JP3524164B2 - 抗腫瘍性物質アレナスタチンaおよび該化合物を活性成分として含有する抗腫瘍剤 - Google Patents

抗腫瘍性物質アレナスタチンaおよび該化合物を活性成分として含有する抗腫瘍剤

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、沖縄産の海綿 Dysidea
arenariaから抽出した新規な抗腫瘍活性物質アレナス
タチンA(Arenastatin A)およびその塩に関する。アレ
ナスタチンAは極めて強力な抗腫瘍活性を示し、医薬用
途に有用である。また本発明は、アレナスタチンAまた
はその塩を活性成分として含有する抗腫瘍剤に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、種々の抗腫瘍性物質が知られてい
る。これら既知の抗腫瘍性物質は作用効果および副作用
の点でそれぞれに異なっており、特定の腫瘍に対して作
用効果が高く、かつ副作用の少ない新規な抗腫瘍性物質
が常に求められている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、海洋生
物から新規な生理活性物質を発見しようとする研究の中
で、沖縄産の海綿 Dysidea arenariaから強力な抗腫瘍
性を示す新規なデプシペプチド系物質を単離し、その構
造を解明することに成功した。即ち、本発明は、アレナ
スタチンAと命名した以下の式():
【化2】 で示される新規なデプシペプチド系物質およびその塩を
提供するものである。
【0004】また本発明は、上記式()で示されるアレ
ナスタチンAまたはその塩を活性成分として含有する抗
腫瘍剤を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明のアレナスタチン
Aは、沖縄近海において採取し得る海綿Dysidea arenar
iaから、例えば図1および図2に示す工程を経て単離す
ることができる。即ち、この海綿を細かく切断し、アセ
トンで抽出する。このアセトン抽出物について、生物検
定を指標とする分離を行う(腫瘍細胞に対する細胞毒
性)。アセトン抽出物を水−酢酸エチルで分配して細胞
毒性の酢酸エチル可溶性部分を得る。この酢酸エチル可
溶性部分をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−で分画
して細胞毒性フラクションを得る。このフラクションを
さらにシリカゲルカラム、HPLCにより分画および精
製することによって上記式()で示されるアレナスタチ
ンAを得ることができる。
【0006】また、アレナスタチンAは、リチウム、ナ
トリウムもしくはカリウム塩などのアルカリ金属塩とし
て、またはマグネシウムもしくはカルシウム塩などのア
ルカリ土類金属塩として得ることもできる。このような
塩はアレナスタチンAを常法により処理することによっ
て得ることができる。
【0007】アレナスタチンAまたはその塩を活性成分
として含有する抗腫瘍剤は、非経口投与用に、例えば注
射剤として配合してよい。このような注射剤を皮下、筋
肉内、あるいは好ましくは静脈内などの経路によって投
与することができる。
【0008】このような注射剤は、アレナスタチンAま
たはその塩を注射用蒸留水、10%グルコース水溶液、
等張食塩水などの注射用溶液に溶解することによって調
製することができる。この注射剤は、さらに乳化剤、懸
濁化剤、保存剤、安定剤などを含んでいてもよい。また
別法によれば、凍結乾燥した活性成分を含む第1のバイ
アルと注射用溶液を含む第2のバイアルを用意し、使用
直前にこれらを混合して注射液としてもよい。
【0009】アレナスタチンAまたはその塩は広い用量
範囲にわたって有効である。従って、アレナスタチンA
またはその塩は、ヒト体内で0.05〜500pg/ml、好
ましくは0.1〜250pg/ml、さらに好ましくは0.5〜
100pg/mlに達するように投与してよい。また、アレ
ナスタチンAまたはその塩の凍結乾燥品0.1〜100
μgを第1のバイアルに入れ、これを使用直前に第2の
バイアル中の注射用溶液1〜5mlに溶解して注射液とす
ることができる。
【0010】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく
説明する。実施例1 A. アレナスタチンAの単離 図1および図2に示す工程に従い、アレナスタチンAを
分離および精製した。1993年に沖縄県西表島の水深約1
0mの海底で採取した海綿 Dysidea arenariaの凍結サン
プル(6.5kg)を細かく切断した後、アセトンで3回冷
浸抽出した。綿栓で濾過して得られる抽出液を減圧下に
濃縮してアセトン抽出物を得た。この抽出物は鼻咽腔癌
(KB)細胞に対して細胞毒性活性(IC50=3.7μg/m
l)を示した。このアセトン抽出物を酢酸エチル(合計2
0L)−水(合計10L)で分配し、酢酸エチル層を減圧
下に濃縮して細胞毒性の酢酸エチル抽出物(68g)を得
た。この酢酸エチル抽出物(67g)を、シリカゲルカラ
ム(1kg;クロロホルム−メタノ−ル=100:1→5:
1→メタノ−ルの順で溶離)により、フラクション1〜
6に分画した。このフラクション4(40.3g)はKB細
胞に対し1μg/ml濃度で92%の生育阻害を示した。
このフラクション4(40g)をさらにシリカゲルカラム
(1kg;n-ヘキサン−酢酸エチル=10:1→8:1→5:
1→1:1)で分画し、フラクション4-1〜4-5を得
た。
【0011】さらに、フラクション4-5(16.5g)を
シリカゲルカラム(400g;n-ヘキサン−アセトン=
4:1→3:1→1:1→1:2)で分画し、フラクション
A〜Fを得た。さらに、フラクションE(1.1g)をHP
LC(Cosmosil 5C18-AR、10mm x250mm、メタノ−
ル−水=9:1、流速3ml/分)で分画し、フラクション
E-1〜E-4を得た。さらに、フラクションE-1(44
0mg)をHPLC(Cosmosil 5C18-AR、10mmx 250m
m、アセトニトリル−水=7:3、流速3ml/分)で分画
し、フラクションE-1-1〜E-1-6を得た。さらに、
フラクションE-1-3(38mg)をHPLC(CAPCELL PAK
C18 AG 120、10mm x 250mm、アセトニトリル−
水−塩化メチレン=50:50:1、流速3ml/分、保持
時間:35分)で分画し、アレナスタチンAを1.0mg
(1.4x10-3%、酢酸エチル抽出物からの収率)を得
た。後記の実験例に示すように、アレナスタチンAはK
B腫瘍細胞に対してIC50=5pg/mlの極めて強力な細
胞毒性を示した。
【0012】B. アレナスタチンAの構造決定 B-1.平面構造 非結晶性固体として得られたアレナスタチンAの各種物
性値を以下に示す。 [α]D:+19゜(c=0.15, メタノ−ル)。 UV λmax(メタノ−ル):285(ε=1900)、27
0(2400)、230(12,500);このUV吸収
は、フェニル基およびメトキシフェニル基に帰属させる
ことができ、このことはNMR分析によって裏付けられ
た。 IR(KBr):3308、1736、1671、124
8cm-1。 アレナスタチンAのFAB MSはm/z:607(M+
H)+に擬似分子イオンを示し、HR-FAB MS[60
7.2970、Δ=5m mu]およびNMR分析によって分
子式はC344228と決定された。
【0013】次に、アレナスタチンAの全1Hおよび13
C NMRの帰属(d6-DMSO中)を以下に挙げる。
【表1】 表16-DMSO中でのアレナスタチンAの1H(500MHz) および13C(125MHz)NMRスペクトルデ−タ 原子 13C 1H [多重度,J(Hz)] HMBC(13C)a ROESY(1H)b 1 164.6 2 125.5 5.77(d,15) 1,4 4a,24-NH 3 139.3 6.42(ddd,15,10,3.5) 1,4,5 4b,5 4a 36.2 2.27(m) 2,3,5 2,6 b 2.68(m) 3,5,6,13 5 75.6 5.12(dd-様,10.5,5) 3,6,7,13,14 3,4b,6,7,13 6 39.8 1.83(m) 5,7,8,13 4a,4b,5,8 7 62.6 2.99(dd,7.5,1.5) 5,10,13 8 58.0 3.88(d,1.5) 6,7,9,10 6,10' 9 137.0 10,10' 125.8 7.30(d,7) 8,10,11 7,8 11,11' 128.4 7.38(m) 9,11 12 128.1 7.35(m) 10 13 13.4 1.05(d,7) 5,6,7 4b,5,7 14 169.8 15 70.0 4.97(dd,9.5,4) 14,16,17,20 19 16a 39.2 1.24(m) 14,17,18,19 b 1.50(m) 14,15,17,18,19 17 23.6 1.56(m) 16,18,19 18 21.1 0.78(d,7) 16,17,19 19 22.3 0.76(d,6.5) 16,17,18 15 20 171.6 21a 32.4 2.27(m) 20 b 2.61(m) 22a 33.1 3.24(m) 22-NH b 3.37(m) 23 170.5 24 55.2 4.27(m) 1,23,25,26 25a 34.8 2.65(m) 23,24,26 24-NH b 2.97(dd,12,4.5) 23,24,26 26 130.0 27,27' 129.7 7.12(d,8.5) 26,29 28,28' 113.6 6.82(d,8.5) 26,29 30 29 157.7 30 54.8 3.70(s) 29 28 22-NH 7.21(m) 23 22a,24-NH 24-NH 8.20(d,8.5) 1 2,25a,22-NH a:HとカップリングしたC; b:Hと相関したH これらデータの解析から、3個の2級メチル基、1個の
メトキシル基、1個のパラ置換フェニル基、1個のフェ
ニル基、1個のトランス二重結合および4個のオキシメ
チン炭素の存在がわかった。
【0014】アレナスタチンAの1H-1H COSY(図
3)およびHOHAHAスペクトルの解析により、メト
キシル基、フェニル基およびパラ置換フェニル基の他
に、以下の4つの部分構造(フラグメントA:C-2〜C
-8とC-13、フラグメントB:C-15〜C-19、フ
ラグメントC:C-21〜C-22-NH、フラグメント
D:NH-C-24〜C-25)の存在を明らかにした(N
MRは、d6-DMSO中、JEOL GX-500スペク
トル計で測定した):
【化3】
【0015】これら4つの部分構造の結合様式は、HM
BC(図4)スペクトルにおけるC−H相関ピークから明
らかになった。即ち、以下の結合様式が明らかになっ
た。 (1)フラグメントAとフェニル基の結合:C-8炭素と
H-10水素の間の交差ピーク、C-10炭素とH-8水
素の間の交差ピーク、 (2)フラグメントAとフラグメントB(2-ヒドロキシ-
4-メチルペンタノイル基)の結合:C-14炭素とH-
5、H-15、H2-16水素の間の交差ピーク、 (3)フラグメントBとフラグメントC(β-アラニル基)
の結合:C-20炭素とH-15、Ha-21水素の間の交
差ピーク、 (4)フラグメントCとフラグメントDの結合:C-23
炭素とNH-22、H-24、H2-25水素の間の交差ピ
ーク、 (5)フラグメントDとフラグメントAの結合:C-1炭
素とH-2、H-3、NH-24、H-24水素の間の交差
ピーク、 (6)O-メチルチロシン基:C-26炭素とH-24、H2
-25、H-27、H-28水素の間の交差ピーク、C-2
9炭素とH-27、H-28、H3-30水素の間の交差ピ
ーク。
【0016】上記のNMRスペクトルの解析結果に基づ
いて、アレナスタチンAの平面構造が明らかになった。
アレナスタチンAは新規な化学構造を有する環状デプシ
ペプチドであることがわかった。
【0017】B-2.絶対立体構造 まず、2−ヒドロキシ−4−メチルペンタノイル部分の
絶対配置を、α−フェニルエチルアミド誘導体のHPL
C分析により決定した。即ち、アレナスタチンA(0.3
mg)を1N水性塩酸(0.1ml)中、40℃で1時間、加水
分解し、2−ヒドロキシ−4−メチルペンタン酸を得
た。これを、さらにDMF(10μg)中、D(+)−α−
フェニルエチルアミン(5μg)、トリエチルアミン(1μ
g)とジエチルフォスフォロシアニデート(1μg)で処理
して、D-α-フェニルエチルアミド誘導体():
【化4】 を得た。このアミド誘導体を、別途D−およびL−ロイ
シンから誘導した光学異性体のロイシン酸とD(+)−お
よびL(−)−α−フェニルエチルアミンから調製した4
種類のフェニルエチルアミドを標品として用い、光学活
性カラムを用いてHPLC[CHIRALCEL OF (DAICEL)、n-
ヘキサン-sec-プロパノール=15:1]で分析し、上記
アミド誘導体を2(S)-ヒドロキシ-4-メチルペンタノ
イル D-α-フェニルエチルアミドと同定した。
【0018】次に、O-メチルチロシン部分の絶対配置
を、ウレタン誘導体のHPLC分析により決定した。即
ち、アレナスタチンA(0.3mg)を6N水性塩酸(100
μl)中、110℃で4時間、加水分解し、O-メチルチ
ロシンをHPLC[Cosmosil 5C18 AR、アセトニトリ
ル:水:TFA=8:92:0.1]で分取した。得られた
O-メチルチロシンをスクシンイミド-L(−)-α-フェニ
ルエチルカルバメート[N.Nimuraら, Anal.Chem., 58, 2
372 (1986)](0.5mg)で処理して、ウレタン誘導体
():
【化5】 に変換した。このウレタン誘導体を、D(+)−およびL
(−)−α−フェニルエチルカルバメートとD-O-メチル
チロシンから調製した標品と、HPLC[CAPCELLPAK C
18 AG120、メタノール−水−トリフロロ酢酸=50:5
0:0.1]で比較分析し、上記ウレタン誘導体をL-α-
フェニルエチルカルバモイル D-O-メチルチロシンと
同定した。
【0019】次いで、アレナスタチンAのC-5〜C-8
部分の相対立体構造を明らかにするため、アレナスタチ
ンAのROESYスペクトル(表1)を検討した。その結
果、図5に示したNOE相関が観測され、D-O-メチル
チロシン部分の立体構造との関係から、アレナスタチン
Aは5S、6S、7R、8R配置の式()で表されるこ
とが推定されるに至った。
【0020】C.化学合成によるアレナスタチンAの構
造確認 アレナスタチンA()は酸およびアルカリに不安定であ
り、K2CO3−MeOHでメタノリシスすると、不安定
なデス−(2−ヒドロキシ−4−メチルペンタノイル)体
と安定な化合物():
【化6】 が得られる。両者の混合物をさらにイミダゾールで処理
すると、不安定生成物も化合物に変換された。ここに
得られた化合物は特徴的なCD極大{[θ]260−400
0(neg.max)、[θ]240 +13500(pos.max)、[θ]
222 +46000(pos.max)}を示したので、化合物
絶対立体構造を確定する目的で化合物の不斉合成を行
なった。
【0021】以下の反応式1:
【化7】 に示すように、まず桂皮酸エチルのオスミウムを用いる
触媒的不斉ジヒドロキシ化反応[K.B.Sharplessら, J.Or
g.Chem., 57, 2768 (1992)]により調製した2S,3R−
ジオール−エステルを、アセトニドとし、次いでTM
SCl−MeLiで処理し、引き続いてWittig反応により
化合物に誘導した。化合物のハイドロボレーション
によって得られるアルコール混合物を、Dess−Martin
酸化し、引き続いてWittig−Horner反応にかけ、化合
およびを1.2:1の混合物として得た。化合物
をDIBAL還元して得たアリルアルコールをD−
DETを用いてSharpless酸化し、引き続いてRed−A
l還元およびNaIO4酸化して1,3S−ジオール10
得た。このジオール10をベンゾイル化した後、アセト
ニド基を除去して5,6−ジオール体11とした。次い
で、オルトエステル化、AcBr処理[H.C.Kolbら, Tetra
hedron, 48, 10515 (1992)]、およびK2CO3−MeOH
処理を行なって化合物12および13を1.4:1の比
率で得た。化合物12および13の混合物をイミダゾー
ルの存在下に1級水酸基をシリル化し(この過程で12
からも13型に変化)、引き続いてアセチル化すること
により、化合物14が単一化合物として得られた。化合
14の相対立体配置は、1H−NMRにおいて、4-M
eとH-3、H-5の間に、また、H2-2とH-4、H-6
の間にNOEが観測されることから確認された。続い
て、化合物14を脱シリル化した後、Dess−Martin酸
化して化合物15に誘導した。これら化合物の相対立体
構造は、化合物の4位エピマーから同様の工程で合
成した化合物16(この化合物は、化合物12と異なり
2CO3−MeOHやイミダゾール処理に安定であった)
のX線結晶解析(図6)によっても確認された。
【0022】次に、以下の反応式2:
【化8】 に示すように、β−アラニンから合成した化合物17
D−O−メチルチロシンのCbz誘導体18とDEPC
[S.Yamadaら, J.Am.Chem.Soc., 97, 7174 (1975)]を用
いて縮合し、化合物19を得た。化合物19のCbz基を
除去し、WSCI[J.C.Sheehanら, J.Org.Chem., 26, 2
525 (1961)]の存在下にホスホノアセチル化し、化合物
20に誘導した。さらに、化合物20をWittig−Horn
er反応により化合物15と縮合させた後、K2CO3−M
eOH処理して化合物に誘導した。ここに合成された
化合物は、先にアレナスタチンA()から誘導された
化合物とHPLC、1H−NMR、CDにより同定さ
れた。従って、上記式()で示されるアレナスタチンA
の絶対立体構造が確認された。
【0023】D.アレナスタチンAの全合成 以下の反応式3:
【化9】 に従ってアレナスタチンAを全合成した。まず化合物
のDess−Martin酸化とそれに続くWittig−Horner
反応によって化合物23を得た。この化合物23を、D
IBAL還元、L−DETを用いるSharpless酸化、続
いてMe2CuLi処理して1,3S−ジオール24とし
た。このジオール24の3位水酸基をTES基で保護し
た誘導体とした後、再びDess−Martin酸化、Wittig
反応により化合物25に誘導した。この化合物25のT
ES基を選択的に脱保護した後、酸クロリド26と縮合
させ、MPM基を除去して化合物27に変換した。次い
で、この化合物27を、前述の化合物20から誘導され
る化合物28とIPCF[P.Jouinら, Tetrahedron Let
t., 28, 1661 (1987)]を用いて縮合させ、TBDMS基
を除去して化合物29とした。この化合物29を、Des
s−Martin酸化した後、分子内Wittig−Horner反応に
より化合物30を合成した。最後に、化合物30をジメ
チルジオキシランで酸化してアレナスタチンA()の全
合成を達成した。ここに合成された化合物は、標品と
HPLC、IR、1H−NMR、[α]DおよびCDにより
同定された。
【0024】1990年にMerckのグループが、Nostoc
sp.のラン藻の培養藻体からクリプトフィシン(cryptop
hycin)と命名した抗菌活性デプシペプチドを単離し、そ
の平面構造を発表した[R.E.Schwartzら, J.Indust.Micr
obiol., 5, 113 (1990)]。また最近、ハワイ大学のMoo
reらのグループは、同じくNostoc sp.のラン藻の培養藻
体からクリプトフィシンとその関連化合物(クリプトフ
ィシンA〜Gと命名)を強力な抗腫瘍性物質として単離
し、それらの絶対立体構造を明らかにした[G.Trimurtul
uら, J.Am.Chem.Soc., 116, 4729 (1994)]。非常に興味
深いことに、アレナスタチンA()はクリプトフィシン
Bのβ−アラニン類似体に相当する。
【0025】E.薬理実験 以下の薬理実験により、アレナスタチンAが優れた抗腫
瘍活性を有することを説明する。種々の腫瘍細胞株を、
10%FCSを含むRPMI 1640培地(日水製薬)
で培養した。培養腫瘍細胞(2x103個)および被験化
合物を含む培養液(200μl)を96ウエルプレート(N
UNC、01−67008)の各ウエルに加え、37℃
の5%CO2−95%空気下で72時間培養した。培養
後、2mg/mlのMTT[3−(4,5)−ジメチル−チアゾ
ール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブ
ロマイド]溶液(25μlずつ)を各ウエルに添加し、さら
に4時間、37℃の5%CO2−95%空気下で培養し
た。この培養液を除去した後、各ウエルにジメチルスル
ホキシド(200μl)を加えて形成されたMTT−ホル
マザンを溶解し、マイクロプレート光度計を用いて54
0nmにおける吸光度を測定し、その値を細胞数の指標と
した。以下の式により抑制率を算出し、50%抑制する
被験化合物の濃度(IC50)を求めた。
【数1】抑制率(%)=(1−Asamp/Acont)×100 Asamp=被験化合物を添加したウエルの吸光度 Acont=被験化合物を添加しなかったウエルの吸光度
【0026】この結果、鼻咽腔癌(KB)細胞に対するア
レナスタチンAのIC50は5pg/mlであることがわかっ
た。このように、本発明化合物は培養腫瘍細胞に対し、
非常に強力な増殖抑制作用を有し、従って制癌薬物とし
て有用である。
【0027】実施例2 以下の成分を用いて注射剤を調製する。
【0028】実施例3 アレナスタチンAまたはその塩の凍結乾燥品1μgを入
れた第1のバイアルと等張食塩水2mlを入れた第2のバ
イアルを用意し、使用直前にこれらを混合して注射液と
する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 アレナスタチンAを分離および精製するため
の工程図である(前半部)。
【図2】 アレナスタチンAを分離および精製するため
の工程図である(後半部)。
【図3】 アレナスタチンAの1H−1H COSYスペ
クトルのチャートである。
【図4】 アレナスタチンAのHMBCスペクトルのチ
ャートである。
【図5】 アレナスタチンAのROESYスペクトルか
ら導かれるNOE相関を示す模式図である。
【図6】 化合物16のX線結晶解析によって導かれる
ORTEP図の模式図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07D 413/00 - 413/06 A61K 31/00 - 31/395 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下の式(): 【化1】 で示されるアレナスタチンAまたはその塩。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のアレナスタチンAまた
    はその塩を活性成分として含有する抗腫瘍剤。
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