JP3532593B2 - 糖質又は複合糖質の製造方法 - Google Patents

糖質又は複合糖質の製造方法

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  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はエンド-β-N-アセチルグ
ルコサミニダーゼMの糖転移活性を利用して、糖質また
は複合糖質に糖タンパク質のアスパラギン結合型糖鎖な
どの糖鎖を転移し、糖質又は複合糖質をリモデリングす
る方法に関する。
【0002】
【従来の技術】糖質及び複合糖質(糖タンパク質、糖脂
質、プロテオグリカン)は、動物、植物、昆虫、微生物
など広範囲な生物で見いだされている。糖質は細胞骨格
物質やエネルギー源など、また、複合糖質は細胞接着、
細胞認識、細胞間情報伝達などに関与する物質で、生物
において非常に重要な機能をもっていることが知られて
いる。
【0003】一方、最近エリスロポエチン、インターフ
ェロンなど多くの糖タンパク質性の医薬品において糖鎖
構造が薬物動態に大きく影響していることが明らかにさ
れつつある。現在、糖タンパク質性の医薬品の中には微
生物や動物細胞を用いて大量生産しているものがある
が、糖鎖構造が異なるために体内動態や安定性に問題を
かかえ、大量投与や副作用の原因となっているものがあ
る。従って、糖鎖構造を変えることにより、体内動態や
安定性の改善を図った糖タンパク質性の医薬品を生産す
ることが期待される。
【0004】アスパラギン結合型糖鎖は、ポリペプチド
のアスパラギン残基に結合している糖鎖で、数個から数
十個の種々の糖が多様に結合した複雑な構造となってい
る。この糖鎖は、高マンノース型、混成型、複合型に大
別され、特に複合型糖鎖は、動物でよく見いだされる糖
鎖構造であり、生体内で重要な生理機能を担っているこ
とが知られている。アスパラギン結合型糖鎖の種類につ
いて、図1に高マンノース型、図2に混成型、図3に複
合型の1分枝型、図4に複合型の2分枝型、図5に複合
型の3分枝型、図5に複合型の4分枝型を示す。
【0005】アスパラギン結合型糖鎖は様々な多数の糖
から構成されているので、これを得るために有機合成的
手段を用いたのでは、糖を逐次的に結合する反応が必要
であり、大変煩雑である。従って、糖鎖そのものを簡便
な方法で変換(リモデリング)する方法が必要とされて
いる。このような方法として、R.B.トリムブルらは、フ
ラボバクテリウム メニンゴセプチカム(Flavobacteri
um meningosepticum )由来のエンド-β-N-アセチルグル
コサミニダーゼ(以下、エンドFとする)を用いた方法
を報告し〔ジャーナルオブ バイオロジカル ケミスト
リー(J. Biol. Chem.)、第261巻、第12000〜12005頁
(1986)〕、K.タケガワらは、アルスロバクター プロ
トホルミエ(Arthrobacter protophormiae)由来のエン
ド-β-N-アセチルグルコサミニダーゼ(以下、エンドA
とする)を用いた方法を報告している(特開平5−6459
4号公報)。
【0006】これらは、いずれも本来糖タンパク質のア
スパラギン結合型糖鎖を切断するエンド-β-N-アセチル
グルコサミニダーゼの糖転移活性を利用して糖鎖を転移
する方法である。エンド-β-N-アセチルグルコサミニダ
ーゼを用いた糖転移反応は多数の糖から構成される糖鎖
を一度に転移できるので極めて有効である。エンド-β-
N-アセチルグルコサミニダーゼの共通する酵素的性質
は、次式〔IV〕:
【0007】
【化4】
【0008】の矢印の位置を加水分解することである。
しかし、糖転移活性は、この酵素の一般的な性質とは言
えず、例えばストレプトマイセス プリカタス(Strept
omycesplicatus)由来のエンド-β-N-アセチルグルコサ
ミニダーゼHでは全く見いだされていない。さらに、ア
スパラギン結合型糖鎖の複合型を、広範囲な糖質あるい
は複合糖質に転移できるエンド-β-N-アセチルグルコサ
ミニダーゼは現在までのところ知られていない。
【0009】例えば、エンドFの場合、アスパラギン結
合型糖鎖のうち、高マンノース型、バイセクティングN-
アセチルグルコサミンをもたない混成型、2本鎖複合型
の転移は行なえるが、その他のものは転移できない。し
かも、アクセプターとしてはグリセロールのみが利用可
能といった問題点や利用の制限がある。また、エンドA
の場合には種々のアクセプターを利用することができる
が、本来の加水分解活性がアスパラギン結合型糖鎖の中
の高マンノース型と混成型の一部の糖鎖に限られている
ことから〔アプライド アンド エンバイロンメンタル
マイクロバイオロジー(Appl. Environ. Microbiol.
)、第55巻、第3107〜3112頁(1989)〕、複合型糖鎖
はドナーから切り出すことができず、転移反応が行えな
いと考えられる。従って、動物由来の糖タンパク質など
の生産において、使用が制限されたり、あるいは使用が
困難である等、利用上の問題点がある。
【0010】一方、エンド-β-N-アセチルグルコサミニ
ダーゼMは、ムコール属に属するMucor hiemalis SK-31
4の生産するエンド-β-N-アセチルグルコサミニダーゼ
である。そして、糖タンパク質のアスパラギン結合型糖
鎖の高マンノース型、混成型、複合型のいずれも前記式
〔IV〕の矢印の部分で分解するという触媒作用が、S.カ
ドワキらによって報告されている〔アグリカルチュラル
アンド バイオロジカル ケミストリー(Agric. Bio
l. Chem.)、第52巻、第2387〜2389頁(1988)〕。
【0011】しかし、この酵素が糖鎖の転移反応を触媒
する活性を有することは知られていない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】上記諸問題に鑑み、糖
鎖を糖質あるいは複合糖質に簡便に転移する方法、即
ち、アスパラギン結合型糖鎖の高マンノース型、混成
型、複合型など幅広い種類の糖鎖を一段階の反応で転移
し、安定性や細胞認識などの物理化学的あるいは生理的
性質を向上した糖質および複合糖質を合成する方法の開
発が望まれていた。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
について鋭意研究を行った結果、エンド-β-N-アセチル
グルコサミニダーゼMが糖転移反応を触媒することを見
いだし、また、エンド-β-N-アセチルグルコサミニダー
ゼMの作用を利用することにより、種々多様な糖鎖を転
移することが可能で、特にアスパラギン結合型糖鎖では
高マンノース型、混成型、複合型のいずれをも転移する
ことが可能な糖質および複合糖質のリモデリング法の開
発に成功し、本発明を完成させた。
【0014】即ち、本発明は、エンド-β-N-アセチルグ
ルコサミニダーゼMの存在下、次式〔I〕:
【0015】
【化5】
【0016】(式中、Aは糖質、GlcNAcはN-アセチルグ
ルコサミン、C及びDは糖質又は複合糖質を表す)で示
される転移反応を行なうことを特徴とする糖質又は複合
糖質の製造方法である。また、本発明は、エンド-β-N-
アセチルグルコサミニダーゼMの存在下、次式〔II〕:
【0017】
【化6】
【0018】(式中、A及びBは糖質、GlcNAcはN-アセ
チルグルコサミン、C及びEは糖質又は複合糖質を表
す)で示される転移反応を行なうことを特徴とする糖質
又は複合糖質の製造方法である。更に、本発明は、エン
ド-β-N-アセチルグルコサミニダーゼMの存在下、次式
〔III〕:
【0019】
【化7】
【0020】(式中、A及びBは糖質、GlcNAcはN-アセ
チルグルコサミン、C及びEは糖質又は複合糖質を表
す)で示される転移反応を行なうことを特徴とする糖質
又は複合糖質の製造方法である。複合糖質としては、糖
タンパク質、糖脂質又はプロテオグリカンが挙げられ
る。
【0021】また、糖質又は複合糖質に転移される糖鎖
はアスパラギン結合型である。更に、糖質又は複合糖質
に転移される糖鎖がアスパラギン結合型であって、その
糖鎖は混成型又は複合型である。以下、本発明を詳細に
説明する。本発明は、多種多様な糖質あるいは複合糖質
をアクセプターとすることができ、かつ、様々な糖鎖を
転移することが可能で、特に、アスパラギン結合型糖鎖
では高マンノース型、混成型、複合型のいずれをも転移
することが可能な糖転移反応系を特徴とするものであ
る。特に、複合型は構造変化に富み、動物でよく見いだ
される糖鎖構造であり、生体内で重要な生理機能を担っ
ているので、複合型糖鎖を転移できることは産業上、極
めて意義深いものである。
【0022】前述の本発明の糖転移反応において、式
〔I〕、〔II〕又は〔III〕中、A及びBは糖質を示
し、マンノース、グルコース、N-アセチルグルコサミン
などから構成されるホモオリゴマー、あるいは、マンノ
ース、グルコース、N-アセチルグルコサミン、ガラクト
ース、シアル酸などの2成分以上より構成されるヘテロ
オリゴマーである。これらの代表的な例として、糖タン
パク質のアスパラギン結合型糖鎖が挙げられる。アスパ
ラギン結合型糖鎖とは、糖タンパク質のアスパラギン残
基に結合する糖鎖をいう。
【0023】また、式〔I〕、〔II〕又は〔III〕中、
C、D及びEは糖質又は複合糖質であり、例えばグルコ
ース、マンノース、N-アセチルグルコサミンなどの単
糖、これらの2単糖以上のホモオリゴマー、これら2成
分以上から構成されるヘテロオリゴマーなどが挙げられ
る。また、これら糖質のα- およびβ-メチルグリコシ
ド、α- およびβ-p-ニトロフェニルグリコシド、-メ
チルグリコシド、1-アミノグリコシド、4-メチルウム
ベリフェリルグリコシドなどの糖質及び、ピリジルアミ
ノ化された糖質、また、これら糖質の末端にアスパラギ
ン、発色物質あるいは蛍光物質などで標識されたアスパ
ラギン、アスパラギンを介してポリペプチドが結合した
複合糖質などでもよい。
【0024】更に、式〔I〕中、アクセプターであるD
としては、その非還元末端のC-4 位が遊離である糖質あ
るいは複合糖質がよく反応し、C-4 位が遊離の糖の中で
も、そのC-4 位およびC-5 位の立体配座がN-アセチルグ
ルコサミンと同じものがよい。従って、N-アセチルグル
コサミン、グルコース、グルコサミン、N-アセチルマン
ノサミン、マンノース、マンノサミン、アロースなどの
単糖、又はこれらの糖を非還元末端とする糖質あるいは
複合糖質がよいアクセプターとなる。また、これら糖質
のα- 及びβ-メチルグリコシド、α-及びβ-p-ニトロ
フェニルグリコシド、-メチルグリコシド、1-アミノ
グリコシド、4-メチルウムベリフェリルグリコシドな
どの糖質及び、ピリジルアミノ化された糖質、あるい
は、これら糖質にアスパラギン、セリン、トレオニンな
どのアミノ酸、あるいは発色物質、蛍光物質、保護基な
どで修飾されたアスパラギン、セリン、トレオニンなど
アミノ酸の結合した複合糖質にも作用する。
【0025】本発明の糖転移反応は、通常、ドナーとな
る糖質あるいは複合糖質、アクセプターとなる糖質ある
いは複合糖質、触媒となるエンド-β-N-アセチルグルコ
サミニダーゼM(以下、エンドMとする)、及び緩衝液
を含む反応液中で行なわれる。ドナーあるいはアクセプ
ターの使用量は特に制限されず、飽和量まで使用でき
る。エンドMの使用量も特に制限されないが、反応溶液
1ml当たり10mU〜10U程度使用すればよい。緩衝液はpH
が5〜11程度の適当な緩衝液を用いればよく、通常はpH
6.0付近でリン酸カリウム緩衝液を使用する。 本発明
の転移反応は、反応液に有機溶媒、無機塩類等を添加し
ても反応し、例えば水難溶性の糖質あるいは複合糖質に
対しては、有機溶媒としてメタノールを使用することが
できる。この他、DMSO(ジメチルスルホキシド)やDMF
(N, N-ジメチルホルムアミド)なども使用できる。
【0026】本発明の転移反応は、通常室温〜50℃程
度、好ましくは30〜40℃程度の温度下で行なわれ、その
反応条件によるが、転移反応は数分から数十時間程度で
終了する。生成されるリモデリング糖質あるいは複合糖
質は、既に公知となっている方法によって反応終了液か
ら容易に分離精製可能である。例えば、ゲル濾過カラム
クロマトグラフィーなどがその方法として挙げられ、さ
らに脱塩、濃縮、凍結乾燥などの操作により回収するこ
とができる。
【0027】本発明の方法で製造した糖質または複合糖
質は、各種糖質分解酵素や糖転移酵素の基質となり、各
種有用酵素の検索に用いることができる。特にアスパラ
ギン結合型糖鎖のうち、複合型に関与する酵素の基質を
調製するのに有用である。例えば、次式〔V〕:
【0028】
【化8】
【0029】で示される化合物に、α-p-ニトロフェニ
ルグルコース(p-NP-α-Glc)を作用させて得られる次式
〔VI〕:
【0030】
【化9】
【0031】で示される化合物は、試料中の複合型のア
スパラギン結合型糖鎖を切断するエンド-β-N-アセチル
グルコサミニダーゼの検出および測定に用いることがで
きる。即ち、試料中に目的の酵素が存在すれば、p-NP-
α-Glcが遊離し、さらにα-グルコシダーゼを作用させ
れば遊離のp-ニトロフェノールが黄色を示し、ラジオア
イソトープや蛍光光度計などを用いずに試料中の酵素活
性を簡便に測定することができる。試料としては微生
物、昆虫、動物、植物などの生物あるいはそれらの細胞
培養液などが挙げられる。また、p-NP-α-Glcの代わり
に、例えばX-Glc (5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-D
-グルコシド)を用いることが可能で、この場合には青
色を呈する。
【0032】また、例えば本発明のp-ニトロフェニル化
糖質を還元し、p-アミノフェニル化糖質を調製し、その
後活性化カルボキシルアガロースや臭化シアン活性化ア
ガロースなどに結合させることにより、糖質が結合した
担体を調製することができる。この糖質結合担体は各種
糖質分解酵素、糖転移酵素、レクチンなどの精製に有用
である。また、本発明で合成されるメチルグリコシド化
糖質はエポキシ活性化アガロースなどに容易に固定化す
ることが可能で、調製した糖質結合担体は前述と同様の
目的で使用することができる。
【0033】
【発明の効果】本発明によれば、エンドMの触媒作用を
利用することにより、従来の技術では困難であった種々
多様な糖鎖を転移することが可能で、特にアスパラギン
結合型糖鎖では高マンノース型、混成型、複合型のいず
れをも転移することが可能な糖質および複合糖質のリモ
デリング法を提供することができる。
【0034】糖質あるいは複合糖質の糖鎖をリモデリン
グすることは、副作用の少ない医薬品などの開発、生産
等に利用できることから、産業上極めて有用である。
【0035】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的
に説明する。但し、本発明はこれらの実施例により限定
されるものではない。 〔実施例1〕 ヒト アシアロトランスフェリン糖鎖の
GlcNAcへの転移反応 エンドMの精製は、S.カドワキら〔アグリカチュラル
アンド バイオロジカル ケミストリー (Agric. Bio
l. Chem.)、第54巻、第97-106頁(1990)〕によって報
告されている方法に従って行なった。
【0036】Mucor hiemalis SK-314をグルコース0.5
%、ペプトン0.5%、酵母エキス0.5%を含む液体培地
(pH 6.5 )で28℃、3〜4日間振とう培養し、限外濾過
によって菌体を除いて培養濾液を得た。この培養濾液を
粗酵素液として、CM-セルロース処理、70%飽和硫安沈
殿、DEAE-Sepharose CL-6B、Sephadex G-200、Hydroxyl
apatite、TSK-gel HW-65F、Con A-Sepharoseの合計5種
類の各カラムクロマトグラフィーによる精製過程を経て
精製標品を取得し、以下の実施例に使用した。該菌株
は、Mucor hiemalis SK-314と表示し、工業技術院生命
工学工業技術研究所に、FERM BP-4377として寄託されて
いる。
【0037】2.5 mgのヒト トランスフェリン(シグマ
社製)のアシアロ体、100mMのGlcNAc(ナカライテスク
社製)、66mMリン酸カリウム(和光純薬社製)緩衝液
(pH6.0)、32mUエンドMを含む反応液1.5mlを37℃で6
時間反応させた後、終濃度5%となるようにトリクロロ
酢酸(和光純薬社製)を加えて反応を停止した。 反応
液はゲル濾過カラムクロマトグラフィーに供した後、凍
結乾燥し、以下のようにピリジルアミノ化(以下PA化と
略記する)後、HPLC分析により転移生成物の同定を行っ
た。
【0038】100μlの2-アミノピリジン酢酸溶液〔276m
g 2-アミノピリジン(和光純薬社製)/0.1ml酢酸(和光
純薬社製精密分析用)〕を添加した後、密封して90℃で
60分間加温し、一旦室温に戻した後、100μlの20%ジメ
チルアミン−ボラン酢酸溶液2gジメチルアミン−ボ
ラン(和光純薬社製)/ 10ml酢酸(和光純薬社製精密分
析用)を加えてさらに80℃で50分間加温した。得られ
た反応液200μlに2mlの75%メタノールを加えて攪拌
後、メタノールを減圧蒸留で除去し、さらに同様の操作
を85%メタノールを用いて3〜4回繰り返した。減圧濃
縮物に飽和炭酸水素ナトリウム(和光純薬社製)水溶
液、5%無水酢酸(和光純薬社製)水溶液を各500μl添
加して攪拌後、10分間放置した。これに1.5mlのベンゼ
ン(和光純薬社製)を加えて激しく攪拌した後、10分間
放置し、上層のベンゼンを除き、さらに同様のベンゼン
抽出を7回繰り返した。得られた水層を減圧蒸留した
後、Sephadex G-10カラムによるゲル濾過カラムクロマ
トグラフィーに供し、HPLC分析の試料とした。HPLC分析
による糖鎖構造解析は、順相および逆相カラムを用いる
N.トミヤら〔アナリティカル バイオケミストリー (Ana
l. Biochem.)、第171巻、第73-90頁(1988)〕の2次元
マッピング法によって行なった。
【0039】次式〔VII〕:
【0040】
【化10】
【0041】で示される市販の化合物(宝酒造社製)を
標準物質として使用して比較した結果、転移生成物のPA
化物を、次式〔VII〕:
【0042】
【化11】
【0043】で示される化合物と同定した。 〔実施例2〕 ヒト アシアロトランスフェリン糖鎖の
(GlcNAc)2への転移反応 0.5 mgのヒト トランスフェリン(シグマ社製)のアシ
アロ体、50mMの(GlcNAc)2、67mMリン酸カリウム(和光
純薬社製)緩衝液(pH6.0)、6.4mUエンドMを含む反応
液0.3mlを37℃で6時間反応させた後、100℃にて3分間
加熱処理し、反応を停止した。反応液はゲル濾過カラム
クロマトグラフィーに供した後、凍結乾燥した。前述の
実施例1と同様にPA化後、転移生成物を順相カラムを用
いたHPLCで分析し、分子量の変化から、次式〔VIII〕:
【0044】
【化12】
【0045】で示される化合物と同定した。次に、この
PA化物のMS分析を行い、その糖鎖構造を確認した。 〔実施例3〕 ヒト アシアロトランスフェリン糖鎖の
(GlcNAc)2 - PAへの転移反応 0.17 mgのヒト トランスフェリン(シグマ社製)のア
シアロ体、2.2mMの(GlcNAc)2 - PA、75mMリン酸カリウ
ム(和光純薬社製)緩衝液(pH6.0)、2.0mUエンドMを
含む反応液0.1mlを37℃で6時間反応させた。反応液をM
S分析し、転移生成物を次式〔VIII〕:
【0046】
【化13】
【0047】で示される化合物と同定した。 〔実施例4 〕 ヒト アシアロトランスフェリン糖鎖の
GlcNAc - Asn - DNSへの転移反応 0.15 mgのヒト トランスフェリン(シグマ社製)のア
シアロ体、1MのGlcNAc - Asn - DNS、67mMリン酸カリ
ウム(和光純薬社製)緩衝液(pH6.0)、4mUエンドM
を含む反応液0.145mlを37℃で30分間反応させた。反応
液を逆相カラムを用いたHPLCで分析し、転移生成物が、
次式〔IX〕:
【0048】
【化14】
【0049】で示される化合物であることを確認した。 〔実施例5〕 2本鎖複合型糖鎖のp-NP-α-Glcへの転
移反応 1Mのp-NP-α-Glc(セン ケミカルズ社製)の水溶液3
0μlに、1M酢酸緩衝液(pH6.0)を30μlとエンドMを
0.14mU含む酵素液100μlと脱イオン水40μlを加え、37
℃にて10分間予備インキュベーションした。ついで、次
式〔X〕:
【0050】
【化15】
【0051】で示される100μl(60nmol)の2本鎖複合型
糖鎖(バイオカーブ ケミカルズ社製)を添加し、37℃
にて100分間反応させた後、100℃にて3分間加熱処理
し、反応を止めた。反応液をPALPAK Type N カラム(宝
酒造社製)を用いたHPLCにより分離分取し(図7、下線
の部分)、組成分析、NMR、およびMS分析を行い、その
糖鎖構造が次式〔VI〕:
【0052】
【化16】
【0053】で示される転移生成物であることを確認し
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】アスパラギン結合型糖鎖において、高マンノー
ス型糖鎖構造を示す図である。
【図2】アスパラギン結合型糖鎖において、混成型糖鎖
構造を示す図である。
【図3】アスパラギン結合型糖鎖において、複合型糖鎖
構造(1分枝型)を示す図である。
【図4】アスパラギン結合型糖鎖において、複合型糖鎖
構造(2分枝型)を示す図である。
【図5】アスパラギン結合型糖鎖において、複合型糖鎖
構造(3分枝型)を示す図である。
【図6】アスパラギン結合型糖鎖において、複合型糖鎖
構造(4分枝型)を示す図である。
【図7】実施例5において、HPLCの結果を示す図で
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI (C12N 9/24 C12R 1:785) (72)発明者 山本 憲二 滋賀県大津市中庄1丁目17−14−403 (56)参考文献 特開 平1−309685(JP,A) 特開 平5−64594(JP,A) Agric. Biol. Che m.,1990年,Vol.54, No. 1,p.97−106 Biochem. Int.,1991 年,Vol.24, No.5,p.849 −855 J. Biol. Chem.,1986 年,Vol.261, No.26,p. 12000−12005 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12P 19/00 - 19/64 C12N 9/00 - 9/99 JSTPlus(JOIS) BIOSIS/WPI(DIALOG) PubMed

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンド-β-N-アセチルグルコサミニダー
    ゼMの存在下、次式〔I〕: 【化1】 A-GlcNAc-C + D → A-GlcNAc-D + C 〔I〕 (式中、Aは複合型のアスパラギン結合型糖鎖を有する
    糖質、GlcNAcはN-アセチルグルコサミン、C及びDは糖
    質又は複合糖質を表す)で示される転移反応を行なうこ
    とを特徴とする糖質又は複合糖質の製造方法。
  2. 【請求項2】 エンド-β-N-アセチルグルコサミニダー
    ゼMの存在下、次式〔II〕: 【化2】 (式中、A及びBは複合型のアスパラギン結合型糖鎖を
    有する糖質、GlcNAcはN-アセチルグルコサミン、C及び
    Eは糖質又は複合糖質を表す)で示される転移反応を行
    なうことを特徴とする糖質又は複合糖質の製造方法。
  3. 【請求項3】 エンド-β-N-アセチルグルコサミニダー
    ゼMの存在下、次式〔III〕: 【化3】 (式中、A及びBは複合型のアスパラギン結合型糖鎖を
    有する糖質、GlcNAcはN-アセチルグルコサミン、C及び
    Eは糖質又は複合糖質を表す)で示される転移反応を行
    なうことを特徴とする糖質又は複合糖質の製造方法。
  4. 【請求項4】 複合糖質が、糖タンパク質、糖脂質又は
    プロテオグリカンである請求項1、2又は3記載の糖質
    又は複合糖質の製造方法。
  5. 【請求項5】 複合型のアスパラギン結合型糖鎖が2分
    枝型構造である、請求項1〜4のいずれかに記載の糖質
    又は複合糖質の製造方法。
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