JP3548139B2 - 3軸力センサシステムおよび動力操作装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、操作者が加えているx,yおよびz方向力を検出することができる3軸力センサシステムおよび該3軸力センサシステムを応用した産業機器,福祉機器,輸送機器或いは開閉装置などのパワーアシスト装置を備えた動力操作装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のクレーン装置や介護用リフターは、操作スイッチが移動する物体や被介護者から離れて設置されている。また、on,off用の押しボタンスイッチより構成されていることから、動作もon,offとなり操作者の感覚とかなりのずれが生じる。特に介護用リフターにおいては、介護者,被介護者が接して操作することが被介護者に安心感を与えること、動きが滑らかであることが重要な要素となるが、現状の介護用リフターはこれらのことに対応できない。
【0003】
センサの公知例としては、変位や力を検出する操作装置や入力装置に関して特願平05−282020号,特願平09−362428号,特願平08−057458号公報が知られている。
【0004】
また、特開平11−280332号には補助力でドアを開けるようにしたドア開閉システムが記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、操作者の手の動作方向、すなわち持ち上げる,下ろす,横に移動する力を検出して、操作者の手の動きのままに小型クレーンや介護リフターのような動力操作装置について、操作者と機械とのインターフェイスの最適化を図って違和感なく操作できるようにすることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
握り体をそれを取り付ける中心軸間に、棒状の歪検出部を中心軸の前後左右に4本(2対)設置し、その棒状の歪検出部に歪ゲージを表または/および裏2枚取り付け、操作者が加えているx,yおよびz方向力を検出することを特徴とする3軸センサを構成する。
【0007】
力検出は、棒状の力検出部に発生する部材表面の曲げ歪より曲げモーメントを計算し、1対の棒状検出部よりxもしくはy方向力を計算することによって行う。z方向力は、1対もしくは2対の棒状力検出部よりxもしくはy方向力と同様の手順で計算する。
【0008】
操作者の力で床上の物体を動かす場合の物体移動速度にて吊り上げおよび横移動等の速度を決定して人と機械のインターフェイスとしての最適化を図る。
【0009】
ワイヤロープ下端の荷物用フック等にて物体の吊り上げ移動を行う小型のクレーンなどの動力操作装置によってフック近傍に前述したセンサシステムを取り付け、x,y方向の移動並びにz方向の吊り上げ作業を行う。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0011】
図1は、本発明の実施例に使用する3軸センタの縦断面を示し、図2は図1のII−II断面を示す。これらの図において、3軸力センサ100は、筒状の握り体(握り部)2を有し、握り体2は、外筒21と4本の棒状をなす歪(力)測定金物3(31,32,33,34)と外筒21の中心を通り、歪測定金物3が固着された軸1から構成される。外筒21は、上端部が開放され、軸1は横方向の傾動動作が許容される。また、外筒21は、4本すなわち2対の棒状の歪測定金物3(31,32,33,34)によって軸1に固着され、保持される。
【0012】
歪測定金物3は左右の一対の歪測定金物31,32と前後の一対の歪測定金物33,34から構成され、棒状の歪(力)検出部に歪ゲージ4がそれぞれ表裏2枚取り付けてある。歪ゲージ4は各歪検出部に1つずつでもよいが表裏2枚取り付けとすることによって測定精度が向上する。51は、溶接部分を示す。図2において、歪ゲージ4は左右の歪測定金物31,32にa、bが、そして前記の歪測定金物33,34にc,dが取り付けられる。
【0013】
軸1の上端には各種動力操作装置への取付部6が設けられ、下端には荷物用のフック取付部5が設けられる。
【0014】
以上のように、3軸力センサ100は、一端が開放され、他端側に前後左右にそれぞれ対をなす歪検出部を備え(2対の歪検出部を有する)、これらの歪検出部にそれぞれ歪ゲージ4を備えた筒状の握り体2を設け、筒状の握り体2を前記歪検出部を介して筒状方向に延在する軸(体)1に固着して構成される。前述の例にあっては、棒状の歪測定金物31,32,33,34を使用しているが、板状であってもよく、連結材上に歪ゲージを取り付けることによって歪検出部4が構成される。
【0015】
尚、ここで「一端が開放される」とは、軸1に対して図3に示すように握り体2が傾動することを許容する為に開放されているということであり、傾動すれば、柔かい材料で塞ぐことがあっても開放されていると同じことであり、また外筒21内に柔かい物を入れておくこともでき、この場合にも開放されているということである。
【0016】
このようにして構成した3軸力センサ100は、前述の例では上下方向に配設する構成としているが、逆のすなわち上下方向を逆に配設してもよいし、横方向配設としてもよい。したがって、ここで前後左右方向とは図1に示す例の場合のことを示す。
【0017】
握り部用の3軸力センサ100は、物を吊り上げる軸1と握り体2(すなわち外筒21)に、それら軸1と握り体2を1ヵ所にて結合する歪測定金物3(棒状の力検出部を中心軸前後左右に設置)を設けることにより構成される。軸1の下端に物体を吊り下げ、上端を小型クレーン等の本体に締結する。歪測定金物3は、前後および左右の棒状部分が一対となっており、これにより歪検出部が構成される。個々の棒状の力検出部に歪ゲージ2枚を部材の表裏に取り付け、xあるいはy及びz方向の操作者が加えている力を電圧値として検出する。表裏2枚の歪ゲージを用いるのは、気温の変化による金物の熱膨張をキャンセルするためである。
【0018】
力の検出方法は、握り体2に働く操作者の力(x,y,z方向力)により歪測定金物3の前後左右の棒状力検出部に発生するモーメントを歪ゲージにて検出することによって行う。このモーメントには、x,yおよびz方向の力が共に影響している。そこで、後述する方法にてx,yおよびz方向力を分離して求める。x方向力は、歪測定金物3の左右一対の棒状部材に発生するモーメントを用いる。y方向力は、歪測定金物3の前後一対の棒状部材に発生するモーメントを用いる。z方向力は、歪測定金物3の前後左右部材より求められるy方向力およびx方向力の和となる。
【0019】
尚、歪みゲージによる曲げモーメントの測定は、一般的に表裏に貼り付けることにより行われる。その理由は以下の通りである。
1.歪ゲージを表もしくは裏のどちらかに貼り付けても部材に発生する曲げ歪み量を測定することが出来る。しかし、気温等の変化による部材の伸び量も測定してしまい、正確な曲げ歪量とはならない場合があり得る。
2.歪ゲージを表裏に2枚貼ることは、1枚に比較して検出感度が2倍になること、及び温度による部材の伸び量を2枚の歪ゲージの抵抗の差とすることにより、キャンセルすることができ温度の影響なしに曲げ歪量のみ測定することが出来る。
【0020】
次に、図3を参照して操作者の力検出方法について説明する。なお図3は、説明を分かり易くするため2次元モデルとしており、握り体は単に歪み測定金物3の左右に配された棒状部材としている。この棒状部材の上端は自由端とし下端のみ固定されているとしてモーメント図を示している。図3において、握り部2は、ほぼ手で握れるサイズに構成されており、手で握られてx,yおよびz方向に移動、すなわち押圧される。今、x−z座標でx方向にFxの力がそしてz方向にFzの力が作用しているものとする。Wは重量物の重量を示し、固定部59(後述する図3(d)に示す滑車9に相当する)を示す。この場合に、測定原理は、握り体2を横に押す力Fxによって歪検出部と軸1との接続点(接点)に作用する曲げモーメント、および上方に持ち上げようとする力Fzによって歪検出部に発生する曲げモーメントによりFxおよびFzを計算することにある。
【0021】
図3(a)は、上方に持ち上げる力Fzの場合の曲げモーメント分布を示す。
【0022】
図3(b)は、横方向の力Fxが作用する場合の曲げモーメント分布を示す。
【0023】
図3(c)は、Fx,Fzが共に作用した場合の曲げモーメント分布を示し、この分布は図3(a)および図3(b)の和である。
【0024】
図3(d)は、滑車9に握り体2を取り付けた場合の曲げモーメント分布を示す。
【0025】
握り体2の二つの力の作用点11にそれぞれFx/2、及びFz/2の力が作用すると、外筒21上、歪測定金物3上、および軸1上には図3(c)に示すような曲げモーメント分布が発生する。
【0026】
歪ゲージ4を設置したaおよびb点に発生する歪によって求まる曲げモーメントMa,Mbは、FxとFzとの関係として次数1および2として表される。尚、測定された歪の値はA/Dを介してパソコンに入力され、計算に使用されることになる。
【0027】
【数1】
Fz∝(Mb−Ma) …数1
【数2】
Fx∝−(Mb+Ma) …数2
で表わされる。
【0028】
ここで、比例定数は、握り体2の外筒21の固定状況により異なる。
【0029】
x,yおよびz方向の移動の場合は、数1が
【数3】
Fz∝(Mb−Ma+Md−Mc) …数3
となり、数2が
【数4】
Fy∝−(Md+Mc) …数4
となり、y方向の力検出が算出される。尚、歪ゲージ4の取り付け位置については図2に示した通りである。
【0030】
握り部用の3軸力センサ100とシステムの制御方法は次のようになる。
【0031】
握り部用の3軸力センサ100を使用して操作者の力を機械力で補助する使い易い自然な感覚を操作者に与える人と機械のインターフェイスを実現する方法について説明する。一つの例として小型クレーン(図7)を考えると、クレーンのフック上部に握り部用の3軸力センサ100を設置して操作者が握り体2を握って動かせば、物体より離れたところのスイッチ操作ではなく、人の動かす方向・速度等の意志が検出でき、この信号で小型クレーンを制御すれば上記のインターフェイスを実現できる。その方法は、図4において、小型クレーンなどのx,y,z方向に作用するアクチュエータ8(上下,前後,左右移動機構)に、制御装置10内に仮想的に平面に物体を置いて力Fを作用させたときの摩擦を考慮し、物体の移動速度を求める運動モデル7を作成し、操作者の力に比例する力Fが運動モデル7の質量に作用したとして計算される速度を、比例定数kにて操作者が使い易いように調整し、各アクチュエータ8に速度指令を出力することにより行う。
【0032】
力の加減等による使い易さのパラメータは、運動モデル7の質量,摩擦係数を適宜設定することにより対応する。具体的には、3軸力センサ100よりの電圧出力を制御装置10に取り込み、次の方法でx,y,z方向力を求め、これらの力を基にx,y,z方向成分の速度を運動モデル7を基に各実時刻の移動速度を数値計算し、各アクチュエータ8の制御装置30へ各時刻毎に速度指令(例えば電圧値)を送出することにより行う。この方法は、例えば位置指令を入力とし出力としての位置(目標値)をPID制御等を実施する方法と異なり、入力としての力による速度が運動モデル7により決定される方式であり、目標値を有しない特徴が有る。実際の物体の移動には、位置決めを行うが、この部分は人が行う人を含めたフィードバック制御系で構成している。なお、制御系の安定のためには、速度指令値とアクチュエータ8の速度が同じになるようなフィードバック制御をかけるのがよい。
【0033】
図3を使用して3方向力(Fx,Fy,Fz)の測定方法について説明する。
【0034】
3方向力測定と2方向力測定は、同一原理であるので、図3(d)には小型クレーンに3軸力センサを適用した場合の力センサに発生するモーメント図を示した。本来操作者の握る行為によるFx,Fzの作用点は一定範囲に分布するが、簡単のために集中荷重として示す。操作者の力の作用点11にFx,Fzの力が作用した場合には、握り体2を介して力検出用の歪測定金物3に曲げモーメントが発生する。Fzのみ作用した場合は、Fzと曲げモーメント測定点a,bに発生する曲げモーメントMa,Mbの関係は、数1の関係となる。Fxのみ作用した場合は、吊り下げロープ及び物体を吊り上げる軸1も傾き、軸1に曲げモーメントが発生する。ここで軸1に発生する曲げモーメントは、Fxに関連する。また軸1に発生する曲げモーメントは、Fzにより発生するMa,Mbにアンバランスを発生させるが数1の関係はそのまま使える。このアンバランスを用いて、Fxを数2より求める。ここでの図は、ワイヤロープに吊り下がっている形で示しているが、機械本体などの剛体に取り付けた場合も以上の数1、及び数2の関係が成立する。
【0035】
ここで、歪ゲージ4を軸1に取り付けることを考えると、歪ゲージ4を軸1に発生する曲げモーメントと軸力を測定するようにセットする。これにて、FxもしくはFyの測定は可能であるが、吊り上げる力の測定が困難である。その理由は、物体を床から吊り上げるときに物体重量が軸1に懸り、軸1が伸びて吊り上げる力が測定できないためである。このため、歪測定金物3を使って吊り上げる力を測定することを行う。
【0036】
力F(t)、物体(m),摩擦(μ),速度(V)としたとき力(Ft)の時間変化に伴う各時刻の物体の速度(V)を次の運動方程式により決定する。
【数5】
【0037】
歪測定金物3の形状について説明すると、歪測定金物の数量及び棒状形状にこだわる必要はない。例えば図11に示すように円盤状の取り付け金物を用いても良い。この場合は、x及びz方向力を分離すればよい。あるいは、実験的に前後左右に配置した歪ゲージ(部材の表裏)のx,y,z方向力と出力電圧の関係を求めるようにしてもよい。また、図12に示すような長方形に握り体2を形成してもよい。更に図13あるいは図14に示すように握り体2を変形しても同様の効果を得ることができる。
【0038】
図5は、操作者の力が働いたときの速度指令値を決定する制御フローを示す。曲げ歪測定用の歪ゲージ4(a),(b),(c),(d)を使用して測定値を検出し(S1)、測定値を増幅器31で増幅し(S2)、制御装置10に入力する。測定値をA/D変換し(S3)、Ma,Mb,Mc,Mdを求め(S4)、式(1),式(2)からFx,Fy,Fzを求め(S5)、運動方程式から速度パラメータVx,Vy,Vzを決定する(S6)。速度パラメータをD/A変換(S7)、速度指令値を出力して制御装置30を介してアクチュエータ8に入力して(S8)、アクチュエータ8の制御を行う(S9)。
【0039】
図6は、操作者の力が働いたときのアクチュエータ8の力を制御する方法を示す。Fx方向への力を例にとって説明する。制御装置10において、Fxおよびアシスト係数入力(S12)によってモータトルク決定(アシスト係数×Fx)し(S11)、エンコーダまたはタコジェネモータの回転数を入力して(S13)、モータ回転数とトルクよりモータ印加電圧を計算し(S14)、モータドライバ印加電圧を計算する(S15)。求められた計算値をD/A変換し(S7)、モータドライバを制御し(S16)、パワーアシストによる移動を行う(S17)。この移動は人力およびモータ力の総計でなされることになる。エンコーダまたはタコジェネモータの回転数取り込みを行う(S13)。
【0040】
速度は、操作者の意志(力)により決定し、操作者を介するフィードバック制御を行う(S18)。この制御は、曲げ歪測定用の歪ゲージに反映される(S1)。
【0041】
図7は、3軸力センサ100を使用してパワーアシスト(補助)して物体を移動する例としての小型クレーン装置を示す。小型クレーンは、物体の移動時の操作性がよく、組み立て作業や高齢者の荷物の積み卸しに有効な動力操作装置の典型的な一例である。
【0042】
図において、小型クレーン装置の本体12にはワイヤ巻取装置13(サーボモータ)が設けてあり、ワイヤ14は中継滑車15を介して滑車受部17に接続され、吊上滑車9を上下方向に移動可能とする。ワイヤ14の先端は本体の端部31に接続される。
【0043】
また、本体12の上部には横移動装置16であるサーボモータが設けてあり、横移動用タイミングベルト18を駆動し、この横移動用タイミングベルト18によって滑車受部17を横移動可能としている。
【0044】
荷物用フック19には荷物が吊り下げられており、モータを含むパワーアシストシステムによって上下動および横移動される。
【0045】
荷物用フック19の軸1には3軸力センサ100が取り付けてあり、測定値は制御装置10であるパソコンに入力され、ここで前述したようにして曲げモーメントの算出によってx,yおよびz方向に働く力Fx、Fy、Fzが求められ、指令信号が作られる。
【0046】
指令信号はモータ制御装置20に入力される。Fz方向の指令信号によりモータ制御装置20aはワイヤ14を駆動して荷物用フック19を上下方向に動かし、Fx方向の指令信号によりモータ制御装置20bは横移動装置16を制御し、横移動用タイミングベルト18を駆動して荷物用フック19をx軸方向に動かす。
【0047】
y軸方向に動かすには、もう1つのモータ制御装置を設けることによってx軸方向と同様にして駆動すればよい。
【0048】
図8は、任意方向への移動のための制御装置を示す。
【0049】
図において、3軸力センサ100からの測定値(0〜5V)は、制御装置10に入力され、制御装置10は入力した値を使用して図4に示したようにして運動モデル7を作用して計算し、モータ制御装置20に計算値を入力する。入力した値はパルス発信器32によってパルスに変換され、動作方向の指示と共にドライバ33に入力される。
【0050】
ドライバ33は、x,yおよびz方向に加えるべきパワーアシスト力を指令値(速度指令)としてワイヤ巻取装置13あるいは/および横移動装置16に出力する。
【0051】
以上のようにして、最大10kgf程度の部品の組み付け作業の省力化と作業者の疲労軽減、及び高齢者の就労を目的とした小型のパワーアシスト移載装置が提供される。
【0052】
この装置は、Z軸(縦方向)と横方向の2自由度を持つ。制御方法は前述した通りであり、同荷重においてスムーズに片手で軽く吊り上げ、そこに移動させ静かに設置させることが可能である。また、斜め上方及び斜め下方にも動かすことが可能となっている。既存のクレーンのようなスイッチ操作でないため、操作者の意志どおりに協調して動作する。人の自然な感覚に非常に良く合っている。また、スイッチ操作の煩雑さから解放される。
【0053】
図9は、他の応用例としての介護リフターを示す。
【0054】
介護用リフター40は、本体41,自在継ぎ手69、自在継ぎ手69によって吊り上げられる椅子42,1軸アクチュエータ13を備える。自在継ぎ手69と椅子42との間または/および椅子42の下端部43に3軸力センサ100(100a,100b)が設置される。2ヵ所にしたのは、介護用の椅子42を持ち上げるに当っては椅子42の上下部に力を加えるためである。前述したように、3軸力センサ100によって介護用の椅子42に加えられた力が検出される。
【0055】
3軸力センサ100a,100bで検出された力信号は制御装置10に入力され、図8に示すと同様にして、速度指令としてドライバ33に出力され、ドライバ33によってワイヤ巻取装置13を駆動し、椅子42を上下動させる。
【0056】
介護用リフター40に3軸力センサ100a,100bを被介護者の近傍もしくは接する場所に取り付け、介護者と被介護者が一体となった自然な感覚を被介護者に与えてベッドなどからの移動を行う。従来の装置は、離れたところにスイッチがあり、スイッチのみ操作すると、被介護者は、ものとして吊り上げられている感覚に陥り不安となる。また、人がやや離れて操作するために、介護リフターで設定されている非常に遅い一定速度で動く。この介護用リフター40は、介護者が速度を自由に決められるので、移動時間の短縮が図られる。また、図9に示すような3軸力センサの配置とすれば、片手をセンサ、もしくは一方の手を被介護者に添える自然な姿勢で操作することができる。このために、介護者,被介護者共に人間の自然な感覚にあった介護リフターとなる。スイッチ操作の煩雑さからも開放される。
【0057】
図10は、椅子42への握り体2を使用した3軸力センサ100の設置例を示す。
【0058】
【発明の効果】
以上のように、本発明は、x、yおよびz軸方向に加えられた力を手で握れるサイズの握り体2によって検出しており、パワーアシスト力を求めるようにしているので、操作者と機械とのインターフェイスの最適化を図ることができ、スムーズな動力操作装置の操作が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例である3軸力センサの縦断面図。
【図2】図1のII−II断面図。
【図3】曲げモーメント分布図。
【図4】操作力で移動速度を決めるフローチャート図。
【図5】制御フローチャート図。
【図6】操作力でアクチュエータの力を制御するフローチャート図。
【図7】応用例としてのパワーアシスト移載装置の構成図。
【図8】任意方向に制御を行うための制御装置の構成図。
【図9】他の応用例としての介護リフターの構成図。
【図10】3軸力センサの設置例を示す図。
【図11】3軸力センサの変形例を示す図。
【図12】3軸力センサの変形例を示す図。
【図13】3軸力センサの変形例を示す図。
【図14】3軸力センサの変形例を示す図。
【符号の説明】
1…軸、2…握り体(握り部)、3…歪(力)測定金物、4…歪ゲージ、5…荷物用のフック取付部、6…取付部、7…運動モデル、8…アクチュエータ、9…吊上滑車、10…制御装置、11…作用点、12…本体、13…ワイヤ巻取装置、14…ワイヤ、15…中継滑車、16…横移動装置、17…滑車受部、18…横移動用タイミングベルト、19…荷物用フック、20…モータ制御装置、40…介護用リフター、41…本体、100…3軸力センサ。
【発明の属する技術分野】
本発明は、操作者が加えているx,yおよびz方向力を検出することができる3軸力センサシステムおよび該3軸力センサシステムを応用した産業機器,福祉機器,輸送機器或いは開閉装置などのパワーアシスト装置を備えた動力操作装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のクレーン装置や介護用リフターは、操作スイッチが移動する物体や被介護者から離れて設置されている。また、on,off用の押しボタンスイッチより構成されていることから、動作もon,offとなり操作者の感覚とかなりのずれが生じる。特に介護用リフターにおいては、介護者,被介護者が接して操作することが被介護者に安心感を与えること、動きが滑らかであることが重要な要素となるが、現状の介護用リフターはこれらのことに対応できない。
【0003】
センサの公知例としては、変位や力を検出する操作装置や入力装置に関して特願平05−282020号,特願平09−362428号,特願平08−057458号公報が知られている。
【0004】
また、特開平11−280332号には補助力でドアを開けるようにしたドア開閉システムが記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、操作者の手の動作方向、すなわち持ち上げる,下ろす,横に移動する力を検出して、操作者の手の動きのままに小型クレーンや介護リフターのような動力操作装置について、操作者と機械とのインターフェイスの最適化を図って違和感なく操作できるようにすることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
握り体をそれを取り付ける中心軸間に、棒状の歪検出部を中心軸の前後左右に4本(2対)設置し、その棒状の歪検出部に歪ゲージを表または/および裏2枚取り付け、操作者が加えているx,yおよびz方向力を検出することを特徴とする3軸センサを構成する。
【0007】
力検出は、棒状の力検出部に発生する部材表面の曲げ歪より曲げモーメントを計算し、1対の棒状検出部よりxもしくはy方向力を計算することによって行う。z方向力は、1対もしくは2対の棒状力検出部よりxもしくはy方向力と同様の手順で計算する。
【0008】
操作者の力で床上の物体を動かす場合の物体移動速度にて吊り上げおよび横移動等の速度を決定して人と機械のインターフェイスとしての最適化を図る。
【0009】
ワイヤロープ下端の荷物用フック等にて物体の吊り上げ移動を行う小型のクレーンなどの動力操作装置によってフック近傍に前述したセンサシステムを取り付け、x,y方向の移動並びにz方向の吊り上げ作業を行う。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0011】
図1は、本発明の実施例に使用する3軸センタの縦断面を示し、図2は図1のII−II断面を示す。これらの図において、3軸力センサ100は、筒状の握り体(握り部)2を有し、握り体2は、外筒21と4本の棒状をなす歪(力)測定金物3(31,32,33,34)と外筒21の中心を通り、歪測定金物3が固着された軸1から構成される。外筒21は、上端部が開放され、軸1は横方向の傾動動作が許容される。また、外筒21は、4本すなわち2対の棒状の歪測定金物3(31,32,33,34)によって軸1に固着され、保持される。
【0012】
歪測定金物3は左右の一対の歪測定金物31,32と前後の一対の歪測定金物33,34から構成され、棒状の歪(力)検出部に歪ゲージ4がそれぞれ表裏2枚取り付けてある。歪ゲージ4は各歪検出部に1つずつでもよいが表裏2枚取り付けとすることによって測定精度が向上する。51は、溶接部分を示す。図2において、歪ゲージ4は左右の歪測定金物31,32にa、bが、そして前記の歪測定金物33,34にc,dが取り付けられる。
【0013】
軸1の上端には各種動力操作装置への取付部6が設けられ、下端には荷物用のフック取付部5が設けられる。
【0014】
以上のように、3軸力センサ100は、一端が開放され、他端側に前後左右にそれぞれ対をなす歪検出部を備え(2対の歪検出部を有する)、これらの歪検出部にそれぞれ歪ゲージ4を備えた筒状の握り体2を設け、筒状の握り体2を前記歪検出部を介して筒状方向に延在する軸(体)1に固着して構成される。前述の例にあっては、棒状の歪測定金物31,32,33,34を使用しているが、板状であってもよく、連結材上に歪ゲージを取り付けることによって歪検出部4が構成される。
【0015】
尚、ここで「一端が開放される」とは、軸1に対して図3に示すように握り体2が傾動することを許容する為に開放されているということであり、傾動すれば、柔かい材料で塞ぐことがあっても開放されていると同じことであり、また外筒21内に柔かい物を入れておくこともでき、この場合にも開放されているということである。
【0016】
このようにして構成した3軸力センサ100は、前述の例では上下方向に配設する構成としているが、逆のすなわち上下方向を逆に配設してもよいし、横方向配設としてもよい。したがって、ここで前後左右方向とは図1に示す例の場合のことを示す。
【0017】
握り部用の3軸力センサ100は、物を吊り上げる軸1と握り体2(すなわち外筒21)に、それら軸1と握り体2を1ヵ所にて結合する歪測定金物3(棒状の力検出部を中心軸前後左右に設置)を設けることにより構成される。軸1の下端に物体を吊り下げ、上端を小型クレーン等の本体に締結する。歪測定金物3は、前後および左右の棒状部分が一対となっており、これにより歪検出部が構成される。個々の棒状の力検出部に歪ゲージ2枚を部材の表裏に取り付け、xあるいはy及びz方向の操作者が加えている力を電圧値として検出する。表裏2枚の歪ゲージを用いるのは、気温の変化による金物の熱膨張をキャンセルするためである。
【0018】
力の検出方法は、握り体2に働く操作者の力(x,y,z方向力)により歪測定金物3の前後左右の棒状力検出部に発生するモーメントを歪ゲージにて検出することによって行う。このモーメントには、x,yおよびz方向の力が共に影響している。そこで、後述する方法にてx,yおよびz方向力を分離して求める。x方向力は、歪測定金物3の左右一対の棒状部材に発生するモーメントを用いる。y方向力は、歪測定金物3の前後一対の棒状部材に発生するモーメントを用いる。z方向力は、歪測定金物3の前後左右部材より求められるy方向力およびx方向力の和となる。
【0019】
尚、歪みゲージによる曲げモーメントの測定は、一般的に表裏に貼り付けることにより行われる。その理由は以下の通りである。
1.歪ゲージを表もしくは裏のどちらかに貼り付けても部材に発生する曲げ歪み量を測定することが出来る。しかし、気温等の変化による部材の伸び量も測定してしまい、正確な曲げ歪量とはならない場合があり得る。
2.歪ゲージを表裏に2枚貼ることは、1枚に比較して検出感度が2倍になること、及び温度による部材の伸び量を2枚の歪ゲージの抵抗の差とすることにより、キャンセルすることができ温度の影響なしに曲げ歪量のみ測定することが出来る。
【0020】
次に、図3を参照して操作者の力検出方法について説明する。なお図3は、説明を分かり易くするため2次元モデルとしており、握り体は単に歪み測定金物3の左右に配された棒状部材としている。この棒状部材の上端は自由端とし下端のみ固定されているとしてモーメント図を示している。図3において、握り部2は、ほぼ手で握れるサイズに構成されており、手で握られてx,yおよびz方向に移動、すなわち押圧される。今、x−z座標でx方向にFxの力がそしてz方向にFzの力が作用しているものとする。Wは重量物の重量を示し、固定部59(後述する図3(d)に示す滑車9に相当する)を示す。この場合に、測定原理は、握り体2を横に押す力Fxによって歪検出部と軸1との接続点(接点)に作用する曲げモーメント、および上方に持ち上げようとする力Fzによって歪検出部に発生する曲げモーメントによりFxおよびFzを計算することにある。
【0021】
図3(a)は、上方に持ち上げる力Fzの場合の曲げモーメント分布を示す。
【0022】
図3(b)は、横方向の力Fxが作用する場合の曲げモーメント分布を示す。
【0023】
図3(c)は、Fx,Fzが共に作用した場合の曲げモーメント分布を示し、この分布は図3(a)および図3(b)の和である。
【0024】
図3(d)は、滑車9に握り体2を取り付けた場合の曲げモーメント分布を示す。
【0025】
握り体2の二つの力の作用点11にそれぞれFx/2、及びFz/2の力が作用すると、外筒21上、歪測定金物3上、および軸1上には図3(c)に示すような曲げモーメント分布が発生する。
【0026】
歪ゲージ4を設置したaおよびb点に発生する歪によって求まる曲げモーメントMa,Mbは、FxとFzとの関係として次数1および2として表される。尚、測定された歪の値はA/Dを介してパソコンに入力され、計算に使用されることになる。
【0027】
【数1】
Fz∝(Mb−Ma) …数1
【数2】
Fx∝−(Mb+Ma) …数2
で表わされる。
【0028】
ここで、比例定数は、握り体2の外筒21の固定状況により異なる。
【0029】
x,yおよびz方向の移動の場合は、数1が
【数3】
Fz∝(Mb−Ma+Md−Mc) …数3
となり、数2が
【数4】
Fy∝−(Md+Mc) …数4
となり、y方向の力検出が算出される。尚、歪ゲージ4の取り付け位置については図2に示した通りである。
【0030】
握り部用の3軸力センサ100とシステムの制御方法は次のようになる。
【0031】
握り部用の3軸力センサ100を使用して操作者の力を機械力で補助する使い易い自然な感覚を操作者に与える人と機械のインターフェイスを実現する方法について説明する。一つの例として小型クレーン(図7)を考えると、クレーンのフック上部に握り部用の3軸力センサ100を設置して操作者が握り体2を握って動かせば、物体より離れたところのスイッチ操作ではなく、人の動かす方向・速度等の意志が検出でき、この信号で小型クレーンを制御すれば上記のインターフェイスを実現できる。その方法は、図4において、小型クレーンなどのx,y,z方向に作用するアクチュエータ8(上下,前後,左右移動機構)に、制御装置10内に仮想的に平面に物体を置いて力Fを作用させたときの摩擦を考慮し、物体の移動速度を求める運動モデル7を作成し、操作者の力に比例する力Fが運動モデル7の質量に作用したとして計算される速度を、比例定数kにて操作者が使い易いように調整し、各アクチュエータ8に速度指令を出力することにより行う。
【0032】
力の加減等による使い易さのパラメータは、運動モデル7の質量,摩擦係数を適宜設定することにより対応する。具体的には、3軸力センサ100よりの電圧出力を制御装置10に取り込み、次の方法でx,y,z方向力を求め、これらの力を基にx,y,z方向成分の速度を運動モデル7を基に各実時刻の移動速度を数値計算し、各アクチュエータ8の制御装置30へ各時刻毎に速度指令(例えば電圧値)を送出することにより行う。この方法は、例えば位置指令を入力とし出力としての位置(目標値)をPID制御等を実施する方法と異なり、入力としての力による速度が運動モデル7により決定される方式であり、目標値を有しない特徴が有る。実際の物体の移動には、位置決めを行うが、この部分は人が行う人を含めたフィードバック制御系で構成している。なお、制御系の安定のためには、速度指令値とアクチュエータ8の速度が同じになるようなフィードバック制御をかけるのがよい。
【0033】
図3を使用して3方向力(Fx,Fy,Fz)の測定方法について説明する。
【0034】
3方向力測定と2方向力測定は、同一原理であるので、図3(d)には小型クレーンに3軸力センサを適用した場合の力センサに発生するモーメント図を示した。本来操作者の握る行為によるFx,Fzの作用点は一定範囲に分布するが、簡単のために集中荷重として示す。操作者の力の作用点11にFx,Fzの力が作用した場合には、握り体2を介して力検出用の歪測定金物3に曲げモーメントが発生する。Fzのみ作用した場合は、Fzと曲げモーメント測定点a,bに発生する曲げモーメントMa,Mbの関係は、数1の関係となる。Fxのみ作用した場合は、吊り下げロープ及び物体を吊り上げる軸1も傾き、軸1に曲げモーメントが発生する。ここで軸1に発生する曲げモーメントは、Fxに関連する。また軸1に発生する曲げモーメントは、Fzにより発生するMa,Mbにアンバランスを発生させるが数1の関係はそのまま使える。このアンバランスを用いて、Fxを数2より求める。ここでの図は、ワイヤロープに吊り下がっている形で示しているが、機械本体などの剛体に取り付けた場合も以上の数1、及び数2の関係が成立する。
【0035】
ここで、歪ゲージ4を軸1に取り付けることを考えると、歪ゲージ4を軸1に発生する曲げモーメントと軸力を測定するようにセットする。これにて、FxもしくはFyの測定は可能であるが、吊り上げる力の測定が困難である。その理由は、物体を床から吊り上げるときに物体重量が軸1に懸り、軸1が伸びて吊り上げる力が測定できないためである。このため、歪測定金物3を使って吊り上げる力を測定することを行う。
【0036】
力F(t)、物体(m),摩擦(μ),速度(V)としたとき力(Ft)の時間変化に伴う各時刻の物体の速度(V)を次の運動方程式により決定する。
【数5】
【0037】
歪測定金物3の形状について説明すると、歪測定金物の数量及び棒状形状にこだわる必要はない。例えば図11に示すように円盤状の取り付け金物を用いても良い。この場合は、x及びz方向力を分離すればよい。あるいは、実験的に前後左右に配置した歪ゲージ(部材の表裏)のx,y,z方向力と出力電圧の関係を求めるようにしてもよい。また、図12に示すような長方形に握り体2を形成してもよい。更に図13あるいは図14に示すように握り体2を変形しても同様の効果を得ることができる。
【0038】
図5は、操作者の力が働いたときの速度指令値を決定する制御フローを示す。曲げ歪測定用の歪ゲージ4(a),(b),(c),(d)を使用して測定値を検出し(S1)、測定値を増幅器31で増幅し(S2)、制御装置10に入力する。測定値をA/D変換し(S3)、Ma,Mb,Mc,Mdを求め(S4)、式(1),式(2)からFx,Fy,Fzを求め(S5)、運動方程式から速度パラメータVx,Vy,Vzを決定する(S6)。速度パラメータをD/A変換(S7)、速度指令値を出力して制御装置30を介してアクチュエータ8に入力して(S8)、アクチュエータ8の制御を行う(S9)。
【0039】
図6は、操作者の力が働いたときのアクチュエータ8の力を制御する方法を示す。Fx方向への力を例にとって説明する。制御装置10において、Fxおよびアシスト係数入力(S12)によってモータトルク決定(アシスト係数×Fx)し(S11)、エンコーダまたはタコジェネモータの回転数を入力して(S13)、モータ回転数とトルクよりモータ印加電圧を計算し(S14)、モータドライバ印加電圧を計算する(S15)。求められた計算値をD/A変換し(S7)、モータドライバを制御し(S16)、パワーアシストによる移動を行う(S17)。この移動は人力およびモータ力の総計でなされることになる。エンコーダまたはタコジェネモータの回転数取り込みを行う(S13)。
【0040】
速度は、操作者の意志(力)により決定し、操作者を介するフィードバック制御を行う(S18)。この制御は、曲げ歪測定用の歪ゲージに反映される(S1)。
【0041】
図7は、3軸力センサ100を使用してパワーアシスト(補助)して物体を移動する例としての小型クレーン装置を示す。小型クレーンは、物体の移動時の操作性がよく、組み立て作業や高齢者の荷物の積み卸しに有効な動力操作装置の典型的な一例である。
【0042】
図において、小型クレーン装置の本体12にはワイヤ巻取装置13(サーボモータ)が設けてあり、ワイヤ14は中継滑車15を介して滑車受部17に接続され、吊上滑車9を上下方向に移動可能とする。ワイヤ14の先端は本体の端部31に接続される。
【0043】
また、本体12の上部には横移動装置16であるサーボモータが設けてあり、横移動用タイミングベルト18を駆動し、この横移動用タイミングベルト18によって滑車受部17を横移動可能としている。
【0044】
荷物用フック19には荷物が吊り下げられており、モータを含むパワーアシストシステムによって上下動および横移動される。
【0045】
荷物用フック19の軸1には3軸力センサ100が取り付けてあり、測定値は制御装置10であるパソコンに入力され、ここで前述したようにして曲げモーメントの算出によってx,yおよびz方向に働く力Fx、Fy、Fzが求められ、指令信号が作られる。
【0046】
指令信号はモータ制御装置20に入力される。Fz方向の指令信号によりモータ制御装置20aはワイヤ14を駆動して荷物用フック19を上下方向に動かし、Fx方向の指令信号によりモータ制御装置20bは横移動装置16を制御し、横移動用タイミングベルト18を駆動して荷物用フック19をx軸方向に動かす。
【0047】
y軸方向に動かすには、もう1つのモータ制御装置を設けることによってx軸方向と同様にして駆動すればよい。
【0048】
図8は、任意方向への移動のための制御装置を示す。
【0049】
図において、3軸力センサ100からの測定値(0〜5V)は、制御装置10に入力され、制御装置10は入力した値を使用して図4に示したようにして運動モデル7を作用して計算し、モータ制御装置20に計算値を入力する。入力した値はパルス発信器32によってパルスに変換され、動作方向の指示と共にドライバ33に入力される。
【0050】
ドライバ33は、x,yおよびz方向に加えるべきパワーアシスト力を指令値(速度指令)としてワイヤ巻取装置13あるいは/および横移動装置16に出力する。
【0051】
以上のようにして、最大10kgf程度の部品の組み付け作業の省力化と作業者の疲労軽減、及び高齢者の就労を目的とした小型のパワーアシスト移載装置が提供される。
【0052】
この装置は、Z軸(縦方向)と横方向の2自由度を持つ。制御方法は前述した通りであり、同荷重においてスムーズに片手で軽く吊り上げ、そこに移動させ静かに設置させることが可能である。また、斜め上方及び斜め下方にも動かすことが可能となっている。既存のクレーンのようなスイッチ操作でないため、操作者の意志どおりに協調して動作する。人の自然な感覚に非常に良く合っている。また、スイッチ操作の煩雑さから解放される。
【0053】
図9は、他の応用例としての介護リフターを示す。
【0054】
介護用リフター40は、本体41,自在継ぎ手69、自在継ぎ手69によって吊り上げられる椅子42,1軸アクチュエータ13を備える。自在継ぎ手69と椅子42との間または/および椅子42の下端部43に3軸力センサ100(100a,100b)が設置される。2ヵ所にしたのは、介護用の椅子42を持ち上げるに当っては椅子42の上下部に力を加えるためである。前述したように、3軸力センサ100によって介護用の椅子42に加えられた力が検出される。
【0055】
3軸力センサ100a,100bで検出された力信号は制御装置10に入力され、図8に示すと同様にして、速度指令としてドライバ33に出力され、ドライバ33によってワイヤ巻取装置13を駆動し、椅子42を上下動させる。
【0056】
介護用リフター40に3軸力センサ100a,100bを被介護者の近傍もしくは接する場所に取り付け、介護者と被介護者が一体となった自然な感覚を被介護者に与えてベッドなどからの移動を行う。従来の装置は、離れたところにスイッチがあり、スイッチのみ操作すると、被介護者は、ものとして吊り上げられている感覚に陥り不安となる。また、人がやや離れて操作するために、介護リフターで設定されている非常に遅い一定速度で動く。この介護用リフター40は、介護者が速度を自由に決められるので、移動時間の短縮が図られる。また、図9に示すような3軸力センサの配置とすれば、片手をセンサ、もしくは一方の手を被介護者に添える自然な姿勢で操作することができる。このために、介護者,被介護者共に人間の自然な感覚にあった介護リフターとなる。スイッチ操作の煩雑さからも開放される。
【0057】
図10は、椅子42への握り体2を使用した3軸力センサ100の設置例を示す。
【0058】
【発明の効果】
以上のように、本発明は、x、yおよびz軸方向に加えられた力を手で握れるサイズの握り体2によって検出しており、パワーアシスト力を求めるようにしているので、操作者と機械とのインターフェイスの最適化を図ることができ、スムーズな動力操作装置の操作が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例である3軸力センサの縦断面図。
【図2】図1のII−II断面図。
【図3】曲げモーメント分布図。
【図4】操作力で移動速度を決めるフローチャート図。
【図5】制御フローチャート図。
【図6】操作力でアクチュエータの力を制御するフローチャート図。
【図7】応用例としてのパワーアシスト移載装置の構成図。
【図8】任意方向に制御を行うための制御装置の構成図。
【図9】他の応用例としての介護リフターの構成図。
【図10】3軸力センサの設置例を示す図。
【図11】3軸力センサの変形例を示す図。
【図12】3軸力センサの変形例を示す図。
【図13】3軸力センサの変形例を示す図。
【図14】3軸力センサの変形例を示す図。
【符号の説明】
1…軸、2…握り体(握り部)、3…歪(力)測定金物、4…歪ゲージ、5…荷物用のフック取付部、6…取付部、7…運動モデル、8…アクチュエータ、9…吊上滑車、10…制御装置、11…作用点、12…本体、13…ワイヤ巻取装置、14…ワイヤ、15…中継滑車、16…横移動装置、17…滑車受部、18…横移動用タイミングベルト、19…荷物用フック、20…モータ制御装置、40…介護用リフター、41…本体、100…3軸力センサ。
Claims (5)
- 一端側が開放され、他端側に、前後左右にそれぞれ対をなし、前後左右に発生する歪を測定する歪ゲージを有する歪検出部を備え、かつ該歪検出部に筒状であって手で握れるサイズの握り体を設け、該筒状の握り体を前記歪検出部を介して筒状方向に延在する軸体に固着し、
前記歪ゲージに発生する歪に基づいて、xおよびy方向の曲げモーメントを計算し、これらの曲げモーメントから、x,yおよびz方向の力を算出する処理装置を設けたこと
を特徴とする3軸力センサシステム。 - 請求項1において、
前記軸体を筒状の握り体の中心を貫通せしめ、該軸体と前記歪検出部との固着点を中心として前後左右対称に歪ゲージを設けたことを特徴とする3軸力センサシステム。 - 請求項1において、
前記処理装置は、前記歪検出部に発生する部材表面の曲げ歪により曲げモーメントを計算し、1対の歪検出部によってxもしくはy方向力を計算し、2対の歪検出部によってz方向力を計算することを特徴とする3軸力センサシステム。 - ワイヤロープ下端に吊り上げ装置が設けられ、かつ吊り上げ力をアシストするパワーアシスト装置が設けられた動力操作装置において、
一端側が開放され、他端側に、前後左右にそれぞれ対をなし、前後左右に発生する歪を測定する歪ゲージを有する歪検出部を備え、かつ該歪検出部に筒状であって手で握れるサイズの握り体を設け、該筒状の握り体を前記歪検出部を介して筒状方向に延在する軸体に固着し、
前記歪ゲージに発生する歪に基づいて、xおよびy方向の曲げモーメントを計算し、これらの曲げモーメントから、x,yおよびz方向の力を算出する処理装置を設け、算出された力に応じて可変の補助力にて吊り上げ装置をx,yおよびz方向に操作するように前記パワーアシスト装置を構成したこと
を特徴とする動作操作装置。 - 本体と、該本体に介護用椅子を吊り上げる吊り上げ装置が設けられ、かつ吊り上げ力をアシストするパワーアシスト装置が設けられた介護リフターにおいて、
一端側が開放され、他端側に、前後左右にそれぞれ対をなし、前後左右に発生する歪を測定する歪ゲージを有する歪検出部を備え、かつ該歪検出部に筒状であって手で握れるサイズの握り体を設け、該筒状の握り体を前記歪検出部を介して筒状方向に延在する軸体に固着し、
前記歪ゲージに発生する歪に基づいて、xおよびy方向の曲げモーメントを計算し、これらの曲げモーメントから、x,yおよびz方向の力を算出する処理装置を設け、算出された力に応じた可変の補助力にて吊り上げ装置をx,yおよびz方向に操作するように前記パワーアシスト装置を構成したこと
を特徴とする介護リフター。
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