JP3535114B2 - 回転ヘッドドラム装置 - Google Patents

回転ヘッドドラム装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はテープ状記録媒体を
用い、磁気ヘッドで情報の記録再生を行う回転ヘッドド
ラム装置、例えば、ビデオテープレコーダ等の回転ヘッ
ドドラム装置に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気ヘッドを回転させてテープ状記録媒
体に情報の記録再生を行う回転ヘッドドラム装置は、情
報の高速記録を行えること等の理由により広く使用され
ているが、近年では、情報量の増大に伴い高密度記録・
再生が要求され、高精度な回転ヘッドドラム装置が必要
となってきている。
【0003】図6は従来の回転ヘッドドラム装置を示す
斜視図である。図7は図6の固定ドラム2の形状を示す
断面図である。図8は固定ドラムの形状を示す斜視図で
ある。図6〜図8に示すように、回転ヘッドドラム装置
は回転ドラム1,固定ドラム2,軸5から構成されてい
る。
【0004】軸5は、固定ドラム2の中心の軸圧入部2
cに固定され、回転ドラムを回転自在に支持している。
回転ドラム1にはその外周面に磁気ヘッド3が取り付け
られており、高速回転することにより、テープ状記録媒
体4に高速度で相対して情報の記録再生を行う。テープ
状記録媒体4は固定ドラム2の外周面の一部と摺接、走
行するが、その安定走行を実現するために、固定ドラム
2にはそのテープ摺接部にテープガイド2bが形成され
ている。また、図8に示すように、固定ドラム2には、
磁気ヘッド3と情報の授受を行うための配線を通すため
に、外周面の一部に切り欠き部2aが形成されている。
【0005】回転ヘッドドラム装置には一般に高寸法精
度が要求されるが、固定ドラム2においては、特に、テ
ープガイド2bを含むテープ摺接部に高寸法精度が要求
される。この寸法精度を実現するためには、回転ヘッド
ドラム装置を固定する際に生じる歪みも問題となる。こ
のため、固定ドラムの固定部付近にスリット形状を設
け、剛性を低下することによってその部分で歪みを吸収
するようにした回転ヘッドドラム装置が知られている
(特開平4−30361号公報)。
【0006】ところで、従来の回転ヘッドドラム装置
は、アルミニウム合金を切削加工することにより製造さ
れているが、複雑な形状の高精度加工が要求され、また
単品加工となるために製造コストが高くなるという問題
点があった。これを解決するために、成形加工のみで製
造できる樹脂製回転ヘッドドラム装置が提案されている
(特開昭55−160353号公報)。このように樹脂
により回転ヘッドドラム装置を成形することで、コスト
の低減、軽量化などが図れる。さらに、回転ヘッドドラ
ム装置とドラムベースなどとの一体成形も考えられ、回
転ヘッドドラム装置の周辺部も含めたコストの低減も図
れる利点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、樹脂に
より固定ドラム2を成形する場合、回転ヘッドドラム装
置を固定する際に生じる歪みの他に、軸5の圧入に伴う
固定ドラム2の歪みや軸締結力の低下が問題となる。
【0008】まず、樹脂は、一般に、アルミニウム合金
などと比べて機械的強度に劣るため、軸を強固に固定す
るためには、軸圧入時のしめしろをアルミニウム合金の
場合よりも大きくする必要がある。このため、樹脂成形
品の歪み量はアルミニウム合金の場合よりも大きくな
る。当然ながら、しめしろを小さくすれば応力歪みは小
さくなるが、軸が強固に固定されず、軸締結力が小さい
ことが問題となる。
【0009】次に、樹脂は一般的に線膨張係数が大き
く、軸の材料よりも極端に線膨張係数が大きい樹脂に関
しては、温度上昇に伴う軸締結力の低下や温度下降に伴
う樹脂成形品の歪み発生の問題がある。
【0010】これらの課題に対して、樹脂の機械的強度
をあげる方法として、ガラス繊維や炭素繊維などの強化
材を充填した樹脂複合材料を利用することが一般的に行
われている。しかしながら、上記固定ドラム2には他に
テープ状記録媒体4との摺動性が良好であること、テー
プ状記録媒体4との摺動時に帯電しないこと、精密成形
が可能であること、等の様々な特性が要求される。これ
らの要求特性に対して機械的強度を向上させる強化材は
必ずしも有効でなく、強化材の異方性を考えれば特に精
密成形の点で不利になることが考えられる。
【0011】また、回転ヘッドドラム装置に使用する樹
脂材料としては、特開昭62−52755に線膨張係数
の絶対値が10×10-6/K以下であること、実開昭6
1−193547にアルミニウムと同程度の線膨張係数
(アルミニウムの線膨張係数は29×10-6/K)をも
つこと、特開昭60−40551では線膨張係数が20
×10-6/Kから25×10-6/Kであることなどが開
示されている。しかし上記の開示内容には、軸と樹脂成
形品を固定することを考慮した記述はなく、また実際
に、通常使用するステンレス製の軸の線膨張係数が16
×10-6/Kであることから、使用温度変化に伴う軸と
樹脂成形品との熱膨張量または熱収縮量の差によって生
じる軸締結力の低下や樹脂成形品の歪みの問題は解決で
きない。
【0012】本発明は上記の問題を解決するためになさ
れたものであって、軸圧入によって発生する歪みが大き
くても要求精度を維持でき、且つ、使用温度変化に伴う
歪みや軸締結力の低下を押さえることによりテープ摺接
部に発生する歪みを抑制することのできる回転ヘッドド
ラム装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本願発明の回転ヘッドドラム装置は、磁気ヘッドを
支持する回転ドラムと、回転ドラムを回転自在に支持す
る軸と、軸を圧入するために形成された穴と磁気テープ
の走行をガイドするテープ摺接部とを有する樹脂複合材
料からなる固定ドラムと、を備えてなる回転ヘッドドラ
ム装置において、固定ドラムは、を圧入するために形
成された穴近傍の、該穴の半径方向の線膨張係数が軸の
線膨張係数に略等しいものである。
【0014】また、前記軸を圧入するために形成された
穴近傍の、該穴の半径方向の線膨張係数が12×10-6
/Kから20×10-6/Kまでの範囲であるものであ
る。
【0015】
【0016】以上のように軸の線膨張係数と軸圧入部の
線膨張係数を略等しくすることにより、軸圧入後の使用
温度変化によって発生する熱歪みに起因する、樹脂成形
品の歪みもしくは軸締結力の低下の問題を低減できる。
【0017】
【発明の実施の形態】図1(a)〜図3(b)は本発明
の回転ヘッドドラム装置の固定ドラムの構成を示す図で
ある。図1(a)〜図3(b)の回転ヘッドドラム装置
の固定ドラムにはすべて歪み抑制部が設けられている。
以下、これらの図に基づいて第1の実施例について説明
するが、図6〜図8に示した従来の回転ヘッドドラム装
置の固定ドラム2と同一部分については説明を省略す
る。
【0018】まず、図1(a)の固定ドラム6について
説明する。この固定ドラム6には、中心に軸5を固定す
る軸圧入部6cが形成されており、また、外周面に磁気
テープの走行をガイドするテープ摺接部6bが形成され
ている。そして、軸圧入部6cとテープ摺接部6bとの
間に、テーパ形状部6aが軸5と同軸状に設けられてい
る。
【0019】固定ドラムでは、軸5の圧入や圧入後の使
用温度変化によって発生する応力歪みが、軸圧入部6c
からテープ摺接部6bへと伝播するが、上記構成では、
応力歪みの伝播経路途中にテーパ形状部6aが設けられ
ているため、応力歪みはテープ摺接部6bと直線的につ
ながらず、軸方向にも分散される。更に、テーパ形状部
6aを設けるとテーパ形状部6a付近の肉厚が薄くなる
ため半径方向の弾性率が低下するため、歪みを吸収する
ことができる。これらの効果により、テープ摺接部6b
での歪み量を減少することが可能である。
【0020】次に、図2(a)に記載の固定ドラム7に
ついて説明する。この固定ドラム7では、軸圧入部7c
とテープ摺接部7bとの間、つまり、軸5との接触面か
ら発生する応力歪みの伝播経路途中にスリット形状部7
aを軸5と同軸上に設けたものである。この構成でも図
1に示したテーパ形状部6aと同様に、スリット形状部
7aにより、歪みはテープ摺接部7bと直線的につなが
らず、歪みを軸方向に分散できる。また、このスリット
形状部7aにより、半径方向の弾性率が低下するため、
歪みを吸収することができる。
【0021】次に、図3(a)に記載の固定ドラム8に
ついて説明する。この固定ドラム8では、軸圧入部8c
とテープ摺接部8bとの間、つまり、軸5との接触面か
ら発生する応力歪みの伝播経路途中に、段差形状部8a
が軸5と同軸上に設けられている。このように段差形状
部8aを軸5と同軸状に設けることにより、歪みはテー
プ摺接部8bと直線的につながらず、歪みを軸方向に分
散できる。また、軸圧入部8cとテープ摺動部8bとの
間の歪みの伝達経路が長くなることにより、テープ摺接
部8bでの歪みは減少する。
【0022】以上の例では、前記テーパ形状部6a、ス
リット形状部7a、段差形状部8a等により、軸圧入や
軸圧入後の使用温度変化によって発生する歪みを抑制し
ているが、これらの形状に限らず、軸圧入部とテープ摺
接部との間を直線的につながらなようにしたり、両者の
間に樹脂肉厚が薄い箇所を設けたり、あるいは両者の間
の歪み伝播経路を長くする形状あるいは、それらを組み
合わせた形状を設けておけば、上記と同様の効果が得ら
れる。
【0023】ところで、図1(b),図2(b),図3
(b)に示すように固定ドラム6,7,8には、磁気ヘ
ッドからの情報を授受する配線を通すための切り欠き部
6d,7d,8dが形成されている。部分的に肉厚が薄
くなればその部位の弾性率が低下するように、切り欠き
部6d,7d,8dが存在するために、その周辺部位で
は弾性率が低下する。したがって、固定ドラム6,7,
8の外周面では、切り欠き部6d,7d,8dの周辺部
位に歪みが集中する。
【0024】しかしながら、本実施形態では、上記テー
パ形状6a,スリット形状7a,段差形状8aを同軸状
に設ける際に、切り欠き部6d,7d,8dにおいても
弾性率が同程度になるように調整することができる。具
体的には、周方向において切り欠き周辺部位でのテーパ
形状部6a,スリット形状部7a,段差形状部8aの弾
性率を他の部位よりも大きくなるようすることにより、
切り欠き部6d,7d,8dでの歪みの集中を防ぐこと
ができる。弾性率の調整は、例えば、テーパを小さくす
る、スリット幅を狭くする、段差をつけるときの肉厚を
厚くする、等により行うことができる。
【0025】次に、固定ドラムを成形する樹脂複合材料
の線膨張係数を調整することによって、応力歪みの発生
を抑制する実施形態について説明する。
【0026】通常、回転ヘッドドラム装置の固定ドラム
では、半径方向の膨張または収縮が、軸の緩みや、高精
度の寸法精度が必要なテープ摺接部への歪みの伝播とい
う点で、軸方向の膨張または収縮よりも問題となる。そ
こで、本実施の形態では、軸圧入部近傍の半径方向の線
膨張係数を、圧入する軸材料の線膨張係数と同程度とな
るように調整する。
【0027】以下、使用温度変化に伴う樹脂成形品の許
容線膨張係数範囲を見積もる。ここでは、使用する最大
温度変化を−40℃から+80℃とする。また、熱膨張
または収縮に伴う軸と樹脂成形品との膨張量または収縮
量の差の最大許容量を、材料の機械的強度や軸圧入後の
応力緩和の問題があり判断が難しいが、軸とアルミニウ
ム合金製固定ドラムの場合に設定されている最大許容量
の1/2以下、具体的には±1μm程度であると仮定す
る。
【0028】軸直径が4mmであるとき、(δL/L)
×(1/δT)で線膨張係数は計算され、δL=±1μ
m、L=4×103μm、δT=±60℃から、線膨張
係数は±4×10-6/Kが得られる。軸材料(ステンレ
ス)の線膨張係数を通常使用されている16×10-6
Kとすると、樹脂成形品の軸圧入部付近の半径方向の線
膨張係数は12×10-6/Kから20×10-6/Kであ
る必要がある。一般に樹脂の線膨張係数は大きく、熱可
塑性樹脂ではポリフェニレンサルファイドが69×10
-6/K(ポリプラスチックス 0220A9カタログ
値)、ポリエーテルサルホンが57×10-6/K(住友
化学工業 4100Gカタログ値)などである(ともに
樹脂流動に対して直角方向(以下、直角方向とのみ記
す))。これらの線膨張係数を下げ、軸材料と同程度の
線膨張係数を得るには樹脂材料よりも低い線膨張係数を
もつ材料を樹脂に充填することが必要である。例えば炭
素繊維は−1×10-6/K〜5×10-6/Kの線膨張係
数をもち、炭素繊維が充填された樹脂複合材料は線膨張
係数が低下している(例えば、ポリプラスチックス 2
130A1(炭素繊維充填グレード)では43×10-6
/K(直角方向)、0×10-6/K(樹脂流動方向(以
下、流動方向と記す))、住友ベークライト MK20
1(炭素繊維充填グレード)では25×10-6/K(直
角方向)、5×10-6/K(流動方向)である)。ま
た、充填材は必ずしも炭素繊維である必要はなく、線膨
張係数が樹脂材料よりも小さければ有機、無機、金属を
材料とする繊維、フィラー、粒状体、板状体あるいは不
定形物質を充填してもよい。
【0029】ところで、樹脂複合材料は充填材の異方性
などのため、線膨張係数が流動方向と直角方向とでは異
なることが多い。線膨張係数は直角方向の方が流動方向
よりも大きいが、通常の樹脂成形品では金型形状が複雑
なため樹脂流動も複雑であり、成形品各部によって様々
な数値を示す。つまり、線膨張係数は流動方向の値から
直角方向の値までの間に分布する。本実施形態では、望
ましくは、流動方向、直角方向での線膨張係数の差が小
さい樹脂複合材料を使用すべきである。実際に、線膨張
係数の異方性が小さく、かつその値が上記線膨張係数範
囲内に収まる樹脂複合材料は存在する(住友ベークライ
ト MK205の線膨張係数は16×10-6/K(直角
方向)、15×10-6/K(流動方向)である)。
【0030】しかしながら、樹脂複合材料の線膨張係数
に異方性があっても金型形状を含めた樹脂流動方向を考
慮したゲート位置を設けることで、ある程度の線膨張係
数の制御は可能である。図4はそのゲート位置を説明す
る図である。図4に示すように、固定ドラム9の軸圧入
部付近の一部9aと対応する成形金型部分に全周にわた
るフィルムゲートを配置すれば、樹脂は軸10の長手方
向に流動する。その結果、軸圧入部付近における、半径
方向の線膨張係数は直角方向の線膨張係数の値に近いも
のとなる。一方、9bと対応する成形金型部分一点にゲ
ートを配置すれば、樹脂は周方向に流動する割合が増加
し、軸圧入部付近における、半径方向の線膨張係数は、
流動方向の線膨張係数に近付く。
【0031】図9にこれらの金型の一例を示す。図9
(a)はゲートを図4の9aに対応する部分に設けた場
合の断面図である。図に示すように、金型50a,b,
c,d,e,fによりキャビティー51が規定されてい
る。樹脂複合材料は、スプル52から導入されて、ゲー
ト9aよりキャビティー51に流入する。このような金
型を用いれば、軸圧入部9cにおいては軸方向に樹脂複
合材料が流動するようになる。図9(b)はゲートを図
4の9bに対応する部分に設けた場合の断面図である。
この図に示すように、金型60a,b,c,d,e,f
によりキャビティー61が規定されている。樹脂複合材
料は、スプル62から導入されて、ランナ63を介し
て、ゲート9bよりキャビティー61に流入する。この
ような金型を用いれば、軸圧入部9cにおいては半径方
向に樹脂複合材料が流動するようになる。
【0032】以上のように、使用する樹脂複合材料の直
角方向および流動方向の線膨張係数に応じて金型のゲー
ト位置を調整することにより、軸圧入部近傍の半径方向
の線膨張係数をある程度制御することが可能となる。た
だし、使用温度変化に伴う軸圧入部近傍の線膨張係数
は、軸圧入部近傍単独でなく、樹脂成形品中の一部とし
て上記線膨張係数範囲内に収める必要がある。
【0033】一方、ウエルド問題などにより、金型内の
樹脂流動方向を大きく変えることができない場合には、
軸圧入部近傍の半径方向が樹脂複合材料の流動方向また
はそれに直行する方向と一致しない場合がある。この場
合、軸圧入部付近の半径方向の線膨張係数を軸の線膨張
係数に略等しいものとするためには、使用する樹脂複合
材料の線膨張係数の絶対値や異方性に制限を与える必要
がある。
【0034】また、樹脂複合材料に異方性が存在する場
合には、底面部の周方向と半径方向の線膨張係数の違い
により、周方向に歪みが発生する可能性がある。しかし
ながら、固定ドラムには切り欠き形状があるため、周方
向の切り欠き形状付近の弾性率が小さくなり、歪みを吸
収する効果がある。このため、周方向におけるテープ摺
動位置での歪みは小さくなる。なお、当然ながらこの問
題に対しても、線膨張係数に異方性のない樹脂複合材料
を用いれば歪みは発生しない。
【0035】次に、樹脂複合材料の線膨張係数に異方性
がある場合における、使用する材料の選択方法について
説明する。図5は、この選択方法を説明するための固定
ドラムの断面図である。
【0036】図5に示すように、樹脂成形品を軸圧入部
近傍11と、底面部12の2ブロックに分けて考える。
また、ここでは、次のの仮定して考えるものとする。2
つのブロックの歪み量の比は樹脂複合材料のポアソン比
によって異なるが、おおよそ軸圧入部近傍11:底面部
12=2:1である。2ブロック界面にて発生した歪み
量をδとしたとき、軸圧入を行う内径部に伝達される歪
み量もほぼ同程度であり、また、底面部12は半径方向
に樹脂が流動した結果、半径方向の線膨張係数は10×
10-6/Kだけ軸圧入部近傍の半径方向の線膨張係数よ
りも低くなる。
【0037】このとき、軸圧入部近傍11、底面部12
間に発生する歪み量は温度上昇が60℃であるとき、
4.8μmとなる。この歪みが軸13と軸圧入部近傍1
1との界面に伝達されたとき、その歪み量は、上記、か
ら、軸締結力を強める方向に約3.2μmと計算され
る。これに対して60℃の温度上昇にともなう軸13と
軸圧入部近傍11との熱膨張量の差が、軸締結力が緩む
方向に3.2μmであれば、互いの歪み量と緩み量が打
ち消される。このためには、軸圧入部近傍11単独の半
径方向の線膨張係数は、軸13の線膨張係数16×10
-6/Kよりも13×10-6/K大きい29×10-6/K
であることが望ましい。詳しくは歪み許容量が1μmで
あることを考慮して、軸圧入部近傍11単独の半径方向
の線膨張係数は25×10-6/Kから34×10-6/K
の範囲内に収まる必要がある。
【0038】したがって、使用する樹脂複合材料として
は、実際に図5に示すような固定ドラムを作成してみ
て、軸圧入部近傍11単独の線膨張係数(図5の軸圧入
部近傍11と底面部12の間でそれらを分断して計測す
ることにより求める)が25×10-6/Kから34×1
-6/Kの範囲内になるようなもの選択すればよい。
【0039】
【発明の効果】本発明によれば、樹脂成形品の軸圧入部
近傍の線膨張係数を圧入する軸と同程度に調整すること
により、軸圧入後の使用温度変化によって発生する樹脂
成形品の歪み量や軸締結力が緩和することを低減する。
このため、要求される高寸法精度の固定ドラムを得るこ
とができる。
【0040】また、回転ヘッドドラム装置を構成する固
定ドラムを樹脂複合材料で成形し、軸圧入部とテープ摺
接部との間にテーパ形状部,スリット形状部,段差形状
部など歪み応力を分散、吸収する歪み抑制部を付与する
ことにより、軸圧入時のテープ摺接部への歪み伝播量を
低減することができ、テープ摺動部の寸法精度を上げる
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】テーパ形状部を有した固定ドラムの一例を示す
断面図である。
【図2】スリット形状部を有した固定ドラムの一例を示
す断面図である。
【図3】段差形状部を有した固定ドラムの一例を示す断
面図である。
【図4】樹脂流動方向を考慮したゲート位置を説明す
る、固定ドラムの軸圧入部近傍の拡大図である。
【図5】異方性のある樹脂複合材料の選択方法を説明す
るための簡単なモデルである。
【図6】回転ヘッドドラム装置の構成の一例を示す斜視
図である。
【図7】固定ドラムの形状の一例を示す断面図である。
【図8】固定ドラムの切り欠き部を説明する斜視図であ
る。
【図9】金型の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 回転ドラム 2,6,7,8 固定ドラム 2a 切り欠き部 5 軸 6c,7c,8c 軸圧入部 6b,7b,8b テープ摺接部 6a テーパ形状部 7a スリット形状部 8a 段差形状部 11 軸圧入部近傍
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−168521(JP,A) 特開 昭55−163318(JP,A) 特開 平3−212806(JP,A) 特開 平5−298634(JP,A) 特開 平2−46312(JP,A) 特開 昭60−40551(JP,A) 実公 平2−33288(JP,Y2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 5/52 - 5/53 G11B 15/61

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁気ヘッドを支持する回転ドラムと、該
    回転ドラムを回転自在に支持する軸と、該軸を圧入する
    ために形成された穴と磁気テープの走行をガイドするテ
    ープ摺接部とを有する樹脂複合材料からなる固定ドラム
    と、を備えてなる回転ヘッドドラム装置において、 前記固定ドラムは、前記軸を圧入するために形成された
    穴近傍の、該穴の半径方向の線膨張係数が前記軸の線膨
    張係数に略等しくなるように形成されてなることを特徴
    とする回転ヘッドドラム装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の回転ヘッドドラム装置
    において、 前記軸を圧入するために形成された穴近傍の、該穴の半
    径方向の線膨張係数が12×10-6/Kから20×10
    -6/Kまでの範囲であることを特徴とする回転ヘッドド
    ラム装置。
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