JP3547164B2 - 通信ケーブル - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、高速データ通信等に用いられる通信ケーブルに関し、特に、複数の対を集合撚りして形成された集合撚り層に、シールド層を被覆して成る通信ケーブルの改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば事務所やビル内等のように地域的に限定された範囲で用いられる通信ケーブルとしては、一般に、主に音声信号を伝送する屋内線若しくは構内ケーブル、又は20Mbpsまでのコンピュータネットワーク(LAN)用に開発された複数の対を撚り合わせて成る通信ケーブルが用いられている。この場合、マルチメディアに対応するため、これらの通信ケーブルにより画像信号を伝送する時には、不要な電磁気信号や電磁気的擾乱によって希望する電磁気的信号の受信が損なわれること(以下、EMIという。)を防止するため、実際には、通信ケーブルにシールド層を施す必要があるが、その場合、100MHz以上の高周波特性、特に、その中でも減衰量の値が大きくなる問題がある。
【0003】
ここに、近年、事務所や商用ビルディング等の構内配線システムにおいても、100Mbps程度の高速データ伝送の要求が高まってきている。このような高速データ通信に用いる通信ケーブルについては、EIA/TIA(米国電子工業会/米国通信工業会)により標準規格が定められており、特に、100Mbpsまでのデータ伝送に使用できる電線については、そのカテゴリー5において複数の対を撚り合わせて成るユニットを集合撚りした非シールドのユニットタイプケーブルの性能仕様で最低限の性能に関する標準規格が定められている。
【0004】
このEIA/TIA(米国電子工業会/米国通信工業会)による標準規格は、基本的には、シールド層を有しない通信ケーブルを想定しているが、実際に画像信号を伝送する場合には、既に述べたように、EMI対策として通信ケーブルにシールド層を設け、外部からのノイズの影響を小さくすることが必要不可欠となる。
【0005】
もっとも、このようにシールド層を設けると、通常、対を構成する絶縁電線の導体とシールド層との間に容量性のインピーダンスが生じ、これが一種の抵抗となるため、シールド層を有しない通信ケーブルに比べ、減衰量が大きくなるという問題が生じる。このため、従来は、対を構成する絶縁電線の導体の径を太くして導体抵抗を小さくしたり、又は、絶縁電線の絶縁被覆の厚みを厚くするか若しくは絶縁被覆を発泡樹脂等から形成して低誘電率化し、静電容量を低下させること等が行われていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これらの従来における複数の対を撚り合わせて形成された通信ケーブルでは、100Mbps程度又はそれ以上の高周波、例えば、非同期転送モードのコンピュータネットワーク(ATM LAN)において必要な150Mbps程度の高速データ通信やケーブルテレビ(CATV)等の画像通信の高周波通信に必要な300MHz前後における減衰量、特性インピーダンス、近端漏話、EMI特性等につき充分な特性を得ることができなかった。
【0007】
特に問題となるのは、減衰量の周波数特性であり、従来技術の複数の対を撚り合わせてシールド層を施した通信ケーブルのうち、モジュラージャックに入る大きさの外径を有する絶縁電線(最大でも外径0.965mm)に限定してみた場合、既に述べたEIA/TIA(米国電子工業会/米国通信工業会)によるカテゴリー5の標準規格に定められている減衰量を満足することは困難であった。
【0008】
この場合、減衰量を抑える手段として、発泡樹脂から成る絶縁被覆を有する絶縁電線を用い、この2心の絶縁電線を発泡樹脂が潰れない程度の長い撚りピッチで撚り合わせて対を形成することが考えられるが、このようにすると、減衰量は低減するもののカテゴリー5の標準規格に定める近端漏話減衰量を満足することができない。
【0009】
本発明の目的は、上記の欠点を回避し、複数の対を集合撚りして形成された集合撚り層にシールド層を施して成る通信ケーブルについて、100Mbps以上の高周波の高速データ通信や高周波通信に対応する場合においても、充分な近端漏話特性を維持しつつ、減衰量の増大を抑え、良好な周波数特性を得ることができる通信ケーブルを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の課題を解決するための手段として、絶縁被覆された2芯の導体を撚り合わせて成る複数の対を隣り合う対が異なる撚りピッチとなるように集合撚りして形成された集合撚り層とこの集合撚り層に施されたシールド層とから成る通信ケーブルにおいて、全ての対を構成する2芯の導体のうちの1芯とシールド層との間のインピーダンスIsと全ての対を構成する2芯の導体間の特性インピーダンスIcとの比R(Is/Ic)が、0.76≦R≦0.80となるように、集合撚り層とシールド層との間に絶縁層を施したことを特徴とする通信ケーブルを提供するものである。
【0011】
ここに、対を構成する2芯の導体のうちの1芯とシールド層との間のインピーダンスIsと、対を構成する2芯の導体間の特性インピーダンスIcとの比R(Is/Ic)を指標としたのは、この値が絶縁電線の導体に対してシールド層が与える影響を知る目安となるからである。但し、この場合、インピーダンスの比R(Is/Ic)が0.80を越えると通信ケーブルの外径が導体の外径に比べ大幅に大きくなり、配線や運搬等の実用性の点で問題が生じるため、その上限として、0.80を設定している。
【0012】
【作用】
このように、対を構成する2芯の導体のうちの1芯とシールド層との間のインピーダンスIsと対を構成する2芯の導体間の特性インピーダンスIcとの比R(Is/Ic)が、いずれの対をとっても、0.76≦R≦0.80となるように、集合撚り層とシールド層との間に絶縁層を施すと、シールド層と対を構成する絶縁電線との間の絶縁距離が大きくなりシールド層が導体に与える影響を軽減することができるため、高周波数帯域においても減衰量を抑えて良好な周波数特性を得ることができ、特に、EIA/TIA(米国電子工業会/米国通信工業会)によるカテゴリー5の標準規格に定められている減衰量を充分に満足することができ、高速データ通信、高周波通信に対応しつつ減衰量を低減することができる。
【0013】
特に、この場合、絶縁層によって減衰量を低減しているため、対の撚りピッチを長くする必要がなく、近端漏話特性の向上に適した撚りピッチを選択することができるので、充分な近端漏話特性を維持しつつ、減衰量を低減して良好な周波数特性を得ることができ、EIA(米国電子工業会)の標準規格で定める電気的特性(減衰量、特性インピーダンス、近端漏話特性)の要求を全て同時に満足することができる。また、絶縁電線の絶縁被覆の厚みを厚くすることなく減衰量を低減しているため、絶縁電線の外径を小さく設定することができるので、モジュラージャックに嵌入することができる実用的な外径を有する絶縁電線を用いた場合でも減衰量を低減することができる。
【0014】
【実施例】
本発明の実施例を図面を参照して詳細に説明すると、図1は本発明の通信ケーブル10を示し、この通信ケーブル10は、集合撚り層12と、この集合撚り層12に施されたシールド層14とから成っている。
【0015】
集合撚り層12は、図1に示すように、複数の対16を集合撚りして形成されている。なお、図1に示す実施例では、集合撚り層12は、4つの対16A乃至16Dから成っているが、必要に応じて他の適宜な数としてもよい。
【0016】
各対16は、図2に示すように、2心の絶縁電線18を撚り合わせて形成されている。各絶縁電線18は、図2に示すように、絶縁体22により絶縁被覆された2芯の導体20から成っている。この導体20としては、例えば、軟銅線等を用いることができ、また、絶縁体22は、ポリエチレン等から形成することができ、より具体的には、発泡ポリエチレンを用いると低誘電率化することができるので好ましい。
【0017】
これらの4つの対16A乃至16Dは、近端漏話が生じないよう、隣り合う対16が異なる撚りピッチとなるように撚り合わされている。従って、例えば、図1に示す隣り合う対16Aと対16Bの一方の対16Aの撚りピッチP と他方の対16Bの撚りピッチP は異なり、このことは対16Bと対16C、対16Cと対16D、また対16Dと対16Aとの間でも成立する。すなわち対16Aの撚りピッチをP 、対16Bの撚りピッチをP 、対16Cの撚りピッチをP 、対16Dの撚りピッチをP とした場合、P ≠P 、P ≠P 、P ≠P 、P ≠P が常に成立する。なお、本発明において、対16の撚りピッチとは、各対16を構成する2心の絶縁電線18を撚り合わせるピッチをいう。
【0018】
また、シールド層14は、図1に示す実施例では、両面アルミペットテープ24と、この両面アルミペットテープ24の上に施された編組26とから成っている。この両面アルミペットテープ24は、図3に示すように、ポリエステルテープ28の両面に、接着剤等の適宜な接合手段により、アルミニウムテープ30を接合して形成され、図1に示すように、集合撚り層12の外側にラップ巻きされてシールド層14を構成する。また編組26は、一般的に、銅やアルミニウム等の金属材料から形成される。このように、シールド層14を設けているため、EMI対策として外部からのノイズの影響を低減することができる。なお、シールド層14は、この両面アルミペットテープ24及び編組26から成るものには限定されず、他のシールド層14、例えば金属パイプ等から成るものを用いてもよい。また、図1において符号32は、このシールド層14の上に更に被覆されて外部環境から集合撚り層12やシールド層14を保護するシースを示し、このシース32は、例えば、ポリ塩化ビニル等から形成することができる。
【0019】
更に、本発明の通信ケーブル10は、図1に示すように、対16を構成する2芯の導体20のうちの1芯とシールド層14との間のインピーダンスIsと対16を構成する2芯の導体20間の特性インピーダンスIcとの比R(Is/Ic)が、いずれの対16をとっても、0.76≦R≦0.80となるように、集合撚り層12とシールド層16との間に絶縁層34を施している。
【0020】
これは、シールド層14が絶縁電線18の導体20に与える影響を軽減し、減衰量を低減するためである。すなわち、このように絶縁層34を設けると、対16を構成する絶縁電線18とシールド層14との間の絶縁距離を大きくすることができるため、後に述べる比較例及び実験例から解るように、減衰量を低減することができ、良好な周波数特性を得ることができる。特に、この場合、EIA(米国電子工業会)による標準規格で定める減衰量を充分にクリアすることができ、高速データ通信、高周波通信に対応しつつ良好な減衰量を得ることができる。
【0021】
また、このように絶縁層34により減衰量を低減しているため、減衰量の低減のために対16の撚りピッチを長くする等の考慮が必要なく、対16の撚りピッチを異ならせたり、また近端漏話特性を向上するのに適した対16の撚りピッチを設定することができるため、充分な近端漏話特性を維持しつつ減衰量を低減することができる。また、絶縁電線18の絶縁被覆の厚みを厚くすることなく減衰量を低減することができるため、絶縁電線18の外径を小さく設定することができ、モジュラージャックに嵌入することができる実用的な外径を有する絶縁電線18を用いた場合でも減衰量を低減することができる。
【0022】
この絶縁層34は、図1に示す実施例では、集合撚り層12の上にラップ巻きされた不織布36から成っている。この不織布36は、例えば、ポリエステル等から成る繊維をニードルパンチ等により機械的に又は接着剤等により相互に絡めることにより形成される。この不織布36を設けることによって、シールド層14と絶縁電線18との間の絶縁距離が大きくなるため、シールド層14が絶縁電線18の導体20に与える影響を軽減することができ、減衰量を低減することができる。
【0023】
また、図1の実施例では、インピーダンスの比R(Is/Ic)について、0.76≦R≦0.80という条件を満足させるために、不織布36を2枚重ねて設けているが、インピーダンスの比R(Is/Ic)が0.76≦R≦0.80となる程度に絶縁距離を開けることができれば、不織布36の枚数は問わず、例えば、他の厚めの不織布36等を用いる場合には、1枚でもよい。
【0024】
このインピーダンスの比R(Is/Ic)に関する『0.76≦R≦0.80』という値は、対16を構成する絶縁電線18とシールド層14との間の絶縁距離をどの程度に設定すればよいかの判断基準となるものであり、このインピーダンスの比R(Is/Ic)を指標としたのは、導体20に対してシールド層14が与える影響を判断する目安となるからである。そこで次に、インピーダンスの比R(Is/Ic)を『0.76≦R≦0.80』と設定した過程を、表1及び表2に示す比較例及び実験例を参照しながら説明する。
【0025】
【表1】
Figure 0003547164
【0026】
この表1は、インピーダンスの比R(Is/Ic)がどの程度であれば充分に減衰量を低減することができるかを調べるために設定した2つの比較例及び本発明の範疇に含まれる実験例の通信ケーブル10の性能使用の比較を示したものである。すなわち、表1に示すように、まず、外径0.511mmの裸軟銅線から成る導体20に、発泡ポリエチレンから形成された絶縁体22から成る絶縁被覆を施して、比較例1については外径1.10mm、比較例2及び実験例については外径0.95mmの絶縁被覆を有する絶縁電線18を形成し、この2心の絶縁電線18を撚り合わせて対16を形成した。
【0027】
これらの比較例及び実験例のうち、比較例1は絶縁体22の厚みを厚くすることによってどの程度減衰量を低減することができるかを調べるために設定したものであり、従って、表1に示すように、他の比較例2及び実験例に比べ、絶縁電線18の外径が、1.10mmと大きく設定されている。一方、比較例2及び実験例については、絶縁電線18の外径を特に大きくすることなく、また、絶縁電線18をモジュラージャックに嵌入することができる大きさ(最大で、0.965mm)の範囲内の外径とした場合に、対16を構成する絶縁電線18とシールド層14との間の絶縁距離を大きくすることによってどの程度減衰量を低減することができるかを調べるために設定したものである。
【0028】
この場合において、通信ケーブル10を構成する4つの対16A乃至16Dの撚りピッチ、すなわちそれぞれの対16を構成する2心の絶縁電線18を撚り合わせるピッチを、表1に示すように、比較例1については、それぞれ12mm、16mm、20mm、24mmに、また、比較例2及び本発明に関する実験例については、それぞれ14mm、16mm、18mm、22mmに設定し、近端漏話が生じないように4つの対16をそれぞれ異なる撚りピッチで撚り合わせた。
【0029】
また、いずれの比較例及び実験例においても、表1に示すように、ラップ巻きされた両面アルミペットテープ24とこの両面アルミペットテープ24の上に施された編組26とから成るシールド層14を施し、更にその上にポリ塩化ビニルから成るシース32を施してそれぞれ通信ケーブル10を製造した。
【0030】
以上の条件の下で、表1に示すように、比較例1については絶縁層34を介することなく集合撚り層12の上に直接シールド層14を施し、また、比較例2及び実験例1については集合撚り層12とシールド層14との間に厚さ0.22mmの不織布36から成る絶縁層34をラップ巻きに施した。但し、比較例2については絶縁層34である不織布36を1枚とし、本発明に関する実験例1では不織布36を2枚として、実験例1の方が絶縁電線18とシールド層14との間の絶縁距離が大きくなるように設定した。なお、実験例2については後述する。
【0031】
次いで、この表1に示す2つの比較例及び実験例1について、それぞれ様々な周波数における減衰量を測定し、その結果を図4乃至図6に示した。
【0032】
すなわち、図4は表1に示す比較例1に関する周波数と減衰量との関係を示し、図5は同じく比較例2に関する周波数と減衰量との関係を、図6は本発明の実験例1に関する周波数と減衰量との関係を示す。なお、この図4乃至図6において、EIA(米国電子工業会)の標準規格で定める減衰量も併せて示し、この標準規格で定める基準との比較を容易とした。
【0033】
この図4乃至図6から解るように、まず、比較例1に関し得られた減衰量は、図4に示すように、EIA(米国電子工業会)の標準規格に定める減衰量より大きくなっており、この標準規格を満足していないことが解る。なお、この比較例1は、既に述べた、絶縁被覆の厚みを厚くするという従来技術に相当するものであり、従って図4からは、この従来技術では標準規格を満足することができないことが裏付けられる。同時に、この比較例1に用いた絶縁電線18は外径が1.10mmであるため、最大でも外径0.965mmの外径を有する絶縁電線18までしか入らないモジュラージャックに嵌入することができない。このように、この比較例1により特定される通信ケーブル10では、減衰量を低減するために絶縁被覆の厚みを厚くしたにも拘らず、充分に減衰量を低減することができない上に、使途の面でも範囲が限定されてしまう。
【0034】
次に、1枚の不織布36から成る絶縁層34を施した比較例2に関し得られた減衰量に着目すると、図5に示すように、EIA(米国電子工業会)の標準規格に定める減衰量の上限をやや下回ってはいるものの、未だ充分な余裕をもって標準規格を満足しているとはいい難い。これは、絶縁層34である不織布36を設けることによってある程度減衰量を低減することができたものの、未だ絶縁電線18とシールド層14との間の絶縁距離が充分には開いていないからである。このように、この図5に示す比較例2に関するデータからは、単に絶縁層34を設けるだけではEIA(米国電子工業会)の標準規格を充分に満足することはできず、絶縁距離を考慮して絶縁層34を施す必要があることが解る。
【0035】
そこで、更に2枚の不織布36から成る絶縁層34を施した本発明の実験例1に関し得られた減衰量をみると、図6に示すように、どの周波数帯域においても、EIA(米国電子工業会)の標準規格で定める減衰量を充分に下回り、余裕をもって標準規格を満足していることが解る。このように、絶縁層34を設けることによって絶縁電線18とシールド層14との間の絶縁距離を適切に設定すれば、導体20に対するシールド層14の影響を軽減し、充分に減衰量を低減することができる。
【0036】
この場合において、導体20に対しシールド層14が与える影響を判断する目安として、上記の2つの比較例及び本発明の実験例1につき、対16を構成する2芯の導体20のうちの1芯とシールド層14との間のインピーダンスIsと、対16を構成する2芯の導体20間の特性インピーダンスIcとの比R(Is/Ic)を各対16毎に求め、その結果を表2に示した。
【0037】
【表2】
Figure 0003547164
【0038】
この表2から解るように、充分に減衰量を低減することができた本発明の実験例1に関するインピーダンスの比R(Is/Ic)は、最小でも0.76であり、どの対16をとってもインピーダンスの比R(Is/Ic)は0.76≦Rであった。また、この場合において、インピーダンスの比R(Is/Ic)が0.80を越えると通信ケーブル10の外径が導体20の外径に比べ大幅に大きくなり、配線や運搬等の実用性の点で問題が生じるため、その上限として、0.80を設定する必要がある。このようにして、『0.76≦R≦0.80』という数値を導いたのであり、また、インピーダンスの比R(Is/Ic)がこの範囲内となるように設定すれば、絶縁電線18とシールド層14との間の絶縁距離が充分に確保されてシールド層14が導体20に対し与える影響が軽減し、図6に示すように、充分に減衰量を低減することができる。
【0039】
一方、EIA(米国電子工業会)の標準規格に定める減衰量を充分に満足することができなかった比較例1及び比較例2に関するインピーダンスの比R(Is/Ic)に着目すると、いずれもR<0.76となる対16が含まれている。このことからも、いずれの対16を構成する絶縁電線18をとっても『0.76≦R≦0.80』となるようにインピーダンスの比R(Is/Ic)を設定しないと、充分に減衰量を低減することができないのが解る。
【0040】
なお、表1に示す本発明の実験例1の通信ケーブル10につき、通信ケーブル10を構成する全ての対16の組み合わせ(例えば、14mmの撚りピッチで撚り合わされた対16と、16mmの撚りピッチで撚り合わされた対16との組み合わせ等で計6通り)につき各周波数帯域における近端漏話減衰量を測定したところ、図7に示すように、いずれの対16の組み合わせをとっても、充分な近端漏話特性を確保しており、特に、EIA(米国電子工業会)の標準規格で定める近端漏話減衰量を充分に満足していることが解った。これは、本発明においては、対16を異なる撚りピッチで撚り合わせており、特に、対16の撚りピッチを長くすることなく、絶縁層34により減衰量を低減しているため、対16の撚りピッチを近端漏話減衰量の向上に適した値に設定することができるためと考えられる。このように本発明においては、近端漏話特性の向上と減衰量の低減とを同時に達成することができる。
【0041】
なお、絶縁層34は、図1に示す実施例では、2枚の不織布36から形成したが、インピーダンスの比R(Is/Ic)を0.76≦R≦0.80の範囲とすることができれば、他の絶縁層34を用いてもよい。例えば、表1の実験例2に示すように、フッ素樹脂等の熱可塑性樹脂を集合撚り層12の上にパイプ状に押出被覆することにより形成された絶縁層34を用いることもできる。この場合には、絶縁層34の厚さを0.70mmとすることにより、インピーダンスの比R(Is/Ic)に関する上記の値を実現することができ、また、減衰量の値もEIAで定める規格値を充分満足することが、実験により確認された。
【0042】
【発明の効果】
本発明によれば、上記のように、全ての対を構成する2芯の導体のうちの1芯とシールド層との間のインピーダンスIsと全ての対を構成する2芯の導体間の特性インピーダンスIcとの比R(Is/Ic)が実験の結果得られた最適な値である0.76≦R≦0.80となるように、集合撚り層とシールド層との間に絶縁層を施しているため、シールド層と絶縁電線との間の絶縁距離が大きくなりシールド層が導体に与える影響を軽減することができるため、高周波数帯域においても減衰量を抑えて良好な周波数特性を得ることができ、特に、EIA/TIA(米国電子工業会/米国通信工業会)によるカテゴリー5の標準規格に定められている減衰量を充分に満足することができ、高速データ通信、高周波通信に対応しつつ減衰量を低減することができる。
【0043】
特に、この場合、絶縁層によって減衰量を低減しているため、対の撚りピッチを長くする必要がなく、近端漏話特性の向上に適した撚りピッチを選択することができるので、充分な近端漏話特性を維持しつつ、減衰量を低減して良好な周波数特性を維持することができ、EIA(米国電子工業会)の標準規格で定める電気的特性(減衰量、特性インピーダンス、近端漏話特性)の要求を全て同時に満足することができる実益がある。また、絶縁電線の絶縁被覆の厚みを厚くすることなく減衰量を低減しているため、絶縁電線の外径を小さく設定することができるので、モジュラージャックに嵌入することができる実用的な外径を有する絶縁電線を用いた場合でも減衰量を低減することができる実益もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の通信ケーブルの断面図である。
【図2】本発明に用いられる対の断面図である。
【図3】本発明に用いられるシールド層を構成する両面アルミペットテープの断面図である。
【図4】表1に示す比較例1に関し得られた周波数と減衰量との関係を示すプロット図である。
【図5】表1に示す比較例2に関し得られた周波数と減衰量との関係を示すプロット図である。
【図6】表1に示す本発明の実験例1に関し得られた周波数と減衰量との関係を示すプロット図である。
【図7】表1に示す本発明の実験例1の通信ケーブル内における全ての対の組み合わせに関し得られた近端漏話減衰量の測定値を示したプロット図である。
【符号の説明】
10 通信ケーブル
12 集合撚り層
14 シールド層
16 対
18 絶縁電線
20 導体
22 絶縁体
24 両面アルミペットテープ
26 編組
28 ポリエステルテープ
30 アルミニウムテープ
32 シース
34 絶縁層
36 不織布

Claims (1)

  1. 絶縁被覆された2芯の導体を撚り合わせて成る複数の対を隣り合う対が異なる撚りピッチとなるように集合撚りして形成された集合撚り層と前記集合撚り層に施されたシールド層とから成る通信ケーブルにおいて、前記全ての対を構成する2芯の導体のうちの1芯と前記シールド層との間の周波数1MHzにおけるインピーダンスIsと前記全ての対を構成する2芯の導体間の周波数1MHzにおける特性インピーダンスIcとの比R(Is/Ic)が、0.76≦R≦0.80となるように、前記集合撚り層と前記シールド層との間に絶縁層を施したことを特徴とする通信ケーブル。
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