JP3519149B2 - ワイヤ放電仕上げ加工用電源装置 - Google Patents

ワイヤ放電仕上げ加工用電源装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はワイヤ放電仕上げ加工
に、特定の構成の高周波交流電圧源を加工用電源装置と
して用いた仕上げ加工用電源装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】本発明者等は、荒加工から仕上げ加工ま
での一連のワイヤ放電加工の加工効率を向上させるため
に、特に仕上げ加工用の電源として、後述するような或
る特定の高周波交流電圧源を用いたり、荒加工(ファー
ストカット加工)後の仕上げ加工のために、被加工体の
寸法・形状精度出し及び所定面粗度改善のセカンドカッ
ト加工、またはセカンドカット及びサードカット加工等
の所望複数段の中仕上げ加工の際に、加工送りサーボ制
御方式を、前記ファーストカットの加工工程ではサーボ
基準電圧に対する放電間隙電圧の偏差零のとき送り速度
が零となり送り方向が反転する所謂ゼロメソッドサーボ
制御方式を選定使用するのに対し、前記セカンドカット
加工工程及び該中仕上げ加工工程以後の前記高周波交流
電圧源を加工電源とする仕上げ加工を含む各加工工程で
は、送り速度が放電加工間隙電圧に比例し、設定サーボ
基準電圧に対する放電間隙の電圧偏差零のとき設定加工
条件(主として加工電圧又は放電パルス等の条件)によ
る加工速度に符合する通常実験値の加工送り速度が設定
される減速サーボ制御方式に選定切換えて加工を行なう
こと等を下記の特許出願で提案した。 [出願日] 平成6年3月23日 [出願番号] 平成6年特許願第92836号 [発明の名称] ワイヤ放電加工方法及びワイヤ
放電加工用電源回路 図面によりこれを説明すると、図4は前記仕上げ加工用
の高周波交流電圧源をワイヤ放電加工用の仕上げ加工用
として適用した場合の概略構成説明図で、ワイヤ放電加
工の通常荒加工条件の所望輪郭形状を最初に加工するフ
ァーストカット加工工程に用いる加工用電源、及び前記
ファーストカット加工工程後に所望の形状精度出しと加
工面粗度改善のセカンドカット及びサードカット等の一
または複数加工工程から成る中仕上げ加工工程に用いる
加工用電源等が組合わされて構成されたワイヤ放電加工
用電源回路として示したものである。
【0003】而して、図に於いて、1は一対の間隔を置
いて配置した位置決めガイド2A、2B間を所定の張力
を付与した状態で軸方向に更新送り移動させられるワイ
ヤ電極、3は図示しないxyクロステーブルに載置した
ワークスタンド4に取り付けられ、ワイヤ電極軸方向と
略直角方向から微小放電間隙を介して相対向せしめられ
る被加工体で、図示しない加工液供給手段による加工液
供給介在の下に両者間に印加される間歇的な電圧パルス
により放電を生ぜしめて加工が行われるものである。
【0004】そして、前記通常荒加工条件のファースト
カット工工程の加工のための加工電圧、即ち、間歇的な
電圧パルスは、図示した一実施例のワイヤ放電加工用電
源回路5から、給電接続線11A、11Bとしての同軸
又はシールド線を介し、或いは更に、放電間隙近傍の引
き回しリード線には、好ましくは縒線を利用するが如く
にしてワイヤ電極1と被加工体3間に供給印加される。
前記電源回路5は、直流電圧源6Aと電流容量に応じ複
数個が並列に接続されるMOS−FETトランジスタ等
の電子スイッチ素子6Bと電流制限抵抗6C及び逆電圧
防止整流器6Dとの直列回路からなる、従来最も通常の
間歇的な電圧パルスの生成供給回路6が、放電間隙に並
列となるように給電接続線11A、11Bに接続され、
前記間歇的な電圧パルスはパルス制御装置7によるスイ
ッチ素子6Bの制御により所望に生成される。即ち、制
御装置7の前記スイッチ素子6Bの制御装置部分として
は、スイッチ素子6Bを放電間隙の放電状態検出情報に
よる変更制御をする場合を除き、予め選択設定した一定
のオン時間信号τONとオフ時間信号τOFF とを規
則的に交互に繰り返して電圧パルスを供給制御する場合
と、スイッチ素子6Bのオン時間信号を放電間隙に電圧
パルスの印加開始時より放電間隙で放電が開始するまで
の該放電開始遅延期間の関数とし増大する、即ち各放電
パルスの放電持続時間を設定の一定値とするよう電圧パ
ルス印加開始後放電間隙での放電開始時より前記オン時
間信号の計測を開始し、計測完了によりスイッチ素子6
Bをオフとしてオフ時間に移行させる制御をするもの等
があり、以下の説明では、主として前記後者の場合につ
いて説明を加えるが、本発明は何等これに限定されるも
のではない。
【0005】前記電源回路5には、前記スイッチ素子6
Bのオン・オフによる加工電圧パルス供給回路6に加え
て、該回路6による放電パルスの放電電流振幅Ipを増
大し、延ては加工平均電流を増大させて、加工速度を一
段と増加させるためのパルス電流増幅回路または電流パ
ルス供給回路8が、可変直流電圧源8Aとスイッチ素子
8Bと逆電圧防止整流器8Cとから成る直列回路として
回路6と並列に設けられており、該電流パルス供給回路
8は制御装置7によるスイッチ素子8Bのオン時に急峻
な立ち上がりの高電流を出力するように、所謂電流制限
抵抗がその直列回路中にない無抵抗回路、乃至はスイッ
チ素子8Bの破損防止のために制御装置7に設けられて
いるスイッチ素子8Bの電流制御器7Aの作動のための
微小な検出抵抗の他には電流制限抵抗が挿入されてない
回路8であって、スイッチ素子6Bのオン時間信号又は
前記放電開始時よりのオン時間信号は、仕上げ加工条件
の場合は勿論、ワイヤ放電加工に於いては、大きくても
数10μS以内、通常数μS以内であるから、スイッチ
素子8Bを回路6による印加電圧パルスにより間隙での
放電開始を検出して作動するオン時間信号の間オンさせ
るようにしても、スイッチ素子8B又は、少なくとも回
路8の飽和領域動作への移行時間等の関係から破損を免
れ得る場合があるが、上記スイッチ素子8Bの動作領域
を不飽和領域と又は、少なくとも回路8の電流がスイッ
チ素子8Bの飽和電流値よりも充分小さい(通常数分の
一)範囲を動作領域となるように条件設定すれば、該ス
イッチ素子8Bの破損の問題はなく、かつ該スイッチ素
子8B乃至は回路8の電流オフ切れ特性が鋭く、急峻と
なるから好ましいものである。
【0006】図示の回路構成例では、前記電源回路5中
に、可変直流電圧源9Aとスイッチ素子9Bと電流制限
抵抗9C及び逆電圧防止整流器9Dとの直列回路から成
るもう一つの、即ち、第2の電圧パルス供給回路9が設
けられており、該第2の電圧パルス供給回路9は、開閉
スイッチ9Eにより所望に応じて使用されるものである
が、例えば、直流電圧源9Aは、通常出力電圧が一定の
直流電圧源6A(約80〜120V)に対し、可変で電
圧値は同等以上(約80〜280V)であり、電流制限
抵抗9Cは、抵抗6Cに対し大きな設定で、回路9の電
流容量を小さなものとし、スイッチ素子9Bを“パルス
制御装置7により、例えばスイッチ素子6Bとオン・オ
フ同期印加、又は高圧遮断等と称して前記電圧パルス印
加に先だって電圧印加を開始し、放電間隙での放電開始
を検出してスイッチ素子9Bをオフとすることにより電
圧印加を遮断するなどの制御をする等して、間隙の平均
加工電圧を高めることにより放電開始を促進させるとと
ともに、間隙電圧検出によるサーボ制御で放電間隙を広
く維持させるなどの作用をする副電源であって、本発明
の実施に必須のものではない。
【0007】前述の電流パルス供給回路8は、電圧パル
ス供給回路6及び通常回路9と共に電源回路5として、
被加工体3のファーストカット加工工程と、該ファース
トカット加工工程後の電源加工条件の切換設定による寸
法・形状精度出し、及び面粗度改善の加工を行なうセカ
ンドカット及び、サードカット等一又は複数の加工工
程、すなわち、加工電圧として間歇的な電圧パルスを用
いるファーストカットの加工工程、及びセカンドカット
等の中仕上げの加工工程に用いられるもので、ゲート入
力は切換えスイッチ8Eにより制御装置7に接続されて
いて、例えば前述のような回路6との関連制御が行われ
るものであるが、前記中仕上げの加工工程であるセカン
ドカット加工工程の加工の終了後、高周波交流電圧を用
いる加工面粗度出し加工の1乃至2又はそれ以上の仕上
げ加工工程(例えば、フォースカット加工工程、或いは
更にフィフスカット加工工程等)に移行するに際し、電
圧パルス供給回路6及び回路9を必要に応じ開閉スイッ
チ6E及び9Eで切り離すと共に、前記切換えスイッチ
8Eを高周波の間歇パルスのゲート信号回路8D側に切
換えて、電流パルス供給回路8を高周波電流パルス発生
回路10として機能せしめるものである。
【0008】そして、その際、前記高周波電流パルス発
生回路10と放電間隙間に設けられた高周波結合トラン
ス13と、前記輪郭形状の形成加工のファーストカッ
ト、及びセカンドカット等の寸法・形状精度出しと面粗
度改善の中仕上げ加工工程から加工面粗度出しの仕上げ
加工の加工工程に移行する際の回路切換え開閉スイッチ
14とから成る函体状のボックスに収納された回路装置
12は、以下の如き構成、及び切換え使用されるもので
ある。
【0009】高周波結合トランス13は、前記高周波電
流パルス発生回路10が出力する間歇的な高周波パルス
電流1個1個を1サイクルの高周波交流電圧に変換する
もので、高周波用フェライト等から成る高透磁率のリン
グコア13Aに1次巻線13Bと2次巻線13Cとが、
巻線比が1:1〜3、好ましくは1:1〜2、捲回数が
1次巻線1〜5ターン、好ましくは1〜2ターン、2次
巻線1〜12ターン、好ましくは1〜4ターンの如く、
高周波数応答可能に何れも少ない巻数で、かつどちらか
と言えば電圧が高くて電流が小さい仕上げ加工用の高周
波交流電圧を得る目的から、1次巻線よりも2次巻線の
捲回数が同一以上となるように捲回してあるものであ
る。
【0010】次に、前記高周波電流パルス発生回路10
の出力と、前記ワイヤ電極1・被加工体3から成る放電
間隙間の給電接続線11A、11Bと前記回路装置12
の接続と切換え構成に付き説明すると、1次巻線13B
を高周波パルス発生回路10の低インダクタンスの同軸
又はシールド線から成る給電接続線11A、11B出力
と接離する開閉スイッチと、2次巻線13Cを低キャパ
シタンスの撚線や単線から成る接続線を介して放電間隙
と接離する開閉スイッチとは、前記高周波パルス発生回
路10の出力両端と放電間隙のワイヤ電極1と被加工体
3夫々の間に接続される給電接続線11A、11Bの回
路部分に設けられる給電回路開閉スイッチ14A、14
Bと、1次巻線の入力両端を前記給電回路開閉スイッチ
14A、14Bよりも高周波電流パルス発生回路10側
でその出力線の両方に接続する間の一方又は両方の接続
回路に挿設した1次巻線開閉スイッチ14Cと、及び2
次巻線の出力両端を前記給電回路開閉スイッチ14A、
14Bよりも放電間隙側でワイヤ電極1と被加工体3の
両方に接続する間の一方又は両方の接続回路に挿設した
2次巻線開閉スイッチ14Dとから成り、前記2つの給
電回路開閉スイッチ14A、14Bと、1次巻線及び2
次巻線開閉スイッチ14C、14Dとは、前者の開閉ス
イッチ14A、14Bがオンのとき、後者の開閉スイッ
チ14C、14Dがオフとなるように互いに逆に開閉せ
しめられることによりその目的を達成するものであり、
前記給電回路開閉スイッチ14A、14Bがオフで、1
次及び2次巻線開閉スイッチ14C、14Dがオンのと
き、仕上げ加工の加工工程で使用する高周波交流電圧に
よる仕上げ加工用電源回路が構成されることになる。
【0011】なお、、図示では1次巻線及び2次巻線の
各開閉スイッチとして、夫々各1個が設けられた場合
で、かつ設けられる切換えスイッチの数を最も少ない数
として構成した場合であるが、スイッチの数により種々
の切換え回路構成と為し得ることは当然である。
【0012】図5は、図4の加工電源回路を仕上げ加工
の加工工程の仕上げ加工用電源回路として、即ち、開閉
スイッチ6Eおよび9Eを通常オフにし、切換えスイッ
チ8Eによりゲート信号回路8Dをオンにして高周波パ
ルス発生回路10を機能させ、給電回路開閉スイッチ1
4A、14Bをオフ、トランス1次及び2次巻線開閉ス
イッチ14C、14Dを夫々オンとして作動させた場合
のタイミングチャートを2サイクル分、ほぼ理想的な波
形として示したもので、aは前記間歇パルスのゲート信
号回路8Dから出力してスイッチ素子8Bをオン・オフ
させる高周波のゲート信号、bは前記ゲート信号に基づ
き高周波電流パルス発生回路10が出力し、トランス1
3の1次巻線13Bに供給する電流パルス、cは前記パ
ルス電流に基づき2次巻線13Cに誘起され放電間隙に
印加される高周波交流電圧と該高周波交流電圧印加に基
づき放電間隙で放電が発生した場合の放電間隙電圧波
形、dは同放電間隙の放電電流の例である。
【0013】前記ゲート信号回路8Dから出力する間歇
的なパルスのゲート信号は、本発明が標榜する仕上げ加
工に於いては、図示ではTON=100nS(実質約1
50nS)、TOFF=1.0μSで、大凡約TON
50nS〜1000nS程度のμSオーダ以下で、T
OFF=500nS〜10μS又は数10μS程度であ
り、cの交流電圧が相互に繋がるのを限度として、好ま
しくはATOFF ≧0となるよう条件設定をするもの
である。又、前記高周波電流パルス発生回路10の出力
電流パルス波形bは、スイッチ素子8Bが、又は少なく
とも回路8の電流がスイッチ素子8Bの飽和電流値より
も充分小さい立上がり電流の飽和領域作動状態となる前
にゲート信号aがオフとなり、スイッチ素子8B、又は
回路8の電流切れが高速で行われたものとして示されて
いる。
【0014】又、前記c図の2次巻線13Cの高周波交
流電圧は、近時のテストに依れば、外径約55mmφ、
内径約30mmφの、高透磁率MnーZnフェライト
や、NiーZnフェライト等のフェライトトロイダルコ
ア(例えば、TDK製PC50[又はPC30]T40
×16×24)を2重積したコア13Aに、断面約3.
5mm2 のテフロン系樹脂被覆導線を1次巻線13
B:1ターン、2次巻線13C:2ターンとしたとき、
直流電圧源8Aの出力約60Vで正負に夫々約150〜
170V、電圧源8Aの出力約25Vで正負に夫々約6
0〜65Vで、仕上げ加工の加工工程である加工面粗度
所望仕上げの仕上げ加工(例えば、フォースカット、及
びフィフスカット等)に適用可能な、好適に高電圧の高
周波交流電圧が得られ、放電電流波形dに示す如く、交
流電圧1サイクルの初めの半波で放電が発生すると、次
の逆極性の半波に於いては続いて放電が起こることにな
るが、平均加工電流が1A前後程度より小さい値で仕上
げ加工を進行させることができる。例えば、前記正負約
150〜170V、約1MHzの高周波交流電圧で、前
工程のセカンドカット加工等の中仕上げ加工工程約10
〜13μmRmaxに仕上げた加工面を、フォースカッ
ト等の1回目の仕上げ加工することにより、約3.5μ
mRmax程度に仕上げることができ、更に前記正負約
60Vの高周波交流電圧でフィフスカット等の2回目の
仕上げ加工をすることにより約1.5μmRmax程度
に仕上がるものである。なお、上記の如き放電加工デー
タは、以後の場合も含めて、特別に断りがない以上、加
工液として純水等の水系加工液を用いた場合のものであ
る。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】而して、上記発明後、
電源やサーボ送りの設定や調整、及び加工方法に付き改
良を重ね来たが、後で(図6)詳しく説明する上記減速
サーボ制御方式を加工送りの制御方式として採用してい
るファーストカット加工工程後のセカンドカット等の寸
法・形状精度出し及び加工面粗度改善の直流電源をスイ
ッチ素子のオン・オフすることにより得られる休止時間
を置いた間歇的な電圧パルスを加工電源とする加工工程
と、前記寸法・形状精度出しと加工面粗度を所望に仕上
げる高周波交流電圧源による仕上げ又は最終仕上げ加工
とでは、加工送りのサーボ制御方式として同じ減速サー
ボ制御方式を採用していても、加工条件、特に水系加工
液の特性に変化があると加工と送りの状態が整合せず、
上記セカンドカット等の加工工程迄で、所定の形状・寸
法精度出し及び加工面粗度改善が行われていても、次の
仕上げ又は最終仕上げ加工でかえって寸法・形状精度を
損なうと言うことが少なくなかった。
【0016】特に、当該ワイヤ放電加工に常用の上記水
系加工液に於ける、例えばイオン交換樹脂の寿命等によ
る水質(特に比抵抗値、又は伝導度)の変化や加工間隙
部分に於ける加工液流通の不整等による加工屑濃度の部
分的な変化或いは加工液供給装置部に於ける加工液温度
制御装置の不調とか異常等が加工間隙内加工液の部分的
比抵抗変化として作用するようになると、加工電源、即
ち高周波交流電圧源の出力による放電間隙の無負荷電圧
に変動が生じ、放電間隙に接続した検出回路からの検出
サーボデータ又は信号に、前記設定されている実験値に
準処したデータ又は信号とズレを生じ、加工状態が変化
して加工の寸法・形状精度を大きく損なうと言う欠点が
あった。
【0017】例えば、前記高周波交流電圧源による仕上
げ加工時に、加工液の比抵抗値が所定値よりも低下する
変化が生じていると、前記無負荷電圧の低下より放電間
隙の電圧が見掛上低下しているので、加工送りのサーボ
制御方式として、前段のセカンドカット加工等の寸法・
形状精度出しの中仕上げの加工の際に用いた前述の送り
速度が放電間隙電圧に比例し、サーボ基準電圧に対する
放電間隙の電圧偏差零のときほぼ設定加工条件による加
工速度に符合する実験値の加工送り速度が設定される減
速サーボ制御方式のものをそのまま用いると、加工送り
速度が極端に低下するのに対し、加工量(加工速度又は
加工電源の加工能力)はそれ程低下している訳ではない
ので、加工量過多となり、ポンチ切抜き加工では寸法・
形状が所定値より小さく、又逆にダイの穴の寸法・形状
が所定値よりも大きく加工されて、所望に即ち、これ
は、上記加工液の比抵抗値が低下等変化している場合に
は、上記中仕上げの減速サーボ制御の条件設定では、加
工電源の種類が異なる仕上げ加工に用いるには、主とし
てサーボゲインの設定不適、又は調整不足等を意味する
ことになり仕上がらないと言う結果を招来する。
【0018】又、上記の場合のセカンドカット加工工程
時の減速サーボ制御方式に代えて、従来より仕上げ加工
では多く慣用の一定速度サーボ制御方式(上記減速サー
ボ制御方式の場合の設定加工条件に符合する実験値の加
工送り速度の一定の送り速度として、間隙電圧が上記サ
ーボ電圧よりも充分低い所定値以下、又は間隙短絡で、
短絡又は間隙回復の後退作動をするサーボ制御方式)を
採用すると、加工送り速度が一定であるにもかかわず、
放電間隙に供給される前記高周波交流電圧源による放電
エネルギーが放電間隙の放電部以外の部分へ分流する割
合が多くなっているため、加工量が過少となり、ポンチ
切抜き加工では寸法・形状が所定値よりも大きく、又逆
にダイの加工ではダイの穴の寸法・形状が所定値よりも
小さく加工されて所望に仕上がらないのである。なお、
上記高周波交流電圧源による仕上げ加工の際に放電間隙
の無負荷電圧が低下する要因としては、上述水系加工液
の性状変化の外に、後述の高周波交流電圧を生成及び放
電間隙に供給する給電線の温度変化による抵抗値変化が
あってた場合とか、後述の高周波交流電圧を変換生成す
る高周波結合トランスの磁束飽和による温度上昇があっ
た場合等が考えられるが、之等の要因は通常生じ難い
か、生じない設定や制御をすることが比較的容易で、対
応済みのものである。
【0019】そこで、本発明は、高周波交流電圧源によ
る仕上げ加工又は最終仕上げ加工の際に加工液の比抵抗
等の性状変化等が或る程度生じていても、目的に対して
許容可能な程度に仕上がる加工が可能な上記高周波交流
電圧源、即ち仕上げ加工用電源装置を開発することを目
的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】 前述の本発明の目的
は、(1)、高周波交流電圧源を加工用電源とするワイ
ヤ放電仕上げ加工に於いて、直流電圧源とオン・オフ電
子スイッチ素子とを直列に接続した該直列回路中に電流
制限抵抗を有しない電流パルス供給回路と、該電流パル
ス供給回路と共に仕上げ加工に際して開閉スイッチによ
り切換え使用される夫々捲回数の少ない1次巻線と2次
巻線とを有するリングコアの高周波結合トランスと、前
記オン・オフ電子スイッチ素子に間歇的な高周波のパル
スのゲート信号を供給するゲート信号供給回路とを備
え、間歇的な高振幅の高周波電流パルスを前記電流パル
ス供給回路より前記1次巻線に供給し、前記2次巻線に
誘起される高電圧の高周波交流電圧をワイヤ電極と被加
工体間の放電間隙に印加すると共に、前記ワイヤ電極と
被加工体間に与えられる加工送りのサーボ制御方式を、
送り速度が放電間隙の電圧に比例し、設定サーボ基準電
圧に対する間隙電圧の偏差零のとき設定加工条件の加工
速度に応ずる通常実験値による送り速度が設定される減
速サーボ制御方式に設定してワイヤ放電仕上げ加工をす
るようにしてなり、前記加工間隙に供給介在せしめられ
る加工液の比抵抗の検出判別手段と、該検出判別により
前記加工液の比抵抗が所定値以上低下したことの検出判
別信号が出力したとき該信号により前記電流パルス供給
回路の直流電圧源の出力直流電圧を増大せしめる制御手
段とを備えた仕上げ加工用の電源構成とすることによ
り、(2)、又前記(1)の仕上げ加工用電源に於い
て、前記直流電圧源が商用交流を制御整流する制御整流
回路と、該回路の導通開始位相を前記検出判別信号によ
り制御する位相制御回路と、整流出力を平滑化する平滑
回路とから成る構成とすることにより、(3)、又前記
(1)の仕上げ加工用電源に於いて、前記直流電圧源が
商用交流を整流するコンバータと、該コンバータ出力を
交流に変換するインバータと、該インバータ出力を整流
するコンバータとから成り、前記検出判別信号により前
記インバータの導通パルス幅を制御する構成とすること
により、(4)、又前記加工液の比抵抗の検出判別手段
が、ワイヤ電極と被加工体との相対向放電間隙加工部が
浸漬配置される加工槽内充填貯溜加工液、又は前記加工
槽へ加工液を汲み上げ供給する加工液供給装置の貯溜又
は供給路加工液の比抵抗を検出して判別する前記
(1)、(2)、又は(3)に記載のワイヤ放電仕上げ
加工用電源とすることにより、(5)、又前記加工液の
比抵抗の検出判別手段がワイヤ電極と被加工体との放電
間隙加工部の電圧又は間隙インピーダンスを検出して判
別する前記(1)、(2)、又は(3)に記載のワイヤ
放電仕上げ加工用電源とすることによりより良く達成さ
れるものである。なお、前述課題を解決するための手段
としては、上記加工用電源部分以外の部分での対応も考
えられるものであるが、それ等に付いては別途処置せん
とするものである。
【0021】
【作用】本発明の仕上げ加工用電源は、上述の構成を有
するものであるから、放電間隙に印加される高周波交流
電圧の無負荷電圧が、放電間隙に流通介在する加工液の
比抵抗変化(低下)により見掛け上低下したとき、その
比抵抗変化の検出信号により無抵抗の電流パルス供給回
路の直流電源の電圧を増大制御し、交流変換トランスの
1次巻線に供給する電流パルスの振幅を所望に増大して
2次巻線誘起高周波交流電圧の電圧値を増大補償するか
ら、放電間隙より検出するサーボデータに変化を生じさ
せず、このためサーボ制御回路での複雑な調整、制御を
せずに、加工状態を変化させず、加工寸法・形状精度を
損なうことなく仕上げ加工を進めることができる。
【0022】
【実施例】図6A、B及びCは、前記図5のタイミング
チャート図中の高周波結合トランス13の2次巻線13
Cに誘起出力される仕上げ加工用高周波交流電圧波形C
を、前記2次巻線13C出力にワイヤ電極1及び被加工
体3を接続し、その対向する微小間隙を流動する加工液
中に浸漬させた放電加工中と実質同一の状態とした時の
前記交流電圧波形Cをシンクロスコープからの線図とし
て、前記1次巻線13Bに実際に流れる電流パルスの波
形線図bと共に示したもので、Aは前記使用水系加工液
の比抵抗値が約50000(5×10)Ωcmの最も
慣用の加工液条件時の値の場合、Bは同じく約1000
00(1×10)Ωcmで可成りシビアな精仕上げ加
工条件時の値の場合、又はCは約22000(2.2×
10)Ωcmで、異常に近い抵抗値の場合の各波形線
図である。この図6A、B及びCによれば、加工液の比
抵抗値の変化によって放電間隙に誘起印加される高周波
交流電圧の無負荷電圧が変化していることが明らかで、
例えば標準のAに対し、比抵抗値が低下したCでは前記
無負荷電圧は少なくとも約10%近く低下しており、サ
ーボ検出回路によるサーボ検出信号とサーボ制御データ
との間に偏差が生じ、前述したように太鼓(真直度)を
含む加工寸法・形状精度が変化して、精度低下を生じる
ことになる。
【0023】 図7は、縦軸に加工送り速度F(mm/
min)、横軸にサーボ制御電圧(放電間隙の平均電圧
(v))を目盛り、加工条件によって異なる設定基
準電圧SVを同一と仮定して前述各種のサーボ制御方式
の実施例特性曲線図を示したもので、Aはゼロメソッド
サーボ制御方式、B及びCは利得特性が異なる減速サー
ボ制御方式、又Dは一定サーボ制御方式の各特性曲線図
であり、特性曲線Cに対して比例利得の大きい特性曲線
Bの減速サーボ制御方式は、前述間歇的な電圧パルスを
加工電源として、ファーストカット(荒)加工後の寸法
・形状精度出しと加工面粗度改善の加工を行なう所謂セ
カンドカット加工等の1つ又は複数加工工程の中仕上げ
加工の加工送り制御方式としては、好適なものである
が、前述の如き構成及び特性を有する高周波交流電圧源
による加工面粗度仕上げの仕上げ加工の際には、放電間
隙状態の変化、即ち、例えばワイヤ電極、被加工体の材
質・組合せの変更や被加工体板厚変化等による影響もあ
るが、特に放電間隙に流通介在する水系加工液の性状変
化、に比抵抗値変化による影響が大きく、前記高周波
交流電圧源による放電間隙無負荷電圧が約10%程度低
下等変化するようになると、加工平均電圧はそれ以上変
化し、前述の如くサーボ制御による加工送り作動に重大
な変化影響を与えることとなるため、サーボ制御特性を
例えばCの特性曲線とか、或いは例えば平均電圧によっ
て比例利得特性が多段に変化する複雑な特性の減速サー
ボ制御方式に切換え、又は調整等することが必要となる
が、その調整変更設定や制御は可成り精妙な技術を要
し、再現性や確実性に欠ける欠点があった。
【0024】 図1は、本発明の第1の実施例の仕上げ
加工用電源回路のブロックダイアグラム図で、10は前
述のオン・オフ電子スイッチ素子8Bと後述するように
電圧可変とされる定電圧直流電源8A及び逆電圧防止整
流器8Cとを直列に接続し、該直列回路中に電流制限抵
抗を有しない電流パルス供給回路8に、所望の高周波間
歇パルスのゲート信号を供給するゲート回路8Dを設け
た高周波電流パルス発生回路で、前述仕上げ加工に際し
開閉スイッチ14によって切換えられた1次巻線13B
と2次巻線13Cをフェライト鉄心13Aに捲回した高
周波結合トランス13により、前記発生回路10から供
給される間歇的な高周波の電流パルスを、略1サイクル
の高周波交流電圧に変換してワイヤ電極1と被加工体3
間の放電間隙に供給印加させる。15はワイヤ電極1と
被加工体3間の放電間隙を加工液16中に於いて浸漬形
成させるために設けられた加工槽で、加工液供給装置1
8でその比抵抗値が所定値に制御された加工液16が循
環供給され、必要に応じ加工槽15中の加工液16中に
設けたノズル17から加工液を放電間隙へ噴射するよう
構成される。前記加工液供給装置18は周知の構成のも
ので、加工槽15から還流する加工液を収納する汚濁液
槽19と該汚濁液槽19の加工液をポンプ20により汲
み上げフィルタ21を介して清浄化した加工液を収納す
る清浄液槽22と、該清浄加工液を汲み上げ流量・圧力
等の調整分配器24を介して前記加工槽15及びノズル
17へ供給するポンプ23、及び該供給清浄加工液の比
抵抗値及び温度やその他の性状を所定値に保持制御する
装置、図示の場合はイオン交換器25と供給清浄加工液
の比抵抗を検出器27Aで検出して加工液のイオン交換
処理を行なうポンプ26の作動を制御する制御装置27
とから成る。
【0025】而して、前述の如く上記イオン交換器25
が収納するイオン交換樹脂の寿命等により、特に加工液
の比抵抗値や伝導度の水質に変化が生ずると、前述のよ
うに高周波電流パルス発生回路10と高周波結合トラン
ス13とによって生成された加工部放電間隙の高周波交
流電圧の無負荷電圧が低下し、該高周波交流電圧による
仕上げ加工の加工電圧(平均加工電圧)も低下し、放電
間隙から検出されるサーボ制御用の検出電圧が低下する
等変化してサーボ制御による加工送り、前述図7のB、
C等の放電間隙電圧に対する送り速度特性を有する減速
サーボ制御方式による加工送りでの対応が、複雑困難と
なる。
【0026】よって、図1の発明は、加工液の比抵抗値
又は伝導度検出判別手段として、加工槽15中に加工液
供給装置18との間で循環充填状態にある加工液16の
比抵抗(又は伝導度)検出手段28を設け、該検出手段
28による、例えば所望設定からの偏差信号を、増幅器
29より増幅した後、増幅電圧信号をA/D変換器30
によりA/D変換し、変換デジタル信号を回路絶縁フォ
トカプラ等の入出力回路31を介してマイクロコンピュ
ータ等を内蔵する制御装置32に入力し、該制御装置3
2は予め実験等により作成し、記憶装置33に記憶して
ある前記加工液の比抵抗値(又は伝導度)と定電圧直流
電圧源8Aの出力電圧(加工部放電間隙に於ける高周波
交流電圧の無負荷電圧)との関係データを読み出し、前
記入出力回路31から入力した検出信号と比較演算等し
て、前記直流電源8Aの電圧制御部34に出力電圧値の
制御指令信号を出力するものである。そして前記直流電
源8Aの電圧を制御装置32からの電圧指令に従って変
更(増大)設定することにより、電流パルス発生回路1
0の出力電流パルス振幅を所望に変更(増大)せしめ、
高周波結合トランス13により交流に変換出力し、放電
間隙に於ける高周波交流電圧の無負荷電圧を所望に変更
(増大)させ、前記加工送りの減速サーボ制御方式の設
定条件等に調整等の手を加えることなく、所定の仕上げ
加工をそのまま続行することができ、目的とする加工を
することができる。
【0027】図2は、本発明の第2の実施例の仕上げ加
工用電源回路のブロックダイアグラム図で、前述図1の
加工液の比抵抗値(又は伝導度)の検出判別手段として
は、検出手段28を加工槽15の液16に対して設ける
代りに、加工液供給装置18の清浄液槽22中や加工液
供給管路中の液から検出信号を得るようにすることもで
きるが、さらに例えばポンプ23、分配器24又はノズ
ル17等に起因する循環量の減少、噴射液量又は噴射力
の減少等により加工部放電間隙で加工屑濃度の部分的変
化が生じた場合には、前述図1等の検出方式では対応で
きないことから、加工部放電間隙の電圧又は間隙インピ
ーダンスを直接検出することにより加工液の比抵抗値
(又は伝導度)を検出判別するようにしたものである。
即ち、図に於て、35は放電間隙電圧検出用分圧回路
で、検出分圧電圧を演算増幅器から成る反転増幅器36
で増幅した後、増幅電圧信号をピークホールド回路37
でピークホールドし、該ピークホールド電圧信号を前記
A/D変換器30によりデジタル信号にA/D変換し
て、入出力回路31から制御装置32に入力し、記憶装
置33に予め記憶させた前記検出分圧電圧(放電間隙加
工液の比抵抗値又は伝導度)と加工部放電間隙に於ける
高周波交流電圧の無負荷電圧との関係データを読み出
し、之を前記入出力回路31から所定の時間間隔を置い
て入力するサンプリング検出信号と比較、演算等して直
流電源8Aの電圧制御部34に出力電圧値の制御指令信
号を出力するものである。
【0028】而して、図3のA及びBは前記電圧制御部
34を有する電圧可変の定電圧直流電源8A例をの示す
もので、Aに於いて40は商用の3相交流電源、41は
所定容量で所望変圧出力タップを有する3相トランス、
42は3相制御整流回路、43は回路42中の制御整流
器の導通開始位相を制御する位相制御回路、44は整流
直流の平滑回路、45は出力直流電圧の検出用分圧回
路、46は反転増幅回路で分圧回路45から入力する直
流検出分圧電圧が、所定の一定値となるように位相制御
回路43に制御信号を供給し、前記検出分圧電圧が所定
の一定値となるように制御整流回路42の制御整流器の
導通開始位相を制御し、直流定電圧電源8Aを形成して
いる。又Bは定電圧電源8Aの出力電圧変動をより小さ
くするためにインバータ回路47を導入構成したもの
で、トランス41の変圧出力をコンバータ48Aにより
一旦直流に変換した後、該直流を導通パルス幅制御回路
(PWM)49によって検出分圧電圧が所定の一定値と
なるように回路47中の被制御素子の導通パルス幅(時
間)が制御される前記インバータ回路47により、前記
商用周波数よりも周波数の高い交流に変換し、該交流を
コンバータ48Bにより直流に変換するものである。
【0029】そして、図3のAに於いては、前記定電圧
制御用の検出分圧回路45、反転増幅回路46、及び位
相制御回路43が、又はBに於いては該回路43に代え
て導通パルス幅制御回路49を有する回路が前記直流電
源8Aの電圧制御部34を形成しているもので、該電圧
制御部34の前記反転増幅回路46に、前記制御装置3
2からの制御指令信号が増幅回路50を介して前記増幅
回路46に入力し、定電圧制御の電圧制御部34が制御
維持すべき基準電圧値を変更するものであり、斯くする
ことにより、前述加工液の比抵抗値の変化や加工部放電
間隙の電圧又は間隙インピーダンス変化が検出される
と、その検出原因である放電間隙の加工用高周波交流電
圧の無負荷電圧の低下等変化を補償するため、直流電源
8Aの電圧を所望に変更制御し、高周波結合トランス1
3に所望する交流電圧を変換出力させる。而して、本発
明に於ける高周波交流電圧源は、前述の構成の高周波電
流パルス発生回路10と開閉スイッチ14によって切換
え使用される高周波結合トランス13との組合せによっ
て構成されるものであるから、前記高周波結合トランス
13のフェライト材等の鉄芯13Aが、1次巻線13B
に電流パルス発生回路10から供給されて流れる電流ピ
ーク値に於いて磁気的に飽和しない回路定数設定(例え
ば、複数鉄芯の重積使用等)としておくことにより、1
次巻線13Bの電流パルス振幅増大により2次巻線13
Cの誘起交流電圧の無負荷電圧振幅を容易に増加させる
ことができる。そして、前記電流パルス発生回路10の
出力高周波電流パルス(図5b)の電流振幅及び時間等
の設定値と電流パルス供給回路8及び使用スイッチング
素子8Bの作動飽和電流値(E/R=Is)との関係を
示す図8の特性曲線図から明らかなように、電流パルス
供給回路8(発生回路10)が出力する電流パルスの振
幅Ipは前記作動飽和電流値Isに対して数分の1の充
分低い値に選択設定され、他方前記スイッチング素子8
Bの作動飽和電流値Isへの立上がり時間は、例えば2
SK1170等の斯種PowerMOS−FETの場合
で、約0.9Isに立ち上がるのに約150nS弱程度
であるから、前述の如くして直流電源8Aの電圧を増大
させることにより電流パルス発生回路10の出力電流パ
ルスの電流パルス振幅を増大し、1次巻線13Bの電流
パルス振幅を増大させる得る訳である。又、前記の電圧
可変の定電圧電源8Aとしては、前述図3A及びBの電
子回路形式のいものに於いて各種変更構成が可能なだけ
でなく、電圧可変手段としてもトランスのタップ自動切
換えとか単巻トランスによるスライド変更、或いは又可
飽和リアクトル等を使用した構成等も採用することがで
きる。
【0030】
【発明の効果】本発明の仕上げ加工用電源装置は、上述
の構成を有するものであるから、放電間隙に印加される
高周波交流電圧の無負荷電圧が、放電間隙に流通介在す
る加工液の比抵抗変化(低下)により見掛け上低下した
とき、その比抵抗変化の検出信号により無抵抗の電流パ
ルス供給回路の直流電源の電圧を増大制御し、交流変換
トランスの1次巻線に供給する電流パルスの振幅を所望
に増大して2次巻線誘起高周波交流電圧の電圧値を増大
補償するから、放電間隙より検出するサーボデータに変
化を生じさせず、このためサーボ制御回路での複雑な調
整・制御をせずに、加工状態を変化させず、加工の寸法
・形状精度を損なうことなく仕上げ加工を進めることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例であるワイヤ放電仕上げ
加工用電源装置のブロックダイアグラム図。
【図2】本発明の第2の実施例であるワイヤ放電仕上げ
加工用電源装置のブロックダイアグラム図。
【図3】A及びBは、夫々本発明装置の一部の異なる実
施例を示すブロックダイアグラム図。
【図4】本発明に用いる電源回路部分の詳細図。
【図5】図4の電源回路本発明の仕上げ加工用電源装置
として用いたときの回路作動を説明するためのタイミン
グチャート図。
【図6】A、B、及びCは図5のタイミングチャート図
の一部を説明するためのシンクロスコープ線図。
【図7】各種のサーボ制御方式の平均加工電圧に対する
加工送り速度の特性曲線図。
【図8】図5のb図に示した電流パルスと電流パルス供
給回路又はそのスイッチ素子の飽和電流との関係を説明
するための説明図。
【符号の説明】
1,ワイヤ電極 2A,2B,位置決ガイド 3,被加工体 4,ワークスタンド 5,ワイヤ放電加工用電圧パルス源 6,電圧パルスの生成供給回路 6A,直流電圧源 6B,電子スイッチ素子 6C,電流制限抵抗 6D,逆電圧防止整流器 7,パルス制御装置 8,電流パルス供給回路 8A,可変直流電圧源 8B,電子スイッチ素子 8C,逆電圧防止整流器 8D,ゲート信号回路 8E,切換えスイッチ 11A,11B,給電接続線 12,回路装置 13,高周波結合トランス 13A,リングコア 13B,1次巻線 13C,2次巻線 14A,14B,14C,14D,開閉スイッチ 15,加工槽 16,加工液 17,加工液ノズル 18,加工液供給装置 19,汚濁液槽 20,23,26,ポンプ 21,フィルタ 22,清浄液槽 24,分配調整器 25,イオン交換装置 27,コントローラ 28,比抵抗検出器 29,増幅器 30,A/D変換器 31,入出力回路 32,制御装置 33,記憶装置 34,電圧制御部 35,45,電圧検出分圧回路 36,46,50,反転増幅器 37,ピークホールド回路 40,3相商用交流電源 41,3相電源トランス 42,制御整流回路 43,位相制御回路 44,平滑回路 47,インバータ回路 48A,48B,コンバータ 49,導通パルス幅制御回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡部 善博 神奈川県横浜市都筑区仲町台3丁目12番 地1号 株式会社ソディック技術研修セ ンター内 (56)参考文献 特開 平7−266138(JP,A) 特開 平2−59219(JP,A) 特開 平1−240223(JP,A) 特開 昭63−123620(JP,A) 特開 昭57−184631(JP,A) 特公 昭48−7755(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23H 1/02 B23H 7/02

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高周波交流電圧源を加工用電源とするワ
    イヤ放電仕上げ加工に於いて、直流電圧源とオン・オフ
    電子スイッチ素子とを直列に接続した該直列回路中に電
    流制限抵抗を有しない電流パルス供給回路と、該電流パ
    ルス供給回路と共に仕上げ加工に際して開閉スイッチに
    より切換え使用される夫々捲回数の少ない1次巻線と2
    次巻線とを有するリングコアの高周波結合トランスと、
    前記オン・オフ電子スイッチ素子に間歇的な高周波のパ
    ルスのゲート信号を供給するゲート信号供給回路とを備
    え、間歇的な高振幅の高周波電流パルスを前記電流パル
    ス供給回路より前記1次巻線に供給し、前記2次巻線に
    誘起される高電圧の高周波交流電圧をワイヤ電極と被加
    工体間の放電間隙に印加すると共に、前記ワイヤ電極と
    被加工体間に与えられる加工送りのサーボ制御方式を、
    送り速度が放電間隙の電圧に比例し、設定サーボ基準電
    圧に対する間隙電圧の偏差零のとき設定加工条件の加工
    速度に応ずる通常実験値による送り速度が設定される減
    速サーボ制御方式に設定してワイヤ放電仕上げ加工をす
    るようにしてなり、前記加工間隙に供給介在せしめられ
    る加工液の比抵抗の検出判別手段と、該検出判別により
    前記加工液の比抵抗が所定値以上低下したことの検出判
    別信号が出力したとき該信号により前記電流パルス供給
    回路の直流電圧源の出力直流電圧を増大せしめる制御手
    段とを備えてなることを特徴とするワイヤ放電仕上げ加
    工用電源装置。
  2. 【請求項2】 前記直流電圧源が商用交流を制御整流す
    る制御整流回路と、該回路の導通開始位相を前記検出判
    別信号により制御する位相制御回路と、整流出力を平滑
    化する平滑回路とから成ることを特徴とする請求項1に
    記載のワイヤ放電仕上げ加工用電源装置。
  3. 【請求項3】 前記直流電圧源が商用交流を整流するコ
    ンバータと、該コンバータ出力を交流に変換するインバ
    ータと、該インバータ出力を整流するコンバータとから
    成り、前記検出判別信号により前記インバータの導通パ
    ルス幅を制御するように構成して成ることを特徴とする
    請求項1に記載のワイヤ放電仕上げ加工用電源装置。
  4. 【請求項4】 前記加工液の比抵抗の検出判別手段が、
    ワイヤ電極と被加工体との相対向放電間隙加工部が浸漬
    配置される加工槽内充填貯溜加工液、又は前記加工槽へ
    加工液を汲み上げ供給する加工液供給装置の貯溜又は供
    給路加工液の比抵抗を検出して判別するものであること
    を特徴とする請求項1、2、又は3に記載のワイヤ放電
    仕上げ加工用電源装置。
  5. 【請求項5】 前記加工液の比抵抗の検出判別手段がワ
    イヤ電極と被加工体との放電間隙加工部の電圧又は間隙
    インピーダンスを検出して判別するものであることを特
    徴とする請求項1、2、又は3に記載のワイヤ放電仕上
    げ加工用電源装置。
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