JP3549405B2 - プラスチック選別装置およびプラスチック選別方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラスチック片からなる被選別粉砕ごみを種類ごとに選別するためのプラスチック選別装置およびプラスチック選別方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ごみのリサイクル化が急速に推進されつつある。ところで、プラスチック製品原料として消費されるプラスチック類は、塩化ビニル系樹脂(以下「PVC」と称する)、ポリエチレン系樹脂(以下「PE」と称する)、ポリプロピレン系樹脂(以下「PP」と称する)、ポリスチレン系樹脂(以下「PS」と称する)およびメタクリル樹脂[アクリル樹脂](以下「PMMA」と称する)が全体の約80%を占め、回収される廃プラスチックも前記樹脂類がほとんどを占めると考えられる。また、所謂ペットボトルとして使用されるポリエチレンテレフタラート樹脂(以下「PET」と称する)も独自に収拾されつつある。そして、これらの樹脂をリサイクルする場合に、樹脂の種類ごとに分別することが肝要である。
【0003】
そして、粉砕されたプラスチック片を選別する技術として、プラスチック選別装置があり、図1に基づいて、このプラスチック選別装置について説明する。
このプラスチック選別装置では、被選別粉砕ごみである種類の異なる樹脂系のプラスチック1を混在させた状態でホッパ2へ投入すると、ホッパ2の出口からプラスチック片1が摩擦帯電装置3へ投入される。プラスチック片1は、この摩擦帯電装置3において攪拌されて摩擦帯電し、その後、金属ドラム電極5の上面へ散布される。なお、この金属ドラム電極5は、水平軸芯回りに所定方向に回転され、接地されている。
【0004】
前記金属ドラム電極5の回転方向斜め上方には、円弧板状の高電圧電極6が配置されており、この高電圧電極6には高圧電源装置7の陰極が接続され、高圧電源装置7の陽極は接地されている。この接続によって、金属ドラム電極5により回転接地電極が形成され、高電圧電極6と金属ドラム電極5との間に選別用静電場が形成される。
【0005】
また、金属ドラム電極5の下方には、上方へ開口した第一分離容器8および第二分離容器9が、回転方向上流側に順に配置されている。また、金属ドラム電極5の外周部に、金属ドラム電極5の周面に付着したプラスチック片1を掻き落とすブラシ10が配置されている。
【0006】
上記構成による作用を説明する。複数種のプラスチック片1は、ホッパ2より摩擦帯電装置3へ投入され、この摩擦帯電装置3の一個の筒体内で異なった種類のプラスチック片1同士が攪拌されて摩擦し合うことで帯電される。そして、帯電したプラスチック片1は金属ドラム電極5上に散布され、摩擦帯電装置3でマイナスの電荷が帯電されたプラスチック片1は、金属ドラム電極5に反発して高電圧電極6に吸引され、第一分離容器8に落下する。また、金属ドラム電極5と逆のプラスの電荷が帯電したプラスチック片1は、金属ドラム電極5の表面に吸着されて金属ドラム電極5の回転により第二分離容器9に落下するか、あるいはブラシ10により金属ドラム電極5の表面から掻き落とされて分離し、第二分離容器9に落下する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記摩擦帯電装置3では、ホッパ2へ投入された複数種の異なる樹脂系のプラスチックからなるプラスチック片1を一個の筒体内で攪拌して摩擦帯電するものであるが、プラスチック片1の大きさによっては、他のプラスチック片1より速く筒体の落下口に到達して落下してしまう場合が有り、この場合そのプラスチック片1に十分な帯電量(帯電圧)が与えられず、金属ドラム電極5および高電圧電極6で、正確に分離されないことがあった。
【0008】
これを防止するために、摩擦帯電装置3の容器を大型にすることが考えられるが、これでは摩擦帯電装置3の設置のためのスペースを多く必要としてしまう。そこで、本発明は上記課題を解決し得るプラスチック選別装置およびプラスチック選別方法の提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明における課題解決手段は、粉砕された複数種のプラスチック片を攪拌して摩擦帯電させるための摩擦帯電装置と、摩擦帯電装置の下方に配置されて摩擦帯電されたプラスチック片を帯電量を利用して分離するための静電分離部とを備えたプラスチック選別装置であって、前記摩擦帯電装置は、上部の第一攪拌容器と、この第一攪拌容器に縦軸回りに回転自在に内装された第一攪拌翼と、前記第一攪拌容器の下部に配置されて一側が第一攪拌容器の出口部に連通するとともに他側に前記静電分離部にプラスチック片を落下させる落下口部を設けた第二攪拌容器と、この第二攪拌容器に横軸回りに回転自在に内装されたスクリュウ型の第二攪拌翼とを備えている。
【0010】
そして、前記第一攪拌容器、第一攪拌翼、第二攪拌容器および第二攪拌翼が金属製とされている。
上記構成において、第一攪拌容器に縦軸回りに回転自在な第一攪拌翼で複数種のプラスチック片を攪拌し、続いて、第一攪拌容器の出口部に連通する第二攪拌容器に横軸回りに回転自在なスクリュウ型の第二攪拌翼で攪拌し、第二攪拌翼で第二攪拌容器の落下口部の下方に配置した静電分離部に定量的にプラスチック片を落下させ、摩擦帯電装置で摩擦帯電されたプラスチック片を帯電量を利用して静電分離部で分離して別々に回収する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。まず、本発明の実施の形態に係るプラスチック選別方法を実施するためのプラスチック選別装置を、図1に基づいて説明する。なお、本発明の実施の形態に係るプラスチック選別装置Sと従来のプラスチック選別装置の異なる部分は、摩擦帯電装置3の構成である。
【0012】
本発明の実施の形態に係るプラスチック選別装置Sは、異なる樹脂系のプラスチック片(被選別粉砕ごみ)1を複数種混在させた状態で投入するホッパ2と、このホッパ2の出口2a側に配置されてプラスチック片1を攪拌によって摩擦帯電させるための摩擦帯電装置3と、この摩擦帯電装置3の下方に配置されて、摩擦帯電された複数種のプラスチック片1を静電分離するために静電分離部Gと、この静電分離部Gで静電分離されたプラスチック片1を種類別に回収するための第一分離容器8および第二分離容器9とを備えている。
【0013】
図2に示すように、前記摩擦帯電装置3は、ホッパ2の出口2aに配置される取入口14を有した上部の第一攪拌容器15と、この第一攪拌容器15に縦軸部材16回りに回転自在に内装された第一攪拌翼17と、縦軸部材16を回転させるための第一駆動モータ18と、前記第一攪拌容器15の下部に一体的に形成されて一側上部が第一攪拌容器15の出口部19に連通するとともに他側下部に前記静電分離部Gにプラスチック片1を落下させる落下口20を形成した第二攪拌容器21と、この第二攪拌容器21に横軸部材22回りに回転自在に内装されたスクリュウ型の第二攪拌翼23と、横軸部材22を回転させるための第二駆動モータ24とから構成され、前記第一攪拌容器15、第一攪拌翼17、第二攪拌容器21および第二攪拌翼23は金属製とされている。
【0014】
次に、図1に基づいて、前記静電分離部Gの構成を説明する。この静電分離部Gは、第二攪拌容器21の落下口20の下方に配置された金属ドラム電極5と、この金属ドラム電極5の斜め上方に配置された高電圧電極6と、金属ドラム電極5の下方に配置されて金属ドラム電極5の周面に付着したプラスチック片1を掻き落とすためのブラシ10とから構成されている。なお、前記金属ドラム電極5は、水平軸芯回りに所定方向に回転自在に構成され、接地されている。また、前記高電圧電極6には高圧電源装置7の陰極が接続され、高圧電源装置7の陽極は接地されている。そして、この接続によって、金属ドラム電極5により回転接地電極が形成され、高電圧電極6と金属ドラム電極5との間に選別用静電場が形成される。
【0015】
また、前記第一分離容器8および第二分離容器9は、金属ドラム電極5の下方に金属ドラム電極5の回転方向に順に配置され、第一分離容器8および第二分離容器9ともに上方へ開口している。
【0016】
次に、上記構成のプラスチック選別装置Sにおけるプラスチック選別方法を説明する。複数種のプラスチック片1は、混在した状態でホッパ2より摩擦帯電装置3の第一攪拌容器15へ投入され、第一駆動モータ18の駆動により第一攪拌翼17が回転して予備的に攪拌され、ある程度の帯電量でもって帯電される。続いて、プラスチック片1は、第一攪拌容器15の出口部19から第二攪拌容器21内へ落下し、第二駆動モータ24の駆動によりスクリュウ型の第二攪拌翼23で攪拌されて十分な帯電量を得るとともに第二攪拌容器21の落下口20へ向けて搬送される。
【0017】
ところで、プラスチック片1の大きさによって他のプラスチック片1より速く第二攪拌容器21内へ落下してしまう傾向のあるプラスチック片1があったとしても、第二攪拌容器21内で他のプラスチック片1と確実に攪拌され、十分な帯電量を得る。そして、十分に帯電されたプラスチック片1は、スクリュウ型の第二攪拌翼23によって落下口20から金属ドラム電極5上に定量づつ散布され、摩擦帯電装置3でマイナスの電荷が帯電されたプラスチック片1は、金属ドラム電極5に反発して高電圧電極6に吸引され、第一分離容器8に落下する。また、金属ドラム電極5と逆のプラスの電荷が帯電したプラスチック片1は、金属ドラム電極5の表面に吸着されて金属ドラム電極5の回転により第二分離容器9に落下するか、あるいはブラシ10により金属ドラム電極5の表面から掻き落とされて第二分離容器9に落下する。このようにして、複数種のプラスチック片1が混在した状態であっても、帯電量(種類別)ごとに分離、あるいは特定のプラスチック片1を回収することができる。
【0018】
このように、本発明の実施の形態によれば、複数種のプラスチック片1は、ホッパ2より摩擦帯電装置3の第一攪拌容器15へ投入されて第一攪拌翼17で予備的に攪拌されて帯電され、プラスチック片1は、第一攪拌容器15の出口部19から第二攪拌容器21内へ落下してスクリュウ型の第二攪拌翼23で攪拌されて十分な帯電量を得た後、第二攪拌容器21の落下口20へ向けて搬送されるので、静電分離部Gでプラスチック片1を分離することができ、プラスチック片1の大きさによって他のプラスチック片1より速く第二攪拌容器21内へ落下してしまう傾向のあるプラスチック片1があったとしても、第二攪拌容器21内で他のプラスチック片1と確実に攪拌され、十分な帯電量を得、十分に帯電されたプラスチック片1は、スクリュウ型の第二攪拌翼23によって落下口20から金属ドラム電極5上に定量づつ散布されるので、安定した状態で静電分離部Gでのプラスチック片1の分離を行い得る。
【0019】
また、第一攪拌容器15、第一攪拌翼17、第二攪拌容器21および第二攪拌翼23を金属製とすることにより、汚れや損傷が発生しにくいので、プラスチック片1が被選別粉砕ごみであっても、長期の使用に耐え、損傷によってプラスチック片1を摩擦帯電させる際の極性に悪影響を及ぼすのを防止し得る。
【0020】
【発明の効果】
以上の説明から明らかな通り、本発明は、摩擦帯電装置は、上部の第一攪拌容器と、この第一攪拌容器に縦軸回りに回転自在に内装された第一攪拌翼と、第一攪拌容器の下部に配置されて一側が第一攪拌容器の出口部に連通するとともに他側に静電分離部にプラスチック片を落下させる落下口部を設けた第二攪拌容器と、この第二攪拌容器に横軸回りに回転自在に内装されたスクリュウ型の第二攪拌翼とを備えているので、第一攪拌翼で複数種のプラスチック片を攪拌した後、第二攪拌翼で攪拌されることで、プラスチック片の大きさによっては、他のプラスチック片1より速く第二攪拌容器に落下してしまうものがあっても、そのプラスチック片1に十分な帯電量が与えられ、静電分離部でプラスチック片の種類別(帯電量別)に正確に分離することができ、帯電されたプラスチック片は、スクリュウ型の第二攪拌翼で静電分離部に定量的に落下するので、静電分離部でのプラスチック片の分離を安定化した状態で行い得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示すプラスチック選別装置の全体構成を示す概略図である。
【図2】同じく摩擦帯電装置の詳細な構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1 プラスチック片
2 ホッパ
3 摩擦帯電装置
5 金属ドラム電極
6 高電圧電極
8 第一分離容器
9 第二分離容器
14 取入口
15 第一攪拌容器
16 縦軸部材
17 第一攪拌翼
18 第一駆動モータ
19 出口部
20 落下口
21 第二攪拌容器
22 横軸部材
23 第二攪拌翼
24 第二駆動モータ
G 静電分離部
S プラスチック選別装置
Claims (3)
- 粉砕された複数種のプラスチック片を攪拌して摩擦帯電させるための摩擦帯電装置と、摩擦帯電装置の下方に配置されて摩擦帯電されたプラスチック片を帯電量を利用して分離するための静電分離部とを備えたプラスチック選別装置であって、前記摩擦帯電装置は、上部の第一攪拌容器と、この第一攪拌容器に縦軸回りに回転自在に内装された第一攪拌翼と、前記第一攪拌容器の下部に配置されて一側が第一攪拌容器の出口部に連通するとともに他側に前記静電分離部にプラスチック片を落下させる落下口部を設けた第二攪拌容器と、この第二攪拌容器に横軸回りに回転自在に内装されたスクリュウ型の第二攪拌翼とを備えたことを特徴とするプラスチック選別装置。
- 第一攪拌容器、第一攪拌翼、第二攪拌容器および第二攪拌翼が金属製とされたことを特徴とする請求項1記載のプラスチック選別装置。
- 第一攪拌容器に縦軸回りに回転自在な第一攪拌翼で複数種のプラスチック片を攪拌し、続いて、第一攪拌容器の出口部に連通する第二攪拌容器に横軸回りに回転自在なスクリュウ型の第二攪拌翼で攪拌し、第二攪拌翼で第二攪拌容器の落下口部の下方に配置した静電分離部に定量的にプラスチック片を落下させ、摩擦帯電装置で摩擦帯電されたプラスチック片を帯電量を利用して静電分離部で分離して別々に回収することを特徴とするプラスチック選別方法。
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JP23337398A JP3549405B2 (ja) | 1998-08-20 | 1998-08-20 | プラスチック選別装置およびプラスチック選別方法 |
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JP23337398A Expired - Lifetime JP3549405B2 (ja) | 1998-08-20 | 1998-08-20 | プラスチック選別装置およびプラスチック選別方法 |
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