一対の連通路ということができる。
【0066】
また、排気管70のうち排気浄化装置Aの上流側近傍および下流側近傍には、それぞれ圧力センサ100およびスモークセンサ102を設置してある。圧力センサ100は、排気浄化装置Aの上流側排気圧を検出し、スモークセンサ102は微粒子濃度センサとして排気浄化装置Aの下流側の排気ガスに含まれる微粒子の濃度を検出する。なおスモークセンサ102の代わりに周知の透過式スモークメータやオパシメータ等を用いてもよい。圧力センサ100およびスモークセンサ102の出力信号をそれぞれ対応するAD変換器37を介して入力ポート35に入力する。
【0067】
しかして、排気切換弁71は、前記温度センサ39によって検出したフィルタ温度,圧力センサ100によって検出した排気圧力,スモークセンサ102によって検出した排気ガスに含まれる微粒子の濃度等、機関の運転状態を示す出力信号に応じて前記第1の流れまたは第2の流れをパティキュレートフィルタ22内に生じさせるべく前記切り換えを行う。この切り換えは、機関が減速するごと,適宜の所定時間ごと,適宜の所定走行距離ごとなどの必要時に為される。
【0068】
排気切換弁71による当該切り換えは、ECU30によって制御される。
そして、ケーシング23内のパティキュレートフィルタ22は、排気ガスの通過方向を長さ方向とした場合、長さ方向に直交する幅方向の長さが、長さ方向の長さより長くなっている。このような構成とすることで、パティキュレートフィルタ22を内包するケーシング23からなる排気浄化装置Aの車両への搭載スペースを省スペース化することができる。
【0069】
アクチュエータ72は、ECU30のCPU34上に実現される制御手段75によって駆動制御されるものであり、出力ポート36からの制御信号によって駆動する。また、アクチュエータ72は、内燃機関の駆動に伴って形成される負圧により駆動するもので、負圧を加えないときに第1の排気通路76を選択する位置(順流位置)に弁体71aを制御し、第1の負圧を加えたときに弁体71aを中立位置に制御し、第1の負圧よりも強い第2の負圧を加えたときに第2の排気通路77を選択する位置(逆流位置)に弁体71aを制御する。
【0070】
弁体71aが図3の破線で示す順流位置にあるとき、排気切換弁71は、排気管70を第1の排気通路76に接続するとともに、第2の排気通路77をバイパス通路73に接続するので、排気ガスは、排気管70→第1の排気通路76→パティキュレートフィルタ22→第2の排気通路77→バイパス通路73の順に流れて、大気に放出される。
【0071】
弁体71aが、図3の実線で示す逆流位置にあるとき、排気切換弁71は、排気管70を第2の排気通路77に接続するとともに、第1の排気通路76をバイパス通路73に接続するので、排気ガスは、排気管70→第2の排気通路77→パティキュレートフィルタ22→第1の排気通路76→バイパス通路73の順に流れて、大気に放出される。
【0072】
弁体71aが、排気管70の軸線に平行となった中立位置にあるとき、排気切換弁71は、排気管70を直接バイパス通路73に接続するので、排気ガスは、排気管70からパティキュレートフィルタ22を通過しないでバイパス通路73に流れて、大気に放出される(図12参照)。
【0073】
このように、弁体71aの切換えにより、順流・逆流を繰り返すことで、煤などの微粒子がパティキュレートフィルタ22の基材内を動き回るので、煤などの微粒子の酸化を促進し、よって、微粒子の浄化を効率よく行うことができる。
【0074】
また、排気切換弁71の作動制御実行ルーチンを構成する図示しないプログラムはECU30のROMに記憶され、ROMの属性はECU30にあるので、排気切換弁71の作動制御を行う当該プログラムの属するECU30のことを排気切換弁71の切換制御を行う制御手段ということにする。
【0075】
そして、排気切換弁71の切換制御を行う制御手段であるECU30,排気切換弁71,一対の連通路である第1の排気通路76,第2の排気通路77を少なくとも含むものを排気流切換手段ということにする。
【0076】
<パティキュレートフィルタの構造と微粒子の連続酸化処理>
図5(A)は、パティキュレートフィルタ22に一方向からのみ排気ガスを流す場合のイメージ図であり、微粒子はパティキュレートフィルタの一方の面にのみ蓄積して動かず、排気ガスの圧損上昇の原因となるだけでなく、煤などの微粒子の浄化を妨げる。
【0077】
図5(B)は、パティキュレートフィルタ22に双方向から排気ガスを流す場合のイメージ図であり、微粒子はパティキュレートフィルタの両面で順流方向と逆流方向に撹乱されるので、パティキュレートフィルタ22の両面で、あるいは、基材内部で動き回り、フィルタ基材全体の活性点を利用して煤などの微粒子の酸化を促進することができ、パティキュレートフィルタ22に微粒子が蓄積するのをより少なくすることができる。よって、排気ガスの圧損上昇を避けることができる。
【0078】
図6にパティキュレートフィルタ22の構造を示す。なお、図6において(A)はパティキュレートフィルタ22の正面図を示しており、(B)はパティキュレートフィルタ22の側面断面図を示している。図6(A)および(B)に示したようにパティキュレートフィルタ22はハニカム構造をなしており、互いに平行をなして延びる複数個の排気流通路として排気ガス流入通路50および排気ガス流出通路51を具備するいわゆるウォールフロー型である。
【0079】
前記排気流通路は下流端が栓52により閉塞した排気ガス流入通路50と、上流端が栓53により閉塞した排気ガス流出通路51とにより構成する。なお、図6(A)においてハッチングを付した部分は栓53を示している。
【0080】
したがって、排気ガス流入通路50および排気ガス流出通路51は薄肉の隔壁54を介して交互に配置される。換言すると排気ガス流入通路50および排気ガス流出通路51は各排気ガス流入通路50が4つの排気ガス流出通路51によって包囲され、各排気ガス流出通路51が5つの排気ガス流入通路50によって包囲されるように配置する。
【0081】
パティキュレートフィルタ22は例えばコージライトのような多孔質材料から形成してある。したがって排気ガス流入通路50内に流入した排気ガスは図6(B)において矢印で示すように周囲の隔壁54内を通って隣接する排気ガス流出通路51内に流出する。
【0082】
本実施形態では各排気ガス流入通路50および各排気ガス流出通路51の周壁面、即ち各隔壁54の両側表面上および隔壁54内の細孔内壁面上には例えばアルミナからなる担体の層を形成しており、この担体上に貴金属触媒、および周囲に過剰酸素が存在すると酸素を取込んで酸素を保持しかつ周囲の酸素濃度が低下すると保持した酸素を活性酸素の形で放出する活性酸素放出剤を担持している。
【0083】
この場合、本実施形態では貴金属触媒として白金Ptを用いており、活性酸素放出剤としてカリウムK、ナトリウムNa、リチウムLi、セシウムCs、ルビジウムRbのようなアルカリ金属、バリウムBa、カルシウムCa、ストロンチウムSrのようなアルカリ土類金属、ランタンLa、イットリウムYのような希土類、および遷移金属から選んだ少くとも一つを用いている。
【0084】
なお、この場合活性酸素放出剤としてはカルシウムCaよりもイオン化傾向の高いアルカリ金属又はアルカリ土類金属、即ちカリウムK、リチウムLi、セシウムCs、ルビジウムRb、バリウムBa、ストロンチウムSrを用いることが好ましい。
【0085】
次にパティキュレートフィルタ22による排気ガス中の微粒子除去作用について担体上に白金PtおよびカリウムKを担持した場合を例にとって説明するが他の貴金属、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類、遷移金属を用いても同様な微粒子除去作用がある。
【0086】
図1に示したような圧縮着火式内燃機関では空気過剰のもとで燃焼を行い、したがって排気ガスは過剰な空気を含んでいる。即ち、吸気通路、燃焼室5および排気通路内に供給した空気と燃料との比を排気ガスの空燃比と称すると図1に示したような圧縮着火式内燃機関では排気ガスの空燃比はリーンとなっている。
【0087】
また、燃焼室5内ではNOが発生するので排気ガス中にはNOを含む。さらに燃料中にはイオウSを含んでおり、このイオウSは燃焼室5内で酸素と反応してSO となる。したがって排気ガスにはSO が含まれる。したがって過剰酸素、NOおよびSO を含んだ排気ガスがパティキュレートフィルタ22の排気ガス流入通路50内に流入することになる。
【0088】
図7(A)および(B)は排気ガス流入通路50の内周面および隔壁54内の細孔内壁面上に形成した担体層の表面の拡大図を模式的に表わす。なお、図7(A)および(B)において60は白金Ptの粒子を示しており、61はカリウムKを含んでいる活性酸素放出剤を示している。
【0089】
上述したように排気ガス中には多量の過剰酸素を含んでいるので排気ガスがパティキュレートフィルタ22の排気ガス流入通路50内に流入すると、図7(A)に示したようにこれら酸素Oが、O 又はO2−の形で白金Ptの表面に付着する。
【0090】
一方、排気ガス中のNOは白金Ptの表面上でO 又はO2−と反応し、NOとなる(2NO+O→2NO)。次いで生成されたNOの一部は白金Pt上で酸化しつつ活性酸素放出剤61内に吸収され、カリウムKと結合しながら図7(A)に示したように硝酸イオンNO の形で活性酸素放出剤61内に拡散し、一部の硝酸イオンNO は硝酸カリウムKNOを生成する。
【0091】
また、上述したように排気ガス中にはSOも含んでおり、このSOもNOと同様なメカニズムによって活性酸素放出剤61内に吸収される。即ち、上述したように酸素OがO 又はO2−の形で白金Ptの表面に付着しており、排気ガス中のSOは白金Ptの表面でO 又はO2−と反応してSOとなる。
【0092】
次いで生成されたSOの一部は白金Pt上で更に酸化しつつ活性酸素放出剤61内に吸収され、カリウムKと結合しながら硫酸イオンSO 2−の形で活性酸素放出剤61内に拡散し、硫酸カリウムKSOを生成する。このようにして活性酸素放出触媒61内には硝酸カリウムKNOおよび硫酸カリウムKSOを生成する。
【0093】
さらに、燃焼室5内においては主にカーボンCからなる微粒子を生成し、したがって排気ガス中にはこれら微粒子が含まれる。排気ガス中に含まれているこれら微粒子は排気ガスがパティキユレートフィルタ22の排気ガス流入通路50内を流れているときに、或いは排気ガス流入通路50から排気ガス流出通路51に向かうときに図7(B)において符合62で示したように担体層の表面、例えば活性酸素放出剤61の表面上に接触し付着する。
【0094】
このように微粒子62が活性酸素放出剤61の表面上に付着すると微粒子62と活性酸素放出剤61との接触面では酸素濃度が低下する。すると酸素濃度の高い活性酸素放出剤61内との間で濃度差が生じ、斯くして活性酸素放出剤61内の酸素が微粒子62と活性酸素放出剤61との接触面に向けて移動しようとする。 その結果、活性酸素放出剤61内に形成した硝酸カリウムKNOがカリウムKと酸素OとNOとに分解され、酸素Oが微粒子62と活性酸素放出剤61との接触面に向かい、NOが活性酸素放出剤61から外部に放出される。
【0095】
外部に放出されたNOは下流側の白金Pt上において酸化し、再び活性酸素放出剤61内に吸収される。
このとき活性酸素放出剤61内に形成した硫酸カリウムKSOもカリウムKと酸素OとSOとに分解され、酸素Oが微粒子62と活性酸素放出剤61との接触面に向かい、SOが活性酸素放出剤61から外部に放出される。
【0096】
外部に放出されたSOは下流側の白金Pt上において酸化し、再び活性酸素放出剤61内に吸収される。
ただし、硫酸カリウムKSOは安定化しているため、硝酸カリウムKNOに比べて、活性酸素は放出しづらい。
【0097】
一方、微粒子62と活性酸素放出剤61との接触面に向かう酸素Oは、硝酸カリウムKNO や硫酸カリウムKSOのような化合物から分解された酸素である。
【0098】
化合物から分解された酸素Oは高いエネルギを有しており、極めて高い活性を有する。したがって微粒子62と活性酸素放出剤61との接触面に向かう酸素は活性酸素Oとなっている。これら活性酸素Oが微粒子62に接触すると微粒子62は短時間のうちに輝炎を発することなく酸化し、微粒子62はほとんど消滅する。したがって微粒子62はパティキュレートフィルタ22上に堆積することがない。
【0099】
従来のようにパテイキュレートフイルタ22上に積層状に堆積した微粒子が燃焼するときにはパティキュレートフィルタ22が赤熱し、火炎を伴って燃焼する。このような火炎を伴う燃焼は高温でないと持続せず、したがってこのような火炎を伴う燃焼を持続させるためにはパティキュレートフィルタ22の温度を高温に維持しなければならない。
【0100】
これに対して本実施形態では微粒子62は上述したように輝炎を発することなく酸化し、このときパティキュレートフィルタ22の表面が赤熱することもない。即ち、本発明では従来に比べてかなり低い温度でも微粒子62を酸化除去する。
【0101】
したがって本実施形態による輝炎を発しない微粒子62の酸化による微粒子除去作用は、火炎を伴う従来の燃焼による微粒子除去作用と全く異なっている。
また、微粒子の酸化による微粒子除去作用はかなり低温で行われる。したがってパティキュレートフィルタ22の温度はさほど上昇せず、斯くしてパティキュレートフィルタ22が劣化する危険性はほとんどない。また、パティキュレートフィルタ22上に微粒子がほとんど堆積しないので微粒子の燃えカスであるアッシュが凝集する危険性が少なく、したがってパティキュレートフィルタ22が目詰まりする危険性も少なくなる。
【0102】
ところでこの目詰まりは主に硫酸カルシウムCaSOによって生ずる。即ち、燃料や潤滑油はカルシウムCaを含んでおり、したがって排気ガス中にカルシウムCaを含む。このカルシウムCaはSOが存在すると硫酸カルシウムCaSOを生成する。この硫酸カルシウムCaSOは固体であって高温になっても熱分解しない。したがって硫酸カルシウムCaSOを生成し、この硫酸カルシウムCaSOによってパティキュレートフィルタ22の細孔を閉塞すると目詰まりを生ずることになる。
【0103】
しかしながらこの場合、活性酸素放出剤61としてカルシウムCaよりもイオン化傾向の高いアルカリ金属又はアルカリ土類金属、例えばカリウムKを用いると活性酸素放出剤61内に拡散するSOはカリウムKと結合して硫酸カリウムKSOを形成し、カルシウムCaはSOと結合することなくパティキュレートフィルタ22の隔壁54を通過して排気ガス流出通路51内に流出する。
【0104】
したがってパティキュレートフィルタ22の細孔が目詰まりすることがなくなる。よって前述したように活性酸素放出剤61としてはカルシウムCaよりもイオン化傾向の高いアルカリ金属又はアルカリ土類金属、即ちカリウムK、リチウムLi、セシウムCs、ルビジウムRb、バリウムBa、ストロンチウムSrを用いることが好ましいことになる。
【0105】
ところで白金Ptおよび活性酸素放出剤61はパティキュレートフィルタ22の温度が高くなるほど活性化するので単位時間当りに活性酸素放出剤61が放出しうる活性酸素Oの量はパティキュレートフィルタ22の温度が高くなるほど増大する。したがってパティキュレートフィルタ22上において単位時間当りに輝炎を発することなく当該パティキュレートフィルタ22による酸化除去可能な微粒子量(パティキュレートフィルタ22による単位時間当たりの酸化除去可能微粒子量:以下単に「酸化除去可能微粒子量」)は、パティキュレートフィルタ22の温度が高くなるほど増大する。
【0106】
図8は縦軸に単位時間当りの酸化除去可能微粒子量Gをとり横軸にパティキュレートフィルタ22の温度TFをとってなる、酸化除去可能微粒子量G−パティキュレートフィルタ温度TF図である。
【0107】
そして、単位時間当りに燃焼室5が排出する微粒子の量を機関排出微粒子量Mとすると、この機関排出微粒子Mが酸化除去可能微粒子Gよりも少ない領域を符号Iで示し、機関排出微粒子Mが酸化除去可能微粒子Gよりも多い運転領域を符号IIで示す。
【0108】
図8の領域Iでは燃焼室5から排出した全ての微粒子がパティキュレートフィルタ22に接触するや否や当該捕集した微粒子を短時間のうちにパティキュレートーフィルタ22上において輝炎を生ぜずに酸化除去する運転領域を意味する。
【0109】
これに対し、図8の領域IIは、機関排出微粒子Mが酸化除去可能微粒子Gよりも多い運転領域のとき、即ち領域IIでの機関運転を継続すると活性酸素量の不足に起因して微粒子が積層上に堆積してしまう運転領域を意味する。
【0110】
図9(A)〜(C)は、図8の領域IIにおける微粒子の酸化の様子を示している。
即ち、全ての微粒子を酸化するには活性酸素量が不足している場合において、図9(A)に示すように微粒子62が活性酸素放出剤61上に付着すると微粒子62の一部のみが酸化され、十分に酸化しなかった微粒子部分が担体層上に残留する。次いで活性酸素量が不足している状態が継続すると次から次へと酸化しなかった微粒子部分が担体層上に残留し、その結果図9(B)に示すように担体層の表面が残留微粒子部分63によって覆われる。
【0111】
担体層の表面を覆うこの残留微粒子部分63は次第に酸化されにくいカーボン質に変質し、斯くしてこの残留微粒子部分63はそのまま残留しやすくなる。
また、担体層の表面が残留微粒子部分63によって覆われると白金PtによるNO、SOの酸化作用および活性酸素放出剤61による活性酸素の放出作用が抑制される。その結果、図9(C)に示したように残留微粒子部分63の上に別の微粒子64が次から次へと堆積する。即ち、微粒子が積層状に堆積することになる。
【0112】
このように微粒子が積層状に堆積するとこれら微粒子は白金Ptや活性酸素放出剤61から距離を隔てているためにたとえ酸化しやすい微粒子であってももはや活性酸素Oによって酸化することがなく、したがってこの微粒子64上に更に別の微粒子が次から次へと堆積する。即ち、機関排出微粒子Mが酸化除去可能微粒子量Gよりも多い状態が継続するとパティキュレートフィルタ22上には微粒子が積層状に堆積してしまう。
【0113】
斯くして排気ガス温を高温にするか、或いはパティキュレートフィルタ22の温度を高温にしない限り、堆積した微粒子を着火燃焼させることができなくなる。
【0114】
まとめると、図8の領域Iでは微粒子はパティキュレートフィルタ22上において輝炎を発することなく短時間のうちに酸化するが、図8の領域IIでは微粒子がパティキュレートフィルタ22上に積層状に堆積するといえる。微粒子がパティキュレートフィルタ22上に積層状に堆積しないようにするには機関排出微粒子Mを常時酸化除去可能微粒子量Gよりも少なくしておくことが望ましい。
【0115】
本実施形態で用いているパティキュレートフィルタ22ではその温度TFがかなり低くても微粒子を酸化させることが可能である。よって機関排出微粒子Mが酸化除去可能微粒子量Gよりも少なくなるように機関排出微粒子Mおよびパテイキュレートフィルタ22の温度TFを維持できる。機関排出微粒子Mが酸化除去可能微粒子量Gよりも少なくなるように運転状態を維持するとパティキユレートフィルタ22上に微粒子がほとんど堆積しなくなる。
【0116】
その結果、パテイキュレートフィルタ22における排気ガス流の圧損はほとんど変化することがない。斯くして機関の出力低下を最小限に維持できる。
さて、本実施形態では基本的に全ての運転状態において機関排出微粒子Mが酸化除去可能微粒子量Gよりも少なくなるように機関運転状態を維持するようにしている。
【0117】
しかしながら実際には全ての運転状態において機関排出微粒子Mを酸化除去可能微粒子量Gよりも少くすることは不可能である。よって、機関運転状態の急激な変化等何らかの理由によって機関排出微粒子Mの方が酸化除去可能微粒子量Gよりも多くなるとパティキュレートフィルタ22上で酸化しなかった微粒子部分が残留しはじめ、その結果、パティキュレートフィルタ22上に微粒子が積層状に堆積するようになる。
【0118】
この場合、パティキュレートフィルタ22上に微粒子が堆積し続けるとその後機関が排出する微粒子をパティキュレートフィルタ22上において酸化除去するのが困難となる。したがって機関が排出する微粒子をパティキュレートフィルタ22上で継続的に酸化除去するためにパティキュレートフィルタ22上に堆積した微粒子量が予め定められた限界堆積微粒子量であるしきい値を越えたときには堆積した微粒子がすみやかに酸化除去される状態を作り出さなければならない。
【0119】
しかしながら、実際には機関排出微粒子Mが酸化除去可能微粒子量Gよりも多くなったか否かを判断するのは困難である。
そこで本実施形態では排気管70のうちパティキュレートフィルタ22を含む排気浄化装置Aの下流側に微粒子濃度センサとしてのスモークセンサ102を設置し、このスモークセンサ102の設置個所において排気ガスが含む微粒子の濃度を検出し、その出力値が特定の設定値である前記しきい値を瞬間にまたは機関運転時間や車両走行距離等のある一定期間(所定間隔)における平均値との対比で越えた時にパティキュレートフィルタ22上の微粒子の酸化除去を促進してパティキュレートフィルタ22上に堆積した微粒子をすみやかに酸化除去する状態を作り出すようにしている(図10、11参照)。なお、図10および図11は、縦軸がそれぞれ脱離スモーク濃度および脱離スモーク平均濃度をとり、横軸がともに時間をとってなる、脱離スモーク濃度−時間図および脱離スモーク平均濃度−時間図である。そして、図10はしきい値を脱離スモーク濃度が瞬間的に越えた場合に酸化除去促進手段を作動することを示している。また、図11はしきい値を脱離スモーク平均濃度がしきい値を越えた場合に酸化除去促進手段を作動することを示している。酸化除去促進手段を作動するとパティキュレートフィルタ22の温度が昇温する。
【0120】
さらに詳しく述べると機関の運転状態により酸化除去可能微粒子量Gが例えば図8の領域II内にあった場合はパティキュレートフィルタ22上に微粒子が積層状に堆積して前記しきい値を越えてしまうので、機関排出微粒子Mを減少させかつ酸化除去可能微粒子量Gを増大せしめる領域I内になるように機関制御を行う。
【0121】
堆積した微粒子を酸化除去するために、排気管70に配置した切換弁71を切り換える。切換弁71を切り換えると、パティキュレートフィルタ22の排気上流側と排気下流側とが逆転し、フィルタ内を流通する排気ガスの流れが逆転する。この切り替え前にパティキュレートフィルタ22の排気下流側であった部分において、微粒子が活性酸素放出剤61の表面に付着して活性酸素Oを放出し、この微粒子を酸化除去する。
【0122】
この放出される活性酸素Oの一部は、排気ガスと共にパティキュレートフィルタ22の排気下流側へ移動し、ここに堆積する微粒子を酸化除去する。ここでは前述したように、微粒子はパティキュレートフィルタ22の両面で順流方向と逆流方向に撹乱され、パティキュレートフィルタ22の両面で、あるいは基材内部で動き回り、フィルタ基材全体の活性点に出合って酸化し、フィルタ温度を昇温する。
【0123】
酸化しなかった微粒子がパティキュレートフィルタ22に堆積し始めているときに、パティキュレートフィルタ22の排気上流側と下流側とを逆転することにより、パティキュレートフィルタ22から微粒子を酸化除去できる。
【0124】
またパティキュレートフィルタ22上に微粒子が堆積した場合は、排気ガスの一部又は全体の空燃比を一時的にリッチにすることにより、堆積した微粒子が輝炎を発することなく酸化する。排気ガスの空燃比がリッチになると、即ち排気ガス中の酸素濃度が低下すると活性酸素放出剤61から外部に活性酸素Oが一気に放出され、当該一気に放出された活性酸素Oによって堆積した微粒子が輝炎を発することなく一気に短時間で酸化除去される。
【0125】
このようにパティキュレートフィルタ内を流通する排気ガスの流れを逆転させることで酸化除去を促進するので、排気管70のうちパティキュレートフィルタ22の設置個所よりも上流箇所に設けた排気切換弁71と、この排気切換弁71およびパティキュレートフィルタ22の一方側ならびに排気切換弁71および他方側をそれぞれ結ぶ一対の連通路である第1の排気通路76および第2の排気通路77と、前記排気切換弁の切換制御を行う制御手段75とを有する排気浄化装置Aは、排気流切換手段を有するといえるとともに酸化除去促進手段を有するということもできる。
【0126】
前記のごとく酸化除去促進手段がフィルタ温度を昇温させるものという観点から判断すると、酸化除去促進手段の他の例示として、ECUのROMに記憶され、酸化除去促進のための実行ルーチンであるアプリケーションプログラムを例示できる。
【0127】
具体的には、パティキュレートフィルタに捕集した微粒子を熱利用によって定期的に燃焼すべく排気ガス熱を昇温するための昇温制御実行用のアプリケーションプログラムや電気ヒータ等の電熱手段を作動するアプリケーションプログラムを例示できる。昇温制御の実行をするための手段としては、例えば燃料噴射弁や吸気通路に設置する吸気絞り弁を挙げられる。燃料噴射弁から噴出する燃料噴射量や吸気絞り弁の制御によって吸気通路を流れる吸気の量が変化して気筒内で燃焼する燃料量が決まり、延いては排気ガスの温度が変化する。これらのプログラムを記憶するROMの属性はECUにあるので、ECUを酸化除去促進手段ということもできる。
【0128】
以下、スモークセンサの出力値を用いた微粒子酸化除去の促進方法の応用例について説明する。
(1)スモークセンサーで測定した脱離スモーク濃度と、パティキュレートフィルタ22の温度および排気ガス流量とからパティキュレートフィルタ22に堆積している微粒子量を推定し、この推定結果に基づいて既述した昇温制御手段や排気流切換手段によりパティキュレートフィルタ22の再生制御時期および期間を決定する。パティキュレートフィルタ22の温度および排気ガス流量とから微粒子を処理できる量がおおよそわかるが、これに加えて脱離スモーク濃度がわかれば、両者の差を見てパティキュレートフィルタ22に残存している微粒子量を推定することができる。当該残存量がわかれば昇温制御のための再生制御時期および処理期間をどれだけにするかを有効に決定できる。
(2)スモークセンサ102によって実測した脱離スモーク濃度が排気ガスの流量変化やアクセル開度変化などのエンジン条件の変化に応じた許容脱離スモーク濃度(しきい値)を越えた場合にPM再生処理を行う。
【0129】
許容脱離スモーク濃度のしきい値(比較値)をその時々の運転条件に合わせて変えていることで、より最適なPMの再生処理のタイミングを得ることができる。
(3)アイドル等のある決められた所定の運転条件の際の脱離スモーク濃度の瞬時値あるいは平均値があるしきい値を超えた場合に再生処理を行う。この場合、スモークセンサによって検出された値と比較するしきい値(比較値)は予め1つ設定しておくだけで済む。
(4)パティキュレートフィルタ22の入口側の圧力を圧力センサ100で測定し、瞬間的な高圧波による脱離スモーク濃度がその圧力に応じた脱離量のしきい値を超えた場合に再生処理を行う。すす等の微粒子はある圧力になると脱離するという性質があるのでそれを利用する。
(5)ある期間の平均脱離スモーク量がパティキュレートフィルタ22の入口側の平均圧力に応じた脱離平均量のしきい値を超えた場合に再生処理を行う。この場合、例えばある期間に加速や減速を何度か行った場合の平均脱離スモーク量が対象になる。
(6)排気流切換手段を有する内燃機関の排気浄化装置において、アイドル等のある決められた運転条件の際に排気切換弁71の弁体71aを一定の時間間隔で切換えて排気ガスの流れ方向を順流および逆流に交互に変化させた時に脱離する微粒子量の瞬間値または平均値が、あるしきい値を超えた場合に再生処理を行う。
(7)排気流切換手段を有する内燃機関の排気浄化装置Aにおいて脱離した微粒子がこれまでに述べた運転状態のいずれかまたはそれらの組み合わせに起因して微粒子が脱離するような場合には排気切換弁71の弁体71aの位置を中立状態にし(図12参照)、排気ガスをバイパス通路73を介してバイパスさせ、微粒子がそれ以上に堆積することを防止する。併せてパティキュレートフィルタ22の異常に対する処置を行う。
【0130】
ここでパティキュレートフィルタ22の異常について例示する。パティキュレートフィルタ22が微粒子の酸化処理できる最大量は決まっているが、この最大量を越えて微粒子が堆積してしまった場合、何ら手を施さない状態でおくと微粒子が自着火してしまい、パティキュレートフィルタ22が溶損してしまう虞がある。そこで、このような異常事態が発生する虞がある場合は、事前にバイパスさせて当該異常が生じるのを未然に防ぐというものである。
(8)排気流切換手段を有する内燃機関の排気浄化装置において例えばアイドル運転等の定常運転実行中に脱離スモーク量があるしきい値を超えた場合、急加速等の機関運転の実行により堆積スモークが一気に多量に脱離してしまうような機関運転状態ではバイパス通路73を中立位置にして脱離スモークを抑制する。
【0131】
すす等の微粒子がパティキュレートフィルタ22に捕捉されるのはペースト状のSOF成分によるところが多いが、このSOF成分が機関運転状態によって排気ガス温度が急速に高まるとその温度によって燃えてなくなり微粒子をパティキュレートフィルタ22に捕捉しておけず、その結果、微粒子の離脱が起こることが考えられる。加えて機関運転条件によっては、排気ガスの流れ速度が速く、前記微粒子の脱離を促進してしまうことが考えられるので、当該処理を実行して対処する。
(9)排気流切換手段を有する内燃機関の排気浄化装置Aにおいて脱離スモークがこれまでに述べた運転状態のいずれかまたはそれらの組み合わせに起因して微粒子が脱離するような場合には排気切換弁71aを適当な傾斜位置(中立位置でないある程度傾いた中途開きの状態)にセットし、一部のガスのみがパティキュレートフィルタ22に流れるような状態にして昇温制御を行う。このようにすることにより堆積PMの除去を行うとともに脱離スモークの排出を抑制する。
【0132】
パティキュレートフィルタ22内の微粒子が多い場合はパティキュレートフィルタ22の酸化処理を促進しないといけないので酸化促進を行うが、パティキュレートフィルタ22に後から入って来る微粒子の量がパティキュレートフィルタ22の酸化処理能力以上に多い場合があり得る。よって、そのような場合は、排気切換弁71の弁体71aを幾分傾けて排気ガスの一部をバイパス通路73に流すようにする。これ以上パティキュレートフィルタ22に微粒子を堆積したらパティキュレートフィルタ22の再生に支障が生じるような場合は中立で全部垂れ流すが、パティキュレートフィルタ22においてある程度に酸化が進んでいるときであれば排気切換弁71aを幾分傾けることで対応できるからである。
(10)排気流切換手段を有する内燃機関の排気浄化装置Aにおいて脱離スモークがこれまでに述べた運転状態のいずれかまたはそれらの組み合わせに起因して微粒子が脱離しさらにパティキュレートフィルタの温度が十分に高い場合(300℃以上)には、排気切換弁71の弁体71aを一定期間中立位置にして微粒子をバイパスして流し、その間にパティキュレートフィルタ22に堆積している微粒子の酸化を行ったのち、弁体71aを交互に切換える。
(11)排気流切換手段を有する内燃機関の排気浄化装置Aにおいて脱離スモークがこれまでに述べた運転状態のいずれかまたはそれらの組み合わせに起因して微粒子が脱離するような場合には、弁体71aの切換えを頻繁に行うことによりパティキュレートフィルタ22に堆積している微粒子の酸化促進を図る。そして、脱離スモーク量があるしきい値以下になった場合には弁体71aを交互に切換える。弁体71aの切り替えによってパティキュレートフィルタ22内に適宜に振動を生ずることになり、その結果、微粒子が活性点を自ら探すようになるので、酸化が促進し好適である。
【0133】
なお、弁体71aの動きがゆっくりし過ぎるとバイパスする微粒子の量が必要以上に増えてしまうので、そのような弊害を防止できるような弁体71aの開閉速度で実行することが重要になる。
【0134】
このような構成の内燃機関では、スモークセンサ102によって微粒子の堆積量を推定し、当該推定された値(微粒子濃度センサによる検出値)が、前記しきい値を超えるだけの濃度値である時は、酸化除去促進手段を作動する。よってパティキュレートフィルタの再生ができないほどに微粒子が堆積してしまわないうちに微粒子を酸化できるので、パティキュレートフィルタの再生が不能になるような事態を回避できる。
【0135】
また、排気流切換手段を作動させることによってパティキュレートフィルタ22に付いている微粒子を可能な限り連続的に燃焼させることができる。すなわち排気切換弁71を設けてパティキュレートフィルタ22の両側から排気ガスを交互に流すことができるので、一方向のみからパティキュレートフィルタ22に排気ガスを流すと一方の隔壁面及び隔壁内部のみしか酸化反応の利用がなされず、単位面積に溜まる微粒子の量が増大し、酸化性能が落ちてしまうのに対し、本実施形態の内燃機関の排気浄化装置では、順流と、逆流とを交互に使用することで、パティキュレートフィルタ両側から排気ガスが流れるため、微粒子がパティキュレートフィルタの隔壁面及び隔壁内部で撹拌されて動き回り、パティキュレートフィルタの隔壁面及び隔壁内部全体の触媒活性点を有効に使用することができる。したがって、微粒子の酸化を促進し、その浄化をより連続的に行うことができ、排気浄化性能を高めることができる。
【0136】
なお、この実施形態では、排気浄化装置Aに排気流切換手段とバイパス手段を採用したものを示したが、これらの手段を有さない、すなわちパティキュレートフィルタ22が排気管70の一部として形成され、排気ガスがパティキュレートフィルタ22に直接導入される図13の変形例に示すような形態の排気浄化装置Aを適用するものであってもよいことは勿論である。
【0137】
【発明の効果】
本発明の内燃機関の排気浄化装置では、脱離スモーク量から微粒子のフィルタへの堆積量を推定し、微粒子がフィルタ上に積層状に堆積してしまう前に排気ガス温を上昇させて微粒子を燃焼し、フィルタの再生が不能になるような事態を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明内燃機関の排気浄化装置を適用した内燃機関の全体図
【図2】機関の要求トルクを示す図
【図3】排気浄化装置を示す平面図
【図4】排気浄化装置を示す側面図
【図5】(A)はフィルタ基材に微粒子が堆積する状態を示すイメージ図、(B)は排気ガスの順流、逆流による微粒子の撹乱状態を示すイメージ図
【図6】(A)はパティキュレートフィルタの正面図、(B)はパティキュレートフィルタの側断面図
【図7】微粒子の酸化作用を示す概念図
【図8】酸化除去可能微粒子量とパティキュレートフィルタの温度との関係を示す図
【図9】微粒子の堆積作用を示す概念図
【図10】脱離スモーク濃度−時間図
【図11】脱離スモーク平均濃度−時間図
【図12】弁体が、排気管の軸線に平行となった中立位置にあるときを示す図
【図13】排気浄化装置の変形例を示す図
【符号の説明】
A 排気浄化装置
1 機関本体
2 シリンダブロック
3 シリンダヘッド
4 ピストン
5 燃焼室
6 電気制御式燃料噴射弁
6a 燃料供給管
7 吸気弁
8 吸気ポート
9 排気弁
10 排気ポート
11 吸気枝管
12 サージタンク
13 吸気ダクト
14 排気ターボチャージャ
15 コンプレッサ
16 ステップモータ
17 スロットル弁
18 冷却装置
19 排気マニホールド
20 排気管
21 排気タービン
22 パティキュレートフィルタ(フィルタ)
23 ケーシング
24 EGR通路
25 電気制御式EGR制御弁
26 冷却装置
27 コモンレール
28 燃料ポンプ
29 燃料圧センサ
30 ECU(酸化除去促進手段)
31 双方向性バス
32 ROM
33 RAM
34 CPU
35 入力ポート
36 出力ポート
37 AD変換器
38 駆動回路
39 温度センサ
40 アクセルペダル
41 負荷センサ
42 クランク角センサ
50 排気ガス流入通路
51 排気ガス流出通路
52 栓
53 栓
54 隔壁
60 白金Ptの粒子
61 活性酸素放出剤
62 微粒子
63 残留微粒子部分
64 別の微粒子
70 排気管(機関排気通路)
71 排気切換弁
71a 弁体
72 アクチュエータ
73 バイパス通路(バイパス手段)
75 制御手段
76 第1の排気通路
77 第2の排気通路
100 圧力センサ
102 スモークセンサ(微粒子濃度センサ)
G 酸化除去可能微粒子量
L アクセルペダルの踏み込み量
N 機関回転数
M 排出微粒子量
O 活性酸素
TF パティキュレートフィルタの温度
TQ 要求トルク

Claims (7)

  1. 排気ガス中に含まれる微粒子を除去するために機関排気通路内に配置したフィルタにより排気ガス中の微粒子を一旦捕集し、この捕集した微粒子を酸化除去して前記フィルタの再生を図る内燃機関の排気浄化装置において、
    前記フィルタは、内燃機関が排出する単位時間当たりの機関排出微粒子量が前記フィルタによる単位時間当たりの酸化除去可能微粒子量よりも少ない時は前記捕集した微粒子を輝炎が生じない状態で酸化除去するフィルタであって、
    前記機関排気通路のうち前記フィルタの下流側に設置し当該設置個所における排気ガスに含まれる微粒子の濃度を検出する微粒子濃度センサと、
    この微粒子濃度センサの出力値が特定の設定値を超えた時に前記フィルタ上の微粒子の酸化除去を促進する酸化除去促進手段と、
    を有する内燃機関の排気浄化装置。
  2. 前記酸化除去促進手段は、フィルタの温度を昇温させるものであることを特徴とする請求項1記載の内燃機関の排気浄化装置。
  3. 前記酸化除去促進手段は、フィルタ内を流通する排気ガスの流れを逆転させるものであることを特徴とする請求項1記載の内燃機関の排気浄化装置。
  4. 排気ガス中に含まれる微粒子を除去するために機関排気通路内に配置したフィルタにより排気ガス中の微粒子を一旦捕集し、この捕集した微粒子を酸化除去して前記フィルタの再生を図る内燃機関の排気浄化装置において、
    前記フィルタは、内燃機関が排出する単位時間当たりの機関排出微粒子量が前記フィルタによる単位時間当たりの酸化除去可能微粒子量よりも少ない時は前記捕集した微粒子を輝炎が生じない状態で酸化除去するフィルタであって、
    前記機関排気通路のうち前記フィルタの下流側に設置し当該設置個所における排気ガスに含まれる微粒子の濃度を検出する微粒子濃度センサと、
    前記フィルタの一方側から他方側に向けて排気ガスを流す第1の流れおよび前記他方側から前記一方側に向けて排気ガスを流す第2の流れを交互に切換える排気流切換手段と、
    前記微粒子濃度センサの出力値が特定の設定値を超えた時に前記フィルタ上の微粒子の酸化除去を促進する酸化除去促進手段と、
    を有する内燃機関の排気浄化装置。
  5. 微粒子濃度センサの出力値を瞬間値でまたは時間や距離の所定間隔における平均値で求め、これらの値が前記特定の設定値を超えた場合に前記酸化除去促進手段を作動することを特徴とする請求項1〜4に記載の内燃機関の排気浄化装置。
  6. 排気ガス中に含まれる微粒子を除去するために機関排気通路内に配置したフィルタにより排気ガス中の微粒子を一旦捕集し、この捕集した微粒子を酸化除去して前記フィルタの再生を図る内燃機関の排気浄化装置において、
    前記フィルタは、内燃機関から排出される単位時間当たりの機関排出微粒子量が前記フィルタによる単位時間当たりの酸化除去可能微粒子量よりも少ない時は前記捕集した微粒子を輝炎を生じさせずに酸化除去するフィルタであって、
    前記機関排気通路のうち前記フィルタの下流側に設置され当該設置個所における排気ガスに含まれる微粒子の濃度を検出する微粒子濃度センサと、
    この微粒子濃度センサの出力値が特定の設定値を超えた時に前記フィルタの一方側から他方側に向けて排気ガスを流す第1の流れおよび前記他方側から前記一方側に向けて排気ガスを流す第2の流れを交互に切換える排気流切換手段と、
    前記微粒子濃度センサの出力値が特定の設定値を超えた時に前記フィルタをバイパスさせた状態で前記機関排気通路に排気ガスを流すバイパス手段と、
    を有する内燃機関の排気浄化装置。
  7. 微粒子濃度センサの出力値を瞬間値でまたは時間や距離の所定間隔における平均値で求め、これらの値が前記特定の設定値を超えた場合に前記酸化除去促進手段を作動することを特徴とする請求項6に記載の内燃機関の排気浄化装置。
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