JP3542315B2 - コイル用遮蔽体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本願の発明は、コイルと外界の物体との電磁的結合を低減させるためのコイル用遮蔽体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
位置センサや金属センサや自動列車停止システム等では、共振回路が組み込まれていて、この共振回路の共振周波数の変化が利用されている。また、ループアンテナによって情報を送受するシステムでは、ループアンテナを含む共振回路が形成されており、位置センサ等とは異なって共振回路の共振周波数が変化しないことが要求されている。インダクタンスL、容量C、抵抗Rを有する共振回路の共振周波数及びQ値は夫々下記の式(1)(2)で表される。
共振周波数=1/{2π(LC)1/2} (1)
Q値=(L/C)1/2/R (2)
【0003】
例えば位置センサや金属センサでは、共振回路中のコイルに交流電流を流して交流磁界を発生させておき、このコイルに金属体が接近すると金属体中に渦電流が誘起されて二次的な交流磁界が発生し、この二次的な交流磁界によってコイルのインダクタンスLが変化し、このインダクタンスLの変化によって共振回路の共振周波数が変化するので、この共振周波数の変化から金属体の位置や存否を検出する。
【0004】
また、自動列車停止システムでは、信号機からの信号によって共振周波数が変化する共振回路を含む地上子が地上に設置されており、ある周波数で発振する発振回路を含む車上子が列車に設置されている。列車を停止させるためには、地上子の共振周波数を車上子の発振周波数と異ならせる様に地上子を制御し、列車の通過による車上子と地上子との電磁的結合によって車上子の発振周波数を地上子の共振周波数に周波数変換させ、この周波数変換を列車側で検知して列車を停止させる。
【0005】
従って、以上の様な位置センサや金属センサ等に組み込まれている共振回路では被検出体以外の物体によって共振周波数が変化しないことが必要最低限の条件であり、また、自動列車停止システム等に組み込まれている共振回路では共振周波数が変化しないことが必要最低限の条件であり、更に、何れの共振回路でもQ値が高いことも望まれている。
【0006】
ところで、位置センサや金属センサ等は机や機械の筐体や床等の上に設置される場合がある。そして、机や機械の筐体が鉄製である場合があり、床等の中にも鉄筋や鉄骨等の鉄材が存在している場合がある。また、自動列車停止システムでも地上子がコンクリート枕木やスラブ道床の上に設置される場合があり、これらの中にも鉄筋等の鉄材が存在している。ところが、共振回路中のコイルの近傍に鉄材等の導電性の物体が存在していると、コイルのインダクタンスLが減少して、共振回路の共振周波数が標準状態と比べて増加する。
【0007】
その理由は、コイルに電流を仮想的に流した場合から理解される。即ち、コイルに流れる電流によって発生した交流磁界が導電性の物体中に渦電流を誘起させ、この渦電流によって二次的な交流磁界が発生する。この二次的な交流磁界はコイルによる交流磁界を打ち消す様に発生する。つまり、コイルに同一量の電流を流しても、導電性の物体が近傍に存在している場合は、コイルによって発生する実質的な交流磁界が少なくなって、コイルのインダクタンスLが減少する。その結果、式(1)から明らかな様に、そのコイルを含む共振回路の共振周波数が標準状態と比べて増加する。
【0008】
また、外界の物体中に渦電流が誘起されると、表皮厚さが十分に厚い場合及び十分に薄い場合は夫々下記の式(3)及び式(4)で表される渦電流損が外界の物体中で生じる。そして、この渦電流損が共振回路の抵抗成分になって、共振回路の抵抗Rが増大する。なお、下記の式(3)(4)において、Hmは磁界の振幅、μは外界の物体の透磁率、ρは外界の物体の抵抗率、fは交流磁界の周波数、tは外界の物体の厚さである。
渦電流損=(πtμHmf)2/6ρ (3)
渦電流損={Hm 2(μρf)1/2}/4π (4)
【0009】
そして、上述の様に外界の物体中で渦電流損が生じて共振回路の抵抗Rが増大すると、式(2)から明らかな様に、共振回路のQ値が低下する。鉄は透磁率μが高いので、式(3)(4)から明らかな様に鉄材で生じる渦電流損が大きい。このため、鉄材の近傍にコイルを設置すると、そのコイルを含む共振回路の抵抗Rがかなり増大し、その結果、Q値がかなり低下する。
【0010】
つまり、位置センサ等に組み込まれている共振回路中のコイルが鉄材の近傍に設置されただけで、共振回路の共振周波数が変化すると共にQ値も低下して、これではこの共振回路が正常には動作しない。この様な不都合を回避するためには、共振回路中のコイルを遮蔽してこのコイルによる磁界が外界の物体、例えば床等の中の鉄材、にまで到達しない様にすればよい。
【0011】
図7(c)(d)は、自動列車停止システムに適用されているコイル用遮蔽体の従来例を示している(例えば、特開平10−53135号公報、特開平8−91217号公報)。このコイル用遮蔽体11は、フェライトのみから成っており、コイル12の巻線部13及びコア部14と、コイル12との電磁的結合を生じ得る物体である鉄材15との間に設置されて、コイル12と鉄材15との電磁的結合を低減させる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
図7(a)に示す様にコイル用遮蔽体11が備えられておらず鉄材15も存在していない標準状態での共振周波数及びQ値が夫々129.78kHz及び222である共振回路中のコイル12を、図7(b)に示す様に鉄材15に近接させると、共振回路の共振周波数及びQ値が夫々130.27kHz及び125になって、既述の通り共振周波数が変化すると共にQ値が低下する。
【0013】
一方、図7(c)に示した様にこの共振回路のコイル12に上述の従来例のコイル用遮蔽体11を備えると、共振周波数及びQ値は夫々120.05kHz及び231になる。また、コイル用遮蔽体11が備えられているコイル12を図7(d)に示した様に鉄材15に近接させると、共振回路の共振周波数及びQ値は夫々120.24kHz及び175になる。つまり、コイル用遮蔽体11が備えられているコイル12では、コイル用遮蔽体11が備えられていないコイル12を鉄材15に近接させた場合に比べて共振回路のQ値が標準状態に近づいており、鉄材15の存否による共振周波数の変化も0.19kHzに抑制されている。
【0014】
しかし、共振回路中のコイル12にコイル用遮蔽体11を備えるだけで共振周波数が129.78kHzから120.05kHzに変化するので、これでは共振回路が正常には動作しない。従って、本願の発明は、共振回路中のコイルに備えても共振周波数が変化しにくく、外界の物体との電磁的結合による共振周波数の変化及びQ値の低下も生じにくいコイル用遮蔽体を提供することを目的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係るコイル用遮蔽体では、コイルの軸方向においてコイルの巻線部と直接に対向する軟磁性材が具備されており、コイルから発生する磁界はこの対向部の近傍で最も強いので、軟磁性材が効果的に磁化する。そして、軟磁性材のコイルとは反対側の外界の物体側では、コイルによる磁界の方向と磁化した軟磁性材による磁界の方向とが互いに逆になって、コイルからの漏れ磁束が弱められる。
【0016】
このため、コイルと外界の物体との電磁的結合が低減され、コイルを含む共振回路の共振周波数が外界の物体によって変化しにくい。また、コイルのコア部内ではコイルによる磁界の方向と磁化した軟磁性材による磁界の方向とが同じになるので、コイルのコア部内の磁束が強められて、コイルのインダクタンスが増加する。なお、磁化した軟磁性材から十分な磁界が発生する様に、軟磁性材の比透磁率は10以上であることが好ましい。
【0017】
一方、コイルの軸方向においてコイルのコア部と直接に対向する導電材も具備されている。導電材中にはコイルの磁界によって渦電流が誘起され、しかも、導電材の面積Aが0.5S 1 以上であるので導電材中に渦電流が有効に誘起される。この渦電流による二次的な磁界はコイルによる磁界を打ち消す様に発生するので、コイルからの漏れ磁束が効果的に弱められる。渦電流が有効に誘起される様に、導電材の抵抗率は1×10-2Ω・cm以下が好ましい。また、巻線部とコア部とを含むコイル全体の軸方向への投影面積をS 2 とすると、導電材の面積Aは2S 2 以下が好ましく、これ以上になると導電材の面積の半分以上がコイルの外側になる。コイルの外側の磁界はコイルのコア部内の磁界とは逆向きであるので、面積Aを2S 2 超にすると、コイルからの漏れ磁束を弱める効果が減少する。
【0018】
このため、コイルと外界の物体との電磁的結合が低減され、コイルを含む共振回路の共振周波数が外界の物体によって変化しにくく、外界の物体中で生じる渦電流損も少ない。また、コイルのコア部内ではコイルによる磁界の方向と導電材による磁界の方向とが逆になるので、コイルのコア部内の磁束が弱められて、コイルのインダクタンスが減少する。
【0019】
つまり、コイルのインダクタンスの軟磁性材による増加と導電材による減少とを相殺させることによってコイルのインダクタンスの変化を抑制することができ、共振回路中のコイルにコイル用遮蔽体を備えても共振周波数が標準状態から変化しにくい。また、軟磁性材も導電材も外界の物体側ではコイルからの漏れ磁束を弱めるので、コイルと外界の物体との電磁的結合が低減され、コイルを含む共振回路の共振周波数が外界の物体によって変化しにくい。
【0020】
請求項2に係るコイル用遮蔽体では、軟磁性材の抵抗率が1Ω・cm以上であるので、この軟磁性材は抵抗率の高い非導電軟磁性材である。このため、この軟磁性材中には渦電流が誘起されにくく、軟磁性材中で生じる渦電流損が少なくて、コイル用遮蔽体中で生じる渦電流損が少ない。また、軟磁性材も導電材も外界の物体側ではコイルからの漏れ磁束を弱めるので、外界の物体中で生じる渦電流損も少ない。従って、コイルを含む共振回路のQ値の低下が抑制される。更に、コイルのインダクタンスの変化は、軟磁性材による増加と導電材による減少とを相殺させることによって抑制される。従って、コイルにコイル用遮蔽体を備えても、コイルを含む共振回路の共振周波数が変化しにくい。
【0021】
請求項3に係るコイル用遮蔽体では、軟磁性材の抵抗率が1Ω・cm以上であるので、この軟磁性材は抵抗率の高い非導電軟磁性材であり、軟磁性材中で生じる渦電流損が少ない。更に、導電材の比透磁率が1.0±0.1であるので、この導電材は非磁性導電材であり、式(3)(4)から明らかな様に、導電材中で生じる渦電流損も少ない。また、軟磁性材も導電材も外界の物体側ではコイルからの漏れ磁束を弱めるので、外界の物体中で生じる渦電流損も少ない。従って、コイルを含む共振回路のQ値の低下が抑制される。更に、コイルのインダクタンスの変化は、軟磁性材による増加と導電材による減少とを相殺させることによって抑制される。従って、コイルにコイル用遮蔽体を備えても、コイルを含む共振回路の共振周波数が変化しにくい。
【0022】
請求項4に係るコイル用遮蔽体では、軟磁性材の幅w1がコイルの巻線部の幅W以上であるので、軟磁性材と導電材との間から漏れるコイルの磁界が少ない。このため、外界の物体側ではコイルからの漏れ磁束が効果的に弱められて、コイルと外界の物体と電磁的結合が低減される。その結果、コイルを含む共振回路の共振周波数が外界の物体によって変化しにくく、外界の物体中で生じる渦電流損も少ない。しかし、コイルのインダクタンスは増加する。なお、図8に示されている様に、コイルによる磁界の強度はコイルの巻線部から離隔するに連れて急速に減衰する。このため、巻線部が円筒状の場合はその平均径をDとし、巻線部が円筒状以外の場合は(巻線部の内接円の直径+巻線部の外接円の直径)/2をDとして、軟磁性材が有効に磁化する様に、コイルから軟磁性材までの距離hは0.2D以下が好ましい
【0023】
して、コイルのインダクタンスの軟磁性材による増加と導電材による減少とを相殺させることによって、コイルのインダクタンスの変化が抑制される。その結果、コイルにコイル用遮蔽体を備えても、コイルを含む共振回路の共振周波数が変化しにくい。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本願の発明の一実施形態及び一実施例を、図1〜8を参照しながら説明する。図1が本実施形態のコイル用遮蔽体を示している。このコイル用遮蔽体21は、コイル12の軸方向においてコイル12の巻線部13と対向する軟磁性材22と、コイル12の軸方向においてコイル12のコア部14と対向する導電材23とを具備している。
【0025】
軟磁性材22の抵抗率は1Ω・cm以上であり、導電材23の比透磁率は1.0±0.1である。また、コイル12の軸と垂直な面内における巻線部13の幅をWとし、軸方向へのコア部14の投影面積をS1として、軟磁性材22の幅w1はW以上であり、導電材23の面積Aは0.5S1以上である。軟磁性材22の幅w1が巻線部13の幅W以上であるので、軟磁性材22と導電材23との間から漏れる磁界24が少ない。
【0026】
コイル12の磁界24によって、図2に示す様に、軟磁性材22が磁化して磁界25が発生する。鉄材15側では、磁界24の方向と磁界25の方向とが互いに逆になって、コイル12からの漏れ磁束が弱められる。このため、コイル12と鉄材15との電磁的結合が低減され、コイル12を含む共振回路の共振周波数が鉄材15の存否による影響を受けにくい。また、仮に鉄材15が存在していても、この鉄材15とコイル12との電磁的結合が弱いので、鉄材15中で生じる渦電流損が少ない。
【0027】
また、軟磁性材22の抵抗率が1Ω・cm以上と高いので、軟磁性材22中に渦電流が誘起されにくく、コイル用遮蔽体21中で生じる渦電流損が少ない。しかし、コア部14内では磁界24の方向と磁界25の方向とが同じになるので、コア部14内の磁束が強められて、コイル12のインダクタンスLが増加する。一方、導電材23の面積Aが0.5S1以上であるので、導電材23中には磁界24によって渦電流が有効に誘起される。
【0028】
この渦電流による二次的な磁界26は磁界24を打ち消す様に発生するので、コイル12からの漏れ磁束が弱められて、コイル12と鉄材15との電磁的結合が低減される。このため、コイル12を含む共振回路の共振周波数が鉄材15の存否による影響を受けにくい。また、仮に鉄材15が存在していても、この鉄材15とコイル12との電磁的結合が弱いので、この鉄材15中で生じる渦電流損が少ない。
【0029】
また、導電材23の比透磁率が1.0±0.1であるので、式(3)(4)から明らかな様に、導電材23中に渦電流が誘起されても、その渦電流損は少ない。また、上述の様に磁界26は磁界24を打ち消す様に発生するので、コア部14内の磁束が弱められて、コイル12のインダクタンスLが減少する。
【0030】
以上の様に、軟磁性材22及び導電材23によってコイル12と鉄材15との電磁的結合が低減されるので、コイル12を含む共振回路の共振周波数が鉄材15の存否によって影響を受けにくい。更に、鉄材15中で生じる渦電流損が少なく、また、軟磁性材22中及び導電材23中の何れで生じる渦電流損も少ないので、これらを具備するコイル用遮蔽体21中で生じる渦電流損も少ない。この結果、コイル12を含む共振回路の抵抗Rの増大が抑制されており、既述の式(2)から明らかな様に共振回路のQ値の低下が抑制されている。
【0031】
一方、軟磁性材22から発生した磁界25は、コイル12のインダクタンスLを増加させるので、既述の式(1)から明らかな様に、コイル12を含む共振回路の共振周波数を減少させる。また、導電材23における渦電流による二次的な磁界26は、コイル12のインダクタンスLを減少させるので、既述の式(1)から明らかな様に、コイル12を含む共振回路の共振周波数を増加させる。
【0032】
図4は、導電材23の面積Aと共振回路の共振周波数との関係を示しており、コイル12を含んでいるがコイル用遮蔽体21は備えられておらず鉄材15も存在していない標準状態での共振回路の共振周波数も示している。面積A=0での標準状態の共振周波数に対する共振周波数の低下分は、軟磁性材22によるコイル12のインダクタンスLの増加分に対応している。
【0033】
図4から明らかな様に、面積Aが0から大きくなるに連れて、軟磁性材22によるコイル12のインダクタンスLの増加分が導電材23によるコイル12のインダクタンスLの減少分で相殺されていって、共振周波数が増加していく。このため、0.5S1以上という既述の範囲内において、共振周波数が標準状態の共振周波数に等しくなる面積Aを採用すれば、共振回路の共振周波数の変化が抑制される。
【0034】
【実施例】
本実施例では、巻線部13の幅W=30mm、平均径D=250mmのコイル12を含む共振回路を用意した。図7(a)に示した様にコイル用遮蔽体21が備えられておらず鉄材15も存在していない標準状態でのこの共振回路の共振周波数及びQ値は夫々129.78kHz及び222であった。しかし、図7(b)に示した様にコイル12から90mm下方に鉄材15としての形鋼を配置すると、この共振回路の共振周波数及びQ値が夫々130.27kHz及び125になって、共振周波数が0.49kHz変化すると共にQ値が97低下した。
【0035】
また、本実施例では、抵抗率が1×104Ω・cmで厚さが3mmであるNi−Znフェライト製の軟磁性材22と抵抗率が2.83×10-6Ω・cmで厚さが1mmであるAl製の導電材23とを具備するコイル用遮蔽体21を用意し、このコイル用遮蔽体21をコイル12に備えた。巻線部13と軟磁性材22との間の距離hは、0.2D以下つまりこの場合は50mm以下が好ましいので、h=10mmとした。
【0036】
そして、図5に示す様に、コイル用遮蔽体21がコイル12に備えられている共振回路で、コイル12から90mm下方に鉄材15としての形鋼が配置されている場合について、導電材23の面積Aと共振周波数及びQ値との関係を実験し、図6の結果を得た。0.5S1〜2S2が190〜1231cm2であるので、図6から、この範囲内で共振周波数が標準状態の共振周波数に略等しくなる導電材23の面積Aとして314cm2(直径200mm)を選択した。
【0037】
コイル12にコイル用遮蔽体21が備えられており鉄材15が存在していない状態では、この共振回路の共振周波数は129.84kHzである。従って、コイル12にコイル用遮蔽体21を備えることによる共振周波数の標準状態(129.78kHz)からの変化は0.06kHzであり、コイル用遮蔽体21を備えても共振周波数は殆ど変化しない。
【0038】
また、コイル12にコイル用遮蔽体21が備えられており鉄材15が存在している状態では、この共振回路の共振周波数及びQ値は夫々129.94kHz及び167である。コイル12にコイル用遮蔽体21が備えられた状態での鉄材15の存否による共振周波数の変化は0.10kHzであり、コイル12にコイル用遮蔽体21が備えられていない状態での鉄材15の存否による共振周波数の変化0.49kHzに比べて、共振周波数の変化が少ない。
【0039】
また、コイル12にコイル用遮蔽体21が備えられていない場合には鉄材15の存在によってQ値が97低下していたが、コイル12にコイル用遮蔽体21が備えられている場合には鉄材15の存在によるQ値の低下は55まで抑えられる。図7(c)(d)に示した既述の従来例と比較すると、コイル12にコイル用遮蔽体21を備えても、共振周波数が標準状態から変化しにくく、且つ、鉄材15の存否による共振周波数の変化も、従来例では0.19kHzであるに対して、本実施例では0.10kHzと小さい。
【0040】
また、本実施例のコイル用遮蔽体21では、Ni−Znフェライト製の軟磁性材22は環帯状であり、従来例のコイル用遮蔽体11に比べて中央部の開口分だけフェライトの量が少ない。AlはNi−Znフェライトに比べて相当に安価であるので、本実施例のコイル用遮蔽体21は従来例のコイル用遮蔽体11に比べて安価である。
【0041】
なお、以上の実施例のコイル用遮蔽体21には、Ni−Znフェライト製の軟磁性材22が用いられているが、Ni−Znフェライト以外の酸化物軟磁性体や酸化物軟磁性体以外の軟磁性材22が用いられてもよい。また、共振周波数を鉄材15の存否によって変化させないという目的のためだけであれば、軟磁性材22が非導電性である必要はなく、導電材23も非磁性である必要はない。
【0042】
【発明の効果】
本願の発明によるコイル用遮蔽体は、軟磁性材と導電材とで構成されている。このため、コイルのインダクタンスの軟磁性材による増加と導電材による減少とを相殺させることによってコイルのインダクタンスの変化を抑制することができ、共振回路中のコイルにコイル用遮蔽体を備えても共振周波数が標準状態から変化しにくい。
【0043】
また、軟磁性材も導電材もコイルから外界の物体側への漏れ磁束を弱めるので、コイルと外界の物体との電磁的結合が低減され、外界の物体中で生じる渦電流損も少ない。従って、共振回路中のコイルにコイル用遮蔽体を備えれば、外界の物体によって共振周波数が変化しにくくQ値も低下しにくい。更に、軟磁性材を非導電性にすると共に導電材を非磁性にすれば、コイル用遮蔽体中で生じる渦電流損も少なく、共振回路中のコイルにコイル用遮蔽体を備えてもQ値が低下しにくい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願の発明の一実施形態がコイルに備えられている状態の側断面図である。
【図2】本願の発明の一実施形態における軟磁性材による磁界とコイルによる磁界との関係を示す側断面図である。
【図3】本願の発明の一実施形態における導電材による磁界とコイルによる磁界との関係を示す側断面図である。
【図4】本願の発明の一実施形態における導電材の面積Aと共振回路の共振周波数との関係を示すグラフである。
【図5】本願の発明の一実施例がコイルに備えられており且つコイルの近傍に鉄材が存在している状態の側断面図である。
【図6】図5に示した本願の発明の一実施例における導電材の面積Aと共振回路の共振周波数及びQ値との関係を示すグラフである。
【図7】(a)はコイルの側断面図、(b)はコイルの近傍に鉄材が存在している状態の側断面図、(c)はコイルに従来例のコイル用遮蔽体が備えられている状態の側断面図、(d)は従来例のコイル用遮蔽体がコイルと鉄材との間に備えられている状態の側断面図である。
【図8】コイルの巻線部からの距離と磁界の強度との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
12…コイル、13…巻線部、14…コア部、21…コイル用遮蔽体、22…軟磁性材、23…導電材、24〜26…磁界

Claims (4)

  1. コイルの軸方向において前記コイルの巻線部と直接に対向する軟磁性材と、
    前記軸方向において前記コイルのコア部と直接に対向する導電材と
    を具備し、
    前記軸方向への前記コア部の投影面積をS 1 として、前記軸と垂直な面内における前記導電材の面積Aが0.5S 1 以上であるコイル用遮蔽体。
  2. 前記軟磁性材の抵抗率が1Ω・cm以上である請求項1記載のコイル用遮蔽体。
  3. 前記導電材の比透磁率が1.0±0.1である請求項2記載のコイル用遮蔽体。
  4. 記面内における前記巻線部の幅をWとして、前記面内における前記軟磁性材の幅w1がW以上である請求項1〜3の何れか1項記載のコイル用遮蔽体。
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