JP3554779B2 - 非線形誘電体素子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば高輝度放電灯(HIDランプ)に用いられる高圧パルス発生用コンデンサのように、電界−電荷特性において非線形挙動を示す非線形誘電体素子及びその製造方法に関し、より詳細には、絶縁性を高めるために電極端部を覆うように絶縁層が形成されている非線形誘電体素子及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、高輝度を実現するランプとして上記HIDランプが用いられている。この種のHIDランプには、高圧ナトリウムランプやメタルハライドランプのように、始動時に1〜4kV程度の高圧パルスを必要とするものがある。そこで、この種のHIDランプでは、高圧パルスを発生させるために、非線形特性を有するコンデンサが組み込まれている。
【0003】
例えば、特公平5−87940号公報には、上記高圧パルスを発生させるための非線形コンデンサが内蔵された高圧放電ランプが開示されている。この先行技術に記載の非線形コンデンサの構造を、図6に示す。
【0004】
コンデンサ51は、チタン酸バリウム系セラミックスよりなるセラミック板52の両面に、電極53,54を形成した構造を有する。電極53,54の中央には、接合材55a,55bを介してリード端子56,57が接合されている。また、リード端子56,57が引き出されている部分を除いて全体が、ガラスペーストを塗布し、焼き付けることにより形成されたガラス絶縁層58により被覆されている。
【0005】
非線形コンデンサ51では、高電圧パルスを発生させるものであるため、上記ガラス絶縁層58を設けることにより、電極53,54間の絶縁性が高められている。このガラス絶縁層は、ガラス粉末含有ペーストをセラミック素体及び電極表面上に印刷し、焼成することにより完成されていた。
【0006】
しかしながら、ガラス粉は、セラミック板52内に拡散し易く、セラミックスの粒界内に侵入し、非線形特性を低下させるという問題があった。非線形特性が劣化すると、高圧パルスを発生させようとしても、パルス電圧が低下することになる。
【0007】
また、セラミック板52を構成するセラミックスと、ガラス絶縁層58を構成するガラス材料とでは、線膨張係数が異なるため、ヒートショックが与えられると両者の間に応力が生じ、それによってもパルス電圧が低下するという問題があった。加えて、上記ヒートショックが加えられた場合、甚だしき場合には、ガラス絶縁層がセラミック素体から剥離するという問題もあった。
【0008】
また、上記のようなガラスの拡散による影響を低減するために、電極53,54の外周縁近傍部分のみを被覆するようにセラミック板52の上面及び下面にガラス絶縁層を形成した構造も提案されている。しかしながら、このような構造においては、ガラス絶縁層がセラミック素体を被覆している領域が小さくなるものの、やはりガラスの拡散に起因する特性の劣化を避けることはできなかった。
【0009】
そこで、従来、ガラス絶縁層を形成するガラスとして、セラミックスに拡散し難いものを用いたり、線膨張係数がセラミックスに近いものを選択したりする方法が種々試みられている。しかしながら、セラミックスへのガラスの拡散によるパルス電圧の低下やヒートショックが与えられた際のパルス電圧の低下を確実に防止することはできず、かつ製造に際し、焼成温度や絶縁ガラス層の厚み等を高精度に管理する必要があり、製造工程が非常に煩雑であった。
【0010】
本発明の目的は、上述した従来技術の欠点を解消し、電界−電荷特性における非線形特性の低下が生じ難く、例えば大きなパルス電圧を確実に得ることができ、かつ製造容易な非線形誘電体素子及びその製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、電界−電荷特性においてヒステリシスを示す非線形誘電体素子であって、前記非線形特性を示す誘電体セラミック素体と、前記誘電体セラミック素体の第1,第2の面にそれぞれ形成された第1,第2の電極と、前記第1,第2の電極の外周縁近傍を覆うように第1,第2の面にそれぞれ形成されており、かつセラミックスよりなる絶縁層とを備えることを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載の発明では、上記絶縁層が、誘電体セラミック素体と同じセラミック材料により構成されている。
請求項3に記載の発明は、電界−電荷特性においてヒステリシスを示す非線形誘電体素子の製造方法であって、第1,第2の面に第1,第2の電極がそれぞれ形成されており、かつ非線形特性を示す誘電体セラミック材料よりなる成形体を用意する工程と、前記成形体の第1,第2の面において第1,第2の電極の外周縁近傍を覆うようにセラミック材料を付与する工程と、前記セラミック材料を焼成し、絶縁層を形成する工程とを備えることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明では、上記成形体が、未焼成のセラミック成形体であり、セラミック材料の焼成により絶縁層を形成すると同時に該セラミック成形体が焼成されている。
【0014】
もっとも、本発明に係る非線形誘電体素子の製造方法では、上記セラミック成形体として、予め焼成されたセラミック成形体を用い、しかる後セラミック材料を付与し、焼成することにより絶縁層を形成してもよい。
【0015】
請求項5に記載の発明では、上記セラミック成形体を用意する工程が、複数枚のセラミックグリーンシートを積層し、プレス成形することにより行われる。
請求項6に記載の発明では、上記成形体を用意する工程が、セラミック粉末を粉体プレス法により成形することにより行われる。
【0016】
また、上記絶縁層を構成するためのセラミック材料の付与は、該セラミック材料を含むセラミックスラリーを成形体の第1,第2の面に塗布する方法、あるいはセラミック材料を主体とするセラミックグリーンシートを成形体表面に積層する方法など適宜の方法で行い得る。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の非限定的な実施例を挙げることにより、本発明をより詳細に説明する。
【0018】
(第1の実施例)
図1は、本発明の一実施例に係る非線形誘電体素子を説明するための断面図である。この非線形誘電体素子は、例えばHIDランプにおける始動のために高圧パルスを発生させる高圧パルス発生用コンデンサである。
【0019】
非線形誘電体素子1は、円板状の誘電体セラミック素体2を有する。誘電体セラミック素体2の平面形状は、角板状等の他の形状であってもよい。
また、誘電体セラミック素体2を構成するセラミック材料については、電界−電荷特性においてヒステリシスを示す適宜のセラミック材料を用いることができ、例えばチタン酸バリウム系誘電体セラミックスを好適に用いることができる。
【0020】
誘電体セラミック素体2の上面2a及び下面2b上には、第1,第2の電極として、それぞれ、円形の第1,第2の電極3,4が形成されている。電極3,4の径は、誘電体セラミック素体1の径よりも小さくされている。これは、電極3,4間の沿面距離を大きくし、絶縁性能を高めるためである。
【0021】
電極3,4は、適宜の導電性材料により形成することができるが、本実施例では、Ag−Pd合金により形成されている。
電極3,4の外周縁近傍を覆うように、誘電体セラミック素体2の上面2a及び下面2bには、それぞれ、リング状の絶縁層5,6が形成されている。
【0022】
絶縁層5,6は、本実施例では、誘電体セラミック素体2を構成するセラミック材料と同一のセラミック材料により構成されている。絶縁層5,6は、適宜のセラミック材料で構成することができ、絶縁層5,6を構成するセラミック材料は、セラミック素体2を構成するセラミック材料と同じものである必要は必ずしもない。その場合であっても、ガラス絶縁層を構成した従来の非線形コンデンサの場合に比べ、耐ヒートショック性を改善することができる。また、セラミック素体内への絶縁層5,6を構成しているセラミック材料の拡散が生じ難いため、パルス電圧の低下を効果的に抑制することができると共に、絶縁層5,6と誘電体セラミック素体2との比誘電率差が小さいので、電極3,4の絶縁性も高められる。
【0023】
もっとも、上記のように、セラミック素体2を構成するセラミック材料と同じセラミック材料で絶縁層5,6を形成することにより、より一層耐ヒートショック性を改善し得ると共に、セラミック粒子の拡散を確実に防止することができ、より一層大きなパルス電圧を得ることができ、好ましい。加えて、セラミック素体2と絶縁層5,6の比誘電率εが等しくなるため、電極3,4の端部における電界強度が著しく緩和され、それによって電極5,6間の絶縁性も効果的に高められる。
【0024】
なお、図1において、電極3,4の中央には、接合材7,8を介してリード端子9,10がそれぞれ接合されている。接合材7,8は、電極3,4とリード端子9,10とを接合し得る限り、適宜の接合材、例えばガラスフリット含有Ag系接合材などにより構成することができる。
【0025】
リード端子9,10についても、Ni、Cuなどの適宜の金属により構成することができる。
次に、具体的な実験例を挙げることにより、上記非線形誘電体素子1の効果を明らかにすると共に、その製造方法の一例を説明する。
【0026】
(実験例1)
チタン酸バリウム系誘電体セラミック粉末を用い、粉体プレス法(乾式プレス)により、直径21.6mm×厚み1.2mmの円板状のセラミック成形体を作製した。
【0027】
上記成形体の上面及び下面に、直径19.2mmの円形となるようにAg−Pdペーストを印刷し乾燥した。しかる後、セラミック成形体を構成するのに用いたのと同一組成のセラミック粉末を用いて形成されたセラミックスラリーを、セラミック成形体の両面に、外径20.4mm、内径16.8mmのリング状となるように印刷し、しかる後1350℃で焼成し、非線形誘電体素子1を得た。なお、焼成後のセラミック素体2の直径は18mm、厚みは1mmであった。
【0028】
比較のために、上記実験例の製造に用いたのと同じ組成のチタン酸バリウム系セラミック粉末を用い、予め焼成された直径18mm×厚み1mmの円板状セラミック素体の両面に、直径16mmとなるようにAg−Pdペーストを印刷し、しかる後、強誘電性結晶化ガラスを外径17mm及び内径14mmのリング状に印刷し、550℃で焼成し、ガラス絶縁層を形成してなる比較例の非線形誘電体素子を作製した。
【0029】
上述した実験例及び比較例の非線形誘電体素子に、直径2mmのフランジ部を先端に有する径0.5mmのNi線よりなるリード端子をガラスフリットを3体積%含有している銀系接合材を用い、500℃で焼き付けた。
【0030】
上記のようにして得た実験例及び比較例の非線形誘電体素子について、図2に示す回路を構成し、パルスを発生させ、パルス電圧を測定した。すなわち、図2に示す回路では、電源11に直列に400Wの高圧水銀ランプ用安定器12が接続されており、該高圧水銀ランプ用安定器12の後段に、非線形誘電体素子1及びブレークオーバー電圧150Vの半導体スイッチ13が接続されている。また、Vは電圧計を示す。
【0031】
その結果、比較例の非線形誘電体素子では、発生パルス電圧が2000Vであったのに対し、実験例の非線形誘電体素子では、2200Vと10%高くなっていることが確かめられた。
【0032】
次に、上記実験例及び比較例の非線形誘電体素子の直流外部放電電圧を測定したところ、下記の表1に示す結果が得られた。
【0033】
【表1】
【0034】
表1から明らかなように、比較例に比べ、実施例の非線形誘電体素子では直流外部放電電圧が高められ、従って優れた絶縁性を示すことがわかる。
表1の結果から、実施例では、セラミック素体2と絶縁層5,6が同じセラミック材料を用いているため、誘電率が等しく、従って電極5,6の外周縁における電界集中が緩和され、直流外部放電電圧が高められていると考えられる。すなわち、ガラス絶縁層を形成した比較例においても、上記電極端部における電界集中は緩和されるものの、セラミック素体と絶縁ガラス層との誘電率がかなり異なるため、実施例に比べ電界集中が生じ易く、絶縁効果が低いものと考えられる。
【0035】
さらに、上記実施例及び比較例の非線形誘電体素子を高圧ナトリウムランプ内に組み込み、10,000時間のライフ試験を実施した。すなわち、組み込んだ後、所定時間経過後に図2に示す回路を用いてパルス電圧を発生させ、発生されるパルス電圧を測定した。結果を下記の表2に示す。
【0036】
【表2】
【0037】
表2から明らかなように、比較例の非線形コンデンサでは、経時的に発生パルス電圧がかなり低下していくのに対し、実施例の非線形誘電体素子では、パルス電圧の低下が認められなかった。これは、ナトリウムランプに非線形誘電体素子を組み込んだ場合、300℃程度の高温にさらされるため、比較例の非線形誘電体素子では、ガラス粉末のセラミック素体への拡散が加速され、パルス電圧の低下が生じているのに対し、実施例の非線形誘電体素子では上記拡散が生じないためパルス電圧が低下しないためと考えられる。
【0038】
(第2の実施例)
上記実施例では、粉体プレス法を用い、セラミック成形体を得ていたが、本発明に係る非線形誘電体素子は他の様々な方法により製造することができる。第2の実施例として、セラミックグリーンシートを用いてセラミック成形体を得ることを特徴とする製造方法を説明する。
【0039】
図3に示すように、チタン酸バリウム系セラミック粉末を主体とするセラミックスラリーをシート成形し、矩形の厚み60μmのグリーンシート21を得た。
このグリーンシート21の片面に、直径19.2mmの円形となるようにAg−Pdペースト22をマトリックス状に複数形成した。図3に示すように、上記電極ペーストが印刷されたセラミックグリーンシートを上下逆転しセラミックグリーンシート21Aとして配置し、その上部に電極ペーストが印刷されていないセラミックグリーンシート21を18枚積層し、しかる後、上部に電極ペーストが印刷されたセラミックグリーンシート21Aを電極ペースト22が上面となるように積層した。なお、セラミックグリーンシート21の積層枚数は18枚に限らず、1枚以上を所定の厚みとなるように成形すればよい。
【0040】
さらに、上下に予め16.8mm径の貫通孔23がマトリックス状に形成されたセラミックグリーンシート21Bを積層し、厚み方向にプレスすることにより図4に示すセラミックブロック24を得た。
【0041】
このセラミックブロック24を直径21.6mmの円板状に打ち抜くことにより、図5に示すセラミック成形体25を得た。このようにして得られたセラミック成形体25では、上述した最上部及び最下部に配置されたセラミックグリーンシート21Bにより、電極ペースト22の外周縁近傍が被覆されている。
【0042】
次に、上記セラミック成形体25を焼成することにより、図1に示した非線形誘電体素子1におけるセラミック素体2、電極3,4及び絶縁層5,6を同時焼成により完成させた。
【0043】
このように、第2の実施例の製造方法では、セラミック素体を構成するための成形体が複数枚のグリーンシートを積層し、焼成することにより得られ、かつ電極を構成するための導電ペーストを予め2枚のセラミックグリーンシート上に印刷しておくことにより容易に形成することができる。加えて、絶縁層についても、同じセラミック材料からなるセラミックグリーンシート21B,21Bを積層し、同時焼成により完成させることができる。従って、本発明に係る非線形誘電体素子を積層一体焼成技術を用い、容易にかつ能率よく量産することができる。
【0044】
なお、本発明における非線形誘電体素子の製造方法は、第1,第2の実施例で説明したものに限定されず、焼成済みのセラミック素体を用い、該セラミック素体の両面に電極を形成した後に、セラミックスラリーの印刷・焼成あるいはセラミックグリーンシートの積層・焼成により絶縁層を形成してもよい。
【0045】
また、第2の実施例において、セラミックグリーンシート21B,21Bを用いず、セラミック素体及び電極を焼成した後に、セラミックスラリーを付与し、再度焼成することにより絶縁層を形成してもよい。
【0046】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明に係る非線形誘電体素子では、誘電体セラミック素体の第1,第2の面に形成された第1,第2の電極の外周縁近傍を覆うように形成されている絶縁層が、セラミックスにより構成されているので、製造工程において、あるいは実使用時に熱が加えられたとしても絶縁層を構成しているセラミック材料がセラミック素体内に拡散し難い。従来の非線形コンデンサでは、絶縁層を構成するガラスがセラミック素体内に拡散し、非線形特性が劣化し、パルス電圧が低下していたのに対し、本発明に係る非線形誘電体素子では、このような拡散が生じ難いため、非線形特性の劣化が生じ難く、大きなパルス電圧を得ることができる。
【0047】
加えて、従来の非線形コンデンサでは、絶縁層がガラスで構成されていたため、誘電体セラミック素体との線膨張係数差が大きく、熱が加えられた際に応力が発生し、それによってもパルス電圧が低下していたのに対し、本発明に係る非線形誘電体素子では、絶縁層がセラミックスで構成されており、セラミック素体との線膨張係数差が小さいため、線膨張係数差による応力に起因するパルス電圧の低下も生じ難い。
【0048】
さらに、誘電体セラミック素体と上記セラミックスよりなる絶縁層との比誘電率差を小さくできるため、電極端部における電界集中が緩和され、電極間の絶縁性を効果的に高めることができる。
【0049】
よって、誘電体セラミック素体の持つ非線形特性を十分に発揮させることができ、大きなパルス電圧を得ることができ、電極間の絶縁性に優れた非線形誘電体素子を提供することができる。
【0050】
請求項2に記載の発明では、さらに、上記絶縁層が、誘電体セラミック素体と同じセラミック材料により構成されているので、上記セラミック素体内への絶縁層を構成しているセラミックスの拡散が生じず、かつ両者の線膨張係数が等しいため、パルス電圧の低下をより一層効果的に防止することができ、大きなパルス電圧を得ることができる。さらに、セラミック素体と絶縁層の比誘電率が等しくなるため、電極端部における電界の集中も効果的に緩和され、より一層絶縁性能を高めることができる。
【0051】
請求項3に記載の発明に係る非線形誘電体素子の製造方法では、第1,第2の電極が形成された成形体を用意し、成形体の第1,第2の面に絶縁層を構成するためのセラミック材料を付与し、しかる後該セラミック材料を焼成することにより絶縁層が形成される。従って、上記焼成により絶縁層が形成されるが、焼成に際しての熱が加えられたとしても、絶縁層がセラミック材料で構成されているので、セラミック素体内に絶縁層を構成するセラミック材料が拡散し難く、非線形特性の劣化が生じ難く、大きなパルス電圧及び絶縁性能を発揮し得る請求項1に記載の発明に係る非線形誘電体素子を確実に提供することができる。
【0052】
請求項4に記載の発明によれば、上記成形体が未焼成のセラミック成形体であり、セラミック材料の焼成により絶縁層を形成すると同時にセラミック成形体も焼成されるので、セラミック素体及び絶縁層を同じ焼成工程により完成させることができ、製造工程の簡略化を果たし得る。
【0053】
また、請求項5に記載の発明では、上記セラミック成形体が複数のグリーンシートを積層し、プレス成形することにより得られるため、セラミックの積層一体焼成技術を用い、セラミック成形体を容易に得ることができる。この場合、絶縁層を構成するセラミック材料についても、請求項8に記載のように、セラミックグリーンシートを用いて構成することにより、焼成前のセラミック成形体上に絶縁層を構成するためのセラミックグリーンシートを積層し、同時焼成すれば、セラミック成形体及び絶縁層を同じ焼成工程により容易に完成させることができる。 請求項6に記載の発明では、セラミック粉末を粉体プレス法を用いて成形することによりセラミック成形体が得られるが、この場合には、粉体プレス法を用いるため、様々な形状のセラミック成形体を容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例に係る非線形誘電体素子を説明するための断面図。
【図2】実験例において非線形誘電体素子の発生パルス電圧を測定するのに用いた回路を示す回路図。
【図3】第2の実施例においてセラミック成形体を得るのに用いた複数枚のセラミックグリーンシート、電極ペースト印刷形態及び絶縁層を構成するためのセラミックグリーンシートを説明するための分解斜視図。
【図4】第2の実施例において、セラミック成形体を得るのに用いたマザーのセラミックブロックを説明するための斜視図。
【図5】図4に示したマザーのセラミックブロックから切り出されたセラミック成形体を示す斜視図。
【図6】従来の非線形コンデンサを説明するための断面図。
【符号の説明】
1…非線形誘電体素子
2…誘電体セラミック素体
2a,2b…第1,第2の面としての上面及び下面
3,4…第1,第2の電極
5,6…絶縁層
21…セラミックグリーンシート
21A…電極ペーストが印刷されたセラミックグリーンシート
21B…絶縁層を形成するためのセラミックグリーンシート
22…電極ペースト
25…成形体
Claims (8)
- 電界−電荷特性においてヒステリシスを示す非線形誘電体素子であって、
前記非線形特性を示す誘電体セラミック素体と、
前記誘電体セラミック素体の第1,第2の面にそれぞれ形成された第1,第2の電極と、
前記第1,第2の電極の外周縁近傍を覆うように第1,第2の面にそれぞれ形成されており、かつセラミックスよりなる絶縁層とを備えることを特徴とする、非線形誘電体素子。 - 前記絶縁層が、誘電体セラミック素体と同じセラミック材料により構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の非線形誘電体素子。
- 電界−電荷特性においてヒステリシスを示す非線形誘電体素子の製造方法であって、
第1,第2の面に第1,第2の電極がそれぞれ形成されており、かつ非線形特性を示す誘電体セラミック材料よりなる成形体を用意する工程と、
前記成形体の第1,第2の面において第1,第2の電極の外周縁近傍を覆うようにセラミック材料を付与する工程と、
前記セラミック材料を焼成し、絶縁層を形成する工程とを備えることを特徴とする、非線形誘電体素子の製造方法。 - 前記成形体が、未焼成のセラミック成形体であり、
前記セラミック材料の焼成により絶縁層を形成すると同時に成形体を焼成することを特徴とする、請求項3に記載の非線形誘電体素子の製造方法。 - 第1,第2の電極が形成された成形体を用意する工程が、複数枚のセラミックグリーンシートを積層し、加圧する工程を含むことを特徴とする、請求項3または4に記載の非線形誘電体素子の製造方法。
- 前記第1,第2の電極が形成された成形体を用意する工程が、セラミック粉末を粉体プレス法により成形し、得られた成形体の第1,第2の面に電極を形成することにより行われる、請求項3または4に記載の非線形誘電体素子の製造方法。
- 前記絶縁層を構成するためのセラミック材料の付与する工程を、セラミックスラリーを印刷することにより行う、請求項3〜6のいずれかに記載の非線形誘電体素子の製造方法。
- 前記絶縁層を形成するためのセラミック材料を付与する工程を、セラミック材料からなるセラミックグリーンシートを成形体に積層することにより行う、請求項3〜6のいずれかに記載の非線形誘電体素子の製造方法。
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