JP3534633B2 - 接合部材およびタービン部材 - Google Patents

接合部材およびタービン部材

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JP3534633B2
JP3534633B2 JP00067399A JP67399A JP3534633B2 JP 3534633 B2 JP3534633 B2 JP 3534633B2 JP 00067399 A JP00067399 A JP 00067399A JP 67399 A JP67399 A JP 67399A JP 3534633 B2 JP3534633 B2 JP 3534633B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は乗用車、トラック用
小型過給器のタービンホイールおよび船舶用大型過給
器、ジェットエンジン、産業用ガスタービンブレ−ド等
の回転部材に関し、特にTiAl系金属間化合物基合金
と他の材料とが接合された部材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年の環境問題への関心の高まりから、
乗用車、トラック、船舶などの輸送機械に用いられる過
給器の性能向上が、またジェットエンジン、産業用ガス
タービンなどの効率の向上が求められている。上記製品
の性能、効率を支配する重要な構成要素の一つはタービ
ンであり、近年このタービンに対し、過渡応答特性の向
上、タービン入り口温度の高温化および高速回転化など
が求められている。この3つの要望に対してタービンホ
イール、タービンディスク、タービンブレードなどの回
転部材を構成する材料の改良が望まれているが、タービ
ン入り口温度の高温化および高速回転化については、前
記回転部材に現在使用されているNi基超合金をベース
にする場合、クリープ強度を含めた高温強度のさらなる
向上が必要である。しかし、組成的な面から現状のNi
基超合金の高温強度向上を望むことはほとんど困難であ
り、単結晶化といった特殊プロセスによる高温強度向上
の検討が進められている。この特殊プロセスの採用は、
ジェットエンジンブレードなどの高価な少量生産品につ
いては上記方策も有効であるが、乗用車用小型過給器な
どの複雑形状の量産品ではコスト的に適用が困難であ
る。また、過渡応答特性については、Ni基超合金の比
重がその組成に拘わらず約8〜9であるため、その向上
を図ることはできない。
【0003】Ni基超合金に替わり以上の3つの性能向
上に有望な材料として金属間化合物TiAlを主相とす
る合金(本明細書中では、TiAl系金属間化合物基合
金という)が注目を集めている。この合金は、比重が約
4と軽量であることから慣性モーメントが小さくなり、
過渡応答特性の向上が期待できる。また、回転部材では
負荷される応力は比重で除した比強度を考慮すればよい
ため、TiAl系金属間化合物基合金の比重がNi基超
合金の約1/2であることから、高温強度がNi基超合
金の1/2以上あれば、タービン入り口温度の高温化、
高速回転化が可能となる。
【0004】TiAl系金属間化合物基合金のタービン
ホイールを小型過給機に組み込む場合、タービンホイー
ルそのものはロストワックス法といった精密鋳造により
ニアネットで作成できるため問題ないが、このタービン
ホイールを構造用鋼からなるシャフトに接合する接合の
技術が重要となる。
【0005】この接合技術について、特公平8−181
51号、あるいは特開平2−157403号が新規な提
案を行っている。つまり、特公平8−18151号は、
TiAl系金属間化合物基合金と構造用鋼の接合におい
て、タービンホイールとシャフトの間にオーステナイト
系ステンレス鋼、耐熱鋼、Ni基またはCo基の超合金
からなる中間材を配置し、各々の接合を摩擦溶接で行う
接合方法を提案している。図5はこの方法で接合したタ
ーボチャージャのホットホイールの構成を示す断面図で
あり、1がタービンホイール、2がシャフト、3が中間
材である。
【0006】また、特開平2−157403号は、Ti
Al系金属間化合物基合金と中間材の接合は摩擦接合
で、中間材とシャフトとの接合は電子ビーム溶接で行う
こと接合方法を提案している。そして、中間材として
は、TiAl系金属間化合物基合金と接合性の良好なイ
ンコロイ903(商品名)を用いることが推奨されてい
る。図6はこの方法で接合したターボチャージャのホッ
トホイールの構成を示す断面図であり、1がタービンホ
イール、2がシャフト、3が中間材、4が中間部であ
り、またAはTiAl系金属間化合物基合金と中間材と
の接合部、Bは中間材とシャフトとの接合部である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】前記特公平8−181
51号の提案においては、中間材とシャフトとの摩擦接
合は従来から実績のある接合方法であり問題はないもの
の、TiAl系金属間化合物基合金と中間材との摩擦接
合には以下のような問題がある。すなわち、前記特公平
8−18151号で採用されている中間材はいずれもT
iAl系金属間化合物基合金に比べると線膨張係数が大
きい(中間材:13〜20×10-6/℃、TiAl系金
属間化合物基合金:9〜11×10-6/℃)ため、乗用
車、トラックの小型過給機を想定した場合、その発停に
伴いタービンには加熱、冷却の熱サイクルが負荷される
のに伴い、TiAl系金属間化合物基合金からなるター
ビンホイールと中間材との接合界面には、両者の線膨張
係数の違いに起因する熱応力が負荷される。この熱応力
は加熱、冷却、すなわち、小型過給機の発停の度に負荷
されることから、乗用車、トラック等の現実の使用状況
に鑑みれば、小型過給機の使用時には非常に多大のサイ
クルの熱応力が負荷されることになる。摩擦接合部の靭
性が良好であればこの熱応力の負荷に耐えうるが、Ti
Al系金属間化合物基合金自体が靭性に乏しいうえに、
中間材との摩擦接合部はさらに脆くなっていることか
ら、線膨張係数の差に起因する熱応力の多サイクル負荷
は、摩擦接合部に疲労破壊を生じさせるおそれがある。
特開平2−157403号においては、中間材を構成す
るインコロイ903(商品名)がTiAl系金属間化合
物基合金と同等の線膨張係数を有しているため、特公平
8−18151号のような線膨張係数の差異に基づく熱
応力の負荷の問題は回避される。しかし、図6に示すよ
うに、タービンホイール1と中間材2との接合界面が、
軸方向に垂直な平面であるため、製品の製造工程および
使用中においてシャフト3に曲げモーメントが作用した
場合、接合界面を開く方向の応力が負荷されてしまう。
【0008】通常の金属材料同士の摩擦接合であれば、
摩擦接合部自身に靭性があるため上記のような応力が負
荷されても問題が生じないが、前述のように、TiAl
系金属間化合物基合金と中間材との摩擦接合部は脆く、
亀裂進展に対する抵抗(KIC)が非常に小さいため、接
合面と亀裂開口方向が一致する場合、接合部表面の微小
欠陥、傷といった表面欠陥に敏感となる。つまり、シャ
フトに曲げモーメントが負荷された場合、微小な表面欠
陥を起点として亀裂が接合界面を容易に進展し、最終的
には接合部の破断に至るおそれがある。
【0009】そこで本発明は、線膨張係数の差異による
接合部の疲労破壊を防止し、また、シャフトに曲げモー
メントが負荷された場合にも亀裂の進展が生じにくい接
合構造を有する接合部材の提供を課題とする。また本発
明は、そのような接合構造を有するタービン部材の提供
を課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は接合手段とし
てロウ付けを前提として上記課題を解決するための検討
を行った。そして、軸方向に垂直な面のみならず、周方
向にも接合面を形成することにより、亀裂の進展を抑制
することとした。この接合を実現する具体的構造とし
て、接合部を構成する一方の部材に凹状接合部を、ま
た、他方の部材に凸状接合部を形成し、この凹状接合
部、凸状接合部を嵌合した状態でロウ付けすることが有
効である。
【0011】この際、用いるロウ材として、軸方向に垂
直な面および周方向の接合面ともに同一のロウ材を用い
ることも可能であるが、周方向の接合面に強度の高いロ
ウ材を用いると、その凝固時の収縮により発生する応力
がロウ材の塑性変形で緩和することなく、TiAl系金
属間化合物基合金に負荷されることとなる。しかしなが
ら TiAl系金属間化合物基合金は靭性が不十分であ
ることから、この負荷応力によって亀裂が発生すること
が懸念される。従って 周方向の接合面には低強度のロ
ウ材を用い、ロウ材自身の塑性変形で凝固時に発生する
応力を緩和することとした。なお、軸方向に垂直な接合
面においてはこの応力は負荷されないため、高温に長時
間曝されるという本接合部の仕様に鑑み、耐久性維持の
ため高強度のロウ材を用いることとした。
【0012】また、前記凸状接合部をTiAl系金属間
化合物基合金からなる部材に、また凹状接合部を他方の
部材に形成する場合、当該接合部材の使用温度<ロウ付
け温度の前提において、該他方の部材を、室温〜ロウ付
け温度の平均線膨張係数がTiAl系金属間化合物基合
金のロウ付け温度の線膨張より大きいが、室温〜当該接
合部材が使用される温度の平均線膨張係数がTiAl系
金属間化合物基合金のそれより小さい材料から構成する
ことにより、欠陥を防止しロウ付け強度を増すとともに
使用時における接合強度も十分に確保することができ
る。つまり、ロウ付け過程を考えてみると、まず室温に
おいて両部材の間にロウ材を挿入し、これをロウ材の融
点以上となるロウ付け温度に昇温する。ロウ付け温度に
おいてはこの挿入したロウ材が溶融することで、前記凸
状接合部形状のTiAl系金属間化合物基合金からなる
部材と凹状接合部形状の他方の部材の間の空隙がロウ材
で満たされることとなる。次にロウ付け温度から室温ま
での冷却過程においてはいったん溶融したロウ材が再度
凝固することとなるが、その際にはこの両部材とも収縮
することとなる。ここで両部材の室温からロウ付け温度
までの平均線膨張率の差によって、凹状接合部の収縮量
は凸状接合部の収縮量より大きくなる。この作用によっ
て室温における両部材間の空隙は、ロウ付け温度におけ
る空隙量よりも減少することとなる。したがって、冷却
過程において空隙量の減少が生じることから、ロウ付け
部の欠陥が発生しにくくなるとともに、いわゆる焼きば
めの効果も発生し、ロウ付け強度を増すことができる。
一方、当該接合部材の使用状況を考えてみると、使用温
度においては室温から昇温することで両部材とも膨張す
ることとなる。ここで両部材の室温から使用温度までの
平均線膨張率の差によって、凸状接合部の膨張量は凹状
接合部の膨張量より大きくなり、ロウ材で充填されてい
る両者の間の空隙は減少する。このため、ロウ付け部に
は同様に焼きばめの効果も発生し、ロウ付け強度を増す
ことができる。そして、 TiAl系金属間化合物基合
金との関係でこの線膨張率の条件を満足する材料として
インコロイ909(商品名)が掲げられる。インコロイ
909の代表的な組成は、重量%で、Ni:38%、C
o:13%、Fe:42%、Nb:4.7%、Ti:
1.5%、Si:0.4%、Al:0.03%、C:
0.01%である。
【0013】本発明は以上の知見、思想に基づくもので
あり、TiAl系金属間化合物基合金からなる基部と、
前記基部に接合される軸部とからなる接合部材におい
て、前記基部と前記軸部との接合面の一方に凸部を、他
方に凹部を形成し、前記凸部と凹部とが嵌合された状態
でロウ材により接合され、前記基部と前記軸部との軸方
向における接合面には強度の大きい第1のロウ材を用
い、周方向における接合面には前記第1のロウ材より強
度の小さい第2のロウ材を用いることを特徴とする接合
部材である。
【0014】本発明の接合体は、凸部と凹部とが嵌合し
た状態で接合しているので、その接合面は軸方向に垂直
な面のみならず、周方向にも形成される。したがって、
製造中あるいは使用中に軸に曲げモーメントが負荷され
た場合でも、接合面が軸方向に垂直な面にのみ形成され
た従来の接合構造に比べて接合部の表面欠陥からの亀裂
進展を抑制することができる。
【0015】また、前記基部と前記軸部との軸方向に垂
直な接合面には強度の大きいロウ材を用いて接合強度を
十分に確保する一方、周方向における接合面には相対的
に強度の小さいロウ材を用いることにより、所定の接合
強度を確保しつつTiAl系金属間化合物基合金からな
る回転部材へのロウ材の収縮に伴う応力負荷を軽減して
いる。なお、本発明は周方向における接合面の全面に第
2のロウ材を用いる場合に限るものではなく、応力負荷
の問題が生じない範囲で第1のロウ材を周方向における
接合面に用いてもよい。また、強度の大きい第1のロウ
材としてはJIS BAu−12に代表される金ロウ、
強度の小さい第2のロウ材としてはJIS BAg−8
に代表される銀ロウを用いることが望ましい。
【0016】本発明ではTiAl系金属間化合物基合金
の組成を限定するものではないが、原子%で、Al:4
4.5〜48.5%、Nb:5〜9.5%、Cr:0.
5〜2%、Si:0.1〜0.4%、Ni:0.2〜
0.4、残部不可避的不純物およびTiからなる組成
を有するTiAl系金属間化合物基合金を用いるのが望
ましい。この組成を有する合金は、製造方法を特定する
ことにより、γ−TiAl相(以下、γ相)およびα
−TiAl相(以下、α 相)からなるラメラー組
織とγ相の2相組織、またはラメラー組織、γ相および
β相を呈する相(以下、β相)の3相組織を有し、優れ
た耐酸化性、高温強度、靱・延性を得ることができる。
【0017】また、本発明によれば、TiAl系金属間
化合物基合金からなる凸状接続部を有する基部と、前記
基部の凸状接続部に嵌合する凹状接続部を有する軸部と
からなる接合部材において、前記基部と前記軸部とはロ
ウ材により接合され、室温〜前記接合部材の使用温度に
おける前記TiAl系金属間化合物基合金の平均線膨張
係数をα1、前記軸部を構成する材料の平均線膨張係数
をβ1、室温〜ロウ付け温度における前記TiAl系金
属間化合物基合金の平均線膨張係数をα2、前記軸部を
構成する材料の平均線膨張係数をβ2とすると、α1>
β1、α2<β2の条件を満足することを特徴とする接
合部材が提供される。
【0018】この接合部材は、TiAl系金属間化合物
基合金からなる基部の凸状接続部と、前記軸部の凹状接
続部とを嵌合した状態で接合するので、その接合面は軸
方向に垂直な面のみならず、周方向にも形成されるの
で、接合面が軸方向に垂直な面にのみ形成された従来の
接合構造に比べて接合部の表面欠陥からの亀裂進展を抑
制することができる。
【0019】また、室温〜前記接合部材の使用温度にお
ける前記TiAl系金属間化合物基合金の平均線膨張係
数をα1、前記軸部の平均線膨張係数をβ1、室温〜ロ
ウ付け温度における前記TiAl系金属間化合物基合金
の平均線膨張係数をα2、前記軸部の平均線膨張係数を
β2とすると、前記軸部がα1>β1、α2<β2の条
件を満足する材料から構成されているので、ロウ付け
時、例えば金ロウのBAu−12でのロウ付け温度の9
40℃から室温までの冷却過程において、前記軸部の線
膨張が大きいので、 TiAl系金属間化合物基合金か
らなる基部との空隙が減少することで、ロウ付け欠陥の
防止とともに焼きばめの効果で接合強度を増すことがで
きる。一方、実際の使用時の温度、例えば小型過給機の
タービンの場合での接合部付近の温度である約450℃
においては前記軸部の線膨張が小さいので、ロウ付け部
を圧縮する方向に応力が生じて、接合強度の確保に有益
となる。
【0020】前述のように、このような条件を満足する
とともに、所定の耐熱性を有する材料としてインコロイ
909(商品名)がある。インコロイ909およびTi
Al系金属間化合物基合金の線膨張係数を図3に示す。
図3に示すように、約700℃まではTiAl系金属間
化合物基合金の室温からの平均線膨張係数が大きいが、
この温度を超えるとインコロイ909の方が室温からの
線膨張係数が大きくなる。
【0021】本発明において、前記軸部に構造用鋼から
なる軸本体を接続することもできる。この場合、前記軸
部が、図5、図6で示した従来の接合構造の中間材に該
当することになる。もちろん軸部が軸本体と一体で構成
されていても構わない。この場合、構造用鋼の室温から
の平均線膨張率は温度に係らずTiAl系金属間化合物
基合金よりは大きいことから、ロウ付け時の冷却過程で
の欠陥防止と接合強度向上の効果はインコロイ909と
同様であるが、使用時における接合強度の向上の効果は
期待することはできない。また、前述した前期基部と前
記軸部との軸方向における接合面には強度の大きいロウ
材を用い、周方向における接合面には相対的に強度の小
さいロウ材を用いることによる効果は構造用鋼を用いた
場合でも同じである。
【0022】また、TiAl系金属間化合物基合金とし
ては、原子%で、Al:44.5〜48.5%、Nb:
5〜9.5%、Cr:0.5〜2%、Si:0.1〜
0.4%、Ni:0.2〜0.4、残部不可避的不純
物及びTiからなる組成を有するTiAl系金属間化合
物基合金を用いるのが望ましいことは前述したとおりで
ある。
【0023】ここで上記組成範囲とする理由を述べてお
く。 Al:Alは本系合金の主たる構成元素であり、Tiと
ともに金属間化合物相を形成する。Alの濃度が44.
5%未満では常温における延性が低下する。一方、4
8.5%を超えると高温強度が低下してしまう。したが
って、44.5〜48.5%とする。
【0024】Nb:Nbは耐酸化性の向上、さらには高
温強度を向上させる働きを有する。小型過給機タービン
の場合,接合部の温度は約450℃であるが、タービン
ホイール先端の温度は最低でも800℃になるため、こ
の温度で長時間使用される用途を考えると、添加量が5
%未満では耐酸化性、高温強度の向上に効果がない。一
方、9.5%を超えると常温延性が低下する。したがっ
て5〜9.5%とする。なお、6%未満では一般的な小
型過給機の使用環境である850℃程度の温度域におけ
る耐酸化性が不十分であり、また、8.5%を超えても
添加量に応じた耐酸化性が得られないとともに比重が増
加するため、6〜8.5%とすることが望ましい。
【0025】Cr:Crは常温における靭・延性向上を
目的として添加する。0.5%未満では常温における靭
・延性の向上が不十分であり、一方、2%を超えると高
温強度を低下させる。したがって、本発明においては、
0.5〜2%とする。望ましいCrの量は、0.7〜
1.3%である。
【0026】Si:Siは耐酸化性向上とともにクリー
プ強度を向上させる働きがある。添加量が0.1%未満
では添加効果が十分でなく、一方、0.4%を超えると
常温における靭・延性が低下する。したがって、0.1
〜0.4%とする。望ましいSiの量は0.15〜0.
35%である。
【0027】Ni:Niは耐酸化性および高温強度の向
上を目的として添加させる。添加量が0.2%未満では
添加効果が不十分であり、一方、0.4%を超えると常
温における靭・延性が低下する。したがって、0.2〜
0.4%とする。望ましいNiの量は、0.25〜0.
35%である。
【0028】その他:上記構成元素以外は不可避的不純
物およびTiからなるが、不純物元素のうちO(酸素)
が合金中に1000ppmを超え含まれていると、靭性を
低下させるため、Oは1000ppm以下に規制すること
が推奨される。
【0029】以上の組成からる合金を後述する方法によ
り製造すると、γ相およびα2相からなるラメラー組織
とγ相の2相組織、またはラメラー組織、γ相およびβ
相の3相組織となる。このような2相組織または3相組
織とすることにより、γ相、β相が、ラメラー組織の粗
大化を防止する効果を発現する。次に前述したTiAl
系金属間化合物基合金を例に本発明接合部材の好適な製
造方法について説明する。まず、原子%で、Al:4
4.5〜48.5%、Nb:5〜9.5%、Cr:0.
5〜2%、Si:0.1〜0.4%、Ni:0.2〜
0.4以下、残部不可避的不純物およびTiからなる合
金を溶解、鋳造する。溶解方法、鋳造方法については従
来公知の方法が適用できる。例えば、小型過給機のター
ビンホイールを対象とする場合には、溶解方法として高
周波溶解法を、また鋳造方法としてロストワックス法を
適用することができる。
【0030】次に、得られた鋳造物に熱間静水圧プレス
処理を施す。この熱間静水圧プレス処理は、鋳造物が比
較的大きい場合には鋳造物中に巣などの鋳造欠陥が存在
していることがあり、この鋳造欠陥を消滅させる目的で
行うものである。したがって、鋳造欠陥が生じにくい小
寸法製品を対象とするときは省略しても構わない。
【0031】熱間静水圧プレス処理の条件は、加熱温
度:1200〜1300℃、圧力:1100〜1300
atm、処理時間:0.5〜3時間とすることが望まし
い。温度が1200℃未満では鋳造欠陥を消滅させるた
めには不十分であり、また、1300℃を超えると表面
酸化による汚染が無視できないためである。なお、むろ
ん熱間静水圧プレス処理はアルゴン等の非酸化雰囲気で
行うが、加圧するためガス中に不純物として存在する酸
素の分圧が高くなり、温度が高くなると表面に若干の酸
化が生じる。この際、対象製品が表面を除去できるもの
であれば問題ないが、小型過給機のタービンホイールな
どの鋳物の表面をそのまま使用し、しかも翼が非常に薄
いものではこの酸化は望ましくない。圧力が1100at
m未満では鋳造欠陥を消滅させるためには不十分であ
り、また、1300atmを超えると効果が飽和する反
面、これが可能な熱間静水圧プレスの装置が限られるな
どの制約があるためである。処理時間は、0.5時間未
満では鋳造欠陥を消滅させるためには不十分であり、ま
た、3時間を超えても効果が飽和する反面処理コストが
かかるためである。
【0032】熱間静水圧プレス処理後、不活性雰囲気下
で、1300〜1400℃、10〜100分加熱保持し
た後急冷する熱処理を施す。熱処理雰囲気を非酸化雰囲
気とするのは、鋳造物の酸化防止のためである。ここで
非酸化雰囲気とは、真空またはAr等の不活性ガス中を
いう。また、加熱温度を1300〜1400℃とするの
は、この温度範囲で本発明の組織、つまりラメラー組
織、γ相およびβ相の3相組織が安定して得られるから
である。なお、1300℃未満ではγ相およびβ相の微
細2相組織からなる低強度な組織、1400℃を超える
とラメラー単相の粗大組織からなる低延性の組織となる
傾向が強い。したがって、加熱温度は1340〜138
0℃とすることが望ましい。さらに、加熱保持時間が1
0分未満では加熱温度が本発明範囲内であっても所望の
組織を得ることができず、また、所望の組織を得るため
には100分程度の保持で十分であり、それを超える保
持はエネルギーの浪費となるため、加熱保持時間は10
〜100分がよい。より望ましい加熱保持時間は15〜
70分である。
【0033】以上の加熱保持の後に、急冷処理する。こ
の急冷処理により、冷却後の鋳造物の組織は前述の2層
組織又は3相組織となる。この急冷処理は、加熱保持が
真空または不活性ガス雰囲気下で行われているが、所定
の加熱時間経過後に加熱を解除するとともに、真空下で
加熱保持していた場合には加熱炉中に不活性ガスを導入
するとともにそのガスを撹拌させるか、不活性ガス雰囲
気下で加熱保持していた場合には加熱炉中の不活性ガス
を撹拌するかあるいは新たに加熱炉中に不活性ガスを導
入するとともそのガスを撹拌すればよい。このような熱
処理を実行することが可能な熱処理炉として、真空ガス
ファンクーリング熱処理炉(以下、GFCと称す)があ
る。但し、急冷処理はこれら態様に限るものではなく、
所定の加熱保持後に熱処理炉から取り出して空冷する、
あるいは他のチャンバー内に移動させた後にこのチャン
バー内に不活性ガスを導入、吹付ける等の手段であって
もよい。
【0034】
【発明の実施の形態】<実験例>最適なロウ付け条件を
設定するために行った実験について説明する。図4の
(a)(b)に示すような試験片を用い、ロウ付け部の品
質、即ちロウ付け欠陥の有無と、ロウ付け部の室温と4
50℃における継手強度を評価した。ロウ付けする接合
部の形状自体はいずれの試験片も同じであり、TiAl
系金属間化合物基合金からなる凸状試験片11とインコ
ロイ909からなる凹状試験片12との間に、ロウ材
A、BおよびCを図示のように配置した。ここで、ロウ
材Aは軸方向に垂直な接合面の接合に用いたロウ材、ロ
ウ材Bは周方向の接合面に用いたロウ材である。また、
ロウ材Cは、特に周方向の接合面におけるロウ付け欠陥
を防止するためのもので、鋳造欠陥防止のための押し湯
に相当するものである。ロウ付は、真空下で940℃、
10分保持の条件で行った。
【0035】まず、図4の(a)の試験片を用いて検討
したロウ付け部の品質評価結果について説明する。この
試験においてはロウ材A及びBを厚さ100μmのBA
u−12からなるシート状ロウ材とし、ロウ材Cを粉末
状のBAg−8、狭幅帯状のBAg−8(厚さ100μ
m) 、ワイヤ状のBAg−8(0.8mmφ)の3種
類とした。各ロウ材の組成は下記の通りである。また、
ロウ材Cを設けないものについてもロウ付けを実施し
た。なお、凸状試験片11と凹状試験片12の室温にお
ける間隙(片側)を140μmとした。つまり、100
μmのロウ材を挿入することを考慮してそれ以上の間隙
を空けた。ロウ付けを行った後に、縦に切断しロウ付け
欠陥、つまり空隙の有無を調査した。その結果を表1に
併せて示す。 BAu−12 Au−12.5wt%Ag−12.5wt%Cu BAg−8 Ag−28wt%Cu
【0036】
【表1】
【0037】表1に示す結果から、以下のことが言え
る。ロウ材Cを設けないと、ロウ付け部分に欠陥(空
隙)が発生するのに対し、ロウ材Cを用いるとロウ付け
部分の欠陥発生が抑制される。このロウ材Cの形態とし
ては、粉末状よりも、ワイヤ状または狭幅帯材とするこ
とが望ましい。この理由は以下の通りである。まず、室
温の状態でロウ材Bを挿入するためにはロウ材以上の間
隙が必要であり、本実験ではこれを140μm(片側)
とした。なお、実用上最低でもロウ材の厚み+20μm
の間隙は必要である。そのためこの間隙の体積はロウ材
の体積よりは大きくなり、追加のロウ材Cがない場合、
ロウ付けの欠陥は必然的に発生することとなる。つぎに
ロウ材Cとして粉末を用いた場合、粉末の比表面積は非
常に大きいため真空下においてもわずかな不純物の酸素
によって酸化が生じ、軽く焼結することですべてが溶融
しない現象が生じる。したがって、置いた位置でとどま
りその下部への流入量が少なくなるため欠陥が生じたと
考えられる。一方、ロウ材Cとしてワイヤ状または狭幅
帯材を用いた場合、比表面積は粉末より大幅に少なくな
るため、仮に表面がわずかに酸化しても溶融は生じ、下
部への流入は生じることから、ロウ材Bのみでは生じる
欠陥の充填が可能となったものと考えられる。
【0038】次に、図4の(b)の試験片を用い、ロウ
付け後の試験片を室温と450℃で引張試験することで
評価したロウ付け部の強度評価結果について説明する。
この試験片においてはロウ材A及びBは厚さ100μm
のシート状ロウ材とし、ロウ材Cは直径0.8mmφの
ワイヤ状のロウ材とし、各ロウ材の材質を変えることで
最も良い組み合わせを検討した。また、参考のためロウ
付けを行わない同形状のTiAl系金属間化合物基合金
自体についても引張試験を行った。なお、凸状試験片1
1と凹状試験片12の室温における間隙(片側)はロウ
付け部の品質評価結果用の試験片と同じ140μmであ
る。結果を表2に示す。試験条件1はロウ材A、B、C
とも金ろうのBAu-12を用いたものであるが、室温
では母材の約1/2と言う非常に低い強度でTiAl系
金属間化合物基合金で破断している。一方、450℃に
おいてはほぼ母材と同等の強度でロウ付け部から破断し
ている。試験条件2はロウ材A、BをBAu-12と
し、ロウ材Cを銀ロウのBAg-8としたものである。室
温では試験条件1よりは良好であるものの、やはり母材
に較べるとかなり低い強度でTiAl系金属間化合物基
合金で破断している。一方、450℃においては試験条
件1と同等である。試験条件3はロウ材AをBAu-1
2とし、ロウ材B、Cを銀ロウのBAg-8としたもので
ある。室温ではTiAl系金属間化合物基合金で破断し
ているものの、試験条件1、2よりは大幅に良好であ
る。一方、450℃においてはロウ付け部破断であるが
試験条件1、2と大差なく良好である。試 験条件4は
ロウ材A、B、Cの全てをBAg-8としたものである。
室温の強度は最も良好であるものの、450℃の強度が
低い。
【0039】以上の結果を考察すると以下の通りであ
る。まず450℃の結果であるが、この温度では全てロ
ウ付け部で破断が生じており、単純にロウ材の強度が引
張強度を律速したと考えられる。また、各試験条件での
強度の違いは単純にロウ材の配合比から説明可能であ
る。即ち、より高温強度の高いBAu-12の配合比が
多いほど高温強度は向上している。次に、室温の結果で
あるがこれはいずれもTiAl系金属間化合物基合金で
破断しているが、その強度が全く違うことが特徴的であ
る。一般に延性のある通常の金属材料であれば、このよ
うな母材の破断強度の違いは生じえないが、TiAl系
金属間化合物基合金は室温では非常に脆いため、このよ
うな特異的な現象が生じたと考えられる。即ち、周方向
の接合部であるロウ材B、Cに強度が高いBAu-12
を用いた場合、ロウ付け後の冷却過程において収縮によ
って残留応力が発生するが、これをロウ材自身の塑性変
形によって緩和することができないため、 凸状試験片
11のTiAl系金属間化合物基合金に応力が負荷され
ることとなる。しかしながら、TiAl系金属間化合物
基合金は非常に脆いため、この応力に耐えられず微細な
割れが発生したものと考えられる。また、TiAl系金
属間化合物基合金の室温における亀裂伝播速度は非常に
速いため、室温の引張試験においてはこの亀裂が容易に
進展し、試験条件1、2では低荷重で破断したものと考
えられる。なお、450℃においてはこの亀裂伝播速度
は遅くなるため、試験条件1、2でもロウ材破断で良好
な強度を示したものと考えられる。また室温強度及び4
50℃強度ともに良好な結果を得たのは、ロウ材Aとし
てBAu-12、ロウ材B及びCとしてBAg-8を用いた
試験条件3であるが、この要因としてはロウ材B及びC
に柔らかいロウ材のBAg-8を用いたため、ロウ付け後の
収縮時においてはこのロウ材が塑性変形することで応力
緩和し、 TiAl系金属間化合物基合金には割れが発
生しなかったため、室温強度が良好になったと考えられ
る。また軸方向の接合面である底面ではロウ材Aとして
高温強度の高いBAu-12を用いたため、450℃に
おいても十分な強度を維持したものと考えられる。なお
この点がすべてを低強度のBAg-8を用いた、試験条件4
との違いである。
【0040】
【表2】
【0041】以下本発明を具体的実施形態に基づき説明
する。 <第1実施形態>図1に示す構造の乗用車小型過給機用
タービンを作成した。図1において、1はタービンホイ
ール(基部)、2はシャフト(軸部)である。タービン
ホイール1は、原子%で、Al:45.8%、Nb:
8.6%、Cr:1.2%、Si:0.25%、Ni:
0.35%、O2:700ppm、残部不可避的不純物お
よびTiからなる組成を有するTiAl系金属間化合物
基合金から構成されている。このタービンホイール1は
ロストワックス法により得られたものである。また、シ
ャフト2は、JISSCM435相当材から構成されて
いる。なお、タービンホイール1のミクロ組織を観察し
たところ、γ相およびα2相からなるラメラー組織、γ
相およびβ相の3相組織であることが確認された。
【0042】図1に示すように、タービンホイール1に
は凸状接合部1aが、また、シャフト2には凹状接合部
2aが形成され、この凸状接合部1aと凹状接合部2a
とが嵌合状態となりタービンホイール1とシャフト2と
が接合されている。
【0043】ロウ付けに際しては、凸状接合部1aと凹
状接合部2aとの間に、表2の試験条件3と同じ方法、
即ちロウ材A(BAu−12)、B(BAu−8)およ
びC(ワイヤ状BAu−8)を、図4(C)に示すよう
に配置した。ここで、ロウ材Aは軸方向に垂直な接合面
の接合に用いたロウ材、ロウ材Bは周方向の接合面に用
いたロウ材である。ロウ付は、真空下で940℃、10
分保持の条件で行った。
【0044】以上のタービンは、前記タービンホイール
1とシャフト2との軸方向における接合面には強度の大
きいロウ材であるBAu−12を用い、周方向における
接合面には強度の小さいロウ材であるBAg−8を用い
ているので、ロウ付けによりタービンホイール1の凸状
接合部1aへの応力負荷が緩和されるとともに、タービ
ン使用時における接合部の温度である450℃程度の高
温状態においての接合強度も確保することができる。
【0045】また、本実施の形態にかかるタービンは、
TiAl系金属間化合物基合金からなるタービンホイー
ル1の凸状接続部1aと、前記シャフト2の凹状接続部
2aとを嵌合した状態で接合するので、その接合面は軸
方向に垂直な面のみならず、周方向にも形成されるの
で、接合面が軸方向に垂直な面にのみ形成された従来の
接合構造に比べ、製作時および使用時に曲げモーメント
が負荷された場合においても、接合部の表面欠陥からの
亀裂進展を抑制することができる。
【0046】なお、以上の実施形態において、周方向の
接合面をテーパ状とすることもできるし、また、タービ
ンホイール1に凹状接続部を、シャフト2に凸状接続部
を設けてもよい。
【0047】<第2実施形態>図2に示す構造の乗用車
小型過給機用タービンを作成した。図2において、1は
タービンホイール、2はシャフト、3は中間材である。
タービンホイール1は、原子%で、Al:45.8%、
Nb:8.6%、Cr:1.2%、Si:0.25%、
Ni:0.35%、O2:740ppm、残部不可避的不
純物およびTiからなる組成を有するTiAl系金属間
化合物基合金から構成されている。また、シャフト2
は、JIS SCM435相当材から構成されている。
さらに、中間材3は、重量%で、Ni:37.8%、C
o:13.2%、Nb:4.7%、Ti:1.4%、S
i:0.4%、Al:0.03%、 C:0.01%、
残部Feおよび不可避的不純物からなるFe基の超合金
(商品名:インコロイ909)から構成されている。な
お、タービンホイール1のミクロ組織を観察したとこ
ろ、γ相およびα2相からなるラメラー組織、γ相およ
びβ相の3相組織であることが確認された。
【0048】図2に示すように、タービンホイール1に
は凸状接合部1aが、また、中間材3はカップ状の形状
をしており、タービンホイール1の凸状接合部1aが中
間材3の凹部とが嵌合状態となりロウ材を介してタービ
ンホイール1と中間材2とが接合されている。また、中
間材3とシャフト2とは、電子ビーム溶接により接合さ
れている。
【0049】ロウ付けに際しては、表2の試験条件3と
同じ方法、即ち凸状接合部1aと凹状接合部2aとの間
に、ロウ材A、BおよびCを図4(C)に示す態様で配
置した。ここで、ロウ材Aは軸方向に垂直な接合面の接
合に用いたBAu−12、ロウ材Bは周方向における接
合面に用いたBAg−8、ロウ材Cは特に周方向の接合
面におけるロウ付け欠陥を防止するために配置したワイ
ヤ状のBAg−8である。ロウ付けの条件は、940℃
×10分である。なお、周方向における接合面について
は、本実施の形態ではその全面にBAg−8を配置した
が、例えば1/2程度の高さまでBAu−12を配置し
ても構わない。
【0050】本実施の形態にかかるタービンは、前記タ
ービンホイール1を構成するTiAl系金属間化合物基
合金の室温〜500℃における平均線膨張係数が約11
×10-6/℃、同じく室温〜900℃(ロウ付け温度近
傍)における平均線膨張係数が約12×10-6/℃、前
記中間材3を構成するインコロイ909の室温〜500
℃における平均線膨張係数が約8.5×10-6/℃、同
じく室温〜900℃(ロウ付け温度近傍)における平均
線膨張係数が約13.5×10-6/℃である。つまり、
室温〜500℃(使用時の接合部付近の温度)における
平均線膨張係数は中間材3の方がタービンホイール1よ
りも小さいが、室温〜900℃(ロウ付け温度近傍)に
おける平均線膨張係数は中間材3の方がタービンホイー
ル1よりも大きい。したがって、これまで詳述したよう
に、ロウ付け後の冷却過程ならびに使用時ともロウ付け
部を締めつける力が発生するため、ロウ付け施工時にお
いてロウ付け欠陥が発生しにくくなるとともに、擬似的
な焼嵌め状態となり、両者の接合強度は強固なものとな
る。
【0051】また、本実施の形態にかかるタービンは、
前記タービンホイール1とシャフト2との軸方向におけ
る接合面には高温強度の大きいロウ材であるBAu−1
2を用い、周方向における接合面には常温強度の小さい
ロウ材であるBAg−8を用いているので、ロウ付けに
よりタービンホイール1の凸状接合部1aが室温で破断
することがなく、また、乗用車小型過給機での使用時の
接合部付近の温度である450℃程度の高温状態におい
ての接合強度も確保することができる。
【0052】また、本実施の形態にかかるタービンは、
TiAl系金属間化合物基合金からなるタービンホイー
ル1の凸状接続部1aと、前記シャフト2の凹状接続部
2aとを嵌合した状態で接合するので、その接合面は軸
方向に垂直な面のみならず、周方向にも形成されるの
で、接合面が軸方向に垂直な面にのみ形成された従来の
接合構造に比べて、製作時、使用時に曲げモーメントが
負荷された場合においても、接合部の表面欠陥からの亀
裂進展を抑制することができる。
【0053】
【発明の効果】以上説明のように、本発明のTiAl系
金属間化合物基合金からなる基部と、前記基部に接合さ
れる軸部とからなる接合部材は、凸部と凹部とが嵌合し
た状態で接合しているので、その接合面は軸方向に垂直
な面のみならず、周方向にも形成される。したがって、
曲げモーメントが負荷された場合でも、接合面が軸方向
に垂直な面にのみ形成された従来の接合構造に比べて接
合部の表面欠陥からの亀裂進展を抑制することができ
る。さらに、前記基部と前記軸部との軸方向に垂直な接
合面には強度の大きいロウ材を用いて接合強度を十分に
確保する一方、周方向における接合面には相対的に強度
の小さいロウ材を用いることにより所定の接合強度を確
保しつつTiAl系金属間化合物基合金への応力負荷を
軽減している。
【0054】また、室温〜前記接合部材の使用温度にお
ける前記TiAl系金属間化合物基合金の平均線膨張係
数をα1、前記軸部の平均線膨張係数をβ1、室温〜ロ
ウ付け温度における前記TiAl系金属間化合物基合金
の平均線膨張係数をα2、前記軸部の平均線膨張係数を
β2とすると、ロウ付け温度>使用時の接合部温度にお
いて、前記軸部がα1>β1、α2<β2の条件を満足
する材料から構成した場合には、ロウ付け後の冷却過程
ならびに使用時ともロウ付け部を締めつける力が発生す
るため、ロウ付け施工時においてロウ付け欠陥が発生し
にくくなるとともに、擬似的な焼嵌め状態となり、両者
の接合強度は強固なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の1実施形態にかかるタービンを示す
図である。
【図2】 本発明の他の実施形態にかかるタービンを示
す図である。
【図3】 インコロイ909およびTiAl系金属間化
合物基合金の線膨張係数を示すグラフである。
【図4】 ロウ付け試験に用いた試験片及びロウ材の配
置を示す図である。
【図5】 従来のタービンの1例を示す示す図である。
【図6】 従来のタービンの1例を示す示す図である。
【符号の説明】
1 タービンホイール(基部) 2 シャフト(軸部) 3 中間材(軸部)
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平11−320132(JP,A) 特開 平10−220236(JP,A) 特開 平10−118764(JP,A) 特開 平5−78769(JP,A) 実開 昭62−61901(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23K 35/00 - 35/30 B23K 1/00 - 1/20 B23K 31/00 - 33/00 F02B 39/00

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 TiAl系金属間化合物基合金からなる
    基部と、前記基部に接合される軸部とからなる接合部材
    において、 前記基部と前記軸部との接合面の一方に凸部を、他方に
    凹部を形成し、前記凸部と凹部とが嵌合された状態でロ
    ウ材により接合され、 前記基部と前記軸部との軸方向における接合面には強度
    の大きい第1のロウ材を用い、周方向における接合面に
    は前記第1のロウ材より強度の小さい第2のロウ材を用
    いることを特徴とする接合部材。
  2. 【請求項2】 前記第1のロウ材が金ロウ、前記第2の
    ロウ材が銀ロウである請求項1に記載の接合部材。
  3. 【請求項3】 前記TiAl系金属間化合物基合金が、
    原子%で、Al:44.5〜48.5%、Nb:5〜
    9.5%、Cr:0.5〜2%、Si:0.1〜0.4
    %、Ni:0.2〜0.4、残部不可避的不純物およ
    びTiからなる組成を有する請求項1または2に記載の
    接合部材。
  4. 【請求項4】 TiAl系金属間化合物基合金からなる
    凸状接続部を有する基部と、前記基部の凸状接続部に嵌
    合する凹状接続部を有する軸部とからなる接合部材にお
    いて、 前記基部と前記軸部とはロウ材により接合され、 室温〜前記接合部材の使用温度における前記TiAl系
    金属間化合物基合金の平均線膨張係数をα1、前記軸部
    を構成する材料の平均線膨張係数をβ1、室温〜ロウ付
    け温度における前記TiAl系金属間化合物基合金の平
    均線膨張係数をα2、前記軸部を構成する材料の平均線
    膨張係数をβ2とすると、使用温度<ロウ付け温度の場
    合で、α1>β1、α2<β2の条件を満足することを
    特徴とする接合部材。
  5. 【請求項5】 前記軸部に構造用鋼からなる軸本体が接
    合されている請求項4に記載の接合部材。
  6. 【請求項6】 前記基部と前記軸部との軸方向における
    接合面には強度の大きい第1のロウ材を用い、周方向に
    おける接合面には前記第1のロウ材より強度の小さい第
    2のロウ材を用いる請求項4又は5に記載の接合部材。
  7. 【請求項7】 前記第1のロウ材が金ロウ、前記第2の
    ロウ材が銀ロウである請求項6に記載の接合部材。
  8. 【請求項8】 前記TiAl系金属間化合物基合金が、
    原子%で、Al:44.5〜48.5%、Nb:5〜
    9.5%、Cr:0.5〜2%、Si:0.1〜0.4
    %、Ni:0.2〜0.4、残部不可避的不純物およ
    びTiからなる組成を有する請求項〜7のいずれかに
    記載の接合部材。
  9. 【請求項9】 TiAl系金属間化合物基合金からなる
    タービンホイールと、前記タービンホイールに接合され
    るシャフトとからなるタービン部材において、前記ター
    ビンホイールと前シャフトとの接合面の一方に凸部を、
    他方に凹部を形成し、前記凸部と凹部とが嵌合された状
    態でロウ材により接合され、 前記タービンホイールと前記シャフトとの軸方向におけ
    る接合面には強度の大きい第1のロウ材を用い、周方向
    における接合面には前記第1のロウ材より強度の小さい
    第2のロウ材を用いることを特徴とするタービン部材。
  10. 【請求項10】 TiAl系金属間化合物基合金からな
    る凸状接続部を有するタービンホイールと、前記タービ
    ンホイールの凸状接続部に嵌合する凹状接続部を有する
    中間材と、中間材に接続されるシャフトとからなるター
    ビン部材において、 前記タービンホイールと前記中間材とはロウ材により接
    合され、室温〜前記タービン部材の使用温度における前
    記TiAl系金属間化合物基合金の平均線膨張係数をα
    1、前記中間材を構成する材料の平均線膨張係数をβ
    1、室温〜ロウ付け温度における前記TiAl系金属間
    化合物基合金の平均線膨張係数をα2、前記中間財を構
    成する材料の平均線膨張係数をβ2とすると、使用温度
    <ロウ付け温度の場合で、α1>β1、α2<β2の条
    件を満足することを特徴とするタービン部材。
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