JP3541104B2 - ジヒドロキシル基含有ジアミン化合物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真用の有機光導電性材料として、またヒドロキシル基から誘導される種々の材料の製造中間体として有用なジヒドロキシル基含有ジアミン化合物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真方式において使用される感光体の有機光導電性材料としては、例えば、ポリ−N−ビニルカルバゾール、トリフェニルアミン化合物(米国特許第3,180,730号)、ベンジジン化合物(米国特許第3,265,496号、特公昭39−11546号公報、特開昭53−27033号公報)等のような数多くの提案がなされている。
【0003】
ここに言う「電子写真方式」とは、一般に光導電性の感光体を、先ず暗所で、例えばコロナ放電などにより帯電せしめ、次いで画像状露光を行って露光部の電荷を選択的に放電させることにより静電潜像を得、更にこの潜像部をトナーなどを用いた現像手段で可視化して画像を形成するようにした画像形成法の一つである。このような電子写真方式における感光体に要求される基本的な特性としては、1)暗所において適当な電位に帯電されること、2)暗所において電荷の放電が少ないこと、3)光照射により速やかに電荷を放電すること、などがあげられる。
【0004】
また、近年において、感光体の更なる機械的強度の向上を目的として高分子光導電性材料(米国特許第4,801,517号、米国特許第4,806,443号、米国特許第4,806,444号、特開平3−221522号、特開平4−11627号)が提案されている。
【0005】
しかしながら、従来の低分子あるいは高分子光導電性材料は、前記の要求を必ずしも満足していないのが実状である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、それ自体で基本的な電子写真特性を全て満足する光導電性材料として有用であり、また、ヒドロキシル基から誘導される種々の材料、例えば、電子写真用ポリカーボネート系樹脂光導電性材料等の製造中間体としても有用である新規ジヒドロキシル基含有ジアミン化合物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、下記一般式(1)、(2)及び下記一般式(3)で表されるジヒドロキシル基含有ジアミン化合物が提供される。
【0008】
【化4】
【0009】
〔式中、R1、R2、R3、R4、R5は各々独立に、(1) 無置換のアルキル基、 (2) フッ素原子、シアノ基、フェニル基、又はハロゲン原子もしくはC 1 〜C 5 のアルキル基によって置換されたフェニル基を置換基として有するアルキル基、 (3) ハロゲン原子、 (4) 無置換のアリール基 (5) C 1 〜C 5 のアルキル基、C 1 〜C 5 のアルコキシ基またはハロゲン原子を置換基として有するアリール基を表す。X及びYは水素原子またはヒドロキシル基を表し、同時に水素原子あるいは同時にヒドロキシル基ではない。l、m、n、o、pは各々独立に0〜4の整数を表す。]
【0010】
【化5】
【0011】
〔式中、R1、R2、R3、R4、R5は各々独立に、(1) 無置換のアルキル基、 (2) フッ素原子、シアノ基、フェニル基、又はハロゲン原子もしくはC 1 〜C 5 のアルキル基によって置換されたフェニル基を置換基として有するアルキル基、 (3) ハロゲン原子、 (4) 無置換のアリール基 (5) C 1 〜C 5 のアルキル基、C 1 〜C 5 のアルコキシ基またはハロゲン原子を置換基として有するアリール基を表す。l、m、n、o、pは各々独立に0〜4の整数を表す。]
【0012】
【化6】
【0013】
〔式中、R1、R2、R3、R4、R5は各々独立に、(1) 無置換のアルキル基、 (2) フッ素原子、シアノ基、フェニル基、又はハロゲン原子もしくはC 1 〜C 5 のアルキル基によって置換されたフェニル基を置換基として有するアルキル基、 (3) ハロゲン原子、 (4) 無置換のアリール基 (5) C 1 〜C 5 のアルキル基、C 1 〜C 5 のアルコキシ基またはハロゲン原子を置換基として有するアリール基を表す。l、m、n、o、pは各々独立に0〜4の整数を表す。]
以下、本発明のジヒドロキシル基含有ジアミン化合物について更に詳細に説明する。
【0014】
前記一般式(1)〜(3)で表されるジヒドロキシル基含有ジアミン化合物において、R1〜R5が置換もしくは無置換のアルキル基である場合の具体例としては以下のものを挙げることができる。
【0015】
C1〜C5の直鎖又は分岐鎖のアルキル基であり、これらのアルキル基は更にフッ素原子、シアノ基、フェニル基又はハロゲン原子若しくはC1〜C5のアルキル基で置換されたフェニル基を含有してもよい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−ブチル基、i−ブチル基、トリフルオロメチル基、2−シアノエチル基、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基等が挙げられる。
【0016】
また、前記一般式(1)〜(3)で表されるジヒドロキシル基含有ジアミン化合物において、R1〜R5が置換もしくは無置換のアリール基である場合、アリール基部分の具体例としては以下のものを挙げることができる。
【0017】
フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ピレニル基、フルオレニル基、9,9−ジメチル−2−フルオレニル基、アズレニル基、アントリル基、トリフェニレニル基、クリセニル基等が挙げられ、これらは低級アルキル基、低級アルコキシ基及びハロゲン原子を置換基として有していてもよい。また、下記一般式(4)で表される基を挙げることができる。
【0018】
【化7】
【0019】
[式中、Yは−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−CO−及び以下の2価基を表す。
【0020】
【化8】
【0021】
【化9】
【0022】
(ここで、R6は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアリール基、置換アミノ基、ニトロ基、シアノ基を表し、R7は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基を表す。q、rは1〜12の整数を表す。)]
前記一般式(4)中のR6、及び該式中の2価の基Yの具体例におけるR7が置換もしくは無置換のアルキル基及び置換もしくは無置換のアリール基の具体例は前記R1〜R5の定義と同様である。また、置換アミノ基の具体例としては、下記一般式で表される基が挙げられる。
【0023】
【化10】
【0024】
(R8、R9は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基を表す。)
ここで、R8、R9において、置換もしくは無置換のアルキル基及び置換もしくは無置換のアリール基の具体例は前記R1〜R5の定義と同様である。また、R8、R9は共同で環を形成しても良い。また、アリール基上の炭素原子と共同で環を形成しても良い。このような具体例にはピペリジノ基、モルホリノ基、ユロリジル基等が挙げられる。
【0025】
また、R1〜R6がハロゲン原子の場合及び、R1〜R6がハロゲン原子を有する基である場合のハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素が挙げられる。
【0026】
本発明のジヒドロキシル基含有ジアミン化合物は、電子写真感光体に於ける光導電性素材として極めて有用であり、染料やルイス酸などの増感剤によって光学的あるいは化学的に増感される。更にこのものは、有機顔料あるいは無機顔料を電荷発生物質とする、いわゆる機能分離型に於ける電荷輸送物質としてとりわけ有用である。
【0027】
上記増感剤としては、例えば、メチルバイオレット、クリスタルバイオレット等のトリアリールメタン染料、ローズベンガル、エリスロシン、ローダミン等のキサンテン染料、メチレンブルー等のチアジン染料、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4−ジニトロ−9−フルオレノン等が挙げられる。
【0028】
また、有機顔料としてはシーアイピグメントブルー25(CI No.21180)、シーアイピグメントレッド41(CI No.21200)、シーアイピグメントレッド3(CI No.45210)等のアゾ顔料、シーアイピグメントブルー16(CI No.74100)等のフタロシアニン系顔料、シーアイバットブラウン5(CI No.73410)、シーアイバットダイ(CI No.73030)等のインジゴ系顔料、アルゴスカーレットB、インダンスレンスカーレットR等のベリレン系顔料が挙げられる。また、セレン、セレン−テルル、硫化カドミウム、α−シリコン等の無機材料も使用できる。
【0029】
また、本発明のジヒドロキシル基含有ジアミン化合物は、ヒドロキシル基から誘導される種々の材料の製造、例えばポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の製造中間体としても有用であり、本発明のジヒドロキシル基含有ジアミン化合物を原料として製造されるポリカーボネート樹脂等の有機高分子化合物は、該ジヒドロキシル基含有ジアミン化合物と同様有機光導電性材料として有用である。
【0030】
【発明の実施の形態】
本発明の前記一般式(1)で表されるジヒドロキシル基含有ジアミン化合物は、新規化合物である。
【0031】
この本発明のジヒドロキシル基含有ジアミン化合物は、一般に、相当する芳香族アミン化合物あるいは芳香族ジアミン化合物を出発物質として、N−アリール化反応の組み合せにより中間体のジアルコキシ体を合成し、その後アルコキシ基のエーテル結合開裂反応を行なう事により合成することができる。
【0032】
前記一般式(1)で表されるジヒドロキシル基含有ジアミン化合物の製造法に関して、前記一般式(2)及び前記一般式(3)で表されるジヒドロキシル基含有ジアミン化合物について詳細に説明する。
【0033】
例えば、下記一般式(5)
【0034】
【化11】
【0035】
(式中、R3は置換もしくは無置換のアルキル基、ハロゲン原子または置換もしくは無置換のアリール基を表し、nは0〜4の整数を表す。)
で表されるm−フェニレンジアミン化合物のN,N′−ジアセチル体を下記一般式(6)
【0036】
【化12】
【0037】
(式中、R1は置換もしくは無置換のアルキル基、ハロゲン原子または置換もしくは無置換のアリール基を表し、R10は低級アルキル基を表し、Zは臭素原子またはヨウ素原子を表し、lは0〜4の整数を表す。)で表されるハロゲン化合物とのN,N’−二置換反応を行ない、得られる縮合生成物を加水分解して、更に下記一般式(7)
【0038】
【化13】
【0039】
(式中、R2は置換もしくは無置換のアルキル基、ハロゲン原子または置換もしくは無置換のアリール基を表し、Zは臭素原子またはヨウ素原子を表し、mは0〜4の整数を表す。)で表されるハロゲン化合物とのN,N′−二置換反応を行ない、下記一般式(8)で示されるジアルコキシ化合物を得る。
【0040】
【化14】
【0041】
(式中、R1、R2、R3、R10、l、m、nは前記と同義。)
この一般式(8)で表されるジアルコキシ化合物のエーテル結合開裂反応を行なう事により、前記一般式(2)で表される本発明のジヒドロキシル基含有ジアミン化合物が得られる。
【0042】
あるいは、例えば下記一般式(9)
【0043】
【化15】
【0044】
(式中、R1、R2は置換もしくは無置換のアルキル基、ハロゲン原子または置換もしくは無置換のアリール基を表し、R10は低級アルキル基を表し、l、mは0〜4の整数を表す。)で表されるアミン化合物を下記一般式(10)
【0045】
【化16】
【0046】
(式中、R3は置換もしくは無置換のアルキル基、ハロゲン原子または置換もしくは無置換のアリール基を表し、nは0〜4の整数を表す。)
で表されるジヨードベンゼン化合物との縮合反応を行い、得られる縮合生成物のモノヨードベンゼン化合物を更に下記一般式(11)
【0047】
【化17】
【0048】
(式中、R4、R5は置換もしくは無置換のアルキル基、ハロゲン原子または置換もしくは無置換のアリール基を表し、o、pは0〜4の整数を表す。)
で表されるアミン化合物と縮合反応を行い、下記一般式(12)で表されるジアルコキシ化合物を得る。
【0049】
【化18】
【0050】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R10、l、m、n、o、pは前記と同義)この一般式(12)で表されるジアルコキシ化合物のエーテル結合開裂反応を行なう事により、前記一般式(3)で表される本発明のジヒドロキシル基含有ジアミン化合物が得られる。
【0051】
前記一般式(5)で表されるm−フェニレンジアミン化合物のN,N′−ジアセチル体と、前記一般式(6)で表されるハロゲン化合物とのN,N′−二置換反応や、前記一般式(9)で表されるアミン化合物と前記一般式(10)で表されるジヨードベンゼン化合物との縮合反応はウルマン反応として知られる反応である。
【0052】
ウルマン反応に用いる溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、ニトロベンゼン、ジメチルスルホキシド、ジクロロベンゼン等が用いられる。脱酸剤としての塩基性化合物には炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水素化ナトリウム等が用いられる。反応温度は通常、160〜250℃であり、溶媒の存在下あるいは無溶媒下で反応させる。更に反応性の悪い場合にはオートクレーブ等を用いてより高温反応を行なっても良い。又、通常、銅粉あるいは酸化銅やハロゲン化銅のような触媒を加えて反応を行なった場合の方が有利な場合もある。
【0053】
前記一般式(8)あるいは前記一般式(12)で表されるジアルコキシ化合物のアルコキシ基のエーテル結合開裂反応は、ナトリウムチオエトキシドあるいはトリメチルシリルイオダイド等を用いて行なうことができる。ナトリウムチオエトキシドを用いる場合、溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミドやヘキサメチルリン酸トリアミドが好適に用いられる。反応温度は室温から180℃、好ましくは10℃から150℃である。反応時間はアルコキシ基の反応性により20分程度で反応が完結する場合から10時間以上要する場合まである。尚、ナトリウムチオエトキシドの代りにナトリウムチオメトキシドを用いても同様にエーテル結合開裂反応を行うことができる。
【0054】
一方、トリメチルシリルイオダイドを用いる場合、溶媒としては、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、スルホラン、アセトニトリル等を挙げることができる。反応温度は室温から100℃である。尚、トリメチルシリルイオダイドの代りにトリメチルシリルクロライドとヨウ化ナトリウムを用いても同様にエーテル結合開裂反応を行うことができる。
【0055】
更にまた、エーテル結合開裂反応はヨウ化水素酸のような他の試剤を用いても行なう事ができる。
【0056】
【実施例】
以下に実施例を示し、本発明を更に詳細に説明する。しかしながら、本発明はこれら本実施例に限定されるものではない。
【0057】
尚、実施例中、部は重量基準である。
【0058】
実施例1
N,N′−ジアセチル−m−フェニレンジアミン10.0g(0.05mol)に3−ヨードアニソール29.3g(0.125mol)と無水炭酸カリウム17.3g(0.125mol)、ヨウ化第1銅1.0gを加え、170〜180℃で10時間撹拌した。反応終了後、室温まで冷却し、アセトン500mlを加えて反応物を溶解し、不溶解分を濾別した。濾液は濃縮、乾固して得られた油状物をカラムクロマト精製(担体;シリカゲル、溶出液:トルエン/酢酸エチル=1/1(v/v))した。
【0059】
得られたN,N′−ジアセチル−N,N′−ビス(3−メトキシフェニル)−m−フェニレンジアミンをイソアミルアルコール150mlと水酸化カリウム11.3g(0.20mol)、水15mlに加え加熱した。水を共沸で除去したのち125〜130℃で3時間撹拌した。アセチル体の消失を確認したのち、イソアミルアルコールを水蒸気蒸留により留去し、トルエン300mlを加えて抽出し、300mlの水で2回洗浄した。トルエン層を濃縮、乾固して、目的物として下記構造式(13)で表されるN,N′−ビス(3−メトキシフェニル)−m−フェニレンジアミンの油状物13.6gを得た。収率は84.9%であった。
【0060】
【化19】
【0061】
次に、このN,N′−ビス(3−メトキシフェニル)−m−フェニレンジアミン13.1g(0.041mol)にヨードベンゼン20.9g(0.102mol)と無水炭酸カリウム14.1g(0.102mol)、塩化第一銅1.2g(0.012mol)を加え、180〜195℃で10時間撹拌した。反応終了後放冷してトルエン300mlを加えて反応物を溶解した。不溶解分を濾別して、濾液を濃縮した。得られた油状物をカラムクロマト精製(担体;シリカゲル、溶出液:トルエン/ヘキサン=2/1(v/v))して、目的物として下記構造式(14)で表されるN,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メトキシフェニル)−m−フェニレンジアミン16.9gを得た。収率は87.6%であった。
【0062】
【化20】
【0063】
更に、このN,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メトキシフェニル)−m−フェニレンジアミン14.4g(0.0305mol)とヨウ化ナトリウム18.3g(0.122mol)をスルホラン80mlに懸濁させて、120℃に加熱して溶解した。55℃まで冷却し、55〜60℃でトリメチルシリルクロライド13.3g(0.122mol)を15分で滴下して75〜80℃で8時間撹拌した。ヨウ化ナトリウム9.2g(0.061mol)とトリメチルシリルクロライド6.6g(0.061mol)を追加して、75℃で更に2時間撹拌して反応を終了させた。反応液に水60mlを加え、2時間撹拌し、酢酸エチル200mlで抽出した。酢酸エチル層を水、亜硫酸水素ナトリウム水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。酢酸エチルを留去し、得られた粗生成物をカラムクロマト精製(担体;シリカゲル、溶出液:トルエン/酢酸エチル=10/1(v/v))して、目的物の下記構造式(15)で表されるN,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−ヒドロキシフェニル)−m−フェニレンジアミン10.3gを得た。収率は76.0%であった。
【0064】
【化21】
【0065】
該目的物N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−ヒドロキシフェニル)−m−フェニレンジアミンの融点は148.2〜149.0℃であった。
【0066】
元素分析 C(%) H(%) N(%)
実測値 81.41 5.64 6.32
計算値 81.06 5.44 6.30
また、赤外吸収スペクトル(KBr錠剤法)を図1に示した。
【0067】
実施例2
実施例1で合成したN,N′−ビス(3−メトキシフェニル)−m−フェニレンジアミン11.0g(0.034mol)に4−ヨードトルエン18.7g(0.086mol)、無水炭酸カリウム11.9g(0.086mol)と塩化第1銅1.02g(0.010mol)を加え、180〜195℃で7時間撹拌した。反応終了後、放冷して、トルエン300mlを加えて反応物を溶解した。不溶解分を濾別して、濾液を濃縮し、得られた粗生成物をカラムクロマト精製(担体;シリカゲル、溶出液:トルエン/ヘキサン=10/1(v/v))した。目的物として下記構造式(16)で表されるN,N′−ビス(4−トリル)−N,N′−ビス(3−メトキシフェニル)−m−フェニレンジアミン14.4gを得た。収率は83.8%であった。
【0068】
【化22】
【0069】
次に、このN,N′−ビス(4−トリル)−N,N′−ビス(3−メトキシフェニル)−m−フェニレンジアミン12.5g(0.025mol)とヨウ化ナトリウム21.4g(0.15mol)をスルホラン80mlに懸濁させ、120℃に加熱して溶解した。50℃まで冷却し、50〜55℃でトリメチルシリルクロライド16.3g(0.15mol)を20分で滴下し、65〜70℃で9時間撹拌した。反応終了後、反応液に水55mlを加え2時間撹拌し酢酸エチル200mlで抽出した。酢酸エチル層を水、亜硫酸水素ナトリウム水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。酢酸エチルを留去し、得られた粗生成物をカラムクロマト精製(担体;シリカゲル、溶出液:トルエン/酢酸エチル=14/1(v/v))して、目的物の下記構造式(17)で表されるN,N′−ビス(3−ヒドロキシフェニル)−N,N′−ビス(4−トリル)−m−フェニレンジアミン9.7gを得た。収率は82.2%であった。
【0070】
【化23】
【0071】
該目的物N,N′−ビス(3−ヒドロキシフェニル)−N,N′−ビス(4−トリル)−m−フェニレンジアミンの融点は154.2〜156.2℃であった。
【0072】
元素分析 C(%) H(%) N(%)
実測値 81.63 6.19 5.56
計算値 81.33 5.97 5.93
また、赤外吸収スペクトル(KBr錠剤法)を図2に示した。
【0073】
実施例3
3,3′−ジメトキシジフェニルアミン33.1g(0.145mol)に、1,3−ジヨードベンゼン240g(0.727mol)と無水炭酸カリウム24.0g(0.174mol)、ヨウ化第1銅1.0gを加え、190〜200℃で22時間撹拌した。反応終了後、放冷してアセトン500mlを加え反応物を溶解した。不溶解分を濾別して、濾液を濃縮した。得られた溶液をカラムクロマト精製(担体;シリカゲル、溶出液:トルエン/ヘキサン=2/8(v/v)→トルエン)した。目的物として下記構造式(18)で表される3,3′−ジメトキシ−3″−ヨードトリフェニルアミン41.7gを得た。収率は67.0%であった。
【0074】
【化24】
【0075】
次に、この3,3′−ジメトキシ−3″−ヨードトリフェニルアミン38.8g(0.09mol)に4,4′−ジメチルジフェニルアミン26.6g(0.135mol)と無水炭酸カリウム15.5g(0.112mol)、銅粉1.4gを加え、200〜210℃で10時間撹拌した。反応終了後、放冷してトルエン300mlを加えて反応物を溶解した。不溶解分を濾別して、濾液を濃縮した。得られた粗生成物をカラムクロマト精製(担体;シリカゲル、溶出液:トルエン/ヘキサン=2/5(v/v))して、目的物として下記構造式(19)で表されるN,N−ビス(3−メトキシフェニル)−N′,N′−ビス(4−トリル)−m−フェニレンジアミン42.8gを得た。収率は95.0%であった。
【0076】
【化25】
【0077】
更に、このN,N−ビス(3−メトキシフェニル)−N′,N′−ビス(4−トリル)−m−フェニレンジアミン40.1g(0.08mol)とヨウ化ナトリウム47.7g(0.32mol)をアセトニトリル500mlに加え、80℃に加熱し溶解した。トリメチルシリルクロライド34.8g(0.32mol)を30分で滴下して、9時間還流した。反応終了後、反応液に水500mlを加え2時間撹拌し、トルエン500mlで抽出した。トルエン層を3回水洗したのち、無水硫酸マグネシウムで乾燥してトルエンを留去した。得られた粗生成物はトルエンに溶解して50℃で活性炭処理を行なったのち、濃縮して、ヘキサンを加えて晶析した。結晶は濾過、乾燥して、目的物の下記構造式(20)で表されるN,N−ビス(3−ヒドロキシフェニル)−N′,N′−ビス(4−トリル)−m−フェニレンジアミン24.6gを得た。収率は65.0%であった。
【0078】
【化26】
【0079】
該目的物N,N−ビス(3−ヒドロキシフェニル)−N′,N′−ビス(4−トリル)−m−フェニレンジアミンの融点は177.2〜178.2℃であった。
【0080】
元素分析 C(%) H(%) N(%)
実測値 81.17 6.05 5.86
計算値 81.33 5.97 5.93
また、赤外吸収スペクトル(KBr錠剤法)を図3に示した。
【0081】
応用例
下記構造の第3級アミノ基を有するジオール化合物を出発物質として用いた。
【0082】
【化27】
【0083】
乾燥THF50mlにN,N−ビス(3−ヒドロキシフェニル)−N′,N′−ビス(4−トリル)−m−フェニレンジアミン3.13g(0.0065mol)、トリエチルアミン1.71g(0.017mol)を溶解した。この溶液にジエチレングリコールビスクロロフォーメート1.67g(0.0072mol)を乾燥THF10mlに溶解したものを水冷下30分かけて滴下した。滴下終了後、粘稠混合物をさらに15分間撹拌し、0.13gのフェノールを3mlの乾燥THFに溶かしたものを加えた。5分間撹拌したのち、得られた粘稠混合物をメタノール中に沈殿させ粗生成物を濾取した。このものにジクロロメタン溶解−メタノール沈殿の処理を2回施し、沈殿物を濾取、乾燥して下記構造式のポリカーボネート樹脂を得た。得られた目的物は3.30gで収率は80.5%であった。
【0084】
【化28】
【0085】
このものの分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィにより測定したところポリスチレン換算の分子量は次のようであった。
【0086】
数平均分子量 25400
重量平均分子量 40200
元素分析の結果を下記に示す。
【0087】
元素分析 C(%) H(%) N(%)
実測値 72.12 5.71 4.54
計算値 72.36 5.43 4.44
ガラス転位点は82.6℃であった。
【0088】
【発明の効果】
本発明に係わるジヒドロキシル基含有ジアミン化合物は、前記したように光導電性素材として有効に機能し、また染料やルイス酸などの増感剤によって光学的あるいは化学的に増感される。また、電子写真感光体の感光層の電荷輸送物質等として好適に使用され、特に電荷発生層と電荷輸送層を2層に区分した、いわゆる機能分離型感光層における電荷輸送物質として有用なものである。
【0089】
また、ヒドロキシル基から誘導される種々の材料の製造、例えばポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の製造中間体としても有用であり、本発明のジヒドロキシル基含有ジアミン化合物を原料モノマーとして得られたポリカーボネート樹脂等の重合体は、それ自体も光導電性素材として有効に機能する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の化合物の赤外吸収スペクトル。
【図2】本発明の実施例2の化合物の赤外吸収スペクトル。
【図3】本発明の実施例3の化合物の赤外吸収スペクトル。
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- 下記一般式(I)で表わされるジヒドロキシル基含有ジアミン化合物。
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