JP3539791B2 - ディスプレイ装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、例えば3次元画像の表現等に用いられるディスプレイホログラムに利用されるディスプレイ装置に係り、特に明るい部屋で再生像を観察する場合においても、再生像の画質を向上するようにしたディスプレイ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、例えば3次元画像の表示等に用いられるディスプレイホログラムを利用して、小さなスペースで、ぼけの少ない再生像を得るためのディスプレイ装置が、本出願人により提案されてきている。
【0003】
図2は、この種のディスプレイ装置の構成例を示す側面図である。
このディスプレイ装置は、図2に示すように、ホログラム面に対してほぼ平行に近い照明角度(例えば、70〜80度)で再生されるディスプレイホログラムである反射型ホログラム5と、この反射型ホログラム5を照明する照明光源6と、正面付近の方向の光のみを通過させるブラインド状の遮光板7と、これら反射型ホログラム5、照明光源6、および遮光板7を支持する支持台8とから構成されている。
【0004】
かかるディスプレイ装置においては、反射型ホログラム5は、理想的な条件で再生する照明光源6からの光で再生されるため、ぼけのない再生像を得ることができる。
【0005】
また、再生照明光が、反射型ホログラム5のホログラム面に対して、ほぼ平行に近い70〜80度の角度から入射するため、照明光源6の部分を小さくできるので、装置全体が場所をとらないで済む。
【0006】
さらに、斜め方向から反射型ホログラム5に入射する光を、遮光板7により遮っているので、明るい部屋でも、外部光源からの光によって歪んだ像が再生されるのが抑えられている。
【0007】
しかしながら、このようなディスプレイ装置では、反射型ホログラム5に正面方向から入射する光は遮られないことから、明るい部屋で再生像を観察する場合には、観察者の顔や後ろの情景等が反射型ホログラム5表面で反射されて、再生像と一緒に見えてしまう。
【0008】
特に、エンボスホログラム等の表面レリーフ反射型ホログラムでは、ホログラム表面にアルミ蒸着等を行なって反射率を高くしてあることから、観察者の顔や後ろの情景等がかなり明るく見えることになり、再生像を観察する邪魔になってしまう。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、従来のディスプレイ装置においては、明るい部屋で再生像を観察する場合には、再生像と一緒に、観察者の顔や後ろの情景等が見えてしまい、再生像を観察する邪魔になるという問題があった。
【0010】
本発明は、上記のような問題を解消するために成されたもので、明るい部屋で再生像を観察する場合にも、観察者の顔や後ろの情景等の映り込みに邪魔されることなく、きれいな再生像を観察することが可能なディスプレイ装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、まず、請求項1に対応する発明のディスプレイ装置は、ホログラム面に対する垂線方向が、正面方向に対して第1の所定角度だけ傾くように設置され、ホログラム面に対してほぼ平行に近い第2の所定角度の照明光で再生すると、正面付近の方向から再生像が観察されるディスプレイホログラムと、第2の所定角度の光によりディスプレイホログラムを照明する照明光源と、ディスプレイホログラムの観察面側に配置され、正面付近の方向の光のみを通過させ、正面方向から第1の所定角度のほぼ2倍程度傾いた方向の光は遮るブラインド状の遮光体とを一体化して成り、第1の所定角度は、遮光体を通過した光がディスプレイホログラム表面で反射して観察者に達しない程度の角度とする。
【0012】
また、請求項2に対応する発明のディスプレイ装置は、上記請求項1に対応する発明のディスプレイ装置において、ディスプレイホログラムと照明光源と遮光体とを支持する支持台を付加して成る。
【0013】
ここで、特に上記第1の所定角度としては、ホログラム面の垂線方向が正面方向から10〜20度の範囲の角度とし、また上記第2の所定角度としては、ホログラム面の垂線から70〜80度の範囲の角度とすることが好ましい。
【0014】
【作用】
従って、本発明のディスプレイ装置においては、ホログラム面に対する垂線方向が、正面方向に対して、遮光体を通過した光がディスプレイホログラム表面で反射して観察者に達しない程度の角度だけ傾くように、ディスプレイホログラムを設置することにより、ディスプレイホログラムの観察面側に配置された正面付近の方向の光のみを通すブラインド状の遮光板によって、明るい部屋で再生像を観察する場合にも、観察者の顔や後ろの情景等がホログラム面に反射されて目に入るのが遮られるため、きれいな再生像を観察することができる。
【0015】
【実施例】
まず、本発明の考え方について説明する。
従来の再生装置では、ホログラム面の垂線方向がほぼ正面方向に一致するように、ディスプレイホログラムが設置されている。このため、遮光体で遮られない正面付近の方向からホログラムに入射した光が、ほぼ正面に反射されて観察者の目に入っている。
【0016】
ホログラム面の垂線方向が正面方向から傾いた角度となるように、ディスプレイホログラムを設置すると、ホログラム面で反射されて正面付近にでる光は、ホログラムの傾き角度のほぼ2倍の角度だけ正面から傾いた斜めの方向付近からホログラム面に入射する光となることから、適当な遮光板を用いれば遮ることができる。
【0017】
そこで、本発明では、傾いた状態で設置した時の正面付近の方向から再生像が観察できるようなディスプレイホログラムを、その角度傾いた状態で用いて、その観察面側にホログラム面の傾き角度のほぼ2倍の角度だけ正面方向から傾いた方向付近から入射する光を遮るような遮光板を配置してやることにより、観察者の顔や後ろの情景等が、ホログラム面で反射されて目にはいることがなくなり、きれいな再生像を観察し易いディスプレイ装置を得るものである。
【0018】
以下、上記のような考え方に基づく本発明の一実施例について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明によるディスプレイ装置の全体構成例を示す側面図である。なお、図1では、ディスプレイホログラムとして反射型ホログラム(レインボウホログラム)を用いた場合を例をとって説明する。
【0019】
すなわち、本実施例のディスプレイ装置は、図1に示すように、ホログラム面に対する垂線方向が、正面方向に対して第1の所定角度aだけ傾くように設置され、ホログラム面に対してほぼ平行に近い第2の所定角度bの照明光で再生すると、正面付近の方向から再生像が観察されるように作製されたディスプレイホログラムである反射型ホログラム(本例では、レインボウホログラム)1と、上記第2の所定角度bの光により反射型ホログラム1を照明する照明光源(本例では、白色の平行光を発する光源)2と、反射型ホログラム1の観察面側に配置され、正面付近の方向の光のみを通過させ、正面方向から上記第1の所定角度aのほぼ2倍程度傾いた方向の光は遮るようなブランド状の遮光体3と、これら反射型ホログラム1、照明光源2、および遮光体3を支持する支持台4とを一体化して成っている。
【0020】
ここで、第1の所定角度(ホログラム面の垂線方向の正面方向に対する傾き角度)aとしては、遮光体3を通過した光が反射型ホログラム1表面で反射して観察者に達しない程度の角度とする。すなわち、5〜25度の範囲の角度、本例では、より好ましい10〜20度の範囲の角度とする。
【0021】
また、第2の所定角度bとしては、ホログラム面の垂線から65〜85度の範囲の角度、本例では、より好ましい70〜80度の角度とする。
なお、ここで、第1の所定角度(ホログラム面の垂線方向の正面方向に対する傾き角度)aを、5〜25度の範囲の角度とするのは、次のような理由からである。
【0022】
すなわち、傾き角度aが大きくなると、設置した反射型ホログラム1が奥行き方向に場所をとるために、ディスプレイ装置自体が大きくなってしまい、ほぼ平行に近い照明光源2で反射型ホログラム1を再生させることで、装置を小型化している効果が損なわれてしまう。そこで、装置の小型化を損なわない角度として、25度以下の角度にするのが好ましい。
【0023】
一方、傾き角度aを小さくし過ぎると、遮光体3で透過できる光の角度範囲を小さくしなければならなくなることから、ホログラム再生像を観察できる範囲が狭くなってしまう。ホログラムの再生像を観察できる範囲は、40度以上欲しい(本例で示したレインボウホログラムの場合、正面方向を中心に40度程度の角度にスペクトルが広がる)ことから、遮光体3で透過できる光の角度範囲を40度以上とるために、反射型ホログラム1の傾き角度を5度以上にすることが好ましい。
【0024】
このような観点から、ホログラム面の垂線方向の正面方向に対する傾き角度aを、5〜25度の範囲の角度にすることが適している。
図2は、上記反射型ホログラム1を作製するための光学系の構成例を示す概要図である。
【0025】
まず、図2に示すような光学系を用いて、乾板9上に反射型レインボウホログラムを記録する。
すなわち、図示しない一つのレーザー光源から発したレーザー光線は、分光器10によって2つの光に分割される。
【0026】
一方の光は、ミラー11で反射された後に、対物レンズ12で広げられ、レンズ13により平行光になってマスターホログラム14を照明し、マスターホログラム14で回折された後に、スリット15を通過し、物体光として斜めの方向(本例では、乾板面の垂線から10〜20度の範囲の角度)から乾板9に届く。
【0027】
また、もう一方の光は、ミラー16で反射された後に、対物レンズ17で広げられ、レンズ18により平行光になって乾板9に斜めの角度(本例では、乾板9面の垂線から70〜80度の角度)から、乾板9に参照光として入射する。
【0028】
そして、この物体光と参照光との2つの光の干渉によって、乾板9上にレインボウホログラムを記録する。
この際、乾板9にフォトレジスト等、光強度を表面の凸凹で記録する材料を用いて、その表面に反射層を設けることにより、反射型ホログラム(レインボウホログラム)1を得る。
【0029】
ここで、乾板9の垂直方向に対して、物体光が通ってくるスリット15の方向の角度が、図1に用いる反射型ホログラム1での、正面方向に対するホログラム面の垂線方向の傾き角度と同じになるようにすることが重要である。
【0030】
また、参照光の角度は、反射による弊害が生じない範囲で90度になるべく近い角度として、70〜80度の角度を用いる。
次に、以上のように構成した本実施例のディスプレイ装置の作用について説明する。
【0031】
図2のようにして作製された反射型ホログラム(レインボウホログラム)1を用いて、図1に示すような系で像を再生する。図2のような光学系で作製されたような反射型ホログラム1の場合には、照明光源2としては、白色の平行光を発する光源を用い、反射型ホログラム1を再生する角度が、ホログラム撮影時に参照光が乾板9面で反射される方向と同じ角度となるようにする。
【0032】
このようにすると、ホログラム面の垂線方向に対して、撮影時の乾板9の垂直方向に対するスリット15の方向の角度と同じ角度の方向から再生像が観察できることになるため、図3(a)に示すように、遮光体3で遮られることなく、正面からきれいな再生像が観察できる。
【0033】
一方、ホログラム面で反射されて正面付近に出る光は、反射型ホログラム1の傾き角度の2倍の角度正面から傾いた斜めの方向付近からホログラム面に入射する光となるため、図3(b)に示すように、反射型ホログラム1の観察面側に配置されている正面付近の方向の光のみを通過し、正面方向から第1の所定角度aのほぼ2倍程度傾いた方向の光は遮るようなブラインド状の遮光体3によって遮られることになるので、明るい部屋で像を観察する場合にも、観察者の顔や後ろの情景等がホログラム面で反射されて目に入ることがない。
【0034】
すなわち、ホログラム面に対する垂線方向が、正面方向に対して第1の角度aだけ傾くように設置され、正面付近の方向から再生像が観察できるように作製された反射板ホログラム(レインボウホログラム)1と、それに見合った角度で反射型ホログラム1を照明する照明光源(本例では、白色の平行光を発する光源)2と、正面付近の方向の光のみを通し、正面方向から反射型ホログラム1の傾き角度のほぼ2倍程度傾いた方向の光は遮るようなブラインド状の遮光体3とを用いることによって、正面方向から、観察者の顔や後ろの情景等の映り込みに邪魔されることなく、きれいな再生画像を観察することができる。
【0035】
これにより、明るい部屋で再生像を観察する場合にも、観察者の顔や後ろの情景等の映り込みに邪魔されることなく、きれいな再生画像を観察することが可能なディスプレイ装置が得られ、3次元ディスプレイに関して極めて有用である。
【0036】
上述したように、本実施例のディスプレイ装置は、ホログラム面に対する垂線方向が、正面方向に対して、第1の所定角度(遮光体3を通過した光が反射型ホログラム1表面で反射して観察者に達しない程度の角度:10〜20度)aだけ傾くように設置され、ホログラム面に対してほぼ平行に近い第2の所定角度(ホログラム面の垂線から70〜80度)bの照明光で再生すると、正面付近の方向から再生像が観察されるように作製されたディスプレイホログラムである反射型ホログラム(本例では、レインボウホログラム)1と、上記第2の所定角度bの光により反射型ホログラム1を照明する照明光源(本例では、白色の平行光を発する光源)2と、反射型ホログラム1の観察面側に配置され、正面付近の方向の光のみを通過させ、正面方向から上記第1の所定角度aのほぼ2倍程度傾いた方向の光は遮るようなブランド状の遮光体3と、これら反射型ホログラム1、照明光源2、および遮光体3を支持する支持台4とを一体化して構成したものである。
【0037】
従って、ホログラム面の垂線方向の正面方向から傾いた角度となるように、反射型ホログラム1が設置されているため、ホログラム面で反射されて正面付近に出る光は、反射型ホログラム1の観測面側に配置されている遮光体3で遮られるため、観察者の顔や後ろの情景等がホログラム面で反射されて目に入ることがなくなり、きれいな再生像を観察することができる。
【0038】
これにより、明るい部屋で再生像を観察する場合にも、観察者の顔や後ろの情景等の映り込みに邪魔されることなく、きれいな再生画像を観察することが可能になる。
【0039】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、ホログラム面に対する垂線方向が、正面方向に対して第1の所定角度だけ傾くように設置され、ホログラム面に対してほぼ平行に近い第2の所定角度の照明光で再生すると、正面付近の方向から再生像が観察されるディスプレイホログラムと、第2の所定角度の光によりディスプレイホログラムを照明する照明光源と、ディスプレイホログラムの観察面側に配置され、正面付近の方向の光のみを通過させ、正面方向から第1の所定角度のほぼ2倍程度傾いた方向の光は遮るブラインド状の遮光体とを一体化して成り、第1の所定角度は、遮光体を通過した光がディスプレイホログラム表面で反射して観察者に達しない程度の角度とするようにしたので、明るい部屋で再生像を観察する場合にも、観察者の顔や後ろの情景等の映り込みに邪魔されることなく、きれいな再生像を観察することが可能なディスプレイ装置が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるディスプレイ装置の一実施例を示す側面図。
【図2】同実施例における反射型ホログラムを作製するための光学系の構成例を示す概要図。
【図3】同実施例におけるディスプレイ装置の観察の様子を説明するための概要図。
【図4】従来のディスプレイ装置の構成例を示す側面図。
【符号の説明】
1…反射型ホログラム、
2…照明光源、
3…ブラインド状の遮光体、
4…支持台、
5…反射型ホログラム、
6…照明光源、
7…ブラインド状の遮光体、
8…支持台、
9…乾板、
10…分光器、
11…ミラー、
12…体物レンズ、
13…レンズ、
14…マスターホログラム、
15…スリット、
16…ミラー、
17…対物レンズ、
18…レンズ。
Claims (3)
- ホログラム面に対する垂線方向が、正面方向に対して第1の所定角度だけ傾くように設置され、前記ホログラム面に対してほぼ平行に近い第2の所定角度の照明光で再生すると、正面付近の方向から再生像が観察されるディスプレイホログラムと、
前記第2の所定角度の光により前記ディスプレイホログラムを照明する照明光源と、
前記ディスプレイホログラムの観察面側に配置され、前記正面付近の方向の光のみを通過させ、前記正面方向から第1の所定角度のほぼ2倍程度傾いた方向の光は遮るブラインド状の遮光体とを一体化して成り、
前記第1の所定角度は、前記遮光体を通過した光がディスプレイホログラム表面で反射して観察者に達しない程度の角度とするようにしたことを特徴とするディスプレイ装置。 - 前記請求項1に記載のディスプレイ装置において、
ディスプレイホログラムと照明光源と遮光体とを支持する支持台を付加して成ることを特徴とするディスプレイ装置。 - 前記第1の所定角度としては、ホログラム面の垂線方向が正面方向から10〜20度の範囲の角度とし、また前記第2の所定角度としては、ホログラム面の垂線から70〜80度の範囲の角度とするようにしたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のディスプレイ装置。
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