JP3547469B2 - 歯車の仕上加工装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、歯車の歯面をホーニングして歯車の仕上加工を行う装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の装置として、例えば特開平2−284819号公報に見られるように、砥石支持ユニットとワーク支持ユニットとを備え、砥石支持ユニットに支持される歯車状砥石をワーク支持ユニットに支持される歯車に噛み合わせた状態で回転させ、歯車状砥石の歯面により歯車の歯面をホーニングして歯車の仕上加工を行うものは知られており、この場合、ワーク支持ユニットへの歯車の着脱は手作業で行うを一般としている。
【0003】
また、歯車の加工精度を確保する上で、歯車状砥石の歯面は所要の形状に保たれていなければならず、そのため、所定個数の歯車を加工する度に砥石の歯面を整形する必要がある。この整形は、歯車と同形状の歯面ドレッサを歯車状砥石に噛み合わせた状態で回転させながら砥石半径方向に送り込むことで行っている。また、このように歯車状砥石の歯面を整形すると砥石の歯部の高さが高くなり、この状態で歯車を加工すると砥石の歯先が歯車の歯面の歯元に当り、正常な加工が行えなくなるため、円筒形の歯先ドレッサにより砥石の歯先を削り、砥石の歯部の高さを調整する必要がある。そして、従来は、歯車状砥石の歯面の整形作業や歯部の高さ調整作業をワーク支持ユニットに作業者が歯面ドレッサや歯先ドレッサを装着して行っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来例の如くワーク支持ユニットに歯車を手作業で着脱していたのでは生産性が悪く、歯車の着脱作業の自動化を図ることが望まれている。
ここで、歯車の加工ラインでは、複数の歯車をマガジン積層保持させた状態で各工程間に搬送するを一般とし、マガジンからワーク支持ユニットに歯車を移載する移載ロボットを設けて、歯車の着脱作業の自動化を図ることが考えられる。然し、積層状態の歯車は姿勢が安定せず、移載ロボットの把持ハンドにより歯車が傾いたまま把持されてマガジンから取出され、ワーク支持ユニットに歯車をうまく装着できなくなることがある。そのため、歯車の着脱作業の自動化を図るには歯車の姿勢を如何にして修正するかが課題となる。
本発明は、かかる課題を解決して歯車の着脱作業の自動化を図れるようにし、更には、砥石の歯面整形や歯部の高さ調整に際しての歯面ドレッサや歯先ドレッサの着脱作業も自動化し得るようにして、全自動での連続運転を可能とした装置を提供することをその目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく、本発明は、砥石支持ユニットとワーク支持ユニットとを備え、砥石支持ユニットに支持される歯車状砥石をワーク支持ユニットに支持される歯車に噛み合わせた状態で回転させて歯車の仕上加工を行う歯車の仕上加工装置において、歯車状砥石の歯面を整形する歯面ドレッサと該砥石の歯先を削る歯先ドレッサとを載置する置台と、該置台とワーク支持ユニットとの間で前記各ドレッサを移し換える移載ロボットを備えると共に、歯車を積層保持する複数のマガジンを搭載可能なワークストッカーを備え、前記置台に未加工の歯車を仮置きする第1の歯車載置部と加工済みの歯車を仮置きする第2の歯車載置部とを設けて、未加工の歯車を前記移載ロボットによりワークストッカー上の所定の取出位置に存するマガジンからワーク支持ユニットに第1の歯車載置部を介して移し換え自在とすると共に、加工済みの歯車を前記移載ロボットによりワーク支持ユニットからワークストッカー上の所定の戻し位置に存するマガジンに第2の歯車載置部を介して移し換え自在としたことを特徴とする。
【0006】
【作用】
歯車の加工中に未加工の歯車を移載ロボットにより取出位置に存するマガジンから置台上の第1の歯車載置部に移し換える。この場合、未加工の歯車が傾いたまま移載ロボットで把持されてマガジンから取出されても、第1の歯車載置部に歯車を置くことで歯車の姿勢が修正される。歯車の加工完了後、加工済みの歯車を移載ロボットによりワーク支持ユニットから置台上の第2の歯車載置部に移し換え、次に未加工の歯車を移載ロボットにより第1の歯車載置部からワーク支持ユニットに移し換えて当該歯車の加工を開始する。この際、歯車は第1の歯車載置部への仮置きで姿勢が修正されているため、ワーク支持ユニットに歯車を確実に装着できる。そして、歯車の加工中に加工済みの歯車を移載ロボットにより第2の歯車載置部から戻し位置に存するマガジンに移し換え、次いで上記と同様に未加工の歯車を移載ロボットにより取出位置に存するマガジンから第1の歯車載置部に移し換え、以上の作動を繰返して歯車の仕上加工を連続して行う。
【0007】
ところで、マガジンを搭載するワークストッカーは、マガジンの投入・払出の作業スペースを確保する上で、装置本体から或る程度離して配置せざるを得ないが、置台はワーク支持ユニットの可及的近傍に配置可能であり、上記の如く加工済みの歯車を置台上の第2歯車載置部に移載してから該置台上の第1歯車載置部に仮置きした未加工の歯車をワーク支持ユニットに移載すれば、歯車をワーク支持ユニットとワークストッカー上のマガジンとの間で直接移載する場合に比し歯車の着脱作業に要する時間が短縮され、作業能率が向上する。
【0008】
また、歯面ドレッサや歯先ドレッサを適宜移載ロボットにより置台からワーク支持ユニットに移し換えて、歯車状砥石の歯面整形や歯部の高さ調節を行う。かくて、砥石の整形作業を含めた全ての作業の自動化が可能となる。
【0009】
尚、砥石支持ユニットとワーク支持ユニットとを搭載した機台に前記置台を固設すると共に、該機台上に前記移載ロボットを搭載すれば、装置全体をコンパクトに構成できるようになり、有利である。
【0010】
【実施例】
図1及び図2を参照して、1は機台であり、該機台1の上面に水平のガイドレール2aに沿ってモータ2bにより螺杆2cを介して前後動される砥石支持ユニット2を搭載すると共に、機台1の前面に垂直のガイドレール3aに沿ってモータ3bによりギアボックス3cと螺杆3dとを介して上下動されるワーク支持ユニット3を搭載した。
【0011】
砥石支持ユニット2は、前記ガイドレール2aに支持される本体部20にハンドル21により前後方向の水平軸線回りに回動調節可能なヘッド部22を取付けて成るもので、該ヘッド部22に円形状の中空穴を形成して、該中空穴内に図4に示す如き内歯型の歯車状砥石23を回転自在に支承し、該砥石23をヘッド部22に搭載したモータ24により回転駆動し得るようにした。
【0012】
ワーク支持ユニット3は、前記ガイドレール3aに支持される本体部30にワークスピンドル31を軸支して成るもので、該スピンドル31の上端にワークホルダ32を取付けて、該ホルダ32にワークたる歯車Wを芯決め保持させるようにした。尚、本体部30にはワークスピンドル31に連結される割出モータ33が搭載されている。
【0013】
歯車Wの加工に際しては、先ずワーク支持ユニット3を上昇させてワークホルダ32を砥石支持ユニット2のヘッド部22の上方に突出させ、この状態でワークホルダ32に歯車Wを装着し、次にワーク支持ユニット3を下降させて歯車Wをヘッド部22内に収納すると共に、図外の位相検出器により歯車Wの位相を検出して、割出モータ33により歯車Wを位相合わせし、次いで砥石支持ユニット2を前進させて、歯車状砥石23を歯車Wに図4に示す如く噛み合わせ、この状態で歯車状砥石23を回転させ、同時に歯車Wを連れ回りさせて歯車Wの歯面をホーニングする。尚、予めヘッド部22を水平軸線回りに回動調節して歯車状砥石23の回転面が歯車Wの軸線に斜交するようにしておくが、これは歯すじ方向の滑り成分を与えてホーニング効果を高めるためである。
【0014】
前記機台1には、ワーク支持ユニット3の配置部に隣接して置台4が固設されており、該置台4に歯車Wと同形状の歯面ドレッサ51と、円筒状の歯先ドレッサ52とを載置した。また、機台1の上面に移載ロボット6を搭載し、該ロボット6により前記各ドレッサ51,52を置台4から取上げてワーク支持ユニット3のワークホルダ32に装着し得るようにした。そして、歯面ドレッサ51をワークホルダ32に装着した状態で歯車状砥石23を歯面ドレッサ51に噛み合わせ、該砥石23を回転させつつ砥石支持ユニット2を前進せて該砥石23の歯面を整形し、また、歯先ドレッサ52をワークホルダ32に装着した状態で歯車状砥石23を回転させつつ砥石支持ユニット2を前進させて該砥石23の歯先を削り、歯部の高さ調整を行うようにした。これら歯面の整形や歯部の高さ調整は図外のコントローラに歯面整形、歯高調整を行なう毎に次回のドレッシング情報を演算して記憶させておき、この情報に基いて適時行われるようにプログラムされており、更に、整形完了時の砥石支持ユニット2の前進位置を記憶して、歯車Wの加工時に砥石支持ユニット2をこの前進位置まで送り込むようにしている。
【0015】
前記移載ロボット6は、垂直軸線回りに旋回自在な第1アーム60と、第1アーム60の先端に取付けた同じく垂直軸線回りに旋回自在な第2アーム61と、第2アーム61の先端に取付けた昇降自在な把持ハンド62とを備えるスカラ型ロボットで構成されており、把持ハンド62の下端に設けた放射方向に開閉自在な複数の把持爪63により前記各ドレッサ51,52を把握する。
【0016】
また、機台1の側方にはワークストッカー7が配置されている。ワークストッカー7は一定角度宛インデッス回転されるターンテーブル70を備えており、該ターンテーブル70上に歯車Wを積層保持するマガジン71の複数個を載置して、これらマガジン71を図2にAで示す取出位置とBで示す戻し位置とに順に移動し得るようにした。そして、取出位置Aに存するマガジン71から未加工の歯車Wを取出し、先に取出位置Aで歯車Wを取出された、戻し位置Bに存するマガジン71に加工済みの歯車Wを投入するようにした。尚、取出位置Aと戻し位置Bにはマガジン71に装着した昇降自在なワーク受け71aを1ピッチ宛上げ下げする図外のリフタが設けられている。
【0017】
また、前記置台4には、図2及び図3に示す如く、未加工の歯車Wを仮置きする第1の歯車載置部40と、加工済みの歯車Wを仮置きする第2の歯車載置部41とが設けられており、前記移載ロボット6により未加工の歯車Wを前記取出位置Aに存するマガジン11から第1の歯車載置部40を介してワーク支持ユニット3に移し換え、且つ、加工済みの歯車Wをワーク支持ユニット3から第2の歯車載置部41を介して前記戻し位置Bに存するマガジン71に移し換えるようにした。
【0018】
これを詳述するに、歯車Wの加工中に移載ロボット6により取出位置に存するマガジン71から未加工の歯車Wを取上げて、該歯車Wを第1の歯車載置部40に落し込み、加工終了後移載ロボット6によりワーク支持ユニット3のワークホルダ32から加工済みの歯車Wを取上げて、該歯車Wを第2の歯車載置部41に落し込み、次に移載ロボット6により第1の歯車載置部40から未加工の歯車Wを取上げて、該歯車Wをワーク支持ユニット3のワークホルダ32に装着する。そして、この歯車の加工中に移載ロボット6により加工済みの歯車Wを第2の歯車載置部41から取上げて戻し位置に存するマガジン71に投入し、次いで上記の如く未加工の歯車Wを取出位置に存するマガジン71から取上げて第1の歯車載置部に落し込み、以上の作動を繰返して歯車Wの仕上加工を連続して行う。
【0019】
ここで、マガジン71に積層保持される歯車Wは歯車同士の重なり具合によって姿勢が傾くことがあり、移載ロボット6の把持ハンド62に設けた把持爪63に歯車Wが傾いたまま把持される可能があるが、歯車Wを第1の歯車載置部40に落し込んで仮置きすると歯車Wの姿勢が修正され、歯車Wを第1の歯車載置部40から取上げてワークホルダ32に装着するときは歯車Wが正しい姿勢で把持爪63に把持され、かくて歯車Wの傾きによるワークホルダ32への装着ミスは生じない。
【0020】
また、ワーク支持ユニット3とワークストッカー7との間で歯車Wを置台4を介することなく移し換えると、移載ロボット6の移動距離が長くなってワーク支持ユニット3に対する歯車Wの着脱作業に時間がかかるが、上記実施例によれば歯車Wの着脱作業に際し移載ロボット6をワーク支持ユニット3と置台4との間に移動させるだけで済み、移載ロボット6の移動距離が短くなって歯車Wの着脱作業を短時間で行い得られる。この場合、置台4とワークストッカー7との間での歯車Wの移し換えが必要となるが、この移し換えは歯車Wの加工中に行い得られるためタイムロスを生ずることはない。
【0021】
尚、上記実施例では歯車状砥石23を内歯型としたが、外歯型の歯車状砥石を用いて歯車を仕上加工する装置にも本発明を適用できる。
【0022】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、ワーク支持ユニットに歯車を自動的に着脱できると共に、ワーク支持ユニットに歯面ドレッサや歯先ドレッサを自動的に装着して砥石整形作業の自動化を図ることもでき、砥石の寿命が尽きるまで全自動での連続運転が可能となり、更に、歯車の着脱作業も能率良く行い得られて、生産性の大幅な向上を図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明装置の一例の正面図
【図2】その平面図
【図3】図2のIII−III線拡大截断面図
【図4】歯車と砥石の噛み合い状態を示す図
【符号の説明】
1 機台 2 砥石支持ユニット 23 歯車状砥石
3 ワーク支持ユニット 4 置台 40 第1の歯車載置部
41 第2の歯車載置部 51 歯車ドレッサ 52 歯先ドレッサ
6 移載ロボット 7 ワークストッカー 71 マガジン
W 歯車 A 取出位置 B 戻し位置
Claims (2)
- 砥石支持ユニットとワーク支持ユニットとを備え、砥石支持ユニットに支持される歯車状砥石をワーク支持ユニットに支持される歯車に噛み合わせた状態で回転させて歯車の仕上加工を行う歯車の仕上加工装置において、歯車状砥石の歯面を整形する歯面ドレッサと該砥石の歯先を削る歯先ドレッサとを載置する置台と、該置台とワーク支持ユニットとの間で前記各ドレッサを移し換える移載ロボットを備えると共に、歯車を積層保持する複数のマガジンを搭載可能なワークストッカーを備え、前記置台に未加工の歯車を仮置きする第1の歯車載置部と加工済みの歯車を仮置きする第2の歯車載置部とを設けて、未加工の歯車を前記移載ロボットによりワークストッカー上の所定の取出位置に存するマガジンからワーク支持ユニットに第1の歯車載置部を介して移し換え自在とすると共に、加工済みの歯車を前記移載ロボットによりワーク支持ユニットからワークストッカー上の所定の戻し位置に存するマガジンに第2の歯車載置部を介して移し換え自在としたことを特徴とする歯車の仕上加工装置。
- 砥石支持ユニットとワーク支持ユニットとを搭載した機台に前記置台を固設すると共に、該機台上に前記移載ロボットを搭載したことを特徴とする請求項1に記載の歯車の仕上加工装置。
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