JP3539446B2 - 副生成物トラップ装置及びその洗浄方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、成膜中の生成物及び副生成物並びにプロセス装置の洗浄時に生成される副生成物をプロセス装置から真空ポンプまでの間でトラップさせ、真空ポンプの目詰まりを防ぐとともに、排気系配管を外すことなくその洗浄が可能であるような副生成物トラップ装置及びその洗浄方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体製造プロセスにおいて真空中で行われるプロセスの一つにCVDによる成膜があり、その代表的な例の一つはSi3 N4 膜の成膜である。この反応の一例の化学式は式(1)で表すことができる。
3SiH2Cl2+10NH3→Si3H4+6H2+6NH4Cl (1)
この時に、目的とするSi3 N4 膜の他に副生成物としてNH4Clが生成する
。
【0003】
この副生成物は常圧においては340℃で昇華する。しかし、それ以下の温度域においては固体となり、反応容器(成膜は700〜900℃の空間でなされるので、当然ながら反応容器の温度はNH4 Clの昇華点よりも高いと考えられる)よりも温度の低い真空排気系の配管の内壁や真空ポンプのロータ部に多く付着し、真空排気特性の低下や真空ポンプの停止につながる。
【0004】
成膜の目的とする生成物であるSi3 N4 も反応容器内壁や真空排気系配管、真空ポンプロータ部に付着するが、その量はNH4 Clと比較して少なく、排気系配管や真空ポンプの目詰まりはNH4 Clによる場合が圧倒的に多い。
【0005】
反応容器内壁に蓄積した生成物であるSi3 N4 は、成膜回数を増すに従ってその厚みを増し、内壁から剥離して成膜中のウエハの上に落下し、汚染の原因となる。このため、プラズマCVDなどにおいては何回かの成膜回数ごとにNF3 ガスを用いてクリーニングを行い、壁に付着したSi3 N4 を取り除く。この時には、(2)ないし(4)に示す反応式に従ってクリーニングがされる。
クリーニング時
Si3N4+NF3+SiH4+NH3+N2→SixFy+反応副生成物+N2 (2)
ケース1
SixFy+NF3+反応副生成物→(NH4)2SiF6+X (3)
ケース2
SiH4+2NH3+2NF3→(NH4)2SiF6+X (4)
【0006】
この時に副生成物として(NH4 )2 SiF6 が生成する。この物質も常圧においては約300℃で気化するが、それ以下の温度域においては固体であり、前記したように真空排気配管や真空ポンプに付着する。特に、真空ポンプに副生成物が付着して故障した場合は、生産ラインが停止して大きな損害となる。そのため、多くのCVD装置の生産ラインでは、CVD装置と真空ポンプとの間に副生成物トラップ装置を設け、真空ポンプになるべく副生成物が付着しないような工夫をしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の副生成物トラップ装置においては、副生成物が溜まると真空排気を停止して排気系配管から外し、水洗(NH4 Cl,(NH4 )2 SiCl6 はいずれも水溶性)して付着生成物を取り除き、その後、配管に設置し、再度真空排気する。従って、排気系配管の「ばらし」と再組立および真空リーク、再真空排気の労力を必要とする上に、一度、真空系を大気開放してしまうと再び元の真空度にするのに長い時間がかかったり、ベーキング等の作業を必要とすることもあり生産性が悪い。
【0008】
本発明は、真空排気系を「ばらす」ことなく、副生成物を洗浄できかつ効率よく副生成物をトラップできるような副生成物トラップ装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、成膜装置の排気系に取り付けられ、上記成膜装置の排気中に含まれる生成物及び/又は副生成物をトラップ部に固化させて捕集するトラップ装置本体と、上記トラップ装置本体に設けられ、固化した生成物及び/又は副生成物を加熱するヒータと、上記トラップ装置に弁を介して接続され、加熱されて気化した生成物及び/又は副生成物を排気する洗浄排気系と、上記洗浄排気系内を流れる上記加熱されて気化した生成物及び/又は副生成物を加熱するヒータと、上記トラップ部を強制的に冷却する冷却手段とを有するもので、成膜時にはトラップ部を冷却してこれに生成物及び又は副生成物を固着させ、洗浄時にはトラップ部を加熱して生成物及び/又は副生成物を排出するようになっている。
【0010】
さらにこの発明の別の態様は、上記洗浄排気系に、トラップ装置本体内を吸引して低圧にするポンプ装置を設けたものである。
上記洗浄排気系に、トラップ装置本体内部に空気またはN2 ガスなどの不活性ガスを供給して副生成物のガスを強制排気するガス供給装置を設けてもよい。また、トラップ装置本体のトラップ部を冷却して、成膜装置の排気中に含まれる生成物及び/又は副生成物をトラップ部に固化させる捕集工程と、上記トラップ装置本体を加熱して、固化した生成物及び/又は副生成物を気化させるとともに、上記トラップ装置に弁を介して接続された洗浄排気系によって、加熱されて気化した生成物及び/又は副生成物を排気する工程とを有するようにしてもよい。
ここで、上記洗浄工程を、トラップ装置本体内を吸引して低圧にした状態で行ってもよい。
【0011】
【作用】
本発明においては、トラップ装置本体において、冷却されたトラップ部に生成物及び/又は副生成物が効率的に固化されて捕集され、これはヒータ加熱によって昇華又は分解された後、弁を介して接続された洗浄排気系により系外に排出される。
【0012】
また、この発明の別の態様においては、、上記トラップ装置本体に、トラップ部を強制的に冷却する冷却媒体流路を形成したものである。
さらにこの発明の別の態様においては、トラップ装置本体内を吸引して低圧にするポンプ装置により、常圧よりも昇華温度が低くなるので、ヒータによる加熱温度を低くして同じ洗浄効果を得る。
なお、空気またはN2 ガスなどの不活性ガスによって副生成物のガスを強制排気することにより、洗浄排気系のポンプが不要となる。
【0013】
【実施例】
図1に、本発明の副生成物トラップ装置を示す。この図を用いて本発明の装置及び方法を説明する。
この副生成物トラップ装置は、成膜装置であるCVD装置1と、このCVD装置1に連結された主排気(真空)ポンプ2と、この両者の間に介在し、上記CVD装置の排気中に含まれる生成物及び副生成物を固着させてトラップするトラップ装置本体3(以下、本体と略す。)とを有する。本体3とCVD装置1、本体3と主排気ポンプ2の間をつなぐ配管4,5には、それぞれ弁V1,V2が配置されている。
【0014】
CVD装置1、弁V1、本体3、弁V2、主排気ポンプ2によって、成膜を円滑に行うための主(成膜用)排気系Aが構成されている。主排気ポンプ2の下流には、排気中に含まれる有害物質を処理する除害装置6が設けられている。
本体3と弁V1をつなぐ配管4の途中には分岐配管7が設けられ、弁V3を介して副排気(真空)ポンプ8に接続され、さらに除害装置6に接続されている。この分岐配管7及び弁V3から副排気ポンプ8に至る配管9には、ヒータ10が取り付けられている。本体3とこの分岐配管7、弁V3、配管9、副排気ポンプ8によって、洗浄排気系Bが構成されている。
【0015】
図2は、本体3の断面図を示すもので、ケース11の内部に副生成物を積極的にトラップするためのトラップ板12が取付けてあり、このケース11の内表面及びトラップ板12の双方がトラップ部となる。ケース11には、冷却ジャケット13が形成され、これには冷却水を供給するための冷却管14が接続されている。また、ケース11には、本体3の全体及びトラップ板12を加熱するためのヒータ15(図1参照)が取付けられている。本体3及び洗浄排気系Bのヒータ15は、リボンヒータを取付けてもよいし、発熱体を本体及び排気系配管に溶射するようにしても良い。
【0016】
以下に、上のように構成されたトラップ装置の作用について説明する。
成膜時には弁V1 ,V2 を開き、V3 を閉じることによって、成膜用の主排気系Aが使用される。この時には、冷却管14に水や液体窒素などを流し、トラップ部の温度を低下させて副生成物をより補足しやすくする。普通には水で十分である。
図に示すような構成の装置では、本体3の内部でも真空度は10〜10−1Torr台と考えられる。真空状態においては、副生成物の昇華温度は常圧時よりも低いので、積極的にトラップ部を冷却することにより副生成物を補足することができる。図3(日本化学会編、化学便覧基礎編2、丸善 1984 P2−111)に示すように、NH4 Clの昇華温度は、理論値(1)からは10Torrで約210℃である
。
【0017】
このようにして、ポンプの目詰まりの原因となる副生成物を排気ガス中からトラップさせることにより、トラップ装置本体3以降の排気系配管及びポンプ部への副生成物の飛翔が著しく少なくなり、これによって、ポンプの目詰まりをなくし、ポンプの故障→停止→成膜ラインの停止をなくすことができる。
【0018】
成膜処理がある程度なされた時点で、成膜処理が行われていない時を見計らってトラップ装置本体3の洗浄を行う。この時には、バルブV1 ,V2 を閉じ、バルブV3 を開け、洗浄系Bの真空ポンプ2を運転する。この時、本体3のヒータ15をONにし、トラップ部の温度を昇華点以上の温度に上げ、かつ本体3を真空状態にする。このように、本体3を真空状態にすることにより、大気圧状態よりも低温域で昇華または分解ガス化が可能である(10Torrで約210℃であるのでこの時の温度は220〜300℃程度で十分である)。
【0019】
同時に排気系Bの配管7,9の温度を高め、配管に副生成物が付着しないようにする。この時の配管の温度は220〜300℃程度を理想とするが、それよりも低い温度であっても、副生成物の付着は著しく少ない。副生成物が、式(1)に示されるようなNH4 Clであれば、昇華することにより分解して、NH3 とHClになる。これらのガスは除害装置で無害化し大気中に放出する。
【0020】
図1では、主真空ポンプをドライのルーツポンプ、副真空ポンプをルーツポンプよりも低廉な油回転ポンプとして示している。成膜処理においては、油の逆流する油回転ポンプは好ましくなく、また、本体のみの洗浄に高価なルーツポンプを使用する必要もないので、このような組み合わせにしたものである。しかし、真空ポンプ1、真空ポンプ2を両方ともルーツポンプ、または油回転ポンプとしてもよい。また、真空ポンプはここで述べたような、ルーツポンプ、油回転ポンプ以外であってもかまわない。
【0021】
図1の場合、洗浄用の排気に用いる副真空ポンプ(油回転ポンプ)にも副生成物の付着が危惧されるが、真空ポンプ直前まで配管の温度を上げておくことにより、ポンプ内に排気ガスが入ってもガス温度が著しく低下することがないので、ここでの付着は少ない。
このような付着の懸念から洗浄用の排気に副真空ポンプ8を用いたくない場合は、図4に示すように、本体3と弁V2の間に弁V4を介してコンプレッサ16を設け、これによって空気またはN2 などの不活性ガスを供給するようにしてもよい。この場合には、トラップ部の温度を昇華点、または副生成物がガス化し分解する温度以上にし、バルブV1,V2を閉じV3,V4を開にし、空気またはN2などの不活性ガスを流すことにより、副生成物のガスを除害装置まで移送し、副生成物トラップ装置を洗浄する。コスト面から考えて、流すガスは空気で十分である。
【0022】
以上は、副生成物がNH4 Clである場合を中心に述べたが、副生成物が
(NH4)2 SiF6 や、AlCl3 などの場合であってもトラップ方法、洗浄方法は同様である。
【0023】
【発明の効果】
以上述べたように、真空ポンプの目詰まりの原因となる副生成物が生成する成膜中には、副生成物トラップ装置本体の温度を下げて積極的に副生成物を捕集し、真空ポンプの目詰まり発生を低減させ、ポンプの寿命を延長させる。一方、成膜をしていないときには、本体内部を高温かつ低圧にして、常圧よりも低い温度域で、主排気ラインから本体を外すことなくインラインで副生成物の洗浄を行わせる。従って、本発明の副生成物トラップ装置を成膜装置に取付ければ、稼働率が上がり、成膜の生産性の向上につながる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の副生成物トラップ装置の一実施例を示す模式図である。
【図2】トラップ装置本体の断面図である。
【図3】真空度と昇華温度の関係(理論値)を示した図である。
【図4】洗浄時の副生成物トラップ装置の他の実施例を示す模式図である。
【符号の説明】
1 CVD装置
2 主排気ポンプ
3 トラップ装置本体
8 副排気ポンプ
10 ヒータ
11 ケース
12 トラップ板
14 冷却管
15 ヒータ
16 コンプレッサ
A 主排気系
B 洗浄排気系
【産業上の利用分野】
この発明は、成膜中の生成物及び副生成物並びにプロセス装置の洗浄時に生成される副生成物をプロセス装置から真空ポンプまでの間でトラップさせ、真空ポンプの目詰まりを防ぐとともに、排気系配管を外すことなくその洗浄が可能であるような副生成物トラップ装置及びその洗浄方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体製造プロセスにおいて真空中で行われるプロセスの一つにCVDによる成膜があり、その代表的な例の一つはSi3 N4 膜の成膜である。この反応の一例の化学式は式(1)で表すことができる。
3SiH2Cl2+10NH3→Si3H4+6H2+6NH4Cl (1)
この時に、目的とするSi3 N4 膜の他に副生成物としてNH4Clが生成する
。
【0003】
この副生成物は常圧においては340℃で昇華する。しかし、それ以下の温度域においては固体となり、反応容器(成膜は700〜900℃の空間でなされるので、当然ながら反応容器の温度はNH4 Clの昇華点よりも高いと考えられる)よりも温度の低い真空排気系の配管の内壁や真空ポンプのロータ部に多く付着し、真空排気特性の低下や真空ポンプの停止につながる。
【0004】
成膜の目的とする生成物であるSi3 N4 も反応容器内壁や真空排気系配管、真空ポンプロータ部に付着するが、その量はNH4 Clと比較して少なく、排気系配管や真空ポンプの目詰まりはNH4 Clによる場合が圧倒的に多い。
【0005】
反応容器内壁に蓄積した生成物であるSi3 N4 は、成膜回数を増すに従ってその厚みを増し、内壁から剥離して成膜中のウエハの上に落下し、汚染の原因となる。このため、プラズマCVDなどにおいては何回かの成膜回数ごとにNF3 ガスを用いてクリーニングを行い、壁に付着したSi3 N4 を取り除く。この時には、(2)ないし(4)に示す反応式に従ってクリーニングがされる。
クリーニング時
Si3N4+NF3+SiH4+NH3+N2→SixFy+反応副生成物+N2 (2)
ケース1
SixFy+NF3+反応副生成物→(NH4)2SiF6+X (3)
ケース2
SiH4+2NH3+2NF3→(NH4)2SiF6+X (4)
【0006】
この時に副生成物として(NH4 )2 SiF6 が生成する。この物質も常圧においては約300℃で気化するが、それ以下の温度域においては固体であり、前記したように真空排気配管や真空ポンプに付着する。特に、真空ポンプに副生成物が付着して故障した場合は、生産ラインが停止して大きな損害となる。そのため、多くのCVD装置の生産ラインでは、CVD装置と真空ポンプとの間に副生成物トラップ装置を設け、真空ポンプになるべく副生成物が付着しないような工夫をしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の副生成物トラップ装置においては、副生成物が溜まると真空排気を停止して排気系配管から外し、水洗(NH4 Cl,(NH4 )2 SiCl6 はいずれも水溶性)して付着生成物を取り除き、その後、配管に設置し、再度真空排気する。従って、排気系配管の「ばらし」と再組立および真空リーク、再真空排気の労力を必要とする上に、一度、真空系を大気開放してしまうと再び元の真空度にするのに長い時間がかかったり、ベーキング等の作業を必要とすることもあり生産性が悪い。
【0008】
本発明は、真空排気系を「ばらす」ことなく、副生成物を洗浄できかつ効率よく副生成物をトラップできるような副生成物トラップ装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、成膜装置の排気系に取り付けられ、上記成膜装置の排気中に含まれる生成物及び/又は副生成物をトラップ部に固化させて捕集するトラップ装置本体と、上記トラップ装置本体に設けられ、固化した生成物及び/又は副生成物を加熱するヒータと、上記トラップ装置に弁を介して接続され、加熱されて気化した生成物及び/又は副生成物を排気する洗浄排気系と、上記洗浄排気系内を流れる上記加熱されて気化した生成物及び/又は副生成物を加熱するヒータと、上記トラップ部を強制的に冷却する冷却手段とを有するもので、成膜時にはトラップ部を冷却してこれに生成物及び又は副生成物を固着させ、洗浄時にはトラップ部を加熱して生成物及び/又は副生成物を排出するようになっている。
【0010】
さらにこの発明の別の態様は、上記洗浄排気系に、トラップ装置本体内を吸引して低圧にするポンプ装置を設けたものである。
上記洗浄排気系に、トラップ装置本体内部に空気またはN2 ガスなどの不活性ガスを供給して副生成物のガスを強制排気するガス供給装置を設けてもよい。また、トラップ装置本体のトラップ部を冷却して、成膜装置の排気中に含まれる生成物及び/又は副生成物をトラップ部に固化させる捕集工程と、上記トラップ装置本体を加熱して、固化した生成物及び/又は副生成物を気化させるとともに、上記トラップ装置に弁を介して接続された洗浄排気系によって、加熱されて気化した生成物及び/又は副生成物を排気する工程とを有するようにしてもよい。
ここで、上記洗浄工程を、トラップ装置本体内を吸引して低圧にした状態で行ってもよい。
【0011】
【作用】
本発明においては、トラップ装置本体において、冷却されたトラップ部に生成物及び/又は副生成物が効率的に固化されて捕集され、これはヒータ加熱によって昇華又は分解された後、弁を介して接続された洗浄排気系により系外に排出される。
【0012】
また、この発明の別の態様においては、、上記トラップ装置本体に、トラップ部を強制的に冷却する冷却媒体流路を形成したものである。
さらにこの発明の別の態様においては、トラップ装置本体内を吸引して低圧にするポンプ装置により、常圧よりも昇華温度が低くなるので、ヒータによる加熱温度を低くして同じ洗浄効果を得る。
なお、空気またはN2 ガスなどの不活性ガスによって副生成物のガスを強制排気することにより、洗浄排気系のポンプが不要となる。
【0013】
【実施例】
図1に、本発明の副生成物トラップ装置を示す。この図を用いて本発明の装置及び方法を説明する。
この副生成物トラップ装置は、成膜装置であるCVD装置1と、このCVD装置1に連結された主排気(真空)ポンプ2と、この両者の間に介在し、上記CVD装置の排気中に含まれる生成物及び副生成物を固着させてトラップするトラップ装置本体3(以下、本体と略す。)とを有する。本体3とCVD装置1、本体3と主排気ポンプ2の間をつなぐ配管4,5には、それぞれ弁V1,V2が配置されている。
【0014】
CVD装置1、弁V1、本体3、弁V2、主排気ポンプ2によって、成膜を円滑に行うための主(成膜用)排気系Aが構成されている。主排気ポンプ2の下流には、排気中に含まれる有害物質を処理する除害装置6が設けられている。
本体3と弁V1をつなぐ配管4の途中には分岐配管7が設けられ、弁V3を介して副排気(真空)ポンプ8に接続され、さらに除害装置6に接続されている。この分岐配管7及び弁V3から副排気ポンプ8に至る配管9には、ヒータ10が取り付けられている。本体3とこの分岐配管7、弁V3、配管9、副排気ポンプ8によって、洗浄排気系Bが構成されている。
【0015】
図2は、本体3の断面図を示すもので、ケース11の内部に副生成物を積極的にトラップするためのトラップ板12が取付けてあり、このケース11の内表面及びトラップ板12の双方がトラップ部となる。ケース11には、冷却ジャケット13が形成され、これには冷却水を供給するための冷却管14が接続されている。また、ケース11には、本体3の全体及びトラップ板12を加熱するためのヒータ15(図1参照)が取付けられている。本体3及び洗浄排気系Bのヒータ15は、リボンヒータを取付けてもよいし、発熱体を本体及び排気系配管に溶射するようにしても良い。
【0016】
以下に、上のように構成されたトラップ装置の作用について説明する。
成膜時には弁V1 ,V2 を開き、V3 を閉じることによって、成膜用の主排気系Aが使用される。この時には、冷却管14に水や液体窒素などを流し、トラップ部の温度を低下させて副生成物をより補足しやすくする。普通には水で十分である。
図に示すような構成の装置では、本体3の内部でも真空度は10〜10−1Torr台と考えられる。真空状態においては、副生成物の昇華温度は常圧時よりも低いので、積極的にトラップ部を冷却することにより副生成物を補足することができる。図3(日本化学会編、化学便覧基礎編2、丸善 1984 P2−111)に示すように、NH4 Clの昇華温度は、理論値(1)からは10Torrで約210℃である
。
【0017】
このようにして、ポンプの目詰まりの原因となる副生成物を排気ガス中からトラップさせることにより、トラップ装置本体3以降の排気系配管及びポンプ部への副生成物の飛翔が著しく少なくなり、これによって、ポンプの目詰まりをなくし、ポンプの故障→停止→成膜ラインの停止をなくすことができる。
【0018】
成膜処理がある程度なされた時点で、成膜処理が行われていない時を見計らってトラップ装置本体3の洗浄を行う。この時には、バルブV1 ,V2 を閉じ、バルブV3 を開け、洗浄系Bの真空ポンプ2を運転する。この時、本体3のヒータ15をONにし、トラップ部の温度を昇華点以上の温度に上げ、かつ本体3を真空状態にする。このように、本体3を真空状態にすることにより、大気圧状態よりも低温域で昇華または分解ガス化が可能である(10Torrで約210℃であるのでこの時の温度は220〜300℃程度で十分である)。
【0019】
同時に排気系Bの配管7,9の温度を高め、配管に副生成物が付着しないようにする。この時の配管の温度は220〜300℃程度を理想とするが、それよりも低い温度であっても、副生成物の付着は著しく少ない。副生成物が、式(1)に示されるようなNH4 Clであれば、昇華することにより分解して、NH3 とHClになる。これらのガスは除害装置で無害化し大気中に放出する。
【0020】
図1では、主真空ポンプをドライのルーツポンプ、副真空ポンプをルーツポンプよりも低廉な油回転ポンプとして示している。成膜処理においては、油の逆流する油回転ポンプは好ましくなく、また、本体のみの洗浄に高価なルーツポンプを使用する必要もないので、このような組み合わせにしたものである。しかし、真空ポンプ1、真空ポンプ2を両方ともルーツポンプ、または油回転ポンプとしてもよい。また、真空ポンプはここで述べたような、ルーツポンプ、油回転ポンプ以外であってもかまわない。
【0021】
図1の場合、洗浄用の排気に用いる副真空ポンプ(油回転ポンプ)にも副生成物の付着が危惧されるが、真空ポンプ直前まで配管の温度を上げておくことにより、ポンプ内に排気ガスが入ってもガス温度が著しく低下することがないので、ここでの付着は少ない。
このような付着の懸念から洗浄用の排気に副真空ポンプ8を用いたくない場合は、図4に示すように、本体3と弁V2の間に弁V4を介してコンプレッサ16を設け、これによって空気またはN2 などの不活性ガスを供給するようにしてもよい。この場合には、トラップ部の温度を昇華点、または副生成物がガス化し分解する温度以上にし、バルブV1,V2を閉じV3,V4を開にし、空気またはN2などの不活性ガスを流すことにより、副生成物のガスを除害装置まで移送し、副生成物トラップ装置を洗浄する。コスト面から考えて、流すガスは空気で十分である。
【0022】
以上は、副生成物がNH4 Clである場合を中心に述べたが、副生成物が
(NH4)2 SiF6 や、AlCl3 などの場合であってもトラップ方法、洗浄方法は同様である。
【0023】
【発明の効果】
以上述べたように、真空ポンプの目詰まりの原因となる副生成物が生成する成膜中には、副生成物トラップ装置本体の温度を下げて積極的に副生成物を捕集し、真空ポンプの目詰まり発生を低減させ、ポンプの寿命を延長させる。一方、成膜をしていないときには、本体内部を高温かつ低圧にして、常圧よりも低い温度域で、主排気ラインから本体を外すことなくインラインで副生成物の洗浄を行わせる。従って、本発明の副生成物トラップ装置を成膜装置に取付ければ、稼働率が上がり、成膜の生産性の向上につながる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の副生成物トラップ装置の一実施例を示す模式図である。
【図2】トラップ装置本体の断面図である。
【図3】真空度と昇華温度の関係(理論値)を示した図である。
【図4】洗浄時の副生成物トラップ装置の他の実施例を示す模式図である。
【符号の説明】
1 CVD装置
2 主排気ポンプ
3 トラップ装置本体
8 副排気ポンプ
10 ヒータ
11 ケース
12 トラップ板
14 冷却管
15 ヒータ
16 コンプレッサ
A 主排気系
B 洗浄排気系
Claims (2)
- 成膜装置の排気系に取り付けられ、上記成膜装置の排気中に含まれる生成物及び/又は副生成物をトラップ部に固化させて捕集するトラップ装置本体と、
上記トラップ装置本体に設けられ、固化した生成物及び/又は副生成物を加熱するヒータと、
上記トラップ装置に弁を介して接続され、加熱されて気化した生成物及び/又は副生成物を排気する洗浄排気系と、
上記洗浄排気系内を流れる上記加熱されて気化した生成物及び/又は副生成物を加熱するヒータと、
上記トラップ部を強制的に冷却する冷却手段とを有し、
成膜時にはトラップ部を冷却してこれに生成物及び又は副生成物を固着させ、洗浄時にはトラップ部を加熱して生成物及び/又は副生成物を排出するようになっていることを特徴とする副生成物トラップ装置。 - 上記洗浄排気系には、トラップ装置本体内を吸引して低圧にするポンプ装置が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のトラップ装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33416594A JP3539446B2 (ja) | 1994-12-16 | 1994-12-16 | 副生成物トラップ装置及びその洗浄方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33416594A JP3539446B2 (ja) | 1994-12-16 | 1994-12-16 | 副生成物トラップ装置及びその洗浄方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08172083A JPH08172083A (ja) | 1996-07-02 |
JP3539446B2 true JP3539446B2 (ja) | 2004-07-07 |
Family
ID=18274271
Family Applications (1)
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