JP3554585B2 - 繊維補強熱可塑性樹脂発泡体の製造方法 - Google Patents

繊維補強熱可塑性樹脂発泡体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、熱可塑性樹脂発泡体からなる芯層と、繊維強化熱可塑性樹脂被覆層とからなる繊維補強熱可塑性樹脂発泡体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、合成樹脂発泡体からなる芯層と、繊維強化合成樹脂被覆層とからなる複合発泡体の製造方法としては、断面異形形状を有する合成樹脂発泡体を連続的に一方向に移送しつつ、その外面に熱硬化性樹脂を含浸させた連続強化繊維を供給し、加熱して引抜成形する方法が知られている(特開平4−339635号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の上記成形方法では、予め断面異形形状の発泡成形体を用意する必要があり、非常に煩雑であった。また、連続強化繊維に含浸させた熱硬化性樹脂は低粘度であるため、均一な肉厚の繊維強化合成樹脂被覆層が得られず、ひいては複合発泡体に均一な機械的強度を期待することが不可能であった。
【0004】
本発明の目的は、均一な機械的強度を有する繊維補強熱可塑性樹脂発泡体を容易に得ることができる製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1の繊維補強熱可塑性樹脂発泡体の製造方法は、一方向に揃えられた多数の連続強化繊維と、メルトフローレートが15〜500の熱可塑性樹脂(A)とからなる繊維強化熱可塑性樹脂層と、メルトフローレートが0.1〜5で、かつ前記熱可塑性樹脂(A)と熱融着性を有する熱可塑性樹脂(B)よりなる熱可塑性樹脂層とを有する積層シートを、その繊維方向が長手方向になるようにして、連続的に中空状に賦形することにより積層中空体となす工程と、賦形されてきた積層中空体を賦形金型内に導くとともに、賦形金型内通過中の積層中空体内に発泡性熱可塑性樹脂(C)を発泡させながら連続的に供給し、熱可塑性樹脂(A)(B)を軟化状態に保ちつつ、積層中空体を発泡圧によりその周方向に展延させ、金型内周面にそわせて賦形し、しかも積層中空体内を熱可塑性樹脂発泡体で満たす工程とを含むことを特徴とするものである。
【0006】
請求項2の繊維補強熱可塑性樹脂発泡体の製造方法は、一方向に揃えられた多数の連続強化繊維と、メルトフローレートが15〜500の熱可塑性樹脂(A)とからなる繊維強化熱可塑性樹脂層と、メルトフローレートが0.1〜5で、かつ前記熱可塑性樹脂(A)と熱融着性を有する熱可塑性樹脂(B)よりなる熱可塑性樹脂層とを有する積層シートを、その繊維方向が長手方向になるようにして、連続的に中空状に賦形することにより積層中空体となす工程と、賦形されてきた積層中空体を賦形金型内に導くとともに、賦形金型内通過中の積層中空体内に熱分解型発泡剤を含有する熱可塑性樹脂(C)を連続的に供給した後、熱分解型発泡剤の分解温度以上に加熱して熱可塑性樹脂(C)を発泡させ、熱可塑性樹脂(A)(B)を軟化状態に保ちつつ、積層中空体を発泡圧によりその周方向に展延させ、金型内周面にそわせて賦形し、しかも積層中空体内を熱可塑性樹脂発泡体で満たす工程とを含むことを特徴とするものである。
【0007】
積層シートの繊維強化熱可塑性樹脂層を構成する熱可塑性樹脂(A)には、展延性に乏しくても強化繊維相互間に浸入し易いものを選ぶ必要があるので、そのメルトフローレートが15〜500のものが使用されるが、なかでもメルトフローレートが20〜300のものが好ましく、30〜100のものが特に好ましい。メルトフローレートが15より小さいと強化繊維相互間に熱可塑性樹脂(A)が浸入し難く、ボイドが生じて繊維強化熱可塑性樹脂層の曲げ強度や衝撃強度が低下する。また、メルトフローレートが500より大きいと熱可塑性樹脂(A)そのものの曲げ強度や引張強度が低いため、繊維強化熱可塑性樹脂層の強度が低下する。
【0008】
本発明において、メルトフローレートとは、溶融状態にある熱可塑性樹脂の流動性を示す値で、JIS−K−7210に準じて測定されたものをいう。
熱可塑性樹脂(A)の具体的としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリフッ化ビニリデン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリメチルメタクリレート等があげられる。また、上記熱可塑性樹脂を主成分とする共重合体やグラフト樹脂やブレンド樹脂、例えば塩素化ポリ塩化ビニル、エチレン−塩化ビニル共重合体、酢酸ビニル−エチレン共重合体、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、ウレタン−塩化ビニル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、シラン変性ポリエチレン、アクリル酸変性ポリプロピレン、マレイン酸変性ポリエチレンなども使用可能であるが、成形温度を考慮すると、120〜250℃といった比較的低温で成形可能である、ポリエチレン、酸変性ポリエチレン、ポリプロピレン、酸変性ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、塩素化ポリ塩化ビニル、エチレン−塩化ビニル共重合体、酢酸ビニル−エチレン共重合体、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、ウレタン−塩化ビニル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体が好ましい。
【0009】
本発明で使用する熱可塑性樹脂(A)には、物性を損なわない範囲で、ジブチル錫マレートポリマー、ジブチル錫ビス(モノアルキルマレート)などの有機錫マレート系、ジブチル錫マレート、モノブチル錫脂肪酸塩などの有機錫ラウレート系、ジオクチル錫サルファイド、ジブチル錫3メルカプトプロピオネートなどの有機錫メルカプト系などの熱安定剤、脂肪酸エステルワックス、低分子量ポリエチレンワックス、ステアリン酸、プロピレングリコールステアレート、ステアリルアルコールなどの滑剤、アクリル系樹脂、オレフィン系樹脂などの加工助剤、可塑剤、着色剤等の添加剤、及びタルク、マイカや炭酸カルシウム等の充填材が配合されてもよい。
【0010】
繊維強化熱可塑性樹脂層を構成する強化繊維としては、本発明の製造工程で加えられる熱により溶融軟化しないものが使用可能であり、具体的には、ガラス繊維、炭素繊維、シリコン・チタン・炭素繊維、ボロン繊維、微細な金属繊維、アラミド繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維などの有機繊維をあげることができるが、強度、コストを考慮すると、ガラス繊維、炭素繊維が好ましい。フィラメントの直径は小さくなると、繊維による補強効果が小さくなり、また繊維強化熱可塑性樹脂層を構成する強化繊維の重量を一定とした際、直径が大きくなると、構成する強化繊維の本数が少なくなるため、熱可塑性樹脂と強化繊維との接触面積が小さくなり、熱可塑性樹脂と強化繊維との一体化が薄れ、得られる繊維強化熱可塑性樹脂層の強度が低下するので、1〜50μmが好ましく、3〜23μmが特に好ましい。
【0011】
繊維強化熱可塑性樹脂層中の連続強化繊維の含有量は、少ないと補強効果は小さく、多いと連続強化繊維間を結着する樹脂が少ないため、繊維強化熱可塑性樹脂層は弱いものになるので10〜80重量%が好ましく、35〜70重量%が特に好ましい。
【0012】
積層シートの熱可塑性樹脂層を構成する熱可塑性樹脂(B)には、展延性に富んだものを選ぶ必要があるので、そのメルトフローレートが0.1〜5のものが使用されるが、なかでも、0.5〜3のものが好ましい。メルトフローレートが0.1より小さいと、溶融粘度が大きすぎて熱可塑性樹脂層の成形が困難であり、また、5より大きいと展延性に乏しい。
【0013】
熱可塑性樹脂(B)の具体例としては、上記熱可塑性樹脂(A)と同様のものが使用可能であり、また、熱可塑性樹脂(A)に添加されるのと同様の添加剤、充填剤等が配合されてもよい。熱可塑性樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)には同じ種類の熱可塑性樹脂(同じモノマーより重合された熱可塑性樹脂)同士を用いることが好ましい。熱可塑性樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)に異なる種類の熱可塑性樹脂を使用する場合の組合せとしては、例えば、ポリエチレンとポリプロピレン、ポリエチレンと酢酸ビニル−エチレン共重合体、ポリエチレンと塩素化ポリエチレン、ポリスチレンとアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリスチレンとアクリロニトリル−スチレン共重合体、ポリ塩化ビニルと塩素化ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニルとエチレン−塩化ビニル共重合体、ポリ塩化ビニルと酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、ポリ塩化ビニルとウレタン−塩化ビニル共重合体、ポリ塩化ビニルとポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニルとアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリブチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体とアクリロニトリル−スチレン共重合体などがあげられる。また、熱可塑性樹脂と該熱可塑性樹脂と同種類の変性された熱可塑性樹脂の組合わせも使用できる。この例としては、ポリエチレンとシラン変性ポリエチレン、ポリプロピレンとアクリル酸変性ポリプロピレン、ポリエチレンとマレイン酸変性ポリエチレンなどがあげられる。
【0014】
熱可塑性樹脂(B)は、架橋されていると、より展延性が向上するが、ゲル分率が低いと、架橋していない熱可塑性樹脂に比べて展延性は変らず、高いと粘度が高くなり過ぎて展延性は失われるので、1〜75重量%が好ましく、均一でかつ高展延性(5〜20倍)が得られ5〜40重量%が特に好ましい。
【0015】
なお、ゲル分率とは、化学的に架橋した熱可塑性樹脂成分の重量割合であり、無架橋熱可塑性樹脂を溶かし、かつ架橋熱可塑性樹脂を溶かさない溶剤を用いて架橋していない熱可塑性樹脂を除去し、残留分を計測することによって知ることができる。例えば、ポリプロピレンのゲル分率を測定する場合は、120℃のキシレン中に24時間浸すことにより無架橋熱可塑性樹脂樹脂を溶かし、ポリ塩化ビニルの場合は、25℃のメチルエチルケトン中に48時間浸すことにより無架橋熱可塑性樹脂を溶かす。
【0016】
ゲル分率は、
Figure 0003554585
で求められる。
【0017】
架橋された熱可塑性樹脂(B)を得る方法としては、電子線照射による方法と、架橋剤を用いて化学架橋する方法がある。電子線照射による架橋は、例えばシート状に成形した熱可塑性樹脂シートに電子線を照射することによって行う。また、化学架橋は、熱可塑性樹脂にジクミルパーオキサイドや2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンなどの有機過酸化物と、必要であればジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレートといった多官能基を有するモノマーやキノンジオキシム、ベンゾキノンジオキシムといったオキシム・ニトロソ化合物などの架橋助剤を混練し、有機過酸化物を分解させ、熱可塑性樹脂の分子鎖を高反応性にすることによって行う。また、熱可塑性樹脂に有機過酸化物とビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなどのシランカップリング剤を加熱混練し、シラングラフトさせた後、水処理によって架橋する方法もある。ここで水処理とは、加湿することや、蒸気中、湯水中につけるなどの処理である。
【0018】
さらに、上記方法等で架橋された熱可塑性樹脂に架橋されていない熱可塑性樹脂を添加してもよいが、一旦、架橋された熱可塑性樹脂を混練すると架橋状態が壊れてしまうので、水処理で架橋する熱可塑性樹脂と、水処理で架橋しない熱可塑性樹脂を予め混練した後、部分的に架橋する方法が好ましい。
【0019】
積層シートは、繊維強化熱可塑性樹脂層と熱可塑性樹脂層の1層づつが積層されて構成されていてもよいし、各層複数が交互に積層され構成されていてもよいが、積層シート中の強化繊維含有量は、少ないと、強化繊維によるシートの補強効果は小さく、多いと連続強化繊維間を結着する樹脂が少ないため積層シートは弱いものになるので5〜70重量%の範囲であることが好ましく、20〜60重量%がより好ましい。
【0020】
積層シートの厚みは、薄いと、積層シートの強度は弱く、厚いと、中空状への賦形が困難となるので、0.1〜2.0mmが好ましく、0.3〜1.5mmがより好ましい。
【0021】
つぎに、積層シートの形成方法は特に限定されず、以下にその2例を示す。 その1つは、連続強化繊維束を開繊し、一方向に揃えた後、これに熱可塑性樹脂(A)よりなるフィルムを重ねて加熱ピンチロール間を通過させ、溶融熱可塑性樹脂を強化繊維相互間に浸入させて、繊維強化熱可塑性樹脂シートを得る。この繊維強化熱可塑性樹脂シートに、熱可塑性樹脂(B)よりなるシートを積層し、再び加熱ピンチロール間を通過させ、熱可塑性樹脂シートを繊維強化熱可塑性樹脂シートに融着させ、つぎに冷却ピンチロール間を通過させ、冷却して繊維強化熱可塑性樹脂層と熱可塑性樹脂層の2層を有する積層シートを形成するものである。
【0022】
他の1つは、一方向に揃えた複数の連続強化繊維束を、粉体状熱可塑性樹脂(A)の流動床中を通過させて開繊させながら粉体状熱可塑性樹脂(A)を付着させて帯状となした後、加熱ピンチロール間を加圧しながら通過させ、熱可塑性樹脂(A)を溶融させて強化繊維相互間に浸入させ、つぎに冷却ピンチロール間を通過させ、冷却して繊維強化熱可塑性樹脂シートを得、この繊維強化熱可塑性樹脂シートに、熱可塑性樹脂(B)よりなるシートを積層し、再び加熱ピンチロール間を加圧しながら通過させ、熱可塑性樹脂シートを繊維強化熱可塑性樹脂シートに融着させ、つぎに冷却ピンチロール間を通過させて冷却し、繊維強化熱可塑性樹脂層と熱可塑性樹脂層の2層を有する積層シートを形成するものである。
【0023】
繊維強化熱可塑性樹脂シートを中空状に賦形する方法としては、例えば、中央部に繊維強化熱可塑性樹脂シートが通過しうるスリットを備えた複数の金型を、各々の金型に設けられたスリットが板状から中空体状へと漸次変化するように、繊維強化熱可塑性樹脂シートの引き抜き方向に複数配置し、金型を繊維強化熱可塑性樹脂シートを構成する熱可塑性樹脂の軟化点以上の温度に保持しつつ、繊維強化熱可塑性樹脂シートをスリット間を通過させることにより、繊維強化熱可塑性樹脂シートを中空状に賦形する方法や、前記金型の代わりに、シュウーやロールを用いた方法等があげられる。
【0024】
ここで軟化状態とは、JIS−K−7206に準じて測定された、ビカット軟化温度以上に、熱可塑性樹脂が加熱された状態を指す。一般的には、熱可塑性樹脂が変形を始め、機械的性質が低下する温度まで加熱された状態を指す。
また、本発明の積層中空体は、積層シートの端部同士を突きあわせ若しくは、重ね合わせることにより得られる中空体のみならず、積層シートの端部同士が突きあわせられず、若干の間隔を有する場合も含まれる。
積層シートは、中空状に賦形した際、繊維強化熱可塑性樹脂層および熱可塑性樹脂層のいずれが内側になってもよいが、賦形金型との摩擦による積層シートの強度低下を防止するために、熱可塑性樹脂層を内側にするのが好ましい。
【0025】
また、積層中空体への賦形は、積層シート1枚のみで行なってもよいし、複数枚の積層シートを重ねて行なってもよい。
熱可塑性樹脂(C)としては、熱可塑性樹脂(A)、熱可塑性樹脂(B)と同様のものが使用可能であるが、積層シートを中空状に賦形した際に、内側となる層を構成する熱可塑性樹脂と熱融着可能である熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。具体的には、熱可塑性樹脂(C)と、積層中空体の内側となる層を構成する熱可塑性樹脂とは、同じ種類の熱可塑性樹脂同士を用いることが好ましい。異なる種類の熱可塑性樹脂を使用する場合の組合せとしては、熱可塑性樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)の組合せで述べた例があげられる。また、熱可塑性樹脂(C)は、発泡安定性を向上させるために、架橋されていてもよい。
【0026】
熱可塑性樹脂(C)を発泡させるために用いる発泡剤としては、請求項1の発明では、熱により化学分解してガスを生成する分解型発泡剤と、揮発性液体のガス化を利用する揮発型発泡剤の両方が使用できる。また、熱可塑性樹脂(C)を溶融温度以上で混練しながら二酸化炭素や窒素などを圧入し、熱可塑性樹脂(C)に分散させた後、圧を解放して発泡させてもよい。請求項2の発明では、分解型発泡剤のみが使用できる。
【0027】
熱分解型発泡剤としては、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、pp’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、アゾジカルボン酸バリウム、トリヒドラジノトリアジン、p−トルエンスルホニルヒドラジド、重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム等があげられる。揮発性発泡剤としては、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素、塩化メチル、二塩化メチレンなどの塩素化脂肪族炭化水素、1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン、2,2−ジクロロ−1,1,1−トリフルオロエタン、1,1,1,2−テトラフルオロエタンなどのフロンガスなどがあげられる。発泡剤の種類によって発生するガス量は異なるので配合量は適宜調整しなければならないが、熱可塑性樹脂100重量部に対して、0.5〜15重量部の範囲で配合するのが好ましい。発泡剤の配合量が少なすぎると発泡した成形体は得られず、また、発泡剤の配合量が多すぎると破泡して緻密なセルが得られない。例えばアゾジカルボンアミドを用いて10倍の熱可塑性樹脂発泡体を得る場合、熱可塑性樹脂(C)100重量部に対して5〜7.5重量部混合するのが適当である。
【0028】
熱可塑性樹脂(C)の発泡倍率は、製品に要求される強度や比重、使用する熱可塑性樹脂の種類などで適宜選択されるが、低いと発泡させることによる軽量化の効果が小さく、高いと得られる繊維強化熱可塑性樹脂発泡体の強度が低下するので1.2〜20倍が好ましく、2〜10倍が特に好ましい。
【0029】
請求項1の発明において、賦形された積層中空体内に熱可塑性樹脂(C)を発泡させながら供給する方法としては、押出機のノズルを積層中空体に賦形する側から積層中空体の内側に配置し、熱可塑性樹脂(C)を発泡させながら押出す方法があげられる。
【0030】
この場合は、押出機のバレル内で熱可塑性樹脂(C)を発泡剤のガス発生温度以上で混練し、発生したガスを熱可塑性樹脂に分散させ、熱可塑性樹脂(C)の溶融温度以上に温度調節したノズルより積層中空体内に供給する。
【0031】
請求項2の発明において、積層中空体内に熱分解型発泡剤を含有する熱可塑性樹脂(C)を供給する方法としては、押出機のノズルを上記同様積層中空体の内側に設置し、熱可塑性樹脂(C)の溶融温度以上でかつ発泡剤の分解温度以下で押し出す方法や、シート状、ペレット状または棒状の発泡剤含有熱可塑性樹脂(C)を連続的に供給する方法などがあげられる。
【0032】
請求項2の発明において、賦形金型内で発泡剤の分解温度以上に加熱して発泡させる方法としては、賦形金型自体を高温に加熱する方法や積層中空体の内側に熱風を吹きむ方法などがあげられる。
【0033】
積層中空体の熱可塑性樹脂(A)(B)を軟化状態にする方法としては、積層中空体の賦形金型をヒーターで熱可塑性樹脂(A)(B)の軟化温度以上に加熱する方法があげられる。また、請求項1の発明では、熱可塑性樹脂(C)の熱により加熱する方法もあげられる。
【0034】
軟化状態の繊維強化熱可塑性樹脂シートを発泡圧により賦形する金型の断面形状は、所望形状を任意に選択可能である。積層中空体の周方向への展延倍率は、なるべく小さな方がよい。ここで展延倍率は、展延前の積層中空体の厚み/展延後の積層中空体の厚みとする。展延倍率が大きいと、製品の強度は弱いものとなり、また部分的に展延倍率が大きいと、製品に強度のばらつきが生ずる。この展延倍率は、熱可塑性樹脂の種類、積層中空体の厚み、展延時の温度や金型内面の表面性によって異なるが、2倍以下が好ましい範囲である。2倍を超えると破れる場合がある。
【0035】
【作用】
本発明は、上述のような構成を有するので、積層中空体における繊維強化熱可塑性樹脂層は、周方向への展延性に乏しいが、これに積層されている熱可塑性樹脂層は展延性に富んでいる。したがって、積層中空体を発泡圧によりその周方向に展延させ、金型内周面にそわせて賦形する際、繊維強化熱可塑性樹脂層が熱可塑性樹脂層に伴われて展延するため、展延に対し、積層中空体が優れた抗張力を示し、展延によって破れない。
【0036】
若し、積層中空体が繊維強化熱可塑性樹脂層のみであれば、展延前の中空体の中空断面と、発泡して得られたその内部の発泡体の断面形状が大きく異なる場合は、積層中空体は大きくその周方向に展延されて破れるおそれがある。
【0037】
積層中空体の破れを防止するには、積層中空体にその周方向の展延性を付与すればよいが、繊維強化熱可塑性樹脂層のみよりなる積層中空体の展延性は、強化繊維相互間の熱可塑性樹脂の展延性に依存しているため、前記熱可塑性樹脂を高粘度化もしくは架橋すればよい。しかしながら、繊維強化熱可塑性樹脂層は、強化繊維相互間に溶融状態の熱可塑性樹脂を浸入させた後、これを冷却固化することにより得られるため、高粘度、難流動性の熱可塑性樹脂を用いることはできない。なぜなら、強化繊維への熱可塑性樹脂の浸入が充分でないと、繊維強化熱可塑性樹脂層中に空隙が残り、高強度が得られないからである。しかしながら、本発明における繊維強化熱可塑性樹脂層の熱可塑性樹脂(A)は、メルトフローレートが15〜500であるので強化繊維相互間に充分浸入するので、高強度が得られる。
【0038】
【実施例】
本発明の実施例を比較例と対比して説明する。
実施例1
一方向に揃えた連続強化繊維束20本を、粉体状熱可塑性樹脂(A)の流動床中を通過させて開繊させながら平均粒径100μm、メルトフローレートが45の粉体状熱可塑性樹脂(A)を付着させて帯状となした後、220℃に加熱されたピンチロール間を10kg/cmで加圧しながら通過させ、熱可塑性樹脂(A)を溶融させて強化繊維相互間に浸入させ、つぎに冷却ピンチロール間を通過させて冷却し、厚み0.7mm、幅120mm、繊維含有率60重量%の繊維強化熱可塑性樹脂シートを得た。この繊維強化熱可塑性樹脂シートに、メルトフローレートが1.0の熱可塑性樹脂(B)よりなる厚み0.5mm、幅120mmのシートを積層し、これを再び220℃に加熱されたピンチロール間を5kg/cmで加圧しながら通過させ、熱可塑性樹脂シートを繊維強化熱可塑性樹脂シートに融着させ、つぎに冷却ピンチロール間を通過させて冷却した後、幅10mmに切断し繊維強化熱可塑性樹脂層と熱可塑性樹脂層の2層を有する厚み1.2mm、幅100mm、繊維含有率40重量%の積層シートを形成した。
【0039】
上記積層シートを用いて繊維補強熱可塑性樹脂発泡体を製造するのであるが、実施例で用いられる繊維補強熱可塑性樹脂発泡体製造装置の例を図1〜4を参照してつぎに説明する。
【0040】
なお、下記の説明において、「前」とは図1の右方を指す。
繊維強化熱可塑性樹脂層(1) と熱可塑性樹脂層(2) を有する上記積層シート(3) は、前者の層を内側にして冷却ピンチロール間通過後巻取機によりコイル状に巻き取られるが、これはそのまま図1に示す繊維補強熱可塑性樹脂発泡体製造装置の積層シート繰出機に移し替えられる。
【0041】
繊維補強熱可塑性樹脂発泡体製造装置は、巻き戻しロール(4) を有する積層シート繰出機と、その前方に配置せられかつ一側方の押出機(5) と連結せられた押出金型(6) と、押出金型(6) の前に連続状に配置せられた賦形金型(7) と、賦形金型(7) の前に連続状に配置せられた冷却金型(8) と、冷却金型(8) の前方に配置せられた引取機(9) とを備えている。
【0042】
押出金型(6) は、U字状の入口と、真円の環状出口とを有しており、入口から出口にかけて、U字状に変形されて押出金型(6) に挿入された積層シート(3) の両縁を徐々に接近させて最後に両縁を突き合わせ、外径が31.8mmの完全な真円中空体となすような通路が形成されている。押出機(5) は、積層シート(3) が完全に中空状になる手前の位置で押出金型(6) の内コア(10)と連結せられている。内コア(10)には、この連結部から押出金型(6) の前端に至るまで直径5mmの円形樹脂通路(11)が設けられている。そして、押出機(5) のバレル内温度は200℃に温度調節されている。賦形金型(7) の内面は、入口側で押出機(6) の出口外径と同じ円形となっているが、出口側で40×40mmの方形となっている。そして、出口から入口にかけて内面が円形から次第に方形になるようにかつその周長が次第に大きくなるよう変っていっている。冷却金型(8) の内面は、賦形金型(7) の出口形状の大きさに合致している。
【0043】
上記装置において、繰出機の巻き戻しロール(4) から巻き戻された積層シート(3) を押出金型(6) に挿入し、同金型(6) 内で連続的に中空状に賦形することにより積層中空体(12)となし、賦形されてきた積層中空体(12)を180℃に加熱した賦形金型(7) 内に導くとともに、賦形金型(7) 内通過中の積層中空体(12)内に押出金型(6) の樹脂通路(11)の出口から発泡性熱可塑性樹脂(C)を発泡させながら連続的に供給し、熱可塑性樹脂(A)(B)を軟化状態に保ちつつ、積層中空体(12)を発泡圧によりその周方向に展延させ、賦形金型(7) 内周面にそわせて賦形し、しかも積層中空体(12)内を熱可塑性樹脂発泡体(13)で満たし、そのまま冷却金型(8) を通過させて冷却し、引取機(9) により引き取って発泡芯層と被覆層とを有する横断面が40×40mmの角柱状繊維補強熱可塑性樹脂発泡体(14)を得た。
【0044】
この実施例において、連続強化繊維としては、ガラス繊維(日東紡績ガラスロービングRS440−517FS、4400g/km、繊維径23μm)を、熱可塑性樹脂(A)(B)(C)としては、表1の配合のものをそれぞれ用いた。なお、配合はスーパーミキサーを用いて樹脂温度が100度になるまで行なった。
【0045】
【表1】
Figure 0003554585
【0046】
実施例2
この実施例は、押出金型の温度を175℃、押出機のバレル内温度を180℃および賦形金型の温度を220℃としたこと、発泡性熱可塑性樹脂(C)を発泡させないで押出金型から押し出し、賦形金型内で始めて発泡させたこと以外は、実施例1と同様にして繊維補強熱可塑性樹脂発泡体を製造したものである。
【0047】
実施例3
この実施例は、連続強化繊維束が10本であること、繊維強化熱可塑性樹脂シートの厚みが0.35mm、熱可塑性樹脂シートの厚みが0.25mmおよび積層シートの厚みが1.2mmであること以外は、実施例1と同様にして繊維補強熱可塑性樹脂発泡体を製造したものである。
【0048】
実施例4
この実施例は、連続強化繊維束が16本であること、粉体熱可塑性樹脂(A)としてメルトフローレート70の粉体ポリプロピレン(住友化学のAX674、平均粒径100μm)を用いたこと、繊維強化樹脂シートの厚みが0.66mmであること、熱可塑性樹脂(B)としてメルトフローレート0.6のポリプロピレン(住友化学のAb571)を用いたこと、熱可塑性樹脂シートの厚みが0.54mmであること、発泡性熱可塑性樹脂(C)として表2の組成のものを用いたこと以外は、実施例1と同様にして繊維補強熱可塑性樹脂発泡体を製造したものである。
【0049】
【表2】
Figure 0003554585
【0050】
実施例5
この実施例は、押出機のバレル内温度を180℃としたこと、発泡性熱可塑性樹脂(C)を発泡させないで押出金型から押し出し、賦形金型の温度を220℃に保持し、賦形金型内で始めて発泡させたこと以外は、実施例4と同様にして繊維補強熱可塑性樹脂発泡体を製造したものである。
【0051】
実施例6
この実施例は、熱可塑性樹脂シートとして、メルトフローレートが9.0のポリプロピレン(住友化学AW564)に、メルトフローレートが11のシラン変性ポリプロピレン(三菱油化リンクロンPM800H)を20部配合した材料を用いて製造した厚み0.5mm、幅120mmのポリプロピレンシートを、99℃熱水中で1時間湯浴して部分架橋させたメルトフローレートが0.9の部分架橋ポリプロピレンシートを得たものを用いたこと以外は、実施例4と同様にして繊維補強熱可塑性樹脂発泡体を製造したものである。
【0052】
実施例7
この実施例は、押出機のバレル内温度を180℃としたこと、発泡性熱可塑性樹脂(C)を発泡させないで押出金型から押し出し、賦形金型の温度を220℃に保持し、賦形金型内で始めて発泡させたこと以外は、実施例6と同様にして繊維補強熱可塑性樹脂発泡体を製造したものである。
【0053】
比較例1
この比較例は、連続強化繊維束が17本であること、繊維強化熱可塑性樹脂シートの厚みが0.7mm、幅が100mmであること、繊維強化熱可塑性樹脂シートのみで中空体を形成したこと以外は、実施例1と同様にして繊維補強熱可塑性樹脂発泡体を製造したものである。
【0054】
比較例2
この比較例は、連続強化繊維束が29本であること、繊維強化熱可塑性樹脂シートの厚みが1.2mm、幅が100mmであること、繊維強化熱可塑性樹脂シートのみで中空体を形成したこと以外は、実施例1と同様にして繊維補強熱可塑性樹脂発泡体を製造したものである。
【0055】
比較例3
この比較例は、連続強化繊維束が29本であること、繊維強化熱可塑性樹脂シートの厚みが1.2mm、幅が100mmであること、繊維強化熱可塑性樹脂シートのみで中空体を形成したこと、押出機のバレル内温度を180℃としたこと、発泡性熱可塑性樹脂(C)を発泡させないで押出金型から押し出し、賦形金型の温度を220℃に保持し、賦形金型内で始めて発泡させたこと以外は、実施例1と同様にして繊維補強熱可塑性樹脂発泡体を製造したものである。
【0056】
比較例4
この比較例は、熱可塑性樹脂シートの熱可塑性樹脂(B)として、メルトフローレートが10でかつ表3の配合のものを用いたこと以外は、実施例1と同様にして繊維補強熱可塑性樹脂発泡体を製造したものである。
【0057】
【表3】
Figure 0003554585
【0058】
比較例5
この比較例は、連続強化繊維束が24本であること、繊維強化熱可塑性樹脂シートの厚みが1.2mm、幅が100mmであること、繊維強化熱可塑性樹脂シートのみで中空体を形成したこと以外は、実施例4と同様にして繊維補強熱可塑性樹脂発泡体を製造したものである。
【0059】
比較例6
この比較例は、繊維強化熱可塑性樹脂シートの熱可塑性樹脂(A)として、メルトフローレート1.1の粉体ポリプロピレン(住友化学YE101)を用いたこと、発泡性熱可塑性樹脂(C)を発泡させながら押出金型から押し出したこと以外は、実施例5と同様にして繊維補強熱可塑性樹脂発泡体を得たものである。上記繊維強化熱可塑性樹脂シートは、熱可塑性樹脂(A)が強化繊維相互間に均一に浸入していないため、その厚みが不均一であった。
【0060】
比較例7
この比較例は、繊維強化熱可塑性樹脂シートの熱可塑性樹脂(A)として、ポリプロピレン(住友化学AH561)100重量部に、ジクミルパーオキサイド2重量部を配合し、200℃に加熱し得られたメルトフローレート650の架橋ポリプロピレンを用いたこと、発泡性熱可塑性樹脂(C)を発泡させながら押出金型から押し出したこと以外は、実施例5と同様にして繊維補強熱可塑性樹脂発泡体を得たものである。
【0061】
比較例8
この比較例は、強化熱可塑性樹脂シートの熱可塑性樹脂(B)として、メルトフローレート0.6のポリプロピレン(住友化学AD571)を用いたこと、押出金型の温度を200℃としたこと以外は、実施例7と同様にして角柱状繊維補強熱可塑性樹脂発泡体を製造しようとしたが、角部の形状が得られなかった。
【0062】
比較例9
この比較例は、強化熱可塑性樹脂シートの熱可塑性樹脂(B)として、メルトフローレート9.0のポリプロピレン(住友化学AW564)を用いたこと、押出金型の温度を200℃としたこと以外は、実施例5と同様にして繊維補強熱可塑性樹脂発泡体を得たものである。
【0063】
比較例10
この比較例は、連続強化繊維束が17本であること、繊維強化熱可塑性樹脂シートの厚みが1.2mm、幅が100mmであること、繊維強化熱可塑性樹脂シートのみで中空体を形成したこと、押出機のバレル内温度を180℃としたこと、発泡性熱可塑性樹脂(C)を発泡させないで押出金型から押し出し、賦形金型内で始めて発泡させたこと、賦形金型を220℃に加熱したこと以外は、実施例1と同様にして繊維補強熱可塑性樹脂発泡体を製造したものである。
【0064】
比較例11
この比較例は、繊維強化熱可塑性樹脂シートの熱可塑性樹脂(A)として、メルトフローレート1.1の粉体ポリプロピレン(住友化学YE101)を用いたこと以外は、実施例5と同様にして繊維補強熱可塑性樹脂発泡体を得たものである。
【0065】
比較例12
この比較例は、繊維強化熱可塑性樹脂シートの熱可塑性樹脂(A)として、比較例7で用いた架橋ポリプロピレンを用いたこと以外は、実施例5と同様にして複合発泡体を得たものである。
【0066】
比較例13
この比較例は、強化熱可塑性樹脂シートの熱可塑性樹脂(B)として、メルトフローレート0.6のポリプロピレン(住友化学AD571)を用いたこと以外は、実施例5と同様にして角柱状繊維補強熱可塑性樹脂発泡体を製造しようとしたが、角部の形状が得られなかった。
【0067】
表4に、各例によって得た製品である繊維補強熱可塑性樹脂発泡体および発泡芯層のそれぞれの比重ならびに横断面を観察したさいの被覆層の破れの有無を示す。
【0068】
図4は、被覆層(15)が横断面方形の4隅において発泡時に破れ、発泡芯層(16)が露出している角柱状発泡体(17)を示す。
【0069】
【表4】
Figure 0003554585
【0070】
【発明の効果】
本発明の繊維補強熱可塑性樹脂発泡体の製造方法によれば、積層中空体を発泡圧によりその周方向に展延させ、金型内周面にそわせて賦形する際、展延性に乏しい繊維強化熱可塑性樹脂層が展延性に富んでいる熱可塑性樹脂層に伴われて展延するため、展延に対し、積層中空体が優れた抗張力を示し、展延によって破れない。そして、繊維強化熱可塑性樹脂層は展延性に乏しいものの、これを構成する熱可塑性樹脂(A)が強化繊維相互間に充分浸入しているため、強度が大である。
【0071】
以上の繊維強化熱可塑性樹脂層と熱可塑性樹脂層の組み合わせにより、本発明によれば、均一な機械的強度を有する繊維補強熱可塑性樹脂発泡体を容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の製造方法の実施に用いられる装置の一部を切り欠いた側面略図である。
【図2】図1のII−II線にそう拡大断面図である。
【図3】図1のIII −III 線にそう拡大断面図である。
【図4】図1のIV−IV線にそう拡大断面図である。
【図5】比較例で製造せられた繊維補強熱可塑性樹脂発泡体の横断面図である。
【符号の説明】
(1) :繊維強化熱可塑性樹脂層
(2) :熱可塑性樹脂層
(3) :積層シート
(7) :賦形金型
(12):積層中空体
(13):熱可塑性樹脂発泡体
(14):繊維補強熱可塑性樹脂発泡体

Claims (2)

  1. 一方向に揃えられた多数の連続強化繊維と、メルトフローレートが15〜500の熱可塑性樹脂(A)とからなる繊維強化熱可塑性樹脂層と、メルトフローレートが0.1〜5で、かつ前記熱可塑性樹脂(A)と熱融着性を有する熱可塑性樹脂(B)よりなる熱可塑性樹脂層とを有する積層シートを、その繊維方向が長手方向になるようにして、連続的に中空状に賦形することにより積層中空体となす工程と、賦形されてきた積層中空体を賦形金型内に導くとともに、賦形金型内通過中の積層中空体内に発泡性熱可塑性樹脂(C)を発泡させながら連続的に供給し、熱可塑性樹脂(A)(B)を軟化状態に保ちつつ、積層中空体を発泡圧によりその周方向に展延させ、金型内周面にそわせて賦形し、しかも積層中空体内を熱可塑性樹脂発泡体で満たす工程とを含むことを特徴とする繊維補強熱可塑性樹脂発泡体の製造方法。
  2. 一方向に揃えられた多数の連続強化繊維と、メルトフローレートが15〜500の熱可塑性樹脂(A)とからなる繊維強化熱可塑性樹脂層と、メルトフローレートが0.1〜5で、かつ前記熱可塑性樹脂(A)と熱融着性を有する熱可塑性樹脂(B)よりなる熱可塑性樹脂層とを有する積層シートを、その繊維方向が長手方向になるようにして、連続的に中空状に賦形することにより積層中空体となす工程と、賦形されてきた積層中空体を賦形金型内に導くとともに、賦形金型内通過中の積層中空体内に熱分解型発泡剤を含有する熱可塑性樹脂(C)を連続的に供給した後、熱分解型発泡剤の分解温度以上に加熱して熱可塑性樹脂(C)を発泡させ、熱可塑性樹脂(A)(B)を軟化状態に保ちつつ、積層中空体を発泡圧によりその周方向に展延させ、金型内周面にそわせて賦形し、しかも積層中空体内を熱可塑性樹脂発泡体で満たす工程とを含むことを特徴とする繊維補強熱可塑性樹脂発泡体の製造方法。
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