JP3557877B2 - 脂質分散組成物を水性媒体に分散させてなる化粧料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、保水性、保湿性、エモリエント効果に優れるとともに、N−ステアロイルフィトスフィンゴシンの結晶性を抑え、安定性が良好な化粧料に関する。
【0002】
【従来の技術】
セラミドは、皮膚の角質層に存在し、水分保持に必要な脂質バリアを構築し、維持していくために重要な役割を果たしている。角質層にあるセラミドは、セレブロシドがセレブロシダーゼという酵素により分解し変化したものである。セラミドの一部は、セラミダーゼと呼ばれる酵素により、フィトスフィンゴシンおよびスフィンゴシンに変化し、細胞の増殖および分化の調節剤として重要であることが知られている。人間の皮膚には、6種類の異なったタイプのセラミドが存在し、機能もそれぞれ異なっている。また、リン脂質は天然由来の乳化剤として知られており、多くの分野で多目的に利用されている。化粧品分野においては、極めて安全性の高い乳化剤、あるいは保湿剤として多剤型に使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、セラミドは、結晶性が高く、溶解する油剤が少ないことから、化粧料中に多量に配合すると、結晶が析出して製品の安定性に支障をきたしたり、セラミドを溶解する油剤によっては、安全性上好ましくない場合があった。そのため、安定性及び安全性の観点から化粧料への配合量には自ずと制約があり、多量に配合できないのが現状であった。従って、セラミドの有する水分保持機能をより発現するために多量に配合することが可能で、かつ、製品中に安定に存在して、結晶析出等の問題を生じることのない安定性並びに安全性に優れた化粧料の開発が望まれていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記実状に鑑み、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、リン脂質とセラミドの一種のN−ステアロイルフィトスフィンゴシンを特定重量比で多価アルコールに混合した脂質分散組成物を配合することによって、N−ステアロイルフィトスフィンゴシンを多量に、かつ安定に配合することが可能で、安全性も高い化粧料を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0005】
すなわち本発明は、次の成分(a)〜(d);
(a)リン脂質(リゾリン脂質を除く)
(b)N−ステアロイルフィトスフィンゴシン
(c)多価アルコール
(d)コレステロール又はフィトステロール
を含有し、かつ成分(a)と(b)の重量比を(a):(b)=2:1〜100:1の範囲に調整した脂質分散組成物を、水性媒体に分散させてなる化粧料である。以下、詳述する。
【0006】
【発明に実施の形態】
本発明で用いられる成分(a)のリン脂質としては、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、スフィンゴリン脂質等が挙げられ、もちろんこれらの類似物あるいはこれらの成分を含有する組成物すなわち大豆レシチン、卵黄レシチン等、あるいはそれらの水素添加物も挙げられる。本発明においては、これらのリン脂質を1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0007】
本発明で用いられる成分(b)は、N−ステアロイルフィトスフィンゴシンである。
【0008】
本発明で用いられる成分(c)の多価アルコールとしては、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ソルビトール、マルチトール、ポリエチレングリコール等が挙げられる。本発明においては以上の様な多価アルコールを1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0009】
本発明の脂質分散組成物においては、成分(a)と(b)の重量比が、(a):(b)=2:1〜100:1であることを必須とし、より好ましくは、(a):(b)=3:1〜20:1である。成分(b)に対する成分(a)の重量比が2未満であると、リン脂質中へのN−ステアロイルフィトスフィンゴシンの分散性が不充分となり、N−ステアロイルフィトスフィンゴシンの結晶が析出してしまう。また、成分(b)に対する成分(a)の重量比が100を超えると、脂質分散組成物中のN−ステアロイルフィトスフィンゴシン量が少ないため、それ自身の効果が得られない。
【0010】
本発明の脂質分散組成物中に占める成分(a)と(b)の合計量は、5〜80重量%(以下、単に「%」と記す)が好ましく、より好ましくは、10〜60%である。脂質分散組成物中の成分(a)と(b)の合計量が5%未満であると、N−ステアロイルフィトスフィンゴシン配合による保湿効果が得られにくい場合があり、また、80%を超えて配合すると、リン脂質中へのN−ステアロイルフィトスフィンゴシンの分散性が不充分となる場合がある。
【0011】
本発明の脂質分散組成物には、さらに成分(d)として、細胞間脂質の一つであり、皮膚の保湿又は水分の蒸散を防ぐ働きを有するコレステロール及び/又はフィトステロールを配合する。この配合により、皮膚のバリア機能が高まり、また安定性も良好なものとなる。これらの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0012】
脂質分散組成物中のコレステロール及び/又はフィトステロールの含有量は、リン脂質に対して0.1〜1倍量であることが好ましい。この範囲で用いれば、より安定性が顕著に向上する。
【0013】
この脂質分散組成物の化粧料への含有量は特に限定されないが、好ましくは、化粧料中での成分(a)と(b)の合計量が0.05〜10%、より好ましくは、0.1〜5%となるように配合すると良い。
【0014】
本発明の化粧料は、上述した特定重量比の成分(a)〜(d)を含有する脂質分散組成物を水性媒体に分散させることにより得られるが、より好適には、予め加熱混合して均一な分散状態とした脂質分散組成物を用いることが好ましい。予め加熱混合して均一な分散状態とすることにより、リン脂質へのN−ステアロイルフィトスフィンゴシンの分散性を良好なものとし、N−ステアロイルフィトスフィンゴシンの結晶防止性をより優れたものとすることができる。
【0015】
さらに、より好ましい化粧料としては、上述した予め加熱混合して均一な分散状態とした脂質分散組成物を、同程度の温度とした水性媒体に攪拌しながら混合し、それを冷却して化粧料とすることが好ましい。水性媒体としては、水を必須とし、さらに低級アルコール、多価アルコール、水溶性高分子、水溶性美容成分等を配合することができる。
【0016】
本発明の化粧料は、上記必須成分の他に、化粧料に配合される成分、例えば、油剤、界面活性剤、粉体、顔料、染料、水溶性高分子、紫外線吸収剤、防腐剤、香料等を本発明の効果を妨げない範囲で配合することができる。
【0017】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳述するが、本発明はこれらによりなんら限定されるものではない。
【0018】
実施例1〜2及び比較例1〜4 脂質分散組成物
下記表1に示す組成の脂質分散組成物を製造し、リン脂質中へのN−ステアロイルフィトスフィンゴシンの分散性及び分散安定性について評価した。
【0019】
【表1】
【0020】
(製造方法)
成分1〜5を80℃に加熱混合し、均一に分散して脂質分散組成物を得た。
【0021】
(評価方法)
N−ステアロイルフィトスフィンゴシンの分散性及び分散安定性得られた脂質分散組成物を10%希釈物となるように精製水に分散混合し、これを顕微鏡にて観察して、N−ステアロイルフィトスフィンゴシンの結晶析出の有無を下記基準より評価した。さらに、この希釈サンプルを40℃の恒温槽に4週間セットして、同様に評価した。
[評価]
◎:全く認められない。
○:ほとんど認められない。
△:やや認められる。
×:明らかに認められる。
得られた結果を表1に併せて示す。
【0022】
表1の結果から明らかなように、本発明に係わる実施例1〜2の脂質分散組成物は、N−ステアロイルフィトスフィンゴシンの分散性及び分散安定性に優れたものであった。それに対し、比較例においては、良好な結果が得られなかった。
【0023】
実施例3〜4及び比較例5〜8 美容液
下記表2に示す組成の美容液を製造し、N−ステアロイルフィトスフィンゴシンの分散性及び分散安定性、並びに保湿効果について評価した。
【0024】
【表2】
【0025】
(製造方法)
A:成分1〜5を90℃にて加熱混合する。
B:成分6〜9を90℃にて加熱混合する。
C:BにAを添加して攪拌し、これを冷却して美容液を得た。
【0026】
(評価方法)
N−ステアロイルフィトスフィンゴシンの分散性及び分散安定性については、前述と同様の方法で評価を行った。保湿効果については、得られた化粧水を専門評価パネル8名により皮膚に塗布した際の保湿効果を下記基準にて5段階評価し、さらにその平均点から判定した。
[評価]
5点:非常に良好。
4点:良好。
3点:普通。
2点:やや不良。
1点:不良。
[判定]
◎:平均点4.5点以上
○:平均点3.5点以上4.5点未満
△:平均点2.5点以上3.5点未満
×:平均点2.5点未満
得られた結果を表2に併せて示す。
【0027】
表2の結果から明らかなように、本発明に係わる実施例3〜4の美容液は、N−ステアロイルフィトスフィンゴシンの分散性及び分散安定性に優れ、且つ良好な保湿効果を兼ね備えたものであった。それに対し、比較例においては、全ての項目を満足し得る結果は得られなかった。
【0028】
実施例5 化粧水
(成分) (%)
1.水素添加大豆リン脂質 2.0
2.N−ステアロイルフィトスフィンゴシン 0.5
3.コレステロール 0.5
4.1,3−ブチレングリコール 15.0
5.グリセリン 5.0
6.キサンタンガム 0.1
7.防腐剤 適量
8.精製水 残量
【0029】
(製造方法)
A:成分1〜5を90℃にて加熱混合する。
B:成分6〜8を90℃にて加熱混合する。
C:BにAを添加して攪拌し、これを冷却して化粧水を得た。
実施例5は、保湿性とエモリエント感に優れ、安定性も良好な化粧水であった。
【0030】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の脂質分散組成物は、N−ステアロイルフィトスフィンゴシンの分散性及び分散安定性に優れたものである。さらに、その脂質分散組成物を配合した化粧料は、N−ステアロイルフィトスフィンゴシンを安定に、且つ多量に配合することができ、保湿効果に優れたものである。
Claims (1)
- 次の成分(a)〜(d);
(a)リン脂質(リゾリン脂質を除く)
(b)N−ステアロイルフィトスフィンゴシン
(c)多価アルコール
(d)コレステロール又はフィトステロール
を含有し、かつ成分(a)と(b)の重量比を(a):(b)=2:1〜100:1の範囲に調整した脂質分散組成物を、水性媒体に分散させてなる化粧料。
Priority Applications (1)
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JP30961797A JP3557877B2 (ja) | 1997-10-24 | 1997-10-24 | 脂質分散組成物を水性媒体に分散させてなる化粧料 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP30961797A JP3557877B2 (ja) | 1997-10-24 | 1997-10-24 | 脂質分散組成物を水性媒体に分散させてなる化粧料 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH11130651A JPH11130651A (ja) | 1999-05-18 |
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Family
ID=17995197
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP30961797A Expired - Lifetime JP3557877B2 (ja) | 1997-10-24 | 1997-10-24 | 脂質分散組成物を水性媒体に分散させてなる化粧料 |
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1997
- 1997-10-24 JP JP30961797A patent/JP3557877B2/ja not_active Expired - Lifetime
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