JP3557545B2 - 車両用サンルーフ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両のルーフに形成した開口に、スライド開閉可能なスライドリッドを設けた車両用サンルーフ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両用サンルーフ装置は、車両のルーフに形成した開口を開閉するスライドリッドを、開口の両側部に固定されたガイドレールに前、後スライダを介して車両前後方向に開閉可能に取り付け、全閉位置から開き動作するとき、最初に、後スライダによりスライドリッドの後端を下降させるとともに、それとほぼ同時に、前スライダによりスライドリッドの前端を下降させた後、スライドリッドを後方にスライドさせるようになっていた(例えば、特開平5−319099号公参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の従来のサンルーフ装置は、スライドリッドの開き動作時に、スライドリッドの前端が開口の周縁、特に前縁に取り付けられたシール部材を擦りながら下降動作するため、シール部材の早期損傷を招くおそれがある。
【0004】
本発明は、従来の技術が有する上述のような問題点に鑑み、スライドリッドの前端の下降動作時の、スライドリッド前端とシール部材との擦れを解消した車両用サンルーフ装置を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
(1) 車両のルーフに形成した開口の両側縁部に配置される前後方向を向くガイドレールに、前摺動体と後摺動体をそれぞれ前後方向へ摺動可能に嵌合し、前記前摺動体及び摺動体に、前記開口を開閉するスライドリッドの前端部及び後端部を、前リンク及び後リンクを介して上下動可能に装着するとともに、前記ルーフの適所に、前記後スライダを前後方向へ駆動可能な駆動手段を備え、前記スライドリッドを、前記開口を閉塞する全閉位置から、まず、前記後摺動体を後方へ移動させて、前記後リンクを介して前記スライドリッドの後端を所要量下降させた後、前記スライドリッド全体を若干後方へ移動し、前記スライドリッドの前端が前記開口の前縁より若干後方へ離れた後、前記前リンクを介して前記スライドリッドの前端を所要量下降させ、その後、前記後摺動体を後方へさらに移動させることにより、前記スライドリッド全体を後方へ移動して、全開位置まで移動させるようにした車両用サンルーフ装置において、前記前リンクは、下端部が前記前摺動体に、また上端部が前記スライドリッドの前端部にそれぞれ枢着されるとともに、前記スライドリッドの前端を下降させない起立位置と下降させる倒伏位置とに移動可能であり、前記ガイドレールは、互いに対向する左右の側壁を有し、該左右の側壁のうちいずれか一方の側壁に、前記スライドリッドの全閉位置と前記スライドリッドの前端が前記開口の前縁より若干後方へ離れた位置との間の区間で、前記前リンクに設けた摺動子が前後方向へ摺動可能に嵌合し、前記前リンクを起立位置に保持可能な制御溝と、前記制御溝と前記一方の側壁の上片とを連絡し、前記スライドリッドの前端が前記開口の前縁より若干後方へ離れた位置で前記前リンクの摺動子を前記制御溝から前記側壁の上片へ移動させて、前記前リンクを起立位置から倒伏位置へ移動させる切換路とを設ける。
【0006】
【発明の実施の形態】
図1〜図10は、本発明の装置の一実施形態を示す。
図中(1)はチルトリッド、(2)は、車両のルーフ(R)に形成された開口(R1)の前部に固定されたフロント枠体である。
チルトリッド(1)は、前端部が、開口(R1)前縁のルーフインナーパネルにヒンジ(3)により枢支されるとともに、後端部が、後述する昇降機構(4)に連結され、この昇降機構(4)により上下方向に移動させられるようになっている。(5)はスライドリッドであり、開口(R1)の両側縁部に配設される前後方向を向く左右1対のガイドレール(6)に沿って移動する前、後スライダ(7)(8)及び支持ブラケット(9)に支持され、車両の前後方向に移動可能である。
【0007】
スライドリッド(5)は、図3及び図4に示す全閉位置と、ルーフ(R)と天井との間に収納される全開位置との間を移動可能である。全閉位置にあるときは、開口(R1)の周縁に設けられたシール部材(R2)に圧接して、開口(R1)をシールする。
【0008】
左右のガイドレール(6)は、左右方向を向く前、中央、後横桟(10)(11)(12)により連結され、図8及び図10に示すような横断面形状をなしている。
すなわち、ガイドレール(6)は、ルーフ開口側の側壁(6j)とそれに対向する車外側の側壁(6k)とから構成され、両側壁(6j)(6k)の下部には対向して開口するガイド溝(6b)(6b)が成形されている。開口寄りの側壁(6j)の車外側の面の中位部で、ガイド溝(6b)の上方には、後述する駆動ワイヤ(15)を挿通させるワイヤ溝(6a)が設けられている。一方、車外側の側壁(6k)のガイド溝(6b)の上方には、側壁(6k)の上面を形成する上片(6e)により、内方に向かって開口する断面形が方形の溝(6c)が設けられ、ワイヤ溝(6a)の上方には、側壁(6j)の上面を形成する上片(6f)により、車外側に向かって開口する制御溝(6d)が設けられている。上片(6e)(6f)は、互いに対向する方向に向かって延出するが、車外側の上片(6e)は、開口寄りの上片(6f)より低位としてある。また、図10に示すように、ガイドレール(6)の長手方向のやや前端部寄りにおいて、両上片(6e)(6f)には、左右1対の係合溝(6g)が対向して設けられている。さらに同じく長手方向の中間部において、開口寄りの側壁(6j)には、制御溝(6d)の底壁と上片(6f)とを連絡する切換路(6h)が、またそれよりさらに後方の車外側の側壁(6k)には、上片(6e)に連続し、かつ前下方に向かって傾斜するストッパー溝(6i)が、それぞれガイドレール(6)に固着した別部材により形成されている。なお、切換路(6h)及びストッパー溝(6i)は、別部材によらず、ガイドレール(6)に直接形成してもよい。
【0009】
なお、ストッパー溝(6i)と上片(6e)とにより、後述する後スライダ(8)側の昇降機構をなす後リンク(25)の摺動子(25a)を案内するカム溝状の後案内手段が形成され、また制御溝(6d)と切換路(6h)と上片(6f)とにより、後述する前スライダ(7)側の昇降機構をなす前リンク(22)の摺動子(23)を案内するカム溝状の前案内手段が形成されている。
【0010】
後横桟(12)には、減速器付きモータを備えた駆動手段(13)が設けられている。駆動手段(13)と各ガイドレール(6)は、左右のパイプ(14)により連結され、パイプ(14)内には、撓曲かつ押し引き可能な左右の駆動ワイヤ(15)が挿通されている。駆動ワイヤ(15)は、それぞれのパイプ(14)を介して各ガイドレール(6)のワイヤ溝(6a)に挿通されて、後スライダ(8)に止着されるとともに、モータ駆動により前後方向に移動可能で、最前端の端末には、ガイドレール(6)にスライド可能に嵌合した駆動係脱部材(16)が止着されている。
【0011】
各ガイドレール(6)の前端部には、撓曲かつ押し引き可能な従動ワイヤ(17)が挿通されたパイプ(18)が連結されている。従動ワイヤ(17)は、各ガイドレール(6)のワイヤ溝(6a)に挿通され、端末には、駆動係脱部材(16)に係脱可能な従動係脱部材(19)が止着されている。駆動係脱部材(16)と従動係脱部材(19)とにより、チルトリッド(1)の上昇動作完了後に、駆動ワイヤ(15)と従動ワイヤ(17)とを離脱させ、かつチルトリッド(1)の下降開始時に連結される係脱手段が形成され、チルトリッド(1)およびスライドリッド(5)の一連の開閉作動が駆動ワイヤ(15)で行われるようになっている。
【0012】
駆動手段(13)により駆動ワイヤ(15)が後方に牽引されると、連結状態にある係脱手段及び従動ワイヤ(17)を介して昇降機構(4)が上昇移動して、チルトリッド(1)は、図3に示す全閉位置から図4に示す後端が持ち上げられたチルトアップ位置まで開く。その位置で、駆動係脱部材(16)は、従動着脱部材(19)から離脱する。
【0013】
図7〜図9に示すように、前スライダ(7)は、ガイドレール(6)のガイド溝(6b)にスライド可能に嵌合する前摺動体(7a)と、上端部が軸(20)により支持ブラケット(9)に枢着され、かつ下端部が軸(21)により前摺動体(7a)に枢着された前リンク(昇降機構)(22)とを有している。前リンク(22)は、図3、4、5及び図7に示すように、支持ブラケット ( 9 ) を介して、スライドリッド ( 5 ) の前端を下降させない位置に保持可能な起立位置と、図6及び図9に示すように、スライドリッド ( 5 ) の前端を下降させる位置に保持可能な倒伏位置とに移動可能であり、また、その前部には、ガイドレール(6)の制御溝(6d)及び上片(6f)上を移動可能なローラ状の摺動子(23)が軸(24)により枢支されている。
【0014】
前リンク (22) の摺動子(23)は、スライドリッド(5)が図3及び図4に示す全閉位置にあるときの位置と、切換路(6h)に到達する所定の位置との間の区間は、制御溝(6d)内を移動して前リンク(22)を起立位置に保持するとともに、スライドリッド(5)がさらに所定量後方に移動して、切換路(6h)を通って上片(6f)上に移動することにより、前リンク(22)を倒伏位置に移動させて、スライドリッド(5)の前端を下降させた位置に保持する。
【0015】
図7に示すように、後スライダ(8)は、駆動ワイヤ(15)に止着されてガイドレール(6)にスライド可能に嵌合する後摺動体(8a)を有している。この後摺動体(8a)の側壁には、前端部に斜め上方を向く傾斜部を有するガイド溝(8b)と直線のガイド溝(8c)とが形成されている。
ガイド溝(8b)には、後リンク(25)の後端部に植設され、かつガイドレール(6)のストッパー溝(6i)に係脱可能なピン状の摺動子(25a)がスライド可能に嵌合され、また、ガイド溝(8c)には、後リンク(25)の中間部に植設されたピン(25b)がスライド及び回動可能に嵌合されている。後リンク(25)の上端部は、支持ブラケット(9)に枢着されている。
後リンク(25)は、スライドリッド(5)の開閉動作として以下に詳述するように、摺動子(25a)とピン(25b)とガイド溝(8b)(8c)との係合位置関係により、図3、図4、及び図7に示す起立位置と、図5、及び図6に示す倒伏位置とに移動制御される。なお、後スライダ(8)の構造は、本出願人により出願された特公平6-462号公報の第4図に開示した技術と基本的に同一である。
【0016】
次に、本発明のスライドリッド(5)の開閉動作について説明する。なお、チルトリッド(1)の開閉動作は、本発明に直接関係しないので、説明は省略する。
スライドリッド(5)が図4に示す全閉位置にあるとき、駆動手段(13)により駆動ワイヤ(15)が牽引されて、後スライダ(8)が後方に移動すると、図7における水平なガイド溝(8c)がピン(25b)に対して後方に移動させられるが、ピン(25b)は移動することはなく、またガイド溝(8b)が摺動子(25a)に対して後方に移動することにより、摺動子(25a)は、ガイド溝(8b)の前部の傾斜部により上方に持ち上げられて、ストッパー溝(6i)から抜け出し、ガイドレール(6)の上片(6e)の上面に移動する。それによって、後リンク(25)は、起立位置から倒伏位置まで前方に倒れるように回動して、図5に示すように、スライドリッド(5)は、後端が下降したチルトダウン状態になる。
【0017】
その後、ピン(25b)が案内溝(8c)の前端に係合して、スライドリッド(5)が、後スライダ(8)及び駆動ワイヤ(15)とともに所定量後方に移動し、スライドリッド(5)の前端がシール部材(R2)から離れた後、前スライダ(7)の摺動子(23)が切換路(6h)を介して、ガイドレール(6)の制御溝(6d)から上片(6f)の上面に移動する。これによって、前リンク(22)は、起立位置から倒伏位置に移動して、スライドリッド(5)の前端を下降させ、図6に示すように、スライドリッド(5)は、前後端とも下降した状態となる。その後、スライドリッド(5)は、下降した状態のまま、後方にスライドして全開状態になる。
【0018】
スライドリッド(5)の閉作動は、駆動手段(13)により駆動ワイヤ(15)を前方に押動することにより、上述の開作動と逆の経路をたどって行なわれる。すなわち、スライドリッド(5)が全開位置から前方に移動して、所定位置で、摺動子(23)が切換路(6h)を介して上片(6f)の上面から制御溝(6d)に移動することにより、前リンク(22)が起立位置に変位させられ、スライドリッド(5)の前端が上昇し、さらに、スライドリッド(5)が前方に移動し、摺動子(25a)がガイド溝(8b)の傾斜部により押し下げられて、ストッパ溝(6i)に下降すると、後リンク(25)が上向きに回動させられて、スライドリッド(5)の後端が上昇させられ、完全な全閉状態になる。
【0019】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によると、簡単な構成により、スライドリッドが開くとき、スライドリッドの前端が、開口の前縁のシールラバーを避けてから確実に下降させることができ、シールラバーの早期損傷を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の装置の一実施形態の分解斜視図である。
【図2】同じく、内部機構を示す斜視図である。
【図3】同じく、チルトリッド及びスライドリッドが全閉位置にあるときの概略縦断側面図である。
【図4】同じく、チルトリッドがチルトアップ状態、スライドリッドが全閉位置にあるときの概略縦断側面図である。
【図5】同じく、スライドリッドの後端が下降したときの概略縦断側面図である。
【図6】同じく、スライドリッドがスライド状態にあるときの概略縦断側面図である。
【図7】スライドリッドが全閉状態にあるときの前、後スライダの側面図である。
【図8】図7におけるA−A線断面図である。
【図9】リンクが倒伏状態にあるときの前スライダの側面図である。
【図10】一方のガイドレールの斜視図である。
【符号の説明】
(5)スライドリッド
(6)ガイドレール
(6d)制御溝(案内手段)
(6e)上片(案内手段)
(6f)上片(案内手段)
(6h)切換路(案内手段)
(6i)ストッパー溝(案内手段)
(7)前スライダ
(7a)前摺動体
(8)後スライダ
(13)駆動手段
(15)駆動ワイヤ
(22)前リンク(昇降機構)
(23)後摺動子
(25)後リンク(昇降機構)
(25a)摺動子
Claims (1)
- 車両のルーフに形成した開口の両側縁部に配置される前後方向を向くガイドレールに、前摺動体と後摺動体をそれぞれ前後方向へ摺動可能に嵌合し、前記前摺動体及び後摺動体に、前記開口を開閉するスライドリッドの前端部及び後端部を、前リンク及び後リンクを介して上下動可能に装着するとともに、前記ルーフの適所に、前記後スライダを前後方向へ駆動可能な駆動手段を備え、前記スライドリッドを、前記開口を閉塞する全閉位置から、まず、前記後摺動体を後方へ移動させて、前記後リンクを介して前記スライドリッドの後端を所要量下降させた後、前記スライドリッド全体を若干後方へ移動し、前記スライドリッドの前端が前記開口の前縁より若干後方へ離れた後、前記前リンクを介して前記スライドリッドの前端を所要量下降させ、その後、前記後摺動体を後方へさらに移動させることにより、前記スライドリッド全体を後方へ移動して、全開位置まで移動させるようにした車両用サンルーフ装置において、
前記前リンクは、下端部が前記前摺動体に、また上端部が前記スライドリッドの前端部にそれぞれ枢着されるとともに、前記スライドリッドの前端を下降させない起立位置と下降させる倒伏位置とに移動可能であり、
前記ガイドレールは、互いに対向する左右の側壁を有し、該左右の側壁のうちいずれか一方の側壁に、前記スライドリッドの全閉位置と前記スライドリッドの前端が前記開口の前縁より若干後方へ離れた位置との間の区間で、前記前リンクに設けた摺動子が前後方向へ摺動可能に嵌合し、前記前リンクを起立位置に保持可能な制御溝と、前記制御溝と前記一方の側壁の上片とを連絡し、前記スライドリッドの前端が前記開口の前縁より若干後方へ離れた位置で前記前リンクの摺動子を前記制御溝から前記側壁の上片へ移動させて、前記前リンクを起立位置から倒伏位置へ移動させる切換路とを設けたことを特徴とする車両用サンルーフ装置。
Priority Applications (4)
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JP16378298A JP3557545B2 (ja) | 1998-06-11 | 1998-06-11 | 車両用サンルーフ装置 |
US09/330,014 US6312047B1 (en) | 1998-06-11 | 1999-06-11 | Vehicle sunroof device |
US09/874,051 US6435605B2 (en) | 1998-06-11 | 2001-06-06 | Vehicle sunroof device |
US09/874,014 US6361104B2 (en) | 1998-06-11 | 2001-06-06 | Vehicle sunroof device |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP16378298A JP3557545B2 (ja) | 1998-06-11 | 1998-06-11 | 車両用サンルーフ装置 |
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JPH11348569A JPH11348569A (ja) | 1999-12-21 |
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Family Applications (1)
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JP16378298A Expired - Fee Related JP3557545B2 (ja) | 1998-06-11 | 1998-06-11 | 車両用サンルーフ装置 |
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JP (1) | JP3557545B2 (ja) |
-
1998
- 1998-06-11 JP JP16378298A patent/JP3557545B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH11348569A (ja) | 1999-12-21 |
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