JP3557858B2 - ポリウレタン樹脂水分散液の製造方法 - Google Patents

ポリウレタン樹脂水分散液の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はポリウレタン樹脂水分散液の製造方法に関する。本発明で得られる水水分散性ポリウレタン樹脂は、塗料、磁性塗料、印刷インキなどの各種バインダ−、人工皮革、プラスチック、ガラス、金属、木、紙、床、コンクリ−ト、ゴム、織物、不織布等の各種基材のコーティング剤、または人工皮革、プラスチック、ガラス、金属、木、紙、床、コンクリ−ト、ゴム、織物、不織布等の各種材料の接着剤等として利用できる。
【0002】
【従来の技術】
ポリウレタン樹脂は柔軟性に優れ、各種基材への接着性の幅が広いという特徴を有しており各種バインダ−、各種コーティング剤または各種接着剤として多く使われている。従来より、かかるポリウレタン樹脂は、有機溶剤に溶解した溶剤型のものが主流であったが、近年、省資源、環境保護、有機溶剤規制強化といった社会の流れに対応すべく、ポリウレタン樹脂の水性化への動きが活発となり、一部ではポリウレタン樹脂水分散液が実用化されている。
【0003】
現在実用化されているポリウレタン樹脂水分散液は、たとえば、ウレタンプレポリマーをアセトンやメチルエチルケトン等のイソシアネート基に対して不活性な有機溶剤に溶解したものを水に分散させるとともに、鎖伸長させることにより製造されている。しかしながら、アセトンやメチルエチルケトン等の有機溶剤は最終製品中への残留が好ましくないため、製造の最終段階で減圧等により除去されている。そのため、かかる製造方法は溶剤型のポリウレタン樹脂の製造方法に比べて、製造工程の長時間化、低収率、高コストといった問題点を有する。
【0004】
また、有機溶剤を全く使用しないポリウレタン樹脂水分散液の製造方法(特開平4−31439号公報)も提案されている。しかし、かかる製造方法は、従来の反応装置とは全く異なった特殊な反応装置を必要とする上に、安定にポリウレタン樹脂水分散液を得るための条件がかなり制約されるなど、実用上は製造の困難を伴う。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、アセトンやメチルエチルケトン等の有機溶剤を使用することなく、しかも容易にポリウレタン樹脂水分散液を製造する方法を提供することを目的とした。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定のウレタンプレポリマーに、中和工程、水分散工程および鎖伸長工程を施すにあたり、当該ウレタンプレポリマーを一旦モノアルコール系溶剤により希釈してから水分散工程を行なうことにより前記課題を解決し得ること、さらには特定の反応条件下においては水分散性ポリウレタン樹脂の高分子量化等の任意な分子設計が可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち本発明は、高分子ポリオールを含むジオール化合物およびジイソシアネート化合物からなり、かつカルボキシル基を含有するイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを製造した後、当該ウレタンプレポリマーに、塩基性化合物によるカルボキシル基の中和工程(1)と、順次または同時に行なう水分散工程(2)および鎖伸長工程(3)を、それぞれ施すことによりポリウレタン樹脂水分散液を製造する方法において、前記水分散工程(4)を施す前前記ウレタンプレポリマーを2級または3級のモノアルコール系溶剤により希釈する工程(4)を設け、かつ該希釈工程 (4) の前に更に前記中和工程 (1) を設けることを特徴とするポリウレタン樹脂水分散液の製造方法に関わる。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明においては、まず、高分子ポリオールを含むジオール化合物およびジイソシアネート化合物からなり、かつカルボキシル基を含有するイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを製造をする。
【0009】
高分子ポリオール成分としては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラヒドロフラン等を開環重合したポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレンエーテルグリコール等のポリエーテルポリオール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、オクタンジオール、1,4−ブチンジオール、ジプロピレングリコール、ビスフェノールA、水添ビスフェノールA等の飽和または不飽和の各種公知の低分子グリコール類とアジピン酸、マレイン酸、フマル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、しゅう酸、マロン酸、グルタル酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、スベリン酸等の二塩基酸またはこれらに対応する酸無水物等を脱水縮合して得られるポリエステルポリオール類;ε−カプロラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトン等のラクトン類を開環重合して得られるポリエステルポリオール類;その他ポリカーボネートポリオール類、ポリブタジエングリコール類、等の一般にポリウレタンの製造に用いられる各種公知の高分子ポリオールが例示される。これら高分子ポリオールの中でも、ウレタンプレポリマーの粘度を低くし、水分散工程(2)において分散媒である水に対して速やかに分散させ得るポリエーテルポリオール類が適している。尚、上記低分子グリコール成分の5モル%まではグリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の各種ポリオールに置換しうる。
【0010】
前記高分子ポリオールの数平均分子量は、特に制限はされないが、得られるポリウレタン樹脂の皮膜の柔軟性の点からは、通常500程度以上、好ましくは700以上であり、またウレタンプレポリマーの水分散性、得られるポリウレタン樹脂の乾燥性等の点からは、10000程度以下、好ましくは5000以下である。
【0011】
また本発明では、ウレタンプレポリマー中にカルボキシル基を導入するため、通常、ジオール化合物としてカルボキシル基含有ジオールを使用する。カルボキシル基含有ジオールとしては、α,α´−ジメチロールアルカン酸(グリセリン酸、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロールペンタン酸等)、ジオキシマレイン酸、ジオキシフマル酸、酒石酸、2,6−ジオキシ安息香酸、4,4−ビス(ヒドロキシフェニル)吉草酸、4,4−ビス(ヒドロキシフェニル)酪酸等や、これらカルボキシル基含有ジオールを開始剤としてε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等のラクトン類を開環重合して得られるもの等があげられる。かかるカルボキシル基含有ジオールは、通常、前記高分子ポリオールとともに、ウレタンプレポリマーを製造するためのジオール成分として使用されるが、ラクトン類を開環重合して得られるもののように、カルボキシル基含有ジオールそれ自体が高分子ポリオールとして使用できる場合には、当該カルボキシル基含有ジオールのみをジオール化合物として使用することもできる。
【0012】
また、ジイソシアネート化合物としては、芳香族、脂肪族または脂環族の各種公知のジイソシアネート類を使用することができる。たとえば、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4´−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4´−ジベンジルイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ブタン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4´−ジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネートやダイマー酸のカルボキシル基をイソシアネート基に転化したダイマージイソシアネート等がその代表例としてあげられる。
【0013】
カルボキシル基を含有するイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーの製造は、前記ジオール化合物とジイソシアネート化合物を、ジオール化合物の水酸基当量よりジイソシアネート化合物のイソシアネート基当量が過剰になるように反応させる。反応は、通常、無溶剤下で行い、反応温度、反応時間、ウレタン化触媒の有無は、反応性に応じて適宜決定すればよい。なお、ジオール化合物中のカルボキシル基含有ジオールの使用量は、特に制限されないが、分散安定性良好なポリウレタン樹脂水分散液を得るにはポリウレタン樹脂の樹脂固形分1g中の酸価が5以上になるように用いるのが好ましく、また得られるポリウレタン樹脂の耐水性の点からは、酸価が100以下となるようにするのが好ましい。
【0014】
次いで、得られたウレタンプレポリマーに、塩基性化合物によるカルボキシル基の中和工程(1)と、順次または同時に行なう水分散工程(2)および鎖伸長工程(3)を、それぞれ施してポリウレタン樹脂水分散液を製造するが、本発明では前記水分散工程(2)を施す前前記ウレタンプレポリマーを2級または3級のモノアルコール系溶剤により希釈する工程(4)を設け、且つ、該希釈工程 (4) の前に更に前記中和工程 (1) を設ける
【0015】
ウレタンプレポリマーに水分散工程(2)を施す前に、希釈工程(4)を設けたのは、無溶剤の状態で著しく高粘度なウレタンプレポリマーを低粘度化させるとともに、モノアルコール系溶剤の親水性を利用して水分散工程(2)における分散媒である水への分散を速やかに行なうためである。また、モノアルコール系溶剤は、アセトンやメチルエチルケトン等の有機溶剤のように得られるポリウレタン樹脂を用いた最終製品から除去する必要がないためである。なお、水分散工程(2)の前に希釈工程(4)を設けなかったり、水分散工程(2)において分散媒として水とモノアルコール系溶剤の混合物を使用したとても、高粘度のウレタンプレポリマーと水とが速やかに均一混合せず、部分的に水とイソシアネート基の反応による高分子量化が起こり、安定なポリウレタン樹脂水分散液を得ることができない。
【0016】
前記希釈工程(4)で使用するモノアルコール系溶剤としては各種のものを使用できるが、水への分散を速やかに行なうには25℃における水に対する溶解度が5重量%以上のものが好ましい。
【0017】
また、2級または3級のモノアルコール系溶剤、ウレタンプレポリマー中の末端イソシアネート基との反応速度が遅いため好ましい。また、2級または3級のモノアルコール系溶剤としては、アルコール性水酸基の他にイソシアネート基に対して反応性を示す活性水素を有しないものが好ましい。このような2級または3級のモノアルコール系溶剤によれば、希釈工程(4)においてウレタンプレポリマー中の末端イソシアネート基の消費が少なく、またプレポリマー同士を連結して高分子量化させることがないので、鎖伸長工程(3)においてポリウレタン樹脂の高分子量化等の任意の分子設計が可能であり、また水分散工程(2)における水への分散を速やかに行なうことができ、安定なポリウレタン樹脂水分散液を得ることができる。
【0018】
以上の条件を満たす2級または3級のモノアルコール系溶剤としては、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、sec−アミルアルコール、ジアセトンアルコール等があげられる。
【0019】
希釈工程(4)で用いるモノアルコール系溶剤は単独または2種類以上を組み合わせて用いることができ、その使用量は特に制限されないが、ウレタンプレポリマーに対して、通常、3重量%程度以上、好ましくは10重量%以上を使用する。また、ウレタンプレポリマーの末端イソシアネート基とアルコール系溶剤の水酸基との反応を抑えるには、ウレタンプレポリマーに対して、30重量%程度以下、好ましくは25重量%程度以下を使用する。また、希釈工程(4)の温度は、特に制限されないが、ウレタンプレポリマー中のイソシアネート基と、アルコール系溶剤のアルコール性水酸基との反応速度を遅くするため50℃以下とするのが好ましい。なお、希釈工程(4)の温度は、通常、常温以上である。
【0020】
このように本発明では、希釈工程(4)を水分散工程(2)を施す前に行うがウレタンプレポリマーを水分散工程(2)で速やかに分散させ、安定なポリウレタン水分散液を得るには、水分散工程(2)を施す前に中和工程(1)を行うのが好ましい。また、中和工程(1)を施した後に希釈工程(4)を施す場合には、ウレタンプレポリマー中のイソシアネート基とアルコール系溶剤のアルコール性水酸基との反応性が遅くなる傾向があり好ましい。
【0021】
中和工程(1)において、ウレタンプレポリマー中のカルボキシル基の中和に用いられる塩基性化合物としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属類、アンモニアまたははトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、トリブチルアミン、トリエタノールアミン、N−アルキルジエタノールアミン、N,N’−ジアルキルモノエタノールアミン等の3級アミン等があげられる。これら塩基性化合物は単独または2種類以上を組み合わせて用いることができる。カルボキシル基の中和には、通常、プレポリマー中に含有するカルボキシル基1当量に対して、0.5〜1.5当量程度の塩基性化合物を用いる(以下、中和率50〜150%と表現する)のが好ましい。中和率が50%より低い場合は得られるポリウレタン樹脂水分散液の分散安定性が十分でなく、150%より高い場合は、水分散時の系の粘度が上昇する傾向がある。なお、中和を行う際の温度は、特に限定されないが、通常は20〜70℃程度である。
【0022】
水分散工程(2)は、特に限定はなく、たとえば、アルコール系溶剤で希釈されたウレタンプレポリマーに水を加えて分散する方法、逆に水中に希釈されたウレタンプレポリマーを加えて分散する方法等を採用できる。
【0023】
また、鎖伸長工程(3)は、鎖伸長剤および必要に応じて用いる鎖長停止剤により行なう。鎖伸長剤としては、例えば、前記ポリエステルジオールの説明の項で列挙した各種公知の低分子グリコール類;エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン−4,4´−ジアミンなどのアミン類および水等が挙げられる。その他、2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、2−ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、2−ヒドロキシプロピルエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシプロピルエチレンジアミンなどの分子内に水酸基を有するジアミン類;ダイマー酸のカルボキシル基をアミノ基に転化したダイマージアミン等もその代表例としてあげられる。また、鎖長停止剤としては、例えば、モノブチルアミン、ジブチルアミン等のモノアミン類;モノエタノ−ルアミン、ジエタノールアミン等の水酸基を有するモノアミン類;エタノール、n−ブタノール等の1級のアルコール性水酸基を有するモノアルコ−ル類等があげられる。
【0024】
水分散工程(2)および鎖伸長工程(3)は順次または同時に行なうため、鎖伸長剤および必要に応じて用いる鎖長停止剤は、ウレタンプレポリマーを水分散させる際に用いる水中に予め添加していてもよいし、ウレタンプレポリマーを水分散させた後に添加してもよい。なお、鎖長停止剤については、ウレタンプレポリマーの水分散時や水分散後に添加できる他、中和工程(1)や希釈工程(4)の前後に加えてもよい。
【0025】
かくして得られる水分散性ポリウレタン樹脂の平均分子量は、これを使用する用途により適宜に決定できるが、樹脂の皮膜強度が要求される分野に使用する場合には重量平均分子量を5000以上とするのが好ましい。
【0026】
本発明のポリウレタン樹脂水分散液の固形分濃度および粘度は特には限定されず、使用時の作業性等を考慮して適宜決定されればよい。通常は固形分濃度は15〜60重量%、粘度は10〜100000cps/25℃の範囲に調整するのが実用上好適である。
【0027】
なお、本発明のポリウレタン樹脂水分散液を各種用途に供する際には、公知の方法に従い、例えば、本発明のポリウレタン樹脂水分散液に水、必要に応じて各種顔料等を加えて混合または分散し、さらに必要に応じてブロッキング防止剤、可塑剤などの添加剤を適宜配合することにより上記バインダ−、コーティング剤、接着剤組成物を調製する。
【0028】
【発明の効果】
本発明によれば、非効率的な脱溶剤工程を経ずに、しかも容易にポリウレタン樹脂水分散液を製造できる。また、各工程において特定の条件を設定することにより、ポリウレタン樹脂の高分子量化等の任意な分子設計が可能であり、再現性に優れた製造方法である。また、各工程において特定の条件を設定することにより、安定性に優れたポリウレタン樹脂水分散液が得られる。
【0029】
【実施例】
以下に製造例、実施例および比較例をあげて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。尚、部および%はいずれも重量基準である。
【0030】
実施例1
撹拌機、温度計、冷却管および窒素ガス導入管を備えた反応容器に、ジメチロールブタン酸25.3部、数平均分子量2000のポリテトラメチレンエーテルグリコール334.5部を仕込み、窒素気流下100℃にて1時間かけてジメチロールブタン酸を完全に溶解させた。ついで85℃まで冷却した後、イソホロンジイソシアネート120.2部を仕込み、85℃にて5時間反応を行い、イソシアネート基末端のウレタンプレポリマー480部を得た。このウレタンプレポリマーに50℃にてトリエチルアミン17.3部を加えて中和後(中和率100%)、イソプロピルアルコール84.7部を仕込み、均一なウレタンプレポリマーのイソプロピルアルコール溶液とした。ついで40℃にて水1078部を撹拌下に加え、分散後、イソホロンジアミン23.2部を加え、40℃にて3時間反応させ、ポリウレタン樹脂の水分散液Aを得た。この水分散液Aは、樹脂固形分濃度30%、粘度25cps/25℃、pH8.2であり、乾燥樹脂は樹脂酸価20を有するものであった。
【0031】
実施例2
実施例1と同様の反応容器に、プラクセル205BA(ジメチロールブタン酸のε−カプロラクトン付加物:数平均分子量500;ダイセル化学工業(株)製)128.3部、数平均分子量2000のポリプロピレングリコール221.2部、イソホロンジイソシアネート130.5部を仕込み、窒素気流下で85℃にて5時間反応を行い、イソシアネート基末端のウレタンプレポリマー480部を得た。このウレタンプレポリマーに50℃にてトリエチルアミン25.9部を加え中和した後(中和率100%)、イソプロピルアルコール120.0部を仕込み、均一なプレポリマーのイソプロピルアルコール溶液とした。ついで35℃にて水1147部とイソホロンジアミン18.5部、ジエチレントリアミン1.9部とを混合したものを撹拌下に加え、分散後、35℃にて3時間反応させ、ポリウレタン樹脂の水分散液Bを得た。この水分散液Bは、樹脂固形分濃度28%、粘度380cps/25℃、pH8.3であり、乾燥樹脂は樹脂酸価29を有するものであった。
【0032】
実施例3
実施例1と同様の反応容器に、ジメチロールブタン酸38.0部、数平均分子量3000のポリプロピレングリコール149.1部、数平均分子量2000のポリブチレンアジペート149.1部を仕込み、窒素気流下100℃にて1時間かけジメチロールブタン酸を完全に溶解させた。ついで85℃まで冷却した後、イソホロンジイソシアネート143.8部を仕込み、窒素気流下で85℃にて5時間反応を行い、イソシアネート基末端のウレタンプレポリマー480部を得た。このプレポリマーに50℃にてトリエチルアミン25.9部を加え中和した後(中和率100%)、tert−ブチルアルコール53.3部を仕込み、均一なプレポリマーのtert−ブチルアルコール溶液とした。ついで45℃にて水1106部とイソホロンジアミン21.1部、ジエチレントリアミン3.6部とを混合したものを撹拌下に加え、分散後、45℃にて3時間反応させ、ポリウレタン樹脂の水分散液Cを得た。この水分散液Cは、樹脂固形分濃度30%、粘度110cps/25℃、pH8.0であり、乾燥樹脂は樹脂酸価29を有するものであった。
【0033】
比較例1
実施例3において、トリエチルアミンによる中和後、水分散前にtert−ブチルアルコールによるプレポリマーの希釈を行わずに、tert−ブチルアルコールを水、イソホロンジアミンおよびジエチレントリアミンと混合して添加するように変えた以外は、実施例3と同様の方法で、ポリウレタン樹脂の水分散液の製造を試みたが、水分散時に均一に分散せず、撹拌を止めて静置しておくと、すぐに分離した。
【0034】
比較例2
実施例2において、トリエチルアミンによる中和後、水分散前にイソプロピルアルコールによる希釈を行わずに、40℃にて水1163部を撹拌下に加え、ポリウレタン樹脂の水分散液の製造を試みたが、均一に分散せず、撹拌を止めて静置しておくと、すぐに分離した。
【0035】
上記実施例1〜3で得られたポリウレタン樹脂の水分散液について、以下の項目について評価を行った。上記評価の結果を表1に示す。
【0036】
重量平均分子量:GPCによりポリスチレン換算にて測定した。
【0037】
安定性:ポリウレタン樹脂の水分散液を40℃にて30日間放置した後、状態の変化を以下の基準で評価した。
○:変化なし。
×:分離または沈殿を生じている。
【0038】
【表1】
Figure 0003557858

Claims (4)

  1. 高分子ポリオールを含むジオール化合物およびジイソシアネート化合物からなり、かつカルボキシル基を含有するイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを製造した後、当該ウレタンプレポリマーに、塩基性化合物によるカルボキシル基の中和工程(1)と、順次または同時に行なう水分散工程(2)および鎖伸長工程(3)を、それぞれ施すことによりポリウレタン樹脂水分散液を製造する方法において、前記水分散工程(2)を施す前前記ウレタンプレポリマーを2級または3級のモノアルコール系溶剤により希釈する工程(4)を設け、かつ該希釈工程 (4) の前に更に前記中和工程 (1) を設けることを特徴とするポリウレタン樹脂水分散液の製造方法。
  2. 2級または3級のモノアルコール系溶剤の25℃における水に対する溶解度が5重量%以上である請求項1記載のポリウレタン樹脂水分散液の製造方法。
  3. 2級または3級のモノアルコール系溶剤の使用量が、ウレタンプレポリマーに対して、3〜30重量%である請求項1または2記載のポリウレタン樹脂水分散液の製造方法。
  4. 希釈工程(4)の温度が50℃以下である請求項1、2または3記載のポリウレタン樹脂水分散液の製造方法。
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