JP3545002B2 - 口腔用衛生品 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は歯石形成阻害効果を有する口腔用衛生品に関する。詳しくは、カゼインカルシウムをアスペルギルス属菌起源の蛋白分解酵素で処理して得られるカゼインカルシウム分解物を練り歯磨き、マウスウォッシュなどに添加し、歯石の形成を阻害する効果を有する口腔用衛生品を提供するものである。ここでカゼインカルシウム分解物は、歯石の原因となる口腔内でのカルシウムの不溶化を阻害する作用を有し、歯石の形成を阻害する効果を有する。
【0002】
【従来の技術】
歯石は、歯の表面上に形成される固い沈積物であって、その表面の粗さのために、歯肉に対して機械的な刺激因子となると共に、唾液中の細菌叢に快適な保護環境を与えてしまい、歯肉炎、歯周病の原因となることが知られている。歯石の形成の最初の段階においては、歯の表面上にプラークといわれる細菌や唾液中の糖蛋白などの有機物からなる多孔質塊が形成され、そこに、唾液などから供給されるカルシウムやリン酸イオンが反応してリン酸三カルシウムやヒドロキシアパタイトなどの様々な形のリン酸カルシウムの結晶を形成することができるようになり、その結果、プラークの構造はリン酸カルシウムの結晶化反応作用によって補強、硬化されて歯石となる。
この歯石は、通常機械的方法により除去される。
【0003】
従来より歯石の形成阻害物質として、ピロリン酸塩,トリポリリン酸塩,エチレンジアミン四酢酸塩,ジヒドロキシアルカンジホスホン酸塩,アミノアルカンジホスホン酸塩などが提案されているが、安全性、刺激性、応用適性などの面からほとんど使用されていないのが現状である。
また、ペプチドの利用についても知られているが、いまだ十分に満足できるものは得られていないのが現状である。
歯石形成阻害物質として、口腔用衛生品に幅広く応用するにあたっては、安全であり、刺激がなく、熱に対して安定であることが必須条件である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、安全で、刺激性がなく、応用範囲の広い、歯石形成阻害物質を、練り歯磨き、マウスウォッシュなどの口腔用衛生品に添加してなる歯石形成阻害効果を有する口腔用衛生品を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、安全で、刺激性がなく、応用範囲の広い、歯石形成阻害物質を、練り歯磨き、マウスウォッシュなどの口腔用衛生品に添加してなる歯石形成阻害効果を有する口腔用衛生品を開発する目的で鋭意研究を行った結果、カゼインカルシウムをアスペルギルス属菌起源の蛋白分解酵素で処理して得られるカゼインカルシウム分解物を練り歯磨き、マウスウォッシュなどの口腔用衛生品に添加することにより、上記目的が達成されることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち本発明は、安全で、刺激性がなく、練り歯磨き、マウスウォッシュなどの口腔用衛生品に添加できる、カゼインカルシウム分解物、すなわちカゼインカルシウムをアスペルギルス属菌起源の蛋白分解酵素で処理して得られるカゼインカルシウム分解物を含有する、歯石形成阻害効果を有する口腔用衛生品に関する。
【0006】
本発明のカゼインカルシウム分解物は、原料のカゼインカルシウムを水に2〜40重量%、好ましくは10〜25重量%の範囲で懸濁、分散させてアスペルギルス属菌起源の蛋白分解酵素を添加し、25〜70℃、好ましくは40〜60℃の温度範囲で攪拌しながら5〜48時間、好ましくは10〜24時間反応を行うことにより得られる。本発明に用いられる蛋白分解酵素は、アスペルギルス属菌起源の酵素であれば特に限定されるものではないが、好ましくは中性プロテアーゼが良い。中性プロテアーゼ以外の酵素を用いた場合、酵素処理時にpH調整が必要であり、処理後中性にすると塩が生成するため、塩を除去しなければならないなどの問題がある。アスペルギルス属菌起源の蛋白分解酵素で市販されているものとしては、例えば「プロテアーゼPアマノ」,「プロテアーゼAアマノ」〔天野製薬(株)製〕、「モルシン」〔藤沢薬品工業(株)製〕、「オリエンターゼON」〔上田化学工業(株)製〕などがあげられる。これらの酵素は単独で、あるいは2つ以上組み合わせて用いても良い。
【0007】
本発明に用いられる蛋白分解酵素は、カゼインカルシウムに対して 0.1〜10重量%、好ましくは 0.5〜5重量%添加して用いられる。蛋白分解酵素が 0.1%以下ではカゼインカルシウムの分解が起こりにくく、得られるペプチドの収量が低くなる。蛋白分解酵素が10重量%以上では、カゼインカルシウムの分解反応は問題なく起こるが経済的に高価になるなどの問題がある。
本発明の蛋白分解酵素による処理温度は、25〜70℃、好ましくは40〜60℃の温度範囲が望ましく、処理温度25℃以下では酵素の活性が低くなりカゼインカルシウムの分解に長時間必要になる問題がある。また処理温度70℃以上では酵素の失活が激しく、分解反応を制御することが困難である。
【0008】
本発明に用いるカゼインカルシウムは水に2〜40重量%、好ましくは10〜25重量%の範囲で懸濁,分散されて酵素で分解され、2重量%以下では酵素分解反応は問題なく行われるが、低濃度のため得られる収量が低くなる。また40重量%以上では溶液の粘度が上昇し攪拌が困難となり、懸濁,分散が均一に行われにくくなるなどの問題がある。
【0009】
本発明の方法によって得られた水溶液のカゼインカルシウム分解物は、そのまま水溶液の形で、あるいはスプレードライや凍結乾燥などの方法で粉末化し粉末状の形で、最終形態である口腔用衛生品や飲食品に添加することができる。
また、本発明の方法によって得られたカゼインカルシウム分解物は、牛乳中に含まれる天然物であるカゼインカルシウムを原料として、酵素処理により得られたものであり、安全性に優れ、刺激性がなく、主成分の分子量が1000〜5000まで分解されているため、熱に対しても凝固せず、安定であり、応用範囲も広く、口腔用衛生品への添加剤として有用である。
【0010】
本発明のカゼインカルシウム分解物は、歯石形成阻害物質として、通常0.01〜10重量%、好ましくは 0.1〜2重量%の範囲で練り歯磨き、マウスウォッシュなどの口腔用衛生品に添加できる。0.01重量%以下の添加であれば本発明の効果があまり期待できない。また、10重量%以上の添加でもかまわないが、目的とする口腔用衛生品の通常の配合を大きく変更する必要があるため、好ましくない。
次に本発明を実施例によって詳細に説明する。
【0011】
【実施例】
実施例1
カルシウム含量 1.3%のカゼインカルシウム粉末(ニュージーランド産) 500gを水5リットルに懸濁させ、アスペリギルス属菌起源の中性プロテアーゼ〔商品名:プロテアーゼP「アマノ」 天野製薬(株)製〕10gを添加し、45℃において20時間反応を行った。次に80℃,30分間の加熱処理を行い酵素を失活させて濾過した。濾液を噴霧乾燥し、カゼインカルシウム分解物を 450g得た。
得られたカゼインカルシウム分解物について、高速液体クロマトグラフィー〔日本ウォーターズリミテッド製〕を用いてゲル濾過クロマトグラフィーを行った。分析用カラムに、スーパーロース12〔ファルマシア(株)製〕を用い、リン酸緩衝液(pH=7)を 0.5ml/分の流速で流し、 220nmで検出した。測定の結果、得られたカゼインカルシウム分解物の分子量1000〜5000の画分は75.2%であった。
【0012】
試験例1.熱安定性
加熱に対する安定性を確認するために以下の試験を行った。
実施例1で得られたカゼインカルシウム分解物の1%水溶液をオートクレーブで121℃30分の加熱を行ったところ、凝固物や濁りはみられず、澄明のままであり、熱に対して安定であった。
【0013】
試験例2.リン酸カルシウムの結晶化阻害効果
歯石形成の原因として考えられるリン酸カルシウムの結晶化の阻害効果を調べるために以下の試験を行った。
実施例1で得られたカゼインカルシウム分解物の1%溶液、または、試験例1で加熱を行ったカゼインカルシウム分解物の1%溶液の適量に対して、20mM塩化カルシウム溶液1mlと10mMリン酸緩衝液(pH7)4ml及び脱イオン水を加えて全量を8mlとし、混合した後、37℃で2時間静置した。その後、濾紙〔東洋濾紙(株)製 No.6〕で濾過した。混合直後と濾過後のカルシウム含量を比較し、可溶性カルシウム率とした。
その結果を図1に示した。
【0014】
この結果より、実施例1で得られたカゼインカルシウム分解物を添加することにより、可溶性カルシウムは増加し、リン酸カルシウムの結晶化が阻害された。また、その効果は、加熱によっても変わらなかった。
【0015】
実施例2
実施例1で得られたカゼインカルシウム分解物を添加して、下記処方により、マウスウォッシュを製造した。
《マウスウォッシュの処方》
95%エタノール 18.0部
グリセリン 8.0部
ヒマシ油 2.5部
カゼインカルシウム分解物 0.5部
香料(ミント) 0.5部
サッカリンナトリウム 0.4部
安息香酸ナトリウム 0.1部
水 70.0部
上記処方により、常法に従ってマウスウォッシュを製造したところ、製造上の問題もなく、味についてもカゼインカルシウム分解物の添加されていないものと比較して変わりなかった。
【0016】
【発明の効果】
本発明の方法によって得られたカゼインカルシウム分解物は、歯石形成阻害効果を有し、本発明のカゼインカルシウム分解物を配合して得られる、練り歯磨き、マウスウォッシュなどの口腔用衛生品は、歯石形成を阻害する効果を有する。また、本発明のカゼインカルシウム分解物は、牛乳中に存在する天然物であるカゼインカルシウムを原料として、酵素処理により得られたものであり、安全性に優れ、刺激性がなく、主成分の分子量が1000〜5000まで分解されているため、熱に対しても凝固せず、安定であり、応用範囲も広く、口腔用衛生品への添加剤として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】カゼインカルシウム分解物の最終混合液中濃度に対する可溶性カルシウム率を表わしたものである。
【産業上の利用分野】
本発明は歯石形成阻害効果を有する口腔用衛生品に関する。詳しくは、カゼインカルシウムをアスペルギルス属菌起源の蛋白分解酵素で処理して得られるカゼインカルシウム分解物を練り歯磨き、マウスウォッシュなどに添加し、歯石の形成を阻害する効果を有する口腔用衛生品を提供するものである。ここでカゼインカルシウム分解物は、歯石の原因となる口腔内でのカルシウムの不溶化を阻害する作用を有し、歯石の形成を阻害する効果を有する。
【0002】
【従来の技術】
歯石は、歯の表面上に形成される固い沈積物であって、その表面の粗さのために、歯肉に対して機械的な刺激因子となると共に、唾液中の細菌叢に快適な保護環境を与えてしまい、歯肉炎、歯周病の原因となることが知られている。歯石の形成の最初の段階においては、歯の表面上にプラークといわれる細菌や唾液中の糖蛋白などの有機物からなる多孔質塊が形成され、そこに、唾液などから供給されるカルシウムやリン酸イオンが反応してリン酸三カルシウムやヒドロキシアパタイトなどの様々な形のリン酸カルシウムの結晶を形成することができるようになり、その結果、プラークの構造はリン酸カルシウムの結晶化反応作用によって補強、硬化されて歯石となる。
この歯石は、通常機械的方法により除去される。
【0003】
従来より歯石の形成阻害物質として、ピロリン酸塩,トリポリリン酸塩,エチレンジアミン四酢酸塩,ジヒドロキシアルカンジホスホン酸塩,アミノアルカンジホスホン酸塩などが提案されているが、安全性、刺激性、応用適性などの面からほとんど使用されていないのが現状である。
また、ペプチドの利用についても知られているが、いまだ十分に満足できるものは得られていないのが現状である。
歯石形成阻害物質として、口腔用衛生品に幅広く応用するにあたっては、安全であり、刺激がなく、熱に対して安定であることが必須条件である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、安全で、刺激性がなく、応用範囲の広い、歯石形成阻害物質を、練り歯磨き、マウスウォッシュなどの口腔用衛生品に添加してなる歯石形成阻害効果を有する口腔用衛生品を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、安全で、刺激性がなく、応用範囲の広い、歯石形成阻害物質を、練り歯磨き、マウスウォッシュなどの口腔用衛生品に添加してなる歯石形成阻害効果を有する口腔用衛生品を開発する目的で鋭意研究を行った結果、カゼインカルシウムをアスペルギルス属菌起源の蛋白分解酵素で処理して得られるカゼインカルシウム分解物を練り歯磨き、マウスウォッシュなどの口腔用衛生品に添加することにより、上記目的が達成されることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち本発明は、安全で、刺激性がなく、練り歯磨き、マウスウォッシュなどの口腔用衛生品に添加できる、カゼインカルシウム分解物、すなわちカゼインカルシウムをアスペルギルス属菌起源の蛋白分解酵素で処理して得られるカゼインカルシウム分解物を含有する、歯石形成阻害効果を有する口腔用衛生品に関する。
【0006】
本発明のカゼインカルシウム分解物は、原料のカゼインカルシウムを水に2〜40重量%、好ましくは10〜25重量%の範囲で懸濁、分散させてアスペルギルス属菌起源の蛋白分解酵素を添加し、25〜70℃、好ましくは40〜60℃の温度範囲で攪拌しながら5〜48時間、好ましくは10〜24時間反応を行うことにより得られる。本発明に用いられる蛋白分解酵素は、アスペルギルス属菌起源の酵素であれば特に限定されるものではないが、好ましくは中性プロテアーゼが良い。中性プロテアーゼ以外の酵素を用いた場合、酵素処理時にpH調整が必要であり、処理後中性にすると塩が生成するため、塩を除去しなければならないなどの問題がある。アスペルギルス属菌起源の蛋白分解酵素で市販されているものとしては、例えば「プロテアーゼPアマノ」,「プロテアーゼAアマノ」〔天野製薬(株)製〕、「モルシン」〔藤沢薬品工業(株)製〕、「オリエンターゼON」〔上田化学工業(株)製〕などがあげられる。これらの酵素は単独で、あるいは2つ以上組み合わせて用いても良い。
【0007】
本発明に用いられる蛋白分解酵素は、カゼインカルシウムに対して 0.1〜10重量%、好ましくは 0.5〜5重量%添加して用いられる。蛋白分解酵素が 0.1%以下ではカゼインカルシウムの分解が起こりにくく、得られるペプチドの収量が低くなる。蛋白分解酵素が10重量%以上では、カゼインカルシウムの分解反応は問題なく起こるが経済的に高価になるなどの問題がある。
本発明の蛋白分解酵素による処理温度は、25〜70℃、好ましくは40〜60℃の温度範囲が望ましく、処理温度25℃以下では酵素の活性が低くなりカゼインカルシウムの分解に長時間必要になる問題がある。また処理温度70℃以上では酵素の失活が激しく、分解反応を制御することが困難である。
【0008】
本発明に用いるカゼインカルシウムは水に2〜40重量%、好ましくは10〜25重量%の範囲で懸濁,分散されて酵素で分解され、2重量%以下では酵素分解反応は問題なく行われるが、低濃度のため得られる収量が低くなる。また40重量%以上では溶液の粘度が上昇し攪拌が困難となり、懸濁,分散が均一に行われにくくなるなどの問題がある。
【0009】
本発明の方法によって得られた水溶液のカゼインカルシウム分解物は、そのまま水溶液の形で、あるいはスプレードライや凍結乾燥などの方法で粉末化し粉末状の形で、最終形態である口腔用衛生品や飲食品に添加することができる。
また、本発明の方法によって得られたカゼインカルシウム分解物は、牛乳中に含まれる天然物であるカゼインカルシウムを原料として、酵素処理により得られたものであり、安全性に優れ、刺激性がなく、主成分の分子量が1000〜5000まで分解されているため、熱に対しても凝固せず、安定であり、応用範囲も広く、口腔用衛生品への添加剤として有用である。
【0010】
本発明のカゼインカルシウム分解物は、歯石形成阻害物質として、通常0.01〜10重量%、好ましくは 0.1〜2重量%の範囲で練り歯磨き、マウスウォッシュなどの口腔用衛生品に添加できる。0.01重量%以下の添加であれば本発明の効果があまり期待できない。また、10重量%以上の添加でもかまわないが、目的とする口腔用衛生品の通常の配合を大きく変更する必要があるため、好ましくない。
次に本発明を実施例によって詳細に説明する。
【0011】
【実施例】
実施例1
カルシウム含量 1.3%のカゼインカルシウム粉末(ニュージーランド産) 500gを水5リットルに懸濁させ、アスペリギルス属菌起源の中性プロテアーゼ〔商品名:プロテアーゼP「アマノ」 天野製薬(株)製〕10gを添加し、45℃において20時間反応を行った。次に80℃,30分間の加熱処理を行い酵素を失活させて濾過した。濾液を噴霧乾燥し、カゼインカルシウム分解物を 450g得た。
得られたカゼインカルシウム分解物について、高速液体クロマトグラフィー〔日本ウォーターズリミテッド製〕を用いてゲル濾過クロマトグラフィーを行った。分析用カラムに、スーパーロース12〔ファルマシア(株)製〕を用い、リン酸緩衝液(pH=7)を 0.5ml/分の流速で流し、 220nmで検出した。測定の結果、得られたカゼインカルシウム分解物の分子量1000〜5000の画分は75.2%であった。
【0012】
試験例1.熱安定性
加熱に対する安定性を確認するために以下の試験を行った。
実施例1で得られたカゼインカルシウム分解物の1%水溶液をオートクレーブで121℃30分の加熱を行ったところ、凝固物や濁りはみられず、澄明のままであり、熱に対して安定であった。
【0013】
試験例2.リン酸カルシウムの結晶化阻害効果
歯石形成の原因として考えられるリン酸カルシウムの結晶化の阻害効果を調べるために以下の試験を行った。
実施例1で得られたカゼインカルシウム分解物の1%溶液、または、試験例1で加熱を行ったカゼインカルシウム分解物の1%溶液の適量に対して、20mM塩化カルシウム溶液1mlと10mMリン酸緩衝液(pH7)4ml及び脱イオン水を加えて全量を8mlとし、混合した後、37℃で2時間静置した。その後、濾紙〔東洋濾紙(株)製 No.6〕で濾過した。混合直後と濾過後のカルシウム含量を比較し、可溶性カルシウム率とした。
その結果を図1に示した。
【0014】
この結果より、実施例1で得られたカゼインカルシウム分解物を添加することにより、可溶性カルシウムは増加し、リン酸カルシウムの結晶化が阻害された。また、その効果は、加熱によっても変わらなかった。
【0015】
実施例2
実施例1で得られたカゼインカルシウム分解物を添加して、下記処方により、マウスウォッシュを製造した。
《マウスウォッシュの処方》
95%エタノール 18.0部
グリセリン 8.0部
ヒマシ油 2.5部
カゼインカルシウム分解物 0.5部
香料(ミント) 0.5部
サッカリンナトリウム 0.4部
安息香酸ナトリウム 0.1部
水 70.0部
上記処方により、常法に従ってマウスウォッシュを製造したところ、製造上の問題もなく、味についてもカゼインカルシウム分解物の添加されていないものと比較して変わりなかった。
【0016】
【発明の効果】
本発明の方法によって得られたカゼインカルシウム分解物は、歯石形成阻害効果を有し、本発明のカゼインカルシウム分解物を配合して得られる、練り歯磨き、マウスウォッシュなどの口腔用衛生品は、歯石形成を阻害する効果を有する。また、本発明のカゼインカルシウム分解物は、牛乳中に存在する天然物であるカゼインカルシウムを原料として、酵素処理により得られたものであり、安全性に優れ、刺激性がなく、主成分の分子量が1000〜5000まで分解されているため、熱に対しても凝固せず、安定であり、応用範囲も広く、口腔用衛生品への添加剤として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】カゼインカルシウム分解物の最終混合液中濃度に対する可溶性カルシウム率を表わしたものである。
Claims (1)
- カゼインカルシウムをアスペルギルス属菌起源の中性プロテアーゼで処理して得られるカゼインカルシウム分解物を含有することを特徴とする口腔用衛生品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35296792A JP3545002B2 (ja) | 1992-12-12 | 1992-12-12 | 口腔用衛生品 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35296792A JP3545002B2 (ja) | 1992-12-12 | 1992-12-12 | 口腔用衛生品 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06179627A JPH06179627A (ja) | 1994-06-28 |
JP3545002B2 true JP3545002B2 (ja) | 2004-07-21 |
Family
ID=18427677
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP35296792A Expired - Fee Related JP3545002B2 (ja) | 1992-12-12 | 1992-12-12 | 口腔用衛生品 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3545002B2 (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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GB0723523D0 (en) * | 2007-11-30 | 2008-01-09 | Glaxo Group Ltd | Novel use |
CN108261343A (zh) * | 2016-12-30 | 2018-07-10 | 杜邦营养生物科学有限公司 | 基于蛋白质的发泡牙膏组合物 |
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1992
- 1992-12-12 JP JP35296792A patent/JP3545002B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH06179627A (ja) | 1994-06-28 |
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