JP3542507B2 - 糖鎖高分子化合物を含むインク受容層を有する記録媒体 - Google Patents

糖鎖高分子化合物を含むインク受容層を有する記録媒体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インク受容層を有する記録用媒体に関し、さらに詳しくは、インク吸収性、耐水性、耐カーリング性、耐スクラッチ性などに優れ、かつ、高画質の画像を得ることができるインク受容層を有する記録媒体に関する。特に、カラーインクジェット方式、水性カラープリンタープロッターなど、水性インクを用いて出図する記録方式における記録媒体として好適な記録媒体、および、該記録媒体を用いて記録されたカラー記録物に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方法は、近年、騒音の発生が少なく、高速印字、カラー印字の行える記録方法として注目され、広く利用されている。このインクジェット記録方法に使用されている記録媒体としては、従来から通常の紙や、インクジェット記録用紙と称されている基材上に多孔性インク受容層が設けられている記録媒体、あるいはオーバヘッドプロジェクター(OHP)用の透光性記録媒体が使用されてきた。特に、OHP用の記録媒体に関していえば、これらの構成材料、主に基材を構成する材料として、ポリエステル系樹脂、ジアセテート系樹脂、トリアセテート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリイミド系樹脂などのフィルムが使用されている。
【0003】
一方で、種々の産業分野における合成プラスチック材料の使用量も年々増加する傾向にあり、それに伴い合成プラスチック廃棄物の量も増大し、その処理が世界的に大きな社会問題となってきている。これらの廃棄プラスチックの中には、回収されて焼却処分されるものや、埋め立てられて処分されるものがある。一般に、合成プラスチックが焼却処分される場合には発熱量が多く、焼却炉の損傷を招くことがあり、さらに、合成プラスチックの中には焼却時に有害ガスを発生するものも多い。また、埋め立て処分する場合においては、処分場の確保の問題や、自然環境に与える悪影響の問題も無視できなくなってきている。
【0004】
このような状況下にあって、インクジェット記録装置で使用される消耗品についても、装置の普及に伴って使用後における消耗品の廃棄処理が環境問題などの関連から重要となってきている。特に、OHP用記録媒体については、上述したように、基材が合成プラスチックで構成されているため、使用後の廃棄処理に対しても十分な配慮が払われていなくてはならない。しかしながら、従来のインクジェット用OHPフィルムでは、上記のような廃棄処理に対する配慮がなされていないために、多量に廃棄物が発生した場合には環境に対し悪影響を及ぼすことが懸念される。この問題を考慮して、特開平6−239014号公報や特開平9−39379号公報には、生分解性のプラスチックシートを基材として使用し、その基材面上に合成高分子のインク受容層を設けた記録媒体が提案されている。
【0005】
また、特開平8−20657号公報では、天然高分子(タンパク質または多糖)と合成高分子を混合物で形成されたインク受容層を設けた記録用シートが提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の記録媒体は、インクジェット記録適性に優れ、且つ環境に対する悪影響を抑制する記録媒体であるものの、基材部分は分解されても、インク受容層に合成高分子材料を使用していることから分解されないまま残るという問題点があった。
【0007】
本発明の目的は、インクジェット記録適性に優れ、且つ使用後に廃棄処理する際の廃棄物が環境に悪影響を与えない優れた特性を有する記録媒体用インク受容層を提供することにある。また、本発明の別の目的は、廃棄物を有効活用できる、リサイクル可能な記録媒体を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題は以下の本発明によって達成される。
【0009】
1.少なくとも基材とインク受容層とを有する記録媒体において、該インク受容層が糖が他の成分と共に主鎖を構成する糖鎖高分子化合物、または、少なくとも1種類の繰り返し単位を有する分子鎖を糖で架橋した糖鎖高分子化合物を含み、前記糖鎖高分子化合物が前記インク受容層の表面に露出していることを特徴とする記録媒体。

【0010】
2.該糖鎖高分子化合物が、糖が他の成分と、エステル結合、ウレタン結合またはアミド結合によって結合していることを特徴とする上記1に記載の記録媒体。
【0011】
3.該糖がグルコピラノース環のみを含む糖である糖鎖高分子化合物からなることを特徴とする上記1または2に記載の記録媒体。
【0012】
4.該糖がオリゴ糖である上記1乃至3に記載の記録媒体。
【0013】
5.オリゴ糖が、マルトース、セロビオース、ラクトース、イソマルトース、キトビオース、ニゲロース、トレハロース、メリビオース、セロトリオース、キトトリオース、マルトトリオース、セロテトラオース、キトテトラオース、マルトテトラオース、セロペンタオース、マルトペンタオース、キトペンタオース、セロヘキサオース、マルトヘキサオース、キトヘキサオースおよびこれらのアセチル化物の少なくとも一つであることを特徴とする上記1乃至4に記載の記録媒体。
【0014】
6.該糖が多糖である上記1乃至3に記載の記録媒体。
【0015】
7.該多糖が、セルロース、デンプン、グリコーゲン、ガラクタン、マンナン、キチン、キトサン、アルギン酸、ポリグルコサミン、プルラン、ヒアルロン酸、の少なくとも一つであることを特徴とする上記6に記載の記録媒体。
【0016】
8.該他の成分がジカルボン酸である上記1乃至7に記載の記録媒体。
【0017】
9.該繰り返し単位を有する分子鎖がジカルボン酸、ジオール、ジアミン、ジイソシアネート、ポリビニルアルコールから選ばれる化合物から合成される上記1に記載の記録媒体。
【0018】
10.該架橋した鎖同士が、該鎖中の糖部分で架橋している上記1または9に記載の記録媒体。
【0019】
11.該架橋した鎖同士が、該鎖中の糖以外の部分で架橋している上記1または9に記載の記録媒体。
【0020】
12.該繰り返し単位が、ビニル基を有する化合物由来または、糖由来のものである上記1に記載の記録媒体。
【0021】
13.全ての構成成分が生分解性を有する高分子物質からなる上記1乃至12に記載の記録媒体。
【0022】
本発明に係る糖鎖高分子化合物は、糖と他の成分の加水分解可能な結合(エステル結合、ウレタン結合、アミド結合など)を選択的に分解させる、糖と糖との間のグリコシド結合を選択的に分解させることによって、分解により生成した物質を再び容易に原料として利用できるリサイクル性と土中やコンポスト中での生分解性とを有している。
【0023】
本発明の構成による記録媒体は、良好なインクジェット適性を有し、OHP、紙などの記録媒体として優れたものとなる。このインク受容層は、親水性の糖部分と疎水性のジカルボン酸部分を有することから両親媒性となり、OHP用記録媒体とした場合に高分子の基材との密着性に優れ、インクを吸収してにじみを抑制する効果を有している。紙を基材とした場合には、インク塗布後の光沢性に優れている。
【0024】
また、本発明の記録媒体は、インク受容層が生分解性を有し、リサイクル可能であるため、廃棄処分した際に、環境に与える悪影響を抑制することが可能である。更に、基材とインク受容層ともに、生分解・リサイクル可能な高分子化合物で構成すれば、使用後に廃棄処理する際の廃棄物が環境に悪影響を与えない優れた特性を有する記録媒体となる。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明の記録媒体に用いられるインク受容層としては、糖が他の成分とともに主鎖を構成する糖鎖高分子化合物、または、少なくとも1種類の繰り返し単位を有する分子鎖を糖で架橋した糖鎖高分子化合物からなるものであればいずれのものも使用可能である。
【0026】
このような糖鎖高分子物質の好ましい一例としては、グルコピラノース環のみを含む糖が他の成分とともに主鎖を構成している糖鎖高分子化合物において、該糖が他の成分と酵素分解可能な結合(エステル結合、ウレタン結合、アミド結合など)によって結合しているのが好ましい。
【0027】
この糖がオリゴ糖であり、このオリゴ糖がセロビオース、レクトース、マルトース、イソマルトース、キトビオース、ニゲロース、トレハロース、メリビオース、ヒアルロン酸、セロトリオース、キトトリオース、マルトトリオース、セロテトラオース、キトテトラオース、マルトテトラオース、セロペンタオース、キトペンタオース、マルトペンタオース、セロヘキサオース、キトヘキサオース、マルトヘキサオースおよび、これらのアセチル化物の少なくとも一つであるのが好ましい。また糖がオリゴ糖であり、他の成分がジカルボン酸であるのが好ましい。
【0028】
さらにこの糖が多糖であり、該多糖が、キトサン、アルギン酸、セルロース、でんぷん、グリコーゲン、ガラクタン、マンナン、ポリグルコサミン、プルランの少なくとも一つであるのが好ましい。そして糖が多糖で他の成分がジカルボン酸であるのが好ましい。
【0029】
架橋した糖鎖高分子化合物においては架橋する鎖同士が2官能以上の脂肪族有機化合物で架橋されているのが好ましい。そしてその脂肪族有機化合物が、ジカルボン酸、ジオール、ジアミン、ジシソシアネートから選ばれる化合物であるのが好ましい。また、脂肪族有機化合物がポリビニルアルコールであるのが好ましい。
【0030】
架橋は鎖中の糖鎖分においてまたは糖以外の部分にて架橋することができる。また、少なくとも1種の繰り返し単位を有する分子鎖を、グルコピラーノス環のみを含む糖で架橋した糖鎖高分子化合物において、該繰り返し単位がビニル基を有する化合物由来のものが好ましい。
【0031】
該繰り返し単位が、グルコピラノース環のみを含む糖由来のものであるのが好ましい。
【0032】
該糖が、該繰り返し単位中の糖の部位または繰り返し単位中の糖以外に結合して該分子鎖を架橋しているのが好ましい。
【0033】
以下図面を参照して本発明を詳細に説明する。
【0034】
第1の態様
図1は本発明の一実施態様による糖鎖高分子化合物およびその分解方法を示す概略図である。図1(a)は直鎖状の糖鎖高分子化合物を説明するための概念図、図1(b)は糖鎖高分子を分解した状態を示す概念図である。1は糖部分を示し、2は糖部分1と結合して糖鎖高分子を形成する他の成分を表す。そして糖部分1と他の部分2とは例えばエステル結合3によって結合されている。
【0035】
ここで、オリゴ糖としては二糖から十糖であり、ホモオリゴ糖とヘテロオリゴ糖の、どちらも上記1のオリゴ糖部分の材料に用いることができる。ただし、単一酵素での分解が可能なこと、再利用のための分別精製が容易なことからホモオリゴ糖であることがより好ましい。
【0036】
そして糖部分1は、グルコピラノース環のみを含む糖を含有することが好ましい。すなわち、グルコピラノース環のみを含む糖を該糖部分に導入することによって該高分子の耐熱性を向上させることが可能である。該グルコピラノース環を含有する代表的なオリゴ糖としては、セロビオース、ラクトース、マルトース、イソマルトース、キトビオース、ニゲロース、トレハロース、メリビオースなどの二糖類、セロトリオース、キトトリオース、マルトトリオースなどの三糖類、四糖類以上としては、セロテトラオース、キトテトラオース、マルトテトラオース、セロペンタオース、キトペンタオース、マルトペンタオース、セロヘキサオース、キトヘキサオース、マルトヘキサオースなどが挙げられる。
【0037】
該グルコピラノース環を含有する代表的な多糖としては、キトサン、アルギン酸、セルロース、でんぷん、グリコーゲン、ガラクタン、マンナン、ポリグルコサミン、プルラン、ヒアルロン酸などが挙げられる。これらの糖は分子内に含まれているOH基を例えばアセチル基やベンジル基など重合不可能な原子団で置換した糖誘導体であってもよい。
【0038】
また他の成分部分2としては、上記したような糖のOH基と反応してエステル結合3を形成可能な、例えば、ジカルボン酸などが挙げられる。飽和ジカルボン酸としては例えば、シュウ酸、コハク酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、オクタデカン二酸など、不飽和脂肪族ジカルボン酸としては、マレイン酸、フマル酸等、芳香族ジカルボン酸としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などである。さらにこれらの塩や誘導体などが挙げられる。
【0039】
本発明において、該樹脂組成物の繰り返し単位を構成するためには、糖と糖の結合鎖としてはグリコシド結合4、糖と脂肪族または芳香族カルボン酸との結合鎖としてはエステル結合が望ましい。
【0040】
グリコシド結合4としては、例えば、α結合、β結合があり、それぞれ、還元性の糖との結合としては(1→2)結合、(1→3)結合、(1→4)結合、(1→6)結合、また、非還元性の糖との結合としては、(1 2)結合、(1 1)結合がある(()内の数字はOH基の位置を示す)。
【0041】
エステル結合としては、他の成分のジカルボン酸と糖の1,2,3,4,6位のいずれかの−OH基とが反応したエステル結合である。
【0042】
また、それぞれ、グリコシド結合、エーテル結合、エステル結合の組み合わせでもよい。
【0043】
そして図1に示す糖鎖高分子化合物は、例えば上記したような糖のOH基とカルボン酸のCOOH基、あるいはCOCl基を反応させることによりエステル結合で重合した主鎖を構成することができ、あるいは、ジカルボン酸エステルとオリゴ糖とのエステル交換によって合成することが可能である。
【0044】
次に図1(a)の構造を有する糖鎖高分子化合物の分解について説明する。図1(a)に示す糖鎖高分子化合物に対して、分解方法1と分解方法2の二種類の分解方法が適用可能である。分解方法1では、糖部分1と他の成分2の間のエステル結合3を分解する酵素を作用させることで、例えば、図1(b)のように糖部分1と他の成分部分2に分解することができる。具体的には、セロビオースとアジピン酸を繰り返し単位とする糖鎖高分子化合物に対して、エステル結合の加水分解を触媒とする酵素(例えば、リパーゼ、エステラーゼ)を作用させると、該糖鎖高分子化合物のエステル結合が加水分解され、その結果図1(b)に示すようにセロビオースとアジピン酸が分解生成物として得られる。そして、これは、原料と同じ物質であるため、再重合が可能である。
【0045】
分解方法2は、糖部分1の糖と糖との間のグリコシド結合4を分解する酵素を作用させることで、例えば、図1(b)のように両末端が糖であるユニット(双頭型糖脂質)や糖に分解することができる。具体的には、例えば、オリゴ糖としてβ(1→4)結合を有するセロビオースと他の成分との糖鎖高分子化合物に対して、β(1→4)結合の加水分解を触媒するセルラーゼを作用させると、該糖鎖高分子化合物のグリコシド結合が加水分解され、その結果図1(b)に示すように双頭型脂質とグルコースが分解生成物として得られる。そして、図1(a)に示す糖鎖高分子化合物はオリゴ糖もしくは多糖部分1と他の部分2が規則的に配置されているため、その分解物である双頭型糖脂質や糖としては比較的分子量の揃ったものを得ることができる。
【0046】
したがって、これらの分解物を再利用する場合に分別作業、精製が必要ないか、あるいは従来と比較して簡単な精製で十分であり、分解生成物の再利用コストの大幅な低減を図ることができる。
【0047】
上記の態様において糖と他の成分との結合は、エステル結合のみに限定されるものではなく、具体的にはアミド結合とウレタン結合が挙げられる。
【0048】
上記した糖鎖高分子化合物に各種の顔料や可塑剤、各種フィラーなどの添加物を含ませて所定の強度をもった高分子化合物として、例えば種々の構造材などに適用することも可能である。
【0049】
第2の態様
図2は第2の実施態様による糖鎖高分子の概念図である。図2において1は糖部分を示し、2は他の成分としての分子鎖である。そして他の成分2の分子鎖は糖部分1によって架橋された構造を有している。
【0050】
このような構造の糖鎖高分子化合物において、糖部分1には前記第1の態様の糖鎖高分子化合物の糖部分1の形成に用い得るオリゴ糖や多糖を用いることができる。
【0051】
そしてこの態様においても上記第1の態様と同様に、糖部分1にはグルコピラノース環のみを含ませることは、糖鎖化合物の耐熱性を向上する上で特に好ましい。
【0052】
他の成分2としては、例えば少なくとも1種の繰り返し単位を有する分子鎖、具体的には、ビニル基を含有する化合物由来の繰り返し単位を有する分子鎖であって、さらには分子鎖中の糖のOH基と反応可能な部位を複数有しているような分子鎖が好適に用いられる。具体例としては例えばポリアクリル酸からなる分子鎖などが挙げられる。そして糖としてはセロビオース、他の成分を構成する材料としてポリアクリル酸を用いて重合を行った場合には、他の成分2と糖部分1とがエステル結合によって結合された糖鎖高分子化合物を得ることができる。またここで糖部分1との結合は、エステル結合に限定されるものではなく、アミド結合、ウレタン結合を形成させてもよい。
【0053】
図3は図2の他の成分部分2の分子鎖を糖が含まれている分子鎖にした点が、図2の構成と異なっている。図3に示した糖鎖高分子化合物において、糖が含まれている分子鎖5としては例えば第1の実施例に記載した方法によって合成可能な糖鎖高分子化合物を用いることができる。但し他の成分部分2を構成する材料として糖部分1による架橋を可能とするための官能基を有する材料を用いることが好ましい。具体的には、例えばトリカルボン酸(例えば、アコニット酸やその塩など)などが挙げられる。そして他の成分部分2を構成する材料としてトリカルボン酸を用い、分子鎖5中の糖部分および分子鎖を架橋する糖部分1を構成する材料としてはセロビオースなどのオリゴ糖を用いた場合、分子鎖中の糖部分と他の成分部分の結合および分子鎖を架橋する糖部分1と分子鎖5との結合が全てエステル結合である糖鎖高分子化合物が得られる。またここで分子鎖5と架橋のための糖部分1との結合は、エステル結合に限定されるものでなくアミド結合、ウレタン結合を形成させてもよい。
【0054】
図4は分子鎖5同士が、分子鎖5の糖部分1において、糖によって架橋されている点で図3に示された高分子化合物と異なっている。そして図4の糖鎖高分子化合物は、糖部分として他の部分2と重合可能な反応部位を2箇所有し、さらに架橋剤との反応部位を1箇所有するもの、例えば単糖が2個結合したオリゴ糖(例えばセロビオースやマルトースなど)と他の成分部分を構成する材料(例えば、ジカルボン酸など)を反応させて糖部分と他の成分からなる直鎖状高分子化合物(分子鎖5)を合成し、ついで架橋剤として単糖が2個以上結合した糖を用いて該主鎖中の糖部分の水酸基やカルボキシル基の部位によって架橋させることができる。またここで分子鎖5と架橋のための糖部分1との結合はエステル結合に限定されるものでなく、アミド結合、ウレタン結合でもよい。
【0055】
以上図2〜4に示す糖鎖高分子化合物は、図1と同様に、分解方法1,2の二種類の方法で分解可能である。そして、分解生成物の少なくとも一つは、少ない精製工程で再重合が可能となる。
【0056】
インク受容層に使用する糖鎖高分子化合物の重量平均分子量は、コーティングのしやすさという点から、300〜300000、好ましくは、500〜30000程度が適当である。
【0057】
また、インクジェット記録適性、具体的には、耐ビーディング性、耐ブロッキング性を向上させる目的で上記材料の他に水溶性低分子有機化合物、水不溶性化合物を適時使用することが可能である。
【0058】
水溶性低分子有機化合物としては、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール)共重合体、D−ソルビトール、ショ糖に代表される分子量が5000以下の多価アルコールが挙げられる。
【0059】
水不溶性有機化合物としては、ポリメチルメタクリレートに代表されるアクリル樹脂、6,6ナイロンに代表されるナイロン樹脂、ポリスチレン、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリ塩化ビニール、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂などのほか、D−ソルビトールと芳香族アルデヒドの縮合物、ジアセテート化合物などが挙げられる。
【0060】
以上述べたインク受容層を構成する材料のほか、種々のインクジェット記録適性を向上させる目的でその他の添加材料をインク受容層に含有させることも可能である。
【0061】
例えば、水性インクに酸性染料もしくは直接染料を用いる場合、記録後の染料のにじみ、溶出を防止するためにカチオン性樹脂を用いることができる。この目的で使用できる材料としては、カチオン化ポリビニルアルコール、カチオン化ヒドロキシエチルセルロース、カチオン性モノマー含有アクリル樹脂などがある。
【0062】
また耐ブロッキング性を向上させるためにに無機微粒子などを0.01〜1.0g/m 程度インク受容層に添加することも可能である。
【0063】
同様に、pH調整剤、蛍光染料、分散剤、潤滑剤、防腐剤、消泡剤など従来公知の添加剤をインク受容層に包含せしめることも可能である。
【0064】
以上述べたインク受容層の厚みとしては、0.1〜100μmが好適であり、2〜30μmであればさらに望ましい。
【0065】
インク受容層を形成する方法は、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、スプレーコーティング法、エアナイフコーティング法、ディップコーティング法など従来公知の方法を用いればよい。
【0066】
本発明の記録媒体のインク受容層を保持する基材としては、適度のサイジングを施した紙、無サイズ紙、レジンコート紙などの紙類、熱可塑性フィルムのようなシート状物質および布帛が使用でき、特に制限はない。
【0067】
熱可塑性フィルムの場合は、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリメチルメタクリレート、酢酸セルロース、ポリエチレン、ポリカーボネートなどの透明フィルムや、さらにアルミナ水和物やチタンホワイトなどを充填したり、あるいは微細な気泡により不透明化したシートを用いることもできる。
【0068】
環境に悪影響を与えないという点からは、高強度、高分子量の同じ糖鎖化合物を用いてもよいし、他の生分解性プラスチックを用いることが好ましい。生分解性プラスチックとしては、a)化学合成脂肪族ポリエステル系、b)微生物生合成ポリエステル系、c)デンプンブレンド系、d)天然高分子系などを使用することができる。
【0069】
a)化学合成脂肪族ポリエステル系としては、ポリ−L−乳酸(PLLA)またはD−乳酸とのランダム共重合体(例えば、商品名;エコプレ、カーギル製、商品名;レイシア 三井東圧化学製、商品名;ラクティ、島津製作所製など)、ポリ−ε−カプロラクトン(PCL)(例えば、商品名;トーン ユニオンカーバイト製、商品名;プラクセル ダイセル製など)、ポリブチレンサクシネート(PBS)またはブチレンアジペートとのランダム共重合体(例えば、商品名;ビオノーレ 昭和高分子製、商品名;スカイグリーン 鮮京製など)が挙げられる。
【0070】
b)微生物合成ポリエステル系としては、デンプン+PVAほか(例えば、商品名;マタービー ノバモント・日本合成化学製)、デンプン+脂肪族ポリエステルほか(例えば、商品名;ノボン ノボン・インターナショナル製など)が挙げられる。
【0071】
c)デンプンブレンド系としては、β−ヒドロキシ酪酸(HB)と3−ヒドロキシ吉草酸(HV)のランダム共重合体(例えば、商品名;バイオポール、モンサント社製)、β−1,3−グルカンからなる多糖類(商品名;カードラン 武田薬品製)などが挙げられる。
【0072】
d)天然高分子系としては、ベンジル化木材(木材などのセルロース、リグニンをカセイソーダなどでアルカリ処理し、ベンジル基、アセチル基をもつ化学物質と反応させプラスティック化したもの)、高級脂肪酸エステル化木材、小麦のグルテンにグリセリン、グリコール、乳化シリコーンオイル、尿素を添加したもの、セルロースにキトサンを添加したもの、プルラン、アルギン酸、キチン、キトサン、カラギーナン、デンプンなどが挙げられる。
【0073】
これらの生分解性プラスチックは、プラスチックそのものの使用形態におけるライフサイクルでは影響がなく、これらの材料を土壌中あるいは水中などの微生物が活発に活動する環境におくことにより始めて分解が開始される。
【0074】
本発明の記録媒体は基材が透明である必要はない。基材が不透明の場合には、記録媒体全体の色調を整えるために着色材を使用することも可能である。着色材としては、従来公知の染料、顔料などが使用可能であるが、使用する基材との相溶性は十分考慮に入れなければならない。
【0075】
本発明は基材が透明である場合はOHP用記録フィルムとして使用可能である。OHP用フィルムとして使用する場合、記録媒体全体のヘイズが50%以下であることが好ましく、20%以下であればさらに好ましい。
【0076】
上記基材とインク受容層との接着性を良好にするために、基材にコロナ処理、火炎処理などの表面処理を行ったり、易接着層を下引き層として設けてもよい。さらにカールを防止するために基材体の裏面(インク受容層を設ける面とは反対の面)あるいは所定の部位に樹脂層や顔料層などのカール防止層および/または加筆性の層を設けることもできる。
【0077】
本発明の記録媒体において、インク受容層に本発明の糖鎖高分子を用い、基材に本発明と同様の糖鎖高分子または生分解性プラスチックを使用した構成とした場合には、生分解または、リサイクルが可能となる。
【0078】
特に、リサイクルする場合には、酸、アルカリ、または酵素による加水分解を使用すればよい。加水分解に用いる酵素としては、エステラーゼ、リパーゼ、セルラーゼやβグルコシダーゼ、など、分解したい結合によって選ぶことができる。その他の酵素としては、β−グルコシダーゼ、α−グルカナーゼ、α−ガラクトシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、β−アミラーゼ、マンノシダーゼ、β−グルカナーゼ、α−アミラーゼ、ヒアルロニダーゼ、β−ヘキソサミニダーゼ、プルラナーゼ、リゾチーム、グルコアミラーゼなどがあり、エキソ型、エンド型のいずれの酵素を用いてもよい。
【0079】
加水分解は、それぞれの酵素に適したpH、温度条件で行い、pH調整には、ホウ酸、酢酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、Nエチルモルホリン−酢酸、リン酸、トルス−塩酸などの緩衝液(バッファー)を用いることができる。
【0080】
さらに、上記有用な酵素を生産する微生物などを直接、本発明の生分解に用いてもよいし、土中やコンポスト中に埋めてもよい。
【0081】
以下、上記のような構成の本発明の記録媒体を使用し、本発明の透光性のカラー記録物を作成する際に使用されるインクジェット記録方法について説明する。本発明で使用するインクジェット記録方法としては、インクの小滴を種々の駆動原理を利用してノズルより吐出して記録を行わせる従来公知のいずれのインクジェット記録方式でも適用可能である。その代表例として、特開昭54−59936号公報に記載されている方法で、熱エネルギーの作用を受けたインクが急激な体積変化を生じ、この状態変化による作用力によって、インクをノズルから吐出されるインクジェット方式を挙げることができる。
【0082】
【実施例】
実施例1.糖鎖高分子化合物の合成
本例では、本発明に用いられる糖鎖高分子化合物の合成例について述べる。便宜上、糖部分と他の成分がエステル結合の場合は式〔I〕で、糖部分と他の成分がアミド結合の場合は式〔II〕で、糖部分と他の成分がウレタン結合の場合は式〔III〕で表す。
【0083】
【化1】
Figure 0003542507
式中R,R’は糖部分、脂肪族または芳香族炭化水素、nは重合度を表す。
【0084】
先ず式〔I〕で表されるアジポニルセロビオースエステルの合成例を示す。
【0085】
セロビオース5gをN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)100mlに入れ、窒素雰囲気下50℃に加熱した。ここへ、ピリジン2mlと、アジピン酸クロリド3mlを滴下し、2時間攪拌した。反応終了後、反応液をエタノール400ml中へ注ぎ、沈澱物を得た。この沈澱物を、エタノール、ジエチルエーテルで順次洗浄し、白色粉末2gを得た。ゲルパーミュレーションクロマトグラフィー(GPC)測定(東ソー製 GMPWXL*2本、溶離液:水、カラムオーブン温度;40℃)により、分子量測定した、ポリサッカライド(ポリマーラボラトリーズ製)換算すると重量平均分子量(Mw.)5000であった。IR測定により、1733cmのC=O伸縮ピーク、13C−NMR測定より、175ppmのC=O基と、24.8ppmおよび34.1ppmのアジピン酸メチレン基を確認し、糖エステルが合成できたことがわかった。
【0086】
糖成分セロビオースを、キトビオース、マルトース、に代えて、アジポニルキトビオース、アジポニルマルトースも同様に合成した。また、ジカルボン酸部分アジピン酸を、セバシン酸、フタル酸などに代えて、セバコイルセロビオース、フタロイルセロビオースなどを合成した。
【0087】
同様にアミド結合の合成には、アジピン酸クロライドなどのジカルボン酸クロライドを、脂肪族アミン、あるいはアミノ糖を反応させればよい。
【0088】
また、ウレタン結合には、ジカルボンン酸クロライド部分をジイソシアナート(例えば、ヘキサメチレンイソシナートなど)に代えて、同様に合成できる。
【0089】
上記化合物式に従う化合物例を表1〜3に示す。
【0090】
【表1】
Figure 0003542507
【0091】
【表2】
Figure 0003542507
【0092】
【表3】
Figure 0003542507
【0093】
以下に本発明のインク受容層を有する記録媒体の実施例および比較例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明する。
【0094】
実施例2.OHP用記録媒体1
三井東圧化学(株)製ポリ乳酸系高分子物質からなる透明生分解性プラスチック「レイシア」(商品名)厚み100μmのシートを基材として用い、下記組成Aの塗工液を乾燥後重量で100g/m となるようにバーコーター法により塗工し、その後80℃で10分間乾燥して、10μmの厚さのインク受容層を作成して、実施例2の記録媒体を得た。
【0095】
組成A
・化合物III −7 10重量部
・水 90重量部
【0096】
上記記録媒体に対して、インクジェットプリンタBJC−600S(キャノン製)を用いて、カラー画像パターンを記録し、画像品質についてはルーペで観察して評価を行い、インク吸収性については記録直後に記録部分に紙をこすりつけけてインクの転写具合により以下のように判定した。
【0097】
▲1▼画像品質:○はドット形状や色などの全てが良好、△はやや劣る、×はドットの流れ、はじき、にじみ、インクの変色などがある。
【0098】
▲2▼インク吸収性:○は良好、△はやや劣る、×はインクがとれて吸収しない。
【0099】
▲3▼画像保存性:インクジェット記録したベタ画像(Y,M,C各色および二次色R,G,B)を室温にて20日間保存した。そして保存前後の画像の変化を下記の基準で評価した。○は保存前とドット形状や色などの全てが同等、△は保存前よりも鮮明性がやや劣る、×は保存前と比較してインクにじみ、インクの変色などがある。
【0100】
▲4▼生分解性:記録媒体を熟成コンポスト中に埋めた後、6カ月後に生分解が進行しているか否かを観察し、分解性が認められるものを○、分解性が認められるないものを×とした。
【0101】
得られた評価結果を表4に示した。実施例2で得られた記録媒体は、高い透明性を有し、インクジェット記録適性に優れ、かつ生分解性に優れた記録媒体であり、環境に与える影響を考慮して優れた記録媒体であった。
【0102】
【表4】
Figure 0003542507
【0103】
実施例3.OHP用記録媒体基材として島津製作所製ポリ乳酸系高分子物質(商品名;ラクティ)厚み100μmからなる透明生分解性プラスチックを使用した。本実施例では、下記組成Bの塗工液を乾燥後重量で100g/m となるようにバーコーター法により塗工し、その後70℃で10分間乾燥して、8μmの厚さのインク受容層を作成して、実施例3の記録媒体を得た。
【0104】
組成B
・化合物II−1 10重量部
・水 90重量部
【0105】
実施例2の場合と同様にインクジェット記録適性、および生分解性の評価を行った。その結果を表4に示す。本実施例の記録媒体は、良好なOHP記録適性および生分解性を有する優れた記録媒体であった。
【0106】
実施例4.OHP用記録媒体3
基材として、ダイセル化学製セルロース系高分子物質(商品名;セルグリーン)厚み100μmの透明生分解性プラスチックシートを使用した。本実施例では、下記組成Cの塗工液を乾燥後重量で90g/m となるようにディッピング法により塗工し、その後70℃で10分間乾燥して、8μmの厚さのインク受容層を作成して、実施例4の記録媒体を得た。
【0107】
組成C
・化合物I−1 15重量部
・メタノール 85重量部
【0108】
実施例2の場合と同様にインクジェット記録適性、および生分解性の評価を行った。その結果を表4に示す。本実施例の記録媒体は、良好なOHP記録適性および生分解性を有する優れた記録媒体であった。
【0109】
実施例5.光沢紙記録媒体1
基材として、脂肪族ポリエステル系生分解性プラスチック(昭和高分子製:ビオノーレ#3000)厚み100μmの透明生分解性プラスチックシートを使用した。本実施例では、下記組成Dの塗工液を乾燥後重量で95g/m となるようにディッピング法により塗工し、その後70℃で10分間乾燥して、9μmの厚さのインク受容層を作成して、実施例5の記録媒体を得た。
【0110】
組成D
・化合物II−4 15重量部
・水 85重量部
【0111】
実施例2の場合と同様にインクジェット記録適性、および生分解性の評価を行った。その結果を表4に示す。本実施例の記録媒体は、良好なOHP記録適性および生分解性を有する優れた記録媒体であった。
【0112】
比較例1
基材として、ポリエチレンテレフタレート(PET)(商品名:ルミラー T−60、東レ製)からなる実施例2と同様の厚みのシートを使用した以外は、実施例2と同様にして比較例1の記録媒体を得た。このようにして作成した記録媒体に対して、実施例2と同様にインクジェット記録適性および生分解性の評価を行った。その結果を表4に示す。表4から明らかなように、比較例1の記録媒体は、実施例2と同様に、良好なインクジェット記録適性を有するが、基材部分が生分解性を有さないため、生分解性が著しく劣る記録媒体であった。
【0113】
比較例2
実施例2で用いた基材のみからなる比較例2の記録媒体を得た。この記録媒体に対して、実施例2と同様にインクジェット記録適性および生分解性の評価を行った。その結果を表4に示す。表4から明らかなように、比較例2の記録媒体は、実施例2と比較すると、生分解性を有するものの、インクジェット記録適性が著しく劣り、また、記録画像の保存安定性に劣る記録媒体であった。
【0114】
比較例3
実施例2と同様の基材、厚みのシートを基材として使用し、下記組成Eの塗工液を乾燥後重量で100g/m となるようにバーコーター法により塗工し、その後70℃で10分間乾燥して、8μmの厚さのインク受容層を作成して、比較例3の記録媒体を得た。
【0115】
組成E
・カチオン変性ポリビニルアルコール
(クラレ製、商品名:PVA−CM) 10重量部
・水 90重量部
【0116】
この記録媒体に対して、実施例2と同様にインクジェット記録適性および生分解性の評価を行った。その結果を表4に示す。表4から明らかなように、比較例3の記録媒体は、実施例2と比較すると、良好なインクジェット記録適性を有するものの、生分解性が劣る記録媒体であった。
【0117】
実施例6.光沢紙記録媒体2
基材として、カラーコピー用紙(キャノン製:)を使用した。本実施例では、実施例5と同じ組成Dの塗工液を乾燥後重量で90g/m となるようにバーコーター法により塗工し、その後室温で10分間乾燥しインク受容層を作成して、実施例6の記録媒体を得た。
【0118】
この記録媒体は、実施例2と同様に優れたインクジェット記録適性、生分解性を示した。また、インクジェット記録後、記録面が光沢性を有し、高級感のある画像が得られたことが確認できた。
【0119】
実施例7.OHP用記録媒体のリサイクル性評価
実施例4で作成した記録媒体を粉砕機で細かくし、この粉砕した粉体1gとエステラーゼ酵素(ベーリンガーマンハイム製)をpH7.5の緩衝液中に入れ、45℃で攪拌した。15時間後、反応上澄み液を東ソー高速液体クロマトグラフィー装置(HPLC);LC−8020、カラム;SH*1011(昭和電工製)、溶離液;水で測定すると、新たに、低分子量の糖と、有機酸に相当するピークが観察された。これらは時間の経過とともに、その強度が徐々に増大した。このピークを示す各々のピークを分取し、赤外吸収スペクトルを測定して、オリゴ糖と脂肪酸であることを確認した。さらに、脂肪酸部分は、H−NMR、C−NMRより、酢酸およびアジピン酸であることを確認した。
【0120】
また、これらの糖と脂肪酸は、糖を水で、脂肪酸をエタノールにより順次抽出することによっても分取できた。
【0121】
分取した糖に新たにアジピン酸クロライドを加えて、合成例1のように反応させると、再重合でき、リサイクル可能なことがわかった。
【0122】
実施例8.光沢紙用記録媒体のリサイクル性評価
実施例5で作成した記録媒体を粉砕機で、細かくし、この粉砕した粉体1gとリパーゼ酵素(天野製薬製、リパーゼアマノF)をpH7.0の緩衝液中に入れ、45℃で攪拌した。実施例7と同様に15時間後、反応上澄み液をHPLC装置で測定した。カラム;SH*1011(昭和電工製)、溶離液;水で測定すると、新たに、低分子量の糖と、有機酸に相当するピークが観察された。これらは時間の経過とともに、その強度が徐々に増大した。このピークを示す各々のピークを分取し、赤外吸収スペクトル(IR)を測定して、キトオリゴ糖と脂肪酸であることを確認した。さらに、脂肪酸部分は、H−NMR、C−NMRより、アジピン酸が含まれることを確認した。
【0123】
また、これらの分解物を水で抽出すると、キトトリオースとテトラメチレンジオールの混合物が得られた。また、アセトンにより抽出してアジピン酸が分取できた。
【0124】
分取したアジピン酸1モルに、新たにセロビオースを1モル加えて、220℃,30分間加熱溶融すると、アジポニルセロビオースを重合できた。
【0125】
GPC測定すると、重合物の分子量はMw.12000であった。また、IR測定により、エステル結合が確認され、アジポニルセロビオース糖鎖高分子化合物が重合でき、リサイクル可能なことがわかった。
【0126】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、良好なインクジェット記録適性を有すると同時に、生分解性を有するため、廃棄処分した際における環境に与えない記録媒体が提供される。また、リサイクル性も有することから、資源の有効利用という点からも優れた記録媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインク受容層に用いる直鎖状の糖鎖高分子化合物の一例の結合(a)と分解(b)を示す模式図である。
【図2】本発明のインク受容層に用いる架橋構造を有する糖鎖高分子化合物の例の結合(a)とその分解(b)を示す模式図である。
【図3】本発明のインク受容層に用いる架橋構造を有する糖鎖高分子化合物の異なる結合態様を示す模式図である。
【図4】本発明のインク受容層に用いる架橋構造を有する糖鎖高分子化合物の他の結合態様を示す模式図である。

Claims (13)

  1. 少なくとも基材とインク受容層とを有する記録媒体において、該インク受容層が糖が他の成分と共に主鎖を構成する糖鎖高分子化合物、または、少なくとも1種類の繰り返し単位を有する分子鎖を糖で架橋した糖鎖高分子化合物を含み、前記糖鎖高分子化合物が前記インク受容層の表面に露出していることを特徴とする記録媒体。
  2. 該糖鎖高分子化合物が、糖が他の成分と、エステル結合、ウレタン結合またはアミド結合によって結合していることを特徴とする請求項1に記載の記録媒体。
  3. 該糖がグルコピラノース環のみを含む糖である糖鎖高分子化合物からなることを特徴とする請求項1または2に記載の記録媒体。
  4. 該糖がオリゴ糖である請求項1乃至3のいずれかに記載の記録媒体。
  5. オリゴ糖が、マルトース、セロビオース、ラクトース、イソマルトース、キトビオース、ニゲロース、トレハロース、メリビオース、セロトリオース、キトトリオース、マルトトリオース、セロテトラオース、キトテトラオース、マルトテトラオース、セロペンタオース、マルトペンタオース、キトペンタオース、セロヘキサオース、マルトヘキサオース、キトヘキサオースおよびこれらのアセチル化物の少なくとも一つであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の記録媒体。
  6. 該糖が多糖である請求項1乃至3のいずれかに記載の記録媒体。
  7. 該多糖が、セルロース、デンプン、グリコーゲン、ガラクタン、マンナン、キチン、キトサン、アルギン酸、ポリグルコサミン、プルラン、ヒアルロン酸、の少なくとも一つであることを特徴とする請求項6に記載の記録媒体。
  8. 該他の成分がジカルボン酸である請求項1乃至7のいずれかに記載の記録媒体。
  9. 該繰り返し単位を有する分子鎖がジカルボン酸、ジオール、ジアミン、ジイソシアネート、ポリビニルアルコールから選ばれる化合物から合成される請求項1に記載の記録媒体。
  10. 該架橋した鎖同士が、該鎖中の糖部分で架橋している請求項1または9に記載の記録媒体。
  11. 該架橋した鎖同士が、該鎖中の糖以外の部分で架橋している請求項1または9に記載の記録媒体。
  12. 該繰り返し単位が、ビニル基を有する化合物由来または、糖由来のものである請求項1に記載の記録媒体。
  13. 全ての構成成分が生分解性を有する高分子物質からなる請求項1乃至12のいずれかに記載の記録媒体。
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