JP3519209B2 - パルプ繊維成形体の製造方法 - Google Patents

パルプ繊維成形体の製造方法

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JP3519209B2 JP10913196A JP10913196A JP3519209B2 JP 3519209 B2 JP3519209 B2 JP 3519209B2 JP 10913196 A JP10913196 A JP 10913196A JP 10913196 A JP10913196 A JP 10913196A JP 3519209 B2 JP3519209 B2 JP 3519209B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、パルプ泥漿からパ
ルプ繊維成形体を製造する製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】所定の製品等を運搬するに際し、その製
品等の形状に応じた凹所を有する包装・緩衝材によりそ
の製品等を嵌め入れた状態で梱包することが行われてい
る。このような包装および緩衝材料としては、通常、発
泡ポリスチレン等が使用されているが、これらは廃棄に
あたって環境汚染を引き起こすことが最近大きな問題と
なっている。
【0003】これに対して、回収資源の有効利用等を目
的として、廃棄処理等も容易な段ボールや新聞紙等の古
紙から得られたパルプ(製紙原料)繊維からパルプモー
ルドと称されるパルプ繊維成形体を製造することが行わ
れており、そのようなパルプ繊維成形体が環境汚染の少
ない梱包材として用いられている。このようなパルプ繊
維成形体は、通常、それに対応する形状の表面を有し且
つその表面に開口する多数の吸引穴が形成された母材を
備えた抄造型を用い、その抄造型をパルプ泥漿槽中に浸
漬した状態で吸引穴から吸引してパルプ繊維をその母材
表面或いはその母材表面に設けられる網状体から構成さ
れる吸着面上に吸着させることにより形成され、パルプ
泥漿槽外でその吸着されたパルプ繊維成形体を更に吸引
して脱水することにより、形状を維持できる程度の含水
率とした後、その抄造型から離型し、乾燥炉内で熱風に
て更に乾燥させられることにより製造される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のよう
に製造されたパルプ繊維成形体において、製品等の被梱
包材を嵌め入れるための凹所側の面すなわち表面は、抄
造型に吸着された際にその吸着面に接していることか
ら、その吸着面形状に倣って比較的高い形状、寸法、お
よび面精度(以下、単に精度という)に形成される。こ
れに対して、吸着時に吸着面に接していない裏面は、パ
ルプ繊維の吸着量や密度等の不均一性に起因して大きな
凹凸が生じるため比較的低い精度に形成される。また、
一般に、パルプ繊維成形体が乾燥させられる際には、乾
燥収縮の不均一性等に起因して変形が生じ得る。そのた
め、高い精度のパルプ繊維成形体が望まれる場合には、
所望のパルプ繊維成形体に対応する形状の成形面を有す
る一対の成形型でその両面から加圧する所謂アフタプレ
スが施される。
【0005】しかしながら、パルプ繊維成形体120を
抄造型122に吸着するに際して、その形状が比較的複
雑である場合には、図1(a) 〜(c) に示されるように、
パルプ繊維成形体120の裏面124側にパルプ繊維の
溜まり126が生じ易い。すなわち、(a) に示されるよ
うに例えば開口部の幅wが15(mm)程度以下の開口面積の
小さい窪み128、曲率半径Rが10(mm)程度以下の小さ
い凹角部130、或いは高さhが30(mm)程度以上の比較
的高い立ち面132の底部134等においては、パルプ
繊維相互の絡みが生じ易いことや、他の部分と同様な面
密度で吸引穴が設けられている場合には体積当たりの吸
引量が多くなること等に起因して、パルプ繊維の溜まり
126が生じ易くなるのである。なお、ここで『立ち
面』とは図において上方向である離型方向に対する角度
θが45°以下の面をいう。また、図においては、抄造型
122の吸引穴が省略されている。
【0006】上記のパルプ繊維の溜まり126が形成さ
れた部分は、パルプ繊維成形体120の所望の形状に対
して極めて厚くなっているが、図2に示されるように、
アフタプレスを施すための一対の成形型136a,13
6bは、パルプ繊維成形体120の所望の形状における
厚みに相当する隙間が形成される状態で相互に嵌め合わ
されるように、その成形面138の形状が形成されてい
る。そのため、そのパルプ繊維成形体120を乾燥して
アフタプレスを施す際に、一対の成形型136a,13
6bのうちの上型136bの凸部140先端部が上記の
パルプ繊維の溜まり126を圧縮することに起因して、
そのパルプ繊維の溜まり126の上方に位置する立ち面
142に矢印Tで示されるような引張力が生じる。これ
により、その立ち面142の肉厚が薄くなったり破れが
発生して、強度が低下すると共に美観が損なわれるとい
う問題があった。
【0007】本発明は、以上の事情を背景として為され
たものであって、その目的は、アフタプレス時における
強度低下や破れの発生を抑制するパルプ繊維成形体の製
造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】斯かる目的を達成するた
め、本発明の要旨とするところは、パルプ泥漿から離型
方向に対して45°以下の角度を成す立ち面を有する所定
形状のパルプ繊維成形体を製造する方法であって、(a)
多数の吸引穴が開口する母材表面上に形成された吸着面
を備えた抄造型を前記パルプ泥漿内に浸漬し、前記吸引
穴からパルプ泥漿を吸引することにより、前記立ち面の
少なくとも一部が乾燥後に前記所定形状に対して離型方
向に向かって2〜10mmの範囲内であってパルプ繊維
成形体の厚さの3倍以内の長さで延長された形状となる
ように、そのパルプ泥漿中のパルプ繊維を該吸着面上に
吸着する吸着工程と、(b) 前記吸着面上に吸着されたパ
ルプ繊維成形体をその吸着面上から取り外して乾燥する
乾燥工程と、(c) その乾燥させられたパルプ繊維成形体
を、前記所定形状に形成された成形面を備えた一対の成
形型によって両面から加圧することにより、その所定形
状のパルプ繊維成形体を得るアフタプレス工程とを、含
むことにある。
【0009】
【発明の効果】このようにすれば、吸着工程において、
立ち面の少なくとも一部が乾燥後に前記所定形状に対し
て離型方向に向かって所定長さ延長された形状となるよ
うにパルプ繊維が吸着面に吸着され、乾燥工程におい
て、その吸着面上のパルプ繊維成形体が取り外されて乾
燥され、アフタプレス工程において、パルプ繊維成形体
が前記所定形状の成形面を備えた一対の成形型によって
両面から加圧されることにより、その所定形状のパルプ
繊維成形体が得られる。そのため、アフタプレス工程に
おいては、上記の離型方向に2〜10mmの範囲内であ
ってパルプ繊維成形体の厚さの3倍以内の長さで延長し
て形成された立ち面に続く底面(抄造型の凸部に対応す
る裏面)が、一方の成形型の凸部頂面からパルプ繊維成
形体の厚さに加えてその所定長さに対応する距離だけ離
隔させられた状態で、その立ち面の頂部(抄造型の凹部
に対応する表面)がその一方の成形型の凹部底面に当接
させられる。
【0010】上記により、パルプ繊維成形体の裏面側に
形成されたパルプ繊維の溜まりを他方の成形型の凸部が
押圧することによって立ち面に生じる引張力が、離型方
向に所定長さ延長して形成された立ち面に続く底面が押
圧されることでその立ち面に生じる圧縮力によって緩和
される。したがって、その引張力によって立ち面の厚さ
が薄くなって強度が低下することや破れが生じることが
抑制される。
【0011】なお、上記の『吸着面』は、抄造型の母材
が緻密質に構成されてその表面に網状体が備えられる場
合にはその網状体の表面によって形成され、抄造型の母
材が多孔質に構成される場合はその母材表面自体によっ
て形成される。
【0012】また、上記吸着形状を離型方向に向かって
所定長さ延長された形状とするためには、例えば、母材
表面や網状体表面の上記の立ち面に対応する部分をその
離型方向に所定長さ延長して形成することにより、吸着
面形状をその立ち面に対応する部分が所定長さ延長され
た形状とすればよい。このようにすれば、アフタプレス
の際に一対の成形型のうちの一方にパルプ繊維成形体を
載置すると、その一方の成形型の凸部とパルプ繊維成形
体のその凸部に対応する表面との間には、上記所定長さ
に対応する隙間が形成される。そのため、一対の成形型
が相互に接近させられると、延長して形成された立ち面
の底部すなわち凸部が押し潰されることとなって、その
凸部に連続する立ち面に圧縮力が作用すると共にその凸
部が成形型に倣わされて前記所定形状に成形される。
【0013】また、吸着面形状を上記のような所定長さ
延長された形状とすることに代えて、例えば、吸引穴の
面密度を通常よりも高く形成して吸引力を高めることに
よって、その延長する立ち面の底部(抄造型の凸部頂
部)におけるパルプ繊維の吸着厚さを、前記所定形状に
対してその所定長さだけ厚くなるようにしてもよい。こ
のようにすれば、アフタプレスの際にその所定長さだけ
厚くされた立ち面の底部が押し潰されて所定の厚みにま
で圧縮されることにより、その底部に連続する立ち面に
圧縮力が作用することとなる。
【0014】
【発明の他の態様】ここで、好適には、前記アフタプレ
ス工程は、前記パルプ繊維成形体の周縁部の外側への移
動を抑制するため移動抑制面を備えた成形型によっ
て、そのパルプ繊維成形体を加圧するものである。この
ようにすれば、パルプ繊維成形体の立ち面に圧縮力が作
用することによってその立ち面に続く周縁部が外側に広
がることが、移動抑制面によって抑制される。そのた
め、一層精度の高いパルプ繊維成形体が得られる。
【0015】また、好適には、前記所定長さは、パルプ
繊維成形体の裏面に形成されるパルプ繊維の溜まりの厚
さよりも厚くされる。このようにすれば、パルプ繊維の
溜まりが押圧されて立ち面に引張力が作用する前に、そ
の立ち面に連続する底部が押圧されることによってその
立ち面に圧縮力が作用することとなる。そのため、その
引張力に基づいて立ち面の厚さが薄くなって強度が低下
することや破れが生じることが、一層確実に抑制され
る。
【0016】なお、前記のパルプ繊維の溜まりは、前述
のように、例えば、抄造型において開口部の幅が15(mm)
程度以下の開口面積の小さい窪み、曲率半径が10(mm)程
度以下と小さい凹角部、高さが30(mm)程度以上の立ち面
等に形成され易いことから、アフタプレス時に立ち面に
生じ得る引張力を好適に緩和するためには、これらの部
分を離型方向に延長して形成することが望ましい。
【0017】また、上記の所定長さは、 2〜10(mm)の範
囲でパルプ繊維成形体の厚さの3倍以内の大きさ、すな
わち乾燥前において、 1〜10(mm)の範囲で抄造型の吸着
面に吸着されるパルプ繊維の厚さの3倍以内の大きさと
されることが好ましい。パルプ繊維の吸着厚さのばらつ
きに拘わらず、アフタプレス時の引張による破れを確実
に抑制するためには、乾燥前の長さで 1(mm)以上とされ
ることが好ましく、アフタプレス時の成形型上でパルプ
繊維成形体が正確に位置決めされるためには、乾燥前の
長さで10(mm)以下であることが好ましいためである。ま
た、パルプ繊維成形体の厚さの3倍以上のパルプ繊維溜
まりが形成されても、そのパルプ繊維溜まりのパルプ繊
維量が多いため所望の厚さのパルプ繊維成形体を得るこ
とができないことから、上記所定長さは3倍以下である
ことが望ましい。なお、アフタプレス時の位置ずれを一
層確実に防止するためには、上記所定長さは 5(mm)以
下、すなわち乾燥前の長さで 5(mm)以下とされることが
一層好ましい。
【0018】また、好適には、前記移動抑制面の角度
は、離型方向に対して45°以下、更に好ましくは30°以
下である。プレス時において移動抑制面でバリ等を押し
潰してトリムラインを明確にするためには、45°以下で
あることが好ましく、更に、一層トリムラインを明確に
するためには、30°以下であることが好ましいためであ
る。
【0019】また、好適には、上記移動抑制面の高さ
は、パルプ繊維成形体の周縁部の先端から 5〜50(mm)程
度、更に好適には20〜50(mm)程度とされる。すなわち、
移動抑制面が形成されていない場合に比較して、一対の
成形型の合わせ面が 5〜50(mm)程度、更に好適には20〜
50(mm)程度上型側にずれて形成される。パルプ繊維成形
体の周縁部の外側への移動を確実に抑制するためには、
少なくとも 5(mm)以上の高さが必要であり、パルプ繊維
成形体の乾燥変形や吸着厚さのばらつき等を考慮すると
10(mm)以上が好ましいためである。また、プレス時のす
り合わせを容易にするためには、50(mm)以下とされるこ
とが好ましいためである。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施例を図面を
参照して説明する。
【0021】図3は本発明の一実施例であるパルプ繊維
成形体の製造方法が適用されるパルプ繊維成形体製造装
置の要部構成を示す図である。図において、パルプ繊維
成形体製造装置は、図示しない原質装置によって調製さ
れたパルプ泥漿96からパルプ繊維成形体100を成形
するための一対の抄造型10a,10b(以下、特に区
別しないときは単に抄造型10という)を有する成型機
50と、抄造型10からパルプ繊維成形体100を取り
外すための離型機52と、パルプ繊維成形体100を乾
燥するための乾燥機54と、乾燥させられたパルプ繊維
成形体100の精度を高めるためのアフタプレス装置6
0とを備えている。
【0022】上記の成型機50に備えられた抄造型10
は、図4に要部を拡大して示されるように、成形するパ
ルプ繊維成形体100に対応する形状に表面12を形成
された例えばアルミニウム合金製の母材14と、その母
材表面12と同様の形状に成形されてそれを覆う状態で
設けられることにより吸着面を形成する網状体16と、
表面12および裏面17に両端が開口するように母材1
4を貫通させられた複数本の吸引穴18とを備えてい
る。
【0023】上記の母材14は、離型方向(図における
上下方向)に対する角度θが45°以下の所謂立ち面20
を備えたものである。この立ち面20に連続する底面2
1は、図に破線で示される仮想底面21iすなわちパル
プ繊維成形体100の乾燥収縮に基づいて決定される底
面よりも、例えば 5(mm)程度の所定長さdだけ凹んだ位
置に形成されている。したがって、立ち面20は、離型
方向に所定長さdだけ延長して形成されており、その立
ち面20によって形成される凹部は、所定長さdだけ深
く形成されている。
【0024】また、上記の母材14の表面12を覆うよ
うにして抄造型10に固定された網状体16は、例えば
目付が20〜50(g/m2)程度のポリエステル製或いはポリプ
ロピレン製などの不織布や、トリコット、#20 〜#200
(線径0.10〜0.32[mm])程度のステンレス、真鍮等の金
属メッシュ、ナイロン或いはテトロンなどの合成繊維メ
ッシュであり、プレスなどを用いて表面12に沿った形
状に予め成形され、例えば図4に示されるように、網状
体押え枠27によりその周縁部が固定されている。
【0025】上記網状体16が不織布により構成される
場合には、例えば、所定厚みの不織布を熱プレスして所
望の形状を得るのであるが、このとき、目付が50(g/m2)
程度の不織布では成形したときの伸び率によっては20(g
/m2)よりも薄くなってしまい、メッシュとしては不完全
なものとなってしまう場合がある。そこで、その部分だ
けを多層として所定の目付を確保する。このとき、重ね
た不織布は、接着剤などによって相互に且つ表面12に
それぞれ適宜の位置で接着されることにより取り付けら
れると共に、上記網状体押え枠27によりその周縁部に
固着されて剥がれが防止される。多層にする目的は、所
定の目付を確保するためであり、例えば、複雑な形状の
場合には、目付が100(g/m2) 程度の厚めの不織布を使用
してもよい。また、図1などにおいては上記網状体押え
枠27は省略されている。
【0026】また、上記網状体16が、金属線或いは合
繊繊維のメッシュで構成される場合には、ワイヤー等を
用いてその一部が吸引穴18に適宜の位置で固定される
と共に、上記網状体押え枠27によりその周縁部に固着
されてパルプ繊維成形体100の輪郭(トリムライン)
が明確とされ、同時に網状体16の剥がれが防止されて
いる。なお、網状体16は、一体的に成形され且つ構成
されていてもよいが、複数に分割された各部において成
形され且つそれら各部が組み立てられることにより構成
されてもよい。
【0027】また、前記母材14においてその裏面17
から表面12へ貫通する吸引穴18は、 2.0乃至 3.5(m
m)程度の開口径を備えたものであり、例えば 5乃至30(m
m)程度の間隔で表面12に開口するように複数個所に設
けられている。また、吸引穴18は、その裏面17側の
開口径が表面12側よりも充分に大きな径、例えば 5乃
至10(mm)程度の径となるように段付き穴形状に形成さ
れ、吸引穴18内のパルプ繊維による穴詰まりが防止さ
れている。また、上記の図4に示すように、吸引穴18
は表面12に対して例えば30°程度の傾斜角度すなわち
表面12の法線に対して60°程度の傾斜角度で傾斜して
設けられている。この吸引穴18の開口の配置密度およ
び径は、網状体16の上に形成されるパルプ繊維成形体
100の厚みが均一となるように実験的に求められてい
る。
【0028】なお、前記図4は、成型機50における上
記抄造型10の取付け状態を模式的に示す図である。図
において、支持アーム22の先端にはチャンバ23が固
定されており、このチャンバ23のフランジ面23a
に、抄造型10がボルト26によって取り付けられたベ
ース24がボルト25aおよびナット25bにより固定
されている。抄造型10の母材14は、その厚みが例え
ば 2cm程度であって母材14の表面12に沿った形状の
凹所28を裏面17に有しており、その凹所28とチャ
ンバ23とで閉空間30が形成されて、前記の吸引穴1
8はこの凹所28に連通させられている。
【0029】上記凹所28とチャンバ23とで形成され
た閉空間30は、支持アーム22の縦通穴32を介して
切換弁34に接続されている。この切換弁34は、ドレ
ンタンク36を介して吸引ポンプ38に接続される吸引
位置と、コンプレッサ40に接続される噴出位置とに図
示しないシーケンスコントローラ等の制御装置からの指
令に従って切り換えられるものである。そのため、その
切換位置に応じて、吸引ポンプ38によって閉空間30
内が負圧とされると共に吸引穴18から吸引され、或い
は、コンプレッサ40によって吸引穴18から空気が噴
出させられるようになっている。なお、上記ドレンタン
ク36内に貯留された水は排出ポンプ42により適宜排
出される。
【0030】図3に戻って、上記のように構成される抄
造型10が取り付けられた成型機50は、図示しない支
持装置によって紙面に垂直な軸心回りの回動可能に支持
された回動軸94を備えており、その回動軸94に一対
の支持アーム22(22a,22b)が互いに 180°異
なる回動角度位置に取り付けられている。そして、それ
ら支持アーム22a,22bの先端に、抄造型10a,
10bがそれぞれ取り付けられている。回動軸94の下
方にはパルプ泥漿96を蓄えたパルプ泥漿槽98が備え
られており、支持アーム22a,22bの先端にそれぞ
れ取り付けられた抄造型10a,10bが、その下端位
置においてパルプ泥漿96中に浸漬されるようになって
いる。すなわち、抄造型10a,10bは、回動軸94
を挟んで互いに反対側に設けられており、その軸心回り
に回動させられることによって交互にパルプ泥漿槽98
内のパルプ泥漿96内に位置させられ、そのパルプ泥漿
96内に浸漬された状態で吸引穴18から吸引されるこ
とによって網状体16上にパルプが吸着され、パルプ泥
漿96外において吸引脱水されることでパルプ繊維成形
体100が成形されるのである。
【0031】また、回動軸94の上方に備えられた前記
離型機52は、図の左右方向に移動可能且つ左端部(す
なわち回動軸94の直上)および破線で示される右端部
において上下方向に移動可能とされた離型用型102を
備えている。離型用型102は、抄造型10の吸着面上
に吸着されるパルプ繊維成形体100の裏面100dの
形状に略対応した形状の受取面58を備えたものである
が、その他の構成は図4に示される抄造型10と略同様
であるため、詳細な説明は省略する。離型機52は、離
型用型102が実線で示される左端部にあるとき、図に
示される位置よりも下側の下端位置において、吸着面上
すなわち網状体16上のパルプ繊維成形体100を吸着
してその網状体16上から取り外すと共に、破線で示さ
れる右端部の下端位置において、乾燥機54に備えられ
た搬入用コンベア56上にそのパルプ繊維成形体100
を下ろすことにより、パルプ繊維成形体100を成型機
50から乾燥機54に搬送するものである。
【0032】また、前記の乾燥機54は、図示しない熱
源によって所定温度に保持された箱型容器104内に、
パルプ繊維成形体100を載置するための複数の台10
6を有する昇降装置108と、その昇降装置108に向
かってパルプ繊維成形体100を搬送するための前記搬
入用コンベア56と、箱型容器104内で下降させられ
たパルプ繊維成形体100を乾燥機54から搬出して次
工程へ送るための搬出用コンベア110とを備えたもの
である。上記昇降装置108は、複数の台106を図の
左方側から上昇させると共に右方側から下降させるもの
であり、台106上に載置されたパルプ繊維成形体10
0は、箱型容器104内で公転させられている間に速や
かに乾燥させられる。
【0033】また、前記のアフタプレス装置60は、図
3の上下方向に移動可能に備えられた一対の成形型62
a,62bと、それらの互いに反対側に位置する面にヒ
ータ64,64とを備えたものである。成形型62a,
62bは、例えばアルミニウム合金から構成されるもの
であって、互いに対向する位置には、パルプ繊維成形体
100の表面100a形状および裏面100d形状にそ
れぞれ対応する成形面66a,66bがそれぞれ形成さ
れている。図5に詳しく示されるように、この成形面6
6a,66bは、周縁部に備えられた合わせ面68a,
68bが相互に当接させられた状態(すなわち、図に示
される位置よりも相互に接近させられた状態)で、相互
の間に乾燥後のパルプ繊維成形体100の厚みに相当す
る隙間が生じるように形成されている。
【0034】一対の成形型62a,62bのうちの一方
である下型62aの周縁部には、パルプ繊維成形体10
0の周縁部に形成された立ち面112に対応する立ち面
70の外側位置に、図に矢印Pで示される加圧方向に対
してその立ち面70と反対方向に例えば15°程度の鋭角
の角度ψを成すように外周傾斜面72が形成されてい
る。すなわち、外周傾斜面72は、立ち面70と略V字
を成して上型62bへ向かうように形成されている。上
記の合わせ面68a,68bは、この外周傾斜面72の
終端から連続して形成されており、このため、この外周
傾斜面72が形成されていない場合よりも高さHだけ上
型62b側にずれた位置に位置させられている。なお、
上型62bの周縁部やや内側位置には、合わせ面68
a,68bが当接させられた状態でこの外周傾斜面72
の内側に位置させられ、立ち面70との間にパルプ繊維
成形体100の厚みに相当する隙間を形成するための突
き出し部74が形成されている。
【0035】以上のように構成されたパルプ繊維成形体
製造装置を用いてパルプ繊維成形体100を製造する方
法を、一方の抄造型10aについて、図3および成形工
程を示す図6を参照して説明する。先ず、図示しない起
動装置を操作することにより、成型機50の吸引ポンプ
38およびコンプレッサ40、離型機52の図示しない
吸引ポンプ等や乾燥機54の熱源等を起動する。なお、
吸引ポンプ38やコンプレッサ40等は、後述の各工程
において切換弁34等の切換作動に伴って起動および停
止させられても良い。
【0036】上記の起動操作の後、工程1の浸漬工程に
おいて回動軸94を回動させることにより、図3の矢印
Aに従って上側に位置する抄造型10aを下方に向かっ
て回動させると共に下側に位置する抄造型10bを上方
に向かって回動させる。次いで、工程2の吸引工程で
は、その回動中において、吸引ポンプ38を運転しつつ
抄造型10aに接続されている切換弁34を吸引位置に
切り換えることにより、その抄造型10aの吸引穴18
から吸引を開始する。
【0037】そして、更に回動して抄造型10aがパル
プ泥漿槽98中のパルプ泥漿96内に入れられることに
より、工程3の吸着工程において、予め定められた所定
の吸着時間だけそのパルプ泥漿96中のパルプ繊維が網
状体16上に吸着される。このとき、図4に示されるよ
うに、母材14の表面12のうちの底面21が乾燥収縮
量のみを考慮した仮想底面21iよりも所定長さdだけ
凹んだ位置に設けられていることから、パルプ繊維はそ
の形状に倣って図4の上下方向(すなわち離型方向)の
長さが例えば 5(mm)程度の所定長さdだけ延長された形
状に吸着される。
【0038】なお、上記の所定の吸着時間は例えば 2秒
程度の比較的短い時間に設定されるが、その吸着時間は
後述のアフタプレス時の圧縮量を考慮して、パルプ繊維
成形体100の吸着厚さがそのアフタプレス後の所望の
製品厚さの 1〜10倍程度、好適には 2〜5 倍程度、更に
好適には 2〜3 倍程度となるように設定されている。上
記所定時間が経過すると、工程4の引上工程において、
吸引穴18からの吸引を継続したまま抄造型10aをパ
ルプ泥漿96外に出し、工程5の脱水工程において、例
えば10秒程度の所定時間だけ更に吸引を継続することに
より、網状体16上に吸着されたパルプ繊維が脱水させ
られて前記パルプ繊維成形体100が成形される。な
お、吸引穴18からの吸引が継続して実施されているこ
とから、脱水工程は、引上工程において抄造型10aが
パルプ泥漿96外に出された直後から実行されることと
なる。
【0039】上記のように脱水が終了した後、工程6の
離型工程において、離型用型102をその左端位置に位
置する状態で下降させて、パルプ繊維成形体100を介
して抄造型10aに嵌め合わせ、抄造型10a側の切換
弁34を噴出位置に切り換えて吸引穴18から空気を噴
出すると同時に、離型用型102の受取面58の図示し
ない吸引穴から吸引する。そして、吸引穴18からの噴
出および離型用型102の吸引穴からの吸引を継続した
ままその離型用型102を上昇させることにより、パル
プ繊維成形体100がその受取面58に吸着されて抄造
型10aから離型させられる。
【0040】続いて、パルプ繊維成型体100を吸着し
た離型用型102を、その上端位置まで上昇させた後、
図の右方に移動させ、破線で示される右端位置におい
て、再び下降させる。このようにして、離型用型102
が図に示される下端位置まで下降した後、その吸引穴か
ら空気を噴出させることにより、パルプ繊維成形体10
0が受取面58上から引き剥がされて乾燥機54の搬入
用コンベア56上に落下させられる。
【0041】そして、工程7の乾燥工程においては、搬
入用コンベア56上に落下させられたパルプ繊維成形体
100が乾燥機54の箱型容器104内に順次送り込ま
れて台106上に移され、その台106上に載置された
状態で箱型容器104内を図3における右回りに回動さ
せられる。乾燥機54の箱型容器104内は、前述のよ
うに所定温度に保持されている。このため、上記の回動
中においてパルプ繊維成形体100が十分に乾燥させら
れて、図5に示されるようなパルプ繊維成形体100の
乾燥製品が得られ、箱型容器104内の右側下端位置に
おいて搬出用コンベア110上に移される。
【0042】続く工程8のアフタプレス工程において
は、搬出用コンベア110によって搬送されたパルプ繊
維成形体100が成形型62a(下型)の成形面66a
に嵌め合わされた後、ヒータ64,64が作動させられ
ると共に成形型62b(上型)が下降させられることに
より、それら一対の成形型62a,62bとの間でパル
プ繊維成形体100がヒータ64からの伝導熱で加熱さ
れると同時に加圧成形される。これにより、成形面66
a,66bの間に形成される隙間の形状に倣って、所望
の形状および厚みに成形されたパルプ繊維成形体100
が得られる。
【0043】このとき、前述のように、抄造型10の母
材14の底面21が乾燥収縮を考慮した形状よりも凹ん
だ位置に設けられていることから、乾燥収縮後のパルプ
繊維成形体100の加圧方向の高さは本来の高さよりも
例えば 1〜10(mm)程度の所定長さdD だけ高く形成され
ている。そのため、成形型62aの凹部76において
は、パルプ繊維成形体100の底部100cが底面78
に当接させられる一方、成形型62aの凸部80におい
ては、パルプ繊維成形体100の表面100aと成形面
66aとの間に高さdD (= 1〜10[mm])の隙間82が
形成される。すなわち、前記の吸着工程では、成形面上
のパルプ繊維成形体100は、その立ち面20が、乾燥
後に所望のパルプ繊維成形体100の形状に対して離型
方向に向かって図5に示される所定長さdD (=d×乾
燥収縮率= 1〜10[mm])だけ延長された変形形状となる
ように吸着されるのである。
【0044】したがって、成形型62a上にパルプ繊維
成形体100が載置された後に成形型62bが下降させ
られると、凸部80において表面100aが成形型62
aの成形面66aに当接させられるように、その成形型
62bの成形面66bによって立ち面112に連続する
底部100bが押圧される。これにより、成形面66a
と成形面66bとの間で立ち面112には圧縮力pが作
用することとなる。
【0045】ところで、抄造型10の吸着面にパルプ繊
維を吸着することによってパルプ繊維成形体100を成
形するに際しては、パルプ繊維相互の絡みや吸引力の不
均一性等に起因して、抄造型10の凹部に対応するパル
プ繊維成形体100の凸部100c(すなわち、パルプ
繊維成形体100の裏面100d側からみた底部)にパ
ルプ繊維の溜まりが生じる。このパルプ繊維の溜まりが
生じた凸部100cは厚さが他の部分よりも厚くなるこ
とから、アフタプレス工程において成形型62a,62
bの間で加圧されると、その凸部100cが成形型62
bの凸部84によって圧縮されることに起因して立ち面
112に引張力が作用する。しかしながら、本実施例に
おいては、上述のように底部100bが押圧されること
に基づく圧縮力pがその立ち面112に作用させられる
ことから、その引張力の作用によって立ち面112の厚
さが薄くなることや破れが生じることが抑制される。
【0046】なお、本実施例においては、図5から明ら
かなように、底部100bが押圧される初期において
は、凸部100cに形成されているパルプ繊維の溜まり
は凸部84によって押圧されていない。そのため、その
パルプ繊維の溜まりが圧縮されることに基づく引張力
は、実質的に立ち面112には全く作用しなくなること
から、その引張力に起因する上記不具合が一層確実に抑
制される。すなわち、本実施例においては、所定長さd
は、乾燥後の所定長さdD が凸部100cにパルプ繊維
の溜まりが形成されることに起因する厚みの増大量より
も大きくなるように設定されているのである。
【0047】また、パルプ繊維成形体100の周縁部に
形成された立ち面112に対応する立ち面70の外側に
は、その立ち面70と略V字状を成す外周傾斜面72が
備えられていることから、上記のように立ち面112に
圧縮力が作用することに起因してパルプ繊維成形体10
0の周縁部が外側へ広がることが、その外周傾斜面72
によって抑制される。
【0048】要するに、本実施例においては、所定形状
のパルプ繊維成形体100を得るに際して、工程3の吸
着工程において、立ち面112が乾燥後にその所定形状
に対して離型方向に向かって所定長さdD だけ延長され
た形状となるようにパルプ繊維が吸着面(網状体16
上)に吸着され、工程7の乾燥工程において、その吸着
面上のパルプ繊維成形体100が抄造型10から取り外
された後に乾燥され、工程8のアフタプレス工程におい
て、パルプ繊維成形体100が加熱されると同時に上記
所定形状の成形面66a,66bを備えた一対の成形型
62a,62bによって両面から加圧されることによ
り、その所定形状のパルプ繊維成形体100が得られ
る。
【0049】そのため、アフタプレス工程においては、
上記の離型方向に所定長さdD 延長して形成された立ち
面112に続く底面(抄造型10の凸部に対応する底部
100bの裏面100d)が、一方の成形型62aの凸
部80頂面(凸部80上の成形面66a)からパルプ繊
維成形体100の厚さに加えてその所定長さdD に対応
する距離だけ離隔させられた状態で、その立ち面112
の凸部(抄造型10の凹部に対応する表面100a)1
00cがその一方の成形型62aの凹部76の底面78
に当接させられる。
【0050】上記により、パルプ繊維成形体100の凸
部100cにおいて裏面100d側に形成されたパルプ
繊維の溜まりを他方の成形型62bの凸部84が押圧す
ることによって立ち面112に生じる引張力が、離型方
向に所定長さdD 延長して形成された立ち面112に続
く底面(底部100bの裏面100d)が押圧されるこ
とでその立ち面112に生じる圧縮力pによって緩和さ
れる。したがって、その引張力によって立ち面112の
厚さが薄くなって強度が低下することや破れが生じるこ
とが抑制される。
【0051】また、本実施例においては、工程8のアフ
タプレス工程は、パルプ繊維成形体100の周縁部の外
側への移動を抑制するために、加圧方向に対してその周
縁部に対応する成形面66aの立ち面70と反対方向に
15°程度の鋭角の所定角度ψを成すようにその周縁部の
外側にそのパルプ繊維成形体100に向かって形成され
た移動抑制面として機能する外周傾斜面72を備えた成
形型62a,62bによって、そのパルプ繊維成形体1
00を加圧するものである。このようにすれば、パルプ
繊維成形体100の立ち面112に圧縮力pが作用する
ことによってその立ち面112に続く周縁部が外側に広
がることが、外周傾斜面72によって抑制される。その
ため、一層精度の高いパルプ繊維成形体100が得られ
る。
【0052】また、本実施例においては、前記所定長さ
D は、凸部100cにおいてパルプ繊維成形体100
の裏面100dに形成されるパルプ繊維の溜まりの厚さ
(すなわち溜まりが形成されることによる厚みの増大
量)よりも厚くされる。このようにすれば、パルプ繊維
の溜まりが押圧されて立ち面112に引張力が作用する
前に、その立ち面112に連続する底部100bが押圧
されることによってその立ち面112に圧縮力pが作用
することとなる。そのため、その引張力に基づいて立ち
面112の厚さが薄くなって強度が低下することや破れ
が生じることが、一層確実に抑制される。
【0053】以上、本発明の一実施例を図面を参照して
詳細に説明したが、本発明は更に別の態様でも実施され
る。
【0054】例えば、前述の実施例においては、抄造型
10および成形型62はアルミニウム合金等の軽合金か
ら構成されていたが、一般鋼、工具鋼、真鍮等の金属
製、エポキシ樹脂等の樹脂製であってもよい。なお、抄
造型10が、例えば樹脂球、ガラス球、セラミック球な
どの無機質の粒子が接着剤で結合させられることにより
多孔質に構成された多孔組織によって構成される場合に
は、吸引穴は不要となる。
【0055】また、抄造型10においては、吸引穴18
は表面12側の開口径よりも裏面17側の開口径が大き
い段付き穴に形成されていたが、例えば、表面12側か
ら裏面17側に向かって次第に断面積が大きくなる円錐
状に形成されても良い。また、目詰まりが生じ難い場合
には、全体が同様な断面積を有するように形成されてい
ても差し支えない。
【0056】また、前述の実施例では、吸引穴18は表
面12の法線に対して傾斜させられていたが、法線と平
行すなわち表面12に対して直角方向に形成されてもよ
い。
【0057】また、実施例においては、抄造型10にお
いて立ち面20に連続する全ての底面21が乾燥収縮を
考慮した仮想底面21iから凹んで形成されていたが、
必ずしも全て凹んで形成される必要はなく、パルプ繊維
の溜まりが形成される部分が凹んで形成されていれば本
発明の効果を得ることができる。
【0058】また、底面21を仮想底面21iから凹ん
で形成する場合には、所定距離dは必ずしも抄造型10
の表面12上で均一にされていなくともよい。すなわ
ち、例えば、各部分において形成され得るパルプ繊維の
溜まりの厚さを予め実験的に求めて、その溜まりの厚さ
に応じて、図2に示される引張力Tが十分に緩和される
ように所定距離dを決定すればよい。
【0059】また、実施例においては、アフタプレス装
置60の成形型62a,62bにそれぞれヒータ64,
64が備えられていたが、このヒータ64は必ずしも備
えられていなくともよい。すなわち、アフタプレス工程
においては、パルプ繊維成形体100が単に加圧される
だけでもよい。
【0060】また、実施例においては、成形型62aに
外周傾斜面72が備えられることにより、加圧時におけ
るパルプ繊維成形体100の外側への広がりが抑制され
ていたが、隙間82の大きさ(所定距離dD )が比較的
小さく、その外側への広がりが生じ難い場合には、外周
傾斜面72は必ずしも設けられなくともよい。
【0061】また、実施例においては、抄造型10の底
面21が乾燥収縮を考慮した仮想底面21iから所定距
離dだけ下側に凹んで形成されることにより、立ち面2
0が延長させられていたが、反対に、図4において上側
に凸となっている抄造型10の凸部先端面を所定距離d
だけ高く形成することにより、その立ち面20を延長し
てもよい。すなわち、立ち面20が離型方向(図の上下
方向)の少なくとも上下何れか一方に延長させられてい
れば、本発明の効果が得られるのである。
【0062】また、実施例においては、抄造型10の母
材表面12の形状そのものを変更して立ち面20を設け
ることにより、その吸着面が延長させられていたが、例
えば、抄造型10をパルプ繊維成形体100の乾燥収縮
を考慮した形状(図4に破線で示される形状)に形成す
ると共に、その表面12に設けられる網状体16を上記
凸部先端面において厚く形成することによって、立ち面
112に対応する抄造型10の吸着面が延長させられて
もよい。
【0063】また、実施例においては、図5に示される
ように乾燥させられたパルプ繊維成形体100と成形型
62aとの間に隙間82が形成されるように構成されて
いたが、例えば、図4において底面21に代えて仮想底
面21iが備えられた抄造型10において、抄造型10
の上記凸部先端面における吸引力を高くすることによ
り、図5における上記隙間82が中実にされたパルプ繊
維成形体100を成形しても良い。このようにしても、
その中実にされた部分が所定の厚さまで押し潰されるこ
とにより、実施例と同様に圧縮力pが生じることから、
同様な効果を得ることができる。
【0064】その他、一々例示はしないが、本発明は、
その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得るもので
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a) 〜(c) は、抄造型にパルプ繊維を吸着する
に際して生じるパルプ繊維の溜まりの態様を説明する図
である。
【図2】図1のようにパルプ繊維の溜まりが形成された
パルプ繊維成形体をアフタプレスする際の不具合を説明
する図である。
【図3】本発明の一実施例の製造方法が適用されるパル
プ繊維成形体製造装置の構成を示す図である。
【図4】図3のパルプ繊維成形体製造装置の成形機に用
いられる抄造型の取付け状態を拡大して示す図である。
【図5】図3のパルプ繊維成形体製造装置のアフタプレ
ス装置の成形型を説明する図である。
【図6】図1のパルプ繊維成形体製造装置によるパルプ
繊維成形体の製造方法を説明する工程図である。
【符号の説明】
62:成形型 66:成形面 70:立ち面 82:隙間 100:パルプ繊維成形体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 下條 一敏 愛知県名古屋市西区則武新町三丁目1番 36号 株式会社ノリタケカンパニーリミ テド内 (72)発明者 木渕 正勝 愛知県名古屋市西区則武新町三丁目1番 36号 株式会社ノリタケカンパニーリミ テド内 (56)参考文献 特開 平5−279998(JP,A) 特開 昭62−125100(JP,A) 特開 平7−70996(JP,A) 特開 平1−272900(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D21J 1/00 - 7/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 パルプ泥漿から離型方向に対して45°以
    下の角度を成す立ち面を有する所定形状のパルプ繊維成
    形体を製造する方法であって、 多数の吸引穴が開口する母材表面上に形成された吸着面
    を備えた抄造型を前記パルプ泥漿内に浸漬し、前記吸引
    穴からパルプ泥漿を吸引することにより、前記立ち面の
    少なくとも一部が乾燥後に前記所定形状に対して離型方
    向に向かって2〜10mmの範囲内であってパルプ繊維
    成形体の厚さの3倍以内の長さで延長された形状となる
    ように、該パルプ泥漿中のパルプ繊維を該吸着面上に吸
    着する吸着工程と、 前記吸着面上に吸着されたパルプ繊維成形体を該吸着面
    上から取り外して乾燥する乾燥工程と、 該乾燥させられたパルプ繊維成形体を、前記所定形状に
    形成された成形面を備えた一対の成形型によって両面か
    ら加圧することにより、該所定形状のパルプ繊維成形体
    を得るアフタプレス工程とを、含むことを特徴とするパ
    ルプ繊維成形体の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記アフタプレス工程は、前記パルプ繊
    維成形体の周縁部の外側への移動を抑制するため移動
    抑制面を備えた成形型によって、該パルプ繊維成形体を
    加圧するものである請求項1のパルプ繊維成形体の製造
    方法。
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