JP3555308B2 - 移動体の無接触給電設備 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、移動体の無接触給電設備に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来の移動体の無接触給電設備としては、たとえば特開平６−１５３３０５号公報に開示されている。
【０００３】
すなわち、移動体の移動線路に沿って高周波電流を流す誘導線路を張設し、前記移動体に、前記誘電線路から無接触で給電されるコイルを設け、このコイルに共振回路を形成するコンデンサを設け、負荷に給電している。またコイルの両端を短絡するスイッチを設け、前記負荷が軽くなり、両端電圧が上昇すると、前記スイッチを動作させてコイルを短絡して非共振としている。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような従来の移動体の無接触給電設備では、負荷が軽い状態が続くと、スイッチの部分での電力ロスが無視できなくなるという問題があった。
【０００５】
そこで、本発明は、無接触で、電力ロスの少ない移動体の無接触給電設備を提供することを目的としたものである。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
前述した目的を達成するために、本第１発明の移動体の無接触給電設備は、移動体の移動線路に沿って高周波電流を流す誘導線路を張設し、前記移動体に、前記誘導線路から無接触で給電されるコイルを有するピックアップユニットを設けた移動体の無接触給電設備であって、前記ピックアップユニットは、田の字状に４個、前記誘導線路側に対向して配置されるフェライトブロックと、前記誘導線路側のフェライトブロックの内の各２個に跨り、前記誘導線路側のフェライトブロックの前記誘導線路に対向しない裏面側に配置されるフェライトブロックを備え、前記コイルは、前記裏面側に配置されるフェライトブロックの上面と下面に渡ってリッツ線を巻いて形成され、前記コイルの前記誘導線路に対向しない裏面側に、磁界しゃ断部材を取り付けたことを特徴とするものである。
【０００７】
上記構成により、コイルの裏面側に誘導される無駄な磁束がカットされ、またこれに伴うインダクタンスが減少し、コイルから供給される電流値を大きくでき、性能が向上する。また、ピックアップユニットは、一定経路に沿って敷設された誘導線路に対向して移動体に取付けられ、起電力を発生する。さらに、このピックアップユニットは間隔を空けた複数のフェライトブロックにより構成されていることから、端効果によりその能力を維持しながら軽重量化が実現され、またコストも低減される。
【００１０】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図２は本発明の実施の形態における移動体の無接触給電設備の側面図、図３は同無接触給電設備の移動体の一部断面正面図である。
【００１１】
移動体としての搬送用車体Ｖは、駆動トロリー１Ａ、従動トロリー１Ｂ、およびこれらトロリー１Ａ，１Ｂにて支持される物品搬送用キャリア１Ｃから構成され、この車体Ｖを移動自在に案内する案内レールＢとが設けられている。
【００１２】
駆動トロリー１Ａは、案内レールＢの上部に係合する走行用車輪２、案内レールＢの下部に両横側から接触する振れ止めローラ３、およびピックアップユニットＰを備え、走行用車輪２が減速機付電動モータ４にて駆動される。また従動トロリー１Ｂは、案内レールＢの上部に係合する走行用車輪５、および案内レールＢの下部に両横側から接触する振れ止めローラ６を備えている。
【００１３】
案内レールＢは、その上部に車輪案内部７、その下部にローラ案内部８を備え、横一側部に連結される支持枠９によって、天井などから吊り下げ状態に支持され、また案内レールＢの支持枠９が取り付けられた側部とは他方の側部に、誘導線路ユニットＸが取り付けられている。
【００１４】
誘導線路ユニットＸは、案内レールＢの横一側部に案内レールＢに沿って、所定間隔置きにハンガー１１が垂直に突設されたブラケット１２が取り付けられ、図４に拡大して示すように、ハンガー１１の先端には袋状の凹部１１Ａが設けられ、この凹部１１Ａに、始端が電源装置Ｍに接続されたループ状の誘導線路１４を長手方向に嵌め込んだカバー１３のツメ部１３Ａが挿入され、案内レールＢに沿って誘導線路１４が敷設されることにより構成されている。前記ブラケット１２は、案内レールＢの車輪案内部７とローラ案内部８からそれぞれ内方へ突設されたツメ部７Ａ，８Ａに、その上下端部を嵌合させ、上下端に設けたねじ孔１２Ａに止めネジ１２Ｂをら合させ、その先端を案内レールＢに食い込ませることにより、固定している。この構成によりハンガー１１は案内レールＢの横一側部に水平に突設される。また誘導線路１４は、絶縁した細い素線を集めて形成した撚線（以下、リッツ線と呼ぶ）を絶縁体、たとえば樹脂材によりカバーして構成され、また始端と終端が電源装置Ｍに接続され、ループ状に敷設されている。
【００１５】
また、ピックアップユニットＰは、図４，図５に示すように、断面がコ字状でその先端にその開口に向いてそれぞれ対向する凸部２１Ａを有し、側部２１Ｂの外方の両端部に脚部２１Ｃが設けられたフェライト２１を８個、断面がコ字状のスペーサ２２を介して横方向（図２において案内レールＢに沿う方向）に並べ、その両側部２１Ｄに渡って、たとえば数１０ターンの上記リッツ線を巻いてピックアップコイル２３を形成し、脚部２１Ｃに磁界遮断部材（アルミニウムや銅材）で形成された板状のバックプレート２４を取付けて構成されている。また、バックプレート２４には、フェライト２１から飛び出したピックアップコイル２３の側面をそれぞれ保持するエンドブロック２５が設けられ、また四方には取付け孔２６が設けられている。
【００１６】
このピックアップユニットＰは、図４に示すように、ピックアップコイル２３が誘導線路１４に沿い、かつコ字状のフェライト２１の開口が案内レールＢの横一側部に対向し、その中心Ｑに誘導線路１４を位置するように調整し、車体Ｖの案内レールＢ側の側面に固定される。この取付けにより、ハンガー１１はコ字状のフェライト２１の開口部の中心に位置する。誘導線路１４に通電（交流）されると、ピックアップコイル２３に起電力が発生する。また、磁界遮断部材で形成された板状のバックプレート２４により、フェライト２１の側部２１Ｄから外方に誘導される無駄な磁束がしゃ断され、インダクタンスが減少し、効率よく起電力が発生する。
【００１７】
電源装置Ｍと車体（移動体）Ｖの回路構成を図１の回路図にしたがって説明する。
電源装置Ｍは、ＡＣ２００ Ｖ３相の交流電源４１と、コンバータ４２と、正弦波共振インバータ４３と、過電流保護用のトランジスタ４４およびダイオード４５とを備えている。コンバータ４２は全波整流用のダイオード４６と、フィルタを構成するコイル４７とコンデンサ４８と抵抗４９とこの抵抗４９を短絡するトランジスタ５０とから構成され、正弦波共振インバータ４３は、図中に示すように交互に発振される矩形波信号により駆動されるトランジスタ５１，５２と、電流制限用のコイル５３と、トランジスタ５１，５２に接続される電流供給用のコイル５４と、誘導線路１４と並列共振回路を形成するコンデンサ５５とから構成されている。なお、トランジスタ制御装置は省略している。
また車体Ｖは、ピックアップコイル２３に並列に、このピックアップコイル２３と誘導線路１４の周波数に部分共振する部分共振回路を形成する第１コンデンサ５６を設け、この第１コンデンサ５６と並列に、スイッチング手段５７Ａ，５７Ｂを介して、ピックアップコイル２３および第１コンデンサ５６と誘導線路１４の周波数に共振する共振回路を形成する第２コンデンサ５８Ａ，５８Ｂが接続され、さらにコンデンサ５６に並列に全波整流用のダイオード５９を接続し、このダイオード５９に出力を所定電圧に制御する安定化電源回路６０を接続し、この安定化電源回路６０に負荷、たとえばインバータ６１を介してモータ４を接続し、またシャント６２を介して電流検出器６３を接続して構成している。安定化電源回路６０は、電流制限用のコイル６４と出力調整用トランジスタ６５と、フィルタを構成するダイオード６６およびコンデンサ６７から構成されている。なお、トランジスタ制御装置は省略している。
【００１８】
上記電源装置Ｍと誘導線路１４と車体Ｖの回路構成による作用を説明する。通常は、上記スイッチング手段５７Ａ，５７Ｂはオフとされている。
まず、交流電源４１から出力されるＡＣ２００ Ｖ３相の交流はコンバータ４２により直流に変換され、正弦波共振インバータ４３により高周波、たとえば１０ｋＨｚ の正弦波に変換されて誘導線路１４に供給される。
【００１９】
この誘導線路１４に発生する磁束により、誘導線路１４の周波数に部分共振する案内レールＢ上に位置する車体Ｖのピックアップコイル２３に大きな起電力が発生し、この起電力により発生した交流電流はダイオード５９で整流され、安定化電源回路６０により所定の電圧に整圧されてインバータ６１を介して減速機付電動モータ４に供給され、移動体の車体Ｖは、給電されたこのモータ４により走行用車輪２が駆動され、案内レールＢに案内されて移動する。また、物品搬送用キャリア１Ｃに荷物が搭載され、または走行開始時、モータ４にかかる負荷が大きくなり、モータ４に供給される電流値が１００％に近くなると、電流検出器６３が動作し、この電流検出器６３の動作出力により、スイッチング手段５７Ａ，５７Ｂが動作し、第２コンデンサ５８Ａ，５８Ｂが挿入され、誘導線路１４の周波数に共振する共振回路が形成され、インピーダンスが減少して大電流が負荷に供給され、負荷に対応することができる。
【００２０】
このように、通常は部分共振により得られた電流を負荷に供給し、負荷が１００％に近くなると、共振により得られた電流を負荷に供給することにより、スイッチング手段５７Ａ，５７Ｂが動作している時間を短くでき、よってこのスイッチング手段５７Ａ，５７Ｂにおける電力ロスを少なくすることができる。
すなわち、通常運転時はピックアップコイル２３と第１コンデンサ５６からなる部分共振回路によりピックアップコイル２３に発生する起電力は昇圧されて、負荷に供給され、負荷が１００％に近くにまで上昇すると、第２コンデンサ５８Ａ，５８Ｂが接続されて共振回路が形成され、インピーダンスが減少して大電流が負荷に供給されることにより、十分に負荷に対応できるとともに、スイッチング手段５７Ａ，５７Ｂが動作している時間を短くでき、よってこのスイッチング手段５７Ａ，５７Ｂにおける電力ロスを少なくすることができる。
【００２１】
またコ字状のフェライト２１の開口が案内レールＢの横一側部に対向し、その中心Ｑに誘導線路１４を位置するように調整して、固定されることから、ピックアップコイル２３は誘導線路１４で発生する磁束密度が最も大きい位置に位置し、最も大きい起電力が誘起され、効率よく給電できる。またフェライト２１およびピックアップコイル２３は案内レールＢのカーブ部でも誘導線路１４に接触することはなく、車体Ｖはカーブ部をスムーズに曲がることができる。また断面がコ字状のフェライト２１に、側面に渡って、リッツ線を巻いてピックアップコイル１４を形成することにより、フェライト２１の両側部２１Ｂ、脚部２１Ｃによってリッツ線が保持されることでリッツ線が巻きやすくなり、作業能率を上げることができる。さらにフェライト２１の先端の凸部２１Ａに磁路が形成されることにより、より高い起電力を発生することができる。また、ピックアップユニットＰを複数のフェライト２１を間隔を開けて形成することにより、端効果によりその能力を維持しながら軽重量化を実現でき、またコストを低減することができる。
【００２２】
さらに誘導線路１４とピックアップコイル２３に絶縁体でカバーされたリッツ線を使用し、またカバー１３で覆うことにより、導電部の露出がなくなり、安全性を高めることができ、またスパークがでなくなることから、火災などの危険がなくなり、また防爆エリアでも使用することが可能となる。さらに、誘導線路１４には正弦波が給電されることにより、高調波が発生せず、ラジオノイズの発生を無くすことができる。
【００２３】
なお、本実施の形態では、１本の誘導線路１４を案内レールＢに敷設する構成としているが、案内レールＢに２本以上の誘導線路１４を敷設して、パワーアップを図ることができる。また、２本の誘導線路１４を案内レールＢに敷設する構成として無接触給電することもできる。この際、ハンガー３１は２本必要となる。
【００２４】
また、本実施の形態では、案内レールＢに沿って移動する車体Ｖについて記載しているが、本発明は地上を一定経路に沿って走行する車両にも同様に適用でき、同様の効果を期待することができる。このときのピックアップユニットＰ’の一例を図６に示す。
【００２５】
田の字状に４個のフェライトブロック３１を誘導線路１４側に配置し、この４個のフェライトブロック３１の内の各２個に跨ってそれぞれフェライトブロック３２をフェライトブロック３１の誘導線路１４に対向しない裏面側に配置し、これらフェライトブロック３１，３２を支持するために４個のフェライトブロック３１上に配置した２枚のベース体３３と２個のフェライトブロック３２上に配置した２枚の押さえ板３４をそれぞれネジで固定している。そして、２個のフェライトブロック３２の上面と下面に渡ってリッツ線を巻いてピックアップコイル３５を形成している。また、２枚のベース体３３と２枚の押さえ板３４上に磁界をしゃ断する磁界しゃ断部材（アルミニウムや銅材）からなるバックプレート３６が固定され、これら２枚のベース体３３と２枚の押さえ板３４により固定されたフェライトブロック３１，３２およびピックアップコイル３５とバックプレート３６を外郭のケース３７に固定するために取付け部材３８を設けている。
【００２６】
このように形成されたピックアップユニットＰ’は、図７に示すように、一定経路に沿って敷設された誘導線路１４に対向して車両に取付けられ、起電力を発生する。またこのピックアップユニットＰ’も複数のフェライトブロックから構成していることから、端効果によりその能力を維持しながら軽重量化を実現でき、またコストを低減することができる。
【００２７】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、コイルの裏面側に誘導される無駄な磁束がカットされ、またこれに伴うインダクタンスが減少し、コイルから供給される電流値を大きくでき、性能を向上することができる。また、このピックアップユニットは間隔を空けた複数のフェライトブロックにより構成されていることから、端効果によりその能力を維持しながら軽重量化を実現でき、またコストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施の形態における移動体の無接触給電設備の回路構成図である。
【図２】同移動体の無接触給電設備の側面図である。
【図３】同移動体の無接触給電設備の一部断面正面図である。
【図４】同移動体の無接触給電設備のブラケットの側面図、平面図である。
【図５】同移動体の無接触給電設備のピックアップコイルの平面図、正面図、側面図である。
【図６】本発明の他の実施の形態における移動体の無接触給電設備のピックアップコイルの平面図、正面図、側面図である。
【図７】同移動体の無接触給電設備のピックアップコイルの断面図である。
【符号の説明】
Ｖ 搬送用車体
Ｂ 案内レール
Ｘ 誘導線路ユニット
Ｐ ピックアップユニット
Ｍ 電源装置
１１ ハンガー
１２ ブラケット
１４ 誘導線路
２１ フェライト
２２ スペーサ
２３，３５ ピックアップコイル
２４，３６ バックプレート（磁界しゃ断材）
２５ エンドブロック
３１，３２ フェライトブロック
３３ ベース体
３４ 押さえ板
３７ ケース
３８ 取付け部材
４３ 正弦波共振インバータ
５６ ピックアップコイルと部分共振回路を形成する第１コンデンサ
５７Ａ，５７Ｂ スイッチング手段
５８Ａ，５８Ｂ ピックアップコイルおよび第１コンデンサと共振回路を形成する第２コンデンサ
【発明の属する技術分野】
本発明は、移動体の無接触給電設備に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来の移動体の無接触給電設備としては、たとえば特開平６−１５３３０５号公報に開示されている。
【０００３】
すなわち、移動体の移動線路に沿って高周波電流を流す誘導線路を張設し、前記移動体に、前記誘電線路から無接触で給電されるコイルを設け、このコイルに共振回路を形成するコンデンサを設け、負荷に給電している。またコイルの両端を短絡するスイッチを設け、前記負荷が軽くなり、両端電圧が上昇すると、前記スイッチを動作させてコイルを短絡して非共振としている。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような従来の移動体の無接触給電設備では、負荷が軽い状態が続くと、スイッチの部分での電力ロスが無視できなくなるという問題があった。
【０００５】
そこで、本発明は、無接触で、電力ロスの少ない移動体の無接触給電設備を提供することを目的としたものである。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
前述した目的を達成するために、本第１発明の移動体の無接触給電設備は、移動体の移動線路に沿って高周波電流を流す誘導線路を張設し、前記移動体に、前記誘導線路から無接触で給電されるコイルを有するピックアップユニットを設けた移動体の無接触給電設備であって、前記ピックアップユニットは、田の字状に４個、前記誘導線路側に対向して配置されるフェライトブロックと、前記誘導線路側のフェライトブロックの内の各２個に跨り、前記誘導線路側のフェライトブロックの前記誘導線路に対向しない裏面側に配置されるフェライトブロックを備え、前記コイルは、前記裏面側に配置されるフェライトブロックの上面と下面に渡ってリッツ線を巻いて形成され、前記コイルの前記誘導線路に対向しない裏面側に、磁界しゃ断部材を取り付けたことを特徴とするものである。
【０００７】
上記構成により、コイルの裏面側に誘導される無駄な磁束がカットされ、またこれに伴うインダクタンスが減少し、コイルから供給される電流値を大きくでき、性能が向上する。また、ピックアップユニットは、一定経路に沿って敷設された誘導線路に対向して移動体に取付けられ、起電力を発生する。さらに、このピックアップユニットは間隔を空けた複数のフェライトブロックにより構成されていることから、端効果によりその能力を維持しながら軽重量化が実現され、またコストも低減される。
【００１０】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図２は本発明の実施の形態における移動体の無接触給電設備の側面図、図３は同無接触給電設備の移動体の一部断面正面図である。
【００１１】
移動体としての搬送用車体Ｖは、駆動トロリー１Ａ、従動トロリー１Ｂ、およびこれらトロリー１Ａ，１Ｂにて支持される物品搬送用キャリア１Ｃから構成され、この車体Ｖを移動自在に案内する案内レールＢとが設けられている。
【００１２】
駆動トロリー１Ａは、案内レールＢの上部に係合する走行用車輪２、案内レールＢの下部に両横側から接触する振れ止めローラ３、およびピックアップユニットＰを備え、走行用車輪２が減速機付電動モータ４にて駆動される。また従動トロリー１Ｂは、案内レールＢの上部に係合する走行用車輪５、および案内レールＢの下部に両横側から接触する振れ止めローラ６を備えている。
【００１３】
案内レールＢは、その上部に車輪案内部７、その下部にローラ案内部８を備え、横一側部に連結される支持枠９によって、天井などから吊り下げ状態に支持され、また案内レールＢの支持枠９が取り付けられた側部とは他方の側部に、誘導線路ユニットＸが取り付けられている。
【００１４】
誘導線路ユニットＸは、案内レールＢの横一側部に案内レールＢに沿って、所定間隔置きにハンガー１１が垂直に突設されたブラケット１２が取り付けられ、図４に拡大して示すように、ハンガー１１の先端には袋状の凹部１１Ａが設けられ、この凹部１１Ａに、始端が電源装置Ｍに接続されたループ状の誘導線路１４を長手方向に嵌め込んだカバー１３のツメ部１３Ａが挿入され、案内レールＢに沿って誘導線路１４が敷設されることにより構成されている。前記ブラケット１２は、案内レールＢの車輪案内部７とローラ案内部８からそれぞれ内方へ突設されたツメ部７Ａ，８Ａに、その上下端部を嵌合させ、上下端に設けたねじ孔１２Ａに止めネジ１２Ｂをら合させ、その先端を案内レールＢに食い込ませることにより、固定している。この構成によりハンガー１１は案内レールＢの横一側部に水平に突設される。また誘導線路１４は、絶縁した細い素線を集めて形成した撚線（以下、リッツ線と呼ぶ）を絶縁体、たとえば樹脂材によりカバーして構成され、また始端と終端が電源装置Ｍに接続され、ループ状に敷設されている。
【００１５】
また、ピックアップユニットＰは、図４，図５に示すように、断面がコ字状でその先端にその開口に向いてそれぞれ対向する凸部２１Ａを有し、側部２１Ｂの外方の両端部に脚部２１Ｃが設けられたフェライト２１を８個、断面がコ字状のスペーサ２２を介して横方向（図２において案内レールＢに沿う方向）に並べ、その両側部２１Ｄに渡って、たとえば数１０ターンの上記リッツ線を巻いてピックアップコイル２３を形成し、脚部２１Ｃに磁界遮断部材（アルミニウムや銅材）で形成された板状のバックプレート２４を取付けて構成されている。また、バックプレート２４には、フェライト２１から飛び出したピックアップコイル２３の側面をそれぞれ保持するエンドブロック２５が設けられ、また四方には取付け孔２６が設けられている。
【００１６】
このピックアップユニットＰは、図４に示すように、ピックアップコイル２３が誘導線路１４に沿い、かつコ字状のフェライト２１の開口が案内レールＢの横一側部に対向し、その中心Ｑに誘導線路１４を位置するように調整し、車体Ｖの案内レールＢ側の側面に固定される。この取付けにより、ハンガー１１はコ字状のフェライト２１の開口部の中心に位置する。誘導線路１４に通電（交流）されると、ピックアップコイル２３に起電力が発生する。また、磁界遮断部材で形成された板状のバックプレート２４により、フェライト２１の側部２１Ｄから外方に誘導される無駄な磁束がしゃ断され、インダクタンスが減少し、効率よく起電力が発生する。
【００１７】
電源装置Ｍと車体（移動体）Ｖの回路構成を図１の回路図にしたがって説明する。
電源装置Ｍは、ＡＣ２００ Ｖ３相の交流電源４１と、コンバータ４２と、正弦波共振インバータ４３と、過電流保護用のトランジスタ４４およびダイオード４５とを備えている。コンバータ４２は全波整流用のダイオード４６と、フィルタを構成するコイル４７とコンデンサ４８と抵抗４９とこの抵抗４９を短絡するトランジスタ５０とから構成され、正弦波共振インバータ４３は、図中に示すように交互に発振される矩形波信号により駆動されるトランジスタ５１，５２と、電流制限用のコイル５３と、トランジスタ５１，５２に接続される電流供給用のコイル５４と、誘導線路１４と並列共振回路を形成するコンデンサ５５とから構成されている。なお、トランジスタ制御装置は省略している。
また車体Ｖは、ピックアップコイル２３に並列に、このピックアップコイル２３と誘導線路１４の周波数に部分共振する部分共振回路を形成する第１コンデンサ５６を設け、この第１コンデンサ５６と並列に、スイッチング手段５７Ａ，５７Ｂを介して、ピックアップコイル２３および第１コンデンサ５６と誘導線路１４の周波数に共振する共振回路を形成する第２コンデンサ５８Ａ，５８Ｂが接続され、さらにコンデンサ５６に並列に全波整流用のダイオード５９を接続し、このダイオード５９に出力を所定電圧に制御する安定化電源回路６０を接続し、この安定化電源回路６０に負荷、たとえばインバータ６１を介してモータ４を接続し、またシャント６２を介して電流検出器６３を接続して構成している。安定化電源回路６０は、電流制限用のコイル６４と出力調整用トランジスタ６５と、フィルタを構成するダイオード６６およびコンデンサ６７から構成されている。なお、トランジスタ制御装置は省略している。
【００１８】
上記電源装置Ｍと誘導線路１４と車体Ｖの回路構成による作用を説明する。通常は、上記スイッチング手段５７Ａ，５７Ｂはオフとされている。
まず、交流電源４１から出力されるＡＣ２００ Ｖ３相の交流はコンバータ４２により直流に変換され、正弦波共振インバータ４３により高周波、たとえば１０ｋＨｚ の正弦波に変換されて誘導線路１４に供給される。
【００１９】
この誘導線路１４に発生する磁束により、誘導線路１４の周波数に部分共振する案内レールＢ上に位置する車体Ｖのピックアップコイル２３に大きな起電力が発生し、この起電力により発生した交流電流はダイオード５９で整流され、安定化電源回路６０により所定の電圧に整圧されてインバータ６１を介して減速機付電動モータ４に供給され、移動体の車体Ｖは、給電されたこのモータ４により走行用車輪２が駆動され、案内レールＢに案内されて移動する。また、物品搬送用キャリア１Ｃに荷物が搭載され、または走行開始時、モータ４にかかる負荷が大きくなり、モータ４に供給される電流値が１００％に近くなると、電流検出器６３が動作し、この電流検出器６３の動作出力により、スイッチング手段５７Ａ，５７Ｂが動作し、第２コンデンサ５８Ａ，５８Ｂが挿入され、誘導線路１４の周波数に共振する共振回路が形成され、インピーダンスが減少して大電流が負荷に供給され、負荷に対応することができる。
【００２０】
このように、通常は部分共振により得られた電流を負荷に供給し、負荷が１００％に近くなると、共振により得られた電流を負荷に供給することにより、スイッチング手段５７Ａ，５７Ｂが動作している時間を短くでき、よってこのスイッチング手段５７Ａ，５７Ｂにおける電力ロスを少なくすることができる。
すなわち、通常運転時はピックアップコイル２３と第１コンデンサ５６からなる部分共振回路によりピックアップコイル２３に発生する起電力は昇圧されて、負荷に供給され、負荷が１００％に近くにまで上昇すると、第２コンデンサ５８Ａ，５８Ｂが接続されて共振回路が形成され、インピーダンスが減少して大電流が負荷に供給されることにより、十分に負荷に対応できるとともに、スイッチング手段５７Ａ，５７Ｂが動作している時間を短くでき、よってこのスイッチング手段５７Ａ，５７Ｂにおける電力ロスを少なくすることができる。
【００２１】
またコ字状のフェライト２１の開口が案内レールＢの横一側部に対向し、その中心Ｑに誘導線路１４を位置するように調整して、固定されることから、ピックアップコイル２３は誘導線路１４で発生する磁束密度が最も大きい位置に位置し、最も大きい起電力が誘起され、効率よく給電できる。またフェライト２１およびピックアップコイル２３は案内レールＢのカーブ部でも誘導線路１４に接触することはなく、車体Ｖはカーブ部をスムーズに曲がることができる。また断面がコ字状のフェライト２１に、側面に渡って、リッツ線を巻いてピックアップコイル１４を形成することにより、フェライト２１の両側部２１Ｂ、脚部２１Ｃによってリッツ線が保持されることでリッツ線が巻きやすくなり、作業能率を上げることができる。さらにフェライト２１の先端の凸部２１Ａに磁路が形成されることにより、より高い起電力を発生することができる。また、ピックアップユニットＰを複数のフェライト２１を間隔を開けて形成することにより、端効果によりその能力を維持しながら軽重量化を実現でき、またコストを低減することができる。
【００２２】
さらに誘導線路１４とピックアップコイル２３に絶縁体でカバーされたリッツ線を使用し、またカバー１３で覆うことにより、導電部の露出がなくなり、安全性を高めることができ、またスパークがでなくなることから、火災などの危険がなくなり、また防爆エリアでも使用することが可能となる。さらに、誘導線路１４には正弦波が給電されることにより、高調波が発生せず、ラジオノイズの発生を無くすことができる。
【００２３】
なお、本実施の形態では、１本の誘導線路１４を案内レールＢに敷設する構成としているが、案内レールＢに２本以上の誘導線路１４を敷設して、パワーアップを図ることができる。また、２本の誘導線路１４を案内レールＢに敷設する構成として無接触給電することもできる。この際、ハンガー３１は２本必要となる。
【００２４】
また、本実施の形態では、案内レールＢに沿って移動する車体Ｖについて記載しているが、本発明は地上を一定経路に沿って走行する車両にも同様に適用でき、同様の効果を期待することができる。このときのピックアップユニットＰ’の一例を図６に示す。
【００２５】
田の字状に４個のフェライトブロック３１を誘導線路１４側に配置し、この４個のフェライトブロック３１の内の各２個に跨ってそれぞれフェライトブロック３２をフェライトブロック３１の誘導線路１４に対向しない裏面側に配置し、これらフェライトブロック３１，３２を支持するために４個のフェライトブロック３１上に配置した２枚のベース体３３と２個のフェライトブロック３２上に配置した２枚の押さえ板３４をそれぞれネジで固定している。そして、２個のフェライトブロック３２の上面と下面に渡ってリッツ線を巻いてピックアップコイル３５を形成している。また、２枚のベース体３３と２枚の押さえ板３４上に磁界をしゃ断する磁界しゃ断部材（アルミニウムや銅材）からなるバックプレート３６が固定され、これら２枚のベース体３３と２枚の押さえ板３４により固定されたフェライトブロック３１，３２およびピックアップコイル３５とバックプレート３６を外郭のケース３７に固定するために取付け部材３８を設けている。
【００２６】
このように形成されたピックアップユニットＰ’は、図７に示すように、一定経路に沿って敷設された誘導線路１４に対向して車両に取付けられ、起電力を発生する。またこのピックアップユニットＰ’も複数のフェライトブロックから構成していることから、端効果によりその能力を維持しながら軽重量化を実現でき、またコストを低減することができる。
【００２７】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、コイルの裏面側に誘導される無駄な磁束がカットされ、またこれに伴うインダクタンスが減少し、コイルから供給される電流値を大きくでき、性能を向上することができる。また、このピックアップユニットは間隔を空けた複数のフェライトブロックにより構成されていることから、端効果によりその能力を維持しながら軽重量化を実現でき、またコストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施の形態における移動体の無接触給電設備の回路構成図である。
【図２】同移動体の無接触給電設備の側面図である。
【図３】同移動体の無接触給電設備の一部断面正面図である。
【図４】同移動体の無接触給電設備のブラケットの側面図、平面図である。
【図５】同移動体の無接触給電設備のピックアップコイルの平面図、正面図、側面図である。
【図６】本発明の他の実施の形態における移動体の無接触給電設備のピックアップコイルの平面図、正面図、側面図である。
【図７】同移動体の無接触給電設備のピックアップコイルの断面図である。
【符号の説明】
Ｖ 搬送用車体
Ｂ 案内レール
Ｘ 誘導線路ユニット
Ｐ ピックアップユニット
Ｍ 電源装置
１１ ハンガー
１２ ブラケット
１４ 誘導線路
２１ フェライト
２２ スペーサ
２３，３５ ピックアップコイル
２４，３６ バックプレート（磁界しゃ断材）
２５ エンドブロック
３１，３２ フェライトブロック
３３ ベース体
３４ 押さえ板
３７ ケース
３８ 取付け部材
４３ 正弦波共振インバータ
５６ ピックアップコイルと部分共振回路を形成する第１コンデンサ
５７Ａ，５７Ｂ スイッチング手段
５８Ａ，５８Ｂ ピックアップコイルおよび第１コンデンサと共振回路を形成する第２コンデンサ
Claims (1)
- 移動体の移動線路に沿って高周波電流を流す誘導線路を張設し、前記移動体に、前記誘導線路から無接触で給電されるコイルを有するピックアップユニットを設けた移動体の無接触給電設備であって、
前記ピックアップユニットは、
田の字状に４個、前記誘導線路側に対向して配置されるフェライトブロックと、
前記誘導線路側のフェライトブロックの内の各２個に跨り、前記誘導線路側のフェライトブロックの前記誘導線路に対向しない裏面側に配置されるフェライトブロック
を備え、
前記コイルは、前記裏面側に配置されるフェライトブロックの上面と下面に渡ってリッツ線を巻いて形成され、
前記コイルの前記誘導線路に対向しない裏面側に、磁界しゃ断部材を取り付けたこと
を特徴とする移動体の無接触給電設備。
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Applications Claiming Priority (1)
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