JP3562086B2 - 熱可塑性樹脂押出用フラットダイ及びシート状物製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂押出用フラットダイ及びシート状物製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性樹脂押出用フラットダイに関する。さらに詳しくは、ダイからの押出シートをフィルムを成形する際、シートの押出成形時においてフィルムの厚みむらを小さくすることのできる熱可塑性樹脂押出用フラットダイと、それを用いたシート状物製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
熱可塑性樹脂フィルムを製造するにあたり、厚み均一性は重要な基本品質である。例えば熱可塑性樹脂としてポリエステルを例にとると、ポリエステルフィルムはその優れた特性のため、磁気記録媒体用ベースフィルム、コンデンサなどの電気絶縁用途、プリンターリボンなどのOA用途など、様々な工業用途で用いられているが、これらの用途ではフィルムの厚みについて高度な寸法精度が要求されている。従って、フィルムの厚みむらを小さく抑えることは極めて重要なことである。
【0003】
図1は、二軸延伸する場合の熱可塑性樹脂フィルムの製造装置を示している。図において、熱可塑性樹脂フィルムの製造装置は、樹脂供給装置90と、熱可塑性樹脂押出用フラットダイのダイ本体1と、キャスティングドラム94と、フィルム送り装置95と、フィルム長手方向延伸装置96と、フィルム巾方向延伸装置97と、フィルム搬送装置98と、フィルム巻取装置99とから構成されている。
【0004】
厚みむらが生じる原因としては、樹脂供給装置90から供給された熱可塑性樹脂をダイ本体1から溶融押出してキャスティングドラム94上にシート状に押出する際の吐出量の変動、ダイ本体1とキャスティングドラム94との間の樹脂の膜振動、キャスティングドラム94の回転むら、さらに、フィルム長手方向延伸装置96での延伸の際のロールの温度むらや回転むら、また、フィルム巾方向延伸装置97での延伸の際の装置内の温度むらや風速むらなどがある。
【0005】
そこで従来から厚みむら改善のために種々の方法が提案されている。例えば、溶融樹脂シートを冷却固化するキャスティングドラムの回転むらを抑える方法(特開昭55−93420号公報)や、溶融樹脂をキャスティングドラム上に静電気力で密着させる際に、静電気力を受け易いように樹脂を改質する方法(特開昭59−91121号公報)が提案されているが、いずれも効果が十分でない。
【0006】
また、ダイ本体1とキャスティングドラム94との間の樹脂の膜振動を抑えるために、熱可塑性樹脂の押出粘度を下げて、熱可塑性樹脂の溶融温度を高める方法(特願平6−70789号公報)が提案されている。また、厚みむらを低減する目的以外ではあるが、同様に熱可塑性樹脂を一旦溶融温度以上に加熱してから、溶融温度以下再結晶温度以上に冷却して押出す方法(特開平4−347617号公報)が提案されている。しかし、本発明者らの検討では、熱可塑性樹脂の吐出量が小さい場合はこれらの方法は有効であるが、実際の生産ラインのような高い吐出量に適用した場合、熱可塑性樹脂内の熱伝導が律則となり十分に熱可塑性樹脂を冷却できないことが明らかになった。なお、後者(特開平4−347617号公報)においては、複数の樹脂を積層構成にする記載があるが、機能性を持たせるために異なる熱可塑性樹脂を積層するためのものであり、複数の押出機を必要とする構成である。さらに、本発明者らの検討では、熱可塑性樹脂の押出温度を下げることにより、シート状物にすじ状の厚み斑が発生しやすくなり、著しくシート状物の品質を悪化させるという問題点が存在することが明らかとなった。
【0007】
さらに、一般に熱可塑性樹脂を融点以下で押し出す方法としては、例えば、特公昭53−11980号公報、特公昭53−19625号公報、特公平1−55087号公報を挙げることができる。しかし、これらの方法はサーキュラーダイを用いるものであり、サーキュラダイの場合、円筒状に吐出されるため、端が無く融点以下に冷却しても流れを乱しにくいが、フラットダイを用いた場合、端の方が先に固化しやすく、流れを乱しやすいという問題がある。また、これらの公報は、ダイのランド部以前に熱可塑性樹脂を融点以下に冷却し、冷却の済んだ樹脂をランド部に供給する構成を取っており、さらに言えば、サーキュラダイ内部で融点以下に冷却して、熱可塑性樹脂を固化させてから、ランド部に供給してせん断をかけながら押し出すものである。そのため、非常に高い押出圧力を必要とし、通常の押出機では押出が困難であり、高圧力用の特殊な押出機を必要とするものであり、押出安定性に劣るものである。さらに、フラットダイ本体への負荷が大きく、変形、耐久性低下の原因になる。また、このように固化した熱可塑性樹脂を広幅に拡幅することは困難を極め、拡幅できたとしても、流れのむらから厚み精度の悪いものとなってしまう。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このようにフィルムの厚みむらを改善する要求は強く、そのために種々の改善方法が提案されてきたが、その効果はまだ十分ではない。本発明の目的は、このような要求に対し、厚み精度の優れたフィルムの製造を可能とする押出用フラットダイを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的に沿う本発明の熱可塑性樹脂押出用フラットダイは、溶融した熱可塑性樹脂をスリット部からシート状に押し出すフラットダイであって、
前記フラットダイに送られる前に融解終了温度(Tme)以上に加熱溶融された熱可塑性樹脂を、前記フラットダイのマニホールド部内でフラットダイ巾方向に拡幅するまで前記Tme以上の温度に保温する保温用ヒータと、
フラットダイのランド部の少なくとも一方に設けられ、前記熱可塑性樹脂をTme未満で、かつ、降温時結晶化開始温度(Tcb)以上の温度に冷却する、少なくとも1つの冷却手段と、
を備えたことを特徴とするものからなる。
【0010】
上記フラットダイは、上記冷却手段を設けたスリット部近傍のランド部に、温度を測定するための少なくとも1つの温度測定センサーを備え、前記冷却手段には、前記温度測定センサーの測定結果に基づき前記熱可塑性樹脂の温度を制御するための温度コントローラユニットを接続することが好ましい。上記冷却手段は、前記ランド部の熱可塑性樹脂接触面から50mm以内に設けることが好ましく、より好ましくは20mm以内である。
【0011】
さらに、本発明に係る熱可塑性樹脂押出用フラットダイは、溶融した熱可塑性樹脂をスリット部からシート状に押し出すフラットダイであって、
熱可塑性樹脂をフラットダイ巾方向に拡幅するための少なくとも2つのマニホールド部と、
前記フラットダイに送られる前に融解終了温度(Tme)以上に加熱溶融された熱可塑性樹脂を、前記各マニホールド部内でフラットダイ巾方向に拡幅するまで前記Tme以上の温度に保温する保温用ヒータと、
前記各マニホールド部に接続された分岐スリット部と、該分岐スリット部が合流し前記熱可塑性樹脂をフラットダイから最終的に押し出すための合流スリット部からなるスリット部と、
前記スリット部を構成するフラットダイのランド部の少なくとも一方に設けられ、前記熱可塑性樹脂の温度をTme未満で、かつ、降温時結晶化開始温度(Tcb)以上に冷却する、少なくとも1つの冷却手段と、
を備えたことを特徴とするものからなる。
【0012】
上記フラットダイでは、前記合流スリット部に、前記熱可塑性樹脂をフラットダイ巾方向に流し得るサブマニホールド部を備えると好ましい。さらに、前記フラットダイの巾方向に対する前記サブマニホールド部の断面積が、前記マニホールド部の断面積の総和の50%より小さいことと好ましい。さらに、フラットダイから押し出した熱可塑性樹脂のシート状物のフラットダイ巾方向における厚み斑を修正するために、前記熱可塑性樹脂をフラットダイから押し出すためのスリット部の出口部の間隙を変化させ得るリップ可撓部高さをSとし、該出口部に至るスリット部のランド部長さをLとすると、L<3×Sを満たすことが好ましい。
【0013】
さらに、前記スリット部を流れる熱可塑性樹脂をフラットダイ巾方向にn等分した場合の区分巾当たりの各流量をqi (i=1,‥,n)とし、n等分の区分巾当たりの平均流量をq0 とすると、均一指数Uを、
Figure 0003562086
で定義し、前記サブマニホールド部に流入する前のスリット部のそれぞれを流れる熱可塑性樹脂の均一指数をUで示し、さらに、前記熱可塑性樹脂をフラットダイから最終的に押し出す部分に位置するスリット部を流れる熱可塑性樹脂の均一指数をUで示すと、
前記均一指数Uが0.30以下であり、かつ、前記均一指数Uが0.05以下を満たす前記マニホールド部の形状、前記サブマニホールド部の形状、および、前記スリット部の形状を有することが好ましい。
【0014】
さらに、前記熱可塑性樹脂のフラットダイ入口部の圧力が、25N/mm以下であることが好ましい。上記フラットダイでも、上記冷却手段を設けたスリット部近傍のランド部に、温度を測定するための少なくとも1つの温度測定センサーを備え、前記冷却手段には、前記温度測定センサーの測定結果に基づき前記熱可塑性樹脂の温度を制御するための温度コントローラユニットを接続することが好ましい。上記冷却手段は、前記ランド部の熱可塑性樹脂接触面から50mm以内に設けることが好ましく、より好ましくは20mm以内である。
【0015】
さらに、本発明に係る熱可塑性樹脂押出用フラットダイは、溶融した熱可塑性樹脂をスリット部からシート状に押し出すフラットダイであって、
前記フラットダイに送られる前に融解終了温度(Tme)以上に加熱溶融された熱可塑性樹脂を、前記フラットダイのマニホールド部内でフラットダイ巾方向に拡幅するまで前記Tme以上の温度に保温する保温用ヒータと、
前記熱可塑性樹脂をTme未満、降温時結晶化開始温度(Tcb)以上の温度に冷却する冷却手段を内部に有し、ランド部を構成するダイの部材に接するように設けられた冷却アダプターと、
を備えたことを特徴とするものからなる。
【0016】
このフラットダイにおいても、上記スリット部近傍のランド部に、温度を測定するための少なくとも1つの温度測定センサーを備え、前記冷却手段には、前記温度測定センサーの測定結果に基づき前記熱可塑性樹脂の温度を制御するための温度コントロールユニットを接続することが好ましい。
【0017】
ここで、上記冷却手段は、たとえば、ダイ巾方向に熱媒体が通過し得る少なくとも1つの孔から構成され、また、上記ランド部を構成するダイの部材には、少なくとも1本のヒートパイプを設けることが好ましく、さらに、前記ヒートパイプの少なくとも一端に、冷却手段を連結すればより好ましいものとなる。
【0018】
また、前記押出用フラットダイには、前記温度測定センサーと、前記温度コントロールユニットを接続した前記冷却手段とを一対にして、ダイ巾方向に少なくとも2つ配置されており、該温度コントロールユニットには、フラットダイ巾方向についてフラットダイから押し出した熱可塑性樹脂のシート状物の厚みを測定する厚さ計と、該厚さ計より得られたシート状物の厚みデータを基にシート状物の厚みむらに対応する位置の該温度コントロールユニットを制御するための制御信号を演算する演算部とを接続することが好ましい。
【0019】
上記冷却手段としては、例えば、前記熱可塑性樹脂が前記ランド部を流れる方向と実質的に同じ方向に熱媒体が通過可能な少なくとも1つの孔から構成される。
【0020】
さらに、本発明に係るフラットダイでは、前記マニホールド部を構成するダイ部材と、ランド部を構成するダイ部材との間に断熱部を設けることが好ましい。
【0021】
さらに、本発明に係る熱可塑性樹脂押出用フラットダイは、前記熱可塑性樹脂をフラットダイから最終的に押し出す部分に位置するスリット部の出口部近傍に、前記フラットダイから押し出した熱可塑性樹脂の厚み方向に表面から全厚みの30%以内において、より好ましくは10%以内において、融解終了温度(Tme)以上に熱可塑性樹脂を加熱するための加熱用ヒータを設けることが好ましい。より好ましい温度は、Tme+10℃以内である。
【0022】
また、本発明に係る熱可塑性樹脂押出用フラットダイは、熱可塑性樹脂と接する部分の表面粗さが、JIS規格(B−0601)で1S以下であることが好ましく、さらに、0.2S以下であればより好ましいものとなる。
【0023】
さらに、本発明に係る熱可塑性樹脂押出用フラットダイは、前記熱可塑性樹脂をフラットダイから最終的に押し出す部分に位置するスリット部出口部の稜線部の断面形状が、曲率半径50μm以下の丸みを有する形状に形成されていることが好ましく、さらに、曲率半径10μm以下であればより好ましいものとなる。
【0024】
また、本発明に係るシート状物製造方法では、前記フラットダイから熱可塑性樹脂を押出開始前は、前記温度センサーにより測定された温度が溶融終了温度(Tme)以上になるように温度設定しており、前記フラットダイから熱可塑性樹脂を押出開始後は、前記温度測定センサーにより測定された温度がTme未満で、かつ、降温時結晶化開始温度(Tcb)以上の温度に熱可塑性樹脂を冷却することを特徴とする方法からなる。
【0025】
さらに、本発明に係るシート状物製造方法では、前記フラットダイからの熱可塑性樹脂の押出量が所定の運転条件時は、つまり、押出量が予め定められた範囲内にあるときは、前記温度測定センサーにより測定された熱可塑性樹脂の温度がTme未満で、かつ、降温時結晶化開始温度(Tcb)以上になるように熱可塑性樹脂を冷却し、一方、前記熱可塑性樹脂の押出量が所定の運転条件以下(上記範囲未満)の場合には、前記温度センサーにより測定された熱可塑性樹脂の温度が溶融終了温度(Tme)以上になるように熱可塑性樹脂を加熱することを特徴とする方法からなる。
【0026】
本発明者らは鋭意研究の結果、キャストフィルム(キャストシート)の厚みむらの原因は、ほとんどが熱可塑性樹脂樹脂をシート状に押し出す際のダイと冷却ドラム間の膜振動であるということを突き止めた。本発明は、熱可塑性樹脂を適切に低温化することにより高剛性化して膜振動を抑え、厚みむらを顕著に改善したフィルムを得るためのフラットダイを提供するものである。
【0027】
本発明における融解終了温度(Tme)、降温時結晶化開始温度(Tcb)はDSCによって決定することができる。DSCとは熱分析で通常用いられる示差走査熱量測定法のことであり、物質の融解、結晶化、相転移、熱分解等の状態変化を伴う吸熱、発熱を測定する方法である。DSCにて熱可塑性樹脂の昇温時の融解温度、降温時の結晶化温度を測定する場合、公知の方法を用いることができるが、ここで注意する点は測定時の昇温、冷却速度である。例えば、融解温度を測定する場合、昇温速度が高すぎると融解温度は高温側にずれてしまう。逆に昇温速度が低すぎると、融解温度は低温側にずれてしまう。実際の押出条件を選定する上で、好適な昇温温速度としては、通常10〜30℃/分である。
【0028】
本発明においては、熱可塑性樹脂はDSCにおける融解時の吸熱ピークの終了温度(Tme)以上に加熱して溶融状態にする必要がある。この工程は通常、押出機内で行われる。樹脂温度が融解時の吸熱ピークの開始温度(Tmb)以下であれば樹脂は流動性がほとんどなく、押出できない。また、樹脂温度がTmbより高くてもTme未満であれば未溶融物が残るため、そのままではフィルタの目詰まり、成形後のフィルムの異物欠点等が生じるため好ましくない。従って樹脂の加熱溶融は未溶融物のない完全な溶融状態にするためにTme以上、好ましくは(Tme+10℃)以上の温度で行う必要がある。
【0029】
本発明におけるフラットダイとしては、特に限定はされないが、例えば、澤田慶司著「プラスチックの押出成形とその応用」(誠文堂新光社)に説明されているような、内部に円筒状の溝(マニホールド)を有するマニホールドダイ、魚の尾のような形状をしたフィッシュテールダイ、その中間の形状をしたコートハンガーダイのいずれでもよい。フラットダイは、通常、溶融樹脂を巾方向に拡げるダイホッパーと呼ばれる部分と、樹脂を巾方向に拡げた後、目的の形状に整形する最終部分であり、かつ、一定のスリット間隙を有する平行部分であるスリット部を形成するランド部と呼ばれる部分から構成される。樹脂はこのスリット部を通過した直後に冷却ドラム上に押し出される。この際、シート状の溶融樹脂を、静電気を印加することによりドラム上に密着させて急冷固化する方法が好ましく用いられる。
【0030】
従来の熱可塑性樹脂の押出成形によるシート状物の製造方法では、押出機内において、融点以上に加熱溶融された樹脂は、フィルター、ギヤポンプ等を連結するパイプ中を通りフラットダイに送られる。フラットダイに送られた樹脂は、フラットダイ内で目的の形状に形成された後、押し出される。この押出の際の樹脂温度は、通常、融解終了温度(Tme)以上である。これに対し本発明では、樹脂は融解終了温度(Tme)未満、降温時結晶化開始温度(Tcb)以上の温度にまで冷却される。そして、この冷却はフラットダイ内部のランド部で行われることが必要である。もし、冷却が、熱可塑性樹脂がフラットダイに入る以前に行われると、粘度の上昇、流動性の悪化が生じてしまい、その結果、押出異常や流れ異常が生じたり、押出機、フィルター、ギアポンプに負荷をかけすぎ、変形または寿命の低下を引き起こすので好ましくない。また、フラットダイ中でも、熱可塑性樹脂をフラットダイ巾方向に拡幅するマニホールド部で冷却を行うことは、樹脂が目的の形に成形される過程であり、温度むら、流れ異常を生じる原因となるため、好ましくない。特に、フラットダイでは樹脂の流路長が巾方向において異なるため、冷却時間の違いから熱履歴が均一でなくなり、巾方向の温度むらが生じたりするため、成形性が悪化したり、十分な厚みむら改善効果が得られないばかりか、逆に厚みむらが悪くなる場合もあるため、上記のような熱可塑性樹脂をフラットダイ巾方向に拡幅するマニホールド部での冷却は好ましくない。これに対し、冷却をフラットダイのランド部で行うことは、樹脂が巾方向に拡大され、押し出される形状に成形された後での冷却となり、均一な冷却が可能となる。ランド部はダイ中で最も間隙の狭い部分であり、熱交換率が高く、効果的な冷却を行うために好適な部位である。また、樹脂は、冷却後すぐに押し出されるため、粘度上昇に伴う濾圧上昇や押出異常も最小限に抑えることができる。
【0031】
本発明において、スリット部での樹脂の冷却はTme未満、Tcb以上で行う必要がある。溶融状態にある樹脂をTme未満に冷却しても短時間では固化しない、いわゆる過冷却の液相状態を保つことができる。この状態の樹脂は粘度が高く、ランド部から押し出された後のダイと冷却ドラム間の膜振動や外乱に対して安定であり、長手方向の厚みむらの小さなシートやフィルムを得ることができる。樹脂を高粘度化するためには、高分子量化する方法、増粘剤を添加する方法も考えられる。しかしながら、これらの方法はもはや違う樹脂となってしまうため好ましくない。これに対し、本発明のダイを用いることは、現行のフィルムの製造に用いている樹脂、装置がそのまま使え、しかも厚みむらの少ないフィルムが得られるという点で優れている。また、冷却は樹脂の降温時結晶化開始温度(Tcb)以上の温度までにとどめる必要がある。Tcbよりも低い温度になると樹脂は結晶化し始め、押し出されたフィルムの表面荒れ、押出異常、流れむらを生じたり、経時で固化し、押出不可能となるおそれがあるため好ましくない。ダイのランド部を上記所定範囲内の温度に設定することで、製品の品質を低下させることなく、厚み均一性に優れたフィルムを得ることができる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の望ましい実施の形態を、図面を参照して説明する。
図2に、本発明の一実施態様に係る熱可塑性樹脂押出用フラットダイを示す。図において、熱可塑性樹脂押出用フラットダイは、主に、ダイ本体1と、ダイ保温用ヒータ2と、冷却手段3とから構成されている。ダイ本体1は、図1に示した樹脂供給装置90に連結されており、この樹脂供給装置90には、押出機91、フィルター92a、92b、ギアポンプ93、および、それぞれを連結するパイプが必要に応じて適宜配備される。樹脂供給装置90内の熱可塑性樹脂は、押出異常や流れ異常を防ぐため、ヒーター等により温度をTme以上に昇温する必要がある。
【0033】
そして、樹脂供給装置90から供給された熱可塑性樹脂は、まずダイ本体1の内部に設けられたマニホールド部10に流入する。そして、マニホールド部10内でダイ本体1の巾方向に拡幅後、スリット部11を通過することでフィルム状(シート状)に成形され、押し出される。その際、マニホールド部10内を流動する熱可塑性樹脂は、ダイ保温用ヒータ2により温度をTme以上に保温する。ダイ保温用ヒータ2の設置場所としては、スリット部11の樹脂は温度をTme未満、Tcb以上まで冷却させる必要があるため、マニホールド部10近傍のみを保温する位置が好ましい。
【0034】
次に、温度がTme以上の熱可塑性樹脂は、スリット部11を通過する際に冷却手段3により温度がTme未満、Tcb以上まで冷却される。この場合、熱可塑性樹脂の供給量、温度が既知であり、また、ダイ本体1の設定温度も既知であれば、冷却手段3は、経験的、または、計算値に基づき予め定められた冷却能力に設定すればよい。しかしながら、より高精度に熱可塑性樹脂の温度をTme未満、Tcb以上まで冷却するには、図3に示すように、温度測定センサー4をスリット部11近傍のランド部13に設け、温度測定センサー4により得られた温度測定結果を温度コントロールユニット5に伝送し、温度コントロールユニット5内で変換した制御信号を基に、熱可塑性樹脂の温度が所定のTme未満、Tcb以上になるように冷却手段3をコントロールする。熱可塑性樹脂の温度の測定については、直接樹脂を測定できれば好ましいが、一般には品質を悪化させるため、温度測定センサー4はスリット部11近傍のランド部13内に備える。また、冷却手段3は、ランド部のポリマ接触面から50mm以内、より好ましくは20mm以内であれば効率よく樹脂を冷却することができる。また、ダイ巾方向の厚みむらを調整するフィルム厚み調整手段14を併設すれば、より厚み精度の良好なフィルムを得ることができる。
【0035】
図2、図3では、スリット部11を形成するランド部12、13について、ランド部13に冷却手段3を、また、ランド部12にフィルム厚み調整手段14を設けたが、これらは特に限定するものではなく、冷却手段3は、ランド部12、13の両方に設けてもよく、またランド部12のみに設けてもよい。フィルム厚み調整手段14を配置する場合は、公知の調整方法、例えば、ボルトを回転させることでスリット間隙を変化させる方式、また、スリット間隙調整ボルト等の熱膨張を利用してスリット間隙を調整する方式、さらに、ヒータで熱可塑性樹脂を加熱し、樹脂粘度を変化させる方式を用いることができる。
【0036】
図15に、本発明の別の実施態様を示す。図15は、厚みの厚いシート状物の生産、または、製膜速度の高速化に対応するため、熱可塑性樹脂の吐出量を増加させても、樹脂温度を効率良くTme未満、Tcb以上まで冷却できるフラットダイを提供するものである。
【0037】
例えば図2のフラットダイで、熱可塑性樹脂の温度を効率良くTme未満、Tcb以上まで冷却するには、冷却手段3と熱可塑性樹脂接液部までのダイ内部の熱伝導と、熱可塑性樹脂接液部での熱伝達と、熱可塑性樹脂間の熱伝導とを充分に行う必要がある。本発明者らによる鋭意検討の結果、そのうち特に熱可塑性樹脂間の熱伝導の効率化、高速化がポイントであり、そのため、熱可塑性樹脂の吐出量を増加させても効率よく樹脂温度を所定の温度まで冷却させるには、スリット部の間隙を狭くし、スリット部のランド長を長くする必要がある。しかしながら、本発明のフラットダイでは、熱可塑性樹脂の温度をTme未満、Tcb以上まで冷却するため、樹脂粘度が本来大幅に増加し、その結果、フラットダイ内部の圧力も大幅に増加する。そのため、スリット部の間隙を狭くし、ランド長を長くすれば、さらに、フラットダイ内部の圧力が増加し、実際の生産条件における許容範囲を越え、実際の生産に使用できないものとなる。
【0038】
そこで、図15のフラットダイは、これらの問題を解消するためのものであり、マニホールド部10a、10bを少なくとも2つ設けることで、スリット部11a、11b(分岐スリット部)での樹脂の流速を低下させ、かつ、冷却手段3を複数(図15では、3c,3d,3e,3f,3g)設けることで効率よく冷却することができ、さらに、フラットダイ内部の圧力も実際の生産条件における許容範囲内にすることができる。フラットダイ内部の許容圧力としては、フラットダイ入口部で、25N/mm以下が好ましく、この25N/mm以下を満たすマニホールド部の形状、マニホールド部の数、スリット部の間隙、スリット部のランド長さを決定すればよい。ここで、マニホールド部10a、10bに熱可塑性樹脂を供給する方法としては、フラットダイに熱可塑性樹脂を流入させ、その後流路を分岐することで各マニホールド部10a、10bに熱可塑性樹脂を供給してもよいし、また、フラットダイに熱可塑性樹脂を流入させる前に流路を分岐し、各マニホールド部10a、10bに熱可塑性樹脂を供給してもよい。図15における11aaは、分岐スリット部11a、11bが合流した合流スリット部であり、ここから最終的に熱可塑性樹脂が押し出される。
【0039】
さらに、図16に本発明の別の実施態様を示す。図2と図15において、フィルム厚み調整手段14が同一仕様で、同一の操作方法で同一の操作量を行った場合、マニホールド部からスリット部出口までのランド長が長い図15のフラットダイの方が、スリット部での圧力変化の割合が小さくなるため、その結果、熱可塑性樹脂の押出量の変化の割合も小さく、すなわち、シート状物の厚み調整がしにくいフラットダイと言える。そこで、図16に示すように、複数のスリット部11a、11b、11cが合流した後のスリット部11aaに、サブマニホールド部10aaを設けることで、前記熱可塑性樹脂はフラットダイ巾方向に容易に流れ得るものとなる。その結果、図16のフラットダイは、実質図2のマニホールド部とスリット部と同様に前記熱可塑性樹脂がフラットダイ巾方向に容易に流れ得るため、図16のフラットダイは、フラットダイ巾方向においても図2のフラットダイと同様な厚み調整が可能となる。なお、サブマニホールド部10aa内の熱可塑性樹脂は、事前にスリット部11a、11b、11cで、略均一に温度をTme未満、Tcb以上まで冷却しているため、サブマニホールド部10aa内をフラットダイ巾方向に流れても、実質熱可塑性樹脂の温度差を招くこと無く、即ち製品の品質を低下させることなくシート状物の成形が可能となる。つまり、図16のフラットダイでは、熱可塑性樹脂を効率良く冷却できるため、シート状物の長手方向の厚みむらの原因となる熱可塑性樹脂の膜振動を防止でき、かつ、フラットダイ巾方向の厚み調整も容易なため、優れた厚み精度のシート状物が得られるフラットダイと言える。
【0040】
ここで、図16のフラットダイの巾方向の垂直断面において、サブマニホールド部10aaの断面積が、マニホールド部10a、10b、10cの断面積の総和に比べ、50%より小さく、より好ましくは30%より小さければ、サブマニホールド部10aaで熱可塑性樹脂の必要以上の滞留を招くこと無くシート状物を得ることが可能となる。さらに、合流スリット部のランド長さをLとし、サブスリット部の間隙を変化させるリップ可撓部高さをSとすると、L<3×Sであれば、シート状物の厚み調整が容易であり、さらに好ましい。
【0041】
図16では、さらにスリット部、および、合流スリット部を流れる熱可塑性樹脂をダイ巾方向に等分にn等分した場合の区分巾当たりの各流量をqi (i=1,‥,n)とし、n等分した場合の区分巾当たりの平均流量をq0 とすると、均一指数Uを下記式で定義し、
Figure 0003562086
スリット部11a、11b、11cのそれぞれを流れる熱可塑性樹脂の均一指数Uが、0.30以下を満たすマニホールド部10a、10b、10cの形状と前記スリット部11a、11b、11cの形状であり、かつ、熱可塑性樹脂をフラットダイから押し出すためのスリット部11aaを流れる熱可塑性樹脂の均一指数Uが、0.05以下を満たす前記サブマニホールド部10aaの形状と熱可塑性樹脂をフラットダイから押し出すためのスリット部11aaの形状であることが好ましい。
【0042】
本発明のフラットダイでは、複数のマニホールド部を有するものの熱可塑性樹脂は1種類であり、最終的には熱可塑性樹脂はサブマニホールド部で合流するため、合流前のスリット部では概略の均一性とし、サブマニホールド部を流れることで合流後は所定の均一性を保つことが可能となる。
【0043】
一方で、高度な厚み精度のシート状物が必要な場合には、複数のスリット部出口までに熱可塑性樹脂の温度をそれぞれTme未満、Tcb以上まで冷却を完了し、複数のスリット部からサブマニホールド部に流入した熱可塑性樹脂の温度を均一にすれば、すなわち、樹脂粘度も均一となり、シート状物の厚み調整も容易に行うことが可能となる。
【0044】
図4に、本発明の別の実施態様を示す。冷却手段3を内部に設けた冷却アダプター63をスリット部11近傍のランド部12に接触させ冷却する。この方法では、既存のダイをほとんど改造すること無しに厚み精度の優れたフィルムを得ることができる。冷却手段3は、経験的に、または計算値に基づき予め定められた冷却能力に設定すればよいが、より高精度に熱可塑性樹脂の温度をTme未満、Tcb以上まで冷却するには、図5に示すように、ランド部12のスリット部近傍に設けた温度測定センサー4により測定された温度データを、温度コントロールユニット5に伝送し、温度コントロールユニット5で変換した制御信号により、冷却手段3をコントロールする。冷却アダプター63の材質は熱伝導性のよいアルミニウム、銅等が好ましく、また、形状もダイ本体と接触面積が大きい方が効果的であり、さらに、接触面の密着性も、冷却アダプター63とランド部12の間に、公知の高伝熱性の物質を塗布すれば、より冷却性を向上できる。また、ダイ巾方向の厚みむらを調整するフィルム厚み調整手段14を併設すれば、より厚み精度の良好なフィルムを得ることができる。
【0045】
図5では、冷却アダプター63をランド部12のみに設置する例を示したが、さらに、ランド部13もランド部12と同様な形状にし、冷却アダプターを設ければ、より効率よく冷却できる。フィルム厚み調整手段14は、公知の調整方式を適宜備えればよい。また、冷却アダプター63は、図6に示すようにランド部13に冷却手段3bを備えた方式(図2または図3に示した方式)と併用でき、熱可塑性樹脂の押出量が多い時、さらに、樹脂温度が高い時に効率よく冷却できる。つまり、冷却アダプター63内の冷却手段3aと、ランド部13内に埋設した冷却手段3bを併用し、それらを温度測定センサー4a、4bを介して温度コントロールユニット5a、5bで制御する。
【0046】
冷却手段3の一実施態様として、図7にダイ巾方向に熱媒体を通過し得る少なくとも1つ以上の孔20a、20bを配置したものを示す。孔20a、20bは、ランド部12、13の少なくとも一方に、スリット部11の近傍に配置している。孔20a、20bには、図8に示すようにダイの一端から熱媒体を流入し、孔20a、20bを通過する熱媒体により樹脂を冷却する。図8の例では、温度測定センサー4により測定された温度データを温度コントロールユニット5に伝送し、温度コントロールユニット5で変換した制御信号を用いてコントロールバルブ21により通過する熱媒体の流量をコントロールする。その結果、スリット部の樹脂を所定の温度まで冷却できる。また、図9に示すように少なくとも1本以上のヒートパイプ61a、61bを併設すれば、ランド部12、13を均一に冷却でき、その結果、樹脂も均一冷却できるので好ましい。さらに、図10に示すようにヒートパイプ61a、61bの一端に、それぞれ冷却手段62a、62bを併設すればさらに効果的である。熱媒体としては、空気、水等各種の気体、液体を使用条件に合わせて用いることができる。
【0047】
なお、図8では熱媒体をダイの一端から流入する例を示したが、熱媒体の流入位置は、ダイ巾方向の任意の位置から流入してもよく、例えば、ダイの巾が広く、ダイ巾方向で温度むらが生じる場合には、図7に示す孔20aと孔20bへの熱媒体の流入位置を、ダイの互いに異なる一端よりそれぞれ流入させれば温度むらを減少できる。さらに、孔20a、20bのそれぞれの孔について、ダイの両端より相互に流入させればさらに均温化が図れる。また、図8では、熱媒体の流量をコントロールする例を示したが、熱媒体の温度をコントロールしてスリット部の樹脂を所定の温度まで冷却してもよい。
【0048】
図11に示す例では、さらに、図8に示した熱媒体を通過し得る少なくとも1つ以上の孔20a、20bがダイ巾方向に少なくとも2分割以上に分割された構成とされ(孔20c、20d)、それぞれの孔20c、20dを通過される熱媒体について、温度測定センサー4c、4dにより測定された温度データを温度コントロールユニット5c、5dに伝送し、温度コントロールユニット5c、5dで変換した制御信号により、コントロールバルブ21c、21dで通過する熱媒体の流量をそれぞれコントロールする。
【0049】
また、図11では、熱媒体が通過し得る孔20c、20dがダイ巾方向に2分割(以上)とされ、それぞれの孔に対応する位置の樹脂温度を測定し、個別に熱媒体の流量を制御できるため、スリット部を冷却する際、ダイの巾方向の温度むらが抑制でき、その結果、とくに巾方向に均質なフィルムを得ることができる。なお、図11は、ダイ巾方向に2分割の例を示したが、さらに分割数を増やせば効果的である。
【0050】
図12は、本発明の別の実施態様を示している。冷却手段をダイ巾方向に5つ配置した例であり、冷却手段31、32、33、34、35にはそれぞれ温度測定センサー41、42、43、44、45を配置し、温度コントロールユニット51、52、53、54、55を接続している。さらに、温度コントロールユニットには、ダイ1から押し出されたシートから後の工程によって成形されたフィルムの巾方向の厚みを測定するフィルム厚さ計7と、フィルム厚さ計7により得られたデータを基にフィルム厚みむらに対応する位置の温度コントロールユニットを制御するための計算機である演算部6を接続している。
【0051】
また、図12では、樹脂温度をTme未満、Tcb以上の範囲内に冷却することで、フィルム長手方向の厚みむらの小さなフィルムを得ることができることに加え、樹脂温度をダイ巾方向においてTmeとTcbの間で変化させることで樹脂に粘度差を発生させ、その粘度差を利用して樹脂の押出量を調整し、フィルム巾方向の厚みむらの小さいフィルムをも得ることができるものである。具体的には、まず、樹脂温度がTme未満、Tcb以上の範囲内となるように、温度測定センサー41〜45により測定された温度データを温度コントロールユニット51〜55に伝送し、温度コントロールユニット51〜55で変換した制御信号により冷却手段31〜35をコントロールする。一方、フィルム厚さ計7で測定したフィルム巾方向の厚みむら測定結果に基づき、例えば、フィルム厚みが厚いところは、対応する位置の温度コントロールユニットに、現行の制御信号に加え樹脂温度がTme未満、Tcb以上の範囲内で冷却手段の冷却能力をさらに増大させるように演算部6により制御信号を伝送し、その結果、樹脂の粘度を大きくすることでスリット部を通過する流量を減少させ、フィルム厚みを薄くする。逆に、フィルム厚みが薄いところは冷却手段の冷却能力を減少させ、フィルム厚みを厚くするものである。
【0052】
図13は、図12の冷却手段の一実施態様を示している。冷却手段として、熱媒体が通過し得る孔22a、22bを熱可塑性樹脂がランド部を流れる方向と実質的に同じ方向に設けており、それぞれの孔22a、22bには、温度測定センサー4a、4bにより測定された温度データを温度コントロールユニット5a、5bに伝送し、温度コントロールユニット5a、5bで変換した制御信号により、コントロールバルブ21a、21bを通過する熱媒体の流量をコントロールする。
【0053】
ここで、孔22a、22bを樹脂がランド部を流れる方向と同様の向きに設ける理由は、孔22a、22bは前述の通りフィルム巾方向の厚みむらを調整する機能が必要なため、当然ながら巾方向の孔の設置数は密であるほど厚みむら調整は高精度にできる。そのため、図8、図11に示した様にダイ巾方向に熱媒体を通過し得る孔に比べ、図13の示す様に樹脂がランド部を流れる方向と同様の向きに設ける方が、冷却手段をダイ巾方向において構造上密に配置でき、また、熱可塑性樹脂がスリット部を流れる際に効率よく冷却できる。
【0054】
図13には、熱媒体を通過し得る孔をランド部12、13の両方に設ける例を示したが、冷却能力に余裕がある場合にはどちらか一方でもよく、また、ダイ巾方向の厚みむらを調整する公知のフィルム厚み調整手段14を併設すれば、より厚み精度の良好なフィルムを得ることができる。なお、図示していないが、孔22a、22bのそれぞれをダイ巾方向に多数設けた際、孔と孔の間に、例えば、スリットの様な断熱部を設ければ、ダイ巾方向について樹脂の温度差をつけやすくなり、さらに効果的にダイ巾方向の厚みむらを小さくすることができる。
【0055】
図14に、本発明の別の実施態様を示す。本発明では前述の通り、マニホールド部を流動する熱可塑性樹脂温度はTme以上に保つ必要があり、一方、スリット部に流入した樹脂は、温度をTme未満、Tcb以上まで冷却する必要がある。そのため、ダイ本体のマニホールド部とスリット部の間で温度差を設けることは極めて重要となる。そこで、図14に示すようにマニホールド部10を構成する部材とランド部12、13を構成する部材との間に断熱部60a、60bをダイ全巾に渡って設けると、マニホールド部近傍とスリット部近傍との間で熱流を遮断できるため、マニホールド部の熱可塑性樹脂の温度を容易にTme以上に保温できると共に、スリット部の熱可塑性樹脂の温度をTme未満、Tcb以上に容易に冷却することができる。
【0056】
断熱部60a、60bは、ダイ本体部材を切削することでスリット部を形成するものや、該スリット部に外部よりエア等の冷媒を流し、強制冷却しても効果的である。また、公知のガラスウール、ロックウール等の断熱材をスリット部に組み込んでもよい。
【0057】
図17に、本発明の別の実施態様を示す。本発明の熱可塑性樹脂は、温度をTme未満、Tcb以上に冷却するため、熱可塑性樹脂の種類によっては、シート状物にすじ状の厚み斑が発生しやすくなる。この場合の対策としては、前記フラットダイから熱可塑性樹脂を押し出すスリット部出口近傍に、前記フラットダイから押し出した熱可塑性樹脂の厚み方向で、表面からの厚みが全厚みの30%以内において、より好ましくは10%以内において、融解終了温度(Tme)以上に熱可塑性樹脂を加熱するための加熱用ヒータ80を設けると好ましい。この場合、熱可塑性樹脂表面の温度はTme以上になるため、膜振動は全厚みをTme以下にする場合に比べ多少大きくなるが、シート状物の製品品質を低下させることなく生産が可能となる。
【0058】
また、シート状物のすじ状の厚み斑対策として、さらに鋭意検討した結果、前記フラットダイの熱可塑性樹脂と接する部分の表面粗さを、JIS規格(B−0601)で1S以下、より好ましくは、0.2S以下にするとシート状物のすじ状の厚み斑が激減し、その結果、生産性が大巾に向上することが可能となった。
【0059】
さらに、図18に本発明の別の実施態様を示す。図18に示すように、熱可塑性樹脂を押し出すためのスリット部出口部の稜線部(ランド部12、13の断面における下端角部)の断面形状を示すR寸法を、曲率半径で50μm以下、より好ましくは半径で10μm以下にするとシート状物のすじ状の厚み斑がさらに減少し、シート状物の品質、生産性がさらに向上することが判明した。
【0060】
また、本発明のシート状物の製造方法としては、実際に熱可塑性樹脂をフラットダイから押し出しを開始する際には、熱可塑性樹脂の押出量は生産安定時に比べ少ないため、冷却手段の運転条件が生産安定時の運転条件時と同一設定では、熱可塑性樹脂はTcb以下となり固化する場合がある。そこで、固化を防止するため、溶融した熱可塑性樹脂を前記フラットダイから押し出しを開始する前までは、前記温度センサーにより測定された温度がTme以上になるように温度設定しており、一方、熱可塑性樹脂が前記フラットダイから押し出しを開始した後には、熱可塑性樹脂の温度をTme未満、Tcb以上に冷却すれば、熱可塑性樹脂が固化すること無く安定してシート状物を得ることができるという知見を得た。
【0061】
さらに、実際の生産において、シート状物の破れ等で前記フラットダイからの熱可塑性樹脂の押出量が生産安定時の運転条件(つまり、予め定められた所定の範囲)より低下することがあるが、この場合に冷却手段の運転条件が生産安定時の運転条件と同一設定では、熱可塑性樹脂はTcb以下となり、固化する場合がある。そこで、熱可塑性樹脂の押出量が、生産安定時の運転条件以下の場合は、冷却手段を調整し、熱可塑性樹脂の温度をTme以上にすれば、安定して生産を継続することができる。
【0062】
なお、本発明における熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン樹脂、ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、その他、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレスルファイド樹脂などを用いることができる。また、これらの樹脂はホモポリマーの樹脂であってもよく、結晶性が損なわれない範囲で共重合またはブレンドであってもよい。また、これらの樹脂の中に、公知の各種添加剤、例えば、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、無機粒子が添付されてもよい。
【0063】
【実施例】
以下に、本発明の具体的な実施例について説明する。
なお、本発明による効果を評価するための、各種物性値は以下の評価方法により求めた。
(1)熱特性
マックサイエンス社製示差走査熱量計DSC3100を用いて、サンプルを5mgを300℃で5分間溶融保持し、液体窒素で急冷固化した後、室温から昇温速度20℃/分で昇温した。その時観測される融解吸熱ピークの開始温度をTmb、ピーク温度をTm、ピーク終了温度をTmeとした。また、サンプル5mgを300℃で5分間溶融保持した後、降温速度20℃/分で降温した。この際観測される降温時結晶化発熱ピークの開始温度をTcb、ピーク温度をTc、ピーク終了温度をTceとした。
【0064】
(2)フィルム厚みむら
アンリツ社製フィルムシックネステスタKG601Aおよび電子マイクロメータK306Cを用い、縦方向に30mm巾、10m長にサンプリングしたフィルムを連続的に厚みを測定する。10m長での厚み最大値Tmax(μm)、最小値Tmin(μm)から、
R=Tmax−Tmin
を求め、Rと10m長の平均厚みTave(μm)から
厚みむら(%)=(R/Tave)×100
として求めた。
【0065】
実施例1、2、比較例1、2
熱可塑性樹脂として、ポリエチレンテレフタレートを使用して、ダイ巾150mm、ランド長100mm、スリット間隙1mmの熱可塑性樹脂用ダイを用いて冷却テストした。DSCを用いてこのポリエチレンテレフタレートの熱特性を測定したところ、Tmb:240℃、Tm:255℃、Tme:268℃、Tcb:203℃、Tc:188℃、Tce:174℃であった。冷却手段としては、スリット部から10mmのところに直径7mmの空孔を計18個ダイ巾方向にあけ、熱媒体としては25℃の空気を使用した。そして、スリット部近傍のランド部に測定抵抗体を埋設し、温度コントロールユニットを介して、空気の流量をコントロールバルブで制御した。結果を表1に示す。
【0066】
【表1】
Figure 0003562086
【0067】
表1に示す通り、ポリエチレンテレフタレートの温度を比較例1のTme以上に対し、実施例1、2のTme未満、Tcb以上にすれば、得られたフィルムの厚みむらが顕著に改善した。なお、Tcb以下の温度では、経時で樹脂が固化し、フィルムを得ることができなかった。
【0068】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の熱可塑性樹脂押出用フラットダイによれば、ダイのマニホールド部では熱可塑性樹脂の温度をTme以上に保温しておき、ダイのスリット部に流入後、熱可塑性樹脂の温度をTme未満、Tcb以上に冷却して押し出すため、厚みむらが顕著に改善された熱可塑性樹脂フィルムを得ることができる。しかも、樹脂の冷却は、押出機からダイ出口までの長いメルトラインの中で、ダイのランド部のみで行うため、既存ダイの小改造で済み、また、押出機やフィルターなどに必要以上の負荷をかけずに済むという利点や、さらにシート状物のすじ状の厚み斑や、また、オリゴマーが発生しにくいという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】熱可塑性樹脂フィルム製造装置の概略構成図である。
【図2】本発明の一実施例に係る熱可塑性樹脂押出用フラットダイの概略縦断面図である。
【図3】冷却手段の別の実施態様を示す熱可塑性樹脂押出用フラットダイの概略縦断面図である。
【図4】冷却手段のさらに別の実施態様を示す熱可塑性樹脂押出用フラットダイの概略縦断面図である。
【図5】冷却手段のさらに別の実施態様を示す熱可塑性樹脂押出用フラットダイの概略縦断面図である。
【図6】冷却手段のさらに別の実施態様を示す熱可塑性樹脂押出用フラットダイの概略縦断面図である。
【図7】冷却手段のさらに別の実施態様を示す熱可塑性樹脂押出用フラットダイの概略縦断面図である。
【図8】図7の熱可塑性樹脂押出用フラットダイの概略正面図である。
【図9】冷却手段のさらに別の実施態様を示す熱可塑性樹脂押出用フラットダイの概略縦断面図である。
【図10】冷却手段のさらに別の実施態様を示す熱可塑性樹脂押出用フラットダイの概略正面図である。
【図11】冷却手段のさらに別の実施態様を示す熱可塑性樹脂押出用フラットダイの概略正面図である。
【図12】冷却手段のさらに別の実施態様を示す熱可塑性樹脂押出用フラットダイの概略正面図である。
【図13】冷却手段のさらに別の実施態様を示す熱可塑性樹脂押出用フラットダイの概略縦断面図である。
【図14】冷却手段のさらに別の実施態様を示す熱可塑性樹脂押出用フラットダイの概略縦断面図である。
【図15】本発明の別の実施態様を示す熱可塑性樹脂押出用フラットダイの概略縦断面図である。
【図16】本発明のさらに別の実施態様を示す熱可塑性樹脂押出用フラットダイの概略縦断面図である。
【図17】本発明のさらに別の実施態様を示す熱可塑性樹脂押出用フラットダイの概略縦断面図である。
【図18】本発明のさらに別の実施態様を示す熱可塑性樹脂押出用フラットダイの部分概略縦断面図である。
【符号の説明】
1 ダイ本体
2 ダイ保温用ヒータ
3 冷却手段
4 温度測定センサー
5 温度コントロールユニット
6 演算部
7 フィルム厚さ計
10 マニホールド部
10a、10b、10c マニホールド部
10aa サブマニホールド部
11 スリット部
11a、11b、11c スリット部(分岐スリット部)
11aa 合流スリット部
12、13 ランド部
14 フィルム厚み調整手段
20 孔
21 コントロールバルブ
60a、60b 断熱部
61 ヒートパイプ
62 冷却手段
63 冷却アダプター
80a、80b 加熱用ヒータ
90 樹脂供給装置
94 キャスティングドラム
95 フィルム送り装置
96 フィルム長手方向延伸装置
97 フィルム巾方向延伸装置
98 フィルム搬送装置
99 フィルム巻取装置

Claims (21)

  1. 溶融した熱可塑性樹脂をスリット部からシート状に押し出すフラットダイであって、
    前記フラットダイに送られる前に融解終了温度(Tme)以上に加熱溶融された熱可塑性樹脂を、前記フラットダイのマニホールド部内でフラットダイ巾方向に拡幅するまで前記Tme以上の温度に保温する保温用ヒータと、
    フラットダイのランド部の少なくとも一方に設けられ、前記熱可塑性樹脂をTme未満で、かつ、降温時結晶化開始温度(Tcb)以上の温度に冷却する、少なくとも1つの冷却手段と、
    を備えたことを特徴とする熱可塑性樹脂押出用フラットダイ。
  2. 溶融した熱可塑性樹脂をスリット部からシート状に押し出すフラットダイであって、
    熱可塑性樹脂をフラットダイ巾方向に拡幅するための少なくとも2つのマニホールド部と、
    前記フラットダイに送られる前に融解終了温度(Tme)以上に加熱溶融された熱可塑性樹脂を、前記各マニホールド部内でフラットダイ巾方向に拡幅するまで前記Tme以上の温度に保温する保温用ヒータと、
    前記各マニホールド部に接続された分岐スリット部と、該分岐スリット部が合流し前記熱可塑性樹脂をフラットダイから最終的に押し出すための合流スリット部からなるスリット部と、
    前記スリット部を構成するフラットダイのランド部の少なくとも一方に設けられ、前記熱可塑性樹脂の温度をTme未満で、かつ、降温時結晶化開始温度(Tcb)以上に冷却する、少なくとも1つの冷却手段と、
    を備えたことを特徴とする熱可塑性樹脂押出用フラットダイ。
  3. 前記合流スリット部に、前記熱可塑性樹脂をフラットダイ巾方向に流し得るサブマニホールド部を備えたことを特徴とする請求項2に記載の熱可塑性樹脂押出用フラットダイ。
  4. 前記サブマニホールド部の断面積が、前記マニホールド部の断面積の総和の50%より小さいことを特徴とする請求項3に記載の熱可塑性樹脂押出用フラットダイ。
  5. フラットダイから押し出した熱可塑性樹脂のシート状物のフラットダイ巾方向における厚み斑を修正するために、前記熱可塑性樹脂をフラットダイから押し出すためのスリット部の出口部の間隙を変化させ得るリップ可撓部高さをSとし、該出口部に至るスリット部のランド部長さをLとすると、
    <3×S
    を満たす請求項2ないし4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂押出用フラットダイ。
  6. 前記スリット部を流れる熱可塑性樹脂をフラットダイ巾方向にn等分した場合の区分巾当たりの各流量をqi (i=1,‥,n)とし、n等分の区分巾当たりの平均流量をq0 とすると、均一指数Uを、
    Figure 0003562086
    で定義し、前記サブマニホールド部に流入する前のスリット部のそれぞれを流れる熱可塑性樹脂の均一指数をUで示し、さらに、前記熱可塑性樹脂をフラットダイから最終的に押し出す部分に位置するスリット部を流れる熱可塑性樹脂の均一指数をUで示すと、
    前記均一指数Uが0.30以下であり、かつ、前記均一指数Uが0.05以下を満たす前記マニホールド部の形状、前記サブマニホールド部の形状、および、前記スリット部の形状を有することを特徴とする請求項3ないし5のいずれかに記載の熱可塑性樹脂押出用フラットダイ。
  7. 前記熱可塑性樹脂のフラットダイ入口部の圧力が、25N/mm以下であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の熱可塑性樹脂押出用フラットダイ。
  8. 前記冷却手段が、前記ランド部の熱可塑性樹脂接触面から50mm以内の位置に設けられている、請求項1ないし7のいずれかに記載の熱可塑性樹脂押出用フラットダイ。
  9. 溶融した熱可塑性樹脂をスリット部からシート状に押し出すフラットダイであって、
    前記フラットダイに送られる前に融解終了温度(Tme)以上に加熱溶融された熱可塑性樹脂を、前記フラットダイのマニホールド部内でフラットダイ巾方向に拡幅するまで前記Tme以上の温度に保温する保温用ヒータと、
    前記熱可塑性樹脂をTme未満、降温時結晶化開始温度(Tcb)以上の温度に冷却する冷却手段を内部に有し、ランド部を構成するフラットダイの部材に接するように設けられた冷却アダプターと、
    を備えたことを特徴とする熱可塑性樹脂押出用フラットダイ。
  10. 融解終了温度(Tme)未満、降温時結晶化開始温度(Tcb)以上の冷却された前記熱可塑性樹脂の温度を測定するための少なくとも1つの温度測定センサーを前記フラットダイ内部に備えており、前記冷却手段には、前記温度測定センサーの測定結果に基づき前記熱可塑性樹脂の温度を制御するための温度コントロールユニットが接続されている、請求項1ないし9のいずれかに記載の熱可塑性樹脂押出用フラットダイ。
  11. 前記冷却手段が、フラットダイ巾方向に熱媒体が通過可能な少なくとも1つの孔からなる、請求項1ないし10のいずれかに記載の熱可塑性樹脂押出用フラットダイ。
  12. フラットダイ内部に少なくとも1本のヒートパイプが設けられている、請求項1ないし11のいずれかに記載の熱可塑性樹脂押出用フラットダイ。
  13. 前記ヒートパイプの少なくとも一端に冷却手段が連結されている、請求項12に記載の熱可塑性樹脂押出用フラットダイ。
  14. 前記フラットダイには、前記温度測定センサーと、前記温度コントロールユニットが接続された前記冷却手段とを一対にして、フラットダイ巾方向に少なくとも2つ配置されており、
    該温度コントロールユニットには、フラットダイ巾方向についてフラットダイから押し出した熱可塑性樹脂のシート状物の厚みを測定する厚さ計と、該厚さ計より得られたシート状物の厚みデータを基にシート状物の厚みむらに対応する位置の該温度コントロールユニットを制御するための制御信号を演算する演算部とが接続されている、請求項10に記載の熱可塑性樹脂押出用フラットダイ。
  15. 前記冷却手段が、前記熱可塑性樹脂が前記ランド部を流れる方向と実質的に同じ方向に熱媒体が通過可能な少なくとも1つの孔である、請求項14に記載の熱可塑性樹脂押出用フラットダイ。
  16. 前記マニホールド部を構成するフラットダイ部材と、前記ランド部を構成するフラットダイ部材との間に断熱部が設けられている、請求項1ないし15のいずれかに記載の熱可塑性樹脂押出用フラットダイ。
  17. 前記熱可塑性樹脂をフラットダイから押し出すスリット部の出口部近傍に、前記フラットダイから押し出した熱可塑性樹脂の厚み方向に表面から全厚みの30%以内において、融解終了温度(Tme)以上に熱可塑性樹脂を加熱するための加熱用ヒータを設けたことを特徴とする、請求項1ないし16のいずれかに記載の熱可塑性樹脂押出用フラットダイ。
  18. 前記フラットダイにおいて、熱可塑性樹脂と接する部分の表面粗さが、JIS規格(B−0601)で1S以下であることを特徴とする、請求項1ないし17のいずれかに記載の熱可塑性樹脂押出用フラットダイ。
  19. 前記フラットダイにおいて、前記熱可塑性樹脂をフラットダイから最終的に押し出す部分に位置するスリット部出口部の稜線部の断面形状が、曲率半径50μm以下の丸みを有する形状に形成されていることを特徴とする請求項1ないし18のいずれかに記載の熱可塑性樹脂押出用フラットダイ。
  20. 請求項10、14または15に記載のフラットダイを用いて熱可塑性樹脂を押し出すに際し、フラットダイから熱可塑性樹脂を押出開始前は、前記温度センサーにより測定された温度が溶融終了温度(Tme)以上になるように温度設定しており、前記フラットダイから熱可塑性樹脂を押出開始後は、前記温度測定センサーにより測定された温度がTme未満で、かつ、降温時結晶化開始温度(Tcb)以上の温度になるように熱可塑性樹脂を冷却することを特徴とするシート状物製造方法。
  21. 請求項10、14または15に記載のフラットダイを用いて熱可塑性樹脂を押し出すに際し、フラットダイからの熱可塑性樹脂の押出量が予め定められた範囲内にあるときは、前記温度測定センサーにより測定された熱可塑性樹脂の温度が溶融終了温度(Tme)未満で、かつ、降温時結晶化開始温度(Tcb)以上になるように熱可塑性樹脂を冷却し、
    前記熱可塑性樹脂の押出量が前記範囲未満の場合には、前記温度センサーにより測定された熱可塑性樹脂の温度がTme以上になるように熱可塑性樹脂を加熱することを特徴とするシート状物製造方法。
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