JP3540916B2 - 3次元x線ct装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、3次元X線CT装置に関し、特に、被検体の胸部等の大視野における立体感のあるX線画像あるいはCT画像、すなわち、3次元的X線CT像の再構成に適用して有効な技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、被検体の3次元的X線CT像を得る方法としては、X線CT装置によって得られた2次元断層像を画像処理によってつなぎ合わせる方法が一般的であった。しかしながら、このX線CT装置を用いた方法では、撮影時間が長くなるという問題があった。
【0003】
撮影時間短縮のためには、X線検出器として2次元X線検出器を、X線源としてX線を円錐状もしくは角錐状に照射するX線源を用いて、2次元X線検出器が検出した被検体の2次元透過像である2次元X線像を得て、被検体の3次元的X線CT像の再構成を行うコーンビームCT装置が有利であることが知られている。
【0004】
たとえば、医用電子と生体工学、第33巻特別号(1995年)109頁(以下、「文献1」と記す)には、2次元X線検出器として、大型蛍光板とテレビカメラを用いた大視野コーンビームCT装置が記載されている。
【0005】
また、2次元X線検出器の別の例として、TFT (Thin Film Transistor) 素子を用いる方法が「Large Area, Flat-Panel, Amorphous Silicon Imagers; L.E.Antonuk, et al. SPIE, Vol. 2432, Physics of Medical Imaging, pp.216-227」(以下、「文献2」と記す)に記載されている。
【0006】
さらには、メディカルイメージングテクノロジー誌、第13巻、第4号(1995年)559〜562頁(以下、「文献3」と記す)には、2次元X線検出器としてX線イメージインテンシファイアとテレビカメラとを用いたコーンビームCT装置が記載されている。この文献3に記載のコーンビームCT装置では、X線源の回転軌道面と平行な方向に被検体を移動しながら撮影を行うことにより、被検体の撮影視野をX線源の回転面方向に拡大する手法が記載されている。
【0007】
以上に示す2次元X線検出器を用いたコーンビームCT装置における3次元的X線CT像の再構成の代表的なアルゴリズムとしては、「Practical Cone-Beam Algorithm; L.A.Feldkamp, et al. ; J.Optical Society of America, A/Vol. 1(6), (1984), pp.612-619」(以下、「文献5」と記す)に記載のフェルドカンプの方法がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、前記従来技術を検討した結果、以下の問題点を見いだした。
【0009】
従来のコーンビームCT装置では、計測視野は2次元X線検出器の視野サイズにより制限されていた。したがって、文献1に記載の大視野コーンビームCT装置では、大型蛍光板を用いて大視野の2次元X線検出器を容易に得ることができる。しかしながら、高感度かつ高解像度の蛍光板を得ることが技術的に困難であることから、高画質の3次元的X線CT像を得ることは困難であった。
【0010】
また、文献2に記載の2次元X線検出器では、高感度、高解像度かつ薄型軽量の2次元X線検出器を得ることはできるが、検出面の大きさは最大のものでも260mm四方であり、たとえば、肺野部等を撮影することが可能な、より大きなサイズの検出器を製作することは技術的に困難であった。
【0011】
文献3に記載のコーンビームCT装置では、高解像度のX線イメージインテンシファイアを用いて、被検体の横断断層面方向の視野を拡大することができるため、被検体の大視野高画質の立体画像を得ることができる。すなわち、2次元検出器を構成するX線イメージインテンシファイアの入力面サイズ(視野角)よりも大きな視野角の3次元的X線CT像を再構成することができる。しかしながら、このコーンビームCT装置では被検体を移動しながら撮影を行う必要があるため、特に診断を目的とした撮影においては被検者への負担が大きく、術中または被検者が安静を要するような場合においては撮影が困難であった。また、移動時の被検者の慣性力により被検者に不本意な動きが生じるため、被検体を正確な位置で撮影することが困難であった。さらには、1回の撮影において撮影ガントリーを2回以上回転する必要があるため、従来のコーンビームCT装置に比べて、2倍以上の撮影時間がかかるという問題があった。
【0012】
この文献3に記載のコーンビームCT装置と同様に、検出器の視野角よりも大きい視野角の断層像を再構成することが可能なX線CT装置および再構成方法が米国特許5493593(以下、「文献4」と記す)に記載されている。このX線CT装置は、1次元検出器をX線源とX線源の回転中心とを結ぶ直線に対してどちらか一方向側のみに配置して片側撮影を行うことで、計測データの冗長性をなくすと同時に撮影視野をX線源の回転面方向に拡大することにより、その再構成画像の視野を拡大している。したがって、このX線CT装置では、撮影視野をほぼ2倍に広げることが可能であった。このとき、文献3に記載のコーンビームCT方式のように被検体を動かすことなく、撮影ガントリーを被検体の周りに1回転させながらX線透過像を撮像するのみでよいので、通常の断層撮影と同一の計測時間で撮影が行える。しかしながら、この文献4に記載のX線CT装置は検出器として1次元検出器を用いたものであり、また再構成演算方法も2次元断層像の再構成方法であった。したがって、この文献4に記載の方法を2次元検出器を使用する3次元計測に発展させる場合、3次元再構成を行うための手段が明らかではなかった。
【0013】
本発明の目的は、2次元検出器の視野角よりも大きい視野角の3次元的CT像を再構成することが可能な3次元X線CT装置を提供することにある。
【0014】
本発明の他の目的は、X線透視画像から3次元的CT像を高速に再構成することが可能な3次元X線CT装置を提供することにある。
【0015】
本発明のその他の目的は、撮影ガントリの1回転分のX線透視画像から3次元的CT像を再構成することが可能な3次元X線CT装置を提供することにある。
【0016】
本発明のその他の目的は、被検体を停止させたままでX線透過像を撮影することが可能な3次元X線CT装置を提供することにある。
【0017】
本発明のその他の目的は、被検体のX線被爆量を減少させながら2次元検出器の視野角よりも大きい視野角の3次元的CT像を再構成することが可能な3次元X線CT装置を提供することにある。
【0018】
本発明のその他の目的は、肺癌等の診断性能を向上させることが可能な3次元X線CT装置を提供することにある。
【0019】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面によって明らかになるであろう。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、下記のとおりである。
【0021】
(1)被検体に円錐状もしくは角錐状のX線を照射するX線照射手段と、前記被検体を前記X線により2次元で撮影する2次元撮像手段と、前記X線照射手段および前記2次元撮像手段を前記被検体の周りに回転させる回転手段とを有する3次元X線CT装置において、前記X線照射手段と前記2次元撮像手段とからなる撮像系が描く回転面と平行な方向に前記X線照射手段と前記2次元撮像手段との相対的な位置を移動させる撮像系移動手段と、前記2次元撮像手段で撮像した2次元X線像を前記撮像系の回転軸に該当する部分で分割し、該分割した2次元X線像内の一方の側の2次元X線像を当該回転角における2次元X線像として選択する画像分割手段と、該選択した領域内の2次元X線像から3次元的X線像を再構成する3次元再構成手段とを具備する。
【0022】
(2)前述した(1)に記載の3次元X線CT装置において、前記3次元再構成手段は、画像分割手段が選択した画像範囲を3次元再構成演算範囲とする。
【0023】
(3)被検体に円錐状もしくは角錐状のX線を照射するX線照射手段と、前記被検体を前記X線により2次元で撮影する2次元撮像手段と、前記X線照射手段および前記2次元撮像手段を前記被検体の周りに回転させる回転手段と、前記2次元撮像手段が撮像した2次元X線像から3次元的X線像を再構成する3次元再構成手段を有する3次元X線CT装置において、前記X線照射手段と前記2次元撮像手段とからなる撮像系が描く回転面と平行な方向に前記X線照射手段と前記2次元撮像手段との相対的な位置を移動させる撮像系移動手段と、前記2次元撮像手段で撮像した2次元X線像を前記撮像系の回転軸に該当する部分で分割し、該分割した2次元X線像内の一方の側の2次元X線像を選択する画像分割手段と、該選択画像領域から外れる部分の画像値を0に置換する置換手段と、該置換後のX線像を当該回転角における2次元X線像として3次元的X線像を再構成する3次元再構成手段とを具備する。
【0024】
(4)被検体に円錐状もしくは角錐状のX線を照射するX線照射手段と、前記被検体を前記X線により2次元で撮影する2次元撮像手段と、前記X線照射手段および前記2次元撮像手段を前記被検体の周りに回転させる回転手段と、前記2次元撮像手段が撮像した2次元X線像から3次元的X線像を再構成する3次元再構成手段を有する3次元X線CT装置において、前記X線照射手段と前記2次元撮像手段とからなる撮像系が描く回転面と平行な方向に前記X線照射手段と前記2次元撮像手段との相対的な位置を移動させる撮像系移動手段と、前記2次元撮像手段で撮像した2次元X線像を前記撮像系の回転軸に該当する部分で分割し、該分割した2次元X線像内の一方の側の2次元X線像を選択する画像分割手段と、前記分割した他方の側の2次元X線像の内で前記回転軸に該当する部分から所定の距離以内の領域の画像値を0に置換する置換手段と、前記一方の側の2次元X線像と前記置換領域内の2次元X線像とを当該回転角における2次元X線像として3次元的X線像を再構成する3次元再構成手段とを具備する。
【0025】
(5)前述した(1)ないし(4)の内のいずれかに記載の3次元X線CT装置において、前記撮像系移動手段は、前記回転軸に該当する部分で分割した2次元X線像の領域が異なる大きさとなるように、前記X線照射手段と前記2次元撮像手段との相対的な位置を設定する。
【0026】
(6)前述した(5)に記載の3次元X線CT装置において、前記画像分割手段は、前記分割された2次元X線像の内で領域が大きい方を選択する。
【0027】
(7)前述した(1)ないし(6)の内のいずれかに記載の3次元X線CT装置において、前記撮像系移動手段は、前記被検体の観察部位の大きさに基づいて、前記X線照射手段と前記2次元撮像手段との相対的な位置を設定する。
【0028】
(8)前述した(1)ないし(7)の内のいずれかに記載の3次元X線CT装置において、前記画像分割手段が選択した領域内のみにX線が照射されるように、前記X線照射手段から照射されるX線の視野を制限するコリメータを具備する。
【0029】
(9)前述した(1)ないし(8)の内のいずれかに記載の3次元X線CT装置において、前記コリメータは、X線の視野を、前記回転軸と前記X線照射手段とを結ぶ直線が前記入力面上で描く直線と前記2次元検出手段の視野の境界線とが交差する点を通る前記直線の垂線よりも内側の領域に制限する。
【0030】
前述した(1)、(2)、(5)および(6)の手段によれば、3次元再構成手段は、画像分割手段が選択した分割された2次元X線像の内で画像領域が大きい方の2次元X線像を3次元再構成手段の入力画像とし、3次元再構成手段が3次元再構成時のフィルタリング演算の演算範囲をこの選択された画像範囲とすることにより、従来の3次元再構成法であるフェルドカンプの方法を適用できるので、3次元的X線像を得ることができる。このとき、2次元X線像の内で領域の大きい方のX線像に基づいて3次元的X線像を再構成するので、2次元検出手段の視野角よりも大きい視野角の3次元的CT像を再構成することができる。したがって、肺癌等の診断性能を向上させることができる。
【0031】
このとき、撮像系を被検体の周りに1回転して得られた2次元X線像で大視野の3次元的CT像を得ることができるので、撮影に要する時間を高速にすることができる。したがって、3次元的CT像の計測に要する時間を高速にすることができる。なお、3次元再構成によるフィルタリング演算および逆投影演算については、後述の原理の項に示す。
【0032】
前述した(3)の手段によれば、置換手段が、画像分割手段によって選択された以外の領域の画像値を“0(ゼロ)”に置き換えることによって、3次元再構成時のフィルタリング演算の演算範囲を従来と同じように2次元X線像の画像範囲とすることができるので、従来のフィルタリング処理をそのまま使用して3次元的CT像の視野を拡大することができる。なお詳細については、後述する原理の項に示す。
【0033】
前述した(4)の手段によれば、3次元再構成演算手段は3次元再構成時のフィルタリング演算を行う演算範囲を、分割手段が選択した一方の側の2次元X線像の画像範囲と、他方の側の2次元X線像の内で回転軸から所定の距離内の画像範囲と演算範囲とを合わせた範囲に減少することができる、すなわち、3次元再構成演算の演算量を減少させることができるので、3次元的CT像をさらに高速に再構成することができる。なお詳細については、後述する原理の項に示す。
【0034】
前述した(7)の手段によれば、撮像系移動手段が観察部位の大きさに基づいてX線照射手段と2次元撮像手段との相対的な位置関係を設定することによって、3次元再構成演算の対象となる領域を大きくすることができるので、3次元的CT像の画質を向上することができる。
【0035】
前述した(8)および(9)の手段によれば、コリメータによって3次元再構成演算で不必要となる領域に照射するX線を制限することができるので、被検体の被爆量を低減することができる。
【0036】
(原理)
まず、図5に1次元検出器面に垂直に入射する平行X線ビームと再構成領域との関係を説明するための図を示し、以下、図5に基づいて、平行X線ビームを1次元検出器で検出する場合の3次元再構成について説明する。
【0037】
従来の3次元X線CT装置では、X線検出器面200は、図5(A)に示すように、回転中心Oを通過するX線が検出器面の中央で検出されるように配置されている。このとき、再構成領域203は検出可能なX線平行ビームで囲まれる半径Rの円の内部となる。したがって、再構成領域203を通過する任意のX線ビーム201は、X軸に対する入射角θと回転中心Oからの距離uとを変数として、関数P(u、θ)と表すことができる。従来の撮影では、X線検出器を回転中心Oの周囲に360度回転して撮影を行う。よって、図5(A)に示されるX線ビーム201は、図5(B)に示すように、X線検出器面200が更に180度回転した時点において再び検出される。このときのX線ビーム201はP(−u、θ+π)と表現されるが、これはP(u、θ)と同一のX線ビームを表す。したがって、従来のX線CT計測においては、全ての同一X線ビームが2回ずつ計測されており、計測データに冗長性が存在する。なお、図中の(X、Y)平面上の位置をベクトルr→、u軸方向の単位ベクトルをu→、位置r→における被検体のX線吸収係数分布をf(r→)とすると、f(r→)は下記の数1で示される逆ラドン変換式によって再構成することができる。
【0038】
【数1】
【0039】
但し、・はベクトルの内積を表す。また、関数g()はフィルタリング関数を表し、下記の数2で示される。
【0040】
【数2】
【0041】
数1において、曲座標(u、θ)の積分範囲は(−R<u<R、0<θ<2π)となっており、積分範囲内でP(u、θ)が2重に重複している。
【0042】
図5(C)は、回転中心Oを通過するX線がX線検出器面200の端で検出されるように、X線検出器面200をX線ビームと垂直な方向に平行移動したものである。このとき、u<0を通過するX線ビーム201は検出されない。しかし、このX線ビーム201は、図5(D)に示すように、X線検出器面200が更に180度回転した時点において検出される。一般に、このような測定方法では回転中心Oから2Rの距離内を通過する全てのX線は必ず1回ずつ検出され、再構成領域203の半径が図5(A)(B)の場合の2倍となる。このとき、計測データには冗長性が存在しないため、再構成式は数1中のuの積分範囲を限定して下記の数3で得られる。
【0043】
【数3】
【0044】
次に、図6に1次元検出器面に入射する扇状X線ビームと再構成領域との関係を説明するための図を示し、以下、図6に基づいて、扇状X線ビームを1次元検出器で検出する場合の3次元再構成について説明する。
【0045】
この3次元X線CT装置では、X線検出器面200は、図6(A)に示すように、回転中心Oを通過するX線が検出器面の中央で検出されるように配置される。このとき、再構成領域203は検出可能な扇状X線ビームで囲まれる半径Rの円の内部となる。再構成領域203を通過する任意のX線ビーム201は、X軸に対するX線源Sの回転角φ、および、X線ビームとy軸との交点yを変数として、関数q(y、φ)と表すことができる。従来の撮影では、X線源SとX線検出器との対を回転中心Oの周囲に360度回転して撮影を行う。この場合、図6(A)に示すように、位置300から放射されたX線ビーム201は、X線源Sの回転軌道面302と位置301において交わる。したがって、このX線ビーム201は、図6(B)に示すように、X線源Sが位置301にきた時点で再び検出される。したがって、従来のX線CT計測においては、全ての同一X線ビームが2回ずつ計測されており、計測データに冗長性が存在する。なおx、y軸方向の単位ベクトルをそれぞれx→、y→、X線源と回転中心Oとの距離をDとし、X線検出器面200の一番端を通過するX線ビームとy軸との交点をyoとすると、被検体のX線吸収係数分布f(r→)は、下記の数4で再構成することができる。
【0046】
【数4】
【0047】
図6(C)は、回転中心Oを通過するX線がX線検出器面200の端で検出されるように、X線検出器面200をy軸方向に平行移動したものである。このとき、X線源300から放射されてy<0を通過するX線ビーム201は検出されない。しかし、前記X線ビーム201は図6(D)に示されるように、X線源SがX線ビーム201とX線源の軌跡302との交点301の位置にX線源Sがきた時点において検出される。いま、X線検出器面200の一番外側を通過するX線ビームと回転中心Oとの距離をR’とすると、R’はRの約2倍の大きさとなる。一般に、このような測定方法では回転中心OからR’の距離内を通過する全てのX線は必ず1回ずつ検出され、再構成領域203の半径が図6(A)(B)の場合の約2倍となる。このとき、計測データには冗長性が存在しないため、再構成式は数4中のyの積分範囲を限定して、下記の数5で得られる。
【0048】
【数5】
【0049】
数5は1次元X線検出器を用いた2次元CT再構成式であるが、次に、数5を近似的に拡張して3次元再構成を導出する。
【0050】
次に、図7に2次元検出器面に垂直に入射する円錐状のX線ビームと再構成領域との関係を説明するための図を示し、以下、図7に基づいて、円錐状のX線ビームを2次元検出器で検出する場合の3次元再構成について説明する。ただし、この図7では、図6に示す(X、Y)座標系および(x、y)座標系に対して直交するZ軸およびz軸をそれぞれ新たに付加して3次元化してある。また、図7では仮想的にX線検出器面200がyz平面上に配置されているとする。
【0051】
仮想検出器面200上の位置は、実際のX線検出器面の位置に対するスケール変換で簡単に計算することができる。ここで、仮想検出器面200上に入射するX線ビームは、関数q(y、z、φ)と表現する。
【0052】
数5を3次元に拡張するには、文献5に記載のフェルドカンプの方法を応用することができる。フェルドカンプの方法は、X線源Sから放射されてy軸に平行かつz軸にz=0以外の点で交わる斜平面を近似的にX線源Sの回転軌道面とみなすことで、2次元再構成式を3次元に拡張する方法である。したがって、同様の方法で数5を3次元再構成式に拡張すると、下記の数6となる。
【0053】
【数6】
【0054】
ただし、関数q〜(y,z,Φ)は下記の数7となり、ω(φ)、y(φ)、z(φ)は、それぞれ下記の数8となる。
【0055】
【数7】
【0056】
【数8】
【0057】
なお、ベクトルz→はz軸方向の単位ベクトルを表す。
【0058】
数6は再構成演算における逆投影処理であり、数7はフィルタリング処理である。これらから明らかなように、従来の再構成式と本再構成式との違いは、フィルタリング処理において積分範囲が従来では(−yo<y<yo)であるのに対し、本再構成式では(0<y<2yo)であること、および本方法ではデータの冗長性が存在しないことから、逆投影処理において数式全体に係る係数が従来に比べて2倍されている点である。
【0059】
したがって、本再構成方法では、y<0(ゼロ)の領域400に対してフィルタリング演算を行う従来のフィルタリング演算を行うことができない。しかし、円形のX線検出器面200を持つ2次元X線検出器を使用して計測を行った場合、y<0の領域400においても被検体のX線透過像が検出されている。したがって、y<0の領域400の領域の画像データがフィルタリングにおいて影響を与えないようにするためには、この領域に存在する画像データを全て0(ゼロ)で置換した後に、yの全ての領域に対してフィルタリング演算を行えばよい。このような0置換(ゼロ置換)により、従来から用いているフィルタリング演算装置をそのまま利用してフィルタリングを行うことが可能となる。また、同時に、3次元CT像の再構成領域をX線源の回転軌道面方向に拡大することができる。
【0060】
なお、この0置換を行った後にフィルタリングを行ったX線透過像は、y<0においてyの値が小さくなるにつれて急速に0に近づく。これは、フィルタリング関数g(y)がyの変化に対して比較的早く0に収束することによる。したがって、y<0においてフィルタリングを行う領域をy軸の周辺に限定して、それより小さなyに対してはフィルタリング処理後の画像データとして全て0で近似してもよい。この近似により、フィルタリング処理および逆投影処理量を減少することができるので、再構成演算を高速化することが可能となる。
【0061】
さらには、y<0の領域400に対しては、はじめからX線が照射されないようにコリメータを用いてX線照射野を限定しておくことで、被検体のX線被爆量を減少することができる。しかしこのような場合であっても、y<0の領域400には被検体中で散乱された散乱X線やX線検出器において発生する光散乱などの影響で、画像データが完全に0となることがないため、前述した0置換は用いたほうがよい。
【0062】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について、発明の実施の形態(実施例)とともに図面を参照して詳細に説明する。
【0063】
なお、発明の実施の形態を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
【0064】
図1は、発明の一実施の形態に係る3次元X線CT装置の概略構成を示すブロック図であり、1はX線管(X線照射手段)、2はX線グリッド、3はX線イメージインテンシファイア、4は光学レンズ系、5はテレビカメラ、6は回転板、7は寝台天板、8は被検体、9はX線検出器移動用レール、10は操作卓、11はコリメータ、101は回転板駆動手段(回転手段)、102はX線照射野制御手段、103は被検体サイズ測定手段、104は寝台位置制御手段、105は検出器位置制御手段(撮像系移動手段)、106は撮影制御手段、107はフレームメモリ、108は信号処理手段、109は画像表示手段を示す。なお、前記各装置および機構は公知のものを用いる。
【0065】
X線検出器(2次元撮像手段)はX線イメージインテンシファイア3、光学レンズ系4およびテレビカメラ5からなる。また、撮影系は前記X線検出器、X線管1、X線検出器移動用レール9および回転板6からなる。被検体8は寝台天板7上に位置し、撮影***は仰臥位を標準とする。そして、被検体8の撮りたい部位の中心は前記撮影系の回転中心付近に設定する。
【0066】
図1において、X線管1の回転半径Dは720mm、回転板6の回転中心とX線検出器のX線入力面すなわちX線イメージインテンシファイア3との距離dは380mm、X線検出器のX線入力面すなわちX線イメージインテンシファイア3の直径wは380mmである。撮影系の回転周期の代表例は5秒である。テレビカメラ6は、撮影素子として高解像度撮像管を使用している。X線検出器移動用レール9は、X線源1と回転板6の回転中心とを結ぶ直線に対して垂直な方向に配置されている。X線検出器はX線検出器移動用レール9上を移動することができる。
【0067】
次に、前記各部の概要を説明する。撮影制御手段106は、X線管1のX線発生とテレビカメラ5の撮影動作を制御する撮影シーケンスを規定する。
【0068】
回転板駆動手段101は、回転板6の回転を制御すると同時に、回転板6の回転角度のデータを出力する。
【0069】
X線照射野制御手段102はコリメータ11の位置を規定し、X線照射野を回転板6の回転面方向(以下、「水平方向」と記す)および回転方向と垂直な方向(以下、「垂直方向」と記す)にそれぞれ独立に規定する。
【0070】
被検体サイズ測定手段103は、図示しない公知の光発生装置および光センサ等から構成され、被検体8の水平方向の大きさを測定する。
【0071】
寝台位置制御手段104は、寝台天板7と該寝台天板7上の被検体8の位置を水平方向および垂直方向に移動して、被検体8の中心位置を回転板6の回転中心付近に配置する。
【0072】
検出器位置制御手段105は、X線検出器のX線検出器移動用レール9上の位置を規定し、この位置データを出力する。
【0073】
次に、図1に基づいて、本実施の形態の3次元X線CT装置の動作を説明する。
【0074】
まず、検者は当該3次元X線CT撮影の前に被検体8を乗せた寝台天板7の位置を移動し、被検体8の撮影位置を回転板6の回転中心付近の適正位置に配置する。次に、被検体サイズ測定手段103は被検体8の回転面方向のサイズをあらゆる角度方向から計測する。検出器位置制御手段105は、計測された被検体8のサイズに従って後述する方法でX線検出器の適正位置を計算し、X線検出器をX線検出器移動用レール9上で移動して前記適正な位置に配置する。X線照射野制御手段102は、X線検出器の位置に従ってコリメータ11を水平方向および垂直方向に移動し、X線照射野を後述する範囲に限定する。以上で撮影準備が終了し、次にX線CT撮影に入る。撮影に入ると同時に、回転板駆動手段101は回転板6の回転を開始する。撮影制御手段106は回転板6の回転に同期してX線管1のX線発生およびテレビカメラ5の撮影を制御する。X線管1から照射されたX線は被検体8を透過し、X線グリッド2により散乱線が遮断された後、X線イメージインテンシファイア3により可視光像に変換され、光学レンズ系4によってテレビカメラ5に結像される。テレビカメラ5は画像をビデオ信号に変換した後にA/D変換し、デジタル画像としてフレームメモリ107に記録する。この場合のテレビカメラ5のCTスキャンにおける標準走査モードは毎秒60フレーム、走査数525本であるが、たとえば、毎秒30フレーム、走査線数1050本等による撮影も可能である。このX線CT撮影(CTスキャン)における標準走査モードでは、1.25度毎に毎秒60枚の画像を計測し、4.8秒間に288枚の画像を得る。回転板駆動手段101は回転板6が360度回転した時点で回転を終了する。また、このとき撮影制御手段106はX線管1のX線発生およびテレビカメラ5の撮影を終了し、全てのX線CT撮影が終了する。一方、信号処理手段108は撮影に並行して、あるいは撮影終了後にフレームメモリ107からデジタル画像を読み出し、後述する信号処理によって被検体8の3次元CT像を再構成し、画像表示手段109に表示する。また、画像表示手段109は、フレームメモリ107に記録されたX線画像を直接表示することも可能である。
【0075】
次に、図2に本実施の形態の信号処理手段の概略構成を説明するためのブロック図を示し、信号処理手段108の構成を説明する。ただし、図2に示す各手段は、たとえば、信号処理手段を実現するための周知の情報処理装置上で動作するプログラムによって実現する。
【0076】
図2において、エアキャリブレーション手段700は、フレームメモリ107に記録されたX線画像をX線吸収係数の分布像に変換する周知の手段である。本実施の形態においては、まず、エアキャリブレーション手段700は被検体8および寝台天板7を配置しない状態で予め撮影された空気のX線透過像と、フレームメモリ107に記録されたX線画像との差分を取る。次に、エアキャリブレーション手段700はこの差分画像の各画素データに対して自然対数変換演算を行うことにより、被検体8および寝台天板7のX線吸収係数の分布像を得る。
【0077】
幾何学歪み補正手段701は、X線吸収係数の分布像の幾何学歪みを補正する周知の手段である。この幾何学歪みは、X線イメージインテンシファイア3によってX線透過像を光学像に変換する際に生じる幾何学歪みである。なお、幾何学歪み補正手段701における補正処理としては、例えばメディカルイメージングテクノロジー誌、第14巻、第5号(1996年)571〜580頁に記載の幾何学歪み補正方法を用いる。
【0078】
選択置換手段702は、X線吸収係数の分布像を撮像系の回転軸に相当する直線(図7に示すz軸)で2つの領域に分割し、検出器制御手段105の出力に基づいて、該2つの分布像の内で画像領域が大きい領域の分布像を選択領域、すなわち、分布像の画像データを他の値に置換することなく用いる領域として選択する選択手段(画像分割手段)と、それ以外の領域の画像データの値を“0(ゼロ)”に置き換える置換手段とからなる。ただし、置換手段による置換手順については後述する。
【0079】
フィルタリング手段703は3次元再構成におけるフィルタリング処理を行う周知の手段であり、0データ置換処理後の画像データに対して原理の項で説明した数7に基づくフィルタリング処理を行う。
【0080】
逆投影手段704はフィルタリングの後の画像データに対して逆投影演算を行う周知の手段であり、フェルドカンプの方法を用いて2次元再構成式(数5)を3次元に拡張した数6に基づいてフィルタリング後の画像データから3次元的X線像を再構成する。なお、本実施の形態においては、フィルタリング手段703と逆投影手段とによって3次元再構成手段を構成する。
【0081】
次に、図3に本実施の形態の信号処理手段における3次元再構成像の再構成手段を説明するための動作フローを示し、以下、図3に基づいて、図2に示す本実施の形態の信号処理手段の動作を説明する。
【0082】
本フローの開始は、フレームメモリ107へのX線画像の記録すなわち被検体8のX線画像の撮影である。
【0083】
まず、エアキャリブレーション手段700が、フレームメモリ107に記録されたX線画像を読み出し、該X線画像と予め撮影された空気のX線透過像とから当該X線画像をX線吸収係数の分布像に変換する(ステップ500)。エアキャリブレーション処理を施したX線画像は、次に幾何学歪み補正手段701によって、X線イメージインテンシファイア3によって生じるX線画像の幾何学歪みが補正される(501)。幾何学歪み補正処理を施したX線画像は、次に、選択置換手段702の選択手段によって選択領域が選択される(502)。選択されなかった領域の画像データの各値は、選択置換手段702の置換手段によって0に置換される(503)。0データ置換処理を施したX線画像は、次にフィルタリング手段703によって3次元X線CT再構成におけるフィルタリング処理が施された後(504)、逆投影処理手段704による逆投影処理が行われ(505)、3次元X線CT像が再構成される。フィルタリング手段703によるフィルタリング処理および逆投影手段704による逆投影処理における演算は、それぞれ数7および数6で表される。ただし、数7においては積分範囲がy>0に限定されているが、実際には0データ置換処理が既に行われているため、本実施の形態のフィルタリング手段703は画像データの存在する全ての範囲(0データ置換部分を含む)に対してフィルタリングを行う。
【0084】
次に、図4に本実施の形態の選択置換手段における画像データの置換手順を説明するための図を示し、以下、図4に基づいて、選択置換手段702における置換手順を説明する。ただし、図4におけるX線検出器面200は、X線検出器をX線管1に対して向かって右側(y>0)方向に移動した場合、すなわち、選択手段がy>0の領域の画像データを選択した場合を示す。なお、左側(y<0)方向にX線検出器を移動した場合においても以下の処理は同様に行うことができることはいうまでもない。
【0085】
以下の説明においては、X線検出器面200はX線イメージインテンシファイア3の入力面が円形であることから、円形状の形状を持ち、その半径をbとする。
【0086】
図4に示すように、たとえば、X線検出器がy軸方向に距離aだけ移動されているとすると、X線再構成で実際に利用される有効視野領域は0<y<Hかつ−V/2<z<V/2の範囲内で検出される画像データの領域603となる。ただし、H、Vの大きさは下記の数9によって表される。
【0087】
【数9】
【0088】
数9から明らかなように、H、Vの大きさはX線検出器の移動距離aによって決定される。有効視野領域をH方向すなわちy軸方向に拡大するにはX線検出器の移動距離aを大きくすればよいが、このとき同時にV方向すなわちz軸方向の有効視野領域が小さくなる。したがって、X線検出器の移動距離aの大きさは、被検体サイズ測定手段103で計測される被検体8のサイズを参考にして検者が操作卓10を通して設定するか、あるいは適当な値を自動設定してもよい。
【0089】
X線検出器面200上で、有効視野領域603の外に存在する領域は、y<0の領域604および|z|>V/2の領域602である。これらの領域内の画像データは、フィルタリング手段703および逆投影手段704による3次元CT再構成において使用されることがない。したがって、コリメータ11を用いて予めこれらの領域内はX線照射が行われないようにすることにより、被検体8のX線被爆量を減らすことができる。0置換は、有効視野領域603に対してy軸対象の領域601において行う。ただし、実際に置換を行うのは画像データが存在する604であり、その他の領域は仮想的にX線検出面が存在するものとして情報処理装置上で0が挿入される領域である。フィルタリング処理504は領域601と領域603とを合わせた全ての領域に対して、y軸方向に行う。ただし、実際にフィルタリング処理を行った場合、フィルタリング処理後の画像データは、y<0において、yが小さくなるにつれて急速に0に収束する。したがって、予め0置換を行う領域を−H’<y<0(H’<H)の領域のみに限定してもよい。このとき、フィルタリング処理503および逆投影処理504が前述の限定された領域と領域603とを合わせた領域のみに限定できるので、演算量を減少して、高速に演算を行うことができる。H’の目安としては、たとえば、Hの1/3〜1/2程度の距離が適当である。
【0090】
以上説明したように、本実施の形態の3次元X線CT装置では、X線管1と該X線管1および2次元検出器の回転中心軸とを結ぶ直線上からずらした位置に配置した当該2次元検出器で被検体8のX線画像を撮像し、該X線画像のエアキャリブレーション処理およびX線イメージインテンシファイア3のX線入力面での幾何学歪み補正処理後の画像データに対して、選択置換手段702が実際に画像データが存在する領域604の内で、有効視野領域603に対してy軸対象の領域601のデータを0に置換することによって、y<0の領域のデータがフィルタリング処理の演算範囲である0<y<2y0に影響を与えないようにできるので、従来のフィルタリング演算と同じ演算処理によってフィルタリング処理を行うことができる。すなわち、従来のフィルタリング手段を用いることによって、容易に3次元に拡張することができる。したがって、装置の製造コストを上昇させることなく視野を拡大できる。
【0091】
また、逆投影手段704が逆投影処理時の冗長性が存在しなくなったことを考慮した逆投影処理、すなわち、数6に示す逆投影演算を行うことにより、3次元的X線像を容易に再構成できる。すなわち、撮影系(撮影ガントリ)の1回転分のX線透視画像から大視野の3次元的CT像を再構成することができる。また、被検体を停止させたままでX線透過像を撮影することができる。さらには、被検体を停止させたままでX線透過像を撮影することができる。
【0092】
したがって、2次元検出器であるX線イメージインテンシファイア3の視野角よりも大きい視野角の3次元的CT像を再構成することができる。よって、大きな視野角が必要となる肺癌等の診断性能を向上させることができる。
【0093】
また、本実施の形態のフィルタリング手段703では、y<0の領域においてフィルタリングを行う領域をy軸の周辺に限定しているので、フィルタリング処理および逆投影処理の演算量を減少させることができるので、X線透視画像から3次元的CT像を高速に再構成することができる。
【0094】
なお、本実施の形態においては、X線検出器としてX線イメージインテンシファイア3、光学レンズ系4およびテレビカメラ5からなる系を用いたが、たとえば、このX線検出器を文献2に示されるTFT素子を用いた2次元X線検出器等で代用しても、同等の効果が得られることは言うまでもない。
【0095】
また本発明は、例えば、一般的なX線透視装置、X線撮影装置および立体X線撮影装置等にも適用できることは勿論である。
【0096】
以上、本発明者によってなされた発明を、前記発明の実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記発明の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは勿論である。
【0097】
【発明の効果】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、下記の通りである。
【0098】
(1)2次元検出器の視野角よりも大きい視野角の3次元的CT像を再構成することができる。
【0099】
(2)X線画像から3次元的CT像を高速に再構成することができる。
【0100】
(3)撮影ガントリの1回転分のX線画像から3次元的CT像を再構成することができる。
【0101】
(4)被検体を停止させたままでX線透過像を撮影することができる。
【0102】
(5)被検体のX線被爆量を減少させながら2次元検出器の視野角よりも大きい視野角の3次元的CT像を再構成することができる。
【0103】
(6)肺癌等の診断性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明の一実施の形態に係る3次元X線CT装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本実施の形態の信号処理手段の概略構成を説明するためのブロック図である。
【図3】本実施の形態の信号処理手段における3次元再構成像の再構成手段を説明するための動作フローである。
【図4】本実施の形態の選択置換手段における画像データの置換手順を説明するための図である。
【図5】1次元検出器面に垂直に入射する平行X線ビームと再構成領域との関係を説明するための図である。
【図6】1次元検出器面に垂直に入射する扇状X線ビームと再構成領域との関係を説明するための図である。
【図7】2次元検出器面に垂直に入射する円錐状のX線ビームと再構成領域との関係を説明するための図である。
【符号の説明】
1…X線管、2…X線グリッド、3…X線イメージインテンシファイア、4…光学レンズ系、5…テレビカメラ、6…回転板、7…寝台天板、8…被検体、9…X線検出器移動用レール、10…操作卓、11…コリメータ、101…回転板駆動手段、102…X線照射野制御手段、103…被検体サイズ測定手段、104…寝台位置制御手段、105…検出器位置制御手段、106…撮影制御手段、107…フレームメモリ、108…信号処理手段、109…画像表示手段、200…X線検出器面、700…エアキャリブレーション手段、701…幾何学歪み補正手段、702…選択置換手段、703…フィルタリング手段、704…逆投影手段。
【発明の属する技術分野】
本発明は、3次元X線CT装置に関し、特に、被検体の胸部等の大視野における立体感のあるX線画像あるいはCT画像、すなわち、3次元的X線CT像の再構成に適用して有効な技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、被検体の3次元的X線CT像を得る方法としては、X線CT装置によって得られた2次元断層像を画像処理によってつなぎ合わせる方法が一般的であった。しかしながら、このX線CT装置を用いた方法では、撮影時間が長くなるという問題があった。
【0003】
撮影時間短縮のためには、X線検出器として2次元X線検出器を、X線源としてX線を円錐状もしくは角錐状に照射するX線源を用いて、2次元X線検出器が検出した被検体の2次元透過像である2次元X線像を得て、被検体の3次元的X線CT像の再構成を行うコーンビームCT装置が有利であることが知られている。
【0004】
たとえば、医用電子と生体工学、第33巻特別号(1995年)109頁(以下、「文献1」と記す)には、2次元X線検出器として、大型蛍光板とテレビカメラを用いた大視野コーンビームCT装置が記載されている。
【0005】
また、2次元X線検出器の別の例として、TFT (Thin Film Transistor) 素子を用いる方法が「Large Area, Flat-Panel, Amorphous Silicon Imagers; L.E.Antonuk, et al. SPIE, Vol. 2432, Physics of Medical Imaging, pp.216-227」(以下、「文献2」と記す)に記載されている。
【0006】
さらには、メディカルイメージングテクノロジー誌、第13巻、第4号(1995年)559〜562頁(以下、「文献3」と記す)には、2次元X線検出器としてX線イメージインテンシファイアとテレビカメラとを用いたコーンビームCT装置が記載されている。この文献3に記載のコーンビームCT装置では、X線源の回転軌道面と平行な方向に被検体を移動しながら撮影を行うことにより、被検体の撮影視野をX線源の回転面方向に拡大する手法が記載されている。
【0007】
以上に示す2次元X線検出器を用いたコーンビームCT装置における3次元的X線CT像の再構成の代表的なアルゴリズムとしては、「Practical Cone-Beam Algorithm; L.A.Feldkamp, et al. ; J.Optical Society of America, A/Vol. 1(6), (1984), pp.612-619」(以下、「文献5」と記す)に記載のフェルドカンプの方法がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、前記従来技術を検討した結果、以下の問題点を見いだした。
【0009】
従来のコーンビームCT装置では、計測視野は2次元X線検出器の視野サイズにより制限されていた。したがって、文献1に記載の大視野コーンビームCT装置では、大型蛍光板を用いて大視野の2次元X線検出器を容易に得ることができる。しかしながら、高感度かつ高解像度の蛍光板を得ることが技術的に困難であることから、高画質の3次元的X線CT像を得ることは困難であった。
【0010】
また、文献2に記載の2次元X線検出器では、高感度、高解像度かつ薄型軽量の2次元X線検出器を得ることはできるが、検出面の大きさは最大のものでも260mm四方であり、たとえば、肺野部等を撮影することが可能な、より大きなサイズの検出器を製作することは技術的に困難であった。
【0011】
文献3に記載のコーンビームCT装置では、高解像度のX線イメージインテンシファイアを用いて、被検体の横断断層面方向の視野を拡大することができるため、被検体の大視野高画質の立体画像を得ることができる。すなわち、2次元検出器を構成するX線イメージインテンシファイアの入力面サイズ(視野角)よりも大きな視野角の3次元的X線CT像を再構成することができる。しかしながら、このコーンビームCT装置では被検体を移動しながら撮影を行う必要があるため、特に診断を目的とした撮影においては被検者への負担が大きく、術中または被検者が安静を要するような場合においては撮影が困難であった。また、移動時の被検者の慣性力により被検者に不本意な動きが生じるため、被検体を正確な位置で撮影することが困難であった。さらには、1回の撮影において撮影ガントリーを2回以上回転する必要があるため、従来のコーンビームCT装置に比べて、2倍以上の撮影時間がかかるという問題があった。
【0012】
この文献3に記載のコーンビームCT装置と同様に、検出器の視野角よりも大きい視野角の断層像を再構成することが可能なX線CT装置および再構成方法が米国特許5493593(以下、「文献4」と記す)に記載されている。このX線CT装置は、1次元検出器をX線源とX線源の回転中心とを結ぶ直線に対してどちらか一方向側のみに配置して片側撮影を行うことで、計測データの冗長性をなくすと同時に撮影視野をX線源の回転面方向に拡大することにより、その再構成画像の視野を拡大している。したがって、このX線CT装置では、撮影視野をほぼ2倍に広げることが可能であった。このとき、文献3に記載のコーンビームCT方式のように被検体を動かすことなく、撮影ガントリーを被検体の周りに1回転させながらX線透過像を撮像するのみでよいので、通常の断層撮影と同一の計測時間で撮影が行える。しかしながら、この文献4に記載のX線CT装置は検出器として1次元検出器を用いたものであり、また再構成演算方法も2次元断層像の再構成方法であった。したがって、この文献4に記載の方法を2次元検出器を使用する3次元計測に発展させる場合、3次元再構成を行うための手段が明らかではなかった。
【0013】
本発明の目的は、2次元検出器の視野角よりも大きい視野角の3次元的CT像を再構成することが可能な3次元X線CT装置を提供することにある。
【0014】
本発明の他の目的は、X線透視画像から3次元的CT像を高速に再構成することが可能な3次元X線CT装置を提供することにある。
【0015】
本発明のその他の目的は、撮影ガントリの1回転分のX線透視画像から3次元的CT像を再構成することが可能な3次元X線CT装置を提供することにある。
【0016】
本発明のその他の目的は、被検体を停止させたままでX線透過像を撮影することが可能な3次元X線CT装置を提供することにある。
【0017】
本発明のその他の目的は、被検体のX線被爆量を減少させながら2次元検出器の視野角よりも大きい視野角の3次元的CT像を再構成することが可能な3次元X線CT装置を提供することにある。
【0018】
本発明のその他の目的は、肺癌等の診断性能を向上させることが可能な3次元X線CT装置を提供することにある。
【0019】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面によって明らかになるであろう。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、下記のとおりである。
【0021】
(1)被検体に円錐状もしくは角錐状のX線を照射するX線照射手段と、前記被検体を前記X線により2次元で撮影する2次元撮像手段と、前記X線照射手段および前記2次元撮像手段を前記被検体の周りに回転させる回転手段とを有する3次元X線CT装置において、前記X線照射手段と前記2次元撮像手段とからなる撮像系が描く回転面と平行な方向に前記X線照射手段と前記2次元撮像手段との相対的な位置を移動させる撮像系移動手段と、前記2次元撮像手段で撮像した2次元X線像を前記撮像系の回転軸に該当する部分で分割し、該分割した2次元X線像内の一方の側の2次元X線像を当該回転角における2次元X線像として選択する画像分割手段と、該選択した領域内の2次元X線像から3次元的X線像を再構成する3次元再構成手段とを具備する。
【0022】
(2)前述した(1)に記載の3次元X線CT装置において、前記3次元再構成手段は、画像分割手段が選択した画像範囲を3次元再構成演算範囲とする。
【0023】
(3)被検体に円錐状もしくは角錐状のX線を照射するX線照射手段と、前記被検体を前記X線により2次元で撮影する2次元撮像手段と、前記X線照射手段および前記2次元撮像手段を前記被検体の周りに回転させる回転手段と、前記2次元撮像手段が撮像した2次元X線像から3次元的X線像を再構成する3次元再構成手段を有する3次元X線CT装置において、前記X線照射手段と前記2次元撮像手段とからなる撮像系が描く回転面と平行な方向に前記X線照射手段と前記2次元撮像手段との相対的な位置を移動させる撮像系移動手段と、前記2次元撮像手段で撮像した2次元X線像を前記撮像系の回転軸に該当する部分で分割し、該分割した2次元X線像内の一方の側の2次元X線像を選択する画像分割手段と、該選択画像領域から外れる部分の画像値を0に置換する置換手段と、該置換後のX線像を当該回転角における2次元X線像として3次元的X線像を再構成する3次元再構成手段とを具備する。
【0024】
(4)被検体に円錐状もしくは角錐状のX線を照射するX線照射手段と、前記被検体を前記X線により2次元で撮影する2次元撮像手段と、前記X線照射手段および前記2次元撮像手段を前記被検体の周りに回転させる回転手段と、前記2次元撮像手段が撮像した2次元X線像から3次元的X線像を再構成する3次元再構成手段を有する3次元X線CT装置において、前記X線照射手段と前記2次元撮像手段とからなる撮像系が描く回転面と平行な方向に前記X線照射手段と前記2次元撮像手段との相対的な位置を移動させる撮像系移動手段と、前記2次元撮像手段で撮像した2次元X線像を前記撮像系の回転軸に該当する部分で分割し、該分割した2次元X線像内の一方の側の2次元X線像を選択する画像分割手段と、前記分割した他方の側の2次元X線像の内で前記回転軸に該当する部分から所定の距離以内の領域の画像値を0に置換する置換手段と、前記一方の側の2次元X線像と前記置換領域内の2次元X線像とを当該回転角における2次元X線像として3次元的X線像を再構成する3次元再構成手段とを具備する。
【0025】
(5)前述した(1)ないし(4)の内のいずれかに記載の3次元X線CT装置において、前記撮像系移動手段は、前記回転軸に該当する部分で分割した2次元X線像の領域が異なる大きさとなるように、前記X線照射手段と前記2次元撮像手段との相対的な位置を設定する。
【0026】
(6)前述した(5)に記載の3次元X線CT装置において、前記画像分割手段は、前記分割された2次元X線像の内で領域が大きい方を選択する。
【0027】
(7)前述した(1)ないし(6)の内のいずれかに記載の3次元X線CT装置において、前記撮像系移動手段は、前記被検体の観察部位の大きさに基づいて、前記X線照射手段と前記2次元撮像手段との相対的な位置を設定する。
【0028】
(8)前述した(1)ないし(7)の内のいずれかに記載の3次元X線CT装置において、前記画像分割手段が選択した領域内のみにX線が照射されるように、前記X線照射手段から照射されるX線の視野を制限するコリメータを具備する。
【0029】
(9)前述した(1)ないし(8)の内のいずれかに記載の3次元X線CT装置において、前記コリメータは、X線の視野を、前記回転軸と前記X線照射手段とを結ぶ直線が前記入力面上で描く直線と前記2次元検出手段の視野の境界線とが交差する点を通る前記直線の垂線よりも内側の領域に制限する。
【0030】
前述した(1)、(2)、(5)および(6)の手段によれば、3次元再構成手段は、画像分割手段が選択した分割された2次元X線像の内で画像領域が大きい方の2次元X線像を3次元再構成手段の入力画像とし、3次元再構成手段が3次元再構成時のフィルタリング演算の演算範囲をこの選択された画像範囲とすることにより、従来の3次元再構成法であるフェルドカンプの方法を適用できるので、3次元的X線像を得ることができる。このとき、2次元X線像の内で領域の大きい方のX線像に基づいて3次元的X線像を再構成するので、2次元検出手段の視野角よりも大きい視野角の3次元的CT像を再構成することができる。したがって、肺癌等の診断性能を向上させることができる。
【0031】
このとき、撮像系を被検体の周りに1回転して得られた2次元X線像で大視野の3次元的CT像を得ることができるので、撮影に要する時間を高速にすることができる。したがって、3次元的CT像の計測に要する時間を高速にすることができる。なお、3次元再構成によるフィルタリング演算および逆投影演算については、後述の原理の項に示す。
【0032】
前述した(3)の手段によれば、置換手段が、画像分割手段によって選択された以外の領域の画像値を“0(ゼロ)”に置き換えることによって、3次元再構成時のフィルタリング演算の演算範囲を従来と同じように2次元X線像の画像範囲とすることができるので、従来のフィルタリング処理をそのまま使用して3次元的CT像の視野を拡大することができる。なお詳細については、後述する原理の項に示す。
【0033】
前述した(4)の手段によれば、3次元再構成演算手段は3次元再構成時のフィルタリング演算を行う演算範囲を、分割手段が選択した一方の側の2次元X線像の画像範囲と、他方の側の2次元X線像の内で回転軸から所定の距離内の画像範囲と演算範囲とを合わせた範囲に減少することができる、すなわち、3次元再構成演算の演算量を減少させることができるので、3次元的CT像をさらに高速に再構成することができる。なお詳細については、後述する原理の項に示す。
【0034】
前述した(7)の手段によれば、撮像系移動手段が観察部位の大きさに基づいてX線照射手段と2次元撮像手段との相対的な位置関係を設定することによって、3次元再構成演算の対象となる領域を大きくすることができるので、3次元的CT像の画質を向上することができる。
【0035】
前述した(8)および(9)の手段によれば、コリメータによって3次元再構成演算で不必要となる領域に照射するX線を制限することができるので、被検体の被爆量を低減することができる。
【0036】
(原理)
まず、図5に1次元検出器面に垂直に入射する平行X線ビームと再構成領域との関係を説明するための図を示し、以下、図5に基づいて、平行X線ビームを1次元検出器で検出する場合の3次元再構成について説明する。
【0037】
従来の3次元X線CT装置では、X線検出器面200は、図5(A)に示すように、回転中心Oを通過するX線が検出器面の中央で検出されるように配置されている。このとき、再構成領域203は検出可能なX線平行ビームで囲まれる半径Rの円の内部となる。したがって、再構成領域203を通過する任意のX線ビーム201は、X軸に対する入射角θと回転中心Oからの距離uとを変数として、関数P(u、θ)と表すことができる。従来の撮影では、X線検出器を回転中心Oの周囲に360度回転して撮影を行う。よって、図5(A)に示されるX線ビーム201は、図5(B)に示すように、X線検出器面200が更に180度回転した時点において再び検出される。このときのX線ビーム201はP(−u、θ+π)と表現されるが、これはP(u、θ)と同一のX線ビームを表す。したがって、従来のX線CT計測においては、全ての同一X線ビームが2回ずつ計測されており、計測データに冗長性が存在する。なお、図中の(X、Y)平面上の位置をベクトルr→、u軸方向の単位ベクトルをu→、位置r→における被検体のX線吸収係数分布をf(r→)とすると、f(r→)は下記の数1で示される逆ラドン変換式によって再構成することができる。
【0038】
【数1】
【0039】
但し、・はベクトルの内積を表す。また、関数g()はフィルタリング関数を表し、下記の数2で示される。
【0040】
【数2】
【0041】
数1において、曲座標(u、θ)の積分範囲は(−R<u<R、0<θ<2π)となっており、積分範囲内でP(u、θ)が2重に重複している。
【0042】
図5(C)は、回転中心Oを通過するX線がX線検出器面200の端で検出されるように、X線検出器面200をX線ビームと垂直な方向に平行移動したものである。このとき、u<0を通過するX線ビーム201は検出されない。しかし、このX線ビーム201は、図5(D)に示すように、X線検出器面200が更に180度回転した時点において検出される。一般に、このような測定方法では回転中心Oから2Rの距離内を通過する全てのX線は必ず1回ずつ検出され、再構成領域203の半径が図5(A)(B)の場合の2倍となる。このとき、計測データには冗長性が存在しないため、再構成式は数1中のuの積分範囲を限定して下記の数3で得られる。
【0043】
【数3】
【0044】
次に、図6に1次元検出器面に入射する扇状X線ビームと再構成領域との関係を説明するための図を示し、以下、図6に基づいて、扇状X線ビームを1次元検出器で検出する場合の3次元再構成について説明する。
【0045】
この3次元X線CT装置では、X線検出器面200は、図6(A)に示すように、回転中心Oを通過するX線が検出器面の中央で検出されるように配置される。このとき、再構成領域203は検出可能な扇状X線ビームで囲まれる半径Rの円の内部となる。再構成領域203を通過する任意のX線ビーム201は、X軸に対するX線源Sの回転角φ、および、X線ビームとy軸との交点yを変数として、関数q(y、φ)と表すことができる。従来の撮影では、X線源SとX線検出器との対を回転中心Oの周囲に360度回転して撮影を行う。この場合、図6(A)に示すように、位置300から放射されたX線ビーム201は、X線源Sの回転軌道面302と位置301において交わる。したがって、このX線ビーム201は、図6(B)に示すように、X線源Sが位置301にきた時点で再び検出される。したがって、従来のX線CT計測においては、全ての同一X線ビームが2回ずつ計測されており、計測データに冗長性が存在する。なおx、y軸方向の単位ベクトルをそれぞれx→、y→、X線源と回転中心Oとの距離をDとし、X線検出器面200の一番端を通過するX線ビームとy軸との交点をyoとすると、被検体のX線吸収係数分布f(r→)は、下記の数4で再構成することができる。
【0046】
【数4】
【0047】
図6(C)は、回転中心Oを通過するX線がX線検出器面200の端で検出されるように、X線検出器面200をy軸方向に平行移動したものである。このとき、X線源300から放射されてy<0を通過するX線ビーム201は検出されない。しかし、前記X線ビーム201は図6(D)に示されるように、X線源SがX線ビーム201とX線源の軌跡302との交点301の位置にX線源Sがきた時点において検出される。いま、X線検出器面200の一番外側を通過するX線ビームと回転中心Oとの距離をR’とすると、R’はRの約2倍の大きさとなる。一般に、このような測定方法では回転中心OからR’の距離内を通過する全てのX線は必ず1回ずつ検出され、再構成領域203の半径が図6(A)(B)の場合の約2倍となる。このとき、計測データには冗長性が存在しないため、再構成式は数4中のyの積分範囲を限定して、下記の数5で得られる。
【0048】
【数5】
【0049】
数5は1次元X線検出器を用いた2次元CT再構成式であるが、次に、数5を近似的に拡張して3次元再構成を導出する。
【0050】
次に、図7に2次元検出器面に垂直に入射する円錐状のX線ビームと再構成領域との関係を説明するための図を示し、以下、図7に基づいて、円錐状のX線ビームを2次元検出器で検出する場合の3次元再構成について説明する。ただし、この図7では、図6に示す(X、Y)座標系および(x、y)座標系に対して直交するZ軸およびz軸をそれぞれ新たに付加して3次元化してある。また、図7では仮想的にX線検出器面200がyz平面上に配置されているとする。
【0051】
仮想検出器面200上の位置は、実際のX線検出器面の位置に対するスケール変換で簡単に計算することができる。ここで、仮想検出器面200上に入射するX線ビームは、関数q(y、z、φ)と表現する。
【0052】
数5を3次元に拡張するには、文献5に記載のフェルドカンプの方法を応用することができる。フェルドカンプの方法は、X線源Sから放射されてy軸に平行かつz軸にz=0以外の点で交わる斜平面を近似的にX線源Sの回転軌道面とみなすことで、2次元再構成式を3次元に拡張する方法である。したがって、同様の方法で数5を3次元再構成式に拡張すると、下記の数6となる。
【0053】
【数6】
【0054】
ただし、関数q〜(y,z,Φ)は下記の数7となり、ω(φ)、y(φ)、z(φ)は、それぞれ下記の数8となる。
【0055】
【数7】
【0056】
【数8】
【0057】
なお、ベクトルz→はz軸方向の単位ベクトルを表す。
【0058】
数6は再構成演算における逆投影処理であり、数7はフィルタリング処理である。これらから明らかなように、従来の再構成式と本再構成式との違いは、フィルタリング処理において積分範囲が従来では(−yo<y<yo)であるのに対し、本再構成式では(0<y<2yo)であること、および本方法ではデータの冗長性が存在しないことから、逆投影処理において数式全体に係る係数が従来に比べて2倍されている点である。
【0059】
したがって、本再構成方法では、y<0(ゼロ)の領域400に対してフィルタリング演算を行う従来のフィルタリング演算を行うことができない。しかし、円形のX線検出器面200を持つ2次元X線検出器を使用して計測を行った場合、y<0の領域400においても被検体のX線透過像が検出されている。したがって、y<0の領域400の領域の画像データがフィルタリングにおいて影響を与えないようにするためには、この領域に存在する画像データを全て0(ゼロ)で置換した後に、yの全ての領域に対してフィルタリング演算を行えばよい。このような0置換(ゼロ置換)により、従来から用いているフィルタリング演算装置をそのまま利用してフィルタリングを行うことが可能となる。また、同時に、3次元CT像の再構成領域をX線源の回転軌道面方向に拡大することができる。
【0060】
なお、この0置換を行った後にフィルタリングを行ったX線透過像は、y<0においてyの値が小さくなるにつれて急速に0に近づく。これは、フィルタリング関数g(y)がyの変化に対して比較的早く0に収束することによる。したがって、y<0においてフィルタリングを行う領域をy軸の周辺に限定して、それより小さなyに対してはフィルタリング処理後の画像データとして全て0で近似してもよい。この近似により、フィルタリング処理および逆投影処理量を減少することができるので、再構成演算を高速化することが可能となる。
【0061】
さらには、y<0の領域400に対しては、はじめからX線が照射されないようにコリメータを用いてX線照射野を限定しておくことで、被検体のX線被爆量を減少することができる。しかしこのような場合であっても、y<0の領域400には被検体中で散乱された散乱X線やX線検出器において発生する光散乱などの影響で、画像データが完全に0となることがないため、前述した0置換は用いたほうがよい。
【0062】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について、発明の実施の形態(実施例)とともに図面を参照して詳細に説明する。
【0063】
なお、発明の実施の形態を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
【0064】
図1は、発明の一実施の形態に係る3次元X線CT装置の概略構成を示すブロック図であり、1はX線管(X線照射手段)、2はX線グリッド、3はX線イメージインテンシファイア、4は光学レンズ系、5はテレビカメラ、6は回転板、7は寝台天板、8は被検体、9はX線検出器移動用レール、10は操作卓、11はコリメータ、101は回転板駆動手段(回転手段)、102はX線照射野制御手段、103は被検体サイズ測定手段、104は寝台位置制御手段、105は検出器位置制御手段(撮像系移動手段)、106は撮影制御手段、107はフレームメモリ、108は信号処理手段、109は画像表示手段を示す。なお、前記各装置および機構は公知のものを用いる。
【0065】
X線検出器(2次元撮像手段)はX線イメージインテンシファイア3、光学レンズ系4およびテレビカメラ5からなる。また、撮影系は前記X線検出器、X線管1、X線検出器移動用レール9および回転板6からなる。被検体8は寝台天板7上に位置し、撮影***は仰臥位を標準とする。そして、被検体8の撮りたい部位の中心は前記撮影系の回転中心付近に設定する。
【0066】
図1において、X線管1の回転半径Dは720mm、回転板6の回転中心とX線検出器のX線入力面すなわちX線イメージインテンシファイア3との距離dは380mm、X線検出器のX線入力面すなわちX線イメージインテンシファイア3の直径wは380mmである。撮影系の回転周期の代表例は5秒である。テレビカメラ6は、撮影素子として高解像度撮像管を使用している。X線検出器移動用レール9は、X線源1と回転板6の回転中心とを結ぶ直線に対して垂直な方向に配置されている。X線検出器はX線検出器移動用レール9上を移動することができる。
【0067】
次に、前記各部の概要を説明する。撮影制御手段106は、X線管1のX線発生とテレビカメラ5の撮影動作を制御する撮影シーケンスを規定する。
【0068】
回転板駆動手段101は、回転板6の回転を制御すると同時に、回転板6の回転角度のデータを出力する。
【0069】
X線照射野制御手段102はコリメータ11の位置を規定し、X線照射野を回転板6の回転面方向(以下、「水平方向」と記す)および回転方向と垂直な方向(以下、「垂直方向」と記す)にそれぞれ独立に規定する。
【0070】
被検体サイズ測定手段103は、図示しない公知の光発生装置および光センサ等から構成され、被検体8の水平方向の大きさを測定する。
【0071】
寝台位置制御手段104は、寝台天板7と該寝台天板7上の被検体8の位置を水平方向および垂直方向に移動して、被検体8の中心位置を回転板6の回転中心付近に配置する。
【0072】
検出器位置制御手段105は、X線検出器のX線検出器移動用レール9上の位置を規定し、この位置データを出力する。
【0073】
次に、図1に基づいて、本実施の形態の3次元X線CT装置の動作を説明する。
【0074】
まず、検者は当該3次元X線CT撮影の前に被検体8を乗せた寝台天板7の位置を移動し、被検体8の撮影位置を回転板6の回転中心付近の適正位置に配置する。次に、被検体サイズ測定手段103は被検体8の回転面方向のサイズをあらゆる角度方向から計測する。検出器位置制御手段105は、計測された被検体8のサイズに従って後述する方法でX線検出器の適正位置を計算し、X線検出器をX線検出器移動用レール9上で移動して前記適正な位置に配置する。X線照射野制御手段102は、X線検出器の位置に従ってコリメータ11を水平方向および垂直方向に移動し、X線照射野を後述する範囲に限定する。以上で撮影準備が終了し、次にX線CT撮影に入る。撮影に入ると同時に、回転板駆動手段101は回転板6の回転を開始する。撮影制御手段106は回転板6の回転に同期してX線管1のX線発生およびテレビカメラ5の撮影を制御する。X線管1から照射されたX線は被検体8を透過し、X線グリッド2により散乱線が遮断された後、X線イメージインテンシファイア3により可視光像に変換され、光学レンズ系4によってテレビカメラ5に結像される。テレビカメラ5は画像をビデオ信号に変換した後にA/D変換し、デジタル画像としてフレームメモリ107に記録する。この場合のテレビカメラ5のCTスキャンにおける標準走査モードは毎秒60フレーム、走査数525本であるが、たとえば、毎秒30フレーム、走査線数1050本等による撮影も可能である。このX線CT撮影(CTスキャン)における標準走査モードでは、1.25度毎に毎秒60枚の画像を計測し、4.8秒間に288枚の画像を得る。回転板駆動手段101は回転板6が360度回転した時点で回転を終了する。また、このとき撮影制御手段106はX線管1のX線発生およびテレビカメラ5の撮影を終了し、全てのX線CT撮影が終了する。一方、信号処理手段108は撮影に並行して、あるいは撮影終了後にフレームメモリ107からデジタル画像を読み出し、後述する信号処理によって被検体8の3次元CT像を再構成し、画像表示手段109に表示する。また、画像表示手段109は、フレームメモリ107に記録されたX線画像を直接表示することも可能である。
【0075】
次に、図2に本実施の形態の信号処理手段の概略構成を説明するためのブロック図を示し、信号処理手段108の構成を説明する。ただし、図2に示す各手段は、たとえば、信号処理手段を実現するための周知の情報処理装置上で動作するプログラムによって実現する。
【0076】
図2において、エアキャリブレーション手段700は、フレームメモリ107に記録されたX線画像をX線吸収係数の分布像に変換する周知の手段である。本実施の形態においては、まず、エアキャリブレーション手段700は被検体8および寝台天板7を配置しない状態で予め撮影された空気のX線透過像と、フレームメモリ107に記録されたX線画像との差分を取る。次に、エアキャリブレーション手段700はこの差分画像の各画素データに対して自然対数変換演算を行うことにより、被検体8および寝台天板7のX線吸収係数の分布像を得る。
【0077】
幾何学歪み補正手段701は、X線吸収係数の分布像の幾何学歪みを補正する周知の手段である。この幾何学歪みは、X線イメージインテンシファイア3によってX線透過像を光学像に変換する際に生じる幾何学歪みである。なお、幾何学歪み補正手段701における補正処理としては、例えばメディカルイメージングテクノロジー誌、第14巻、第5号(1996年)571〜580頁に記載の幾何学歪み補正方法を用いる。
【0078】
選択置換手段702は、X線吸収係数の分布像を撮像系の回転軸に相当する直線(図7に示すz軸)で2つの領域に分割し、検出器制御手段105の出力に基づいて、該2つの分布像の内で画像領域が大きい領域の分布像を選択領域、すなわち、分布像の画像データを他の値に置換することなく用いる領域として選択する選択手段(画像分割手段)と、それ以外の領域の画像データの値を“0(ゼロ)”に置き換える置換手段とからなる。ただし、置換手段による置換手順については後述する。
【0079】
フィルタリング手段703は3次元再構成におけるフィルタリング処理を行う周知の手段であり、0データ置換処理後の画像データに対して原理の項で説明した数7に基づくフィルタリング処理を行う。
【0080】
逆投影手段704はフィルタリングの後の画像データに対して逆投影演算を行う周知の手段であり、フェルドカンプの方法を用いて2次元再構成式(数5)を3次元に拡張した数6に基づいてフィルタリング後の画像データから3次元的X線像を再構成する。なお、本実施の形態においては、フィルタリング手段703と逆投影手段とによって3次元再構成手段を構成する。
【0081】
次に、図3に本実施の形態の信号処理手段における3次元再構成像の再構成手段を説明するための動作フローを示し、以下、図3に基づいて、図2に示す本実施の形態の信号処理手段の動作を説明する。
【0082】
本フローの開始は、フレームメモリ107へのX線画像の記録すなわち被検体8のX線画像の撮影である。
【0083】
まず、エアキャリブレーション手段700が、フレームメモリ107に記録されたX線画像を読み出し、該X線画像と予め撮影された空気のX線透過像とから当該X線画像をX線吸収係数の分布像に変換する(ステップ500)。エアキャリブレーション処理を施したX線画像は、次に幾何学歪み補正手段701によって、X線イメージインテンシファイア3によって生じるX線画像の幾何学歪みが補正される(501)。幾何学歪み補正処理を施したX線画像は、次に、選択置換手段702の選択手段によって選択領域が選択される(502)。選択されなかった領域の画像データの各値は、選択置換手段702の置換手段によって0に置換される(503)。0データ置換処理を施したX線画像は、次にフィルタリング手段703によって3次元X線CT再構成におけるフィルタリング処理が施された後(504)、逆投影処理手段704による逆投影処理が行われ(505)、3次元X線CT像が再構成される。フィルタリング手段703によるフィルタリング処理および逆投影手段704による逆投影処理における演算は、それぞれ数7および数6で表される。ただし、数7においては積分範囲がy>0に限定されているが、実際には0データ置換処理が既に行われているため、本実施の形態のフィルタリング手段703は画像データの存在する全ての範囲(0データ置換部分を含む)に対してフィルタリングを行う。
【0084】
次に、図4に本実施の形態の選択置換手段における画像データの置換手順を説明するための図を示し、以下、図4に基づいて、選択置換手段702における置換手順を説明する。ただし、図4におけるX線検出器面200は、X線検出器をX線管1に対して向かって右側(y>0)方向に移動した場合、すなわち、選択手段がy>0の領域の画像データを選択した場合を示す。なお、左側(y<0)方向にX線検出器を移動した場合においても以下の処理は同様に行うことができることはいうまでもない。
【0085】
以下の説明においては、X線検出器面200はX線イメージインテンシファイア3の入力面が円形であることから、円形状の形状を持ち、その半径をbとする。
【0086】
図4に示すように、たとえば、X線検出器がy軸方向に距離aだけ移動されているとすると、X線再構成で実際に利用される有効視野領域は0<y<Hかつ−V/2<z<V/2の範囲内で検出される画像データの領域603となる。ただし、H、Vの大きさは下記の数9によって表される。
【0087】
【数9】
【0088】
数9から明らかなように、H、Vの大きさはX線検出器の移動距離aによって決定される。有効視野領域をH方向すなわちy軸方向に拡大するにはX線検出器の移動距離aを大きくすればよいが、このとき同時にV方向すなわちz軸方向の有効視野領域が小さくなる。したがって、X線検出器の移動距離aの大きさは、被検体サイズ測定手段103で計測される被検体8のサイズを参考にして検者が操作卓10を通して設定するか、あるいは適当な値を自動設定してもよい。
【0089】
X線検出器面200上で、有効視野領域603の外に存在する領域は、y<0の領域604および|z|>V/2の領域602である。これらの領域内の画像データは、フィルタリング手段703および逆投影手段704による3次元CT再構成において使用されることがない。したがって、コリメータ11を用いて予めこれらの領域内はX線照射が行われないようにすることにより、被検体8のX線被爆量を減らすことができる。0置換は、有効視野領域603に対してy軸対象の領域601において行う。ただし、実際に置換を行うのは画像データが存在する604であり、その他の領域は仮想的にX線検出面が存在するものとして情報処理装置上で0が挿入される領域である。フィルタリング処理504は領域601と領域603とを合わせた全ての領域に対して、y軸方向に行う。ただし、実際にフィルタリング処理を行った場合、フィルタリング処理後の画像データは、y<0において、yが小さくなるにつれて急速に0に収束する。したがって、予め0置換を行う領域を−H’<y<0(H’<H)の領域のみに限定してもよい。このとき、フィルタリング処理503および逆投影処理504が前述の限定された領域と領域603とを合わせた領域のみに限定できるので、演算量を減少して、高速に演算を行うことができる。H’の目安としては、たとえば、Hの1/3〜1/2程度の距離が適当である。
【0090】
以上説明したように、本実施の形態の3次元X線CT装置では、X線管1と該X線管1および2次元検出器の回転中心軸とを結ぶ直線上からずらした位置に配置した当該2次元検出器で被検体8のX線画像を撮像し、該X線画像のエアキャリブレーション処理およびX線イメージインテンシファイア3のX線入力面での幾何学歪み補正処理後の画像データに対して、選択置換手段702が実際に画像データが存在する領域604の内で、有効視野領域603に対してy軸対象の領域601のデータを0に置換することによって、y<0の領域のデータがフィルタリング処理の演算範囲である0<y<2y0に影響を与えないようにできるので、従来のフィルタリング演算と同じ演算処理によってフィルタリング処理を行うことができる。すなわち、従来のフィルタリング手段を用いることによって、容易に3次元に拡張することができる。したがって、装置の製造コストを上昇させることなく視野を拡大できる。
【0091】
また、逆投影手段704が逆投影処理時の冗長性が存在しなくなったことを考慮した逆投影処理、すなわち、数6に示す逆投影演算を行うことにより、3次元的X線像を容易に再構成できる。すなわち、撮影系(撮影ガントリ)の1回転分のX線透視画像から大視野の3次元的CT像を再構成することができる。また、被検体を停止させたままでX線透過像を撮影することができる。さらには、被検体を停止させたままでX線透過像を撮影することができる。
【0092】
したがって、2次元検出器であるX線イメージインテンシファイア3の視野角よりも大きい視野角の3次元的CT像を再構成することができる。よって、大きな視野角が必要となる肺癌等の診断性能を向上させることができる。
【0093】
また、本実施の形態のフィルタリング手段703では、y<0の領域においてフィルタリングを行う領域をy軸の周辺に限定しているので、フィルタリング処理および逆投影処理の演算量を減少させることができるので、X線透視画像から3次元的CT像を高速に再構成することができる。
【0094】
なお、本実施の形態においては、X線検出器としてX線イメージインテンシファイア3、光学レンズ系4およびテレビカメラ5からなる系を用いたが、たとえば、このX線検出器を文献2に示されるTFT素子を用いた2次元X線検出器等で代用しても、同等の効果が得られることは言うまでもない。
【0095】
また本発明は、例えば、一般的なX線透視装置、X線撮影装置および立体X線撮影装置等にも適用できることは勿論である。
【0096】
以上、本発明者によってなされた発明を、前記発明の実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記発明の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは勿論である。
【0097】
【発明の効果】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、下記の通りである。
【0098】
(1)2次元検出器の視野角よりも大きい視野角の3次元的CT像を再構成することができる。
【0099】
(2)X線画像から3次元的CT像を高速に再構成することができる。
【0100】
(3)撮影ガントリの1回転分のX線画像から3次元的CT像を再構成することができる。
【0101】
(4)被検体を停止させたままでX線透過像を撮影することができる。
【0102】
(5)被検体のX線被爆量を減少させながら2次元検出器の視野角よりも大きい視野角の3次元的CT像を再構成することができる。
【0103】
(6)肺癌等の診断性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明の一実施の形態に係る3次元X線CT装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本実施の形態の信号処理手段の概略構成を説明するためのブロック図である。
【図3】本実施の形態の信号処理手段における3次元再構成像の再構成手段を説明するための動作フローである。
【図4】本実施の形態の選択置換手段における画像データの置換手順を説明するための図である。
【図5】1次元検出器面に垂直に入射する平行X線ビームと再構成領域との関係を説明するための図である。
【図6】1次元検出器面に垂直に入射する扇状X線ビームと再構成領域との関係を説明するための図である。
【図7】2次元検出器面に垂直に入射する円錐状のX線ビームと再構成領域との関係を説明するための図である。
【符号の説明】
1…X線管、2…X線グリッド、3…X線イメージインテンシファイア、4…光学レンズ系、5…テレビカメラ、6…回転板、7…寝台天板、8…被検体、9…X線検出器移動用レール、10…操作卓、11…コリメータ、101…回転板駆動手段、102…X線照射野制御手段、103…被検体サイズ測定手段、104…寝台位置制御手段、105…検出器位置制御手段、106…撮影制御手段、107…フレームメモリ、108…信号処理手段、109…画像表示手段、200…X線検出器面、700…エアキャリブレーション手段、701…幾何学歪み補正手段、702…選択置換手段、703…フィルタリング手段、704…逆投影手段。
Claims (2)
- 被検体に円錐状もしくは角錐状のX線を照射するX線照射手段と、前記被検体を前記X線により2次元で撮影する2次元撮像手段と、前記X線照射手段および前記2次元撮像手段を前記被検体の周りに回転させる回転手段と、前記2次元撮像手段が撮像した2次元X線像から3次元的X線像を再構成する3次元再構成手段とを有する3次元X線CT装置において、前記X線照射手段と前記2次元撮像手段とからなる撮像系が描く回転面と平行な方向に前記X線照射手段と前記2次元撮像手段との相対的な位置を移動させる撮像系移動手段と、前記2次元撮像手段で撮像した2次元X線像を前記撮像系の回転軸に該当する部分で分割し、該分割した2次元X線像内の一方の側の2次元X線像を選択する画像分割手段と、該選択画像領域から外れる部分の画像値を0に置換する置換手段と、該置換後のX線像を当該回転角における2次元X線像として3次元的X線像を再構成する3次元再構成手段とを具備することを特徴とする3次元X線CT装置。
- 被検体に円錐状もしくは角錐状のX線を照射するX線照射手段と、前記被検体を前記X線により2次元で撮影する2次元撮像手段と、前記X線照射手段および前記2次元撮像手段を前記被検体の周りに回転させる回転手段と、前記2次元撮像手段が撮像した2次元X線像から3次元的X線像を再構成する3次元再構成手段とを有する3次元X線CT装置において、前記X線照射手段と前記2次元撮像手段とからなる撮像系が描く回転面と平行な方向に前記X線照射手段と前記2次元撮像手段との相対的な位置を移動させる撮像系移動手段と、前記2次元撮像手段で撮像した2次元X線像を前記撮像系の回転軸に該当する部分で分割し、該分割した2次元X線像内の一方の側の2次元X線像を選択する画像分割手段と、前記分割した他方の側の2次元X線像の内で前記回転軸に該当する部分から所定の距離以内の領域の画像値を0に置換する置換手段と、前記一方の側の2次元X線像と前記置換領域内の2次元X線像とを当該回転角における2次元X線像として3次元的X線像を再構成する3次元再構成手段とを具備することを特徴とする3次元X線CT装置。
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