JP3540335B2 - 部品管理装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、プラントを構成する各種部品の履歴を管理する部品管理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
プラントの代表例として、発電プラント、中でも特に厳しい部品の寿命管理が要求されるコンバインドサイクルプラントについて説明する。周知のように、コンバインドサイクルプラントは、複数軸から構成されており、各軸には使用する燃料の違いにより一部異なる部品が使用されるが、大部分の部品は互換性のある同種の部品が使用されている。このため、年に数回行われるプラントの定期点検時には、新しい部品ばかりではなく他の軸で運転され修理、点検が終わり返却された部品も使用して部品の運用の効率化を図っている。
【0003】
コンバインドサイクルプラントは、ベース負荷運用の原子力プラントに対して、中間負荷運用として活用されているため、起動停止が特に頻繁に行われるという特殊性がある。また、コンバインドサイクルプラントでは、燃焼器やトラジションピースなどは高温状態で使用されるため、部品の消耗が激しく起動停止等の要因も影響して部品の交換回数も多い。
【0004】
従来、上記したコンバインドサイクルプラントでは、各部品に経験値を含めて寿命、例えば、部品について運転時間を設定し、定検時に次回の定検時までの予測時間を含めて実際に各部品の運転時間を積算値して、この時間が設定された運転時間を越えれば、定検時に寿命としてその部品を交換していた。
【0005】
また、例えば、図12に示すように、起動停止回数に対する寿命を図示実線Xとして、起動停止回数から現時点の部品の寿命を予測し、次回の定検時までに図示鎖線Yの寿命の設定値に図示実線Xが至る起動停止回数N1のとき、前もって部品を交換していた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来の部品管理では、正確に部品の寿命を予測することが困難であり、部品の寿命の管理が十分にされていないという問題がある。
【0007】
まず、部品の寿命は、プラントの起動停止回数とピーク運転時間とトリップ回数が多い程短いことが知られている。従って、従来のように運転時間または起動停止回数の積算値と予め設定された経験値による寿命値との比較のみで部品の寿命を決めるのでは、部品の寿命の予測が不正確である。このため安全性を重視して寿命を短く設定していたため各部品の寿命の予測が短くなり不必要な部品交換をするという問題があった。
【0008】
また、例えば、過去の運転時間に基づく部品の寿命から予測式を作成し、部品の予測をすることも行われていた。ところが、運転時間等の積算や予測式の作成が手計算でされていたため多大の労力と時間を要し、しかも、予測式が不正確で、部品の寿命の予測に役立っていなかった。
【0009】
そこで、本発明は手間を要することなく、正確に各部品の交換タイミングを把握し管理する部品管理装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、発電プラントを構成する機器の部品を管理する部品管理装置において、部品の寿命予測値の算出に必要なプラント情報を前記発電プラントから入力し、部品の履歴情報を作成してデータベースとして記憶媒体に格納するプラント入力手段と、部品の寿命予測値の算出に必要な寿命予測値算出情報をオペレータが入力するオペレータ入力手段と、部品の履歴情報と寿命予測値算出情報とに基づいて回帰分析による寿命予測式を算出すると共に、この算出された寿命予測式と部品の履歴情報とから部品の寿命予測値を算出し、さらに、算出された部品の寿命予測値と点検予定日とから部品交換計画資料を作成する計算手段とを設けるようにしたものである。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1の発明におけて、プラント情報を、ピーク運転時間と起動停止回数とトリップ回数とし、回帰分析の目的変数を過去の寿命値である部品の運転時間とすると共に、説明変数をピーク運転時間と起動停止回数とトリップ回数と重回帰分析とするようにしたものである。
【0012】
【作用】
請求項1の発明は、部品の寿命予測値の算出に必要なプラント情報が入力され、部品履歴情報がデータベースとして格納される。次に、回帰分析がされ、寿命予測式が部品履歴情報に基づいて算出され、寿命予測式と部品履歴情報とから部品の寿命予測値が算出される。これによつて、プラントの寿命の決定要因となるプラント情報が常時プラントから取り込まれ部品履歴情報が常に的確に作成される。そして、回帰分析による寿命予測式が部品履歴情報によって算出されるため部品の寿命予測値が求められる。さらに、部品交換計画資料が部品の予測寿命値と点検予定日とから作成される。従って、部品の交換時期を正確に予測でき管理が効率的にでき、しかも、従来のように労力と時間を要することがない。
【0013】
請求項2の発明は、ピーク運転時間と起動停止回数とトリップ回数とがプラントから入力され、部品の履歴情報がデータベースとして格納される。次に、部品の履歴情報に基づいて重回帰分析を行って各重回帰式が算出され、各重回帰式と部品の履歴情報とから部品の寿命予測値が算出される。さらに、部品交換計画が各部品の寿命値と点検予定日とから作成される。従って、部品の寿命を決定する要因を考慮したピーク運転時間と起動停止回数とトリップ回数とを用いて重回帰式を求めているため、部品の正確な寿命の予測ができ、従来のように、労力と時間を要することなく管理することができる。
【0014】
【実施例】
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施例を示す部品管理装置の構成図である。部品管理装置1は、プラント入力手段2とオペレータ入力手段3とデータベース4と計算手段5と出力装置6とから構成され、プラント7に接続される。本実施例は、プラント7として、発電プラントにおけるコンバインドサイクルプラントに適用したもので、コンバインドサイクルプラントは、ガスタービンを利用することにより、熱効率が高いこと、起動停止時間が短い等の特徴がある。
【0016】
プラント入力手段2は、プラント7の運転時間、起動停止回数等プラント運転情報を入力して、データベース4として記憶媒体に格納するものである。オペレータ入力手段3は、プラント7で使用する部品の名称や種類などの部品情報や定期点検の予定、寿命予測を行う計算式およびプラント運転情報を入力して、データベース4として記憶媒体に格納するものである。
【0017】
データベース4は、プラント入力手段2、オペレータ入力手段3や計算手段5により求められた結果を保存する磁気ディスクに代表されるデータ記録媒体内のテーブルで、後述する部品履歴テーブルと部品種類テーブルと寿命予測式テーブル等で構成されるものである。
【0018】
計算手段5は、寿命予測計算を行うもので、部品履歴テーブルから寿命予測を行う部品と同種の既に廃棄した時点でのピーク運転時間17、トリップ回数18、起動停止回数19を取り出し、それらを説明変数とし、廃棄した時点での運転時間16を目的変数として最小2乗法を用いて重回帰分析を行い、その結果得られた重回帰式をその種類の部品の寿命予測式とし、その寿命予測式を寿命予測式テーブルに格納するものである。出力装置6は、データベース4の内容や計算手段5による計算結果を表示装置6aに表示し、印字装置6bに印字するものである。
【0019】
ここで、データベース4の構成を詳細に説明する。
【0020】
まず、部品履歴テーブル4aは、図2に示すように部品番号11と部品種類12と年月日13と部品状態14と使用軸15と運転時間16とピーク運転時間17とトリップ回数18と起動停止回数19から構成される。
【0021】
ここで、部品番号11とは、各部品に付けられたシリアルな番号のことをいい、部品種類12とは、プラント7で使用される部品の名称を識別するもので、後述する部品種類テーブルの各部品種類番号に対する番号のことをいう。
【0022】
年月日13とは、部品の状態が変化したときに記録される年月日を、部品状態14とは、部品が新規に登録されてから廃棄されるまでの各状態のことで、新規登録、使用軸移動、修理中、廃棄等をそれぞれいう。また、使用軸15とは、コンバインドサイクルにおける複数軸の内どこの軸で使用されているかをいう。
【0023】
運転時間16とは、その部品が使用されているときの累計時間を、ピーク運転時間17とは、部品が使用されているときにプラント7がピークになった時間を、トリップ回数18とは、その部品が使用されているときにプラント7がトリップした回数を、起動停止回数19とは、その部品が使用されているときにプラント7が起動した回数をそれぞれいう。
【0024】
また、部品種類テーブル4bは、図3に示すように、部品種類番号20と部品種類21とから構成され、部品種類番号20は、部品の種類を識別する番号のエリアで、部品種類21は、部品種類番号20に対応する名称のエリアである。
【0025】
寿命予測式テーブル4cは、計算手段5によって計算された寿命予測式の偏回帰係数を部品種類別に格納するテーブルで、図4に示すように、部品種類22、係数a23、係数b24、係数c25、定数d26から構成される。
【0026】
ここで、部品種類22とはプラント7で使用される部品の名称を識別するもので、図3の部品種類テーブル4bの各部品種類に対する番号が格納されている。また、係数a23、係数b24、係数c25とは、寿命予測式のそれぞれの偏回帰係数を示し、係数a23はピーク運転時間にかかる偏回帰係数、係数b24はトリップ回数にかかる偏回帰係数、係数c25は起動停止回数にかかる偏回帰係数である。また、定数d26は寿命予測式の定数部分である
【0027】
以上の構成で、部品管理装置1の処理手順の概要を示す図5を主に参照して説明すると、まず、オペレータ入力手段3からオペレータが寿命予測式計算の実行入力する(101)(102)。これによって、計算手段5は、図6に示すように、まず、部品履歴テーブル4a内の同種の部品に対する既に廃棄された部品の廃棄された時点の情報を取り出す(201)。
【0028】
ここで、取り出す情報は部品の寿命を決定する要因であるピーク運転時間17、トリップ回数18、起動停止回数19と実際に寿命を迎えたときの運転時間16である。これらのデータにおいて、過去の寿命値である運転時間16を目的変数(y)とし、ピーク運転時間17、トリップ回数18、起動停止回数19を説明変数(x1,x2,x3)として重回帰分析を行う(202)。この結果求められた重回帰式は、その種類の部品の寿命予測式とする(203)。そして、求めた寿命予測式の偏回帰係数(a,b,c)と定数d26をその部品の部品種類に対して格納する(204)。
【0029】
これによつて、図5の寿命予測式テーブル4cの変更がされる(103)。すなわち、寿命予測式は、次の式(1)が得られる。
【0030】
【数1】
y=ax1+bx2+cx3+d……………(1)
【0031】
次に、オペレータは、図7に示す如くの点検予定入力画面27から点検予定を入力する(104)。この画面にはタイトル部28と点検予定入力部29とが形成され、点検予定入力部29の中に各軸の点検予定を(*)で入力し、リターンキーにより実行させる。年月はカーソルによりスクロールすることにより、最大10年間の将来予定を入力することが可能となるようにしている。
【0032】
これによって、コンバインドサイクルの各軸の点検予定が入力され定検予定に従った交換計画が策定される。
【0033】
次に、計算手段5は、部品の交換の計画を策定する(105)。
【0034】
まず、図8に示す処理手順に従って説明すると、まず、部品履歴テーブル4a内の過去の実績の平均値から採点の月間のピーク運転時間17、月間のトリップ回数18、月間の起動停止回数19が設定される(301)。次に、オペレータ入力手段3によつて入力された点検予定月でのピーク運転時間17、トリップ回数18、起動停止回数19の累積値を計算する(302)。さらに、寿命予測式テーブル4c内の各部品の寿命予測式にそれぞれの累計値をあてはめ、各部品の寿命を予測する(303)。
【0035】
次に、点検予定月までのその部品の運転時間の予測値を求め、この点検予定月での運転時間の予測値と寿命予測式から求められた寿命との比較をする(304)。
【0036】
この結果、点検予定月での部品の寿命が点検予定月での運転時間の予測値が越えていないとき、つまり、まだ、次回の点検予定月まで部品の寿命があるとき、次回の点検予定月のそれぞれの累計値を求めて(305)、さらに、寿命予測を繰り返す(303)(304)。
【0037】
一方、上記した比較で運転時間の予測値が点検予定月の部品の寿命を上回っていたら、その点検までにその部品はそれ以上運転するのはクリティカルなものとなる。このため、その点検より1回前の点検時にその部品を廃棄するようにし、1軸から5軸までに使用されていない予備の部品と交換するようにオペレータに対してガイダンスする(306)。
【0038】
この処理は全ての部品について行う(307)。この処理が終わると、図示省略する画面では予算計画を策定するかどうか(y/n)のメッセージが表示される(106)。
【0039】
ここで、(y)を押下すると、図9に示すように、部品購入費入力35の画面が表示され、各部品種類別の購入費を入力する(107)。この画面にはタイトル部36、部品購入費入力部37が形成され、部品購入費入力部37の中に各部品の購入費を入力し、リターンキーにより実行させる。
【0040】
この購入費に従い、予算計画が策定される(108)。全ての処理が終了すると、出力装置6に図10または図11に示すように処理結果が表示出力がされる(109)。
【0041】
ここで、図10は、部品交換計画38を示し、部品名39「トラジションピース」の各軸41の最初に各軸41〜45で使用されている部品が示されている。まず、1軸41に注目すると、92/上まではTRP001という部品が使用されているが、92/下ではTRP051という部品が使用されている。これは、92/上においてTRP001という部品が寿命を迎え、予備として登録されていたTRP051という部品が1軸41に付けられたことを示している。従って、92/上において廃棄個数46が1となり、92/下に購入個数47が1となっている。
【0042】
また、図11は予算計画48を示し、タイトル49に「1992年度部品購入費」が表示され、その年の全ての部品種類について部品種類50、廃棄個数51、購入個数52、金額53とその合計値54が示されている。これにより予算計画をたてるものである。
【0043】
このように、各部品の寿命を決定するプラントのピーク運転時間、トリップ回数、起動停止回数なる3つの要因からより正確な寿命を求めることができ、各部品の部品交換タイミングをつかむことができると共に、数年先の部品購入に伴う予算計画をたてることができる。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1の発明は、部品の寿命の決定要因となるプラント情報が常時プラントから取り込まれ、回帰分析による寿命予測式が算出されるため部品の寿命予測値が正確に求められる。従って、正確な部品の交換時間を予測でき、その上、多くの繁雑な手間を要することなく部品管理ができる。
【0045】
請求項2の発明は、プラントの負荷状態を考慮し、部品の寿命の決定要因となるピーク運転時間と起動停止回数とトリップ回数とを用いて重回帰式を求めているため、部品の正確な寿命の予測ができ、正確な部品交換タイミングを把握できる。しかも、多くの手間を要することなく部品管理ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す部品管理装置の構成図である。
【図2】図1の部品履歴テーブルの構成図である。
【図3】図1の部品種類テーブルの構成図である。
【図4】図1の寿命予測式テーブルの構成図である。
【図5】図1の部品管理装置の主な処理手順を示すフローチャートである。
【図6】図5の処理において寿命予測式を作成する処理手順を示すフローチャートである。
【図7】図5の処理において点検予定を入力する画面例である。
【図8】図5の処理において部品交換計画策定計算をする処理手順を示すフローチャートである。
【図9】図5の処理において部品購入費の入力画面例である。
【図10】図5の処理において部品交換計画の出力結果の画面例である。
【図11】図5の処理によって予算計画出力結果の画面例である。
【図12】従来の部品の寿命例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 部品管理装置
2 プラント入力手段
3 オペレータ入力手段
4 データベース
4a 部品履歴テーブル
4b 部品種類テーブル
4c 寿命予測式テーブル
5 計算手段
6 出力装置
7 プラント
Claims (2)
- 発電プラントを構成する機器の部品を管理する部品管理装置において、
前記部品の寿命予測値の算出に必要なプラント情報を前記発電プラントから入力し、部品の履歴情報を作成してデータベースとして記憶媒体に格納するプラント入力手段と、
前記部品の寿命予測値の算出に必要な寿命予測値算出情報をオペレータが入力するオペレータ入力手段と、
前記部品の履歴情報と前記寿命予測値算出情報とに基づいて回帰分析による寿命予測式を算出すると共に、この算出された寿命予測式と前記部品の履歴情報とから部品の寿命予測値を算出し、さらに、算出された部品の寿命予測値と点検予定日とから部品交換計画資料を作成する計算手段とを備えたことを特徴とする部品管理装置。 - 前記プラント情報は、ピーク運転時間と起動停止回数とトリップ回数とし、前記回帰分析は、目的変数を過去の寿命値である部品の運転時間とすると共に、説明変数を前記ピーク運転時間と起動停止回数とトリップ回数とする重回帰分析としたことを特徴とする請求項1記載の部品管理装置。
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